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2013年12月11日 (水)

モンスター対策が進んできているのはいいのですが

いわゆる「馬鹿発見器」騒動には色々な側面がありますけれども、単純に世の中の常識と自分の常識とがどれくらい食い違っているかを知る上でも有用であるということでしょうか、先日はこんな記事が出ていました。

マック店で「コーラ1個、3分待たされた」 これに超激怒、従業員の名前晒して物議(2013年11月22日J-CASTニュース)

マクドナルドでコーラ1個を注文したら3分待たされたとして激怒し、クレーム対応した従業員の実名をツイッターで晒すなどしたユーザーが、アカウント削除に追い込まれてしまった。
ネット上で「従業員の名前を晒すのはやりすぎ」「ただのクレーマーでは」などと批判が上がったためだ。

文書での詫び状にも許さず、怒りまくる

    「マクドナルド●●店(原文は実名)がナメた対応してくれるので一言物申し中」

騒ぎの発端は、あるユーザーが2013年2月27日に投稿したこんなツイートだった。ツイートには、クレーム対応に当たったと思われる従業員の名刺を撮影した写真が添付されていて、名前が丸分かりだ。
ユーザーは、コーラ1個を注文したら3分もかかった、ということが気に入らなかったらしい。その怒りはかなりのもので、27日夜にも、

    「マクドナルド●●店の店長・××(実名)から電話かかってきたけど、こいつアホ過ぎて笑えないんだけど。所詮外食産業なんてこんなもんか」

と、電話で謝罪があったにもかかわらず全く腹の虫がおさまっていないことをツイートした。
3月3日には、この店舗から文書で詫び状が届いたとツイートしたが、文章が「晩秋の候」で始まっていることから、謝罪文はコピー&ペーストしたものだとして、さらに怒ってしまったようだ。この文書も全文画像で添付し、自分の名前はしっかり黒塗りにしつつ、また店名と店長の実名を晒し上げた

「いい大人がたったの3分待てないのか」

投稿された当時は話題になっていなかったが、13年11月19日になって、2ちゃんねるに「バカッター『なんでコーラ出すのに3分もかかんだよ』」などというタイトルのスレッドが複数立てられ、ツイートが引用されたことで、多くの人の目に触れることになった。
火がくすぶっていたところで、情報サイトが書いたことで大きな騒ぎに。ユーザーは11月22日までにアカウントを削除してしまった。
このツイートに、「あいかわらず、馬鹿な客がおおいなあ」「いい大人がたったの3分待てないのか」「コーラ三分で電話までさせて晒しあげるかよ?」など批判の声が上がった
一方、「一切客が居ない状態で明らかにコーラ入れる作業しかしてないのに3分掛かったら何事だとは思う」「ほんとにコーラしか頼んでなくて、明らかにすぐ出せるような状況で、3分も待たされたらまぁ腹立つよね」など、実名を晒すなどの行動はともかく、「3分待った」ことに対しては同情的な声も上がっている

顧客対応に問題があると感じた時にとりあえず苦情を言うのが欧米人、黙って立ち去り二度と来ないのが日本人なんてことを言われますけれども、もちろん一般的に何かしらサービスに不満があればそれに対して一言言う権利を顧客が持っている点には異論がないとして、それをどこまで引きずるかと言う点でクレーマーかどうかが別れるのだと思います。
本件の場合記事だけを読んでいると微妙だなと感じたのが、顧客の側からどれだけ店舗に接触していたのかが判らないという点で、仮につぶやきを見て顧客の心情を察した店舗側から何度もアクセスしてきたと言った状況ですと(「そこまで怒るようなことか?」と言う疑問は別として)モンスターとまで言われるのは酷な気もしますよね。
ただこうしてネットにおいて一連の経緯を個人名付きで公開してしまうという行為自体が非常識であるという批判は十分に成立する余地がありそうですし、そもそも店舗側の問題視するかどうか微妙な対応に満足出来ないで憤慨するならこれまた微妙な自分の行動に対して世間の批判を浴びるのも仕方がないのかなと言う気はします。

最近ではモンスターだとかクレーマーだとか言った顧客に対しては一般顧客とは区別して対処しなければならないと言うことがようやく知られるようになってきたのでしょう、昔ながらの「お客様は神様」式の型どおりの対応を繰り返すばかりではかえって問題をこじらせる、あるいは明らかに不法な顧客をつけあがらせ成功体験として味をしめさせるとして別枠で対応するケースも増えてきたようです。
その一つの要因としてこうしてSNS等を通じて世論の在処と言うものが店舗側にも判るようになってきた、そしてクレーマーに対しては適切に対処しなければむしろかえって世の信を失うし、正しい対応を取れば評価が高まるということがリアルタイムで判るようになってきたということが大きいんじゃないかと思います。
そんな中で先日とある企業がクレーマー対応の一部始終を公表して大いに話題になっているのですが、普通の顧客にこんなことを言えばそれこそ炎上しかねないところとは言え、これがクレーマーだと言うことが理解されれば拍手喝采もされるというなかなかに興味深いケースですよね。

モンスタークレーマーに効く対応 「出ていけ!お前は客じゃない」と逆謝罪させる(2013年12月7日J-CASTニュース)

  ささいなミスを大げさに取り上げて文句をつけ、過度な「おわび」を要求するのが「モンスタークレーマー」だ。しつこく絡んできたり、時には脅し文句を吐いて威嚇してきたりと、たちが悪いケースもある。
   クレーマーの対処法は多くの専門家が説明しているが、インターネット上にこんな書き込みがあった。堪忍袋の緒が切れた上役が激怒し、「逆謝罪」させたというのだ。

何もしないと「社員を守れない会社」のレッテル

   3年ほど前の書き込みが、今になって話題を呼んでいる。日本と中国で観光業のコンサルティングを手掛ける「レジャーサービス研究所」のブログに2010年3月24日掲載された、あるクレーマーの事例。「クレームを通り越して『イチャモン』をつけている」ようで、商品やサービスだけでなくスタッフに対しても文句をやめなかったという。
   そこに登場したのが「欧州系の支配人」だ。クレーマーに対して「出ていけ!お前は客じゃない」と激怒したうえ「スタッフはお前の奴隷じゃない。謝れ」と迫り、クレーマーに謝罪させたそうだ。
   支配人によると「一定のライン」まではスタッフに全力で対応させるが、それを越えると心に深い傷を負い仕事に恐怖を感じるため、「スタッフを守るのが義務」と考え行動に出たと明かした。
   ネット掲示板の感想を見ると、「これってクレーマー撃退に有効な一手なんじゃね?」とみる人がいる。理不尽な要求を「これでもか」と続け、脅してくる輩はもはや客ではないと追い出しにかかってもやむを得ないというのだ。ただ、「下手に扱ったらツイッターとかで一方的に叩いて拡散炎上とかあるしな」「(クレーマーは)都合よく解釈して店の評判落とそうとデマばらまいたりするから客を客じゃないって言うのもまた店にとっては茨の道だ」との指摘も出た。
   元大阪府警刑事のクレーム対応コンサルタント、援川聡氏はJ-CASTニュースの取材に、「毅然とした意思を示した点ではよかったと思います。ただしその後、相手がネットで『大声で恫喝された』などと書き込むリスクが生じるので、方法としてはやや難ありかもしれません」と指摘する。
   コーチングやマナー研修を行う「ラプラス」の長尾円氏は、講座の中でクレーム対応の事例を扱うことがあるという。取材に対して「個人的には、この支配人の対応は正しいと思いました」と話した。
   相手が「一線を越えた」のにリーダーが何の手も下さないのであれば、メンバーは理不尽な攻撃にさらされ続ける。結果「社員を守れない会社」のレッテルを張られるというのだ。

初期対応では相手の話をきちんと聞く

   では「一線」はどこで見分けるのか。クレーマー全員が「モンスター」とは限らない。援川氏は著書「困ったクレーマーを5分で黙らせる技術」の中で、初期対応では相手の主張をきちんと聞き、必要であれば誠意をもってわびるのが大切だと説く。「となりのクレーマー」などの著書がある苦情・クレーム対応アドバイザーの関根眞一氏は、雑誌「戦略経営者」2012年9月号のインタビューで「クレームがこじれるのは、大抵の場合、初期対応の不満」と述べている。
   長尾氏も、最初に相手の言い分にじっくり耳を傾けると話す。「クレーマーは(商品やサービスへの)期待がとても大きく、それにこたえられないと落胆し、さらには怒りに変わります。当人の立場になって話を聞くうちに『この人は我々に期待してくれている、今後も顧客でいてくれる』と分かれば、きちんと対処するのは当然ですし、相手も冷静になって最後は理解してくれるものです」と説明する。
   一方、「文句を言ったもの勝ち」とばかりに過剰な要求を突き付けてくる人は、スタッフばかりかほかの客にとっても迷惑な存在だ。「言い分を聞いても筋が通っていない、ただ感情に任せて理不尽な物言いばかりする人には、こたえる必要のない求めに対してきっぱりとお断りします」。要は、話を聞くなかで「正当な主張をしている人」か「モンスタークレーマー」かの区別がつくようだ。
   「モンスター」に対しては譲歩の必要なし、という点で専門家の意見は一致する。脅しに震え上がって、その場しのぎで要求にこたえればますますつけあがる余地を与えてしまうからだ。クレームをつけられたら、会話のやり取りを記録する、複数人数で交渉にあたる、安易な約束をしないという基本的なテクニックはあるが、いくら話をしても相手が不当な要求を引っ込めないのなら「対応を顧客満足からリスクマネジメントにチェンジする」(援川氏)、すなわち弁護士や警察と連携して持久戦に持ち込む手段を視野に入れなければならないだろう。この段階では、解決を急ぐ必要などないそうだ。

アメリカなどではクレーム対応を非常に割り切っていて、例えば購入した品に問題があると連絡があった段階で「本当に欠陥があるのか」「どこに問題があったか」等々余計な調査など抜きで無条件に交換してもらえる、そしてそれで引き下がればいいですがさらにそれ以上の過度の対応を求める場合には「一銭を越えた」と判断され専任のクレーム担当者に引き継がれ「問題顧客」として扱われるということをやっているようです。
一見すると「何でもかんでもクレームをつけて新品に交換してもらいたがる顧客が増えるんじゃ?」などと言う気がしてコストがかかりそうにも思えるのですが、実際にはこの方が安上がりかつ素人の多い現場スタッフの労力も省けるという考えもあるようで、当然ながらそうした交換コストに関しても商品の価格に含まれているということなのでしょう。
日本では基本的に顧客に対しては性善説で対処するのが普通で、「きちんと誠意を持って対応すれば必ずご理解いただける」「苦情を言ってくれるお客様はありがたいと思いなさい」などと言った社員教育がごく一般的に行われてきたと思いますが、問題なのはそうした対応が当たり前であるということを認識した上で逆手に取るタイプの方々が一定数いらっしゃると言うことです。
人間誰しも環境に適合して行動パターンを形成していくものですから、こうしたモンスター(またはその予備軍)もかつてちょっと言い過ぎか?と思いつつも過度なクレームを付けたことがあった、すると普通では得られないはずの利益が得られたという「成功体験」があるからこそクレーマー化していったのだとすれば、どこかの段階で適切なクレーマー対応に切り替えられなかった店舗・企業側にも育ての親としての責任があるとも言えますよね。

怪しいものは何でも問題顧客扱いというのも顧客側からすると腹立たしいのは当然で、先日はファーストフード店で店員らと店外での付き合いを行っていた顧客が陰で店員からストーカー呼ばわりされていたと裁判所に訴え、結局高裁で「店員に適切な指導をしなかった」と会社側に対して見舞金的な少額賠償を命じる判決が出た(恐らく訴訟経費からすると赤字でしょうが)と言う件が報道されていました。
この事件なども顧客と店員という言わば身分格差を笠に着て店外でまでも付き合いを強要していたともなればこれは問題顧客と言えそうですが、店員と顧客との間に個人的関係が出来てしまうことも決して社会的に見れば少ないことでもないだけに、状況が判らない限りどこからが悪いのかということは一概には言えないですよね。
ただ店員の側は嫌がっていて不当な要求だと思っていた、それなのに立場上はっきりと拒否することが出来ずつい店外までも付き合いを強いられていたのだとすれば、そうした顧客としての範疇を逸脱した行動に対して組織としてきちんと対応をしなかった会社側にはスタッフを守る義務を果たしていなかったとは言えるかも知れません。
結局のところ最大公約数的に言えるクレーマー対策としては個人対個人の勝負に持ち込まれては大変なのであくまでも組織としてきちんと対応すること、そして理不尽な要求を突きつける顧客を守ってスタッフを切り捨てるようなことがないようすることが必要になりそうですが、むしろ今の時代の雇用関係では顧客トラブルを起こしたスタッフをどんどん切り捨てて使い潰しかねない気がするのは自分だけでしょうか?

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コメント

> そこに登場したのが「欧州系の支配人」だ。クレーマーに対して「出ていけ!お前は客じゃない」と激怒したうえ「スタッフはお前の奴隷じゃない。謝れ」と迫り、クレーマーに謝罪させたそうだ。

こんなヒーローいたら一生底なしの忠誠心発揮しちゃいそうだ…

でも考えたらこれ従業員懐柔のための仕込みにも使えるやり方ですよね?(この話がそうだってわけじゃないけど)
ブラック企業がこんなヤラセで社員縛り付けてたら嫌だなあ。

投稿: ぽん太 | 2013年12月11日 (水) 09時01分

全国各地で繰り返し強盗に狙われても「対策にかける金がもったいない」と放置するチェーン店もあると言うのになんたる男気あふれる支配人w

投稿: aaa | 2013年12月11日 (水) 10時54分

>ブラック企業がこんなヤラセで社員縛り付けてたら嫌だなあ。

正直その発想はなかったですが、確かにやってみればお金をかけずに有効な手段ではありそうですよね。

投稿: 管理人nobu | 2013年12月11日 (水) 11時14分

クレームを言う人をすべてクレーマーやモンスター扱いするのはどうかと。
クレームを言うにはそれなりの理由がある。
ただ執拗とか恫喝とか明らかに悪質なやりすぎに対してはすみやかに警察対応にすべきでしょう。
正当なクレーム言った人に対して大声で恫喝して追い出すというのもやりすぎだし、どちらがモンスターかわからない。当事者が感情的になってリアクションをしたらその時点で負けだと思います。

投稿: 逃散前科者 | 2013年12月11日 (水) 16時31分

>当事者が感情的になってリアクションをしたらその時点で負けだと思います。

 相手に感情的に見えるかもしれないリアクションでも、必要なところで戦術的に使う、でよろしいかと。
 感情的にみられるかもしれない、をアレルギー的に避けるから、対応策の手ごまが限定されて、付け入られるのでしょうに。

投稿: 感情的な医者 | 2013年12月11日 (水) 16時52分

要するに相手をよくみて個別に対応すべしでよろしいのでは
各人自分と相性のいい相手を選んでおいたほうがお互い気分良く取引もできるでしょうな

投稿: 元僻地勤務医 | 2013年12月11日 (水) 17時02分

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