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2013年10月 4日 (金)

でき婚…もとい、授かり婚が推奨される時代

ひと頃言われていたところの「でき婚」なる言葉、最近ではちょっと語感がよろしくないという声もあって「おめでた婚」だとか「授かり婚」だとか言う言葉で言い換えられているようですけれども、とにかくこのでき婚率も今や4人に1人というレベルで、地域によっては半数近くにも達するというのですからひと頃の「恋愛か見合いか」並みに「でき婚か否か」と言う構図で語られるほど一般化していると言えそうですよね。
何しろ少子化がこれだけ問題視される時代ですからどんどん産んでもらった方がいいじゃないかと言う考え方もあって当然なんですが、一方では将来親の結婚記念日と自分の誕生日とを逆算して子供が嫌な気分にならないか?といった声もあって、一般的には許容はするけれども推奨はしないといったレベルの受け止め方なのではないかという印象を持っています。
そのでき婚について先日女性誌で特集記事が組まれたというのですが、これができ婚を大いに推奨する内容だと言うので「いくら何でもそれはちょっと…」と感じている人も多いというニュースを紹介してみましょう。

「授かり婚」推奨のan・anにネットで疑問の声 プロポーズから出産まで一気に叶えられる?(2013年10月1日J-CASTニュース)

 子供ができてから結婚する「できちゃった結婚(デキ婚)」が珍しくない今日このごろ、呼び方も「おめでた婚」「授かり婚」に替わりイメージの悪さが薄まりつつある
 そんな中、「プロポーズから出産まで一気に叶える!授かり婚はこんなにスバラシイ!」という大胆な見出しが女性誌に登場した。インターネット上では「さすがに推奨するのはどうなのか」と物議を醸している。

■「アラサーには特にオススメ」と授かり婚推奨

 授かり婚の記事が掲載されているのは、「男が結婚を決める理由」をテーマにした「an・an」最新号(2013年9月25日発売)。今、結婚したい男性が増えているとして、さまざまなデータとともに男心を知るヒントを紹介している。
 中でも注目を集めているのが、冒頭でも紹介した「授かり婚」特集だ。誌面ではメリットとして(1)結婚の覚悟が即できる(2)結婚と出産、Wのオメデタ(3)すぐに家族の絆が生まれる(4)周囲に祝福してもらいやすい(5)出産までの時間がスピーディー、の5点を掲げる。高齢出産の身体的負担を考えると、タイムロスが少ない授かり婚はアラサー(30歳前後)女子にとって大きなメリットになるとも指摘する。「基礎体温をつける」「半同棲して避妊は気にしない」など成功のコツも伝授した。

 厚生労働省の調査によると、嫡出第1子出生のうち、結婚期間が妊娠期間より短い出生(=授かり婚)の占める割合は25.3%(平成21年)。第1子を出産する人の約4人に1人が授かり婚での出産ということになる。最近では「授かり婚」のカップルに特化した結婚情報サービスまで登場し、an・anのいうとおり「授かり婚」が定着してきていることは確かだ。
 しかし、いくら市民権を得ているとはいえ、積極的に推進することに対しては違和感を持つ人も少なくない。発売後、インターネット上では「なんかもう世の中こんなことになってんの?と思い、驚愕」「…喧嘩売ってるんですかね」「危機管理能力がこれから先さらに求められるようになりそうですね。男性のみなさん頑張ってください」「でき婚と授かりは計画性があるかないかで違うとかいいながら彼氏が決断してくれないなら授かりを狙いましょう的な推奨文で心底気持ち悪いと思った」といったコメントがいくつもあがった。

「さりげなく合意」で大丈夫?

 記事内には「『できたら結婚しよう』とさりげなく合意しておく」との記述もあるが、こうしたカジュアルさも批判の的になっているようだ。「授かり婚」の問題のひとつとしてよく指摘されるものに、離婚率の高さがある。「女性自身」が12年3月に行った授かり婚経験者100人へのアンケート調査では、100人中17人が離婚、12人が現在離婚を考えているという結果に。平均結婚生活期間は5年だったという。この結果をみると「an・an」のいうように、できたら結婚しようと「さりげなく」合意しておくだけでは少し不安も残る
 女性の側も、しっかりした心構えが必要になる。相手の男性に正面から「結婚」「子作り」を申し込まない以上、結婚資金や出産費用などをどこまで一緒に貯められるか不明瞭だ。また、東京・六本木にある「アヴェニューウィメンズクリニック」院長の福山千代子さん(日本産科婦人科学会専門医)は、「最近では、もともと望んでいた女性が結婚前に妊娠したというケースが多い印象。一言に『授かり婚』だから問題ということはないと思います」と授かり婚への理解を示すものの、「予想外の妊娠になるため、つわりがひどくなったり、急な結婚式の準備でバタバタしたりという心配はありますが」と付け足す。その上で「子宮筋腫など妊娠前に手術したほうがいい病気にかかっている場合があるので、しっかり検診を受けることが重要です」とアドバイスしている。

まあ結婚とはどうあるべきかという考え方には文化的背景にも関係することで、例えば海外で親が幼い子供を無理矢理結婚させているなんて話を聞けば「なんてひどい!」と言う人も多いですが、人権意識が高いと言われる欧州でも小児婚の風習はまだ残っていると言いますし、日本でも昔から幼い子供が嫁ぐなんてことは別に珍しいことでもなんでもなかったわけですよね。
天下のNHKで大河ドラマにもなった加賀藩の祖前田利家公と糟糠の妻たる正室芳春院(まつ)なども多産だった時代にも稀な11人の子供を為すなどおしどり夫婦と讃えられますが、嫁いだ時には数えで12歳だと言いますから今であれば大騒ぎになること必至ですけれども、当時は10代前半(それも数えで)の結婚は当たり前だったわけで今のように30過ぎてやっと結婚し子を産む習俗の方がさぞ異常に見えることでしょう。
話がいささかそれましたが、価値観の差異も踏まえた上ででき婚のネガティブな面を取り上げてみますと、とある調査に寄れば一般的離婚率に比べてでき婚による離婚率は3割増しほどになると言い、特に結婚後早い段階で離婚するケースが目立つというのは、ただでさえ行き違いの増えるだろう結婚と言う共同作業の開始に加えて、慣れない子育ても加わることで「こんなはずじゃなかった」と感じる人が多いということなのでしょうか。

逆に言えばある程度の期間共同生活を営んでいてお互い気心も知れ結婚生活のリスクは少ないだとか、これまた昨今多いバツイチ子持ちといったケースであればこうしたリスク重積は緩和されるのかなと言う気もするのですが、実際には若く人生経験も少ないカップルが無計画に妊娠し結婚してしまうからこそ後々のトラブルが増えるということなのかも知れませんね。
そういう意味では記事にもありますように、もともと結婚もする気だったカップルにとって一つのきっかけになるといったケースが増えていると言うのは悪い傾向ではありませんけれども、裏を返せば妊娠でもしなければ結婚にまで結びつかない場合も増えているのかなと気になるところで、先日の「卵活」騒動にも見られるように近頃の女性誌は本当に女性の関心領域に生々しいまでに踏み込んでいるんだなと改めて感じさせられます。
その卵活騒動にも関連してやはり高齢出産は様々なリスクがあって、卵子保存にしても40歳以上は認めないだとか色々と制約が多いことから改めて危機感を募らせている方も多いんじゃないかと思いますが、これまた女性誌で大いに取り上げられそうな新たな福音とも言うべき技術が実用段階に至っているという前向きなニュースを紹介してみましょう。

早発閉経の患者出産…卵巣組織を凍結、細胞培養(2013年10月1日読売新聞)

 卵子が育たず、排卵しないために妊娠・出産が難しい早発閉経の患者の卵巣組織を凍結、独自の手法で組織内の卵子の元になる細胞を活性化して、出産に成功したと聖マリアンナ医科大学(川崎市)などのグループが米科学アカデミー紀要に発表する。

 同大では、早発閉経の患者の卵巣組織の活性化による出産は世界で初めてとしている。

 同大の河村和弘准教授らによると、女性は25歳で早発閉経と診断された。ホルモン治療を受けたが排卵せず、29歳で卵巣を腹腔(ふくくう)鏡下で取り出す手術を受けた。取り出した卵巣組織をいったん凍結し、患者の体が回復した3か月後に解凍した。1ミリ四方に切った上で、特殊な培養液で卵子の元になる細胞を培養。体内で卵子に育てるために、女性の卵管を覆う膜の下に移植した。その後、採卵し、夫の精子と顕微授精させて妊娠。昨年冬、約3300グラムの元気な男児を出産したという。

早期閉経患者、さらに2人が同じ手法で妊娠(2013年10月1日読売新聞)

 早発閉経患者の卵子の元となる細胞を活性化し、世界で初めて出産に成功したと、聖マリアンナ医科大学(川崎市)の石塚文平特任教授らが1日、東京都内で開いた記者会見で正式に発表し、さらに2人が同じ手法で妊娠していることを明かした。

 早期に閉経した100人近くがすでに待機しているといい、同大以外の3病院でも実施できるよう準備を進めているという。

 同大はまた、加齢で卵巣機能が低下した女性への臨床研究も進めたいとしており、年度内にも日本産科婦人科学会に申請する方針。

 治療の詳細はホームページ(http://www.ivafertility.com/IVA/index.html)に掲載されている。

卵子の形成される過程に関してご記憶の怪しい方は復習していただきたいと思いますけれども、記事にもありますようにいったん片方の卵巣を取り出してその一部を切り出して培養することによって数も減り弱っていた卵子の元たる卵母細胞を再活性化する、この段階で体内に戻し排卵の直前段階まで成熟させたあと再び取り出して体外受精するという、なかなかにテクニカルな手技だなという気がします。
素人考えでは卵母細胞を活性化させる行程を生体内でやらないのがポイントで、試験管レベルで初めて使えるような様々な処理が行えるのが利点なのかなと思うのですが、今後様々なデータが蓄積され確かに有用な方法であると確認され手技的にも確立してくれば、こうした手法も一気に広がってくることになるのかも知れませんね。
当然これだけのことをやるのですから決してお安くはなさそうだなとも思うのですが、もともと不妊治療は不確実なものでなおかつ高価でもありますから百万単位の出費も珍しいものではなく、特に従来の手法では高い成功率が見込めなかった40代以降でも効果的ということにでもなれば是非ともという希望者が殺到することが予想されます。
聖マリとしてもその辺りが色々と難しい問題をはらんでいることは認識しているのでしょう、とりあえず母体がまだ若くリスクも少ないだろう早発閉経の患者からスタートしたのは当然の判断だったと思いますが、これまた当たり前ですが同大も言っているように卵巣機能の低下した高齢出産希望者の方が需要面では圧倒的に勝っているはずですよね。

しばしば言われることに諸外国ではロボットと言えば潜在的に人類への反逆者であると認識され危険視される傾向がある一方で、日本では人間のパートナーあるいは友人的に捉えられる傾向があることが日本がロボット大国になった理由だという説があって、その大元をたどれば「R.U.R」に対する「アトム」といった文化的刷り込みが背景にあることなのかも知れませんが、ともかく日本人は技術的進歩には比較的開明的だと思います。
その日本にしても昨今の生殖医療の進歩には一部に危惧する声も出始めていますけれども、それ以上に技術的進歩を求め歓迎する声が高まっているというのは当事者である女性向けメディアの取り上げ方を見ても明らかですし、そもそも結婚出産年齢が高齢化し続け年々生物学的には妊娠出産に不利になっていく中で産めよ増やせよと言われれば、それは何かしらのサポートでもなければやっていけないのは当然でしょう。
「それは話が逆だ。まずは若いうちにちゃんと産める世の中にするのが先だ」と言われればまことに御高説ごもっともなんですが、一方ではそうしたごもっともな主張によって今年は平均出産年齢が何ヶ月短縮しましたなどという話は一向に聞かない、他方では現実的に新技術の恩恵によって望んでいた子供を得られる方々が年々増えているとなれば、まあ大抵の心弱き子羊達は御利益が確実な方にすがりたくはなるでしょうね。
結婚だ出産だといった行為は一人で行えるものではなく最低限二人の共同作業で、一般には双方の過程や周囲の友人知人までも巻き込んだ社会的な事業でもあるわけですから、周りとしてもあれやこれやと言いたくなるのは当然なんですが、周囲がかくあるべし論ばかり言い立ててしまって一番プレッシャーを感じているはずの当事者が一向に救われないのではなんとも悲しいことですよね。

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コメント

ネットって意外に保守的?って思うことがあるな。

投稿: wand | 2013年10月 4日 (金) 08時44分

ネトウヨというくらいで右翼(保守)だから保守的で当たり前w

投稿: aaa | 2013年10月 4日 (金) 09時12分

素朴な疑問ですが同棲もして結婚する意思もあるのに子供が出来ないと結婚しないってよくわからないんですが。
事実婚でも経済的メリットは享受できるから法的婚姻関係でまで縛られたくはないってこと?
そういえば共働きが当たり前になったら結婚してお得になることってそんなにはないですよね?
もしかして晩婚化って制度的な問題ですか?

投稿: ぽん太 | 2013年10月 4日 (金) 09時46分

既婚者優遇をしたらしたで、いわゆる進歩的な方々から「多種多様なライフスタイルの否定だ!」と一斉にバッシングされることになりそうです。
それでも敢えて言うなら配偶者控除の枠はもうちょっと引き上げないと、一人当たりに求められている仕事量が増大している今の時代に合っていない気がしますけれどもね。

投稿: 管理人nobu | 2013年10月 4日 (金) 11時10分

こんなもんすぐ離婚するに決まってるけど離婚してもこども産みさえすればいいってことか
もうさいしょっからシングルマザー礼讚だのやったらどうなんだろう?

投稿: | 2013年10月 4日 (金) 14時29分

出来婚自体にはどうこういうつもりはないですが、不自然に出来婚を称揚するのもどうかとは思いますな
しかし女性向けだから仕方のないことながら、あまりに一方的に女側からの視点だけで話が進んでいるようで気になりますが

投稿: 元僻地勤務医 | 2013年10月 4日 (金) 17時31分

キャリア女性が直面する「不妊」というガラスの天井
http://president.jp/articles/-/10793

できる人間ほど遺伝子を残せないのは社会的損失ではないだろうか?

投稿: | 2013年10月 4日 (金) 21時20分

計画通りに事を運ぼうとする人よりも、行き当たりばったりに行動する人が多い方が、社会は活性化すると思うの。

投稿: JSJ | 2013年10月 4日 (金) 21時56分

>行き当たりばったりに行動する人

ポッポはじめこのタイプって本人はいいけど周りは迷惑千万ですね。
おかげで世の中無茶苦茶になったのは否定しませんけど。

投稿: こまちゃん | 2013年10月 5日 (土) 10時50分

ちゃんと堅実にルール内で家庭を作った方が専業主婦特権とか意味不明な批判をされ、
逆に自己責任のはずなのに勝手に離婚したりシングルになった方が社会の被害者とされ各種福祉手当を貰える

俺はリベラル中道だけど多様な価値観は自己責任が取れる人だけ認めるべきだと思う

まじめに生きてる家庭が割を食うのはおかしい

右翼は夫婦別姓反対とか言って法律婚をオデオロギーで規定してわざわざ規制を維持しようとしてる
こうやって法律婚を狭くとらえようとする行為が逆に一般家庭に対するフェミの攻撃を呼び起こしてる

むしろ夫婦別姓を自由化して それでも法律婚を拒否するなら自己責任で冷遇されればいいという制度にしたほうがスッキリしてお互いに納得すると思う

投稿: 剤師 | 2013年10月11日 (金) 12時10分

>こまちゃん

嘘つき脱糞安倍よりマシ 間違いない
神聖な国会で糞漏らすなよ

投稿: 剤師 | 2013年10月11日 (金) 12時12分

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