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2014年2月 3日 (月)

未だ公に吹聴される差別意識の余波

国会における野次というものも中々に賛否両論のある問題ですが、先日は一つの野次が取り上げられ話題になっているようです。

「安倍総理が水を飲んだら民主党議員が『下痢するぞ』と汚いヤジ」みんなの党・和田議員が『Twitter』で明かす(2014年1月31日ガジェット通信)

1月30日、みんなの党の和田政宗参議院議員(@wadamasamune)が『Twitter』にて

    今日の本会議で、安倍総理が水を飲んだところ民主党議員からまた「下痢するぞ」と汚いヤジ。私は「そんなこと言ってはだめでしょう」と民主側に声を上げ注意した。後方席の民主党男性議員である。難病やハンデをあげつらう発言で許せない。民主は今日もNHK会長発言を取り上げ批判。不当な政治圧力だ

とツイートした。翌 31日11時の段階で2000件以上のリツイートを集めるなどして注目されている。また、

「残念ですね。品位がない。こんな国会議員がいることに失望。」
「その議員を特定して欲しい」

といった返信が寄せられているようだ。

和田議員は元NHKのアナウンサー。昨年7月の参議院選挙の宮城県選挙区で民主党の岡崎トミ子氏との接戦を制し2位となり初当選。激戦であり、国家公安委員会委員長でもあった岡崎氏がネット上でなにかと有名なことから開票速報ではかなり注目されていた選挙区だったので覚えている方も多いのではないだろうか。

当然ながらネット上では「誰がそれを言ったのか?」と言う確認作業が行われているようですけれども、某政党のキャッチフレーズとして「人に優しい政治」というものがあるのだそうで、そうしますと優しく扱われていない難病患者などはさしずめ人に非ずという認識をお持ちいただいているのでしょうか。
ご存知のように安倍総理と言えば難病の潰瘍性大腸炎を患っていることはすでに本人もカミングアウトされているところで、先の第一次安倍政権時代にはそのコントロールが悪化したことも辞任の大きな要因となったと言うことですが、マスコミなど一部方面の方々にとってはこうした持病を抱えた人間が要職に就くなど格好の標的と見えるようで、今に至るも繰り返し「政権投げ出し」と言った表現を常套句としているようです。
こうした「心身の弱さ=相手を攻撃するためのネタ」と言う捉え方をしている方々というのは社会的には決して珍しいものでもないし、いわゆる差別的な発想だと自覚されないまま行われている場合の方がより多いというのは運動部におけるいわゆるしごき問題などを見ても判るところですが、一応現代社会においてはそうした考え方は少なくとも表立って称揚されるべき性質のものではないというのが一般的コンセンサスですよね。
人としてというよりも生物として「自分と違うものに対しては警戒心を抱く」ということは決しておかしな話でも不思議な現象でもなくごくごく本能的な反応ではないかと思うのですが、他方で人とはそうした本能的な何かを超克した存在であるべきだと言う考え方もいる、そこで生まれる様々な事象は非常に興味深いものではないかなといつも思って見ているのですが、先日これまた議論を呼びそうなこんなケースがあったようです。

相次ぐ障害者ホーム反対の背景は(2014年1月27日NHK)
より抜粋

障害のある人が地域社会で暮らすグループホームやケアホーム設置を巡る反対運動が起きて、計画断念に追い込まれるケースが、今全国で相次いでいます
「ノーマライゼーション」の理念に基づき、施設などで暮らす障害者に地域のホームに移って生活してもらう「地域生活移行」が進む一方で、なぜこうした問題が起きるのか。どうすれば障害のある人とない人が共に地域で暮らしていけるのか。水戸放送局の井上登志子記者が取材しました。

ホームが建てられない

東京・文京区小石川にある障害者のグループホームの建設予定地では、2年余り前に計画が持ち上がってから一部の住民が反対運動を続けています。建設予定地の周辺には今も「障害者施設建設反対」と書かれたのぼり旗が立ち並んでいます。この場所には文京区出身の障害者10人が暮らすグループホームが建設される予定です。
ホームを建設する社会福祉法人の江澤嘉男施設長は、「障害のある方たちが地域の住民の方と普通に交わって、地域の中の一市民として認めてもらえるためにも、このグループホームができあがることがわれわれにとって悲願です」と話しています。
しかし文京区が開いた説明会では、建設に反対する住民から障害者への不安や嫌悪感を示す発言が相次ぎました
説明会の議事録には反対する住民たちの発言が記されています。
女性の後をつけ回したりしないか」「ギャーとか、動物的な声が聞こえる」「(地価など)資産価値が下がる
こうしたグループホームへの反対運動は、今、全国各地で起きています。
対話を重ねても双方が折り合えないケースもあります。文京区も、説明会を何度も開きましたが反対派の住民たちは、計画の白紙撤回を求め続けています。NHKの取材に対して周辺の道路が狭いことなどを反対の理由に挙げ、「住民説明会は単に形を繕うだけのものだ」としています
反対派住民との関係は今もこう着状態に陥ったままで、文京区障害福祉課の渡邊了課長も「やはりまだまだ障害者への理解が進んでいません、地域において十分浸透していないということを痛感します」と話しています。

対立より「賛成派」を増やす

一方で、茨城県牛久市には反対運動を乗り越えて、3年前に建設されたケアホームがあります。
このホームでは、知的障害のある20代から40代までの男性4人が暮らしています。
ホームを運営するNPOの秦靖枝さんは、反対運動が続くなかで周辺住民との交渉に中心となってあたってきました。秦さんによると、当時、ホームの建設に反対した人のほとんどが、障害者と身近に接したことがない人たちだったといいます。
住民説明会では、反対する住民の1人が「インターネットで集めた障害者の問題行動の事例だ」とする資料を持参して、会場で配布したということです。
当時の資料を見ながら秦さんは、「インターネットですごくいろいろ出るんです。『突然に突き飛ばす』とか『たたく』とか。不安感とか分からないことに対する恐怖心、それがどんどん悪い方にエスカレートしていくんだと思うんです」と話してくれました。
周辺住民の不安を取り除くには知ってもらうしかないと、秦さんたちは説明会を繰り返すとともに、入居予定者一人一人のプロフィールを紹介する書類を作り、入居予定者本人と一緒に近所を回りました。そのうちに反対する人は減っていき、最後は数人だけになりました。
秦さんは「反対してる人は、数はそんなに多くはないんですが声が大きい。だからとにかく説明をして分かっていただいて、反対している人と戦うのでなく賛成している人を増やそうとした」と回想します。
(略)

反対が目立つのは「新興住宅地」

この牛久のケースのように、ホームを運営する側が懸命に努力して、地域の一員として普通に交流ができるようになったところがある一方、今なお、周辺住民の理解を得られず難航しているケースもあります。こうしたグループホームへの反対運動は「施設コンフリクト」と呼ばれ、NHKが全国の都道府県と政令指定都市の担当者に聞いたところ、この5年間で少なくとも58件の反対運動が発生しているということでした。
また、障害がある人の2つの家族会に聞いてもその件数は合わせて60件に上るということでした。つまり自治体、家族会のどちらに聞いても60件程度の反対運動を把握しているということです。このうち家族会が把握している60件の反対運動のうち、設置を断念したり予定地を変更せざるを得なかったりしたケースは36件に上っていました。
施設コンフリクトについて研究している大阪市立大学の野村恭代准教授は、「こうした反対運動は古くからの住宅街よりも新興住宅街で、より多く確認されています。新興住宅街は、障害者と接する機会が比較的少ない若い世代が多く、こうした人たちが“障害者は怖いのではないか”という判断をする傾向が強いためだと考えられます」としています。
こうした状況を解決しようという動きも出てきています。去年6月、「障害者差別解消法」が成立しました。障害者への差別を解消する責任は国や自治体にある、と明確に定めた法律です。法律では、国や自治体が差別による紛争を防止し、解決を図るために体制を整備するよう求めていて、ホームを設置しようとする事業者にとって、大きな後押しとなるものです。
野村准教授は「私が行った調査でも、事業者だけに任せて施設コンフリクトがこれまで解消したというケースは非常に少ないので、行政が積極的に介入していくことが必要だと思います」と話しています。
(略)
グループホームへの反対運動について専門家はゴミの処分場や火葬場などを「迷惑施設」だとして反対する“NIMBY”と呼ばれる住民の行動パターンと似ていると指摘しています。
“NIMBY”とは“Not In My BackYard”つまり、「自分の裏庭には来ないで」という英文の略で、「施設の必要性は認めるが、自分の近所には建てないでほしい」という主張です。
しかし、グループホームは「人が住む住宅」です。野村准教授は、グループホームが「人が住む場所」だからこそ、反対運動を乗り越えた地域では以前よりも強い、住民同士の絆が生まれていると指摘しています。
そして、「グループホームは迷惑施設ではなく、うまくいけば地域の中で住民どうしのつながりを形成する場所として機能している。障害者が暮らしやすい地域はほかの住民すべてにとっても暮らしやすい地域であり、より“成熟した社会”なのです」と話していました。
逆説的な言い方ですが、グループホームへの反対運動には、新たな、より良い地域づくりへの可能性も秘められているというわけです。知らないことに対する不安やおそれは誰もが持つものです。それを乗り越えて、一歩踏み出すには近道はなく、ただ「知る」ことしかないと牛久市のNPOの秦さんは話していました。取材をして、私たち一人一人が今問われているのだと、思いました。

記事の末尾にも示されているようにゴミ処理施設や葬儀場などに対する反対運動と同様の側面がこの問題にはあって、正直「成熟した社会では」などと難しい理屈をこねずとも法律なり条例なりを盾に問答無用で造ってしまえば程なく慣れてしまうものだと思いますけれども、そうした「行政の横暴」に断固反対していた側の立場の方々にとってこそ今回の問題はなかなか悩ましい問題になっているのかなと思うのは穿ちすぎでしょうか?
ともかくこの障害者問題と言うもの、例えば昔から「知的障害者の犯罪率は一般人よりも高い(あるいは低い)」と言う議論が様々なデータ付きで散々に議論されてきた経緯があって、そうした経緯をネット等で知っている人にとっては何か言いたくなる事情は理解出来るのですが、むしろ外的なアクティビティーは低いはずの身体障害者に対しても一定の反対運動があるというのは興味深い現象ですよね。
とある体育会上がりの精神科の先生が社会人になってから「学生時代にしっかり鍛えておいてよかった」としみじみ述懐されているのを聞いたことがありますが、高校生がバットを振り回して暴れていれば誰しも近寄りたくはないでしょうが、幼児がバットに振り回されている光景などむしろ微笑ましいというべきもので、結局のところ怖いというのは実は自分自身に対する自身の無さと裏表だと解釈出来ることなのかも知れません。
ただ現実的に見るとぶっちゃけ障害者を差別してはいけません、差別解消のために頑張りましょうなどと言ったありがたさばかりが先立つ法律を作るよりも、障害者が何かトラブルを起こした場合には国なり自治体なりが責任を持って補償すると言う法律を作った方がはるかに実効性が高いという可能性があるかとも思うのですが、この辺りは障害者に限らず自然災害の被害補償などにも通じるもう少し普遍的なテーマにつながりそうですね。

もう少し小さな話をしてみますと、こうした反対運動というのは例えば放射性廃棄物や米軍基地といったものと比べるとはるかにローカルな話題に留まるもので、お隣の町内にそうした施設が出来ようがこちらの町内では話題にも上らない、ましてや全国から活動家が集まってどんどん輪が大きくなるなど考えられないだけに、少数の「声の大きい人達」によって地域の世論が方向付けられやすいと言うところがあるかと思います。
この辺りは日本人の横並び意識とも関係してくるところでしょうが、例えば町内会長なりがその声の大きい人であって強力に賛成なり反対なりの論陣を張っている場合、その他大勢がそれを覆して「いや自分は別な考えを持っている」と言えるかどうかはなかなか微妙であって、下手をすると地域住民の総意とは全く真逆な方向で住民の意志なるものが形成されてしまうという可能性もあるわけですよね。
さらに面倒なのはこうした地域の問題の場合いわゆる多数決で話を決めるのはよくないことだ、少数意見に十分配慮し全員一致で決めるべきだと大まじめに主張する人もいて、しかも障害者施設程度の狭い範囲での問題であればちょっと頑張れば地域住民の総意なるものがまとめられる可能性もなくはないと言う点がいささか問題をややこしくしているように思います。
逆に言えば反対派を説得するためにも集団ではなく個人個人を相手にしていればいずれ片が付く可能性があるということで、それこそ反対派一人一人を連れ出して施設にでも連れて行って無理矢理にでも入所者と興隆させると言った顔の見える活動が有効なんじゃないかと思いますが、そうした地道な活動を行うコストや手間暇を支えていくことも行政の行うべき仕事の一つに挙げられるんじゃないかという気がしますけれどもね。

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コメント

与党議員が同じ発言をしてたら大騒ぎになってたでしょうにね。
こういうところでのダブスタ具合がマスコミの信用を失わせる原因じゃないですか。

投稿: ぽん太 | 2014年2月 3日 (月) 09時15分

誤嚥のリスクを高める恵方巻き販売を禁止しましょう!!
お金儲け優先の悪い習慣を根付かせないようにしましょう!!

投稿: 節分 | 2014年2月 3日 (月) 09時51分

そう言えば不肖管理人も幼小児から何度も海苔をのどに詰めた経験があるせいか、未だにあの丸かぶりというのはチャレンジする気になりませんね(もらいものは切って食べますけれども)。
せっかくあれだけ沢山売っているのですから、文化的に問題がないのであれば海苔巻きの代わりに錦糸巻きなども用意してもらえたら助かります。

投稿: 管理人nobu | 2014年2月 3日 (月) 11時31分

29日に三鷹駅前で行われた街頭演説には菅元首相の伸子夫人(68)の姿もあった。
菅氏といえば首相退任後、脱原発活動に転じ、前回の都知事選では宇都宮健児氏(67)を応援。
今回は脱原発候補が複数出馬したことを受けて細川氏支持を表明し、勝手連で1人、地元で街頭活動していた。

伸子夫人は本紙直撃に菅氏の話はそっちのけで「原発問題は他の政策とは次元の違う話なんです」と“脱原発論”を熱く語り始めた。
「福島の人たちがものすごい犠牲を払っているのに東京は鈍い。全く鈍い。

原発賛成のおうちには、放射性廃棄物を庭先に置かせてもらう法案を出したいくらい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
と暴走気味の仰天政策も打ち出すほどだ。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/229916/

夫が夫なら嫁も嫁

投稿: | 2014年2月 3日 (月) 13時22分

1.病人を要職につける

2.政策が批判される

3.病気を理由に辞職する

4.「難病を批判するのか!差別だ!!」

1.に戻る


病気になったもん勝ちじゃねえか。

筆者がパイロットが操縦中に持病で死んで墜落して家族が死んでも難病だから許してやるんですよね!

投稿: 民主党員 | 2014年2月13日 (木) 14時33分

「差別だ!」とか「政治圧力だ!」とか与党権力者でありながら解同や総連なみの弱者利権を振りかざして幼稚化しているのが今の自民党。

安倍はさっさと下痢して死んで欲しい。

アメリカでは大統領はヒーロー。心身の弱い奴は就任が許されない。

私も持病があるが、中学生である強豪チームのレギュラーになったときに、大丈夫かと聞かれ病気を理由にして逃げないと言った

安倍のような軟弱・病弱・精神薄弱なクズが首相の資格はない。

投稿: 民主党員 | 2014年2月13日 (木) 14時41分

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