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2014年4月 9日 (水)

介護離職問題に対する新たな対策?

高齢化社会において介護問題には国民の関心も高いようですが、先日こんな記事が出ていたことをご存知でしょうか。

親の介護で10人に1人「離職の可能性大」-ダイヤ高齢社会研究財団が調査(2014年3月24日CBニュース)

親が重度の要介護状態となった場合、現役の常勤従業員の1割余りが離職する可能性が大きい―。そんな調査結果を、ダイヤ高齢社会研究財団がまとめた。調査では、51歳から60歳までの管理職の半数余りに、要介護状態かそうなるリスクを抱えた親がいるとする結果も出ており、親の介護が現役世代に重くのし掛かる現実が、改めて裏付けられた。【ただ正芳】

ダイヤ高齢社会研究財団では昨年2月から6月にかけて、現役の常勤従業員を対象にアンケート調査を実施。4320人から有効回答を得た。
親が重度の要介護状態になった場合の離職の可能性について尋ねた質問では、「可能性が大きい」と回答した人は全体の11.4%で、常勤従業員の10人に1人が、親の状態次第で離職を余儀なくされる実態が浮き彫りとなった。特に親と同居している人の場合、4人に1人に相当する26.6%が「可能性が大きい」と回答した。

■51―60歳の管理職、半数超に親の介護リスク

また、親の介護の現状と将来におけるリスクを尋ねた質問では、「現在および近々に介護が必要な親がいる」と回答した人は、36.5%に達した。また、管理職に限定すると42.6%が「いる」と回答。特に、51―60歳の管理職では半分以上の52.7%が「いる」と答えた。この結果について、同研究財団では、組織の中核人材として複数の部下を抱える管理職の代替要員を確保するのは簡単ではないことから、「これだけ多くの管理職が親の介護のために職責を全うできなくなるリスクを抱えているのは、由々しき問題」と警鐘を鳴らしている。
重視する介護支援制度について尋ねた質問(複数回答)では、親と同居している人では「労働時間の短縮制度」(30.5%)、「労働負荷や労働時間・日数の少ない職務への配置」(26.6%)、「出退社時刻の繰り上げ、繰り下げ」(24.4%)などを望む声が多かった。一方、親と離れて生活する人では、「転居のない地域限定の勤務制度・希望勤務地制度」(27.6%)や「在宅勤務制度やサテライトオフィス」(19.0%)を希望する回答が多かった。

調査は現役従業員を対象にしていると言うことで近い将来の不安を感じさせる結果となっているのですが、やはり年齢も上がり社会的地位が高まる年代ともなれば親の介護問題ともバッティングしてくると言うことで、特に親と同居している方々にとっては切実な問題となってきていると思います。
もちろん企業を始め社会的な対応が求められることは言うまでもなく、また介護とは誰が行うべきなのかと言うことに関しては昨今国は可能な限り在宅移行を推し進めている中で、それでは現役世代である子世代が離職してまでもその介護を負担すべきなのかと言うと、社会にとってトータルで見て何が得になり何が損になるのかと言う点で難しいものがありますよね。
ただそうした表向きの話もさることながら、当然ながら場合によってはあまり感心しないような問題も派生するのは世の常と言うもので、先日今度はこんな記事が出ていました。

(報われぬ国)介護で欠勤、雇い止め(2014年4月7日朝日新聞)

 春の暖かさに包まれた大阪市内の公園で、その女性(52)は母親(80)と愛犬を連れて歩いていた。
 派遣社員としてコールセンターでパソコン機器の顧客相談をしていた。だが、母の介護で欠勤が多いことを理由に「雇い止め」になり、昼間はこうして過ごすのが日課になった。

 「これ以降の契約更新はありません」。思いがけない言葉に頭が真っ白になったのをいまも覚えている。2012年8月のことだ。
 勤務中に呼び出されると、会議室で派遣会社の担当者が待っていた。「あなたは遅刻や欠勤が多い
 担当者は、コールセンターの業務が縮小される計画を伝えた後、女性が人員削減の対象になった理由として勤務態度を挙げた
 「介護しないといけない事情は説明していたはず。何とかなりませんか」。必死に訴えたが、「派遣先の事情もあるし、会社はボランティアではない」。

しかしこの朝日新聞という会社もおもしろいもので、先日は相撲担当の記者が「歳食って出世の見込みもない力士は協会が強制的に引退させろ!」などと書いて世間のひんしゅくを買っていたようですけれども、朝日的には相撲協会もボランティアではない以上、国技たる相撲の世界こそ率先して報われぬ国を目指すべきだとでも主張されたいのでしょうか。
朝日の主張はともかく、終身雇用体制が破綻した結果として介護に限らずこの種の問題は各方面で頻発しているのも確かで、国としても対策の必要性を感じているのか全国から100社を公募し、報奨金を出して介護離職を防ぐ仕組みのモデル事業を行うと言っているそうですけれども、仮に効果的な方法論と言うものが見いだされたとしてそれを取り入れるかどうか結局は各企業頼りであることは間違いないわけです。
他方では国の介護給付費は介護保険制度が始まってから12年度までに実に2.5倍にも増えているのだそうで、今後団塊世代の高齢化と少子化の進行によってさらに現役世代の負担が重くなっていくだろうことを考えると、昨今の「病院・施設から自宅へ」と言う政策を見るまでもなく国の本音としては給付の抑制を図っていきたいだろうことは想像に難くありませんよね。
その意味で一方では家族が自宅で安上がりに介護してくれることは万々歳ではあるけれども、他方では相対的に高年収者が多いだろう中高年労働者が離職することで納税をしない単なる消費者側に回ってしまうことも痛し痒しと言うところで、この辺りのバランスを見据えた政策をどう組み立てていくべきなのかです。

最近国が移民政策を積極的に推進しようとしていて、一つには人口減少とりわけ若年労働人口減少によって労働力分布の不均衡が進み人手不足の深刻な業界が出ている、そして当然ながら稼働年齢層の人口が減れば税収も消費も落ち込んでしまうわけですから、国民が産まないのであればどこかから引き込んで来るしかないと言う話には一定の理があるとは思います。
ただ見ていますとその導入先として人手不足が著しいとされている建設業界などに留まらず、先日は唐突に「家事などを担当する外国人も導入しよう」と言う話が安倍総理直々の口から出ていることにも注目すべきだと思うのですが、表向きの女性の社会進出を促進し云々と言う理由付けにはさすがに今さら感がある一方で、当然ながら介護離職対策として見るとこれはそのまま使える話ではありますよね。
ここで思い出していただきたいのが近年の外国人看護師導入の件ですが、そもそもこれは医療現場の看護師不足が深刻化したこととは全く無関係に経済連携協定(EPA)に基づく人材受け入れの話から始まったことで、そのせいか元より厚労省は受け入れに消極的と言われ、実際問題として日本語の高い壁によりほとんどの看護師が日本の国家試験に合格出来ないまま空しく帰国していく状況が続いているのは国際関係上もどうなのかです。
もちろん現場としては使える人材であれば何人であれ来て欲しいと言う気持ちがあると思いますが、ここで各家庭が当座の引受先として看護師資格を要さない家政婦(実質的には家庭内介護要員)として受け入れてくれるのであれば家族は助かり、看護師側も仕事をしながら気長に日本語能力を高め国試に備えることが出来る、そしてもちろん国としても余計な出費をせずとも済み諸外国に顔も立つと各方面丸く収まるとも言えますよね。
国がそういうことまで考えてこんな話を持ち出してきたのかどうかは何とも言えませんけれども、諸事間違いのない意志疎通が必要な医療現場に要求される水準に比べれば常に気心の知れた相手さえしていればよく相対的に軽症者が多いだろう家庭内介護の方が語学力の負担が少ないのは確かでしょうし、そもそも移民を受け入れる大方針で進むのであればなるべく必要性が高く優秀な人材から優先して来てもらうべきだとは思いますね。

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コメント

>「家事などを担当する外国人も導入しよう」と言う話が安倍総理直々の口から出ている

単なるメイドスキーの可能性もこれありw

投稿: aaa | 2014年4月 9日 (水) 08時25分

けっきょくはどんな仕事でも人が来るかどうかだと思うのですが。
でも人一人専属で雇おうと思ったらかなりお金はかかるんじゃ?
何軒かかけ持ちするか他に副業しながらパートタイムで働くんですかね?

投稿: ぽん太 | 2014年4月 9日 (水) 08時57分

企業にとっては給料高い割に生産性の低い年配労働者を整理出来るメリットもあるかと>介護離職

投稿: 鎌田 | 2014年4月 9日 (水) 09時45分

>給料高い割に生産性の低い年配労働者を整理出来るメリット

そういう面もあるので対策が進まない懸念があって、何しろ別にブラックな対応をせずとも他の労働者と全く平等に扱うだけで辞めてくれるのであればこれは雇い止めしたい方々には非常に利便性が高いんだろうと思います。

投稿: 管理人nobu | 2014年4月 9日 (水) 11時17分

 老齢の母親を一酸化炭素中毒で殺害したとして、警視庁捜査1課は5日、無職の次男、中村仁容疑者(45)=東京都墨田区=を
殺人の疑いで逮捕した。同容疑者は「無理心中しようとしたが、途中で外に逃げた」などと供述しているという。同課は母親の介護疲れ
などが原因で、心中を図った可能性があるとみて調べている。

 逮捕容疑は2月25日午前、墨田区の自宅アパートの一室で、木炭を燃やして一酸化炭素を発生させ、母親の孝子さん(当時80)
を殺害した疑い。同課によると、孝子さんは50代の長男と中村容疑者の3人暮らし。長男と同容疑者が孝子さんの介護をしていた。

 長男が同月27日、孝子さんが起きてこないことを不審に思って寝室に入ったところ、死亡しているのを発見。台所上の洗面器に
燃やした木炭が残っていたという。

 同課によると、中村容疑者は「今年に入り木炭を購入した。(過去にも)2回ほど心中を試みたことがある」などと供述しているという。(日本経済新聞) 
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0500Y_V00C14A4CC0000/

投稿: | 2014年4月 9日 (水) 11時35分

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