« 現場スタッフも患者も現状の改革が必要だと思っている? | トップページ | ネットオークションのリスクが絶讚増大中?! »

2013年10月25日 (金)

あちらこちらで診療報酬抑制の余波が

次回の診療報酬改定で診療報酬の伸びは抑制されるべきだとか、いやマイナス改定などあり得ないだとか様々に言われているようですけれども、いずれにせよ医療現場や厚労省、はたまた保険者側の思惑もさることながら、やはり莫大な国費を投じている事業であるだけに財務省の意向が決して無視できませんよね。
おかげで医療業界は各方面ともこの時期財務省の動向に注目しながら「うちは無駄遣いなんてしていない!これ以上診療報酬を削られたら終わりだ!」と釈明に必死なのですが、「医療費本体部分が厳しく制約されているのに対して柔道整復師などはルール無視でやりたい放題医療費を使っているじゃないか!」などと周辺業界にもこの医療費抑制問題が飛び火することがあり、中の人もこんな釈明に追われることになるようです。

【整体の常識非常識】良心的?不正請求?整骨院業界の光と闇(2013年10月4日zakzak)

 「整骨院って保険使えるんですか?」この業界にいるとかならず受ける質問。
 結論から言うと、「症状によっては使えるケースもある」。具体的には骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲。
 これらのケガを施術するときに保険が使える、というのが正解。しかも数日から数週間といった最近のケガに限られる。「でも実際に整骨院って、お年寄りの腰痛や肩こりの患者さんばっかりですよ?」その場合、整骨院ではある操作が行われている

 肩こり→手をついて転んだ際に肩をひねった→肩の捻挫
 腰痛→机を持ち上げた拍子に痛めた→腰の捻挫
 高齢者の膝の痛み→階段でつまづいて転んだ→膝の打撲

 これら架空のストーリーと傷病名を作り上げ保険請求。そして通い始めて3カ月も経てば、そろそろ慢性症状。その箇所は治ったことにして、また新たなケガのストーリーが追加される。これが整骨院が肩こりを保険でみてくれるカラクリ。
 「なんだ、完全に不正請求じゃないか!」実はそれも微妙な問題で、一概には言い切れない場合も。

 慢性的な肩こりの人が、手をついて肩をひねった。
 もともと腰痛だった人が、物を持ち上げてさらに痛めた。
 年齢的に膝が痛んでいた人が、たまたま転んだ。

 これらはどれも問題なく保険を適用できる。その線引きをどうするかは、整骨院側の良心と判断。ちなみに私自身はもともと保険を扱っていないので、直接関係のない話。ただクライアントの先生には節度を持って扱うよう、いつも注意を促している。
 たしかに保険を使えるといえば、集客しやすいし患者さんも喜ぶ。でも見つかって営業停止になったら、整骨院だけでなく結局患者さんも困ってしまうので要注意だ。
(略)

いや、医療の場合そういうのも含めて全部診療報酬不正請求でやり玉に挙げられるんですが…などと言いたくなる先生も多いかと思いますが、柔整に関わる診療報酬請求の実に1/3が大阪府からであるとか、照会状を送付しただけで請求が3割も減っただとか、とかく近年他の医療費支出が軒並み横ばいに抑制されている中でかの業界が突出して伸びていることには何か裏事情がありそうな臭いがぷんぷんしますよね。
さすがに国もこの状況には注目していて、今後はどんどん柔整にも厳しくしていくから今までのように好き放題保険併用で儲ける事は出来ないと中の人も嘆いているそうですけれども、柔整のみならず先日は医薬分業以降調剤薬局が儲けすぎだという指摘に財務省も注目していると言う報道があって、実際に調剤に関わる診療報酬見直しを厚労省に求めていく方針だということです。
さんざん好き放題儲けてきた連中ざまあwなどと他人事のように言っていられないのはもちろん医業の方も同様で、例えば先日も大いにマスコミを賑わせたいわゆる「患者紹介ビジネス」なるものについて厚労省が禁止だと言い出したようですね。

患者紹介ビジネス禁止へ 厚労省、高齢者施設20カ所で確認 (2013年10月23日日本経済新聞)

 厚生労働省は23日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開き、民間業者が患者を医師に紹介して仲介代金を取る「患者紹介ビジネス」を禁止する案を示した。省令を改正し、2014年度から医療機関の紹介料支払いを禁ずる方針だ。

 紹介ビジネスは、業者が有料老人ホームなど高齢者施設の患者を医師にあっせんする手法。施設を訪問診療した医師が診療報酬から業者へ紹介料を支払ったり、紹介料の一部が施設側に渡ったりするケースもあるという。厚労省は、全国で少なくとも20施設がかかわっていたとの調査結果を公表した。

 現行制度では紹介ビジネスは違法ではないが、患者が自由に医療機関を選べず、不要な診療が行われる恐れがあることから、不適切だと厚労省は判断した。14年度の診療報酬改定で、医師には訪問診療の時間や病状を記録して、患者や家族に説明するよう求める

 訪問診療は外来などに比べ診療報酬が高いため、仲介がビジネス化したとみられる。

 調査結果は、都道府県などからの報告を基にまとめた。患者の紹介が確認された20施設は、認知症グループホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など。紹介を受けた診療所は医科で5カ所、歯科で7カ所、仲介業者は3社だった。医療機関が診療報酬の10~15%を紹介料として業者に支払っていた例もみられた。

 入居者33人のうち31人が訪問診療を受けていた、低料金で入居できる軽費老人ホームもあった。〔共同〕

もちろんそういう話が出ているというレベルの記事ですから詳細は未だ不明なのですが、おもしろいなと思ったのは厚労省担当者が「医師がそんなことをするはずがないと思っていた」と語ったように患者の選択権を奪い過剰診療を招くこの問題を深刻に捉えていた割には規制したのは業者への仲介料支払いだけで、肝心の過剰診療問題そのものは放置していることです。
月2回施設の入居者をまとめて回診すれば一人当たり6万円の収入になるというのですから非常においしい商売だと思いますし、そもそも施設に入っていられる程度には安定している方々を毎月2回往診する必要があるのかということなんですが、仮にそれほどまめに診察する必要がある不安定な患者がいたとして普通は施設往診で済ませるのではなく外来に来させて検査などもするはずですよね。
むしろ紹介された医師側からすれば今まで毎月固定経費として仲介業者に一定の歩合を支払っていたものを、こうした規制が成立すれば反故にしてよくなるだけにますますおいしいというだけで何らのペナルティーにもならないと思うのですが、逆にこれだけの儲けがあることを見越して往診業務をやっている医師らの撤退を恐れているということなのでしょうか。

こうした往診の対象となるだろう施設入所高齢者が何十万人も往診料を算定されるとするとそれだけで数百億単位の支出増になると思いますけれども、もちろん医師も暇ではありませんから誰も彼も往診に出かけて行くということは考えられませんけれども、逆にこの業務で儲けようと考えている一部の医師にとっては競争相手も少なく需要は多いという点で非常にいい商売になりそうですよね。
もちろん他方ではどうしても往診希望だ、必要だという人もいて、財政上の要請なども合わせてどこかしらに落としどころを見つけていくことが必要ですが、記事にあるように「医師には訪問診療の時間や病状を記録して、患者や家族に説明するよう求める」という次期診療報酬改定の方向性というのは往診業務を一層手間暇かかる面倒な作業とすることで、一人の医師がこなせる数を自主的に抑制させるという考え方なのでしょう。
ただ現場の医師にとっては「そんなに面倒くさくなったらもう止めようか」と言う気になったとしても、それを使役する雇用主の側は濡れ手で粟の高収入をおいそれと手放す気になれないのは当然で、自己裁量の余地が大きい医師一人の開業医よりも単なる被雇用者に過ぎない中小の市中病院勤務医にとってこそ「一文の得にもならないのに仕事だけが増えていく」といういつものパターンになりそうですね。

|

« 現場スタッフも患者も現状の改革が必要だと思っている? | トップページ | ネットオークションのリスクが絶讚増大中?! »

心と体」カテゴリの記事

コメント

そもそも厚労省が施設入所者を「在宅」だなどとまやかしを吹聴しているのが諸悪の根源かと。

投稿: JSJ | 2013年10月25日 (金) 08時35分

そういえば近所に整骨院どんどん増えててどこも繁盛してるんですよね。
あれもたっぷり診療報酬が注ぎ込まれてるせいなのかと思うとちょっと複雑です。
それにしても大阪って…

投稿: ぽん太 | 2013年10月25日 (金) 09時01分

さすがミングクハンパねえw

投稿: aaa | 2013年10月25日 (金) 10時16分

ホーム入所者と個人宅は報酬は差をつけてもいいと思います。
まじめにコツコツ個人宅を回っている訪問診療医が馬鹿みたいになりますので。
今のルールだとグループホームや有料老人ホームの訪問診療だと個人宅を丸一日かかっても回れない人数(30人程度)の患者を1時間程度で診れてしまいますからね。
1日で60人とかも全然可能なわけで。時間対費用効果としては絶大なので。
借金を早く返したい新規開業医としては普通にコツコツ何年もかけて一般外来患者集めるより診療報酬も相当割高で絶対に逃げない固定客は飛びつきたいところです。
最近は開業コンサルと兼業してホーム経営あるいは提携しているカンパニーも少なくないですから、開業前のコンサル段階でうちからホーム紹介しますよみたいなのも散見されます。逆にそういう旨みでもないと、今の厳しい開業状況ではコンサルのほうも他の業者との差別化で生き残っていけないのではないのかとも思います。
まあ、今でも診療報酬が低く抑えられているのに、規制規制では医療自体が崩壊しかねないですけどね。
消費税が上がってしまえば、経営難で廃業するクリニックも続出すると思われますが。

投稿: 逃散前科者 | 2013年10月25日 (金) 11時06分

皆さんおっしゃる通りで往診自体の問題というよりも、結局は社会通念上おかしなことをやった方が楽で儲かるようなことにしてしまっているのが最大の原因なんだろうなと思います。
個別訪問など手間ひまかけてその分報われるという形に改めた方が利用者のありがたみも大きいし、例えば医療過疎地域での自宅往診にこそ高い点数をつける等すれば参入するモチベーションにもなるかと思うのですが。
気になったのがどうも厚労省のコメントからすると何も考えずにこういう制度にしてしまったっぽく見える点で、過去の例からしてここから制度改変を行うにしてもちまちまと何年もかけて徐々に是正するしかなさそうです。

投稿: 管理人nobu | 2013年10月25日 (金) 11時26分

単純に報酬高杉

投稿: | 2013年10月25日 (金) 17時09分

柔整業界はどっかの団体とは違って浮気などせず
ガッチリ自民党とつながってますからねえ。
当面は安泰でしょ。

投稿: 名無子 | 2013年10月25日 (金) 20時44分

>単純に報酬高杉
今は「在宅医療の推進」の掛け声のもとに在宅診療を請け負う医者を増やすべく利益誘導している段階ですから。
しかも医療機関に入院さえしていなければ施設入所だろうとなんだろうと全て在宅ってことにしないと目標達成は不可能。
いずれ梯子が外されるのは皆分かっていることだけど今はまだ早いでしょう。

投稿: JSJ | 2013年10月25日 (金) 23時13分

厚労省の得意技ですね。「利益誘導の梯子外し」 梯子を外される前にガッチリ稼ぎましょう・・・・と。そう思っている人が多いのか。目立つのか。所詮、他人の財布の中身は躊躇なくばらまけるし、使えるっていう話でしょう。

コツコツ働いて「相互扶助」の名のもとに些少の給料から天引きされて 物言えぬ立場の人間は、これからもずっと言えない立場なんでしょうね・・・・。ですが、このままだと 保険の未加入者は、もっと増えるんじゃないでしょうか?「相互扶助」なんて 段々考えなくなりますよ。保険料をブラックボックスに投げ込んでいるようなイメージさえありますもん。ブラックボックスの中では どのような取引がされているんですかね?

投稿: koma | 2013年10月26日 (土) 01時38分

komaさまへ
公立病院の場合、経営最優先でがっつり稼ぐか、赤字垂れ流しで補助金の世話になるか、どちらにするか選択肢がありますけれど、民間にはそんな選択肢はありませんからね。

投稿: クマ | 2013年10月26日 (土) 08時54分

そこで「つ共○党方式」

投稿: | 2013年10月26日 (土) 10時33分

>>今は「在宅医療の推進」の掛け声のもとに在宅診療を請け負う医者を増やすべく利益誘導している段階ですから。

さらに誘導するらしいですよ

在宅医療充実で診療報酬改定を検討
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131027/k10015584781000.html

投稿: たあちゃん | 2013年10月27日 (日) 17時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/58444684

この記事へのトラックバック一覧です: あちらこちらで診療報酬抑制の余波が:

« 現場スタッフも患者も現状の改革が必要だと思っている? | トップページ | ネットオークションのリスクが絶讚増大中?! »