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2014年2月26日 (水)

指先の操作一つが一生を決める?

今日の本題に入る前に、これも冗談のような本当の話というのでしょうか、盗難事件に妙なオチがついたと言うこちらのニュースをご存知でしょうか。

男「電車で寝てる間にスマホ盗まれたふざけんなッ!」 → 所持者が美人女性だと判明 → 男「デートしてくれたらスマホいらないわ(笑)」(2013年10月29日ロケットニュース24)

人は誰だって突然恋に落ちるものである。特に出会いを求めていないようなタイミングで、胸がキュンとときめくことがあるから不思議なものだ。これはとあるスイス人学生の恋物語である。いや本来は恋物語ではないのだが、本人が相手に熱を上げているので、恋物語になってしまったのである。
その男性、二クラウス・クネヒトさん(24歳)はチューリッヒで電車に乗っているときにスマホを盗まれた。彼はうたた寝をしていたそうなのだが、その隙に奪われてしまったようなのである。端末の所持者はモロッコにいる女性であることがわかった。一体どうしてわかった?

・Dropboxに画像がアップロードされ始める

スマホが盗まれてから後に、彼が管理するオンラインストレージ「Dropbox」に、北アフリカのモロッコから画像がアップロードされ始めたのである。画像には女性が自宅や公園、ビーチでくつろぐ姿が写っていた。またモロッコのものと思われる民族衣装をまとって、家族と写っている姿など。彼はこの人物こそ、自分のスマホの所持者に違いないと考えた。

・画像の女性が気に入ってしまった

ところが困ったことに、彼はスマホを返して欲しいと願うよりも強く、別の思いにとらわれ始めていた。この女性を気に入ってしまったのである。日々アップロードされる画像を見ては、その思いを募らせて行きどうしても会いたくなってしまった。

・どうしても会いたくてFacebookページ開設

彼はもはやスマホなんかどうでも良くなってしまっている。彼女とデートできるのであれば、スマホは返って来なくても良いとさえ言い始めた。彼は自分の願いを叶えるために、Facebookにページを設けて、そこに女性の画像をアップロードしていったのだ。こうしておけば、いずれ本人か親しい人物の目に止まり、連絡先を手に入れられるはず。そう考えたのである。

・窃盗とは無関係?

現在のところ連絡はない様子。だが、彼は意外と楽観的で、モロッコに行く準備を整えているそうだ。しかし気になるのは、彼女が本当に盗んだかということだ。もし窃盗した本人であった場合、彼は彼女を許すのだろうか? 彼は「彼女は窃盗とは無関係」と根拠のない推測をしている。女性は事情を知らずに窃盗犯から購入したと見ているようだ。
「彼女と会えると思うとワクワクする。もちろんスマホは彼女のものだ」、一体どこからこんな純粋なときめきが湧いてくるのか、不思議である。まあ、恋は盲目というので、今の彼に何を言ってもきっと無駄なのではないだろうか。きっとスマホがなくなった当初は、不便を強いられ、無駄な出費がかかっただろうに、そんなこととっくに忘れているようである。

思わず気に入ってしまった彼女の画像は元記事の方を参照いただくとして、一般論として何事も楽天的であることはまあ悪いことではないと思いますけれども、この場合何しろ犯罪行為が絡んでいるだけに超えるべきハードルは決して低くはないように思いますけれどもどうでしょうね?
それはともかく、ここで注目いただきたいのがオンラインストレージに日々アップされる画像の数々に現在の持ち主である彼女が気付いていないと言う点で、それはもちろんスマホがそうした設定になっていることを設定した本人ででもなければ確認しようとは思わないでしょうが、その結果思いがけない個人情報が流出してしまっているという事実です(仮に彼女が犯罪者であったとすれば何とも間抜けな物証ですよね)。
最近は携帯やスマホをカメラ代わりに使っている人が多く、そして万一のバックアップだとか画像管理の都合などから自動バックアップを行う設定にしている人も少なくないと思いますけれども、携帯の乗り換えなどでバックアップ先が変わるとそれまでの画像データは放置と言う方も結構いらっしゃるのではないでしょうか?
ましてや昨今では撮った画像をその場でSNS等にアップロードすると言った機会も決して少なくありませんが、こうした何気なく行われている行為がどこでどう流用されるか判らないと言う恐怖を自覚して行っている人は必ずしも多くはないようにも思います。

毎週Facebookに画像をアップする人が半数 流出懸念の声も(2014年02月23日Economic News)

 ソチ冬季五輪に出場するスキー・アルペン女子レバノン代表選手、ジャッキー・シャムーンさんのヌード画像がネット上に出回り、本人が謝罪するほどの事態となっている。
 問題の写真は、3年前ジャッキーさんがレバノンでカレンダー用の写真撮影をした際に同時に撮影されたと見られるもので、裸体の一部をスキー用具などで隠したもの。画像が出回りレバノン国内のテレビで放送されると、シャムーンさんは「動画と写真は、写真撮影の準備段階を収めたメイキングの一部で、公開されるはずではなかった」と説明。「皆さんに謝罪します。レバノンは保守的な国であることは私も知っているし、これらの画像はわれわれの文化を反映するものではありません」と謝罪した。

 本人の意図せぬところでの画像等の流出は後を立たない。シャムーンさんにしても3年前に撮影した画像がこのタイミングで流出してくるとは思わなかったのではないだろうか。実際、これまでに蓄積された膨大なデジタルコンテンツの管理を不安に思う人は多い。
 エフセキュア株式会社によれば、ユーザーの33%が、自分のコンテンツに対するコントロールを失っているように感じているとのこと。特にネットやモバイルを使いこなすマルチ・デバイスのユーザーのほうが、PCなどの単一デバイスのユーザーよりも強く感じているそうだ。
 また、デジタルコンテンツのセキュリティに関しては、クラウド上のストレージやバックアップ・サービス、あるいはSNSでの自分のコンテンツに対する不正アクセスについて、平均59%の人が懸念を示している。コンテンツのアップロード先の1位は、Facebook。マルチ・デバイスユーザーの約半数が週に一回以上Facebookへコンテンツをアップロードしている。次に続くのがYouTubeだ。

 FacebookをはじめとするSMSを介して一度ネット上にアップされた画像は、コピーが容易であるため、本人が削除したとしても場合によっては永遠に出回り続けることになる。また、自分がアップロードしなくても、自分も一緒に写った写真が友人にアップロードされてしまうというケースもある。
 一度アップロードしてしまったコンテンツを完全に管理することは難しい。英国で行われた元空き巣へのアンケート調査によると、約8割が「ターゲットを特定する際にFacebookやTwitterを使う」と答えたという。友人だけとシェアするつもりの画像も、思いもよらない人に見られている可能性がある。デジタルコンテンツの扱いは慎重に。(編集担当:堺不二子)

思いがけないところから思いがけない画像が個人情報付きで流出して人生がすっかり変わってしまったと言う悲劇的な事件もありましたけれども、最近では別れ話のもつれなど個人的怨恨と絡めてより積極的に他人の画像をどんどん流出させてしまうと言う、いわゆるリベンジポルノ事件も相次ぎ公的ルール策定が急がれているところで、今後は余計な画像は撮らない撮らせない保管しないが大原則になっていくのかも知れません。
ただもちろん「これは流出してもらっては困る」と本人が認識している場合には予防対策も講じられるでしょうが、昨今問題化しているのはそうした危険性を全く感じてもいなかった画像等から個人情報がどんどん割り出されていく場合が少なくないと言うことで、SNS等がひとたび炎上するとあっと言う間に「そんなことまで…」と思うほどの個人情報が暴かれ晒されるということは全く珍しくないですよね。
「そんなもの別に知られても何ともないし気にもしない」と言う人もいるかも知れませんが、近年画像に留まらず個人がネット上に残した足跡が事実上半永久的に流通してしまう問題が「デジタルタトゥー」と言う表現で問題視されており、当然ながらネット上に記された足跡のどこかに反社会的行為が認められればその時点でアウトとなるのみならず、将来にわたってそうした個人情報が残されてしまうわけです。

例えばある会社が人材を集めると言う場合、募集してきた人の名前をネットで検索するだけでこうした情報が幾らでも手に入るわけですから、仮に犯罪行為とまではいかずともその会社の方針にいささかなりとも反していると受け取られかねない画像なり発言なりが過去に一つでもあれば、わざわざ数多の求職者の中からその人を選ぶと言うことに躊躇するのは当然ですよね。
百歩譲って大の大人が自分のしたことに責任を取るのは当然ではないかと言う意見もあるかも知れませんが、もともとネット上の足跡から人物を知るなどと言うことは非公式の活動であるわけですから表立った原理原則に囚われるはずもなく、ましてそれが未成年時代に行われたものか成年後の足跡なのかをわざわざ調べようという人もいないでしょうから、単に「この人は過去にこんなことをした」と言う記号的事実だけが残っていくわけです。
今どきは子供もスマホの一つも持っていなければ仲間はずれにされると言う時代ですけれども、単に子供がエロサイト巡りでもするんじゃないかなんて親御さんの不安はこういう将来にわたる不安に比べればよほどに小さなことであるはずなのに、こと対策と言う点に関してみれば成年向け有害サイトのブロックほどにも取られてもおらず、取り得る対策も確立されていないと言う現状にはもう少し危機感を抱いてもいいように思います。
実際にどのような教育を行うのが適切なのかは未だこれと言う妙案がないのも事実でしょうが、少なくとも子供がネットデビューを果たす際には過去にどんな事件があったかと言う概略なりとも知らせて注意を促すくらいのことはしておくべきでしょうし、親世代も実社会での様々なリスク以上にそうしたネット利用のリスクに対して無関心であってはいけないと思いますね。

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コメント

こんなのよく見つけてきたって言うくらい昔のことまで出てくるんですよね。
検索サイトもある程度以上古い情報は削除しないものでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2014年2月26日 (水) 09時18分

ハ○撮りって何かあった時の流出以外にどんな使用目的があるんだろ?
あんなもの撮らせるバカの気が知れんわ

投稿: | 2014年2月26日 (水) 09時56分

一般的には個人情報が流通して困るケースよりも、個人情報が意図的に広められて困るケースの方がより大規模被害を招きやすいでしょうから、無思慮に広めた人間に対する個別の民事訴訟と言う道はあるかと思います。
訴訟によって自らの名前も世に出ることで、自分も同じリスクを抱え込むことになるのだと言う危機意識をどれだけの人間が持てるかですよね。

投稿: 管理人nobu | 2014年2月26日 (水) 11時02分

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