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2013年11月30日 (土)

炎上騒動の多発が呼び寄せるもの

いわゆる馬鹿発見器騒動も一向に沈静化する様子がないようで、SNS上で赤ん坊に煙草を吸わせている写真を公開した親が虐待だと大騒ぎになったり、逆に路上喫煙者の顔写真多数を公開した「受動喫煙加害者の実態調査」なるアカウントが炎上したりと、何やらユーザー同士互いに馬鹿ぶりを張り合っているかのようにも見えますよね。
「ニコニコ」等のネットサービスを運営するドワンゴの川上会長が「ネット炎上を起こしているのは現実社会に居場所のない人のねたみ」などと発言した直後に当のドワンゴ社員と見られる人物がUIに文句をつけるユーザーに「全員殺して回りたい」とつぶやき炎上するなど奇妙なシンクロめいた現象も見られるというのは、関連しそうな話題が容易に結びつけられやすいネットの特性ではないかという気がします。
こうしたネットの特性を考えるとひと頃話題になったステマ騒動などよりもむしろ注意しておきたいのが炎上と言う現象を能動的にコントロールし利用しようと考える人々が必ずいるはずだと言うことなんですが、例えば先日海外で話題になったというこういうケースを取り上げてみましょう。

サムスンギャラクシー広告で「珍騒動」 「ペニスは指よりも強し」はジョークなのか(2013年11月27日J-CASTニュース)

  韓国サムスン電子のタブレット型端末「ギャラクシーノート10.1」の広告が、海外で話題になっている。きっかけはツイッターに投稿された、この製品の屋外広告を写した画像だ。
   キャッチコピーは英文でこう書かれている。「ペニスは指よりも強し」。過激すぎるこの表現、本当にサムスンが決めたのだろうか。

フォトショップのジョークか、こずるいマーケティングか

   問題の画像は2013年11月22日、海外に住むコンピューター機器の専門家がツイッターに投稿した。横長の看板広告には確かに「ペニスは指よりも強し(The penis, mightier than the finger.)」とある。リツイートした人たちからは「ウソでしょ」「こりゃ面白いな」との感想、真偽は不明だが「(パキスタンの)カラチにあったぞ」という「目撃談」、さらには「英文として正確じゃない」との真面目な指摘もあった。
   一方で、画像編集加工ソフト「フォトショップ」を使って実際にある画像をもとに勝手に偽造したのではないかという疑いを指摘する人も多い。サムスンが、わざわざ自社を貶める下品な宣伝文句を広める必要がないだろう、というわけだ。
   オンラインITニュースサイト「ギズモード」英国版は11月25日、「まず間違いなくフォトショで加工された画像だろう」としつつも、ツイッターユーザーはこの屋外広告がエジプト、パキスタン、フランス、ケニアで掲示されていたと主張していると伝えた。記事の最後は「フォトショによる壮大なジョークか、はたまたサムスンがこずるいマーケティング手法を持ち出してきたのか」と締めくくられている。

   近年では「炎上マーケティング」が話題になることがある。製品やサービスを宣伝するために、あえて世間の批判を浴びるような言動、行動に出るのだ。メディアが報じれば、ある意味で宣伝費をかけずにアピールできる。ただ無名の製品ならともかく、ギャラクシーブランドはスマートフォン、タブレット型端末で米アップルの「アイフォーン(iPhone)」「アイパッド(iPad)」と双璧だ。わざわざ悪い印象を世界的にばらまく必然性やメリットはないようにも思える。
   サムスン電子ジャパンに取材すると、「ギャラクシーノート10.1」の正式なキャッチコピーは「ペンは指よりも強し(The pen is mightier than the finger.)」と説明した。「ペンは剣よりも強し」をもじったとみられる。画面をペン入力できる特色を、古くからのことわざになぞらえたコピーのようだ。
(略)

もちろん当の企業側では問題になっている広告を意図的なものではないと言っていて、実際誰かが画像加工をしたと言う説もあるようですが、よくよく見ますと単にあるべき空白が抜けていると言うだけでなく不自然なカンマが挿入されるなど「誤植」と言い訳できる細工とも取れる仕上がりになっていることから、やはり意図的な炎上騒動を狙ったのでは?と言う意見も根強くあるようです。
有閑マダムが永年顧客になるような伝統的ブランドなどではまた別なのでしょうが、こうしたデジタルガジェットの顧客と言えば比較的若年層で性能メインに選択するという方々も多いですから「まずは知名度」で売り込むのもそれなりに有効な戦略でしょうし、同社も「我が社のイメージを損なった!」と積極的な対応を取っているわけでもないらしいあたり、少なくとも大きなマイナスとは考えていないという様子が透けて見えますよね。
ステマのようにあまり褒め殺しになり過ぎても世間の反発を招きやすいことを考えると、今回の騒動も広報戦略の一環であったとしたらシンプルにどこか自虐的な笑いを取るという点でもなかなか秀逸であったと思いますが、ともかくこの意図的な炎上騒動を起こそうとする主体の意図は様々なものがあって、中には彼らがネットに何を求めているのか?と思わせる事件も発生しているようです。

中3少女がFC2で“飛び降り自殺”を動画配信 ネットに救いを求める10代の悲痛な叫び(2013年11月27日EXドロイド)

滋賀県近江八幡市で中学3年の女子生徒(14)が自殺した事件がネット上で波紋を広げている。自殺の一部始終が動画配信サイトで生中継されていた可能性が強まったためだ。

11月24日午前4時ごろ、同市のマンション敷地内で倒れている女子生徒が新聞配達員によって発見され、約3時間後に搬送先の病院で死亡した。13階と14階の間にある踊り場にゴミ箱があったことから、それを足場に飛び降り自殺をしたとみられている。
このニュースが同日昼ごろにテレビなどで流れると、一部ネット上では「あの動画配信の子じゃ…」と騒ぎになった。事件の直前、動画配信サービス「FC2ライブ」で“自殺中継”を放送していたJC3(※中学3年生)を自称するユーザーがいた。このユーザーは事件の約1週間前、某掲示板に「自殺配信がしたい、ニュー速にスレがたったりするのかなあ」「iPhoneは手すりに置きます。私はそのカメラに映るように、ちゃんとグロくなるようにしっかり落ちてあげます。そして伝説になるんです」などと自殺をほのめかす書き込みもしていた。
当日の放送は開始時点で自殺が心配されていたらしく、配信中に少女が急に部屋から飛び出すと視聴者たちは止めるために「危ないよ!」「あほ、やめろ」「部屋に戻りなさい」などと必死にコメントを送った。だが制止も虚しく、少女はマンションの踊り場らしき場所で踏み台に上り、柵を乗り越えて飛び降りてしまった。直後、ドーンという大きな落下音が響き、リアルタイムで視聴していたユーザーたちは「まじかよ」「なんかの間違いだろ」と困惑。配信に使っていたスマホは踊り場に落下し、しばらく廊下が映されたままだった。

当初、この放送は話題作りのための偽装ではないかとも疑われていた。少女はFC2だけでなく、ニコニコ生放送やTwitCasting(ツイキャス)、Ustreamなど様々な動画配信サービスで配信を繰り返し、一部で名の知られた存在だった。「エロいメンヘラ処女jc」などと題した配信で相当数の視聴者を集めたこともあり、ニコ生のコミュニティのメンバーも750人を超えている。
それだけに更なる注目を集めようという目的や、いわゆる「かまってちゃん」の狂言だった可能性が指摘されていた。しかし、中3少女の自殺の現場としてテレビに映ったマンションと、動画中継に映った配信場所の特徴が酷似しており、同一人物だった可能性が急激に強まった。この事態を警察側も把握しており、動画と事件の関連性を調べているという。また、飛び降りたとみられる現場にはスマホが落ちていたことが分かっており、その可能性は濃厚になっている。

この異常事態の背景には何があったのだろうか。
「少女は学校に友人がおらず、家族との関係もうまくいっていなかったことをにおわせていた。現実世界で孤独に陥った彼女が、唯一輝ける場所としてネットに救いを求めたのでしょう。しかし、他者とのつながりを求めてネット配信をしても寄ってくるのはエロ目的のロリコンが大半で救いにはならなかった。身近に信頼できる理解者がいなかったことが最大の悲劇だったようです。また最近、関西地方で女子中学生の自殺が相次いでいることも影響したのかもしれません」(週刊誌記者)

今回の件に限らず、生放送サイトでは注目を集めるために過激な行動をするユーザーが少なくない。かねてから「脱ぎ配信」と呼ばれるセクシー放送や、犯罪や迷惑行為の配信などといった一般ユーザーの暴走が頻発していたが、自らの命まで“ネタ”にしたというのだろうか。
いくらネットでチヤホヤされても本当に心が救われることはない。現実世界で空いた心の穴は現実で埋めるしかないのだ。それでもネットしか居場所がなく、人生最期の瞬間まで捧げてしまった少女は何を求めていたのか。こういった事件があると未成年のネット利用を規制するべきとの安易な意見も上がるが、それよりも先に大人たちは今一度、子供たちに今何が必要なのかを真剣に考えるべきではないだろうか。(佐藤勇馬)

「自殺を、センセーショナルに扱わない」「自殺の報道を目立つところに掲載したり、過剰に、そして繰り返し報道しない」「自殺既遂や未遂に用いられた手段を詳しく伝えない」というWHOのガイドラインもあってか大手メディアはほとんどこの事件をスルーしている状況ですけれども、滋賀と言えば先のいじめ自殺事件があれだけ大々的に取り上げられた土地柄だけに、報道の格差に違和感を感じる人々も多いようですね。
お亡くなりになられた中学生はご冥福をお祈りすべきなのか、何故こうした極端な方法論に走ってしまったかと叱責すべきなのか微妙なところなのですけれども、思うにかつて人間の生死が身近で当たり前のものだった戦国の世では「死んで後世に名を残す」と言う価値観がごく一般的なものだったものだったと言いますし、つい数十年前の戦争のあった時代にも戦没者の名前はきちんと後世に伝えられていますよね。
平和な現代にあっては「その他大勢」に過ぎない一般人はあっという間に忘れられ名を残すことなど無理な状況ですけれども、こうして動画が残り炎上騒動に発展すれば後々にまで「ああ、あの時の…」と記憶と記録にとどめられることは確実で、考えてみるとこれは死を対価にしてでもとと言う価値観を持っている人々にとっては非常に大きなパラダイムシフトであるとも言えそうです。

こうした認識が世間一般に広まってきますと、自殺に限らず劇場型の犯罪行為なども一気に多発してくる可能性がありますが、その結果一つには目立つ犯罪が増えて社会全般が騒然としてくる、マスコミなども盛んに「ネットの弊害が」云々と取り上げると言った調子で、何かしら世の中大変な騒ぎになってしまうように感じられるかも知れません。
一方でマスコミが盛んに「凶悪犯罪が多発している!」「少年犯罪が社会問題化した!」などと煽り立てるのに反して凶悪犯罪少年犯罪も一貫して減少しているという事実を前にすると、果たしてマスコミがセンセーショナルに取り上げるように社会的害悪となるのかどうかを考えずにはいられませんが、近年の記憶に新しい大規模犯罪で少なくない犯人達が大きなことをして世間を騒がせたかったと言っていたことが気になります。
これは全くの想像ですが少々の事件を起こしたくらいでは世間に騒がれることがない、それなら後々まで語り継がれるほどの大事件を起こしてやろうと思って街中で刃物を振り回したりするような事件が一定数起こっているのだとすれば、それこそちょっとしたつぶやき一つで世間から大きく取り上げられるという現代のネット社会は満足に至る実行動の閾値を大きく引き下げる可能性もありますよね。
今後何かしらの事件を起こしてそれをネット中継するという行為がどれほど流行するかは判りませんが、大事件を起こさずとも世間の注目を集められると言うことを知ったとき反社会的行動がどのように変化していくのかということは、単に「またもネットが犯罪を引き起こした!」とセンセーショナルに騒ぎ立てるだけでなくきちんと検証し確認していかなければならない気がします。

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コメント

落下生中継はトラウマものだろうなあ

投稿: | 2013年11月30日 (土) 10時19分

飛び降り事件そのものをはじめて知りました。
こんなことで有名になってどうするんだろう。
バカですよ…

投稿: ぽん太 | 2013年11月30日 (土) 10時44分

 報道で広めて欲しくないニュースですね。下手すると“次"はスマホを握りしめたまま落下して“数秒間の有名人"になる人がでるかも。
 うっかり見た人には一生のトラウマになるかもしれません。

投稿: 外郎 | 2013年11月30日 (土) 15時22分

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