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2014年1月17日 (金)

冬山事故の思いがけない顛末が問うもの

今年は冬季オリンピックも間近ということでウインタースポーツを楽しまれる方も多いんじゃないかと思いますが、やはり雪山は怖いと改めて感じさせるニュースが先日出ていました。

スノボで不明の男性 死亡確認(2014年1月15日NHK)

長野県山ノ内町のスキー場で、スノーボードに向かったまま14日から行方が分からなくなっていた27歳の男性が、尾根沿いの斜面で倒れているのが見つかり、死亡が確認されました。

山ノ内町のレンタルスキー店のアルバイト、磯部光輝さん(27)は、14日午後、スノーボードに向かったまま戻らず、行方が分からなくなっていました。
警察がヘリコプターなどで捜索した結果、15日午前10時すぎ、山ノ内町のスキー場、竜王スキーパークに近い尾根から80メートルほど下の斜面に、磯部さんが倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されました。
磯部さんは、東京から山ノ内町に住み込みでアルバイトに来ていたということです。
見つかった現場は、スキー場の管理外の場所で、この時期は積雪が十分でないため、立ち入りが禁止されているということで、警察が詳しい状況を調べています。

死因が何であったか判らない現状ではまずは亡くなられた磯部氏の御冥福をお祈りするしかありませんが、スキー場と言うくらいですから周辺地域も含めてそれなりに整備されているでしょうに、一歩管理地域を踏み出すとこういうことが起こってしまうというのは大いに教訓とすべき事例だと思いますね。
先日は世界的に有名なプロドライバーがプライベートでスキーを楽しんでいる時に外傷を負い今も意識不明の状態にあると言う驚くべきニュースがありましたけれども、当初言われていたような無謀な速度で滑っていたのではないことがビデオや証言から確認されたと言いますから、今のところ何故事故に?と言う明確な答えは明らかになっていないとは言え唯一明らかになっているのが事故現場がコース外であったということです。
今回の死亡事故もやはりコース外であったということで、細かい事情は不明ながらやはり雪の下には何があるかは判らないということも含めて、スキー場の管理している領域外に出るということは利用者が行うべきことではないと言うのが一つの教訓として挙げられるように思うのですけれども、それはともかく今回の事故においてもヘリコプターまで投入する大々的な捜索活動が行われていることに留意ください。

雪山登山などでは時折遭難者の捜索活動のニュースが伝えられますが、この場合捜索活動の経費として後日少なからぬ金額の費用実費が請求されるということで、先日は著名人が実父が山で行方不明だからカンパしてくれとネットで訴えて「金持ちなのに自腹を切るつもりはないのか?」「捜索費用はともかく社会復帰のための費用って何?」などと散々に言われていたことは記憶に新しいところですよね。
ちなみに海の場合は同様に総掛かりで捜索を行っても無料で済むのだそうで、この辺りは長年の伝統であるとか様々な理由もあるのでしょうが、ともかくも「線路に飛び込んで電車を止めたら後日家族に巨額の損害賠償が」と言った話と同様にわざわざ冬の山に入るという危険な行為を安易に行わないようにという一定の抑止力といったものも期待されているということなのかも知れません。
そうは言ってもいざとなれば命もかかっていることでもあるし、助けを求めた以上はそれなりの覚悟を決めているんじゃないのか?と思いたいところなんですが、先日からちょっとした話題になっているのがこちらのわざとだともうっかりだとも言い難い後味の悪い始末となった事件のニュースです。

根子岳で不明の男性捜索も…自力で下山し帰宅(2014年1月14日SBCニュース)

上田市郊外の根子岳で、スキーをしていた男性の行方が一時わからなくなり、ヘリコプターも出動して捜索が行われましたが、その後、男性は自力で下山していたことがわかりました。

きのう午後3時すぎ、上田市菅平高原のスキー場の管理事務所に「根子岳でスキーが壊れたので迎えに来てほしい」と男性から連絡がありました。
スタッフが山頂付近に向かったものの男性はおらず、警察に届け出ました。
きのうに引き続き、けさも早くからスキー場の関係者や警察官が捜索にあたり、県警のヘリコプターも出動しました。

ところが、午前10時過ぎ、スキー場の管理事務所に男性から「けさ下山した」と電話がありました。
心配した関係者の思いをよそに、男性は「救援要請はしていない。東京へ帰る」とだけ言い残し、連絡が取れなくなったということです。

これは様々に解釈出来る事件で、当然ながらネット上においても色々と議論が進んでいるところですが、情報を総合するとまずは山頂まで送ったスキー場スタッフが必死に捜索したものの日が暮れても発見できず、やむなく警察に連絡し大々的な捜索活動が始まったところが翌朝遅くになってすでに自力で下山したと連絡があったという状況のようで、どうも結局スキー場スタッフと直接的に接触しないまま電話だけの連絡だったようなんですね。
文字通りに取れば確かに男性が直接救援要請をしたわけではないのですが、今回の件では前述のような電話だけの連絡ですので今後も「山で遭難した。助けて」と電話しておいて、後になって「いやもう勝手に降りたし」と電話だけして消えるといった愉快犯的迷惑行為も考えられるだけに、そもそもこうした場合の捜索救助体制はどうあるべきか、事後の費用負担はどうすべきなのかと様々な問題点が浮かび上がっているところです。
実は以前にもスキー場の遭難事故で外国人客が捜索費用の支払いを拒否したまま帰国してしまうというケースが報じられたように、過去にも山の事故の費用負担を巡ってはトラブルが何度も起こってきたことが知られているだけに、雪上車で山頂まで送り届けていたスキー場側がこうした事態に備えてどのようなリスク対策を取っていたのかということも気になりますよね。
契約ということで考えれば顧客と施設側との間で解決出来ないトラブルには公的な捜索依頼等が必要になる場合もあり、それにはこれこれの費用もかかると言ったことまで事前に説明し同意を得ておくべきなのでしょうが、利用者全員に契約書を書かせるというのも中々大変でしょうし、実際問題としてスキー客スノボ客と言えば若い人も多い訳ですからそんなお金は払えないという人もいるでしょう。

そう考えると山には入る者には保険を義務化せよと言う意見にも一理あるのかも知れずで、少なくともスキー場など管理している場所を利用する場合には管理者側が掛け捨ての保険料を取るようにしてもいいと思うのですが、スキー場も料金競争等々があるでしょうから自治体などが条例で義務づけるなりして施設間で有利不利が付かないようにすべきかなとも思いますね。
また昔と違ってスキー場界隈などであれば今回のように携帯が通じる場所も多いのですから、自動車の場合と同様にまず先に電話で会員なら幾ら、非会員の場合は幾らかかりますと費用の点など合意してから出動という形にしてもいいんじゃないかと思いますが、もちろん命はお金に換えられないという考え方もあれば「そんなことをやってお金のために救助を躊躇する人が出たらどうするんだ」と言う意見もあるでしょう。
ただ本当に遭難して連絡もつかないような状況では実質強制的に有料の救助手段を取るわけですが、その場合あらかじめ支払い能力を確かめてから出動を考えるのがナンセンスであるように、山に入るという選択をした時点でそこまでの責任も無条件で負った形にすると言うのが現状だとすれば、逆に言えば支払い能力もないのに面倒をかけたくないという人には救助放棄の選択枝は用意されるべきかも知れませんね。
この辺りは救急車有料化問題と幾らか似通った部分があって、皆の意識として基本無料であってしかるべきと思われているコストが有料になるからこそ発生する問題だと言えますが、その意味で入山保険義務化などは何かあれば高いコストがかかることを前提に行動せよという意識改革の問題であるとも言えるだろうし、山のリスクということを考えると安全面への配慮にも関わるそうした意識改革はいずれなされてしかるべきかなという気はします。

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コメント

通話記録とかから個人をたどれないものなんですかねえ?
費用はスキー場が警察に払って客にはスキー場から出迎え料金を請求する?
どれくらい受け取るのが妥当なのか微妙ですが。

投稿: ぽん太 | 2014年1月17日 (金) 08時54分

さっさと損害賠償請求するべきw

投稿: aaa | 2014年1月17日 (金) 10時09分

恐らくですが客の個人情報は取得していないのではないかとも思われ、後日請求をするにしても連絡先も判らない可能性もありますね。
ただ筋としてはやはり捜索費用はスキー場が支払い、そうした必要経費も含めて民事の扱いで客に請求するという形になると思います。
いずれにしてもこうした金銭面のリスクも存在するという認識に立っての営業が必要になるでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2014年1月17日 (金) 10時49分

客が勝手に山にはいったわけではなく、スタッフが山頂まで送ったというのが本当なら、
本当に遭難していたらスキー場のほうが客から損害賠償請求される可能性も考えておくべきでしょうに、
個人情報すら把握していないとか危機管理能力低すぎ。

投稿: JSJ | 2014年1月17日 (金) 12時06分

どうも雪上車で山頂まで連れて行って延々4kmほど滑って帰るものらしいですな
これ途中で行方不明になったときの対策はどうなっているのか?と気になりますが

http://www.shizenkaikisen.com/Heli.html
今年の菅平高原の目玉は、「スノーキャット」です。聞き慣れない名前ですね。スノーキャットは、奥ダボスリフト山頂駅から根子岳にに向かう「雪上車」です。ヘリコプタースキーが中止になって以来、根子岳スキー&ボードツアーに行くには歩くしか方法はなかったのですが、また根子岳ツアーが雪上車で戻ってきました。
標高2207mの根子岳山頂直下と、菅平高原スキー場を結ぶ根子岳スノーキャットスキー、ヘリコプタースキーほどてんきに左右されず開催されます。根子岳山頂からの360°パノラマは絶景。北アルプス、八ヶ岳、富士山、北信五岳、空気が澄んでいたら日本海や佐渡島も見えますよ。お弁当を持ってヘリスキーに行ってみませんか。初級者から上級者まで十分楽しめます。

投稿: 元僻地勤務医 | 2014年1月17日 (金) 17時07分

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