« 福島原発作業から読み取るべき教訓 | トップページ | 今日のぐり:「レストラン・ファーミー@蒜山高原センター」 »

2013年10月19日 (土)

昔ながらの災害報道を続けるマスコミの弊害

大型の台風26号が関東地方を中心に大きな被害をもたらしたところですけれども、相も変わらぬマスコミの台風報道フォーマットにもさすがにそろそろ鼻についてきたという声が増えてきているようです。

ヘルメット姿のびしょ濡れ台風レポーター目障りなだけ!必要な情報と映像しっかり伝えろ(2013年10月16日J-CASTニュース)

   10年に1度という大型台風26号が関東をかすめた。「朝ズバッ!」は8か所の中継でリアルタイムに状況を伝え続けて、一般ニュースもスポーツも芸能もなし。切り替わる映像が刻々と動く台風を見せるという珍しい形になった。
   番組スタートの午前5時半ころがどうやら東京近辺のピークだったようだ。台風はまだ伊豆半島の南にあったが、雨の雲は太平洋岸と東北一帯を覆う広さで、時速60キロで北東へ進み、25メートルの暴風域は関東地方を覆っていた。
   ほぼ直撃となった八丈島では44.7メートルの風が観測され、伊豆大島では午前4時40分現在で24時間の降雨量が760.5ミリ。観測史上最大で、大島の平均からすると2か月分が1日で降ったことになる。これが5時20分現在で819.0ミリになった。元町では川がはんらんして住宅3棟が流され、この段階では6人の安否が不明という情報だった。
   千葉の館山に奥平邦彦レポーターがいたが、朝一番の中継では風雨が荒れ狂い、その後、中継アンテナが折れる危険があるというので一時中断し、7時半すぎに再開した時には、風は強いものの青空がひろがっていた。

お天気キャスターも傘飛ばされそうになってやることないよ

   それにしても、リポーターにヘルメット冠らせ、吹きさらしの中でドタバタとしゃべらせるのが続くとうんざりする。映像は映像、しゃべりはしゃべりという本来の姿には戻れないものか。
   田原市の中継で司会の井上貴博アナが「映像で見ると」といって、リポーターに質問していた。映像の真ん中にはリポーターがいる。そのわきからわずかに見える映像だった。そう、リポーターがいなければもっと良く見えて、状況がわかる。カメラが動けばもっとわかる。
   お天気キャスターの美馬怜子だって伝える内容は天気予報なのだから、わざわざ傘を飛ばされそうになりながらやる必要はあるまい。見ていても疲れる。
   終わりに近く、江ノ島のお天気カメラが雲間に半分顔を出した富士山を映していた。まだ風は強く大きな白波が次々と砂浜に寄せているが、台風は去りかけていることは一目瞭然である。必要な情報はそこへ重ねればいい。リポーターが出てくる必要はない。

日本のマスコミの台風報道と言えば「びしょ濡れで歩いている女性ばかり写している」とその悪趣味さはすでに海外でも有名なんだそうですが、避難勧告も出ている中でわざわざ大波が打ち付ける海岸線にレポーターを派遣して「はいこちらこんなに大変なことになっています!」とやってみせることにどんな意味があるのかと思うのですが、彼らに言わせれば「それも視聴者が求めているから」ということになるのでしょうか。
過去には山中に墜落したヘリの映像を撮るために山に入ったカメラマンが遭難死するという事件もありましたが、この時も天候悪化からガイドといったん引き返したにも関わらず無謀にも再入山しての結果だったことはさておき、それを報じるマスコミ関係者からも「ヘリの墜落現場を見ることにどれだけ意味があるのか」などと言われてしまうのではあまりに馬鹿馬鹿しい死に方としか言いようがないことです。
今回の台風では特に大きな被害が出ているということで現場取材に急ぎ駆けつけるマスコミ各社も多かったのですが、それに対しても一生懸命生存者を救い出そうと頑張っている現地ではこんな声が上がっていると言いますね。

「とにかく生きていて」 必死の救助阻む、三原山の土砂(2013年10月17日産経新聞)

 「水が飲みたい…」「大丈夫だよ」。東京・大島で、多数の死者・行方不明者を出した台風26号。16日、一時行方不明になっていた女性が見つかり、深夜まで懸命の救出活動が続いた。「72時間の壁」といわれ、災害から72時間以上がたつと、生存率が急激に低くなる。夜を徹して必死の捜索と救出が続けられたが、足場の悪さや広範な現場、大量の土砂に阻まれ、難航を極めた。

 一時行方不明だった女性が見つかったのは伊豆大島・丸塚地区。16日朝、がれきの間から顔だけ出して助けを求めているのを住民が発見し、午前10時半ごろから警視庁の隊員らによる救助が始まった。
 「76歳です」。問いかけにしっかり答える女性。しかし、えびぞり状態の女性の上に何重にも流木が重なり、隙間には水を含んだ土砂がびっちりと入り込んでいる。重機を使うと土砂が崩れる恐れがあり、隊員らは手作業で掘り進めた。
 「孫が待っているよ」「大丈夫」。隊員らがしきりに女性に声を掛ける。「水が飲みたい」という女性に、隊員らは水を含ませたガーゼを口に含ませた。
 日が暮れるにつれ容赦なく吹き付ける冷たい風。午後10時40分ごろ、女性の上半身が姿を現したが、ぐったりした様子で呼びかけにも応じなくなったため、隊員は懸命に心臓マッサージを続けた。

 伊豆大島西部の三原山中腹に位置する神達(かんだち)地区。頂上付近の山肌が大きくえぐり取られ、大量の土砂が根こそぎ樹木をなぎ倒して通り過ぎた筋が2本確認できる。幅にして100メートルほどの箇所も。そこにあったはずの民家は跡形もなく押し流され、がれきや木々が辺り一面を覆う。
 数十メートル先の駐車場から流された車が折り重なり、真っ二つに折られた電柱があちこちに散らばる。「集落のほとんどの住民と連絡が取れない。あまりにひどく言葉も出ない」。神達地区で水道工事会社を経営する佐々木一典さん(50)は呆然(ぼうぜん)としていた。
 東京消防庁のハイパーレスキューや地元消防、被害を逃れた住民らが樹木や岩をかき分け、捜索を続ける。しかし、ぬかるんだ土砂に足を取られ、思うように作業が進まない
(略)
 日没前、近くのがれきの中から、1人の子供が発見された。幼い女児とみられる。すでに息はなく、地元消防隊員は遺体を毛布にくるみ優しく抱える。警視庁の車で遺体が運ばれる前、隊員らは手を合わせ、1人が頭をそっとなでた。(森本充)

伊豆大島、大手報道ヘリに悲痛の叫び「サイレントタイムにヘリを飛ばさないで!」(2013年10月16日ガジェット通信)

台風26号の影響で伊豆大島では深刻な事態が発生している。山の斜面が崩れるなどして30棟以上が倒壊。全部で283棟に影響が出ている。そして連絡が取れない人は50名以上。
今朝から伊豆大島では生存者の捜索が開始されているが、そんな中、伊豆大島の情報を発信する一つのTwitterが悲痛の叫びを上げている

「【拡散希望】伊豆大島救助隊が、救助の為のサイレントタイムを15時から17時で実施したいが旋回する報道ヘリコプター二機のため困難との事。どなたか、報道機関に伝えるか、拡散願います。」

サイレントタイムとは、災害発生の際、静寂の時間を作り、地中やがれきの下にいる生存者の音を聞き取りやすくするため設けられる時間。通常であればその時間、ヘリコプターが上空を飛ぶことは勿論、重機の使用も自粛が求められる
このツイートが投稿されたのは、16日15時04分。サイレントタイム開始直後に該当する。なぜサイレントタイムに報道がヘリを飛ばしているのかは不明だが、行政から報道へ連絡が行き届いていない可能性が考えられる。そのため、一概に報道側を攻めることはできないが、ことは一刻を争う事態。少しでも早い報道と行政との連携が望まれる。

某大手新聞社などは今回の台風に関連して社説で関係当局の対応を不十分だったと熱心に批判すると共に、今回の大災害の教訓として「災害対応は「時間との競争」であることを認識すべき」だと書いていますけれども、なるほど彼らにとっては締め切りに間に合わせるための時間との競争は確かに大変なものがあるのだろうなと改めて感じさせられます。
すでに阪神大震災の時にも全く同様の取材ヘリによる爆音が救助活動を妨げるという問題が明らかになっているにも関わらず、相も変わらず同じ取材方法を続けているというのは彼らにとっては何ら改めるに値しないという認識であるのか、とかくこうした横暴無礼な災害報道ぶりはすっかりそれに慣らされてしまった日本人よりも外国人にとってよりセンシティブであるようで、ニュージーランド大地震では国際問題にもなりましたよね。
いずれにしても当事者の常識の角度はいささか斜め上方向に歪んでいる上に良識などと言うものには全く期待出来ないということになりますと何とか強制力を発揮して規制をするしかないということにもなりかねませんが、報道と行政との連携という観点からすると救助活動の妨害にしかならない取材活動にある程度の規制を行うことが出来るのかどうかです。

こうした話になりますとまたぞろ「なんたる横暴!報道の自由の侵害だ!」と即座に反応する方がいらっしゃいますが、例えば大変なことになっている被災地には一時的にせよ救助活動に必要不可欠なもの以外の車輛や航空機の侵入を規制するといったことであれば別にマスコミに限定した話ではありませんし、現実的に無制限無規制で放置するよりはよほど救助活動に益するんじゃないかという気がします。
マスコミに言わせれば現地主義と言うのでしょうか、とにかく現場に行って実際の状況を画像なりで報道するのが自分たちの仕事だと感じているのでしょうが、それなら各社ぞろぞろと車輛やヘリを無分別に送り込む必要もなく共同取材で十分ですし、バカでかい中継車を路駐して邪魔をする暇があったら少しでも救助の手伝いでもした方がよほど社会のためになるでしょう。
むしろ現地情報が住民の生の声としてリアルタイムで伝わってくる時代にマスコミによって創作された「シナリオ通りの報道」にどれほどの人々が感銘を受けるのかということで、国によってはあまりにいい加減な災害報道に怒り狂った地元住民がテレビ中継車を破壊しネットに流したなんて話も伝わっているように、「マスコミだから何をしてもいいんだ」などと思い上がっていられる時代ではとっくになくなっているという現実は認識すべきでしょうね。

|

« 福島原発作業から読み取るべき教訓 | トップページ | 今日のぐり:「レストラン・ファーミー@蒜山高原センター」 »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

なんともすばらしきサービス精神にあふれた中継じゃないかw

投稿: aaa | 2013年10月19日 (土) 08時54分

犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。
ひきつづき台風災害に厳重注意が必要ですね。
行政もマスコミも教訓を活かしてほしいです。

投稿: ぽん太 | 2013年10月19日 (土) 09時46分

>>伊豆大島、大手報道ヘリに悲痛の叫び「サイレントタイムにヘリを飛ばさないで!」(2013年10月16日ガジェット通信)

これ、結局、だれも「サイレントタイム」なんて要請してないデマだったってことですが。

投稿: ?? | 2013年10月19日 (土) 10時43分

町長が共○党系で自衛隊警察の初期出動が遅れたってホントですか?

投稿: | 2013年10月19日 (土) 12時11分

朝ズバッ!の「大島町長吊るし上げ」 番組批判の声が巻き起こる
http://www.j-cast.com/s/2013/10/18186604.html
>「なぜ町長も副町長もいなかったのか。原発事故発生時の東京電力のよう。絶対気が抜けていた」と糾弾した。

投稿: | 2013年10月19日 (土) 23時35分

 台風26号による土石流等で死者27人、21人の行方不明者を出した東京都大島町を、民主党の党災害対策本部の
台風26号被災地調査団が訪れ、政府への要望事項を発表した。民主党のHPには、調査団が大島で行った活動を詳報。

 川島理史町長らからは津波・噴火・溶岩流出への対策は重視されていたものの、土石流や山の崩落は想定されて
いなかったことが反省点として挙げられたという。

 このような聞き取りをしたうえで、同調査団は物資支援や情報発信などを含む9項目を政府に対して要望するとした。

 さらに、「そのほか現場の作業者らからの声を受け、マスコミの取材についても、サイレントタイムを作るなど、
救助作業の妨げになるような多くのヘリコプターの飛行が行われないよう、マスコミ各社への主体的な指導をと求めた」と
報告している。
http://yukan-news.ameba.jp/20131020-59/

投稿: | 2013年10月20日 (日) 16時42分

公式クレーム来ましたw

 東京都大島町は21日、報道機関に対し、報道ヘリコプターの飛行自粛を書面で要請した。

 同町によると、台風26号の被害が発生して以降、複数の報道ヘリが上空を飛行する際に出る音で、
住民向けの防災無線や、屋外で捜索活動に携わる関係者の間で使われている無線連絡が聞こえにくい
状況になっているという。

 同町には、住民から複数の苦情が寄せられているといい、同町の防災担当者は「報道ヘリの飛行を
可能な限り控えてほしい」と話している。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131021/dst13102121310027-n1.htm

投稿: | 2013年10月23日 (水) 09時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/58401238

この記事へのトラックバック一覧です: 昔ながらの災害報道を続けるマスコミの弊害:

« 福島原発作業から読み取るべき教訓 | トップページ | 今日のぐり:「レストラン・ファーミー@蒜山高原センター」 »