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2013年10月 8日 (火)

温存すべき病院は一つだけ?

近頃の病院の経営状態と言うことに関連して先日こういう記事が出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。

自治体病院、昨年度に赤字は49.6%- 総務省調べ、前年度から微増(2013年10月3日CBニュース)

 総務省が取りまとめた「公立病院改革プラン」の実施状況の調査結果によると、全国897の自治体病院のうち、昨年度の経常収支が赤字だった病院の割合は49.6%(445病院)だった。赤字病院の割合は2008年度の70.3%から大幅に減少したが、11年度(46.6%)からでは3ポイントの増。また、東日本大震災に被災した地域を除く766病院の赤字割合は49.2%(377病院)で、前年度から3.5ポイント増えた。

 「公立病院改革」は、国のガイドラインに従って各自治体が08年に策定した改革プランに沿ったもので、▽給与の適正化や経費節減といった「経営効率化」▽病院統合など「再編・ネットワーク化」▽民間への事業譲渡など「経営形態の見直し」-が柱。対象期間は09年からの5年間(経営効率化は3年間)で、同省が実施状況を毎年調査している。

 経営効率化プランの対象期間は既に終わっているが、今回の調査結果によると、629病院では「職員給与費比率(対医業収益)」の目標を引き続き設定していた。このうち目標を達成したのは290病院(46.1%)だった。

 また、これまでに再編・ネットワーク化の計画を策定済みなのは、09年度以降に新設された2病院を除く895病院のうち396病院(44.2%)、今年度内に策定を予定しているのが44病院だった。このほかは、「策定を検討中」が227病院(25.4%)、「実施予定なし」が228病院(25.5%)。

 09年度から昨年度にかけて経営形態を見直したのは212病院で、うち13病院が民間譲渡だった。このほか44病院が、今年度内に経営形態の見直しを予定している。【兼松昭夫】

自治体病院など公立病院の場合注意すべきなのは黒字だ黒字だと言っても、自治体からの繰入金(実質的な赤字穴埋め)を込みにすれば黒字という場合が多くて信用ならないところがありますけれども、それを込みで考えてもひと頃の医療費削減政策が絶讚推進中だった時代に比べれば、今回やや悪かったとは言え全般的に病院経営も持ち直してきているとは言えそうです。
医療費もどこまで下げられるかを競っていたような時代が過ぎて、一応これ以上は下げるとやばいという最低線は何となく明らかになったようにも思いますけれども、一方で医療と言うものが長年診療報酬設定によってその運営体制を時々刻々と変化させてきた以上、より医療費もかからず質的向上を果たせるやり方に医療を誘導したいとは国も当然に願っていることでしょう。
ひと頃は医療崩壊という現象と絡めて救急崩壊ということが言われ、例の7:1看護など急性期に手厚く報いるということが当たり前のように行われてきましたけれども、病院経営がやや持ち直してきている現状を見計らってか最近少しばかり風向きが変わってきたのか?とも思わされる報道が続いています。

診療報酬、高度急性期病院からリハビリ病院を優遇へ(2013年9月7日産経新聞)

 厚生労働省は6日、看護師を手厚く配置すれば高額の診療報酬を得られる現行の制度を見直す方針を決めた。入院患者7人に対し看護師1人以上を配置しながらも脳梗塞や心臓病などを治療する「高度急性期病院」としての機能を有していない病院を減らし、病床不足が指摘されているリハビリ病院を増やすのが目的だ。来年2月に中央社会保険医療協議会で示す2年に1度の診療報酬改定案の目玉として盛り込む。

 田村憲久厚生労働相は6日、大阪市内で講演し、「必要なときに必要な医療を受けられるよう、適切な病床数を確保していく」と述べ、リハビリ病院を増やすよう病院機能の再編を促す考えを示した。

 現行制度では、高度急性期病院に対し、短期入院で済む治療をこなしても診療報酬として高額な入院基本料が支払われている。しかし、患者の症状とは無関係に看護師を増やせば高度急性期病院としての診療報酬を得られることになり、長期入院患者のケアだけでも制度を利用する問題が生じていた。

 改定案では、内視鏡による結腸ポリープ手術や睡眠時無呼吸症候群検査など2~3日の短い入院で済む治療に対し、入院にかかわる診療報酬を減らす。逆に、リハビリ病院での医療行為や、在宅医療を推進する病院には診療報酬の点数を上げる

 厚労省は平成18年、看護師1人が受け持つ入院患者数で決まる入院基本料を変更、従来の患者「15、13、10人」の各区分に加え「7人」を新設した。

 これにより、外形的に基準を満たす病院は割り増し報酬を得られることになり、患者の症状とは無関係に「7人」の病床数を増設する病院が相次いでいる。「7人」の病床数は18年には4万4千床だったのが、22年には32万8千床になった。一方、リハビリ用ベッドは、22年は6万6千床にとどまっている。

 厚労省がその後、それぞれのベッド需要を試算したところ、37年では高度急性期用は18万、リハビリ用は26万床必要になることが判明、病院機能の再編が急務となった。

原医政局長、高度急性期は各県1か所めど- 看護師25年まで200万人規模に(2013年10月5日CBニュース)

 厚生労働省の原徳壽医政局長は4日、日本医師会の「社会保険指導者講習会」 で講演し、手厚い治療が必要な急性期患者を受け入れる「高度急性期機能」の病 院について、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、都道府県ごとに1か 所ずつをめどに整備する考えを示した。また、明らかに高度な医療を提供してい る病院のイメージとして、「県によっては県立中央病院とか、大学病院の地域医 療機能の指定を取っている部分」と説明した。

 原局長は講演で、高度急性期病院について、「そんなにたくさん作る必要はな い。二次医療圏に1つも作る必要がない、というか作れないと思う」と述べた。 人口規模にも配慮しながら、こうした病院を都道府県単位に整備し、急性期の状 態を終えた患者を自宅近くの回復期病院が受け入れる形を想定している。

 また、看護師の数を11年現在の約150万人程度から、25年までに200万人規模に 増やす必要があるとの認識も示した。この期間に50万人(33%)の確保を目指す ことになり、うち30万人程度は、看護師養成所の増設を通じた自然増を見込んで いる。残りは、看護師の資格を持ちながら医療現場を離れている「潜在看護師」 の掘り起こしや、離職防止に向けた環境整備などで対応する。

 一方、医師の必要数は、「30数万人程度」とした。ただ、「最近は毎年4000人 余りが増えているし、来年、再来年辺りになると卒業生が数百人程度増える」と 語り、これらによって必要数を確保できるとの見通しを示した。

 原局長は、これら医療従事者を有効活用する必要性を繰り返し強調。高齢化の 進展に伴って医療ニーズが急激に増加すると見込まれるためで、そのためにも病 院・病床の機能分化を着実に進める必要があると指摘した。

 この日は、同省保険局の宇都宮啓医療課長も講演し、来年度の診療報酬改定に 向けた論点として、かかりつけ医機能の評価(外来医療)、在宅療養支援診療所 と同病院の評価(在宅医療)などを挙げた。【兼松昭夫】

この話にも二通りの見方があると思いますが、一つには従来急性期を手厚くすれば救急も何とかなると思ってそちらに重点投資していた、ところが実際には急性期からの出口、受け皿となる回復期の病床がなければ急性期のベッドを空けることが出来ず、結局救急崩壊は是正されないということにようやく気付いたという考え方がありますよね。
特に7:1看護によって大学病院などに働きもしない看護婦が多数抱え込まれた結果実際に患者の面倒を見ている市中病院で深刻な看護師不足が発生したことは記憶に新しいところですけれども、当然ながら適切に働いてもいないのに診療報酬加算の恩恵だけを受けるような「なんちゃって」救急病床などいらないという考えは妥当だと思います。
ただもう一つ気になることとしてわざわざ厚労省の医政局長が高度急性期病院について「そんなにたくさん作る必要はな い。二次医療圏に1つも作る必要がない、というか作れないと思う」と言及していることですが、一県に一つとなれば当然その候補の筆頭に各県一つは確実に存在する大学病院が挙がると思います。
厚労省がかねて医師集約化を推し進めようとしていることは周知の通りですが、仮にその集約先として大学病院を想定しているのであればこれはいささか問題無しとしないところで、世論的に見ても「せっかく解体した白い巨塔を厚労省がわざわざ復活?!」と言われかねないですよね。

おもしろいことに同局長は医師数に対しても「毎年4000人余りが増えている」と現状のままでも医師不足解消間近しと言っていて、先日総理直々に医学部新設を検討するよう文科相に指示したという話と好対照をなしているのですが、いずれにしても厚労省としては看護師不足にしても医師不足にしても絶対数の不足よりも偏在の解消を重視しているという立場なのでしょうか。
その方法論として大学病院への一極集中と言うのも無理がある話にも思えますが、注目すべきは近く専門医制度改革が実施される見通しとなり専門医資格の取得も維持も今までよりもずっと厳しくなる、言い方を変えれば厚労省が潰したがっている中途半端な規模の中小病院にとっては専門医の認定施設も外れますます研修医からそっぽを向かれる可能性が高いということです。
先日日経メディカルに「地域枠は専門医を取れない?」という記事が載っていて、必要とする研修期間の関係で地域枠からの新卒医師は御礼奉公期間中に内科小児科を含めた多くの専門医資格を物理的に取れない可能性があると言うのですけれども、新専門医の認定においては例えば大学病院に籍を置いて地域病院に派遣されるだとか、逆に市中病院から大学病院に研修に行くという道もありになるようです。
大学病院であれば単なる医療機関として以上に文科省も絡んだ教育機関としての側面もありますから亀田のように好き放題している市中病院よりもよほど国の統制が及ぼしやすいのではないかとも思いますけれども、そこに新たな権威付けをし権限も与えることで医師を集約化すれば、ごく少数の頭を押さえるだけで医師達のコントロールはしやすくはなる理屈ですよね。

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コメント

けっきょくはいつもと同じくやりすぎたことに対するゆりもどしなんですよね。
次はどうやって老健増やすかってことで無茶ぶりしそうな悪寒が。
毎回乗り遅れずに真っ先に乗り換えていけばおいしいとこ取りできるんでしょうけど…

投稿: ぽん太 | 2013年10月 8日 (火) 09時02分

「医師数は十分、課題は看護師」、厚労省医政局長
http://www.m3.com/news/GENERAL/2013/10/7/182236/?portalId=mailmag&mmp=MD131007&dcf_doctor=true&mc.l=21295804

投稿: | 2013年10月 8日 (火) 09時06分

医療をピラミッド構造として構築してきたわけですから、トップばかり分厚くしても結局トップに仕事が集まるだけでかえって非効率なのは当然ではありますね。
どこの病院よりも医師数が多い大学病院で医師達が点滴を刺したり伝票を運んだりしていて一向に仕事がはかどらないのがそれを端的に物語っていると思います。
その是正をどうやっていくべきなのか、リハビリ施設というよりもERに対するバックベッドのようなものの需要こそ大きいんじゃないかと思っているのですが、厚労省がどこまで考えてやっているのでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2013年10月 8日 (火) 11時12分

大学病院に急患が集中したら医者が今以上に走り回らないといけないなw

投稿: aaa | 2013年10月 8日 (火) 12時00分

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