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2013年12月 6日 (金)

レーシック手術のトラブル、にわかに注目を集める

医療事故というものは一定程度は発生し得るものですけれども、先日は非常にシンプルな形での医療ミスと言ってよさそうなケースが報道されていました。

体内にタオル置き忘れ、翌日に再開腹手術 相模原の病院(2013年12月3日朝日新聞)

【山元一郎】相模原市中央区の相模原中央病院(中野太郎院長)で5月、同区の会社員女性(39)の開腹手術をした際、執刀医が体内にタオル(縦44センチ、横29センチ)を置き忘れるミスがあり、再手術をしていたことが分かった。女性は、業務上過失傷害の疑いで執刀医に対する告訴状を神奈川県警相模原署に出した

 取材に対し、同院は「コメントはございません」と回答している。

しかし今時カウントもレントゲン確認もしないで閉じてしまうということがあるのか?とも思ってしまうのですけれども、事故はいつか必ず起こるということは大前提であるとして、そうであるが故にコスト的に安く簡単に対策が取れるものは取らざるを得ない時代ではあるということですよね。
ではそうした事故対策のコストパフォーマンスとはどうなのか?とか誰がコストを負担すべきなのか?と言ったことも気になってくるところで、例えば先日輸血に絡んで問題になったHIVに関しても針刺し事故は必ず起こるという観点に立てば肝炎チェックなどと同様HIVチェックを行うことが何故許されないのか?と言う話になりますよね。
一般臨床の場においては治療自体に要するコストに対して事故対策のコストが極端に高くなっては問題で、例えば検診で胃カメラをするのに全例感染症チェックをフルセットでやるなんてことは明らかにやり過ぎですけれども、これが美容整形を始め保険外診療で行われる領域になると顧客の顔色と懐具合もうかがいながら折り合いをどこに付けていくかという問題になってきます。
その意味で以前にも取り上げた歯科インプラントの訴訟事故などは非常に教訓に富むものだと思うのですが、先日これまた保険外の治療に関して意外なほど問題が多いらしいという記事が出ていましたので紹介してみましょう。

レーシック手術で遠視、失明も…健康被害80件(2013年12月5日読売新聞)

 レーザー照射で視力を矯正する「レーシック手術」について、消費者庁と国民生活センターは4日、健康被害の情報が2009年度以降、計80件寄せられたと発表した。

 直接的な因果関係は不明だが、中には失明した例も1件あり、同庁は、手術を受ける時は十分にリスクを認識するよう注意を呼びかけた

 被害は、レーザーで角膜を削りすぎて遠視になったという例が最も多く約3割を占めた。そのほかの症状は、乱視やまぶしさなど。「手術後2か月間、激しい痛みで寝たきりになった」「ドライアイで1時間に数回は目薬が必要になった」という訴えもあった。

 同庁が先月、手術経験者600人にアンケート調査したところ、視力に問題があった人が23%いた。光がにじんで見えたり、ドライアイが続いたりするなど視力以外の問題があった人は43%だった。

消費者庁が注意、レーシック手術のリスクとは?(2013年12月5日THE NEW CLASSIC)

消費者庁と国民生活センターは、レーザー照射によって視力を矯正する「レーシック手術」について、健康被害の情報が2009年度以降で計80件寄せられたことを発表した。これまでネット上などでは盛んに述べられていたレーシック手術のリスクについて、国が十分にリスクを認識するように注意を喚起した形となり、痛みが少なく十数分程度での手軽な手術を希望する人が増加している現状で、注目を集めている。

視力以外の問題が4割以上

同庁は、こうした健康被害の情報を受けて先月には手術を受けた患者にアンケートを実施。その結果、回答者の約半数が術後に何らかの不満や不調を抱えており、同手術のリスクが十分に周知されていないことが明らかになった。アンケートによると、術後に視力に関する問題が生じた人は23%で、ドライアイなど視力以外の問題が生じた人は43%にのぼった。

具体的には、レーザーによって角膜を削りすぎたことから遠視になった被害が約3割を占めた。また、激しい痛みによって生活に支障をきたすケースや乱視にちかい症状や、ドライアイで1時間に何度も目薬を使用する必要がとなった例などもあった。直接的な因果関係は不明だとするものの、失明した例もあり、今後の調査が求められている。

十分な説明がない例も

今回の調査結果を踏まえて、消費者庁は安易に手術を受けることについて注意を呼びかけるとともに、医療機関から十分な説明を受けることでリスクを把握する必要があるという見解を示した。また同庁は、手術をおこなう前にリスクを十分に説明しない例があったことなどを述べ、インターネット上には景品表示法などに抵触する広告も見られると述べた。

同手術については、有名人を使用した広告が大々的に見られる一方で、ネットなどではそのリスクを不安視する声も寄せられていた。多くの人が関心を持つ手術であるだけに、適切な広告とリスクの説明が求められることになるが、現状の健康被害の実態を把握するための調査が今後も求められることになるだろう。

 素人考え的には以前に眼科の先生に「ところで最近流行りのレーシックなんてどうですかね?」と訊ねてみた際の「眼科医が今も眼鏡をかけてるのを見たら判るでしょ?」と言う答えがFAかと思うのですが、視力に関しては昔から眼鏡という安全確実な矯正方法が確立されていて、とにかくノートラブルで行きたいならこれに限るというのが鉄板ではあるようです。
コンタクトなどもひと頃ソフトコンタクトレンズの不潔な取り扱いによるトラブルが社会問題化して、ディスポのレンズをきちんと毎日交換しても相応に高い眼疾患のリスクがあると言う説もあるようですから長期間コンタクトを常用すること自体が問題だとする先生もいると聞きますが、それならいっそレーシックに…と手術に走る人も最近目立って増えてきていますよね。
基本的にデリケートな角膜を削ってしまうというかなり乱暴な(失礼)処置なのですから、ちょっとしたことで何かしらの問題が起こるだろうことは想像に難くないですし、それ以上に大変なのはいざ失敗したという時に適切なリカバリーの方法がないケースもままありそうだと言うことです。

微妙なのが記事を見ていただきますとお判りいただける通り、実は希望通りの視力が出ないといったトラブルは少数派で、もちろん手術を受けにくるくらいですから患者もこの部分が一番気になるところだと思うのですが、そちらだけで見れば「かなりいい成績」と言っても嘘ではないと言うことですよね。
ただ他のトラブルが少なからず出ているという点については眼科医の側の説明不足なのか、それとも気軽に手術を受けに来る人々が視力以外にはろくに注意を払っていないのか何とも言えませんけれども、もちろん以前にも出ていたように手技的な問題で不要なトラブルを発生させるようなことは論外としても、商道徳上もきちんとトラブルについても説明し納得いただいた上で診療契約を結ぶ必要があるのは当然です。
こうした自由診療の場合はこうしたトラブルの解決コストも込みで料金設定をされているでしょうし、トラブルに対しても金銭的にはそれなりの対処はなされているのかも知れませんけれども、何しろ視力の問題は一生ついて回るだけに患者の側もリスクをきちんと把握する努力は必要で、そもそも本当にリスクを冒してまで手術が必要なのか?というところから振り返ってみる必要がありそうですよね。
それにしても何故今頃になってこんな話が取り上げられるようになったのかと、むしろそちらの方におもしろいネタが転がっていそうな話ではあるのですが…

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コメント

最近になってようやく情報を集め始めたってことなんですかね?>レーシック
仮に副作用には何らかの補償があるのだったら大げさにクレームを入れている可能性もあるかも知れないですが。
とはいえやっぱりこういう一生ものの手術を受けるときは相手を選びたいですね。

投稿: ぽん太 | 2013年12月 6日 (金) 08時59分

>それにしても何故今頃になってこんな話が取り上げられるようになったのかと、

ヒント:広告料w

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年12月 6日 (金) 09時31分

真摯に屈折矯正に取り組んでおられる先生方には厳しい報道ですね。かなりNに偏りがある気はします。銀座眼科が尾を引いているのでしょう。レーシックをしたら、土星の環から掌の皺までくっきりはっきり見えると思いこまれる人もいらっしゃいますが、自分の眼のポテンシャル以上は見えません。今後受けたい人には、複数回(できれば3回以上)検査を受けてからの施術をお勧めします。特にコンタクトレンズ装用者は、1回だけの検査では屈折値がズレる可能性が上がります。体にメスを入れる以上、リスクはゼロにはならないことをお忘れなく。

投稿: 蛾蜻蛉 | 2013年12月 6日 (金) 12時33分

全くおっしゃるとおりで、安易に矯正手術を受けて気に入らなければクレームと考えていては取り返しがつかなくなると思いますね。
かつての「お産は病気ではない」キャンペーンの二の舞にならないよう、実は眼科医自身が危機感をもってリスクの広報に努めなければならないはずですが…

投稿: 管理人nobu | 2013年12月 6日 (金) 13時15分

ご相談内容 = 7月5日に品川クリニックにてレーシック手術を受けました。ドライアイの症状がひどく本日相談にいったのですが今のところソフトサンテイア.ヒアルロ酸ナトリウムを点眼し様子を見てくださいとの事でした。症状がひどく仕事や日常生活にもきたし大変つらいです。一度診察してもらう事お願いできないでしょうか?

@某クリニックで手術を受けた患者さんで、術後の不具合(短期的なものから長期的なものまで)に対し、満足な対応をしてもらえず当院を受診なさる患者さんは数えきれないくらい大勢いらっしゃります。薄利多売で手術を受けたら「ハイ!こっちのもん」といった態度で親身になって相談に乗ってくれないことはままあるようですし、それに対応するだけの知識と技術と情熱を持ち合わせていないバイトの先生が術後診察をしていることに起因するものと思われます。更に、最近は薄利多売というよりも、経営困難もあって、数々のオプションをつけて手術料金はむしろ高くなっているようです。その上に、このような対応では患者さんはたまったもんではありませんね.レーシック難民が生まれる所以です。
http://d.hatena.ne.jp/yoshino8dr/20130803

投稿: | 2013年12月 6日 (金) 13時48分

子宮頸癌ワクチンとかもそうだが、やれ新しい治療が出てくると思慮もなく闇雲に飛びつくのが日本人。
医者も患者も全部含めてね。安直すぎるでしょ。
視力が悪ければ眼鏡かコンタクトをつければ良いだけのこと。
病気でもないのにわざわざ大金払って手術というハイリスクな選択をする理由が全く理解できない。
子宮頸癌の予防も面倒がらずに定期検診を受ければいいだけのこと。
新しい手術や新しい薬ほど未知数でリスクが高い。そんな至極当然の常識がなぜわからないのだろうか?
副作用が出てもほとんど何の保障もないのに。

投稿: 逃散前科者 | 2013年12月 6日 (金) 14時22分

私はレーシックのクリニックに勤めたことはおろか、機械に触ったこともない(至近距離で見たことはあります)のですが、レーシック自体は日本でも10年以上、欧米ではそれ+約10年行われており、機器のアップデートはあれど手技はほぼ完成しており、安全性にはほぼ問題はなかろうと思います。眼鏡かコンタクトレンズかレーシックかは価値観の問題で、それぞれ一長一短がありますが、金銭面を考えると10年単位ならトントンかもしれません。前にも書かせていただきましたが、どの方法をとっても「遠くも近くもバラ色に見える」なんてことはありません。

投稿: 蛾蜻蛉 | 2013年12月 6日 (金) 22時20分

2013年12月3日、人民日報によれば、中国での資格を持たない三流の韓国人整形医が、
「手術の練習」を目的に中国にわたり、執刀していたことが分かった。

遼寧省瀋陽市に住む22歳のある女子大生は、8000元(約13万6000円)を支払って整形術を受けたが、
口の回りが醜く変形していまい、友人にも家族にも見せられないありさまになってしまった。
また、ある女性は10万元(約170万円)もの費用をかけて整形したが、顔の左右のバランスが悪くなり、
賠償を求めて飛び降り自殺を図る騒動も起きている。

28歳のある女性は「韓国式二重まぶた」の広告にひかれ、3万元(約50万円)支払って手術を受けたが、
術後に抜糸すると、まばたきができなくなっていた。まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)が切断されてしまったためだった。
後日、女性は病院に苦情に訪れたが、すでにもぬけの殻だったという。

遼寧省美容美髪協会の程利国(チョン・リーグゥオ)会長は、
広告では“超一流”というふれこみの韓国人美容整形医が、
実は二流、三流の医師だったというケースが多発していると指摘。

「一流の医師は韓国でも少なく、そうした医師は忙しくて中国にやってくる暇などない」と話す。
中国にやって来るのは、多くが整形医の職に就いたばかりの若い医師で、
経験を得るための「練習」が目的だという。同会長は「これらの医師は入れ替わりが激しく、
仲介者も固定されていないので、手術で問題が起きても責任を追及できないケースが多い」と注意を促している。(翻訳・編集/岡田)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131204-00000041-rcdc-cn

投稿: | 2013年12月 9日 (月) 07時14分

消費者庁が昨年12月、「レーシック手術を受けた人の4割以上に不具合があった」
とするアンケート結果を発表したのを受け、大学病院などの眼科医らでつくる
「安心LASIKネットワーク」は3日、東京都内で記者会見を開き、
「眼科医が受けるほど、安全性については確立している」と強調。消費者庁の調査を、
「科学的裏付けの評価を得られないデータだ」と批判した。
レーシック手術の安全性を訴える坪田氏  自身の家族や知人もレーシック手術を受けているという
ネットワーク代表の坪田一男慶大医学部教授は、「ジャンボジェットも月には行けないし、
台風のときは飛べない。ある安全(な条件)の中で、初めて技術は生かされる」とし、
レーシック手術は、最新の機器と熟練した専門医の技術、しっかりした適応の判断の下で行われることが大切だと説明。
さらに、論文データなどを引用しながら、「選択的手術として全世界で最も多く行われており、
安全で満足度も高い。NASA(米航空宇宙局)も宇宙飛行士に認めているほどだ」と話した。
一方で、集団感染が起きた銀座眼科事件のように、一部施設で治療の質に問題があることも指摘。
手術前の説明と検査がしっかり行われ、それを患者自身もきちんと理解する必要性を強調し、
「万が一、問題が起きたときでも、最後まで面倒を見てくれる施設を選ぶことが重要だ」と述べた。

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/41974.html

投稿: | 2014年2月 4日 (火) 16時36分

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