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2014年4月 1日 (火)

法学部が絶讚凋落中?

大学入試も終わって入学の準備が進む今日この頃ですが、先日こんな記事が出ていたのですがご覧になりましたでしょうか?

新大法学部で初の2次募集 入学者、6人定員下回る(2014年3月28日新潟日報)

 新潟大法学部は28日、2014年度入学試験による入学者数が定員を6人下回ったため、2次募集すると発表した。新大の2次募集は05年度の教育学部以来9年ぶりで、法学部では初めて
 法学部の募集定員は135人で、志願者数は前年より97人少ない373人だった。222人が受験し145人が合格したが、入学手続きを終えたのは129人にとどまった
 文部科学省によると、ことし2次募集を行う国公立大学は静岡大など7大学で、前年を1校上回った。このうち法学部は新大だけ。
(略)

しかし法学部の一般的な受験倍率がどうなのかは存じ上げませんが、実質倍率が2倍以下と言うのはかなり低めな気がしますがこんなものなんでしょうか?
すでにこんな年度末で二次募集と言われてどれだけ集まるのかですが、今のところ志願者数こそそれなりに維持出来ているとは言え実際の受験者は少ない、しかも元々10人水増し合格をさせていたにも関わらず入学者が予定を下回ったと言うのは残念な結果で、国公立大学でもこんな状況ですからいよいよ大学全入時代で学生の奪い合いになりつつあると言うことなのでしょうか。
ただここで注目したいのは初めて同大法学部で二次募集が行われたと言うことなんですが、法学部と言えば今や新司法試験の結果かつてとかなり位置づけが変わってきていることに加えて、このところ各方面で弁護士余りだ、新卒弁護士のワープア化だと言われ弁護士大増員と言う国策そのものの見直しが強いられている中で、法学部と言うものの相対的位置づけが変わってきていることは確かでしょう。
弁護士資格を取りたいのであれば現在では法科大学院に通ってからと言うのが表ルートですから別に法学部卒は必須でも何でもないわけで、それでも法学知識を持つことで就職などにおいても有利と言うのであればまだしもですが、どうも昨今では入試の難しさに対して報われることが少なすぎると言う認識が広まっているのか、天下の東大においても法学部離れが進んでいると言うのですから穏やかではありません。

東大法学部 “日本一”割に合わない就職力で志願者数減?(.2014年3月21日週間朝日)

 かつては政財界は言うに及ばず、芥川賞作家やプロの囲碁棋士ら多彩な人材を世に送り出してきた東京大学法学部。しかし、同学部の“入り口”である文Iの志願者は減少しており、学部の「就職力」を詳しくみると、日本一のエリート学部が、意外に就職活動では強さを発揮できていない
 本誌2月21日号に掲載した、有名企業への大学別の就職状況をまとめた「著名400社就職率ランキング」(大学通信調べ)でも、東大は18位だった。これは法学部だけの順位ではないが、東大の「就職力」が決して高くないことがわかる。

 大学通信の安田賢治・常務取締役が言う。
「意外に思われるかもしれませんが、東大法学部は就職に強くないのです。法学部への入り口となる文Iが文系における日本最難関の入試なのは間違いありませんが、受験勉強で大変な負担を強いられる割に、その努力に見合う就職状況とはいえないでしょう」
 この「就職力」の弱さを「相当数の受験生や保護者が把握している」ことが、志願者減につながったのではないかと安田氏は言う。
「以前なら文Iに挑戦していたはずの受験生でも、一部は地元の医学部や工学部を目指すようになりました。文系で東大志望であっても、就職を考えて文II(主に経済学部)に流れるケースもあります」
 実際に民間就職に挑んだ学生はどうだったのだろうか。法学部から大学院に進み、今春にメガバンクに就職する男子学生は「法学部は試験の負担が大きすぎます」と漏らす。
「授業は大教室で先生が一方的に話すことも多く、聞き取りにくいためICレコーダーに録音して文字起こしします。リポート試験はゼロ。すべてテストなので本当に厳しい。3年の後期試験は完全に就活時期と重なるので、就活が二の次になる。つまり、公務員試験や司法試験を目指すカリキュラムのままで、民間への就活に対応できていないんです」

東大法の「就職力」じわじわ低下 「法曹」「高級官僚」の魅力薄れ、行き先に悩む(2014年3月21日J-CASTニュース)

   「東大法」といえば、前身の東京帝大法学部から15人もの総理大臣を輩出したエリート中のエリート集団。ところが、最近では就職先に悩むケースが増えているという。
   「東大法」の看板をもってすれば、それほど就職に苦労するとは思えないが、じつは東大法には東大法の悩みがあるようなのだ。
(略)
   これまで、「東大法」の卒業後の進路は、法曹家やキャリア官僚が「花形」だった。ところが、法曹界へ進むにはロースクールに通わなければならず、最近はたとえ司法試験に合格しても就職難とされる。「法学部」そのものの「お得感」がなくなったことがある。
   また、キャリア官僚(国家公務員)は給料が安いうえにメディアやインターネットでは「官僚批判」が続く。もはや「退官後は天下り先で悠々自適」などということはなくなった。
   これまで「東大法」を卒業さえすれば、将来は安泰と思って毎日頑張って勉強してきたのに、その「頑張り」を生かす就職先がなくなってきたばかりか、描いていた「おいしい」人生設計をもガラガラと音を立てて崩れているというわけだ。
   大学生の就活事情に詳しい、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「法曹界を狙って勉強してきた学生が民間志望に切り替えることはありますが、やはり苦戦しています。民間企業の就活はまったく別ものなので、準備が遅れればそれだけ不利です」と、軌道修正が難しいという。
(略)

“日本一”東大法学部が「抜かれる日」も間近?(2014年3月21日週間朝日)

(略)
 東大法学部生の進路先を見れば、確かに“一流企業”の名も並んでいるが、やはり就職先は今も昔も法曹界と官僚が基本だとわかる。ロースクールが2004年に開校してからは、進路は「大学院」が常にトップを占める。
「ところが最近は司法試験に合格してからの就職難が話題です。これがさらに東大法の逆風となる可能性がある。実際、文Iと文IIの人気や難易度が逆転する日が来るのではないかと注目する教育関係者もいるほどなんです」(大学通信の安田賢治・常務取締役)

 長く文系最難関だった文Iが文IIに逆転される――東大法の“凋落(ちょうらく)”が迫っているのだ。この原因を「エリート教育の崩壊」と指摘するのは、自身もOBで経産省に進み、現在はシンクタンク「青山社中」代表を務める朝比奈一郎氏だ。
「戦前の帝大法は、近代国家の土台を担う真のエリート育成に加え、法技術教育にも力を入れていた。だからこそ、あれだけ首相が輩出したのだと思います」
 日本の歴代首相62人のうち15人、約4分の1が東大法の前身である、「東京帝大法学部」卒だ。1924(大正13)年の加藤高明から始まり、特に戦後は吉田茂、鳩山一郎、岸信介と大物が続く。最後は91年の宮沢喜一だが、実は「東大法学部」となってから後、卒業生の首相は誕生していない
「戦争責任に対する反省は理解できますが、やはり戦後の東大法はエリート教育を忌避しすぎました。法哲学や国家観を自由に論じる機会は減り、実務的な法教育中心になってしまった。文字どおりの官吏育成機関となってしまったんです」(朝比奈氏)

東大法学部の志望者も年々減り続けているそうで、今や東大文Ⅰ学生の2割が法学部以外を志望していると言いますから法学部の定員割れが起こるのも無理ないと言うことなのですが、では法学部に行かずして何をするかと言えば人気があるのは外交官などを輩出する教養学部総合社会科学分科あるいは経済学部だそうで、特に後者はこのところ志願者数が急増していると言います。
かつては理系の医学部、文系の法学部と言えば取りあえず国家試験にさえ通っておけば十分食っていけると言うことから努力して勉強してきた学生にとっては最も無難な「上がり」のポジションだったはずですが、今や弁護士資格の有り難みは劇的に下落し新卒弁護士はワープアどころか弁護士会の会費も払えず弁護士活動も出来ないと言う、笑うに笑えないならぬ泣くに泣けない状況にも陥っているわけです。
当然ながら卒後にそんな茨の道が待っていると知れれば学生の志望行動にも影響が出るのは当然で、例えば私立系法学部の難関として名高かった早大法学部なども志願者倍率がこのところ往時の1/2~1/3にまで急減していると言いますから大変なものですけれども、全国的に法学部人気はこのところ持続的に落ちて来ていると言いますから、いずれ偏差値的にも文系最難関の看板を下ろすことになりそうです。
弁護士資格を取りたいならどうせ法科大学院に行くのだし、それなら学部時代は無理に偏差値だけ高い法学部に行かなくてもいいかと考えてしまうのももっともだし、在学中に進路選択について気が変わった場合にその方が選択肢も増えると言う計算も成り立つと思うのですが、全国歯学部の凋落傾向と併せてやはり国家資格職は国策によって将来が大いに左右されてしまうと言う現実をまざまざと見る思いですね。

医学部の方でも近年ずいぶんと定員が増えていて、いずれは医師余りと言うことになるのかも知れませんけれども、もちろん世間的には医師不足が解消されると同時に今までであれば仕方なく使わざるを得なかった臨床医として不的確な人材が淘汰され、いわば優れた上澄みの部分だけが医療を担うようになるのではないかと言う期待も込められているわけです。
しかし他方では長年苦労して勉学に励んできて一定の地位に到達したつもりが、国策の変化によってあっさりとその地位を追われると言うのでは納得出来ないと言う中の人の意見もあるかと思うのですが、一般論としては特定業界に何十年も暮らしているとその業界に特化した考え方に染まってしまい、中高年サラリーマンがリストラされても今さら他業界に転職するのも難しくなると言うのは理解出来るところですよね。
医者の場合は幸いまだまだ医師としての資格を必要としながら人手が足りていない職場は数多くあって、とりあえず贅沢を言わなければ食っていける程度の収入は確保出来るとは思いますが、気をつけたいのは医師免許を持っていれば医師として働けるわけですから、真っ当な医療の場から淘汰された人材が金儲け主義の診療に走らないかと言うモラルハザードの問題です。
法曹の世界でも弁護士過剰時代になり訴訟が乱発されるのではないかと言った懸念があるようですが、日常的に悪人も扱う法曹と違って基本的に医療現場は善男善女ばかりの性善説を前提として運用されていて、悪意をもって医療を利用するモンスターペイシェントの激増で現場が混乱しているほどですから、今後は医療従事者のモラルハザードと言うことにも注意しておかなければならないかも知れません。
根本的には医学部に入ると全員が医師になると言うのはやはり不自然な状況と見るべきで、今後は医学教育を受けた上で他領域で活躍すると言う人が増えてきても全くおかしくないと思いますし、それこそ政治や報道と言った方面で医学部卒業者が大勢活躍するようになれば医療の世界を外から変える、それも素人の思いつきではなく正しい知識に基づいて妥当な方向に変革していく原動力にもなり得るかとも思いますね。

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コメント

医学部はまだ恵まれてますがいつまで売り手市場が続くものなのか…
若い人には「医者になったからと言って将来安泰だとは過信するな」とは言ってますけど。

投稿: ぽん太 | 2014年4月 1日 (火) 09時08分

うちの息子が医学部志望だったのですが、私が医療関係の仕事をしているもので、
医師の激務の話しとかしてたら、そんなしんどいのはいやだと工学部に行った。

医師の激務がもっと世の中に知れ渡るようになれば、つぶしのきかない医学部は
希望者がどんどん減ってくるかも。

投稿: ひさ | 2014年4月 1日 (火) 09時36分

>若い人には「医者になったからと言って将来安泰だとは過信するな」とは言ってますけど。

それオレが若い時も言われたwwww

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年4月 1日 (火) 10時16分

まあ学生の「最近は進級厳しくて昔みたいに遊んでられないんですよ」も昔からずっと言われていると言うのと同じで、年々世の中世知辛くなっていくものなんだろうなとは思います。
理系トップクラスがとりあえず医学部と言う風潮もそろそろ改めるべきだと言われていますが、それならそれで頑張った分には相応の見返りがあるポストを用意しなければならないと言う気がしますね。
21世紀も技術立国日本をうたって世界と闘っていこうと言うのであれば、国もこのあたりのことはもう少し真剣に考えていくべきだと思います。

投稿: 管理人nobu | 2014年4月 1日 (火) 11時06分

平均で見ると医学部だけじゃなく理工系の卒業生もそこそこ収入あるみたいですね。
手に職ある法学部もだめとなるとこれからは文系受難の時代なのかな?

投稿: てんてん | 2014年4月 1日 (火) 11時34分

一応国でも理工系人材を育成しようとはしていますがやはり医師のが待遇も安定も上なので
理系上位層、特に西日本は医学部志向が強烈ですね。
自分が一番問題だと思うのは医学部に関心が無いのに偏差値が高いという理由だけで目指す学生です
入学後に躓くのはこのタイプかと

>文系受難の時代
工学部なら中堅国立でも大手企業にバンバン入社していますが文系だと早慶あたりでも
3~4割しか大手には入れずその大部分も一般職なりメガバンクの採用です
文系の場合は大学での勉強が仕事に結びつかないので大変でしょうね
今まで大卒が担ってきた事務職などはコンピュータによる自動化や海外へのオフショアが進んで
需要は減っているのに供給は昔と変わらないのも問題です
正直文系の学部行くくらいなら専門で看護師になる方が給料も安定も上ですし

投稿: | 2014年4月 1日 (火) 15時55分

一生懸命技術者が努力しても文系ホワイトカラーが食いつぶすから日本企業は没落した
何も産まない文系ホワイトカラーの雇用を守るため技術開発コストを削減するなんてアホかと思うわ

投稿: | 2014年4月 1日 (火) 16時21分

>医学部に関心が無いのに偏差値が高いという理由だけで目指す学生

医学部に関心がなくて偏差値も低かったのにウチが開業医だからってだけで医師になったおいどんの立場はww?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年4月 2日 (水) 09時39分

それは代々の家業を継いだとほめてもらうべきケース
つか政治家や医者だけ親子代々が批判されるのってどうなんだ?って思う

投稿: @ | 2014年4月 2日 (水) 09時58分

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