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2014年4月14日 (月)

大病院の患者受け入れはますます渋く?

診療報酬改定の影響をすでに各方面で実感されているところだと思いますが、今回の改定では急性期病床が削減方針に転じたとされるように患者を急性期病院から慢性期病院あるいは施設へ、さらには自宅へと言う在宅シフトと言う大方針が感じられるものになっていて、今までの増え続ける医療重要に応じて急性期医療を充実させてきた方向性からするとかなり真逆に思われますよね。
その中でも平均在院日数算定の厳格化などは非常に困っている施設も多いのではないかと思いますけれども、まずはこちらの記事から抜粋してみることにしましょう。

入院短縮化、在宅シフトで勤務医の仕事にも影響(2014年4月3日日経メディカル)より抜粋

(略)
平均在院日数の計算もよりシビアに
 特定除外制度の廃止による影響も表れそうだ。7対1一般病棟は平均在院日数18日以内、10対1一般病棟は21日以内という施設基準がある。改定前は、7対1や10対1の入院患者のうち癌や難病、頻回に喀痰吸引・排出が必要なケースなどは、特定除外患者として、入院が90日を超えても点数の低い「特定入院基本料」を算定せず、平均在院日数の計算対象からも除外できた

 だが、今年10月以降は(1)90日を超えて入院する患者について、出来高算定とするが、平均在院日数の計算対象とする、(2)平均在院日数の計算対象としないが、療養病棟入院基本料1を算定する――のいずれかを病棟単位で選択しなければならない。

 制度廃止に伴い、今後は長期入院患者の退院を促す動きが強まる可能性があるが、その後の受け皿の提供が困難なケースは少なくない。また、こうした患者にも急性期医療が必要だという指摘もある。赤穂中央病院(兵庫県赤穂市)などを経営する伯鳳会理事長の古城資久氏は、「特定除外患者の中には、癌などで長期入院していても増悪時には急性期医療が必要となる患者が少なくない。我々はこうした患者は残しながら、何とか平均在院日数18日をクリアしたい」と話す。

 外来診療では、一般的な外来患者はまず「かかりつけ医」に相談し、大病院の外来は紹介患者が中心となるようなシステムを普及、定着させるため、病院と診療所の機能分化を一層推進する内容となっている。
 一方、大病院に対しては、入院医療や専門的な外来診療などのウエートを高め、一般外来を縮小方向に向かわせるための点数設定がなされた。
 現在、紹介率や逆紹介率の低い大病院に対しては、低い初診料と外来診療料が設定されているが、この紹介率・逆紹介率の基準が厳しくなり、対象となる医療機関の範囲も拡大された(表4)。

 短期入院手術・検査の評価方法の見直しも、平均在院日数短縮への一層の努力を促す仕掛けだ。内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術、下肢静脈瘤手術、水晶体再建術、前立腺針生検など、21種類の手術や検査について、5日以内に退院した場合は包括払いの「短期滞在手術等基本料3」を算定し、平均在院日数の計算対象から除外することとなった。

 水晶体再建術や下肢静脈瘤手術などは、日帰りや1泊2日で行われることも珍しくなく、平均在院日数の短縮に寄与していた。「特定除外患者は数人程度にとどまり、短期滞在手術の件数もそこまで多くないものの、このままだと平均在院日数は0.8日程度長くなる見込みだ」と地域の急性期医療を担う菊名記念病院(横浜市港北区)理事長の山本登氏は話す。今後、急性期病院の勤務医は、これまで以上に在院日数短縮化への協力を迫られるとみられる。

 さらに、患者の在宅復帰を促す目的で、「在宅復帰率」という新しい基準も導入された。7対1一般病棟では、直近6カ月間に退院した患者のうち、自宅や回復期リハビリテーション病棟、居住系介護施設などに退院した患者の割合が75%以上という基準が設けられた。
(略)

短期入院患者が増えるほど平均在院日数算定上有利であったことから、今までは内視鏡的ポリープ切除などはまさに病院にとってコストパフォーマンスの高い処置の最たるものでしたけれども、今後算定から除外されるようになると早速平均在院日数超過になる病院も出てくるでしょうし、今後どのような方向性で診療を行っていくのか考えていかないと大変ですよね。
別の記事でも出ていますが紹介状のない大病院の初診では1万円ほど徴収してはどうかとか、自宅に比べて安すぎる入院中の食費はもっと高くすべきだとか、患者側にとって今までのように気楽に病院にかかれない制度が用意されつつあると言えますが、病院側としてもとにかく今まで以上に患者を追い出さなければならない制度になったわけで、特に診療報酬上うまみのない患者は引き受けにくくなりますよね。
特に気になるのが急性期の病床が削減されれば当然救急等の受け入れキャパが小さくなってくると予想されますが、再入院等もこれからは厳格化し抑制していくと言うことですからもともと状態の悪い患者にとってはいったん追い出されれば何かあったとき困ると考えるのも無理からぬことで、退院させたい病院側と入院したい患者側との間で今まで以上にトラブルが頻発すると言うこともあり得ると思えます。
このあたりの懸念に対してと言うこともあるのでしょうか、先日面白いことを言いだした病院があると言うのですが、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

南部医療センター、退院患者に診療保証(2014年4月4日沖縄タイムス)

 県立南部医療センター・こども医療センター(南風原町、我那覇仁院長)が、長期入院患者の退院の際、緊急時に受け入れることを保証する「なんこいカード」を手渡している。県立病院では初の取り組みで、2月中旬の開始から今月3日まで71人に発行。センターは「転院先の医療機関や介護施設、家族、患者の不安を取り除くため、安心をカードという形で保証したい」としている。

 カードは緊急時にセンターが確実に受け入れることを明記。患者氏名やIDが記され、担当医師が診療情報を見ることで適切な医療を図ることも狙いだ。

 センターは24時間救急を担う高度な急性期病院。現状では411床のうち、90日を超える長期の入院患者は1割を超え、30日超も約3割に上る。急性期の患者をより受け入れやすくするため、長期入院患者が安心して退院することが課題となっている。

 対象は、急性期の治療を終えリハビリへ移行した患者や、ターミナル(終末期)の人ら。転院する介護施設や在宅診療を担う訪問医、かかりつけ医と継続的に連携する。

 受け入れの保証で、病院を追い出されたという患者や家族の感情の解消にもつなげたいという。

 センター経営課の牧田文博課長は「受け入れる側の病院や施設からも評価を受けている。今後の連携もスムーズにしたい」と話す。

基本的にはこの話、逆紹介率の向上によって病院のベッドを空けると言う大方針に基づいたもので、「地域のかかりつけに診てもらっていても何かあればうちで引き受けますよ」と言う担保を与えることで患者が地元に帰っていくことを期待しているのでしょうが、ともかくも緊急時には確実に受け入れるとはまた大胆な約束ですよね(もっとも受け入れると言っているだけで、入院させるとは言っていないようではありますが)。
もともと地域の基幹病院クラスでもかかりつけ患者だけでキャパシティーを超えていると言うことなのか、かかりつけ患者以外の救急は取らないと言う施設は各地にあったわけですが、こうした施設の近隣では何かあったときに「あそこのかかりつけですから」と主張したいがために、普段から風邪などどうでもいい症状でとりあえずかかっておくと言う受診行動が見られる場合があります。
こうした言わば囲われ化を期待して押し寄せてくるだろう患者を排除するためにも「長期」入院患者限定なのかとも思うのですが、当然ながら長期にわたって入院を要するような患者はもともとあまり状態がよくない方々が多いと思われますから、今後対象患者数増加に伴いあちらからもこちらからも受け入れ保証の権利を行使しようとする患者が押し寄せ受け入れ不能になる可能性もあるとは思いますね。
また引受先の先生方にとっても「何かあればすぐ送り返せばいいのだから」と言う話でもあるだけに、引き受けたはいいが熱が出た、食欲がない等々なんでもかんでも送り返してくるのでは意味がないことで、普段から逆紹介先になる地域の中小病院や開業の先生と緊密に連携を取り合うと同時に、やはりどこまで面倒をみてくれるかと言うことも勘案しながら逆紹介先を選んでいく必要もあるのだと思います。

いずれにしてもこうした国策による誘導に従って基幹病院から中小病院・診療所へ、そして施設や在宅へと言う逆紹介ルートが確立してくると、やはり地域内で施設間の系列化と言うことも進んで来ないではいられないのだと思いますが、頂点に立つ大病院側から見ると平均在院日数も厳しくなり、下手をすると今後病床も強制的に減らされることになるかも知れないとなれば、下手な患者を囲い込みたくはないわけです。
正直あまり客層のよろしくない患者ばかりを抱え込んでいる施設だとか、いささか独特すぎる診療をしていて何かとこじらせてから他院に送りつけてくる施設と言うのはどこにでもあるものですが、こうした施設から紹介されてくる患者は当然ながら純粋医学的な意味以外においても対応が面倒なケースも多いでしょうし、治療が終わったからと言って素直に逆紹介ルートに乗って早期退院してくれるかどうかも判りませんよね。
となるとやはり大病院側から見ても都合の良い診療に協力的な施設ほど患者受け入れ等で便宜を図る一方で、何かと余計な面倒ばかりかけてくれる施設に対しては只今満床攻撃で実質的に受け入れ拒否を行うと言うことも場合によっては起こってくるかと思いますけれども、大病院側とすれば今後こうした選別は経営上もメリットが大きいし、実際の診療にあたる医師ら現場スタッフにとってもストレスが減りと悪いことはないわけです。
地域内でも優良施設は優良施設同士で系列化を推進する一方で、取り残された非優良施設もこれまたやむなく同類同士で系列化を進めていくと言うことになってくれば、どの系列に入るかで患者さんにとっても大きな違いが出てくるはずですから、やはりいざ初診に至る前にある程度情報も集めた上でかかりつけをどこにするか決めていった方がいいだろうと言うことですよね。

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コメント

患者の受け入れが渋くなるんじゃないかってもっぱらの噂みたいですが。
不必要な救急を制限して必要な救急を維持出来ればいいですけどね。

投稿: ぽん太 | 2014年4月14日 (月) 09時44分

どうでもいい患者でベッド埋めて本物の救急断るってのがお気楽当直医の常道ですが何か?

投稿: あんパンが好き | 2014年4月14日 (月) 10時12分

当直入りと同時に所轄に「本日は満床で受け入れ不能ですw」と電話入れて寝てしまうのがホンモノのプロw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年4月14日 (月) 11時26分

>どうでもいい患者でベッド埋めて本物の救急断る

実はこれはかなり本質的な問題で、救急搬送の大多数は本当の救急患者ではないと言うデータが出ていますし、経過観察入院で翌朝確実に退院してくれる患者の方が病床管理上も在院日数削減上もありがたいわけです。
もちろん現場で働いているスタッフにとっても夜中に重症引き受けでバタバタして翌日の診療にも差し支えるくらいなら…となりがちで、今のところこの問題解消に関して当事者の自主的努力のみに依存しているのが現状です。
今後キャパ的にも急性期を削減していくと言うことになると病床管理もますます厳しくなりますから、制度的にもう少し工夫していかないと重症患者のたらい回しが増えることになるかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2014年4月14日 (月) 11時35分

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