« 医師の労働環境改善とは | トップページ | 「報道しない自由」の行使に熱心なマスコミ »

2013年12月19日 (木)

人が増えるほど仕事も増えていくのが世の常です

本日まずはこちら、医師が順調に増えているというニュースから紹介してみましょう。

医師数、初の30万人超 医学部定員増、偏在なお(2013年12月17日47ニュース)

 厚生労働省は17日、全国の医師数が2012年末時点で30万3268人となり、1954年の調査開始以来、初めて30万人を超えたと発表した。女性医師が19・7%と5人に1人を占め、過去最高を更新。介護施設などを除き医療機関に従事する医師は28万8850人で、人口10万人当たり226・5人だった。

 厚労省は「大学医学部の定員増などで医師数は今後も増加が見込まれるが、地域偏在の傾向は変わっていない」と分析。医師の偏在解消に向けた施策を進める方針だ。

昨年末の医師数、初の30万人突破- 厚労省調査、病院などの従事者は京都が充実(2013年12月17日CBニュース)

 厚生労働省は17日、昨年末時点の医師数が30万3268人で、調査を始めた1948年 以降、初めて30万人を超えたと発表した。医師法が施行された同年から、医師に は住所などを国に届け出る義務が課せられている。届け出数は調査ごとに増加し ており、昨年は、2年前の前回調査と比べ8219人増えた。このうち、病院や診療 所などの医療施設で働く医師は28万8850人(前回比8419人増)。人口10万人当た りの医師数は226.5人(7.5人増)で、都道府県別では、京都、徳島、東京の順で 多く、埼玉が最も少なかった。【佐藤貴彦】

 届け出た医師の平均年齢は、49.4歳(0.3歳増)。年齢層別の構成比率は、 「40歳代」が23.3%で最も多く、以下は「50歳代」が22.7%、「30歳代」が 22.1%、「60歳代」が13.2%、「70歳以上」が10.0%、「29歳以下」が8.7%の 順。「70歳以上」の届け出医師数は3万335人で、前回調査と比べ300人減った。 性別は、男性が80.3%、女性が19.7%で、女性の比率は0.8ポイント上昇した。

 医療施設で働く医師数が、人口10万人当たりで最も多かった都道府県は、京都 の296.7人。次は、前回3番目だった徳島(296.3人)で、東京(295.7人)と順位 が入れ替わった。以下は、高知(284.0人)、福岡(283.0人)、鳥取(279.6 人)、岡山(277.1人)、長崎(275.8人)などと続いた。一方、少なかったの は、埼玉(148.2人)、茨城(167.0人)、千葉(172.7人)、福島(178.7人)、 新潟(182.1人)など。前回と比べ、多くの都道府県で増加したが、福島と栃木 は、それぞれ3.9人と0.3人減った。

 医療施設で働く医師に、複数回答で診療科を尋ねたところ、最も多かったのは 「内科」の8万7773人(前回比382人減)。以下は、「消化器内科(胃腸内科)」 が2万9928人(286人増)、「小児科」が2万9855人(489人減)、「外科」が2万 8165人(753人減)、「整形外科」が2万4917人(238人増)、「循環器内科」が2 万2700人(258人増)、「リハビリテーション科」が1万6718人(114人増)、 「精神科」が1万6136人(537人増)などと続いた。男性では、「内科」「消化器 内科(胃腸内科)」「外科」「整形外科」「小児科」、女性では、「内科」「小 児科」「眼科」「皮膚科」「精神科」の順で、それぞれ多かった

 また、医療施設で働く医師が取得している専門医資格を複数回答で聞き、最も 多かったのは、「外科」の1万9850人だった。以下は「消化器病」が1万5134人、 「整形外科」が1万4744人、「総合内科」が1万4322人、「小児科」が1万1914 人、「消化器内視鏡」が1万1511人、「循環器」が1万834人、「産婦人科」が1万 19人、「眼科」が9231人、「耳鼻咽喉科」が7317人など。診療所で働く医師に限 ると、「眼科」「整形外科」「総合内科」「消化器病」「小児科」などの順で多 かった。

来年度の医学部定員はまた少し増えて9061人となるそうで、また先日以来話題になっている東北地方への医学部新設も早い段階で認められるということですから数としてはどんどん増えていると言え、要するにかつて流行った言い回しで言うならば医師数は不足の段階から次第に偏在の段階へ移行してきているということでしょうか。
失礼ながら国が全て管理している選挙区定員ですら違憲だと言われるほど偏在を解消出来ていないくらいで、例え日本人全員が医師になったところで偏在が解消するなんてことはあり得ないと思いますけれども、不足という主観的判断の余地がある表現よりも数字として明示出来る分、偏在の方が色々と使い勝手がいい言葉nのだろうとは想像出来ます。
厚労省の出している元データがこちらから参照できますが、これを見ますと1984年(昭和59年)を境に増加に転じ、当時18.1万人だった総数が2012年(平成24年)には30.1万人に増えているわけですから毎年4300人くらいのペースで増えてきているということになりますが、特に注目されるのが同時期に女医数が1.9万人から6.0万人へと実に3倍にも増加しているという点です。

厚労省統計が正しい臨床医の数を反映しているのか?と言った疑問は多々ありますけれども、女医が増えているということは昨今の医学部での男女比を見ても明らかなことであり、さらに妊娠出産等様々な事情で離職した女医の職場復帰支援が各地で行われつつあることも併せ考えると、今後の医療において女医が担う役割は小さからざるものがあると言えそうです。
以前から女医は頭数の割には実働時間(期間)が短い、マイナー科が多く戦力的価値が低いと言うことは言われていて、なおかつ多忙な現場では女だからと手を抜かれるようなことをされては困るし不公平感にもつながるとやや扱いに躊躇していた部分もあったようですが、実際のところ女医に限らず医師であることだけが求められるというレベルの仕事は幾らでもあるわけですから、要は適材適所で様々な適正のある医師をうまく使い回せるかどうかでしょう。
そう考えると「どんな医者だろうがうまく使いこなすのが医局長の腕の見せ所」などと豪語していた往年の大学医局人事などは人を見てうまく回していたのだろうとも思いますけれども、いくら医師数を増やそうが仕事の方がそれ以上に増えていたのではいつまでたっても医師不足と言われるのは当然で、まずは医師が足りないと言うならその仕事内容をきちんと見直すべきは今だろうと言うことですよね。

検診車の胸部レントゲン 技師が撮影へ(2013年12月17日NHK)

検診車で行われる検診のうち、肺がんと結核を調べる胸部のレントゲン撮影について、厚生労働省は事前に医師から指示を受けていることなどを条件に医師の立ち会いがなくても専門の技師が撮影できるよう法律を見直すことを決めました

検診車で行われるレントゲン撮影は国家資格を持つ診療放射線技師が担当しますが、安全を確保するためとして医師の立ち会いが法律で義務付けられています
しかし、医師不足が深刻な自治体では立ち会う医師が確保できず検診を一時、中止するケースも出ていて、厚生労働省が見直しを検討していました。
その結果、肺がんや結核を調べる胸部のレントゲン撮影については法律が作られた昭和26年当時に比べ、医療機器の進歩などで安全性が大幅に向上しているとして法律を見直すことを決めました。
具体的には事前に医師から指示を受けていることや、放射線量の管理など機材の整備を適切に行っていることなどを条件に医師の立ち会いがなくても技師が撮影することを認めるとしています。
胃がんと乳がんの検診については、触診などの医療行為が必要となるためこれまでどおり医師の立ち会いを義務づけます。
厚生労働省は見直しを盛り込んだ診療放射線技師法の改正案を来年の通常国会に提出し、来年春の施行を目指したいとしています。

この検診車のレントゲン撮影問題は以前にも取り上げたことがあるのでご存知かと思いますけれども、再度復習しておきますともともと診療放射線技師法に「技師は医師または歯科医師の具体的な指示を受けなければ、放射線を人体に照射してはならない」という規定があった中で、各地の自治体が運用する検診車は包括的な医師の指示を受けてという形で実際には技師が撮影を行ってきたわけです。
ところが昨春の下関市の住民検診で一市民から「医師がいないのにレントゲン撮影をするのは違法ではないか」とクレームがあり、市側が国に問いただしたところ今年の2月になって厚労省から「現場に医師がいないのは違法」というびっくりするような回答が帰ってきたものですから、全国各地の自治体が「そんなことを言われてもコスト的にもマンパワー的にも全てに医師が同行するのは不可能だ」と大騒ぎになったわけですね。
もともとはるか1978年に当時の厚相が「(医師が)包括的な指導、あるいは監督(する)ということもある。集団検診などの実施に配慮していい」と答弁していたものをいきなりひっくり返されたわけですから、これでは住民検診を縮小・廃止せざるを得ないと言う話にもなるのは当然なんですが、厚労省としてもようやく自分達の空気を読まない発言の尻を拭う形になったと言うことでしょうか。
わざわざ過去の大臣答弁をひっくり返していたずらに世間を騒がすことになった厚労省の意図がどこにあったのかははっきりしませんが、いずれにしても医師不足だ、いや偏在だと主張しひたすら医師数を増やすと言うのはコスト等々様々な弊害も指摘されている訳で、そうした力業に比べるとこういう地道にマンパワーの使い方を改善していく方がよほど重要だと思いますがどうでしょうね。

よく言うことに一番医師が多い大学病院などでは到底医師がするべき仕事とも思えない仕事まで医師がこなして忙しい、忙しいと言っている、しかし市中病院のようにそれらを他のスタッフにさせるようになれば仕事も楽になるでしょうし、本来の仕事である研究に時間を割いたり市中病院に多くの医師を出したり出来るようになるはずです。
では何故それが出来ないかと言えば逆説的ながら実は医師が多く一番安上がりに使える労働力だからと言うのが一番の理由なのですが、ほんのわずかな医師数で仕事を回さざるを得ない市中病院ではあり得ない医師の使い方をした結果数が足りなくなって派遣先から医師を呼び戻すというのは本末転倒な話で、やはりまずは医師がすべき仕事をきちんと整理し医師でなくてもいい業務はどんどん他のスタッフに回すということが必要だと思います。
それが出来るのは医師数が不足しているとまだまだ多くの人が考えている今の時代を置いて他はなく、いずれ医師が充足してくれば医師数の多い施設を筆頭にまたぞろ「コスト削減のために先生方にも応分の仕事をしていただきます」と言う話も出てくる、そして雑用が増えるからまた大勢の医師が必要になると無限の悪循環が続くことになってしまうでしょうね。
それを正すには「深刻な医師不足を何とかしなければ」と世間も興味と関心を持っている今しか出来ないことで、全国どこに行っても医師が有り余るような時代になってから「あの~ちょっと仕事が多いみたいなんですけど」などと言い出しても誰からもまともに相手にされないというものでしょう。

|

« 医師の労働環境改善とは | トップページ | 「報道しない自由」の行使に熱心なマスコミ »

心と体」カテゴリの記事

コメント

無資格レントゲン:手当金詐取容疑でも院長ら逮捕
毎日新聞 2013年11月27日 20時34分

 神戸市東灘区の医院「日山クリニック」での無資格者によるレントゲン撮影事件に絡み、兵庫県警は27日、虚偽の診断をもとに健康保険の傷病手当金を詐取したとする詐欺容疑で、院長の日山憲一容疑者(58)を再逮捕、新たに同医院の元准看護師、末吉亜姫(あき)容疑者(31)=鹿児島市=を逮捕した。ともに容疑を認めているといい、詳しい動機などを調べる。

 逮捕容疑は、2人は共謀して2011〜12年、「目まいが続いて仕事ができない」などとする日山容疑者の虚偽意見を記載し、実際には勤務している末吉容疑者の健康保険傷病手当金を計13回申請。全国健康保険協会から約170万円をだまし取ったとしている。

 一方、神戸地検は27日、無資格の事務員らにエックス線撮影をさせたとして、日山容疑者を診療放射線技師法違反罪などで起訴。元事務員の前田弓枝(41)と准看護師の松野下照美(62)の両容疑者は同罪などで略式起訴され、それぞれ罰金30万円の略式命令を受けて納付した。【宮嶋梓帆】

投稿: | 2013年12月19日 (木) 08時32分

とりあえず本来なら引退していてしかるべき60歳以上が四分の一を占めるってことは問題ですね。
彼らが働かなくてもいいようになってはじめて本当の医師の過不足が判るんじゃないかって気がします。
人数だけじゃなく現場医師の労働時間や多忙感も調べてみたらいいんじゃないですかね?

投稿: ぽん太 | 2013年12月19日 (木) 09時05分

厚労省統計の問題点は過去にも指摘されていますが、定年延長が議論になる中で実質定年なしで全国の医師が働いているという事実もあるわけです。
これを引退させてくれないのは問題だと取るか、長く働けてうらやましいと取るかはなかなか微妙なところだと思いますね。

投稿: 管理人nobu | 2013年12月19日 (木) 10時33分

>日山クリニック
神経学会の教育関連施設だそうですね。最近「神経内科」標榜していて高額なCT設置している開業医が多いが
普通に考えて放射線技師雇わないと検査無理だと思われます。人件費ケチったのが高い代償になりましたな。
そもそも日本のCT/MRI設置台数は多すぎる。特に多くの開業医がCTやらMRI持ってるのは異常。
CTに限らずムダで無意味な不安解消のための検査が跋扈していて、それを放置・容認している現実。
こんな高額医療費垂れ流しで、医療費削減とは笑わせますね。まずは無駄な検査の削減からメスを

投稿: 逃散前科者 | 2013年12月19日 (木) 12時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/58776809

この記事へのトラックバック一覧です: 人が増えるほど仕事も増えていくのが世の常です:

« 医師の労働環境改善とは | トップページ | 「報道しない自由」の行使に熱心なマスコミ »