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2013年11月 6日 (水)

物陰から全てを支配するもの

数あるユダヤジョークの中でも有名なものの一つにこういうものがあります。

 シモンは公園のベンチに腰をかけて反ユダヤの新聞を読んでいた。そこに彼の友人が通りかかって、その様子を見て驚いた。「シモンじゃないか。どうして、そんな反ユダヤの新聞なんか読んでるんだい。ユダヤ・クロニクル紙を読むべきだよ。」
 シモンは答えて言った。「ユダヤ・クロニクルを読むと世界の国々で起こっているユダヤ人に対する迫害のことやイスラエルで起こっている色々な問題について書いてあるだろう。でも、この反ユダヤの新聞を読むとな、良いことがいっぱい書いてある。ユダヤ人はすべてのお金を握っているとか。ユダヤ人は銀行を支配しているとか。ユダヤ人は報道機関を牛耳っているとか。ハリウッドはユダヤ人の手の中にあるとかね。やっぱり、良いニュースを聞くのは一番さ。」

先日思わずこのジョークを思い出したのがこちらの記事なのですが、これを読んで日医幹部諸氏がニヤニヤしていたかどうかは判りませんけれども、世間的な日医のイメージというものを見る上で興味深い記事ではありますよね。

診療報酬めぐりうごめく厚労族・医師会 薬ネット販売、大学設置でも抵抗(2013年11月4日産経新聞)

 医療機関が治療の対価として健康保険などから受け取る診療報酬の平成26年度改定をめぐる攻防が激化している。日本医師会(日医)や自民党厚労族議員がプラス改定を求め、社会保障費の急増に歯止めをかけたい政府に攻勢を強めているのだ。日医などは来年4月からの消費税増税分の財源がそのまま社会保障費に充てられるため、鼻息が荒い。改定率は年末に安倍晋三首相が最終決定するが、政権復帰を果たした自民党の業界回帰の動向を判断する試金石となりそうだ。

 ■プラス改定は当然?

 日医の横倉義武会長は10月31日、首相と官邸で面会し、診療報酬の増額を要請した。
 「消費税率引き上げは社会保障の充実が目的だ。首相に『勘案してもらいたい』と言った。首相は十分、分かっている
 横倉氏は面会後、自信たっぷりに記者団に語った。厚労相の諮問機関「社会保障審議会医療保険部会」で8日から診療報酬の査定作業が本格化するのに合わせて、首相に“圧力”をかけた格好だ。
 日医は来年度の診療報酬のプラス改定を既定路線と受け止めてもいる。診療報酬は「薬価」と医師の収入源となる「本体」で構成され、2年に1度見直される。民主党政権時代の24年度改定は薬価1・375%減、本体1・379%増。全体では0・004%増えた。このため、日医は民主党に比べて太いパイプを持つ自民党の政権復帰で、当然“分け前”が増えると見込んでいるわけだ。

 ■自民議員250人参加

 また、日医は自民党への働き掛けも活発化させている。8日に初総会が開かれる自民党の議員連盟「国民医療を守る議員の会」(仮称)の設立を主導した。日医傘下の関連団体が水面下で党所属議員に議連参加を促す文書を送り、強力に勧誘活動を展開した。
 その結果、医師の鴨下一郎前国対委員長、首相に近い加藤勝信官房副長官らが議連の発起人に名を連ね、党所属議員の半数以上に当たる約250人が参加。議連として最大規模になり、発起人の一人は「診療報酬アップを目指す。やるからには徹底的にやる」と息巻く。設立趣意書で「適切な社会保障財源の確保」を求め、政府に対する提言書提出も視野に入れている。
 政府内で、こうした“攻撃”に対抗するのは、財政規律を重視する財務省だ。
 毎年度の社会保障費関連の公費支出は、年金が10兆円で医療費は15兆円、介護費も5兆円規模。消費税率が10%になってもとても賄えない-。財務省はそう算段する。
 このため、財務相の諮問機関「財政制度等審議会」は10月21日、診療報酬を1%引き上げた場合、約4200億円の負担増になるとする試算を公表し、日医と厚労族を牽制(けんせい)した。

 ■ネット販売解禁に抵抗

 それでも、日医などの動きは活発化する。安倍政権が検討した大学医学部新設を認める規制緩和に対し、日医は「医学部教員として医師を現場から引き揚げる必要が生じ、地域医療を崩壊させる」と反発。規制緩和は事実上、見送られた
 一般用医薬品のインターネット販売解禁をめぐっても、首相が原則解禁を一度は決めたが、薬剤師の既得権益が侵されることなどを危惧した厚労族議員に押し切られ、一部品目に規制が残る見通しとなった。
 ネット販売の全面解禁を求めてきた楽天の三木谷浩史会長兼社長は10月29日、政府の産業競争力会議の分科会で、自民党族議員の動きをこう皮肉ってみせた。
 「岩盤規制ならぬゾンビ規制だ」
(松本学)

まあ日医が何を目指そうがご自由にというもので(苦笑)、世間がどう考えているかはともかく今日日の医療政策が日医風情の思惑でそうそう左右されるものでもないでしょうけれども、個人的には次回改訂では消費税アップ分に相当する最低限度の上げだけで名目多少プラスの実質プラスマイナスゼロに終わるんじゃないかと言う予想をしています。
ただここではむしろコストカッター役となる財務省が何か正義の味方か何かのように描かれている点が注目されるのですが、先日も概算要求は巨額すぎると徹底的な斬り込みを表明していた同省ですから、12年度の医療機関経営はまた改善しているという厚労省の調査報告も出てきた以上、これ以上医療費を引き上げる方向での改定を認めるとはちょっと考えにくいところではないでしょうか?
それでも長年に渡る医療費抑制政策で鍛えられた医療業界ではそれなりに求められるコスト内での医療を追求出来るだけの素養があるとも言えるのでしょうが、このところ各方面から聞こえてくる「ここにもまだまだ無駄がある!」と言う財務省のコスト削減要求を見ていますと、それはちょっとどうなのかなと思えてくるものが目立つのも確かです。

財務省、教員の削減要求へ 7年間で3.9万人減主張(2013年10月28日朝日新聞)

 財務省は28日、子どもの数が減っているのに合わせて、公立小中学校の先生の数を減らすよう文部科学省に求める考えを明らかにした。先生1人あたりの子どもの数を変えない場合、今後7年間で3・9万人減らせるとの主張だ。これに対し文科省は、今の人員を維持することで少人数教育を進めようとしており、調整は難航しそうだ。

 28日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、財務省が提案した。今は全国の公立小中学校に約70万人の先生がいるが、子どもの数にあわせて先生も減らすと、2019年度は66万2千人に減らせるという。

 少人数教育について財務省は「少人数化と、学力やいじめには密接な関係がない」としている。給与も普通の地方公務員並みに下げて、来年度の国の給与負担を約370億円減らすよう主張している。

財務省 教職員1万4000人削減を主張(2013年10月28日NHK)

来年度以降の小中学校の教職員の定数について、文部科学省は向こう7年間で3万人余りを新たに確保すべきだとしているのに対し、財務省は、逆に1万4000人減らすべきだと主張し、来年度予算案の編成で焦点の1つとなりそうです。

これは、28日開かれた財政制度等審議会で、財務省が示したものです。この問題で文部科学省は、少人数教育や英語教育の強化などを図るため、来年度からの7年間で教職員の定数を3万3500人新たに確保すべきだとして、来年度予算案の概算要求で必要な費用を要求しています。

これに対して財務省は、28日、公立の小中学校の児童生徒の数は平成元年度の1488万人から24年度には991万人へと33%減ったのに対し、教職員の定数は76万人から70万人へと8%の減少にとどまっているなどと指摘し、教職員の定数を来年度から7年間で1万4000人減らすべきだと主張しました。

この場合でも、児童生徒1人当たりの教職員の数は現状とほぼ変わらず、削減によって合わせて910億円の歳出を削減できるとしており、この問題の取り扱いは来年度予算案の編成で焦点の1つとなりそうです。

注目していただきたいのが「少人数化と、学力やいじめには密接な関係がない」と主張し少人数化推進に異を唱えている点なのですが、医療の世界においても昨今では費用対効果というものが要求されるようになっていて、これも財務省筋からの圧力と当然無関係ではないでしょうが、ともかく教育の世界もいよいよ医療と同様に金勘定をしながらやりくりするということが求められるようになったということですよね。
個人的にも教育の方面には友人知人も多いので色々と聞くのですけれども、ともかく今の教育現場は生徒の前で教壇に立ってする仕事以外の部分が多忙すぎるとは誰もが口を揃えて言うところで、こうした業務負担の軽減策を何ら考慮しないまま教員の頭数だけで議論しているといずれ医療崩壊ならぬ教育崩壊が大きな社会問題化するのは目に見えているように思います。
もちろん予算は限られている中でよりよい教育を行っていくためには、効果の乏しい部分を切り捨てて有効性の確認されたやり方に集中投資するというのはもっともなことなのですが、それなら一昔前の「ゆとり以前」の詰め込みと言われたやり方が目に見える数字的には一番効率がいいという結論になるのかも知れずで、このところ世間を賑わしている教育改革論との整合性はどうなるのかという懸念もあります。
そして費用対効果という点では本当に目先の成果を追うことが将来に結びつくのか、むしろ教育など基礎的な部分に長期的かつ計画的な投資を地道に行っていくことで国力の底上げが可能になるのではないかという考え方もあると思うのですが、どうも財務省の考えは目先の改善に突き進んだ結果国際競争力も失ってしまった一部企業の姿を見るようで危なっかしいところがありますね。

14年度予算、科技予算に削減圧力-財務省、費用対効果を疑問視(2013年11月05日日刊工業新聞)

 2014年度一般会計予算の編成をめぐり、財務省が科学技術関係予算への歳出削減圧力を強めている。中でも科学技術振興費がこの25年間で社会保障関係費を上回る高い伸び率を示しており、大幅に増えた振興費が効果的に使われたかを疑問視している。13年度当初予算の振興費は約1兆3000億円と12年度当初を下回ったが、14年度当初も概算要求を厳格に精査する方針だ。

 財務省が財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に提出した資料によると、13年度当初予算の科学技術振興費は89年度当初の2・98倍に達し、この間の社会保障関係費の増加幅2・65倍を上回って増えている。

 また、日本の1論文あたりの科学技術関係予算額は10年度が4900万円に達し、米国の4300万円、ドイツの3200万円などより高額であると指摘。

かつて仕分けの席で「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」と言って盛大に炎上した議員氏がいましたが、財政上の観点からは確かに何故一番を目指すのかの正当化が出来なければ多額のお金など出せないという考えに一理はあるものの、およそ科学や技術に関わった経験のある身であれば鈴木章先生のこうした言葉の方が細かい理屈抜きですっと胃の腑に落ちるんじゃないかという気がします。

「研究は1番でないといけない。“2位ではどうか”などというのは愚問。このようなことを言う人は、科学や技術を全く知らない人だ」
「日本が生き残るためには付加価値の高いものを作り、世界に使ってもらうしかない」
「科学や技術を阻害するような要因を政治家が作るのは絶対にだめで、日本の首を絞めることになる。1番になろうとしても、なかなかなれないということを、政治家の人たちも理解してほしい」

故アジモフ翁は「そんな研究が一体何の役に立つんだ?」という声に対して「科学の進歩とはその見返りを得られないことの方が稀なのだ」と答えたそうですが、世間の注目を浴びなければ一代の成果も埋もれ消えてしまう時代と違って、電子的な検索システムの完備されたこれからの時代の科学こそ壮大な無駄としか思えないものが後々思いがけないところで役に立つ可能性が高まっているわけですよね。
ノーベル賞受賞者が順調に増えている日本が近年イグノーベル賞の常連となっていることも故無きことではなくて、研究というものはいかにもそこにお宝がありそうなところばかり掘っていたのでは人と同じような結果しか出てこないものでもあるわけですから、誰も考えたこともないような研究をやっているというのはそれだけで価値があるという考え方が出来るかと思います。
しかし最近は大学入試改革とやらで点数だけの一元的評価では駄目だ、もっと人物本位で潜在能力や将来性までも見ての選抜を行わなければと言っているようですけれども、いくら選抜方法を変えたところでその成果を活かすべき社会の方が目先の成果が挙げられなければ役立たず扱いされるようになっていくのでは、一体国としてどんな方向を目指しているのかがさっぱり見えてきません。

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コメント

産経はときどき変な医療記事を書きますから…
日医があまり関係なさそうな話も入ってるのに「日医など」とイメージ操作するのはずるいとは思いますけど。
こういうのって匿名関係者なるものをでっち上げて好き勝手に根も葉もない噂を語らせるやり方と同じことですよね。

投稿: ぽん太 | 2013年11月 6日 (水) 08時50分

消費税が医療機関にとって損税であり、来年4月からの負担が増えることには
一切触れてないですね。
信恵、3K。

投稿: 嫌われクン | 2013年11月 6日 (水) 09時22分

>産経はときどき変な医療記事を書きますから…

それでも日付以外はガセと言われる東スポよりは百万倍マシw

投稿: aaa | 2013年11月 6日 (水) 09時27分

>>「世界一になる理由は何があるんでしょうか?」

って言われて、もごもごって口ごもって、ろくに説明も反論もできなかったわけで・・・。

投稿: ?? | 2013年11月 6日 (水) 10時22分

「あなたが生きてる意味は何があるんでしょうか?」と言われれば大抵の人間は口ごもるだろうね

投稿: | 2013年11月 6日 (水) 10時26分

まあ日医が実際そこまでの権力を持っていたなら中の人ももう少し安心していられるのでしょうけれどもね。
とは言え少なくとも診療報酬実質値上げという空気ではないのは確かですから、それでは消費税増税分をどこで使うかと言うことが気になってきます。
医療関係で言えば介護にもっとお金を出すというのは妥当な落としどころかなとも思うのですが、どうも日医ら医療系団体はその辺りの動きには積極的でない印象ですしね。

投稿: 管理人nobu | 2013年11月 6日 (水) 10時54分

>およそ科学や技術に関わった経験のある身であれば鈴木章先生のこうした言葉の方が細かい理屈抜きですっと胃の腑に落ちるんじゃないかという気がします。

だからと言って無駄、非効率、不経済が無制限に正当化されるのか?
誰がカネ払うの?

社会に何の益があるのかを説明できないような研究をやっていて、恥ずかしくないのか。

>消費税が医療機関にとって損税であり、来年4月からの負担が増えることには
>一切触れてないですね。

あのねえ、日医が強権を行使して「非課税」なる特権制度を導入したんですけど。

そんで、「特権だと思って導入したけど、実は損税だった」と自分のバカさ加減を自白した幹部まで居るわけです。

このような専門バカを生んでしまった教育をもっと考察し、無駄な支出を減らして、バカな研究を無くしていかないといけないですね。

ドイツを見習って、バカな開業医を抑制していく方針も、無駄削減のために必要です。

投稿: 記者 | 2013年11月16日 (土) 02時20分

>「あなたが生きてる意味は何があるんでしょうか?」と言われれば大抵の人間は口ごもるだろうね


警官は治安を守る、パン屋はパンを焼いて売る、デザイナーは快適で美しいものを考案する、パチンコ屋は玉を打つ楽しさを提供する…

などと各々その従事するところの職業の、社会への貢献を即答できないといけないのです。

「一位になることが何の役に立つのか」と言われて、答えられないような 恥晒し ごく潰し は、北朝鮮に亡命したもらって結構。

自分が役立たずであると自白するようなバカ研究者に血税をばら撒く必要があるんでしょうか?

事業仕分けを永続させ、財務省によるコストカットを徹底していくことが必要と考えます。

税金で食ってる分際で、ごちゃごちゃ文句言うのは、筋が通らない話ですね

嫌なら帰っていいんですよ。

辞めるぞ? 辞めるぞ? いいのか?(チラッ

さっさと辞めろや(爆笑

俺はこれからも税金で食ってる寄生虫を叩き続けるよ

かかって来い

これは言論闘争の宣戦布告や。

コラ、バカ日医、バカ開業医、バカ研究者ども。血税に寄生するお前らを、俺たちはペンの力で淘汰するんや。

投稿: 記者 | 2013年11月16日 (土) 02時29分

言い忘れた

俺ら報道人の役割は真実と正義による国民利益の向上や。つまり既得権益を潰し、税金に寄生する鬼畜どもを駆除する。

税金で食ってる無駄、無能、無責任な寄生虫強盗医師ども、かかって来い。

税金ドロボー貴族集団、腐敗権力者の日医は、俺が潰す。

情報戦争だ。

ペンの力を舐めるな。

投稿: 記者 | 2013年11月16日 (土) 02時33分

( ̄(工) ̄)

投稿: | 2013年11月16日 (土) 06時30分

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