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2013年11月22日 (金)

事故が起こったのは誰が悪い?

最近は何かと自然災害が多い印象なんですが、災害発生そのものは自然によって起こるものだとしてもそれによって被害が出たとなるとこれは話が別で、補償などお金の問題も絡むことから「一体誰が悪かったのか?」と人災としての側面を検索されると言うのはある程度仕方のないことではあると思います。
ただそれはあくまでも目的達成のための手段であっていわば為にする議論的なものなのだろうと漠然と考えていたのですが、どうも世間では「何かが起こった=誰かが悪かった」という考え方がかなり一般的になっているようで、例えば先日はこういう記事が出ていたことをご存知でしょうか。

落下した枝直撃「責任どこに」…女児死亡1年(2013年11月19日読売新聞)

 岐阜県大垣市上石津町の森林公園内の森林で昨年11月18日、森林体験講座に参加していた同市立興文小学校1年、村上絢俐(あやり)さん(当時6歳)が落下した枝の直撃を受けた事故から18日で1年を迎えた。
 絢俐さんは事故から8日後に脳挫傷で死亡した。「今でも絢が帰ってくるんじゃないかと思ってしまう。警察には事故の責任の所在を明らかにしてほしい」。父・泰基(やすき)さん(40)はまな娘の命を奪った事故と向き合う方法を模索する日々を送っている。

娘の手紙

 泰基さんは、娘からもらった手紙をスケジュール帳に挟んで常に持ち歩いている。「おたんじょうびおめでとう。かいしゃがんばったね。あしたはあやのしちごさんだね」。事故が起こる約1か月前、泰基さんの誕生日に娘から受け取ったものだ。
 「大きくなるにつれて一緒に寝てくれたり手紙をくれたり。言葉を覚えて字や絵を書けるようにまで育ったのに……」。毎朝の食卓には遺骨の入った骨つぼを置いて一緒に食事を取る。転勤が多い泰基さんは、いつもそばにいられるように納骨の予定はないという。

「落下は予想外」

 一方、イベントを主催した一般社団法人「かみいしづ緑の村公社」の子林英一理事長(69)は「枝の落下は全くの予想外」と話す。公園内の森林は、市の委託を受けた公社が、定期的に手入れをしていたが、現場は公社が普段管理していない私有林で、事前の手入れはしていなかったという。
 公社は21日、現場で職員を集め、安全祈願祭を行う予定だが、遺族への案内はないという。泰基さんは「行くつもりはない。主催者と話せる心の準備がまだ出来ていない」と胸の内を明かす。「主催者は十分な安全管理は取っていたのか。事故は十分に検証されているのか」。民事訴訟の提訴を含め、納得のいく答えを求めていくという。

衝撃は約5トン

 県警が公社関係者らから任意で事情を聞くなど、業務上過失致死容疑で調べを進めている。
 絢俐さんに落ちた枝は長さ約3メートル、直径約5センチ、重さ約5キロで、高さ約20メートルから落下したとみられる。公社は当日朝に落ちそうな枝を目視で確認したが、防げなかった。参加者34人はヘルメットをかぶっていなかった。
 捜査関係者によると、事故当時、絢俐さんには5トン近くの衝撃が加わり、ヘルメットをかぶっていても事故は防げなかったとみられる。
 県警は、公社が枝の落下を予見できたのか、安全管理に落ち度はなかったのかも含めて調べている。(黒木健太朗)

もちろん不幸極まりない事故で亡くなられた娘さんのご冥福をお祈りするしかないのですが、基本的には数多ある自然災害と同様に運が悪かったとしか言いようのない事故であって、こうした自然の絡む「人災」を100%未然に防ごうとすればどこかの国のようにコンクリートとプラスチックで形作られた「壊れない自然」の中を散策するしかなくなるんじゃないかと言う気もします。
ひと頃は「病院にかかって死んだんだから医者のせいであるのが当たり前だ」と言った類の主張が真面目になされていた時代があって、もちろん今でもそうしたことを言われる方々はいらっしゃると言う話も聞きますけれども、大野病院事件や大淀病院事件などを始め様々な角度から検証された結果でしょうか、さすがに「またも殺人医師!病院で家族を殺された無念!」式の報道は減った印象です(これまたゼロではないですが)。
こうした事故はもちろん理屈以前に感情の面で割り切りがたいところがあって、有名な割り箸事件なども教師でもある親は生徒達を引率して祭りに参加していたとも言いますが、それならそもそも何故箸をくわえて走ったら危ないという当たり前の教育が出来なかったか?と言う声は当時からありましたけれども、やはり当事者としては外に責任を求めてしまう気持ちは理解出来ないものではありませんよね。
ただそうした「何かあれば誰かの責任」式の考えがあまりに行きすぎるとどうなるのかと言うことなんですが、先日これまた思いがけないところでその影響が出ているという興味深い記事がありましたので紹介してみましょう。

楽天優勝パレード、資金難で「困った」 目標額に5300万円も足りない理由(2013年11月20日J-CASTニュース)

 球団創設以来初の日本一を勝ち取った楽天ゴールデンイーグルスが予定している優勝パレードが、資金難に悩まされている。パレードは企業や市民からの協賛金を元手に行われるが、目標額に5300万円も足りていない状態だ。
 パレード全体では約1億5400万円かかる見通しだが、その多くが警備費用だ。パレードを主催する実行委員会は「削れない費用なので…」と頭を悩ませている。

■パレードには球団への「ファンからの感謝の気持ち」込める

 パレードが行われるのは2013年11月24日で、4日後に迫っている。星野仙一監督、三木谷浩史オーナー、1・2軍の全選手らがオープンカーやバス計5台に分乗し、仙台駅の西側にある「東二番丁通」を1.5キロにわたって30分かけてパレードする。「マー君」こと田中将大選手の人気もあり、沿道には約20万人の来場を見込んでいる
 過去に他球団が行った優勝パレードでは、球団が費用を負担するケースもあるが、地元自治体や企業などでつくる「実行委員会」が主催し、企業や個人から協賛を集める形式で行われることの方が多いようだ。今回の楽天のパレードは「被災地を元気づけた楽天球団に対するファンからの感謝の気持ちを込めた」という位置づけで、やはり協賛金で費用をまかなうことになった。実行委員会は、地元企業や自治体でつくる「楽天イーグルス・マイチーム協議会」、仙台商工会議所、宮城県、仙台市、河北新報社などで構成されている。

警備員1000人以上を動員

 パレードにかかる費用は1億5400万円を見込んでおり、そのうち6280万円を企業から、9120万円を個人から集めることにしている。企業からは予定通り集まっているが、個人からの協賛金は11月19日時点で3800万円。まだ5300万円も足らない。
 気になるのが多額の費用の内訳だ。最も多いのが警備費で7550万円。全体の半分近くを占めている。パレードを円滑に行うためには、沿道につめかけた人が車道に飛び出さないようにコントロールして安全を確保する必要があり、実行委員会では「削れない費用」だと話している。具体的には、警備員だけで1000人以上を動員し、それ以外にも案内・誘導係が多数必要になる見通し。警備以外にも、車両や音響関係で3900万円かかる。
 実行委員会では引き続き個人協賛を受け付けており、仙台銀行、七十七銀行など地元の4金融機関から振り込んだ場合、11月29日までは振り込み手数料が無料になる。1口3000円で、優勝記念のオリジナルピンバッジがもらえる。
 仮に11月24日までに残り5300万円が集まらなかったとしても、天候に問題がなければパレードは予定通り行われる。かかった費用を実行委員会が一度立て替える形だが、パレード終了後も引き続き協賛を受け付ける。それでも足らない場合の対応については、今後検討するとしている。

「花火の事件」きっかけに警備費用が高騰?

 この資金難には、他球団からも同情の声が出ている。
 福岡ソフトバンクホークスは、ダイエー時代を含めると、ここ10年では03年、10年、11年の3回にわたって福岡市中心部のメインストリート「明治通り」でパレードを行っている。ホークスのツイッター公式アカウントは、
  「パレードは、はっきり言ってめっちゃお金がかかります。主に警備費用。花火の事件以降、それこそ1mおきに警備を立てないと、警察の許可が出ないこともあります。この辺、予想外だったでしょうね…。2010年のとき、7年前の予算では全然足りなくてめっちゃビビリました…」
  「皆さんと福岡の企業さんの募金とボランティアさんのおかげで助かりました…」
と、過去のパレードを振り返った。「花火の事件」は01年に兵庫県明石市の歩道橋で起きた事故のことを指すとみられる。この事故では、子ども9人を含む11人が死亡し、兵庫県警の現場責任者ら5人の有罪が確定している。

一体何にそんな大金がいるのかと思えば半分が警備費用だと言いますから大変なことですが、20万人が来るイベントで「1mおきに警備を立て」るなどと言う事になるとどういうことになるのかちょっと想像しがたいところで、どうして世の中そんなことになってしまっているのかと誰だって思いますよね。
その元をたどっていけば明石の花火大会の事故が原因だと言うのですが、そもそも明石の事故も根本原因として十五万人の集まるイベントで市の組んだ警備予算は計約二百二十万円、警備員百三十七人分だったというケチケチぶりにあるという指摘も出ていて、普通なら到底無理な低予算だと判っていながら無理に警備会社に安請け合いさせて事故の責任を取らせていると言う批判もあります。
花火の事故に関してはむしろ民間警備会社と共に警備に関わった兵庫県警の方がマスコミ諸社からも散々に「無責任だ!」と叩かれたこともあって、警察という組織全体としてきちんと責任を取れる体制を構築するという内部ルールでも用意されたのでしょう、今後もこの種イベントに対するハードルは高くなることはあっても引き下げられることはないのでしょうが、その結果世の中にどんな影響が出るのかです。

例えば東京の電車の混雑ぶりは今や外国人にも伝説化しているほどですが、仮に満員の駅のホームであまちゃん並みの将棋倒しが発生し大事故になったとして、その対策として電車の運賃を値上げして警備の人件費に回しますだとか、入構規制を実施して電車には定員通りの人数しか乗せないようにしますだとか言う話にでもなれば一体誰が一番困るのかと言うことですよね。
まして冒頭の記事にあるような天然自然の絡んだ思いがけない災害ということはどこにでもあるもので、それに対して万一のことがあると誰かが責任を取らされるからと言うことになればそもそも何もしないことが正解ということになりますし、事実医療の世界では無理筋とも思われるものも含めて医療訴訟が頻発した結果「防衛医療」という考えがすっかり滲透していることは周知の通りです。
それでも事故があり被害もあったのだから仕方ないじゃないか、この収まりの付かない気持ちを誰が償ってくれるのだと言うかも知れませんが、そうした場合に備えて人間社会が保険であるとか無過失補償であるとか言った制度を発達させてきたのも、結局過度に責任追及を行い過ぎると世の中うまく回らなくなるということを経験的にも知っていたからなのかも知れません。
こうした傾向もまたゼロリスク症候群の一種であるとも言えると思いますが、「生きるということは本当に健康に悪い」と言う言葉もあるようにただこの世の中にいるというだけで我々は大きなリスクを負っていると言うことを自覚したとき、ではどうやってそれに向き合ったらいいのかと言う冷静な議論が必要なことも理解出来ると思いますね。

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コメント

楽天、優勝パレードの話は失笑しました。感謝の意を表すのがどうしてもパレードでなきゃ、ダメだ、とする形式主義にあきれる。まっ、偽装してでも77%オフ価格をやれ、とムチャブリする三木谷さんだから、パレード予算も77%オフでやれば?

投稿: striker | 2013年11月22日 (金) 08時03分

パレードなんかそんな大金かけてまでやらなくても…と思ったら警備コストでそれだけいるんですね。
そんなにお金がないならもう球場でファン感謝祭でもいいんじゃないですか?
パレードって周りに迷惑かけるわりには一瞬だけで終わっちゃうからつまらないですよ。

投稿: ぽん太 | 2013年11月22日 (金) 09時13分

てかなんで楽天が出さない???

投稿: | 2013年11月22日 (金) 09時35分

パレードに金使うくらいならさっさと球場改修しろよw

投稿: aaa | 2013年11月22日 (金) 10時31分

割りばしや枝の落下といった極端な例を出しても人災を許していいことにはならない。(枝の落下や割りばし云々はもはやクレーマーの域でしょ。本来なら火病として切り捨ててよいはずです)

しかし東電事件は違いますね

東電は原発で儲けていたのだから、損害についても汚染者負担原則がある。

製薬企業は無過失の副作用に対しても補償するため基金に拠出して、全額がその基金から保障される。

なのに電力会社やカネミ油症の会社は税金で被害者救済。経営者・株主・労働者は知らん顔。頭おかしいわ

TPPで日本の第二の敗戦を望む。なんて腐りきった国だ。

投稿: 記者 | 2013年11月22日 (金) 11時27分

なんか楽天叩きをしてるアホどもがわいておりますね

規制改革を提言しているのがよほど気に入らないのでしょう

既得権益者を見分けるリトマス紙になってる。楽天叩き野郎は次世代への改革の邪魔なので監視して排除すべき。

投稿: 記者 | 2013年11月22日 (金) 11時30分

個人的にはああいうパレードは球団がやっているものだとばかり思い込んでいたので、地元がやっているというのは意外ではありました。
それならそれで観客から志願者を募って警備に回すようにすればコストは抑えられるかなと思ったのですが、まあお上も絡むだけに何かと難しいところもあるんでしょうかね?

投稿: 管理人nobu | 2013年11月22日 (金) 11時30分

自然が自然であるかぎり人畜無害な存在にはなり得ないわけで、枝の落下と楽天のパレードを同列に並べるのはやはり筋が悪いように思います。

まあ、警備の人員を増やせば新たな雇用も生まれるわけで、悪いことばかりではないし。
費用が嵩むのが嫌ならイベント自体をやめるのも選択肢でしょう。

投稿: JSJ | 2013年11月22日 (金) 11時57分

初詣の警備費用はお賽銭でペイできるのかと、ちょっと心配になりました。

投稿: hhh | 2013年11月22日 (金) 12時38分

既得権益に塗れた巨人を球界追放すべきですね

読売新聞不買だ。共産党員ナベツネ増税野郎が。糞読売のせいで日本は大きな政府で共産化して破滅。

行革と無駄削減のためには朝日と日経以外は買わないよ俺は

読売信者の田舎モンをバカにしてやりましょうや

投稿: 記者 | 2013年11月22日 (金) 12時51分

日本のゼロリスク症候群は医療現場に限らず重症すぎ。いつからここまで息苦しい世の中になったのか?
楽天を叩くくらいなら、政界とズブズブに癒着して影の宰相気取っている危険な独裁者ナベツネを叩くべき。
ナベツネに支配されて何も言えない北朝鮮状態の日本のマスゴミには永久に無理だろうけど。

投稿: 逃散前科者 | 2013年11月22日 (金) 13時02分

>逃散前科者
>政界とズブズブに癒着して影の宰相気取っている危険な独裁者ナベツネを叩くべき。

でもネトウヨ日本人は既得権益(読売・医師会・農協・官僚)を守って、既得権と闘う朝日と日経を叩く。

投稿: TPP推進 | 2013年11月22日 (金) 16時17分

(゚▽゚*)

投稿: | 2013年11月22日 (金) 19時02分

誰かを悪者にしても世の中は変わらない
田中角栄さえいなければ日本の政治は良くなる
そう信じていた若き日を思い出す

投稿: | 2013年11月25日 (月) 11時30分

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