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2014年5月 9日 (金)

日本総高齢化の原因としての日本総少子化現象

高齢化に関わる問題と言いますと地域における高齢者医療のあり方などもしばしば話題になりますけれども、その高齢化問題の根本にも関わる話として先日増田元総務大臣がこんな指摘をしています。

高齢化問題、増田元総務相「一番深刻なのは東京」 (2014年5月3日TBS)

 増田元総務大臣は、TBS番組「時事放談」の収録で「高齢化問題が一番深刻なのは東京だ」と指摘し本格的な対策が必要だと強調しました。

 「(高齢化問題が)一番深刻なのは東京で、75歳以上は30年たつと2倍近くに。20代30代は40%少なくなって、そのときにどういう姿になるのか。介護施設はこれ以上作れないが担い手すらいなくなる」(増田寛也 元総務相)

 厚生労働省の試算では、75歳以上の高齢者は10年後に東京で1.6倍となるなど首都圏が深刻で、増田氏は対策を急がなければならないと強調しました。

人口高齢化に関してこれまでは主に地方における高齢化の問題が盛んに喧伝されてきた経緯があって、特に人口減少に悩む地方ほど高齢化率も高いことから社会システムの維持が出来なくなると言う懸念が生まれてもいたわけですが、ただこれらはどちらかと言えば若年層の流出という社会的変動に由来する部分も多いようで、それ故に若年層の受け皿たる都市部においては相対的に高齢人口比率が少なくて済んでいたとも言えます。
一方で高齢化の進行速度と言う点で見れば大都市圏が地方を大きく上回ることが最近注目されていて、高齢人口で見るとこの20年で地方では1.7倍増えているのに対して首都圏では2.3倍増えていると言うのはそれだけ伸びしろがあるからだとも言えますが、若年者が流入する側の大都市圏においても高齢化が急速に進んでいるとなれば、これは全国的に深刻な事態だと納得せざるを得ません。
何故そうなるのかと言う理由を考えると結局は少子化と言うことが挙げられてくるのですが、実はこの少子化に関しても若い人が多く集まっているはずの大都市圏こそ深刻であるというかなり気になるデータがあるようです。

シンクタンク研究員「東京都の出生率1.1はひどい」 少子化対策で田舎に住む?(2014年5月4日週間朝日)

 少子高齢化、「ものづくり大国」の崩壊、進まぬ東日本大震災からの復興、消費増税による家計圧迫――。暗いニュースばかりが気になるが、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏(49)は、既に過疎地にこそ日本の明るい未来への可能性が見えているという。
*  *  *
「日本の先行きは暗い」というあなた、世のムードに流されていませんか。「アベノミクスで日本再生!」というのも、思い込み先行という点は同じです。統計数字を確認すれば、日本は落ちもせず上がりもせずに水平飛行しています。大健闘といえるでしょう。
 国勢調査によれば、1週間に1時間でも仕事をしてお金を稼いでいる人は、もう日本人の半分もいません。子供や専業主婦に加え、高齢の退職者が急増しているからです。ですが機械化で生産力は落ちず、財政破綻もせず、それどころか個人の持つ金融資産は1600兆円を超えています。
 東日本大震災の2011年ですら、輸出も国内の小売販売額も、ほとんど減らなかったことをご存じでしょうか。ちなみに昨年の輸出67兆円(国際収支統計)はバブル期の1.6倍で、史上第4位です。貿易赤字は、円安で輸入品が高騰した、いわば自爆の結果です。
 悲観派は「GDPの成長率が低い」の一点張りですが、生産年齢人口(15~64歳の数)が20年近くも減り続けている日本と、人口が増えている国を比べれば、方向が違うのは当たり前。生産年齢人口当たりの成長率では日本が世界一という計算もあるそうです。

 そんな中、冗談ですまされない最大の問題は少子化です。特に東京都の出生率が1.1というのはひどい。人口が世代ごとに半減してしまう東京に、さらに若者を集めることは、日本の衰退につながります。
 むしろ過疎地にこそ明るい未来が見えています。拙著『里山資本主義』(角川oneテーマ21)でも紹介した島根県の邑南町では13年、転入者数が転出者数を20人上回りました。出生率も2.65と全国の2倍です。自然を重視する若い夫婦が移り住み、耕作放棄地を使って農業を始めているからです。
 地区ごとの数字を分析すると、都会でも地方都市でもなく、過疎化が進みきった山村や離島だけに、老人の増加と子供の減少が同時に止まった地区が登場し始めています。子育て支援を最優先に掲げてきた長野県の山村・下條村では、待機児童はもちろんおらず、過去20年間で子供が微増、生産年齢人口も横ばいです。
 本当は都会でも同じことは目指せるはずです。税金を子育て支援に最優先で使うことで、日本の将来はなお明るくなるでしょう。

生産年齢人口の減少も非常に重要な問題ですが、日本に限らず人口高齢化が避けては通れない道となってきている以上、昔ながらの年齢基準で生産年齢人口を捉えるのではなくこれを実質的に拡大していくことを視野に入れているのが現在の政策の方向性だと思いますし、その上で今後は社会にある様々な仕事を各年代にどう割り振っていくかが重要になっていく気がしますけれどもね。
ともかくも記事にも東京都の出生率がずいぶんと低いことが取り上げられていますが、厚労省の統計を見ても実は首都圏、大阪圏など大都市圏よりも地方の方が出生率が高いと言う興味深い傾向があって、もちろん若年人口が多い大都市圏の方が絶対数としては多いのでしょうけれども、その割には意外と人口再生産には寄与していないと言うことですよね。
単純に考えても何かと気ぜわしい都会暮らしよりも田舎暮らしの方が子供の養育には向いているのだろうと言う気はしますが、これまた興味深いデータとして大都市圏の方が平均初産年齢が高いと言う話があって、最も高い東京(31.5歳)と最も低い福島県(28.5歳)では3歳も違っていると言うのは、子供の一人や二人でも余計に産もうかと言う気にもなりそうな差ではあるかと思います。
社会的移動によって大都市に出てきている人々は労働のために来ているのであって、実際に若年未婚率で見ても首都圏は軒並み全国平均よりも高いことも子供を産みに来ているわけではない以上当然だと言われればその通りなのですが、実際問題そこで長年定着し暮らしている以上はやはり地域の一員と見なすのが妥当であり、地域社会の維持に貢献していただければこれに濾したことはないわけです。

ぶっちゃけたことを言えば産むことによるメリットがあまりないから子供を産まないのだと言う考え方もありますが、逆に産むことのデメリットとは何かと考えると大都市圏の場合基本的に地方から仕事を求めて来ている以上、子供が生まれれば直ちに仕事にも支障が出るのではないかと言う予測は成り立ちますよね。
この点で見ると大都市圏における親との同居率が地方と比べるとずいぶんと低いことは親世代による育児協力が期待出来ないと言えそうですが、実際に小さな子供を抱える母親の就業率を計算した方によれば大都市圏では軒並み母親の就業率が低いということですから、この辺りの対策が少子化対策として喫緊の課題ということになり、ひいては高齢化対策にもつながってくるのかなと言う気がします。
近年では保育所の待機児童問題が大きく取り上げられることが多く、もちろんこれはこれで仕事をしながら出産を考える女性にとって大きな話題ではあるのですが、個人的に注目していることとして母子家庭が入居し子育てを互いに助け合えるシェアハウスのニュースが先日出ていましたが、こうした子育ての多様性を担保するサービスも非常に重要で保育所同様に公的な支援も望まれるところだと思いますね。
社会的にバリバリ活動している有能な女性ほど出産や子育てから遠ざかると言う状況にあるとすれば非常にもったいないことで、このあたりは若い頃には多忙を極めなかなか出産など考えていられないとついつい出産を後回しにしがちな女医さんなども決して他人事ではないと思いますが、特に女医さんの場合は制度的な面でのサポートは元より周囲の理解と言うこともあっての話かと言う気もします。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

>1週間に1時間でも仕事をしてお金を稼いでいる人は、もう日本人の半分もいません。

言われてみるとびっくりですがこれってそうとうなことなのでは?
もう働いたら負けって時代なんですかね。

投稿: ぽん太 | 2014年5月 9日 (金) 08時58分

若年女性、896自治体で人口半減 2040年までに
http://www.asahi.com/articles/ASG577DHPG57UTIL060.html
 同会議は、合計特殊出生率が全国最低の東京などの大都市に若者が吸い込まれて人口減が加速しているとも指摘。
①地方ごとに拠点都市をつくり、周辺自治体を支える仕組みづくり
②都市から住み替える人への税制優遇
③出生率を35年までに2・1に引き上げること
――などが必要と訴えた。

投稿: | 2014年5月 9日 (金) 09時28分

出生率低下についてはともかくとして、労働力についてはそもそも何を以て労働力とするかの定義を改めていく必要があるのかなと思っています。
今の時代PCを使って仕事をすることは当たり前の技能になっていますが、こうした世代が高齢化したとしても労働力としてはまだまだ現役で活用出来る可能性があるわけです。
また生涯同じ仕事ばかりを続けるのではなく、年齢による業務分担といったことも今後考えていく課題だと思いますね。

投稿: 管理人nobu | 2014年5月 9日 (金) 10時39分

労働投入量×技術進歩×資本投下量で国のGDPは決まるので日本という国で見ていくと
今より世界に占める位置づけは低くなっていくのは確実でしょうね
ただ色々なシンクタンクの予測を見ると1人当たりGDPは人口の減りが急激なので寧ろ増えています
なのでそこまで問題ではないと思います
ただ年金や社会保障は確実に打撃を受けるでしょう。あと教育産業や若者向けの音楽なんかも厳しい

東京で出生率が低いのはやはり子供の面倒を見てくれる人がいないのが大きいと思います

ただ流入人口が多いので将来的にも高齢者の絶対数は多いですが高齢化率は一番マシくらいで
留まるでしょうね

投稿: | 2014年5月 9日 (金) 11時57分

地方男性と都会女性のお見合いなんてどうでしょうね?
田舎だったら専業主婦だってまだまだいけそうな気がしますが。

投稿: てんてん | 2014年5月 9日 (金) 12時55分

えっ
田舎で、都会のような優雅な専業主婦ができるとでも?
自家製野菜は泥だらけ虫だらけで汚いし、周りはヤンキー夫婦みたいのの比率高いだろうし
よほどの物好きでないと無理
だから、田舎はフィリピンあたりから嫁さんを調達するようになって久しいんでないのかと

投稿: | 2014年5月12日 (月) 09時48分

>1週間に1時間でも仕事をしてお金を稼いでいる人は、もう日本人の半分もいません。

昔から勤労者に対する扶養者の比率って1:2.5くらいなんですけどそれは大丈夫なんですかね・・・

子供たくさんいる家庭はで働いているのはもう(両親しか)ないじゃん・・・

投稿: | 2014年5月19日 (月) 01時20分

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