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2013年10月 7日 (月)

本日は薬剤師に関わる話ですが

先日の日本薬剤師会の学術大会に出向いた日医の鈴木邦彦常任理事が、「すべてが日医の見解ではない」と断りながらも当の薬剤師会が推進してきた医薬分業について「成果はあまり明らかではない」「保険薬局の収入が診療所よりも高い」「母屋でおかゆをすすっているのに離れですき焼きを食べているようなもの」と散々に批判したと話題になっていました。
発言内容の是非はまた別として、どうも日医幹部から「医師の間で言われていることだ」などと言われると何とも違和感を抱かざるを得ないのですけれども、儲けすぎ批判はともかく医薬分業を果たしたからにはこと薬に関することにはもっと薬剤師会らに頑張っていただきたいとは思うところですね。
今まで医療に関することに関してはやはり医師が第一で、例えば手術や検査に使う道具などは医師とメーカーが二人三脚で改良を進めてきたわけですが、では薬の改良は薬剤師とメーカーが共同でやってきたかと言えばそういう訳ではなく、やはりこれまた医師とメーカーとが主導してやってきたという事実があります。
もちろん医学的知見を背景にこれこれの効能を有する薬が欲しいといった話に関して医師が関与するのは判るのですが、例えば喘息治療などで使う吸入薬などは正しい吸入法が出来ているかどうかで効果が全く変わってくる、ところが実際に患者に吸入法を指導しているのは医師ではなく薬剤師なのですから、正しく確実に使える吸入薬を開発するなら医師よりも薬剤師の意見の方が重要ではないかという考え方もありそうですね。
先日はこういう記事が出ていましたけれども、これなども毎回内視鏡医が「先日当院でこんな症例がありました」と発表して終わりにするだけではなく、薬剤師側からももっと積極的に改善策を提言してもよさそうなケースに思います。

PTPシート誤飲減らず 2年間で26件 日本医療機能評価機構が再注意(2013年9月19日ミクスオンライン)

日本医療機能評価機構は9月17日、医療従事者が注意すべき行為について注意喚起する「医療安全情報」(No.82)を発表した。11年8月にPTPの誤飲を注意喚起したが、その後の2年間の報告が26件と減らないことから再び注意を呼びかけた。多くが医療者側からPTPシートを1錠ごと切り離して患者に渡し、そのまま患者が服用してしまうケースだったという。同情報では、患者にはPTPから取り出して渡すことのほか、患者には切り離さずにPTPから取り出して服用することを伝えることを求めている。

PTPシートの角は鋭利なため、のどや食道、胃・腸を傷つけるおそれがある。厚労省は10年に、医療関係者に調剤・与薬時等に不必要にハサミなどで1つずつPTPシートを切り離さないよことや、一包化も検討することなどを呼びかけていた。

PTP誤飲症例に遭遇する頻度を考えると2年間で26例なんてことはないと思いますが、あのPTPシートと言うものも作る側にとっては便利なものなのかも知れませんが利用者側としてはさして便利なものでもなく、指先の弱った高齢者がパッケージからうまく取り出せなくて苦労しているということは薬剤師なら当然に知っているはずです。
パッケージ自体が硬く折り取った角が鋭利であるというのは誤飲の際に大事故につながりやすいと言うことでもありますし、硬くて折り曲げるにも力がいるのですから内視鏡で取り出すのも一苦労というものですが、別に錠剤が綺麗に並んでいるのが見える必要性もなさそうなのですからもっと柔らかいパッケージでもいいだろうし、どうしても実物画像が必要なら表面に印刷でもすればいいようにも思います。
以前に厚労省から製薬団体に対して注意喚起と共に技術的改善の通知が出された際にも、問題点を列挙しこれこれこうすべきではないかと意見を述べているのは誤飲の後始末をしている医師であって、いわば原因を作る側の薬剤師会は単に注意喚起の受け手にしかなっていないというのは、10万人規模の会員数を誇り今や医薬分離も果たした専門職団体として主体性に問題があるんじゃないかという気もしますね。
薬ということに関してはもう一つこういう気になるニュースも出ていたのですが、一昔前なら「薬価差益減って医師会涙目w」などと騒がれていたかも知れませんけれども、医薬分業を果たした今となってはむしろ調剤薬局の利益率に多大な影響を及ぼしかねない話ですよね。

薬の「費用対効果」とは?(2013年9月22日読売新聞)

薬効に見合う価格か検討

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)が、薬の価格(薬価)について、その「費用対効果」も考慮して設定するかどうか、議論を進めています。
 今月上旬に中間の論点整理案をまとめ、来年度の診療報酬改定から試験的に導入できるか検討しています。

 ――薬の費用対効果とは何ですか。

 「薬には、生存期間を延ばしたり症状を和らげたりする効果を期待できますが、副作用で患者を苦しめる場合もあります。こうした点を踏まえ、薬価について、その効果にふさわしい価格が設定されているかを見極めよう、という考え方です」

 ――なぜ今、議論しているのですか。

 「新型抗がん剤の登場など医療技術の革新や高齢化が進み、医療費は毎年増えています。一方で財源は限られており、このままでは公的医療保険制度を維持するのが難しいという危機感が背景にあります。そのため、効率的な医療費の使い方を考える必要に迫られています」
 「例えば、ある抗がん剤を使う場合、費用は1000万円近くかかるものの、既存薬と比べた延命効果は1か月半程度にとどまる、と試算されています。高血圧の治療薬を服用する人は800万人いるとされていますが、例えば1日100円分かかる薬を全員が飲むとすると、年間費用は3000億円に達します」

 ――費用対効果はどう調べるのでしょうか。

 「それぞれの薬で、延命や症状緩和の効果を得るのにかかる費用を計算します。効果には、服用した際の生存期間と生活の質を組み合わせて算出する指標『QALY(クオリー)』が、スウェーデンや英国など諸外国で広く使われています」
 「費用は薬剤費や検査費などの医療費を積算します。新薬では既存薬に比べ、1クオリーあたり、どの程度費用が増えるかを分析します」
 「論点整理案では、対象に手術なども含めましたが、患者の少ない病気の治療は外しました。効果の指標にはクオリーと合わせ、生存期間や治癒率も挙げました。費用面では、仕事ができない経済的な損失や介護費も加えられるよう、方向性が示されました」

 ――計算の結果をどのように活用するのですか。

 「効果に対して薬の費用があまりに高いとみなされれば、スウェーデンのように公的医療の給付対象から外したり、オーストラリアのように給付額を下げたりします。英国では、既存薬と比べて新薬にかかる費用の上昇が、1クオリーあたり2万~3万ポンド(310万~480万円)以下ならば、公的医療から給付する、という目安が国立医療技術評価機構(NICE)から示されています」
 「今後、費用対効果の手法について、日本の公的医療保険制度に適した導入方法が議論される見通しですが、論点整理案では、保険適用から外したり、薬価を上げ下げしたりするのに使う案が示されました」
 「ただ、計算結果を機械的に保険給付の方針に反映させるわけではありません。終末期の患者向けの薬は効果が高いとみなすなど社会的影響も考慮し評価したうえで、公的医療保険で賄うかを決定する方向です」

 ――導入に関し、注意点はありますか。

 「英国では、一部の抗がん剤を公的医療の給付対象から外したところ、治療を受けられない患者の不満が高まる事態が起きました。薬価が下げられれば、原価割れを避けるため、製薬企業による販売控えも想定されます。患者に必要な薬が届かない事態が起きないよう、制度作りには十分な配慮が必要です」
 「また、英国では高血圧薬の処方に費用対効果の観点を加味し、同じ効果なら安価な薬を薦めたりする指針を国と学会が策定しています。日本でも処方に費用対効果の観点を取り入れてもいいでしょう」(米山粛彦)

この医療における費用対効果という議論は昨今注目されるようになってきた話で、すでに昨夏の段階で国が医療保険制度に費用対効果の考え方を導入する気だという報道が流れていた、そして医薬分業的考え方からすると当然その検証対象として医療行為そのものと薬剤の選択という二つの対象が大きく取り上げられると考えられますよね。
このうち前者の医療行為の部分に関しては、例えば「予後極めて不良な進行癌に手術をすることは無駄ではないか」などと言う話が非常に議論が分かれそうなことからも容易に理解出来るように、かなりアナログ的で境界不明瞭な領域も多いことからすっぱりとこれは無駄、これは有効と判断しかねる部分が多いだろうと考えられます。
これに対して医療費の1/4を占めるとされるのが薬剤費ですが、こちらは大規模臨床試験などが日常的に行われているように比較的明確な数字を出しやすい、しかも多くの場合「この薬でなければ治療できない」ということはなく別な治療法が複数種類あるのが普通ですから、記事の論調にも見て取れるように何かしら非効率的だと切り捨てが行われるとすれば真っ先にこちらが狙われそうですよね。

一昔前ならそれこそ日医あたりも「医師の処方権を侵害する許し難き暴挙だ!」などと熱心に反対してくれたかも知れませんが、医薬分業で薬価差益と言ううまみも手放した以上は基本的に薬価のことまでは知ったことではないという話になりかねず、むしろ定額払いのDPCが主流になるにつれ出来高算定できない薬剤コストなど安ければ安いほどいいということになりそうです。
調剤薬局の儲け云々はともかくとしても、本当にその薬が患者にとって必要なものなのに制度改変で利用しにくくなるということがあるなら薬剤師会も能動的に動く必要があるんじゃないかと思うのですが、どうも日医などの露出の多さに慣らされてしまっているせいかこれまたさっぱり何を考えているのか判らないほど露出不足に感じられて仕方がないのは自分だけでしょうか?
ともかくも薬学部も6年制になって今後はますます師業としての専門性も求められていくと思いますが、当然ながらそれに見合った専門的知見の発信力と言うことも求められるはずで、単に薬局で袋詰めさえしていればそれで仕事は終わりというわけにはいかないのは当然ですし、何より医師の側にも単なる下請け扱いなどではなく同じ専門職として良好なパートナーシップを構築出来るよう相応の度量が求められる気がしますね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

薬剤師はまず医療について勉強してから臨床現場に出てきてください
薬のパッケージだけ見てても医療の真実は見えてきません

投稿: コンデコマ | 2013年10月 7日 (月) 08時08分

薬剤師が主張し始めたらたいていの医師はおもしろくないんじゃなかろうかと。
船頭多くして船山に上るという言葉もありますから指揮系統は一元化しておくのが無難でしょう。

投稿: ぽん太 | 2013年10月 7日 (月) 08時43分

薬剤師とヤ○ザ医師って似てるなw

投稿: aaa | 2013年10月 7日 (月) 09時47分

薬剤師が何を主張するかですね。
先日はこんな話を読みましたが、http://apital.asahi.com/article/takayama/2013100300017.html
これなどは「口出ししたければ勉強して出直してこい」てなもんですが、
見落としていた薬の相互作用を指摘してくれるのはありがたいですし(分かってて敢えてしている時は確かにイラッとしますが)、
服薬コンプライアンスを上げるための提案とかは積極的にしてもらっていいのではないでしょうか。

投稿: JSJ | 2013年10月 7日 (月) 09時50分

今後薬学部卒のレベルがどのように推移していくかも要注目なのですが、それよりも気になっているのが卒後教育のあり方です。
医師であれば院内症例検討会でボコボコにされたり、学会で集中砲火を浴びたりという機会が繰り返しありますから、嫌でもある程度のところまでは鍛えられると思います。
薬剤師教育がどういうものが適切なのかは何とも言いかねるのですが、見ていて何年経ってもさしたる向上もなさそうな方々もいらっしゃるようなのが気になりますね。
医薬分業で薬剤師が医師の管理下から離れたわけですから、当然薬剤師自身で自主的に質的管理を行っていく必要があると思います。

投稿: 管理人nobu | 2013年10月 7日 (月) 10時37分

院外薬局が間違えて処方箋と違う薬出したのにこっちにクレームが来た
独立したんだからミスの後始末も自分でちゃんとつけてもらいたい

投稿: | 2013年10月 7日 (月) 14時48分

日医の批判は、昔は開業医がすき焼きを食べ放題、盛り放題だったことの裏返しでしかなく、実りの乏しい議論です

医師会は技術料をしっかり認めさせることに全力投球すれば良いのにね

馬鹿な医師会代表が喋るほど、世間体が悪くなるように思えるのは、私だけかな???

投稿: Med_Law | 2013年10月 7日 (月) 16時32分

ノシ

投稿: | 2013年10月 7日 (月) 18時30分

うっせーな
金儲け医者が言えたことか
医師会は頭おかしい
医者が叩かれるのは当たり前

国民とジャーナリストに叩かれるのは極悪な職業の医師・ドカタ・官僚だけで十分や
自分らが嫌われてるからってこっちに罪を擦り付けんなよwwwwwww

欲張り村の村長さんよwwwwwwwwwww
自民党既得権益屋とつるんで、国民の血税や労働者の保険料を毟り取り、ウハウハや
アホの医師会はアホのくせに上から目線で説教…

ま、いまさら医師会の言うことを間に受ける愚者はいないと思うけど…
金儲け既得権益医者にゴチャゴチャ言われるんのは迷惑や

そんで医者が血税盗んで嫌われてるからと言って、マスコミに逆恨みかよ 鏡見ろよ

だいたいね。税金で食ってんだから激務とか労働基本権が無いとか、当たり前やろ。甘えんな。

税金で食ってる奴はねえ、特権階級なんだよ。分かります???

嫌なら、医療を自由化して市場で儲ければいい。金持ちも乞食も同じ医療。悪平等。おかしい

筆者は自民信者らしいから既得権益で上手い汁吸ってんだろうな

利権に塗れた馬鹿役人と御用学者と馬鹿医師が剤師叩きにもってこうとしてるだろが…

医者の強欲と医師会のおかしさはみんな知ってる
医師会は狂気の組織だ カネのためなら何でもやる狂った集団。
表面では共産主義のような平等を掲げ、裏では税金で豪遊や

投稿: 剤師 | 2013年10月11日 (金) 00時39分

それとな、マスコミが悪徳政治家と闘って何が悪い?
全く偏向していない報道などあるのか?
ニコニコ・2chのデタラメ世論調査(たちあがれ日本が投票予定2位で口曲がりの支持率が8割だった)の統計的デタラメさを説明すんだ??ネットは既得権益擁護と土建バラマキで偏向している。謝罪しろ!

ジャーナリストが正義の自分の意見を流して何が悪い? マスメディアってのはな、正義の意見を流す場所なんだよ。偏向して何が悪い?
文句あるか。嫌なら見るなよ

ゴロツキどもが徒党を組んで放送を抗議するなど、不良の恫喝に等しい 禁止すべきだ
だいたい、マスコミに出ている人は地位も教養もある人間。それを匿名の愚民が批判するのは思い上がりだ

私自身、学生時代には新聞部やってて既得権益派の教授を糾弾して汚い利権問題を告発し、叩き出した経験があるのでマスコミの反利権の闘いは理解できる
その時に多少の誤認や過剰さはあってあたりまえ 巨悪を叩く場合なら多少の編集改変は許される。

報道の自由があるのだから自由に記事書いて既得権派を叩くのは当然の権利。いやむしろ義務だ

それとな、医師優遇税制は廃止しろ。どこまで国民の血税に寄生しようと言うのか??

中卒の工場経営者のオッサンだって自分で申告してたぞ 医者が税申告が難しくてできない? 頭だいじょうぶ?? 甘えるなよ カス

これいじょう血税を貪り既得権益を守るなら、東電社員以上の「国民の敵」になるぞオマエラは。自覚してるのか

投稿: 剤師 | 2013年10月11日 (金) 01時14分

糞管理人へ

>見ていて何年経ってもさしたる向上もなさそうな方々もいらっしゃるようなのが気になりますね。

まず医師会の頭の悪さを更生して庶民感情、国民感情に沿い、世論に反しないように努力すべき。
医師会は政治ごっこを止めて口にガムテープでも貼って実直に働きなさい。
あと一切の自由競争を否定し既得権益を守ることが国民の利益などと妄言をほざいている輩が多いから経済学を勉強しなさいね。
あと医師会によれば医業は営利ではない、営利は悪とのことなので診療報酬を上げるなど論外です。
営利ではないのだから無償で労働すべきではないでしょうか???

投稿: 剤師 | 2013年10月11日 (金) 01時20分

投稿: JSJ | 2013年10月11日 (金) 08時13分

医師会は頭おかしいという点には激しく同意

投稿: penpenn | 2013年10月11日 (金) 08時41分

「国民の敵」は強大だからこそ脅威となるわけで
たいして税金を食ってるわけでもない貧しい薬剤師を叩いてもぜんぜんブームにならないと思うますね
必死に罪を擦り付けたい人がいるようですけど…

ところでほんの10年くらい前は手術すると謝礼なる違法な金銭を要求されたのですけど
これでも医者/医師会が叩かれるのはマスコミの陰謀、医療崩壊はマスコミのバッシングのせいと言えますか???

あの徳洲会は「謝礼廃止」を掲げて医師会と闘ったみたいですね
立派な人間でも長く権力を持つと堕落してしまうのでしょう 残念です

投稿: 剤師 | 2013年10月11日 (金) 11時44分

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