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2013年12月16日 (月)

「卒業後の厳しい現実」はどこに由来するのか?

少子化の進行に伴って大学全入どころか定員割れも当たり前という時代になってきましたけれども、大学の側からすればとにかく収入源としての学生を確保しなければ経営も成り立ちませんから、一部の底辺だとかFランクなどと言われる大学になるとすでに選抜試験の体を為していない状況にあるようです。
もちろんそうした大学であっても入学し卒業することに意味がある場合はともかく、何となくでただ進学だけを目的に入学してしまうと大変なことになるという話が先日出ていました。

多額ローン、就職先はブラック…Fランク大学卒業生の厳しい現実〜なぜ入学者減らない?(2013年12月12日ビジネスジャーナル)

 少子化が進む日本で、「大学全入時代」となって久しい。いわゆる「Fランク大学」といわれる大学の中には定員割れのところも多いため、願書を書いて面接を受けるなど型通りの試験を受ければ、晴れて大学生だ。
 Fランク大学をめぐっては、「工学部の授業で因数分解を教える」「就職先がブラック企業だらけ」などの“伝説”が多くの人に知られているが、それでもなぜ、高卒で就職するでもなく、専門学校で特定の技術を身につけるのでもなく、Fランク大学に進学する人が後を絶たないのか? そう訝がる声も多い。
 ところが、Fランク大学に入学する学生の多くが、大卒の学歴にこだわっているわけではなく、その背景には高校教師の怠慢があるという実態が、取材を進めるうちに見えてきた。

 あるFランク高校生の親は、口々にこう言うのだ。
先生は就職を勧めず、Fランク大学になら入れると言うんです」
 実は高卒の就職率は95.8%(2013年春卒業者)と、大卒の93.9%(同)より高い。しかし、ブルーカラー系職種が多く、3年で半分が辞めるといわれるくらい離職率が高い。これが「七五三現象(大卒7割、高卒5割、中卒3割が入社3年時点で会社に残る)」といわれる所以である。
 高校教師からしてみれば、卒業生にすぐ会社を辞められれば、間を取り持った自分の面目は丸つぶれだし、高校の信用力も落ちる。すると自分も上から責められるから大層困る。すぐ辞めたOB、OGがちょくちょく相談に来るのも面倒だ。さらに、あらためて就職先の候補を開拓するのもしんどい。

●Fランク大学への就職を勧める高校教師

 そこで、Fランク高校の教師によく見受けられる行動が、「Fランク大学への入学を勧めること」だという。
 Fランク大学卒業生の母Aさん(40代後半)が語る。
「昔の先生は、必死で地元企業を回って生徒を売り込んでくれたものだけど、今の先生はそんな面倒臭いことはしない。取りあえずFランク大学にぶち込んで、“問題先送り”にしてしまう人ばかりなんです」
 Aさん家庭は、夫婦で工場に勤務しているが、あまり裕福とはいえない。だから子どもを無理して大学に進学させるのを躊躇したそうだ。Aさんの息子とて、進学希望だったワケではない。地元の北関東の企業に就職し、親や親戚、仲間に囲まれた平穏な暮らしをするのが夢だった。
 「ところが先生は、『大丈夫、奨学金がありますから。今の大学生は奨学金を受けるのが常識です』の一点張り。それで、つい息子を大学に入れちゃいました」(同)
 殺し文句は「今の大学生の半数が奨学金ユーザー。何も心配いらない」だったという。

 確かに、私立大学新入生の家計負担調査によると、奨学金を希望する人は全体で66.2%に及ぶ。Aさんも、昔の「日本育英会」のような学費補助があったり、返済に窮したら先延ばししてくれるような手厚い奨学金を、ついイメージしてしまったが、実際は大きく異なっていたという。
実際は単なる『学生ローン』。金利は1.6%程度と並の住宅ローン以上で、少しでも返済が滞れば、奨学金機構がすぐに裁判所に支払督促の訴訟を起こすんです。すぐさま一括返済せよって……」(同)
 20代のみそらで数百万円の金を一括返済するのは難しく、裁判を起こされると大抵の場合は残元金に10%程度の延滞金を乗せることで決着するのだという。
「ほとんど街金です。実際に奨学金を貸し出す機構は、取り立てのプロである債権回収会社と契約していて、返済が遅れようものなら債権回収会社の人が自宅や職場に押しかけてくると聞きます」(同)

●卒業後の厳しい現実

 もちろん、大学卒業後きちんと就職し、返済能力があれば問題ない。だが、例えばAさんの息子は大学卒業後の「IT企業」というふれこみのブラック企業に入ってしまい、わずか8カ月で退職。現在は、ゲームセンターのアルバイト店員をやっているが、「借金200万~300万円を14年かけて返済する計画ですが、月収15万そこらのあの子に返せるわけがない。どうすればよいのか……」と困惑する様子を見せる。
 また、借金数百万円を抱えたフリーターは結婚も難しい。Aさんの息子も「彼女も同じ大学の同級生でやっぱり奨学金の借金が300万円。仮に2人が結婚したら、借金600万円夫婦の誕生」(Aさん)という状態だという。
 この状況を見かねたAさんは、借金返済のため工場勤務の帰りにスーパーのレジ打ちのパートのかけもちを始めた。
「結局、何も考えず、Fランク大学なんて進学したのが運の尽き。高3の時に必死で就活させるか、コックやIT関係の技術者など“手に職系”の専門学校に行かせるかしておけばよかった」
 Fランク大学への進学を考えている子どもを抱える親御さんは、こうした現実を直視し、改めて卒業後の進路について考え直したほうがよいかもしれない。

この学生ローンが貧困ビジネス化しているという問題は以前から当「ぐり研」でも取り上げたことがありますが、やはり数年間余計な学費を借金してまで支払って大学に通うだけの見返りがあるのかと言えば、今の時代正直何かしらの資格にでも直接結びつくような学部ででもないと大卒自体にそこまでの付加価値はなさそうだと言うことですよね。
専門学校などもそれはそれで「昔からそういうのが好きだから」とアニメーター専門学校などに行ってしまっては人生真っ暗闇ということになりかねませんけれども、とにかく言えることはもはや漠然と取りあえず進学しておこうで人生何とかなる時代ではなく、高校生頃から少なくともある程度の人生の将来像を想定しながら進路選択をしていかなければ容易に行き詰まってしまう怖さがあるということです。
それでは進学=専門職としての資格に直結する学部なら将来安泰かと言えばさにあらず、もちろん手に職を持つということは非常に大事なことですけれども、中にはすでに専門職としての希少性が崩壊しワープア化が着実に進行している職種もあると言うのですから怖いですよね。

増えすぎ?弁護士ジリ貧 2割が所得70万円以下(2013年12月14日神戸新聞)

 かつては「長者番付」の常連だった弁護士。ところが司法制度改革でその数が倍に急増するなどし、競争が激化している。経費などを差し引いた所得が1千万円以上だった弁護士は5年前から15%も減少。一方、70万円以下の弁護士が全体の約20%いることが国税庁の統計で分かった。(前川茂之)

 2012年の国税庁統計によると、所得が70万円以下だった弁護士は、申告した2万8116人のうち5508人。割合は08年の11%から約8ポイント増加した。
 所得が1億円を超える弁護士もいるが、全体的に見れば、1千万円を超える高収入者の割合は年々減る傾向にあり、08年の47%から32%まで減少。一方で、200万~600万円の層は23%と増加傾向にある。

 「収入減」の要因として日弁連が挙げるのが、司法制度改革による法曹人口の急増と、顧問料収入の減少だ。
 政府は02年、千人程度だった司法試験の年間合格者を10年ごろまでに3千人に増やす計画を閣議決定。「国民の多様な法的ニーズに応える」目的だったが、過払い金返還訴訟を除くと訴訟件数は全国的に減少しており、弁護士は「供給過多」の状況に陥っている。

 日弁連によると、今年4月の会員数は3万3682人。00年の1万7130人と比べると、倍近くに増えた。飽和状態は兵庫県弁護士会でも同じで、今年の会員数は763人と00年から倍以上に膨らんでいる。
 さらに、景気の影響で顧問料をカットする企業が増えたことも追い打ちを掛ける。日弁連によると、00年調査では顧問先がある弁護士は80・6%だったが、10年調査では63・5%に減少。有料法律相談の件数も半減した。

 こうした事態を受け、政府は今年6月、司法試験の「年間合格者3千人」計画を撤回することを決定。県弁護士会でも合格者を「千人程度」に抑制すべきと決議するとともに「法曹養成制度検討プロジェクトチーム」を結成し、制度設計の議論を重ねている。

たった3年で平均年収が1/3に急落したという弁護士のワープア化もこれまた何度か取り上げて来たところですが、そればかりか歯科医公認会計士などにおいても「国が資格職の大規模増員を打ち出すと即座に相場が崩壊」という現象が相次いでいて、長年一定の市場規模でやってきた業界のバランスを破綻させるとどういうことになるかと言うことを如実に示しているように見えます。
法科大学院や歯学部もさすがに増やしすぎが社会問題化してきていて、国試の合格者数を絞るだとか合格率の低すぎる学校は閉鎖させるだとか様々な「改善策」が言われていますけれども、国家資格さえ取ってしまえば将来安泰だと信じて入学してきた学生達にとっては今さら余ったから出口を絞りますでは泣くに泣けない悲劇ですよね。
こういう悲劇が各方面で何度も繰り返されているのを見れば、誰しも気になるのが次の国のターゲットはどこかと言うことなんですが、真っ先に思い浮かぶのが最近久しぶりの新設を「特例」で認めるという話がほぼ公的に認められた形の医学部で、先行するこうした他業界の惨状など知らぬように一部方面から相変わらず「とにかく医学部を増やせ」の声が続いています。

おもしろいのは崩壊で先行した歯学部でも見られる現象ですが、定員割れを起こして学生のレベルも危険水準まで低下していると言われる状況にあるのに当の大学の偉い先生達は「(在学中に)学生がどれだけ伸びるかが大事だ」だの「今の定員割れの状況が長く続けば、10年もたたずに若い歯科医人口が不足する」だのと、ちょっとその現状認識はどうなのかと思うようなことをおっしゃっていることです。
大学の教官にとっては学生は多ければ多いほど収入も増えるし、将来的に大学から派遣するための手駒も増える、そして何より歯科医の相場が崩壊しようが自分達の給料はもはや下がることはないと確定出来ているのだから何も悪いことはないと言うことなのでしょうが、そう考えると医師集めに躍起になっている市中病院や地方自治体病院の偉い方々にとっても安く使える医者があぶれるほど増えた方がお得であるのは明白です。
社会的に見て医療にこれ以上金はかけられないと言う結論はすでに確固としたものとなっている、すなわち医療業界に求められるのはいかにバランスを取りながら医療給付を削減していくかという工夫であるわけで、そのための手っ取り早い手段としてマンパワーの限界による物理的制約というものを一つの指針として利用するのは十分にありだと思いますけれども、それを取っ払ってしまうとどうなるのかです。
医者が一番大勢集まっている大学病院では医者の給料など一山幾らの超安値で、やっている仕事と言えば伝票を運んだり患者さんの車いすを押したりととても専門職とは言えないようなことばかりですけれども、そんな状況を全国に押し広げていくよりは専門職は専門職として果たすべき業務に特化して、雑多な仕事は素直に非専門職にお願いした方が国全体の雇用促進のためにもよほど有益だと思いますけれどもね。

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コメント

理系はまだしも正直一般文系大卒というスキルがどういう職業に適合するのかよくわからないです。
入学したことに意味があるような大学ででもなければ資格につながる専門学校の方がいいような。
いまさらモラトリアムで四年間遊ぶことに意義があるってものでもないでしょう。

投稿: ぽん太 | 2013年12月16日 (月) 09時09分

大学いっても馬○が治らなかった連中にろくな就職ないのは当たり前w

投稿: aaa | 2013年12月16日 (月) 10時06分

実質無試験で得られる資格に価値が乏しいのは考えてみると当たり前のことで、博士号どころか学士も足の裏についた飯粒化しているということでしょうね。
難しいのは入学したころにはいい資格であっても卒業後もいい資格である保障がないことで、受験生もある程度社会勉強をして先を予測しなければならないという大変な時代です。

投稿: 管理人nobu | 2013年12月16日 (月) 12時01分

医師資格があればバカでもチョンでも大金持ちになれるのはおかしい

まともな市場原理を導入して医療を自由化し、かわいそうな中小企業や労働者の保険料搾取額を低減するべき。

ドイツの医師=開業も給料も規制されてて600万円  日本の医師=開業医4000万円(+医師国保・医師優遇税制など特権多数)

投稿: TPP推進 | 2013年12月16日 (月) 12時55分

ドイツの医師の倍働かされて倍の給料もらうことが非難の対象になることが驚き

投稿: | 2013年12月16日 (月) 13時19分

ふうん
人数を倍にして仕事量も半分、給料も半分にするより
少人数で2人分ずつ働かされて2倍ずつ給料貰う方がよいってことですね
まあどう働きたいかは好き好きだとは思う

投稿: | 2013年12月16日 (月) 13時48分

皆保険の保険料って搾取なんですか?

医療が自由化されたらアメリカ型の、保険会社が支払う額に応じて医療の内容を決める制度にかわるだけなのでは?

そうなると高額な保険に入れるお金持ちは最高の医療を受けられるし、保険に入るお金がない人は癌になったら借金して破産するかそのまま死ぬしかないわけで。

そういう医療を日本国民の大多数が望んでるかどうかは微妙なところでしょう。

スキルがある医師は年収何千万、何億と稼ぐようになるしそうでない医師は年収600万くらいになるのかもしれませんが。アメリカで胸腔鏡手術の権威なんかは自家用ジェット機を持ってるそうですよ。


投稿: 一般外科 | 2013年12月16日 (月) 13時50分

×仕事半分給料半分
○仕事なし給料なし

弁護士はもうそうなってるねw
仕事が楽になってよかったww

投稿: | 2013年12月16日 (月) 15時40分

だったら医療職はブラックだの騒がなければいいと思うんだが
もうさあ、単純に不思議なのよ

投稿: | 2013年12月16日 (月) 16時03分

ブラック企業がなくならないのはブラック企業に勤めちゃう奴がいるから。

もちろん一般労働者は仕方ありませんが(本当は仕方なくないけど)医師のクセにブラック病院に勤めちゃうような奴は自己責任個人の性癖通り越して労働ダンピングしやがる全労働者の敵だからして縛り首に<しつこい

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年12月16日 (月) 16時44分

高学歴、国家資格の専門職、教育トレーニング期間が長い→高収入。
それは資本主義、市場原理のメカニズム。
資本主義国に暮らす医師は日本も含めて、そのメカニズムどおりの社会的地位と収入ですが、なにか?

投稿: physician | 2013年12月16日 (月) 16時51分

医者が増えれば給料は安くなるだろうが、「それは先生の仕事です」が増えるだけで仕事は減らない悪寒が

投稿: 元僻地勤務医 | 2013年12月16日 (月) 19時53分

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