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2013年11月21日 (木)

本日は敢えて釣りの話を

少し前の記事なんですが、本日は近年全国各地で類似の報道が続いているというこちらの一件から紹介してみましょう。

釣り人「おれが外来魚を放流」 住民ら、怒りの池干し(2013年9月7日朝日新聞)

三重県亀山市下庄町の農業用ため池・北山池で7日、市民グループ「水辺づくりの会 鈴鹿川のうお座」と小中学生、地元農家の人たち約30人が、池の水を抜く池干しをし、外来魚を駆除した。ブラックバスを違法放流されたため、2年前に続く再度の池干し。作業中の人たちから「許せない」との声が上がった。
「男1人がゴムボートから魚を釣っているんですよ。『魚なんかいないよ』と声をかけると、『おれがブラックバスを放流した』と言う。注意すると『ため池は税金を使ってできたんだろう』って言い返す始末。本当に腹がたった」
今年3月まで北山池水利組合の組合長をしていた宮村忠男さん(77)は今春ごろのやりとりを振り返る。

2011年10月に組合と「うお座」で外来魚を駆除し、ときおり見回りに来ていた。以前から釣り人を見かけたため、「また放流されたんじゃないか」と心配していたと顔を曇らせる。
上池と下池を合わせ、広さ2・3ヘクタールの水を抜くと、体長30センチ前後のブラックバス約100匹とフナ約1万匹が見つかった。フナは2年前の駆除後、一時別の場所で飼っていた20匹を放流し、増えたとみられる。今回も後で池に戻すため、一部を別の場所に移した。
「うお座」の栗原勉代表(54)は「外来魚がいない元の池に戻そうとしている努力が1度の違法放流で台無しになってしまう。これまで20カ所で池干しをしたが、2度目は初めて。重い罪だということを知ってほしい」と話す。
国内の生態系や農林水産業に影響を与える輸入動植物を規制する外来生物法が05年に施行された。ブラックバスなどの特定外来生物を移動や輸入、野外へ逃がすことを原則禁止し、違反したら懲役3年以下か罰金300万円以下の罰則と定めている。

さすがにこのブラックバス問題を知らないと言う人もいないと思いますが念のため簡単に解説しますと、ルアー釣りの対象魚として人気のあるブラックバスが全国あちこちで何故かどんどん広まっていく、その原因をたどると釣り人(バサー)が「自分達で釣る魚は自分達で増やそう」と各地で密放流していたことが判り、今や各地で生態系破壊の元凶として駆除に追われているということです。
「放流しても釣り上げるんだからいいんじゃないの?」と考えるかも知れませんが、多くのバサーは釣り上げたらそのまま放すキャッチアンドリリースをモットーとしていて、せっかく釣っても一向に個体数減少には結びつかないということで、そうした現場に遭遇した漁業権者などとトラブルに発展すると言うケースも多いようです。
以前から駆除する側とバサーとの間で激論が交わされていて、バサーからは「外来魚の食害と立証できるのか」という声もありますが、国際的にも外来種問題がこれだけ言われるようになった時代に「自分達の釣る魚を自分達で放流して何が悪い」はさすがに通用しない考え方だと思います。
ともかくもこれだけ広まってしまったことが問題だとすると、では誰がその後始末をするのか、そのコストを誰が負担すべきなのかですが、昨今内水面漁業などで大した儲けにもならないでしょうに漁業関係者の自助努力に頼るというのも無理があるのではないかと危惧されている中で、先日はこういう記事が出ていました。

外来魚釣り上げ隊が人気 県、釣りざお無償貸与(2013年11月19日中日新聞)

 県が、登録した企業や団体に無償で釣りざおを貸し出し、釣り大会を催してもらう「外来魚釣り上げ隊」が人気だ。九月末の登録者数は二千九百七十三人で、この一年間で七百七十人も増加。外来魚駆除に一役買っている。

 釣り上げ隊は、二〇〇九年三月にブルーギルやブラックバスなどの駆除と、娯楽として釣り大会を開催してもらう目的で県が始めた。企業などは釣り大会を開催する代わりに、県から釣りざおを貸してもらい、県に参加人数や駆除量を書いた報告書を提出する。

 一年目は九百人が参加し、外来魚百三十キロを、一〇年度は参加者が四百五十人増えて三百五十キロを釣り上げ駆除した。一一年度はほぼ横ばいだったが、一二年度は千二百四十人増え、五百四十キロの駆除に成功。本年度も順調で、上半期だけで年間通じて過去最高の六百七十キロを釣り上げてもらった

 県レジャー対策室の担当者は「ホームページ(HP)で小さく募集しているだけで、特別な広報活動はしていない。ここまで登録者が増えるとは」と喜ぶ。

 同室によると、小学校や大学なども登録しているが、ほとんどは企業。昨年度は、釣り上げ隊のイベントとして三十四回釣りざおを貸し出したが、二十八回が企業だった。担当者は「釣りはお金もかからないし、簡単にできるスポーツ。企業の福利厚生として、釣り大会は開きやすいのでは」と推測する。

 同室では、八百本の釣りざおを用意しており、希望者には貸し出しの際に外来魚の再放流禁止を漫画で説明した冊子などを渡す。担当者は「外来魚の回収量も増えてありがたい。貸せる状況ならどんどん貸し出すので協力を」と呼び掛ける。
(略)

もともとスポーツフィッシングの対象として人気の魚ですから釣りの対象にするというのは妥当なところなんですが、それを一部の釣り人や漁業関係者の努力に限定するのではなく多くの一般人に楽しみながら駆除に強力もしてもらうと言うのはなかなかいいアイデアで、実際にこれだけの釣果が上がっていると言うのですから費用対効果は大変なものがありますね。
ブラックバスという魚は食べてもなかなかにうまいのだそうで各地で商品化の道も探られていますから、今後さらに釣り上げた魚をその場で調理できるように道具や調味料の貸し出しも行ったりだとかもありだと思いますけれども、その場合もマニュアルのみならず料理人が指導に参加してくれるなりすれば最低限のコストで一日家族連れが楽しめるイベントになりそうですから集客も期待出来るでしょう。
また湖沼の環境によってはさすがにそのまま食べるのにはちょっと躊躇すると言う場合もあるかと思いますが、これまた近頃では肥料や家畜飼料としての利用の道が探られていると言いますから、自治体なども駆除作業の手間賃を出すよりもこうしたイベントと利用業者の仲立ちをすることで最低限の公費投入で最大限の効果が上げられるかと思います。

ただこうしたイベントもまたバサーにとっては気に入らないようで、「何も知らない子供にブラックバスを釣って殺させるのか」と言った批判もあるようなんですが、正直外野から見ていますとキャッチアンドリリースなどと称していい汗かいたような顔をしているのも魚から見れば酷い目に遭わされているということには全く変わりがないでしょうし、世界的には生き物の命は苦しませずにばっさり死なせる方が残酷でないという考えが主導的ですよね。
富士五湖のようにバス釣り自体を商業化して生業にしているところもあって、一定の環境下でバスと共存するという道はもちろん探られるべきだと思いますが、そもそも釣り禁止になっているため池や在来魚の漁業で食べている人のいる湖沼に無断で放つと言ったような無原則な行為は批判され、是正されても仕方がないかなと言う気がします。
もともと釣りという行為では目的外の魚(外道)は利用可能なものでもそこらに放り捨てているということが多く、見ていてもったいないことをするなあと感じることも多いのですけれども、漁業資源保護のために世界中でこれだけ神経質になっている時代ですから、アマチュア釣り師も釣って楽しければそれでいいという考えではいつまでも釣りが楽しめないということになるかも知れませんね。

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コメント

自然に広まったんじゃなくてわざわざ放流してたんですね。
そりゃ漁協の人も怒るだろうなあ…
ファミレスやファーストフードで採用したら需要も増えそうですけど商売にならないもんでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2013年11月21日 (木) 09時08分

ブラックバス料理レシピ集
http://basucooking.seesaa.net/article/112710516.html
皮に臭みがあって料理法によっては生臭さを感じるらしいですよ

投稿: | 2013年11月21日 (木) 09時40分

商業利用については需要自体が少ないので商売になっていないことと、季節的に漁獲量の変動があることから安定供給の面で問題があるようですね。
フライなりにして冷凍食品で出してみるというのはありだと思いますし、一部ではもちろん提供している店もあるようです。
http://kisyoku.info/black2.htm
個人的にはバスではなくギルですが「陛下も心を痛めてるッ!」のキャッチフレーズで有名なこちらにちょっと心引かれるものがありますね。
http://kisyoku.info/bl.htm

投稿: 管理人nobu | 2013年11月21日 (木) 10時45分

中国ではブラックバスは高級魚だから輸出に回せば問題なしw

投稿: aaa | 2013年11月21日 (木) 11時14分

日本も含めて国民皆保険である諸外国のどこも、皆保険をやめるつもりもないし、皆保険前の状況は悪くて間違ったことと認識されている。
よって、皆保険やめて民間保険中心にもならないし、貧困者のためのsafety netも廃止しない。
ここで皆保険廃止や縮小を叫んでも無駄。
日本では健康保険保険のカバー範囲が広いので、民間保険の入り込む余地も多くない。
もしかして、アメリカの保険会社の手先が皆保険廃止・縮小としつこいくらいグリ研blogに書き込んでる?

TPPの影響はアメリカの製薬企業の意向で薬価が従来通りか、高くなるかだけ。
その問題で参加表明国が賛同せず、締結が難航している。
眼科や歯科治療や外来処方薬が皆保険から外れている皆保険の諸外国とは違い、日本ではそれらも皆保険に含まれているから民間保険会社は隙間産業的なカバーしかできないしね。
それで日本の皆保険廃止・縮小と叫んでいるアメリカの保険会社や製薬企業の手先がグリ研blogにいるのさ。

投稿: | 2013年11月21日 (木) 12時39分

↑いやそっちの釣りじゃなくて…(お約束)

>「何も知らない子供にブラックバスを釣って殺させるのか」と言った批判もある

バスを特定外来種筆頭指定に追い込み、何も知らない子供達にバスを釣って殺させるような事態を招いたのはオマエラバスソ共自身なんだけどな。

私もバスでルアー釣りの楽しさを学んだクチで、学生時代は夏休みに九州から琵琶湖まで出向いて居座り釣り捲り、3食バス、なんて生活してたクチなんでw、バス、とゆーかバスソの悪口を言うのは風俗で童○捨てたクセに○春を非難するようで気が引けるんですが、バスソ共は調子に乗り過ぎました。
実害はブルーギルとか、未だに無軌道に放流され捲ってる鯉のが遥かに高い(バスと違って雑食なので希少な水草とかまで喰ってしまう!)のにバスばかりがやり玉にあがるのはぜんぶこいつらが莫迦で民度が低くて傍若無人なせいです。未だに密放流とかカマした挙句、上記のごとき寝言ほざいてる時点でお察しですが。

大体嘘でも方便でもタテマエでも、「外来種駆除に協力してやってるんだ」くらいの事言っときゃいいものを、「キャッチ&リリース(どやっ」wwwwwww

一万歩譲って、試みにバス釣り最優先で思考実験を試みるに、そもそもバス釣りとは一発ランカー狙いこそが王道!雑魚を何十何百釣ろうが50オバーのランカーの前には両生動物の糞を掻き集めただけの値打ちしかなし!!少なくとも、私がバスを始めた40年前はそうでした。従って、特にキャパが限定される野池では「間引き」は必須で、そういう意味でもキャッチ&リリース教徒な俄かバスソどもは底が浅いとゆーか近視眼的とゆーか小児病的とゆーか…。

*ちなみにブルーギルはバスとセットで密放流されるケースが多かったのですがこれはギルをバスの餌にするため(実際は余り好まないようですが)、と、バスを間引くため(バス♂の保護を掻い潜って卵や仔魚を捕食する)。

結論:魚なんて、人間と較べたら全然たいしたことないんだからどんどんぶち殺してよろしい!バスもギルも美味しい魚ではありますが海産魚が豊富な我が国で商業ベースに乗せるのはほぼ不可能なので捨ててよし!!魚の立場からしたら、殺された後喰われようが肥料にされようが捨てられようが大差なし!!!

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年11月22日 (金) 11時02分

>↑いやそっちの釣りじゃなくて…(お約束)

あんがいこれが天然極上ものだったりして(爆

投稿: | 2013年11月22日 (金) 13時23分

アリゲーターガー、ウシガエル、ブルーギル……。兵庫県芦屋市が今月、工事のため同市岩園町の
「仲ノ池」の水を抜いたところ、干上がった池の底から、外来種の魚やカエルが次々に見つかった。
江戸時代に農業用に作られたというため池に、何が起きたのか。

現在の池のまわりは静かな住宅街。そばを阪急神戸線が走る。南北約130メートル、東西約80メートル。
遊歩道があり、市民の憩いの場だ。
水位が下がった4日、近所の小学生ら80人を集め、市が生き物の観察会を開いた。投網を打つたび、
姿を現したのはブルーギル。「この魚知ってるで。外来種や」。子どもたちが声をあげた。

市はため池の水漏れ対策工事にあわせ、環境コンサルタント会社「三洋テクノマリン」に池の
生態調査を頼んだ。同社によると、19日時点で確認できた外来種はブルーギル904匹、ウシガエル35匹、
ミシシッピアカミミガメ30匹など。一方、在来種はゲンゴロウブナ396匹、コイ104匹などだった。

ワニのように鋭い口を持つ北米原産の巨大魚アリゲーターガーも捕獲した。体長1・3メートル、
重さ16キロあり、大人が数人がかりで引き揚げた。

[朝日新聞]2013年11月25日08時36分
http://www.asahi.com/articles/OSK201311210163.html
捕獲された体長1・3メートルのアリゲーターガー=芦屋市提供
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20131125000864.html

投稿: | 2013年11月25日 (月) 15時23分

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