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2013年10月

2013年10月31日 (木)

炎上はネットの専売特許にあらず

古来訴訟大国アメリカでは訴訟にまつわる数々の伝説があって、中には例の「電子レンジ猫」のように実は単なる都市伝説の類だったと言われるものもありますけれども、こちら電子レンジ猫伝説と並び称され?映画にまでなった有名な事件において当事者が「噂は事実と異なる」と訴えているという記事を紹介してみましょう。

コーヒーをこぼして多額の賠償金を得た「マクドナルド・コーヒー事件」の真実(2013年10月25日GigaZiNE)

「マクドナルド・コーヒー事件」とは、アメリカのニューメキシコ州のマクドナルドで、ステラ・リーベックさんがドライブ・スルーで購入したホットコーヒーを膝の上にこぼしてしまい、やけどを負ったという事件と、その事件をめぐる裁判のことです。事件は、「おばあさんがマクドナルドで買ったコーヒーをこぼしてやけどを負い、訴訟を起こした結果数億円の賠償金を得て大金持ちになった」と一般的に認知されているようですが、事実は全く異なるようで、The New York Timesが「Burned by McDonald's Hot Coffee, Then the News Media」というマクドナルド・コーヒー事件の真実を伝えるムービーを公開しています。
(略)

事件の詳細は元記事の方を参照していただくとして、この事件が今から実に20年も昔、ネット普及期以前の90年代初めに起こっているということに留意いただきたいと思います。
この記事を見た今日のネット上でも「けっきょく「「コーヒーをこぼして大金をせしめた人」で間違いないじゃないか」「どこが「事実は全く異なる」んだ?」と何ら印象は変わらないという声が大勢を占めているようですから、いずれにしてもこの事件がもう少し遅れて起こっていたならば盛大な炎上騒動になっていただろうことは想像に難くありませんよね。
しかしまだネットが今日のように発展していなかった時代においてもこうした大事件は炎上騒動に結びついていることからも、炎上という現象を半ば機械的にネットと関連づけて語ることは事態の本質を見誤ることにつながるのかなとも危惧しますが、一方でこうした誰が見ても議論になるだろうという大事件でなくても炎上に結びつくという昨今の状況から、ネットという媒体が炎上の閾値を大きく引き下げたということは言えるかも知れません。
先日は日本陸上競技のトップアスリートが何気なく発したつぶやきが炎上していると報道されましたが、この件などは「いったいこのつぶやきのどこに炎上する要素が?」とネット界隈でさえも不思議がられていると言います。

為末大「努力すれば成功する、は間違っている」 「正論」なのに「炎上」してしまうのはなぜ(2013年10月28日J-CASTニュース)

  陸上界で活躍した日本のトップアスリートの為末大さん(35)がツイッターで、「やればできると言うがそれは成功者の言い分であり、例えばアスリートとして成功するためにはアスリート向きの体で生まれたかどうかが99%重要なことだ」と持論を展開した。すると、「身も蓋もない」「道は努力で切り開くもの」などと批判が殺到し「炎上」した。
   為末さんはこの「炎上」を受け「努力だけでオリンピック選手にはなれない」などと2013年10月28日にツイッターで寄せられた批判に応戦した。

アスリートもまずその体に生まれるかどうかが99%

   今回の議論の発端となったのは13年10月21日のこんなつぶやきだった。

    「成功者が語る事は、結果を出した事に理由付けしているというのが半分ぐらいだと思う。アスリートもまずその体に生まれるかどうかが99%。そして選ばれた人たちが努力を語る。やればできると成功者は言うけれど、できる体に生まれる事が大前提

   これに対し、ツイッターやネットの掲示板で反論が多数出ることになった。それはこんな具合だ。

    「指導者の立場として『努力は報われる』と励ますべきだろ!」
    「志そうとする気持ちがないと、才能が合っても開花しないわけだし 努力することが無駄っていうのは言い方としてダメじゃないかな」
    「みんなイチローや中田である必要はないし、やる事に意義はある
    「為末さんは、本当の事を言いさえすれば、成功者としての義務を果たせるもんだと思っている」

   批判している人たちの多くは為末さんの意見が「正論」であることは分かっているようなのだが、日本のトップアスリートがそれを言ってしまうのは身も蓋もないことだし、夢も希望もない、現在努力し頑張っている人に失礼だ、ということで怒っているようなのだ。また、「世の中は公平で理不尽ではない」と信じている人もいて、そうした様々な思いが「炎上」につながっている
   こうした批判に対し為末さんは13年10月28日に「努力で成功できるか」と題したツイートを展開した。

「頑張れ!よりよく頑張ったねもう十分だよ」の方が救われる

   そこにはおおよそこんなことが書かれている。
   成功する可能性があるものを目標に置いた場合は努力すれば叶うかもしれないが、オリンピック選手になるのは難しく、才能と、環境がまず重要で、それが努力よりも先にくる。人生の前半は努力すれば夢は叶うということでいいと思うが、どこかのタイミングで自分を客観視しなければ人生が辛くなる。なぜかというと、努力しても夢が叶わなかった場合は自分の努力不足だと思ってしまうからだ。
   だから、努力原理主義を抜けられなかった人は、こんな自分を許せなくて何かを呪って生きていくことになる
   そして、人間の能力はそれぞれだから一つの事に縛られるなんてもったいない、とした。そして最後に、

    「がんばれ、より、よく頑張ったねもう十分だよ、の方が救われるステージがあると思うのです」

と締めくくった。
   この「反論」を受けて、なぜ今回「炎上」状態になってしまったのか理由がわからない、という声も多数ある。一方、為末さんの意見は正論過ぎてつまらないし、努力すればイチローやダルビッシュになれるなどと本気で思っている人は少数であり、そうした中でも夢をうるロマンがアスリートにあってもいいはずだという人もいる。

いささか興味深いのはこの一件、こうして炎上報道が出ているにも関わらず「便所の落書き」と「馬鹿発見器」とではずいぶんと論調が違っていて、便所の落書きでは「単に正論」「どこで炎上?」といった炎上そのものを否定する論調がほとんどであるようなのですが、ひとくくりにネットと言っても媒体によって利用者層が異なるということを反映しているのだとすればおもしろいですよね。
それはともかく、有名なエジソンの「天才は1%のひらめきと99%の努力である(Genius is one percent inspiration and 99 percent perspiration.)」という 言葉も「ひらめきの無い奴は結局モノにはならない」という意味なのだと言う説もありますけれども、それもあまりに身も蓋もなさ過ぎるということなのか一般には日本のみならず母国アメリカでも努力は成功の母的な解釈をされていますよね。
ひと頃の旧ソ連(現在のロシアその他の地域にあった共産主義の母国です念のため)ではダーウィニズムが否定され獲得形質の遺伝が進化をもたらすというルイセンコ学説が政治的に半ば強要されていましたが、これも元をたどれば世界革命を目指す共産主義国としてはいくら個人が努力したところで次の世代には何も引き継がれないというダーウィニズム的思想が不都合だったからだとも言います。
このように努力の価値を否定されるとついつい向きになって反発してしまうという傾向は国や民族を問わないものであるようで、もちろん努力の尊重という考えそれ自体は社会の基盤として健全で望ましいものだと思いますけれども、選手として指導者として為末氏の言葉もまた一つの正論であると認める度量もまた健全で望ましい社会には必要なものですよね。
それを敢えて殊更に炎上させてしまう心理とはどのようなものなのか、最近世間でもこの炎上という現象に興味と関心が向いているだけに様々な考察がなされているようです。

「ツイッター炎上」をつくるのは誰か 炎上する側、させる側の論理(2013年10月29日ダイヤモンドオンライン)より抜粋

(略)
 フォロワー数が少なく、もともとは注目度の低い一般人の「つぶやき」でも、一度見つかればすごいスピードで拡散し、大問題に発展してしまう。多くの人がネットで発信を行う時代だからこそ、雇う側の企業としても無視できないこの問題。では、一般の人はいま、「炎上」についてどう考えているのか。ダイヤモンド・オンラインがリビジェン(東京都港区)の協力を得て調査を行った。
(略)
 それでは、炎上「させる」側にはどういった意図があるのだろう。「炎上に参加して、対象者を『懲らしめよう』という人には賛同できる? できない?」という質問に対して、「賛同できる」と答えた人は23%に上る。早速、その理由を見てみよう。

インターネットは怖いという認識をもってもらえると思うから」(17歳男性・高校生/神奈川県)
「叩かれることで常識を知るきっかけになると思うから」(27歳女性・専業主婦/大阪府)
「警察のような組織があるわけではないので、多少晒し者にする人がいないともっと酷くなるだろうから」(39歳男性・会社員(技術系)/東京都)
自分のやった事が罪だと解らせるべき」(34歳女性・会社員(事務系など)/福岡県)
「社会的制裁を受けて然るべき対象であるから当然の報いだと思うし、正直こちらに大したリスクはないから」(20歳男性・学生/東京都)
「自分がしたことの責任は自分でとるべき」(18歳女性・学生/福岡県)
「罰を受けるべき」(38歳男性・会社員(技術系)/福井県)
ネットの怖さをわかっていないから見せしめに」(18歳女性・高校生/神奈川県)
続けてやるかもしれないので」(46歳男性/経営者・役員/大阪府)
「社会的に制裁を受けないと、やったことの重大性が分からないから」(17歳男性・高校生/神奈川県)
「悪い事をしてるとわからせてあげないとバカはなおらないから」(31歳女性・会社員(事務系など)/神奈川県)
「懲らしめないと何もなく終わってしまうから」(25歳男性・会社員(営業系)/東京都)
ネットを使うリテラシーを守れない人には、相応の応酬があることを知るべきだから」(27歳女性・会社員(事務系など)/東京都)
「時には必要な手段だと思います」(40歳女性・経営者・役員/兵庫県)
「けしからんものには、見てみぬふりができずに感情が先立ってしまうのは当然だと思う」(20歳男性・学生/神奈川県)
「個人の身勝手な投稿によって人(オーナーや従業員、その家族)の人生が変わってしまうのだから、投稿者は相応の罰を受けるべき。ツイートの削除、ブログの閉鎖、ネット上での謝罪だけではなく、警察など社会的制裁も受けるべき」(23歳女性・学生/神奈川県)

「晒し者」「社会的制裁」「見せしめ」「懲らしめないと」という言葉からは、不適切なツイートを拡散することによる「私刑」の意図があることが分かる。なかには「正直こちらに大したリスクはないから」というコメントのように「軽い気持ち」で拡散している様子の人もいるが、多くの人は、「悪いことは悪いと言わないといけない」という正義感に駆られて炎上に参加しているようだ。
 確かに、思わず怒りを覚えるような悪質な書き込みはネット上に存在する。ただし、「対象者を『懲らしめよう』という人に賛同できない」人が77%という多数派である。その背景には、言うまでもないが、炎上に参加することでことが拡大し、結果的に投稿者の周囲(非のないオーナーや従業員、その家族)がさらに被害を受ける場合があることが予測できるからでもあるだろう。
 ともあれ、ネット上の知らない誰かに指摘される前に、周囲の身近な人からネット上で発信することのリスクについては学ばなければならない。自分の子どもたちにそれをどうやって教えればいいかを大人たちは考えなければならないだろう。

むしろここでは懲罰勘定や正義感というよりも、炎上による教育的効果に言及する意見が多いことに注目すべきかと思いますね。
日本人の場合誰かが社会的非難を受けるに値する行為を犯しても、それを面と向かって指摘する習慣があまりないだけにどうしても陰口等の間接的批判の形で発散するしかなかった、それがネットという匿名性を得たことで誰でも直接的批判を行えるようになったからだ…などと幾らでもそれらしい説明は出来そうですが、冒頭の事件にも見られるように炎上とは別に日本に限った出来事でもネットに特有の現象でもないわけです。
ただネットは匿名の空間だと考えている人間が多いことが炎上を容易にしているという意見ももっともで、だからこそ世論調査においても「ネットは匿名だから怖い」という意見が非常に根強いのですが、しかしネットの匿名性など実は非常に不確実なもので、正しい知識を持った人間が慎重に身元を隠蔽しながら利用しない限り便所の落書きに好き放題書き込んでもプロバイダーへの開示請求一発で身元バレする場合がほとんどです。
ましてやSNSなど実質的に実名と同じようなものですし、そうであるが故に馬鹿発見器と言われているのですから、そう考えると炎上は悪いことばかりでもない、懲罰目的以外にも教育的効果も期待出来るという声が少なからずあるのは理解出来ますし、利用者は炎上させないためにもまずネットリテラシーを磨くということを覚えてもらわなければならないですよね。
「日頃はおとなしい人なのにひとたび車のハンドルを握ると豹変する」なんてことをよく言いますが、「普段は大人しく引きこもっているのにひとたびハンドルネームを名乗ると豹変する」のも全く同じような現象であって、ネットが特殊というのではなくやはり実社会でも批判されるような行為はネットでも当たり前に批判されるのだという当たり前の認識を持つことがその第一歩になるんじゃないかという気がします。

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2013年10月30日 (水)

若者気質の変化がもたらす影響は如何ほど?

今日はまたどうでもいい話を書いてみたいと思いますが、先日大学入試で二次試験の学力試験が廃止される?!なんてびっくりニュースを紹介したところで、案の定受験産業界の中の人からもさすがにそれはちょっと…と反対論が出てきているようですが、先日日経メディカルに出ていたこちらの視点はなかなか興味深いものだと思いますね。

国公立大2次試験「人物本位」の選抜方法に苦言を呈す(2013年10月29日日経メディカル)より抜粋

(略)
 そもそも、ゆとり教育とは、「学力偏重の教育体制を是正し、子どもをのびのびイキイキ育て、真の生きる力を養成する」ことを目的としたものでした。ですが、その結果生まれた「ゆとり世代」は、学力の乏しい、根気のない、いわゆる「ぬるい」若者の大量発生という状況を呈した、と揶揄されています。

 受験屋の自分の立場を擁護するわけではないですが、ゆとり教育に背を向けた私立の中高一貫校や、「ゆとり」の大量発生に歯止めをかけるビジネスで成功を収めた民間の塾、予備校のお蔭で、辛うじて日本の「知」は守られた、と言っても過言ではないと、私は思っています。それが証拠に、公立高校が、近年、重い腰を上げて、土曜の授業を再開したり、週5日制を元の6日制に戻すなどの動きを示しています。それでも「大学生なのに分数計算ができない」、「漢字がさっぱり読めない」といった珍現象が、いまだに報告されています。

 ゆとり教育がこうした結果を招いた一因は、暗記と知識を旨とする受験学力を重んじない “人物本位”の面接と、内申書だけの推薦やAO試験といった受験制度にもあると思います。“人物本位”の選抜方法がまかり通ると、それこそ有力者の子どもであるとか、選抜者の縁故の人物とかが大手を振って大学の門をくぐることになりかねず、まじめに勉強している者が馬鹿を見ることになるのは目に見えています。

中国の「科挙」制度の教訓

 かつて中国には、「科挙」という学力・暗記を前提とした官吏登用試験制度が長らく存在して、いろいろ問題はあったものの、合格した彼らが歴代の皇帝の親政を官僚として下支えしていました。この公平な試験制度のお蔭で、中国は、それぞれが数百年にわたる王朝を維持し、名高い詩文や史書を長く研究や膾炙の対象として維持保存することができたと言われています。そうした廉直な官吏登用制度による国家体制を崩したのが、試験ではない、別の観点からの“人物本位”で選ばれた宦官と外戚であったことは歴史が記す通りです。今の中国政府が腐敗しているのは、中国共産党にいかに忠誠心を持つか、いかにトップと深いつながりを持っているかだけで選ばれた、言い換えれば“人物本位”で成り立っている組織だからでしょう。

 私たちは、昔の中国からは非常に多くの物を学んできましたが、今の中国からはほとんど学ぶものがないといった現状から逆算すれば、そこには、神ならぬ人間が他者を選抜するときの傲慢と主観と情実を極力排し、冷ややかな客観性を重んじる試験という名の「人類の知恵」の存在が見えてきます。

 入学試験を受けたことのある者は、そこに模擬試験と全く違うものが歴然とあることに気付くはずです。すなわち、解答者の記名欄がなく、受験番号のみを記入することになっていることです。そして、はっきりと「解答に無関係なことを書いた答案は無効とする」とうたっていることです。

 実際、私の知り合いが京大を受験した折、生物の試験で時間が余ったので、答案用紙に、合格後の希望シミュレーションとして京都での下宿先の間取りなどを落書きして、消すのを忘れてそのまま提出したそうです。彼は不合格だったのですが、後で京大から返って来た点数を見たら、何と生物は0点だったと言っていました。採点した大学側は、下宿の間取りの落書きを、採点にかかわる大学関係者の縁故の受験生が残した「これは俺の答案だよ、斟酌してね」というメッセージと受け取ったのでしょう。実際に彼におかしな他意がなかったことは、知り合いである私には分かっていましたが、当時の京大の厳正な処し方には、むしろ感銘さえ覚えたものです。
(略)

人物本位という美名の元に客観を離れ主観的評価が横行するようになるとどうなるか、それが日本においても直ちに現代中国式の過度の縁故社会に結びつくかどうかは何とも言えませんが、先日も書きましたように今の時代にとかくコネ人事というものが話題に上るようになってきたのも、裏を返せば社会の多くの場所でコネが横行していると感じる人がそれだけ増えてきているという危機感の表れなのかも知れませんね。
それはともかく当事者に言わせると「ゆとり世代とひとくくりに言われるのには抵抗感がある」のだそうですが、今そう言って若者達を揶揄する中堅世代もかつては「新人類」などと散々年長者から言われてきたわけですから、ここは一ついわゆるゆとり世代=現代の若者世代というくらいのゆるい定義付けで扱わせていただこうかと思います。
そのゆとり世代学生の気質がどのようなものなのかは特にそれを指導する方々にとっては気にもなるし頭も痛いところなんだと思いますが、先日こういう記事が出ていたのをご覧になったでしょうか。

医学生8%、製薬会社からタクシー券 43大学調査(2013年10月26日朝日新聞)

 【野中良祐】医療現場で患者と対面して学ぶ臨床実習前の医学生の約8・5%が、学会への出席などを理由に、製薬企業からタクシーチケットをもらった経験があることが、全国の43大学に対する北海道大学病院のアンケートでわかった。企業側が「将来の医師」に早期から接触する実態が明らかとなった。

 調査をした同病院卒後臨床研修センターの宮田靖志特任准教授は「プロ意識が十分に育っていない早期の接触には、注意を払う必要がある」と指摘している。

 調査は2012年に実施。製薬企業からのタクシーチケットやグッズの受け取りの有無のほか、企業主催のセミナー後に開かれる懇親会に出席したかなどを尋ねる文書を全国の約80大学に送付し、うち43大学の5431人から回答を得た。

以前にもアメリカでの医学部学生に対する製薬会社のプレゼント規制の話題を取り上げましたが、「医学生の多くが在学中に製薬企業などのマーケティングの対象になっており、贈り物をもらったり、イベントに招待されていた。こうした経験が業界に対する好意的な態度に結びつき、医師になってから新薬を採用する可能性を高める」といい、すでに98%の医学部で学生に対する贈り物制限が行われていると言います。
学生時代から学会出席をするくらいですからそれなりにアクティビティーも高い学生なのでしょうが、こうした学生に対する早期からの囲い込み行為が後々どれほど利益として跳ね返ってくるのかもさることながら、ここで気になるのはこの学生の8%と言う数字がかつての接待全盛期に比べて高まっているのか低くなってきているのかということですね。
近頃では製薬業界も業界内自主規制で医師に対する接待を抑制することを申し合わせていて、夜の街での豪遊どころか「学会の無料ドリンクさえなくなった」などと嘆く先生もいらっしゃるようですが、そうは言っても製薬業界からなんだかんだと医師に流れている資金は年間4700億円に上るだとか、水面下では枕営業も花盛りだとか様々な噂絡みの話も乱れ飛んでいますよね。
他方でいわゆるゆとり世代はモラル的にはどうなのか?と言う以前に、今の若い人は昔ほど金に執着しなくなったという話はよく聞くところで、何しろ生まれた時から不景気が当たり前で育ってきたものだからバブリーな感覚も身につく機会がないと言いますが、実際に贅沢などしなくてもそれなりに充実感をもって暮らしているという意味で「プア充」なんて言葉もあるようです。

プア充の鉄則 外食しない、規則正しい生活、プア充仲間作る(2013年10月12日NEWSポストセブン)

 会社に縛られずにそこそこ働き、年収300万円ぐらいで自分の生活を充実させていく「プア充」という生き方を宗教学者の島田裕巳氏が著書『プア充─高収入は、要らない─』(早川書房刊)で提言し、注目を集めている。どうやってプア充生活を実現するのか、島田氏が解説する。

 プア充を実践するために必ず守らなければならない鉄則がある。「外食をしない」「規則正しい生活をする」「ストレスをためるな」の3つだ。
 規則正しく暮らせば自炊しやすくなるし、生活のリズムが整えば、タクシー代など臨時の出費も減っていく。忙しく不規則な生活を続けていると、それを補うための無駄な出費が増えてしまう
 また、ストレスで体を壊せば病院代もかかるし、へたをすれば働けなくなる。そこまでいかなくてもストレス発散のために朝まで酒を飲んだりして、結局、無駄なお金を使ってしまいかねない。ストレスをためるのは、精神的にはもちろん、経済的にもよくない
 さらに大切なのが人間関係や縁だ。これなしにはプア充生活は成り立たない。お金を稼ぐために時間を多く費やすと、人間関係を築く時間がなくなるばかりか、それまで築いてきた周りとの縁がどんどん切れていく。その先に待ち受けているのは孤独だ。お互いに想いあうプア充仲間がいれば、お金がなくても十分に幸せに生きていける。

 それでも年収300万円では結婚は難しいという人がいるかもしれない。しかし、それは思い込みだ。むしろプア充こそ早く結婚して家庭を持つべきなのだ。1人年収300万円だとしても、2人合わせれば600万円。それで十分だ。どちらかが1000万円稼ぐ、余裕のないギスギスした夫婦より、2人で年収600万円ののんびりした共稼ぎ夫婦の方が幸せだろう。
 子供ができると生活が規則的になり、ますます健康的で安定したプア充生活を送ることができる。私立に行かなければ小学校は給食費ぐらいしかかからないし、中学の費用もたいしたことはない。高校の授業料無償化も進んでいる。子供の医療費も自治体によっては無料だ。
 今の日本にかつてのような経済成長は見込めない。過剰に働いてもそこそこ豊かな生活を味わえるだけだ。その程度のために体も心もすり減らして働く意味はない。年収300万円のプア充がこれからの日本人の生き方にマッチしている。300万円こそ理想の年収なのだ。

まあ300万円こそ理想の年収かどうかはさておき、かつてのモーレツ社員全盛期のようにとにかくバリバリ働いて目一杯稼ぐことが幸せにつながったのかと言えば実はそうでもなかったんじゃ?と多くの人が醒めてきている今の時代とは、何とはなしに古典的な田舎の漁師のジョークを思い出すような状況ではあるかなと思います。
モノに執着しなくなったと言えば医学部の駐車場と言えば昔は高級外車やスポーツカーばかりだったものが昨今ではコンパクトカーや軽自動車が多数派になっていて、かつては受験合格のご祝儀も込みで持っているのが当たり前に近かった医学生の車保有率もすっかり低下してせいぜい半数程度と言いますから、こうした接待攻勢に対しても昔ほどがっつきもしなければありがたみも感じていないんじゃないか?と言う想像は働きますね。
ただ一方では近年医学部進学ということ自体が「食いっぱぐれの心配のない堅い進路選択」と見なされるようになってきていて、いわば10代のうちから人生どうやって食っていくかということを真剣に考えてきている人間の集団であるという見方も出来るわけですから、こうした経済感覚を持っている人間ならばスーパーの特売チラシに目がない主婦層の如く「もらえるものはとことんもらう」という感覚が身についても不思議ではない気もします。
こういうことの年代別の統計データなどというものはなかなか表に出てはこないでしょうから結局何を言っても推測にしかならないんですが、学生気質もさることながらかつてのように医師の裁量が大きいだけに接待攻勢で処方も大きく変わっていただろう時代と比べて、エヴィデンスだ、ガイドラインだと治療の標準化が進んだ時代に接待の費用対効果がどう変化しているのか、製薬会社側でデータ開示はしてもらえないでしょうかね?

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2013年10月29日 (火)

日本では患者の自己決定権は尊重されていない?

国内某界隈で近年信者を増やしている一派があると側聞しますが、このたびとうとう映画まで出来上がったそうです。

「自ら考え、決める」貫く がん患者の記録映画 各地で上映(2013年10月17日東京新聞)

 乳がんを患いながら積極的な治療をせず、昨年五十八歳で亡くなった渡辺容子さん=東京都杉並区=の終末期を追ったドキュメンタリー映画「いのちを楽しむ-容子とがんの2年間」が今夏から各地で上映されている。自ら考え、がん“放置”を選んだ女性の姿を通じ、人の生き方、死に方を見つめる。(山本真嗣)

 映画では余命一年の宣告から、亡くなるまでの二年間を追った。がんが見つかったのは一九九四年、四十歳のとき。主治医は「患者よ、がんと闘うな」(文芸春秋)著者で、慶応大病院の近藤誠医師。「ほとんどのがんに手術や抗がん剤の治療は効果がなく、早期発見、早期治療に意味はない」と主張する近藤医師に共鳴した。
 がんは徐々に大きくなり、皮膚を破る恐れがあったため、六年後にがんだけを除去する乳房温存手術を受けた。その後、全身への転移が分かり、放射線とホルモン療法で痛みを抑える方法を選んだ。「長くだらだら生きるより、短くても楽しく生きたい」と渡辺さんは映画の中で語っている。
 経過観察を続けながら、学童保育職員の仕事をしばらく続け、旅行にも出掛けた。全身転移後も普通に生活し、治療体験録を発行したり、パーティーに参加したり。母親もみとった。古里の福島県を思い、「できることを」と反原発集会にも駆け付けた。
 現代医療への懐疑心から何冊も本を読み、医師に質問し、治療法は全て自分で選んだ。「人生は自分が自分の主人公でいられることが大事。主治医も自分」
 だが、現実は容赦ない。最後の数カ月はほぼ寝たきりで、全身の骨に転移したがんの痛みに苦しむ。「死ぬまでには大変な苦労がいる」といい、衰弱していく渡辺さんを、カメラは克明に記録する。
 それでも、みとった妹の越子さん(57)は「やりたいことをやり通した姉は、幸せだった」と振り返る。

 映画では、渡辺さんと対照的に積極的な治療に臨むがん患者の女性=当時(56)=も登場。五十四歳で子宮肉腫と診断された女性は、子宮の全摘手術や抗がん剤、放射線治療のほか、保険適用外で一回数十万円の免疫療法なども受けた。女性は「ずっと死刑宣告を受けて生きている気持ち。背負った重い荷物を下ろせないような」と語る。
 この女性も渡辺さんと同様、徹底的に調べて自ら治療を選んだ。しかし、容体は悪化し、緊急手術の二日後に亡くなった。夫は「小さな明かりだったかもしれないが、少しでも可能性があれば、治療が生きる希望だった」と話す。
 容子さんの知人で、映画を製作したビデオプレス(東京)代表の松原明さん(62)は「がんも生も死も一筋縄ではいかないという現実を見て、それぞれの生き方、死に方を考えるきっかけにしてほしい」と話す。

      ◇

 映画は十一月十九日、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場で上映。千二百円。(問)ビデオプレス=電03(3530)8588=へ。
◇渡辺容子さんのがん発見後18年間の歩み
1994年春  右乳房に5ミリほどのしこり発見。近藤医師に受診し、放置を決める
2000年7月 しこりが4~4.5センチほどになり、乳房温存手術を受ける
 08年10月 鎖骨上のリンパ節への転移確認。ホルモン剤治療を続ける
 09年8月 骨、肺、肝臓への転移確認。放射線治療開始
 10年3月 近藤医師から余命1年の宣告受ける
   7月 ビデオプレスが撮影開始、がん治療体験録を出版
   10月 母・ワキ子さんをみとる。小笠原諸島に旅行
 11年4月 東京電力前の反原発集会に参加
 12年2月 骨転移からくる痛みが激しくなる
   3月 豊島病院緩和ケア病棟で死去

記事だけから映画の内容を云々するのも無理があるかと思いますが、記者がこのように受け取り要約する内容の映画だったとすると様々な意味で癌治療というものを考えさせる問題提起に満ちた映画に仕上がっているのではないかと考えますがどうでしょうか。
信仰と言う事に関して昔から貧乏人が神の存在を信じるなどおかしいじゃないか、信じる者が本当に救われるのならなぜいつまでも貧乏のままなんだと口の悪いことを言う人もいますが、人生最後まで信仰の世界に浸りきり自己完結したまま終われるのだとしたら、それはそれで幸せな人生と言えるのではないかと思いますね。
それはともかく、先日は安楽死が合法化されたオランダで安楽死専門クリニックに 1000人単位で患者が殺到しているとの記事が出ていましたが、人が将来を想像できる唯一の生き物である以上自分がどのように死ぬかということに関心が向かうのはある種の必然であって、生き方の多様性が実現した世界では死に方の多様性を求めたくなるのも自然な人間心理なのかもしれません。

最近では社会保障政策に対する不安と不満があちこちで語られていて社会的な圧力もあるのでしょうが、寝たきりになって長生きするぐらいなら元気なうちにぽっくりいきたいという声が高まっていって、逆になぜ日本ではぽっくりいけないんだという疑問から寝たきり老人がいないという諸外国への関心が高まっているのですが、これも種を明かせば口から食べられなくなれば何もしないでいかせるというだけのことなんですね。
寝たきりになる前に弱ってくれば何もせずいかせてしまうという選択は日本ではむしろ医療従事者の間から反発の声が強くて、「少し点滴でもすれば回復する人もいるだろうに」との声もありますけれども、逆に言えばわずかな脱水でそこまで状態が悪化してしまう人はどちらにせよ人生の終末期であるということに間違いはないともいえるわけで、結局はどこからを積極的な手を引くべき終末期と定義するかの社会合意の問題でしょうか。
その点で未だ社会的合意の存在しない現段階の日本では医療従事者と患者家族との間で考え方に違いがあるだろうし、国が進めたい方向性と国民の求める方向性にも違いがあるのは当然ですが、それでもどちらを選んでも大差ないのではないかと思えるような局面で、当事者である国民の意思が反映されないというのはやはり困ったものだという気がします。

心停止時、心肺蘇生を望まない入所者も救急搬送(2013年10月25日日経メディカル)

 産業医大救急医学教授の真弓俊彦氏は10月21日、第41回日本救急医学会総会・学術集会のシンポジウム「長寿社会に安心を届ける救急医学」で口演し、施設入所者を対象とした実態調査やアンケート調査の結果を発表した。心肺停止しても心肺蘇生は望まない(DNAR)意志があったにもかかわらず、心肺停止時に救急搬送され、心肺蘇生を実施されている入所者がいる実態が明らかになった。

 真弓氏らは、以前の勤務地である一宮市立市民病院救命救急センターに2010年4月から12年4月までに老人保健施設などの要請で救急搬送された心肺停止例を対象とした実態調査と、一宮市内の老人保健施設や特別養護老人ホームなどの施設を対象としたアンケート調査を実施した。

 実態調査の対象は、同センターに搬送された心肺停止334例のうち、施設から搬送された12例と訪問看護師の要請で搬送された21例。そのうち、8例が事前にDNARの意志を示し、DNAR指示が出ていた。しかし、全8例について、心肺停止時に対応に当たった施設担当者や訪問看護師はDNAR指示を把握しておらず、救急隊にも伝わっていなかった。その結果、その多くで心肺蘇生が実施されていた。

 アンケート調査では、一宮市内にある老人保健施設や特別養護老人ホーム、老人福祉センターなど181施設に調査票を送付。59.8%に当たる108施設から回答を得た。その結果、56%の施設が入所前後に延命処置を希望しない意志があるかどうかを確認しており、42.9%の施設がすべての入所者を対象としていた。しかし、延命処置を希望しない意思の表明があった際の対応マニュアルを定めていたのは18.1%にとどまり、35.2%の施設でマニュアルも対応の仕方も決まっていなかった

 また、延命処置を希望しない意志の表明があった入所者が急変した場合の対応を聞いたところ、心肺停止時には全て救急車を呼ぶと答えた施設が43.7%に上った。心肺停止を含めた急変時には嘱託医を呼ぶなど施設で対応すると答えた施設は28.2%、心肺停止時のみ嘱託医を呼ぶなど施設で対応するとした施設は6.8%、目撃のない心肺停止時のみ嘱託医を呼ぶなど施設で対応すると回答した施設は4.9%だった。

 真弓氏は、「DNAR指示のある入所者の情報が共有されず、施設としての対応も決まっていないにも関わらず、DNARの意志や延命処置を希望するかどうかを確認している施設もあった」と指摘。「入所者の意志を尊重して無益な救急搬送を減らすためにも、施設での死亡確認を進めていく必要がある。また、学会などが協力して、施設での急変時の対応指針などを作る必要があるのではないか」と話している。

救急を受けている病院ですと「なぜこれを搬送してくるかな…」と思うような症例にあたることもままあると思いますが、もちろん患者本人や家族が濃厚医療を希望しているのに医療従事者側が「この人には必要ないだろ」と勝手に判断するのもいいことではありませんが、逆にそれを希望しないのに強制的に心肺蘇生をするのも支払い負担が発生する分、余計にたちが悪いとも言えますよね。
もちろん連絡不徹底やマニュアルの不備などもあるのでしょうが、注目していただきたいのは実に半数近くの施設が急変時には全例救急車を呼ぶと答えている点で、せっかく終末期の看取り方の意思確認をしているにもかかわらずこうした対応をしているのでは全く何の意味もないことです。
なぜこのような現象が発生するのかということですが、施設に勤務しているスタッフすべてが利用者全員の希望を熟知していることはもちろんありえず、いざ急変となるとカルテなど文書で確認しなければならない、一方で急変時には一分一秒を争うと誰でも常識的に承知していますから、とりあえず救急車を呼んでおけば「まあ手厚い対応をされて嫌がる人もいないだろうし」とトラブルも少ないという判断なのでしょう。
自己決定権以前に救急車を一回呼べば数万円、心肺蘇生を受ければ一財産持って行かれるのが当たり前という諸外国ではちょっと考えにくい「万全の」対応と言えますが、これまた質量ともに不足しがちなスタッフによって何とか日本の医療システムとの間で整合性を保とうとする介護スタッフの苦心の結果というべきで、仕方ないといえば仕方ないことなのかもしれません。
もちろん利用者の自己決定権尊重という観点から大いに問題があるし、国としてもせっかく高齢者にはDNRが当たり前という風潮を拡散させて医療費抑制の一助としようと考えていたでしょうから困ったことなのですが、今後はより厳密に利用者個人の気分を拾いあげ実現に努力するという方向に進む施設と、最初から決まりきった対応でいいよという利用者しか受け入れないという方向に進む施設とに分かれていくのでしょうか。

最近では高齢者においても金を持っている人には応分の負担をという考え方が次第に浸透してきていて、経済的な政策誘導が国民の行動を左右するということからすると日本においても徐々に高齢者には若い人のようにはお金をかけないという考えが浸透してくるものと思いますが、まだまだ当分は北欧諸国のような「年寄りは弱ったら放置」という社会的な合意とまでは至らないのは当たり前のことです。
その北欧ではむしろ今までは医療に対するアクセスを規制過ぎたという反省もあって、もう少し国民が医療を利用しやすいように制度改革してもいいんじゃないかという考え方さえ出ているそうですが、国の規模がずっと大きい日本では基本的に全員が対象のサービス提供は控えめにしておいてリソースに余裕を持たせる、その上で困っている人には何かしらの追加措置をという形の方がコントロールしやすいんじゃないかと思いますね。
その点で実は一番の対抗勢力になりそうなのが一部の医療関係者で、昨今医療に対して過度の無抵抗主義のような妙な考え方が広まっているのも「人の命は地球よりも重い」とばかり延命こそ唯一最大の正義であるとも受け取られかねない過剰医療を提供してきたことの反動だということを考えれば、「誰一人として困ることのないように」などと過剰なサービス提供を当たり前の大前提にしろと言い出さないかとも懸念されます。
ともかくも癌だろうががんもどきだろうが疑わしきは全て決め打ちで最初から何もしないというのも極端だし、個人の希望や死生観も無視して全例徹底的な濃厚医療というのもまた極端というものですが、患者にとってどう死ぬかということがこれだけの重大関心事なのに、自分の患者がどう死にたいと思っているかに関心を示す医師は思いのほか少ないという現実にはギャップを感じないではいられませんね。

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2013年10月28日 (月)

枝葉の問題ではない皆保険制度の本質的な危機

いささか個人的な話しですけれども、最近利き腕の指を痛めまして少しばかり不自由な状態が続いていまして、ためしに口述筆記を併用してみたりしているのですが、おかしなところがありましたらご容赦下さいませ。
さて、アメリカでは医療制度改革、いわゆるオバマケアの問題が未だに続く大きな議論になっていますけれども、先日こんな記事が出ていましたのをご存じでしょうか?

米下院共和党、 オバマケアの保険未加入者への罰金導入延期を主張(2013年10月24日ロイター)

[ワシントン 23日 ロイター] - 米下院共和党指導部は23日、 米医療保険改革法(オバマケア)の下で保険加入を怠った場合に科される罰金について、導入を遅らせることにコミットしていると表明した。

オバマケアの核心であるオンライン保険購入システムで不具合が発生しているが、共和党のカンター下院院内総務は記者団に対し、保険加入を怠った場合に来年から罰金を科す条項について、少なくともオンライン保険購入システムをめぐる問題が解決するまで導入しないよう働きかけると述べた。

同院内総務は「多くの疑問が残され、多くの問題が発生しているなかで罰金を導入することにまったく意味はない」と述べた。

政府は今月1日、オンライン保険取引所(エクスチェンジ)の運営を50州で開始。ただ同システムでは不具合が発生しており、共和党指導部は不具合をめぐる情報開示が十分でないと主張している。

共和党のベイナー下院議長は、共和党は監視権限を利用し、オンライン保険取引所の不具合に関して公聴会を開くこともできると指摘。オバマケア導入にあたり企業が社員向けの医療保険を廃止しているとの報告が出ているが、こうした問題も公聴会を通して検証できると述べた。

もちろんオンラインでの不具合云々は言い訳で、実際には共和党はオバマケアの概念そのものに反対していることは言うまでもありませんけれども、ここで注目いただきたいのは皆保険制度という国民の利益のために導入されるはずの制度に未加入に対する罰金という不穏な表現が出てくることです。
ご存じのとおり国民皆保険制度のような保険のシステムというものはいわば国民すべてが小さなデメリットとには目をつぶって支えることによって成立するものであって、例えば今現在医療を必要とする有病者ばかりが加入を望むということにでもなればたちまち出費ばかりがかさんで保険財政が破綻してしまうことは言うまでもありませんよね。
その意味で「自分は病気になどならないし医療を利用することもないのに、高い保険料ばかり負担させられるのは不公平だ」と考える人も多いかも知れませんが、そうした不利益を甘受し制度を支える多数の方々が存在しなければ皆保険制度などというものは機能しないという、本質的な矛盾を抱えている制度だとも言えるでしょう。
そうなると介護保険制度とは国民にとって重要な権利であると同時に、国民にとって大きな負担となる義務であるという考え方もできると思いますが、このことを端的に示していると思うのが先日出ていましたこちらのニュースです。

年金支給日差し押さえ70件 国保料滞納に充当、島根(2013年10月24日日本経済新聞)

 島根県内の市町村が2011年度、国民健康保険料の滞納者に対し、年金口座の預貯金を差し押さえた81件のうち、年金支給日当日に差し押さえをしたケースが70件に上っていたことが24日、県の調査で分かった。

 国民年金法は、年金の差し押さえを禁止しているが、県は「年金が預金口座に振り込まれ、一般財産となった場合は差し押さえが可能とした最高裁判例に基づいた対応」と説明、問題がないとの見解を示している。

 厚生労働省は「差し押さえ実態を調査した例は把握していない」としている。

 県は全19市町村を対象に11年度の実態を調査。このうち11市町で、預貯金口座に振り込まれた年金を差し押さえたケースが計81件あり、このうち年金支給日に差し押さえたものが70件あった。

 市町から県への報告によると、年金の差し押さえは健康保険料の滞納分を分割で支払うと約束しながら、実際に支払わなかったり、連絡が取れなくなったりした住民に限った措置という。〔共同〕

あらためて皆保険は義務か権利か?という疑問が提起された形なんですけれども、現実的に低所得で保険料も支払うような余裕がない、なおかつ様々な事情から医療の給付を受ける予定もないという方々にとっては健康保険も純粋な持ち出しにしか過ぎず、強制的に取り上げられることには納得がいかないという考え方はあるでしょう。
中には「どうせ病気になったところで病院にかかる金などない。それなら乏しい年金収入は少しでも生活費の足しにして、いざその時が来たら世間の厄介にならずにさっさといこう」などと考えていたご老人もいたかも知れませんが、この強制徴収によってそうした考えは強制的に修正を余儀なくされたということになるのでしょうね。
年金や保険料未納といった問題が大きくなっていなかった一昔前までは国民年金と国民健康保険は役所がセットで扱っていたものでしたが、その後は社会保険庁が年金を扱うようになったせいか両者をセットでという感覚が薄れたようで、中には年金だけあるいは保険料だけを納付しているという人もいるようです(強制的にこうしたコストを支払っているサラリーマンには面白くない話しでもありますが)。
もちろん本来ならこうした制度は利用者利益のために存在するという建前になっている社会的サービスであって、あくまでも利用することは権利であり利用しなければ損となる建前なのですが、例の年金疑惑などが社会問題化してからというもの年金の先行きに不安を感じ未納率が高まった、その結果制度そのものが破綻を懸念されるようになり不安を裏付けたという経緯もありましたね。
冒頭の記事を見るとアメリカにおける皆保険制度がちょうどそうした状況にあるように感じられますが、制度が理想的に機能すれば全体としてはデメリットにもメリットの方が大きいという計算が成り立ったとしてもそれは統計的な話で、個々人にとってみればデメリットばかりでメリットがない人も確かにいる、そしてそのことに気づいた人々が制度を離脱してしまえば制度そのものが崩壊してしまうという怖さを改めて感じます。

日本の医療制度は国際的にも安上がりで済んでいる成功した医療モデルということになっていますが、諸外国に比べると「聖職者さながらの自己犠牲」などと言われてしまうような医療スタッフの過剰なまでの努力はその背景にあるという、これも冷静に考えると損得勘定はかなり難しいシステムでもあります。
昨今社会的にも問題視されている医療崩壊という現象も、現場スタッフが「あれ?俺たちのやってることって何かおかしくね?」といわば醒めてしまったのがその原因だと言えそうですが、長く続く不景気の時代にあっても雇用先には不自由しないという安定感等々のメリットはそうしたデメリットを甘受させるには当事者的にいささか不十分であったということでしょうか。
ひとたびこういう醒めた人々が一定割合以上に増えてしまうと、制度の持つ「何かよくわからないけども加わっておいた方が得そうだよね」というある種の幻想が崩壊してしまい制度の前提が揺らぐ、そして益々制度に対する疑問をいだきはじめる人とが増えるという悪循環に陥ってしまいますが、それを避けるには目に見える形での制度の改革、それも不公平感を是正するような方向での改革が象徴的に求められるし、それはマスコミのいう「弱者いじめ」などとは真逆で制度に依存しなければならない弱者にとってこそ最も必要な制度持続のための改革であるということです。
年金制度改革は結局よくわからないままに中途半端なものとなってしまったようで、年金保険料の納付率が一向に上向かないのも制度的不信をあらわしているのだと思いますが、今現在は皆保険制度がそうした不信の目にさらされ根本が揺らぎつつあるということを認識した上で、次回は診療報酬上げだ、いや横ばいだといった毎度毎度の枝葉ではない対策がそろそろ必要になると思いますね。

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2013年10月27日 (日)

今日のぐり:「大日亭 駅前本店」

先日は長年にわたって放送されてきた民放バラエティ番組の終了をなんと天下のNHKが報じたと話題になっていましたが、こちら一向に終わる気配もない人気長寿番組で史上初の珍事が発生したという驚きのニュースです。

笑点初の全員座布団獲得なし、放送開始以来の珍事に出演者“抗議”も。(2013年10月21日ナリナリドットコム)

10月20日に放送された演芸バラエティ番組「笑点」(日本テレビ系)で、放送開始以来初めて、出演者全員が座布団獲得なしという“珍事”が起きた。

この日の放送は、三遊亭小遊三、三遊亭好楽、林家木久扇、春風亭昇太、三遊亭円楽、林家たい平の全員が座布団ゼロの状態からスタート。一問目のお題「帰りたくない家」に次々と手が上がり、メンバーの答えに会場からは笑いが起きるが、誰も座布団を獲得することなく終了してしまう。司会の桂歌丸も「あぁ、そうだ。座布団忘れちゃったよ」と振り返りつつ、二問目へと進んだ。

二問目「何かをしながら歩いている人に注意してください」も座布団が出ないまま、三問目へ進もうとする歌丸にメンバーもざわざわ。そして三問目「おばあちゃん達の女子会、健康ランド篇」では、エンジンのかかったメンバーが怒濤の答えを披露、たい平がふなっしーのマネを織り交ぜるなど会場を爆笑の渦へと巻き込むが、渋い歌丸の口から“座布団”の言葉が出ることはなく、結局スタート時と同じ全員座布団ゼロの状態でお題を終えた。

番組の最後、歌丸が「48年間『笑点』をやっていて、1週間誰も座布団を獲らなかったのはきょうだけでございます」との挨拶で締めくくると、昇太や円楽を中心に「獲らないんじゃなくて獲れないんだ!」と抗議する喧噪の中でお開きとなった。

しかし時に妙に厳しいこともあるなとは感じていましたが、何かしらこれは理由でもあってのことだったのでしょうかね?
今日は報われることのなかった出演者の方々にねぎらいの意味を込めて、世界中からこれはなかなかに見かけない珍事だというニュースを紹介してみましょう。

消防署が燃えて消防士ら茫然…自分たちの建物は救えなかった(2013年10月11日らばQ)

火災が起きたら消火するのが消防士の仕事ですが、不幸にも消しとめる前に燃えつきしまうこともあります。
そんな悲劇が、なんとドイツの消防署で起こりました。
消防士たちは自分たちのビルが、ただ炎上していく様を見ているだけだったそうです。

ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州の消防局で、週末の朝方2時40分に出火したそうです。近所の人が見つけて直ぐに通報しました。
ところが自治体の消防士たちが到着したころには建物は炎に包まれており、中に入ることは不可能だったそうです。
なんとか外から火力を制御しようと試みたものの、70人の消防士たちが見ている前で、まだ築5年だった建物は完全に破壊されてしまい、ボート1そうと、消防車6台が破損したとのことです。
被害総額は500万ユーロ(約6.6億円)と見積もられているものの、幸いケガ人はありませんでした。

ある意味、もっとも火災からは安全と思われていた消防署が燃えてしまったことに、ショックは隠せないようです。
これから乾燥する時期ですので、火の元には気を付けましょう。

元記事の画像を見ますとさすがドイツ、某高級ブランドの救急車が真っ黒に煤けている光景が印象的ですが、それにしても一体何故こんなところから出火したのでしょうかね?
車を運転していて警察のご厄介になることはままあることですが、こちら思いがけない取り締まりが行われたというびっくりニュースをお伝えしましょう。

警察がおもちゃの車に警告書、父親驚くもユーモアとわかり笑い話に。(2013年10月16日ナリナリドットコム)

米国のある男性は先日の朝、仕事に向かおうとガレージから車を出したとき、前を塞ぐように置かれた小さな車の存在に気が付いた。それは9歳と7歳の娘たちが愛用しているおもちゃの電動自動車。近づいてみると、バービーが描かれた鮮やかなピンクの車に「放置車両の撤去」を求めるオレンジ色の紙が残されており、娘たちのおもちゃが警察の取り締まりを受けたと思いビックリしたという。

米放送局CBS系列KUTVやABCなどによると、この一件は、ユタ州アメリカンフォークに住む男性宅でのこと。10月2日の朝、娘のおもちゃの車に残されていた警察の警告書は、放置車両を見つけた際に実際に使用されているもので、おもちゃの車は「車種ジープ、所有者バービー」とされ、具体的な発見日時や場所なども記載した状態で置かれていた。

おもちゃでも「警告受けるのか……」と動揺した男性は、まだ寝ていた持ち主の姉妹のもとへ急行。事情を聞いてみると、2人は前の日にバービーの車に乗って自宅前の車道で遊んだ後、電池が切れて動かなくなったため、その場に車を残して家の中に戻って来たと話したという。そこで、「姉妹が電動自動車を車道に放置した→警察に取り締まられた」と経緯を理解した男性は、本当に娘たちが警察の処分を受けるかもしれないと恐れ、すぐに警察へ連絡を入れたそうだ。

警察の話では、この日未明に周辺をパトロールしていた男性警察官が、車道に残された姉妹のジープを発見。彼は、姉妹のおもちゃが「盗まれたり事故に巻き込まれたりするかもしれない」と心配になり、車を家の敷地内へと移動させた。そのとき「自分がパトロールしていると知ってもらう」のに良い機会だとひらめいたという警察官。付近の住民たちにも、この地域は安全だと感じてもらうために、あえて姉妹のおもちゃに偽の警告書を残す「いたずら」をしてみたという。

もちろん警告書には、遊んだらちゃんと片づけるように姉妹へ注意を促す意味もあっただろうが、警察から「彼女たちには問題ない」と聞かされた男性はとにかく安心したとのこと。この話題は、放送局KUTVから全米へユーモアのある話として広まったようで、警察関係者は「警察が定期的にパトロールを行い、住民たちを気に掛けている事実が伝わって良かった」と話しているという。

しかし日本であればこれ、下手をすると始末書ものの不適切な取り締まりということでマスコミの総バッシングを受けることになっていたでしょうかね…大分県を除いては。
日本でも時折遭難事件が報道されますけれども、その道のベテランともなるとやはり違っていたと言うのがこちらの記事です。

リスやヘビを食べ18日後救助 米で遭難の72歳ハンター(2013年10月15日47ニュース)

 【ロサンゼルス共同】米カリフォルニア州北部の森林でシカ狩り中に遭難した72歳の男性ハンターが、18日後に救助された。落ち葉をかぶって眠り、リスやヘビを食べて生き延びた。体重は6キロ減り、切り傷はあるが、元気だという。

 15日付のロサンゼルス・タイムズ紙などによると、この男性は狩猟歴約30年のジーン・ペナフローさん。友人と2人でメンドシノの国有林に入ったが、9月24日、二手に分かれてシカを追ううちに行方不明になった。ペナフローさんは転落して頭を打ち、しばらく気を失っていた。さらに濃い霧のため自分の居場所が分からなくなった。

ちなみにこういう場合リスという生き物は非常に狙い目なんだそうですが、いずれにしても野山に出歩くならいざというときの対処能力はやはり大事ということですかね。
いかさまなどという行為はもちろんやっていいことではありませんが、こちらその天罰が下ったのか?とも思えるニュースです。

【海外:ベトナム】いかさま師の悲しき最期。ギャンブルテーブルの下に6時間潜んで窒息死(2013年10月24日日刊テラフォー)

ベトナム・ダナンで、ギャンブルテーブルの下に開けた秘密の穴に6時間潜んでいた詐欺師が窒息死した。

ビ・ヴァン・トゥルングさん(24)は、ギャング仲間がプレイしているギャンブルテーブルの下に開けられた1m四方の空間に入れられ、相手の手の内を盗み見て、電子機器を使って仲間に教えていた。

6時間ギャンブルを続けた後、ギャング仲間がテーブルを開けたところ、トゥルングさんは意識不明の状態になっていた。
トゥルングさんは病院に運ばれたが、病院に辿り着く前に死亡してしまった。

警察は、この違法賭博現場から、携帯電話3つ、電子遠隔操作賭博制御ユニット3つ、300ポンド(約47,000円)の現金を押収した。

おそらく意識が無くなっていったトゥルングさんは、途中から仲間に合図を送れなくなっていたはずで、仲間もそれに気づいたと思うのだが、彼を救うためにギャンブルを途中で止めることはしなかったのだろうか?

賭博自体も違法なら、いかさまを働いたことも悪徳で、亡くなってしまったのも自業自得と言えばそれまでだが、たった1m四方の空間に押し込まれたまま苦しんで亡くなってゆくなんて、あまりにも悲しすぎる最期だ。

苦し紛れに暴れて対戦相手に気付かれるドジを踏まなかったのは、彼のギャングとしての最後の根性だったのだろうか。

どこから突っ込んでいいものやら迷うようなニュースなんですが、悪銭身につかずとはこういうことを言うのでしょうか。
およそお葬式と言えばしめやかに故人を偲ぶというのは多くの国で共通する傾向のようですけれども、こちらびっくりするほど賑やかなお葬式のニュースを紹介しましょう。

お葬式なのに参列者はマリオやスターウォーズのコスプレ…故人の希望でにぎやかなものに(2013年10月9日らばQ)

イギリス中部のニューカッスルで、ゲイリー・パティソンさん(42)が交通事故で亡くなり、しめやかに……ではなく、にぎやかに葬儀が執り行われました。

参列者の多くがコスプレ姿だったというから驚きですが、亡くなったゲイリーさんの生前の希望だったとのことです。
(略)
参列者は250人にも上ったそうですが、悲しく送られるよりも陽気に送ってほしいという、ゲイリーさんの人柄が伝わってきます。

ブリではごく普通のこと…かどうかは判りませんが、元記事の画像を参照いただけるとその賑やかな光景が想像出来ますね。
最後に取り上げますのもご存じブリからの話題ですが、これまたちょっとあり得ない話しではありますね。

庭仕事で額につるはしグサッ、頭蓋骨に穴開くもバス乗り自力で病院。(2013年10月20日ナリナリドットコム )

庭を掘ったらお宝が――という話なら誰でも羨ましいところだが、庭を掘り返していて命を落としかねないけがを負ったというのは、英国のある男性。先日、彼がつるはしを使って自宅の庭を掘り返していたところ、誤って下にあった物干し綱(※太い洗濯ロープ)に命中し、勢いで跳ねかえったつるはしの先端が彼の額に刺さったという。レントゲン写真にはっきり写るほど骨に穴を開ける大けがだったが、彼は自分で応急処置を行った後、バスに乗って自力で病院へと向かっていたため、医者を大いに驚かせたそうだ。

英紙ヨークシャー・イブニングニュースやデイリー・メールなどによると、この男性は英中部の街リーズ近郊のモーリーで暮らす37歳の男性、シェルドン・ムポフさん。彼は今年8月、自宅の庭に芝生を敷き詰めようと、庭の土を掘り返して植える準備をしていた。その最中、振り下ろしたつるはしを下にあった物干し綱へ当ててしまい、勢いよく跳ね返ったつるはしを避けきれずに、額へグサリと刺してしまったそうだ。

後に分かることだが、このとき頭がい骨には穴が開いていたというムポフさん。ただ、意識はハッキリとしていて、大きなダメージを受けていないと感じた彼は、出血を止める応急処置を行いながら、英国の国民保健サービスが運営している非緊急性の医療相談窓口「111」番へ電話した。彼が状況を説明すると、担当者からは「救急車を呼ぶ必要はない」との返事。しかし「1時間以内に病院へ向かうように」と指示され、すぐにバスを利用して、リーズにある病院へと向かったという。

あまりに元気な彼の様子に、担当した医者も最初は重傷とは思わなかったとのこと。ところが、レントゲン写真とCTスキャンで頭を検査して、彼の傷は「あと数ミリで脳に達していた」ほどの大けがだったと分かった。彼の額の真ん中には大きな穴が開いてはいたが、幸いつるはしの先端が空洞部分で止まったため、大けがではあったが深刻な影響を与えるまでには至らなかったようだ。

詳しい状況が判明した後、数ミリ深く刺さっていたら命の危険もあっただけに、医者から「どのくらい幸運だったか分かってますか」と言われたというムポフさん。そんな珍しい患者を一目見ようと、病院では話を聞きに来る“医者の列”までできたそうだが、結局つるはしの傷に5針縫って数種類の薬を一晩投与されただけで治療は終わり、現在彼は傷も治って元気に過ごしているそうだ。

そして今回の経験で「命の価値を認識した」というムポフさんは、今後つるはしを使うときには「とても慎重に」扱うと話しているという。

そもそも慎重に扱うといった問題ではない気もしますが、ともかくも無事に終わったことは幸いでしたね。
それにしてもさすがにNHSの医師たちも、こんな患者が来るとは思ってもいなかったのではないでしょうか。

今日のぐり:「大日亭 駅前本店」

岡山市内中心部のにぎやかな一角にあるのがこちらのお店ですが、焼き肉屋としては市内でも一番という人も多いだけに、価格帯的にかなり高いのに大繁盛しているようです。
ちなみに一階は通常の焼き肉屋風ですが二階から上はお座敷になっていって、予約の労さえ惜しまなければ個室で食べられるのがいいですね。

この日も同行者とシェアしながら適当につまんでみたのですが、メニューをみますと焼き肉だけでなくかなり本格的な韓国料理も取りそろえているようですが、その割にキムチが何か日本風のあっさり浅漬け風なのが少しばかり意外でした。
特上塩タンの切り方はそれなりに分厚いですが、さっくりかみ切ることができる食感で味もよろしいですし、特上はらみはタレでいただいたのですがこれぞ肉という味で、少しくせがあるのも持ち味でしょうか、ともかく肉と脂のバランスがいいですね。
特上カルビは塩で頼んでみましたが、強烈なサシに負けない十分な肉の旨味があるのですががここまで来るとやはり脂が強いかなと感じます。
ホルモン系では特上ミノを試してみましたが、よくあるコリコリ食感だけのミノでなくちゃんと味もあるのはいいですね。

全体にサシがきついせいもあるのですがが一人前が妙に多い気がしたので、まずは控えめに頼んでおいた方がよさそうですね。
しかしこちらで使っているのは千屋牛らしいのですが、個人的にあまり良い印象がなかったのですけれどもさすがにこれくらいの水準になると十分うまいですし、絶対的にはそれなりの価格ですが質と量のバランスを考えると高いという気はしません。
さすがにコストが十分使えるのでしょう、スタッフも豊富でレスポンスもいいですしトイレなどの設備面も充実していますから、価格分以上にいいものを食べたという気になるのが人気の秘密でしょうか。

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2013年10月26日 (土)

ネットオークションのリスクが絶讚増大中?!

個人的にはリアルであれネットであれオークションの類を利用することはほとんどないのですが、近年こうしたものが日本でもすっかり定着して利用者が増えているのは周知の通りで、特に欲しかったが一般の流通ルートには乗っていないものが手に入っただとか、不要になっていたがまだ商品価値がありそうなものが中古屋に持っていくよりずっと高く売れたなど、いわば適正利用による愛好者も多数に上っています。
ところが一方では特に出品者と落札者が直接顔を合わすことなく商品も写真でしか見ることの出来ないネットオークションが主流となって顕著になってきたことですが、こうした場を利用して悪どいことをやって儲けてやろうという不届き者も少なからず参入しているようで、しかもそれらを商売としてやっている悪徳業者も多数あるようなのですね。

ネットオークションでトラブル続出?商品届かない、悪質業者参加…対応後手の運営元(2013年10月19日ビジネスジャーナル)

 ヤフオク!(旧・Yahoo! オークション)や楽天オークションなどに代表されるインターネットのオークション。多様な商品を安価で購入できるサービスとして定着しているが、その一方で、「入金したのに商品が送られてこない」などの詐欺や不正が頻発している。専門家からは「運営側はユーザーを増やす施策には前向きだが、本人確認などユーザー減を招きかねない施策には後ろ向き」という指摘もあり、トラブルに遭うユーザーはいまだ少なくない。

 オークションサイトのトラブルといえば、ペニーオークション詐欺が記憶に新しい。ペニーオークションは入札するごとに手数料が掛かる仕組みだが、ボット(自動で投稿・入札をするロボット)による入札を運営側が繰り返し、手数料をだまし取っていたとされる。また、芸能人がステルスマーケティング(広告だと気付かれないように一般消費者に宣伝すること)に関わっていたことでも問題になった。
 ペニーオークションのトラブルは、サイトを運営する業者自体が詐欺を働いていたケースだ。一方、ヤフオク! や楽天オークションなどは、業者はあくまでプラットフォームの運営者であり、C to C(Consumer to Consumer/一般消費者同士)の取引が基本。しかし、出品者に詐欺を目的とした業者が紛れ込むこともあるから注意が必要だ。
(略)
 あるユーザーによると、「メーカー提供の画像を使い家電を売るなど、量販店と変わらない商売をしている業者もいる。さらに楽天市場に出品されている商品をヤフオク!に掲載し、落札された後に楽天市場から購入して商品を送る手法もあります。楽天市場のほうが安いため、その差額で儲けているんです」という。

●詐欺が多発

 そして、さらに悪質なのが、落札された商品を発送しないなどの詐欺を働く業者だ。2005〜09年頃まで、ヤフオク! の不正対策に携わった関係者はこう話す。
 「ヤフオク! では一時期、カーナビやパソコンなどの高額商品を出品、落札者に入金させた後、商品を送らないという詐欺が横行し、ヤフーはその被害者たちに補償金として年間数億円払っていました」
 これに危機感を募らせたヤフーは、ローンの審査システムなどを手掛ける金融エンジニアリング・グループと組んで不正検知モデルを開発。詐欺出品の可能性が高い商品を絞り込み、最終的に人の目で判断するという、「不正検知モデル+有人監視」のハイブリッド方式により、詐欺グループを減らすことに成功したという。

●不正への対処にオークションサイト運営側は消極的

 しかし、前出の関係者は、こうした不正への対応に消極的な姿勢が業界全体に蔓延していること対し、不安感を持っているという。
 「C to Cのオークションサイトを運営している各社は、“自分たちは商談の場所を提供しているだけ”という意識が強い。広告を出して宣伝するなどユーザーを増やす施策には前向きですが、不正対策に予算をかけるモチベーションが低いんです。不正対策は『後ろ向きの対策』だと思っているんですね。ヤフオクの場合は、対策を打たなければ立ち行かなくなるところまで追い込まれ、そこでようやく本気で取り組みましたが、逆にいえば、そこまでいかなければ本腰を入れなかったと思います」
(略)
 前出の関係者は、「クレジットヒストリー(カードの履歴。信用情報の照会に使われる)の詳細を公開し、オークションサイトの運営会社が詐欺業者を見分ける仕組みをつくったらどうか」とも提言している。少なくとも、「不正をなくす」ことが、長期的にユーザーを増やす「投資」になることを肝に銘じてほしい。(文=黒崎さとし)

実質的に一般の商取引と同じ行為をしているのであれば、それに準じた対策があって当たり前という気がするのですが、ネットオークションに関しては場を提供しているオークションサイト自体がその対策に必ずしも乗り気ではなく、結果として「不正のしやすい商取引の場」として認識されつつあるということでしょうか。
もちろん最初から詐欺目的の悪質業者などは論外なのですが、利用者の間で近頃とりわけ忌避されているのが「転売ヤー」などと言われる存在で、これは希少価値の高い商品を仕入れて転売することで利益を出す行為を繰り返している常習者がそれだけ多いということでもあり、実際にあちらこちらで様々な事件が起こっているようですね。
しばしばアイドルやアニメなどに絡んだ非売品の転売が問題になりますが、最初から転売目的で大量に仕入れて品薄感を演出し値をつり上げるだとか、さらにはネット掲示板などで需要を煽って高値に誘導するといった行為もあって、昨今では親切心で「それなら○○のオークションに出てたから行ってみれば」などと書き込んだだけでも「転売ヤー乙」と言われてしまう始末です。
こうした手合いはその都度名義を変えて単なる一個人を装ってオークションに参加するケースも多く、ある意味業者などよりもよほど根絶が難しいと思うのですが、実は最近「これは問題だろう」とネット上で騒がれているのが某大手オークションサイトの制度変更のニュースです。

Yahoo!ショッピング、たった1日で出店が激増……ストア10,000件、個人16,000件(2013年10月9日RBBTODAY)

 ヤフーは10月9日、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」への新規出店希望が急増したことを発表した。同社は10月7日に、Yahoo! JAPANの新戦略「eコマース革命」を発表し、出店手数料などをすべて無料とする新方針を打ち出している。

 同社では10月から、インターネットショッピングサービス「Yahoo!ショッピング」のストア出店料(月額システム利用料)と売上ロイヤルティの完全無料化および、オークションサイト「ヤフオク!」のストア出店料(月額システム利用料)を無料とする方針だ。

 この発表を受け、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」への問い合わせが急増し、わずか一日で「Yahoo!ショッピング」の新規ストア出店希望数は、通常の数百倍となる約10,000件を達成したとのこと。新たに受付を開始した「個人」の出店希望数も約16,000件にのぼった。

 また「ヤフオク!」についても、通常の30倍となる出店申込みがあったという。

 現在の「Yahoo!ショッピング」のストア数は約20,000店舗、「ヤフオク!」のストア数は約16,000店舗(2013年9月末時点)。

以前のオークション料金体系では出品者側にかかる出店料に加えて5000円以上の入札には有料のプレミアム会員入会が必要となるなど双方それなりにコストがかかっていたのですが、これらが無料化されるというのは大変な利用者の利益じゃないか、素晴らしいというニュースかと思いきや、ネット上では全く逆で「これで転売ヤーの天下だな」と否定的な声が多いようです。
考えて見れば出店料を取ることで「売り逃げ」を防ぎ、また入札側にも高額商品には身元確認を求めるといった縛りが一切なくなったのですから悪意をもって利用しようと言う人間にとっては非常にやりやすいことで、善意の利用者にとってもこれまで以上にトラブルに遭遇する確率が高まるわけですから、その分のリスクを負担する必要があるという意味では必ずしもメリットばかりではないですよね。
ヤフオクがこうした制度改定を行った背景には当然ながら競合他社に先んじて顧客を奪い取るという戦略があったはずですが、おもしろいことに一見すると業界の活性化にもつながりそうなこの無料化ニュースが流れた直後から当事者のみならず競合他社も含めた大手ネット通販各社の株価が急落したというのは、こうしたリスクを嫌ってのことと見えなくもありません。
今後ネットオークション絡みのトラブルがさらに頻発するようになり、その解決のために少なくないコストが必要になれば当然どこかでそれを捻出しなければならないでしょうし、何よりオークション自体に対する利用者の信頼感が揺らげばすっかり衰退傾向となったペニオクなどと同様、利用者保護の視点のない膨張策は長期的な成長には大きなマイナスとなりかねませんね。

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2013年10月25日 (金)

あちらこちらで診療報酬抑制の余波が

次回の診療報酬改定で診療報酬の伸びは抑制されるべきだとか、いやマイナス改定などあり得ないだとか様々に言われているようですけれども、いずれにせよ医療現場や厚労省、はたまた保険者側の思惑もさることながら、やはり莫大な国費を投じている事業であるだけに財務省の意向が決して無視できませんよね。
おかげで医療業界は各方面ともこの時期財務省の動向に注目しながら「うちは無駄遣いなんてしていない!これ以上診療報酬を削られたら終わりだ!」と釈明に必死なのですが、「医療費本体部分が厳しく制約されているのに対して柔道整復師などはルール無視でやりたい放題医療費を使っているじゃないか!」などと周辺業界にもこの医療費抑制問題が飛び火することがあり、中の人もこんな釈明に追われることになるようです。

【整体の常識非常識】良心的?不正請求?整骨院業界の光と闇(2013年10月4日zakzak)

 「整骨院って保険使えるんですか?」この業界にいるとかならず受ける質問。
 結論から言うと、「症状によっては使えるケースもある」。具体的には骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲。
 これらのケガを施術するときに保険が使える、というのが正解。しかも数日から数週間といった最近のケガに限られる。「でも実際に整骨院って、お年寄りの腰痛や肩こりの患者さんばっかりですよ?」その場合、整骨院ではある操作が行われている

 肩こり→手をついて転んだ際に肩をひねった→肩の捻挫
 腰痛→机を持ち上げた拍子に痛めた→腰の捻挫
 高齢者の膝の痛み→階段でつまづいて転んだ→膝の打撲

 これら架空のストーリーと傷病名を作り上げ保険請求。そして通い始めて3カ月も経てば、そろそろ慢性症状。その箇所は治ったことにして、また新たなケガのストーリーが追加される。これが整骨院が肩こりを保険でみてくれるカラクリ。
 「なんだ、完全に不正請求じゃないか!」実はそれも微妙な問題で、一概には言い切れない場合も。

 慢性的な肩こりの人が、手をついて肩をひねった。
 もともと腰痛だった人が、物を持ち上げてさらに痛めた。
 年齢的に膝が痛んでいた人が、たまたま転んだ。

 これらはどれも問題なく保険を適用できる。その線引きをどうするかは、整骨院側の良心と判断。ちなみに私自身はもともと保険を扱っていないので、直接関係のない話。ただクライアントの先生には節度を持って扱うよう、いつも注意を促している。
 たしかに保険を使えるといえば、集客しやすいし患者さんも喜ぶ。でも見つかって営業停止になったら、整骨院だけでなく結局患者さんも困ってしまうので要注意だ。
(略)

いや、医療の場合そういうのも含めて全部診療報酬不正請求でやり玉に挙げられるんですが…などと言いたくなる先生も多いかと思いますが、柔整に関わる診療報酬請求の実に1/3が大阪府からであるとか、照会状を送付しただけで請求が3割も減っただとか、とかく近年他の医療費支出が軒並み横ばいに抑制されている中でかの業界が突出して伸びていることには何か裏事情がありそうな臭いがぷんぷんしますよね。
さすがに国もこの状況には注目していて、今後はどんどん柔整にも厳しくしていくから今までのように好き放題保険併用で儲ける事は出来ないと中の人も嘆いているそうですけれども、柔整のみならず先日は医薬分業以降調剤薬局が儲けすぎだという指摘に財務省も注目していると言う報道があって、実際に調剤に関わる診療報酬見直しを厚労省に求めていく方針だということです。
さんざん好き放題儲けてきた連中ざまあwなどと他人事のように言っていられないのはもちろん医業の方も同様で、例えば先日も大いにマスコミを賑わせたいわゆる「患者紹介ビジネス」なるものについて厚労省が禁止だと言い出したようですね。

患者紹介ビジネス禁止へ 厚労省、高齢者施設20カ所で確認 (2013年10月23日日本経済新聞)

 厚生労働省は23日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開き、民間業者が患者を医師に紹介して仲介代金を取る「患者紹介ビジネス」を禁止する案を示した。省令を改正し、2014年度から医療機関の紹介料支払いを禁ずる方針だ。

 紹介ビジネスは、業者が有料老人ホームなど高齢者施設の患者を医師にあっせんする手法。施設を訪問診療した医師が診療報酬から業者へ紹介料を支払ったり、紹介料の一部が施設側に渡ったりするケースもあるという。厚労省は、全国で少なくとも20施設がかかわっていたとの調査結果を公表した。

 現行制度では紹介ビジネスは違法ではないが、患者が自由に医療機関を選べず、不要な診療が行われる恐れがあることから、不適切だと厚労省は判断した。14年度の診療報酬改定で、医師には訪問診療の時間や病状を記録して、患者や家族に説明するよう求める

 訪問診療は外来などに比べ診療報酬が高いため、仲介がビジネス化したとみられる。

 調査結果は、都道府県などからの報告を基にまとめた。患者の紹介が確認された20施設は、認知症グループホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など。紹介を受けた診療所は医科で5カ所、歯科で7カ所、仲介業者は3社だった。医療機関が診療報酬の10~15%を紹介料として業者に支払っていた例もみられた。

 入居者33人のうち31人が訪問診療を受けていた、低料金で入居できる軽費老人ホームもあった。〔共同〕

もちろんそういう話が出ているというレベルの記事ですから詳細は未だ不明なのですが、おもしろいなと思ったのは厚労省担当者が「医師がそんなことをするはずがないと思っていた」と語ったように患者の選択権を奪い過剰診療を招くこの問題を深刻に捉えていた割には規制したのは業者への仲介料支払いだけで、肝心の過剰診療問題そのものは放置していることです。
月2回施設の入居者をまとめて回診すれば一人当たり6万円の収入になるというのですから非常においしい商売だと思いますし、そもそも施設に入っていられる程度には安定している方々を毎月2回往診する必要があるのかということなんですが、仮にそれほどまめに診察する必要がある不安定な患者がいたとして普通は施設往診で済ませるのではなく外来に来させて検査などもするはずですよね。
むしろ紹介された医師側からすれば今まで毎月固定経費として仲介業者に一定の歩合を支払っていたものを、こうした規制が成立すれば反故にしてよくなるだけにますますおいしいというだけで何らのペナルティーにもならないと思うのですが、逆にこれだけの儲けがあることを見越して往診業務をやっている医師らの撤退を恐れているということなのでしょうか。

こうした往診の対象となるだろう施設入所高齢者が何十万人も往診料を算定されるとするとそれだけで数百億単位の支出増になると思いますけれども、もちろん医師も暇ではありませんから誰も彼も往診に出かけて行くということは考えられませんけれども、逆にこの業務で儲けようと考えている一部の医師にとっては競争相手も少なく需要は多いという点で非常にいい商売になりそうですよね。
もちろん他方ではどうしても往診希望だ、必要だという人もいて、財政上の要請なども合わせてどこかしらに落としどころを見つけていくことが必要ですが、記事にあるように「医師には訪問診療の時間や病状を記録して、患者や家族に説明するよう求める」という次期診療報酬改定の方向性というのは往診業務を一層手間暇かかる面倒な作業とすることで、一人の医師がこなせる数を自主的に抑制させるという考え方なのでしょう。
ただ現場の医師にとっては「そんなに面倒くさくなったらもう止めようか」と言う気になったとしても、それを使役する雇用主の側は濡れ手で粟の高収入をおいそれと手放す気になれないのは当然で、自己裁量の余地が大きい医師一人の開業医よりも単なる被雇用者に過ぎない中小の市中病院勤務医にとってこそ「一文の得にもならないのに仕事だけが増えていく」といういつものパターンになりそうですね。

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2013年10月24日 (木)

現場スタッフも患者も現状の改革が必要だと思っている?

先日の救急医学会で末端臨床現場から「勤務環境改善のためには夜10時までの副当直導入が有効」という提言があったと言う記事が出ていて、なるほど夜間救急の状況に応じた柔軟な勤務体系導入が有用なケースも多々あるのだろうなと感じたのですが、今まで医療崩壊対策というとどうしても診療報酬がどうとか労基法遵守がどうとか言った原理原則的な総論に流れる傾向があったのは否定出来ません。
もちろん医療現場の窮状にようやく国民の目線が集まり改善の必要性が認識されつつある状況下で、一気に抜本的な改革を進めるという大方針はごもっともなのですけれども、医療に限らずどこの業界でも現場の実態に応じて公的ルール通りの運用はかえって硬直化を招き目的達成上後退につながるということはままあることで、臨機応変な対応によってより手っ取り早く確実に環境改善が図られるのであればこれを忌避することもないように思いますね。
代表的な地域中核病院の一つである倉敷中央病院などは循環器診療で有名ですが、先日出ていた記事によると専任の医師や看護師がまず来院患者のトリアージを行い重症度や緊急性を判断する「院内トリアージ」が有効に機能しつつあると言い、これなども循環器専門医の疲弊を防ぐためにはそれなりに有効なシステムなんだろうなと想像します。

要するに医療の質を落とさずに現場の勤務状況を改善すると言う大命題を実現するとして、文字通り今ある状況からは一歩も質的後退を許さないと杓子定規に解釈してしまうと「胸部症状がある患者は全例速やかに循環器専門医に紹介」と言うことになってしまいますけれども、「実質的にさほど質を変えずに」とやや柔軟に解釈することによって勤務状況の方はかなり大きく変化させられるということですよね。
ところが国民はおろか疲弊しているはずの当の専門医の間からも「いや、そんなやり方では万一の見落としが心配だ」と言った形で根強く反対論が挙がってくる、そしてより大きな日常的な疲弊による診療の質の低下という問題が放置されてしまうというのは典型的なゼロリスク症候群の弊害かと思いますけれども、各診療科の専門医をどう配置していくべきかと言うことにもまた同様の考え方が蔓延している気がします。
多くのマイナー診療科などでは実質的に一刻を争うような緊急性のある疾患はそうそうはないので、需要の少ない田舎病院ではそれこそ週に何度かの非常勤でも十分に回せるし地域線体の専門医アクセスを維持するためにはその方が優れていると思うのですが、「それでも万一があってはいけない」という考えが強くなりすぎると話が妙な方向に進んでしまうように思います。

医療格差時代に広がる病院格差 あなたの街の「頼れる病院」はここだ!(2013年10月21日ダイヤモンドオンライン)より抜粋

がん拠点病院でも確保できない「病理医」不足の深刻

「やっぱり胃がんでした」。青森県在住の町田一郎さん(50歳、仮名)は医師の言葉に耳を疑った。
 1年前、勤務先の健康診断で「胃に影のようなものがある」と言われ、県内の病院で胃内部の組織を採取して病理組織検査を行った。その結果、「悪性(がん)ではない」と診断され、安堵した。
 ところが最近、胃にむかつきや違和感を覚えるようになり、念のためにと再び検査を受けてみた。その判定が「黒」だったのである。
わずか1年で診断結果がひっくり返ったことに町田さんは納得がいかなかった。医療業界で働く友人から「病理診断を担当した病理医から説明を受けてはどうか」とアドバイスを受けた。
 病院で病理医との面会を頼んだところ、主治医は困惑した表情を浮かべて少し沈黙した。そして「うちの病院に病理医はいません」と明かした。
(略)
 町田さんが通う病院には病理医がいないため、検査センターに委託されていた。検査センターでは病理医がアルバイトで診断を行い、1枚2000円程度で報告書を作成している。病院に常駐して担当医や患者とやりとりする病理医に比べると情報は限られ、結果的に町田さんに対する1回目の診断は間違えられてしまった

 病理医を常勤で抱えられる医療機関は、実は非常に少ない。医師全体が地域偏在と不足の状態にあるが、病理医の逼迫度ははるか上をいく。全国に一般病院が約7500あるのに対し、病理医はわずか2100人ほどしかいない。地域の偏在もあり、福井県はたった9人だ。がんを専門に扱うがん診療連携拠点病院であっても、381病院中53病院は常勤病理医がいないのである。
 産科医や小児科医の不足はよく知られるが、今最も深刻なのが「麻放病(まほうびょう)」であると業界関係者たちはため息をつく。麻放病とは麻酔科、放射線科、病理科を総称する造語だ。
 麻酔医がいなければ手術はできない。高度な画像診断装置や放射線治療装置があっても放射線領域の医師がいなければ診断や治療は行えない。病理医がいなければ治療前や手術中にがん細胞の診断ができない。
 黒子的存在で目立たないが、彼らがいなければスーパードクターの外科医であろうと手術はできない。手術時間はむしろ麻酔医や病理医のスケジュールに合わせて決定されているのが実態だ。
(略)
 スーパードクターをたくさん抱えていることを喧伝したり、豪華な内装を誇る病院もあるが、本当に頼れる病院とは医療機能の要となる分野の人やモノをしっかり確保しているところだ。
(略)

町田さんの一回目の検査結果が悪性ではないとされたのは事実病理医が「間違え」てしまったのか、それとも内視鏡医の行った生検の手技的な問題に由来するものなのか、外来担当医が病理報告書の解釈を誤ったのか、はたまた1年前の時点では事実悪性ではなかったのかは記事からは何とも言いかねますけれども、病理医が全般的に不足していてとても全病院に常勤を送り込めるほどではないと言われればそれはもちろんその通りです。
一方で全国の一般病院7500施設のうち術中迅速診断を日常的に必要とするなど、常時病理医が待機していなければならないような診療をしている施設がどれほどあるのかということは記事では全く触れられておらず、ただ単に専門医もそろえていない病院など頼りなくて信用出来ないと言わんばかりの記事になってしまっているのはどうなのかですよね。
記事の後半では同編集部の「頼れる病院ランキング」の紹介になっていますけれども、「医師や医療スタッフの充実度、設備の状況などに加え、救急車受け入れ件数などを追加した」と言う評価基準はもちろんそれはそれで重要なのでしょうが、彼らの主張する評価基準に従って病院を選ぶとすると自然と患者の大病院集中が進むことになるのですが、それが果たして医療全体の質的改善という評価基準からすると正しいのかどうかです。

「大学病院に風邪をひいたと患者が来るのは日本だけ」なんて話もありますが、もちろん「一見風邪のように見えても実は怖い病気が隠れているかも知れない」などとセンセーショナルなマスコミはもちろん当の医師達までもがあちこちで言っていれば、いくら「軽症はまず近くのかかりつけへ」などと誘導されようが全科専門医と高度な検査機械が取りそろった大病院にかからなければならないんだという気にもなりますよね。
その結果何が起こるかと言えば基幹病院に不要不急の軽症患者が殺到し「一週間前から風邪っぽいけど万一重病だと困るから」と夜間救急に受診するような患者が増えてくる、そして疲弊した当直医は翌日の診療にも支障を来すようになり、ついには「やってられるか!」と逃散していき診療体制が破綻するというお定まりのコースが待っているわけです。
もっとも日本では一部団体の根強い反対のせいか「日本全国どこの病院、どんな医者にかかっても受ける医療は同じである」という皆保険制度の建前がある、その結果地域医療の中枢たる大病院だろうが末端診療を担う近所の小さな個人病院だろうが同じ病院というひとくくりにされてしまいますけれども、やっている医療も全く異なるのですから本来別なくくりで評価する方が適切だとは思いますね。
地域内での病院機能分化ということは近年次第に進められてきていて、国による政策的誘導によって地域医療の再編が各地で進められているところですけれども、その結果起こった現象の一側面についてこんな考察をしている記事が出ていたので引用させていただきましょう。

急性期医療の崩壊は必然だった(2013年10月22日日経メディカル)より抜粋
(略)

 平均在院日数の短縮は、診療報酬の面からも進められてきました。平均在院日数や看護配置などの違いにより一般病棟入院基本料に差を付けるといった施策が取られてきたのはご存じでしょう。中でも、2003年に導入されたDPC/PDPS(診断群分類包括評価)による診療報酬の包括支払い制度は在院日数の短縮をさらに促進しました。入院基本料や検査料などを包括して入院1日当たりの定額報酬が支払われる仕組みで、患者個々について一定の入院期間が過ぎると報酬が減額される体系となっています。このため、大規模の急性期病院はより高い包括点数を算定しようと、在院日数の短縮を一気に進めました

 在院日数の減少に伴い、より多くの患者を診療できるようになったわけですから、それまで中小規模の病院で手術等を受けていた患者さんも、大学病院や規模の大きな急性期病院が受け入れるようになりました。そして、退院後はリハビリテーションを実施する回復期リハビリ病床へ転院してもらう流れができました。

 ですが、病院の機能分化と在院日数の短縮は、急性期医療の現場の疲弊を招くことになりました。入院患者さんに対する病棟業務の密度が高くなり、さらに医療安全・訴訟対策のために患者さんから同意書などを取る仕事が増えたのに対し、医師の供給数はそれほど増えない上に医療従事者の集約がなかなか進まなかったのです。結果、急性期医療の医師らが現場を去る「立ち去り型サボタージュ」があちらこちらで起きました

 小泉政権の医療費削減策が「医療崩壊」をもたらしたと批判的に捉える方々が少なくないですが、それ以上に、長年の病院機能の整理で生じた急性期病院の収益構造の変化に労働資源の配分が追いつかなかったことが大きな原因なのではないでしょうか。つまり、病院機能の明確化を進める中で、急性期医療が崩壊したのは必然だったと考えられます。

急激な高齢化に向けさらなる機能分化が進むのは必至

 高齢社会が深刻化するのに伴い、急性期病院は高度で専門性の高い医療を提供することがさらに求められていきます。2007年に施行された第5次医療法改正では、医療計画制度の下で4疾病5事業ごとに医療連携体制の構築が図られました。その結果、各2次医療圏で「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」の治療拠点となる病院が決められ、病院機能の集約化は今後ますます進むはずです。

 これまでの病院機能の明確化の流れに対応できなかった中小病院は、2004年の新臨床研修制度の導入を機に大学医局から医師を引き揚げられ、診療科の閉鎖や病床削減に追い込まれました。他方、産科や外科などの診療科が閉鎖された地方は、実は高度成長期に労働人口が流出し、急性期の医療需要が減少していた可能性があります。このため、「医療改革」の影響は地方から先に生じ、病院のダウンサイジングが促されたとも考えられます。

 世界的に見て人口当たり病床数が過剰(人口1000人当たり病床:日本13.4床、アメリカ3.05床、イギリス2.95床 OECD 2011)なわが国で、全ての病院が急性期を担うには医師が大幅に不足しています。患者さんが拠点病院に集約化される中で、今後も医師を広く薄く配置することは難しいのは明白です。これから一気に医学部定員を増加させたり医学部を増設しても、これまでのように医師をあまねく配置すれば医師不足は解消しません。人口が減少する地域では、病院の統廃合や診療所化まで踏み込んだ病床削減を断行しながら、医師も看護師も、その地域の基幹病院へ集約化するほかに手はないはずです。
(略)
 今後、大都市やその近郊の急性期病院は、医師不足を乗り越えて、平均在院日数の短縮を進めながら一般急性期を担う施設を目指す必要があると思います。一方で、規模が小さくうまく人材確保などができない急性期病院は、主に回復期や亜急性期の病院に業態転換し、一般急性期の受け皿的な機能を担う役割を迫られると思います。こうした流れは、医師の間ではあまり理解されていないかもしれません。
(略)

地方の小さな病院などでよくあることですが、開院当初は若くて元気のいい常勤医が大勢いて大学からの応援も多くバリバリ手術もやっていた、ところが次第に常勤医も歳をとり施設も老朽化してくると「あんな古くさい医療をやっている病院に行きたくない」と大学からの派遣もなくなってしまい、最終的には地域の老人相手にちまちました医療提供だけを細々と続けているといったことはままあることですよね。
全国の病院が同じ一つのくくりで横並びに評価されている限りこうした施設は「時代に乗り遅れた負け組」という評価しか得られませんが、急性期大病院で勤務出来なくなった老医が同じく急性期大病院が関わりたがらないような患者を引き受けると言った役割を地道にこなしていると言えば、これはこれで立派に地域医療の一端を担い貢献していると肯定的に評価することも出来ます。
最近は2014年度から導入される病床機能報告制度というものが何かと話題になっていて、従来は一般か療養かだけで地域の病床数を把握していたものを「高度急性期」「一般急性期」「亜急性期等」および「長期療養」とより細かく区分し、さらにこれら4区分それぞれの病床数に上限を設け地域の医療再編を推進していくという方向で話が進んできています。
当然ながら医療統制強化だと一部医療系団体を中心にした熱心な反対論も巻き起こっているのですけれども、財務省などもこの財政緊迫の折にいくら消費税が引き上げられようと診療報酬引き上げなどとんでもないと医療の効率化を強く主張しているご時世だけに、お上による医療への統制強化の流れは基本的には今後ますます進んでいくものと考えられますよね。

一例を挙げれば地域内の病床数は基準病床数で定められていますが多くの地域ではすでに病床数上限にまで達して需要の大きい施設も病床を増やすことが出来ず救急受け入れにも支障を来す一方、ろくに入院患者もいない施設が既得権益的に病床を多数抱え込んでいることが「空きベッドを埋める」という名目による不必要かつ過剰な入院数増加の温床にもなっているという指摘が以前からあります。
政府の規制改革会議ではこの秋の提言で基準病床数をもっと柔軟に運用すべきだとか、入院患者もいないのに病床数だけ抱え込んでいる民間病院に知事命令でベッドを手放す権限を与えるべきだと言った改革案を盛り込む方針だそうですが、「過剰ベッドに見えても北海道では冬になると老人がどっと入院してくるんだよ!」などと古来病床削減論と言えば反論の手段には事欠かなかった訳ですよね。
ただ普段閑古鳥が鳴いているような地域の中小病院に入院患者が殺到するという事態ももちろん時には起こりえることですが、それ以上に日常的な頻度で急性期病院の病床数が不足している結果地域の医療提供に支障を来しているという事実もあるのですから、逆紹介ルートを整備するなど地域の一体的医療再編・整備と平行しての病床運用柔軟化は避けて通れない課題だと思います。
ところで先日は日医副会長が選出の弁として「国民の健康と生命を守るという医師会の使命を果たすべく頑張りたい」と熱く語っていたそうで、本当にそれを組織の使命とするならもはや業界団体の意味がないんじゃないか?とも思ったものですけれども、さしずめ国民のための地域医療再編完遂とその手段としての既得権益打破には日医としても全面的に協力する構えだと期待していいのでしょうか。

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2013年10月23日 (水)

コネ人事はいくら否定しようがなくならない

本日まずは本題に入る前に、久しぶりに病院崩壊ネタが出たようなので紹介してみましょう。

常勤医、10人中7人辞意 町立松前病院院長に追随 前事務局長人事で町、議会と対立(2013年10月22日北海道新聞)

 【松前】地域医療の先駆的な取り組みで知られる町立松前病院(渡島管内松前町)で、その中心的存在の木村真司院長(49)が先月末、辞職願を提出したのに続き、21日までに副院長ら6人も追随し、常勤医10人中7人が来春で退職の意向を示す異例の事態となっている。石山英雄町長は慰留に努めるとしているが、院長らの町や町議会への不信感は根深く、渡島西部の地域医療を揺るがしかねない状況だ。

 木村院長の辞意の原因は、同病院の前事務局長の人事をめぐる町議会や町との対立。院長は、病院経営の黒字化などに尽力した前事務局長を評価し、今年3月末の定年の際、継続雇用を望んだが、町議会や町はこれに反対した。「資質に疑問がある」などが理由としているが、背景には前事務局長と町議会の一部との人間関係の摩擦があるとされている。

 院長は4月、自らの裁量で前事務局長を非常勤嘱託員として再雇用。撤回を求める町議会との溝は深まり道が仲裁に入ったものの、処遇を明確化する条例改正案を町議会が否決したため、前事務局長は9月末で任期切れのため退職となり、院長は同月27日、石山町長に辞職願を提出した。

 これを受け今月4日には八木田一雄副院長(42)ら2人も辞職願を提出。その後も外科部長(60)ら4人が続き、来年3月末で退職の意向を示したのは院長を含め計7人となった。

町立松前病院 医師10人中6人辞職の意向…北海道(2013年10月11日読売新聞)

 北海道松前町の町立松前病院の医師6人が2014年3月末で辞職する意向であることが10日、分かった。

 同病院の前事務局長の人事を巡り、町・町議会と医師側の意見対立が先鋭化したことが原因。同病院は渡島西部の拠点病院で、現在、常勤医10人態勢となっている。このまま6医師が退職すると、来年度からの病院運営に支障が出かねない情勢だ。

 辞職の意向を抱いているのは木村真司院長(49)ら6医師。木村院長は05年11月に同院の院長に就任し、08年から内科や整形外科といった診療科の枠を超えて患者を診る「全科診療医(家庭医、総合医)」制度を導入して注目を集めた。

 木村院長は今年3月末で定年退職となった前事務局長の雇用継続を求めて町や町議会と対立。道が仲裁役となり、石山英雄町長と木村院長との間で前事務局長を「経営アドバイザー」として雇用することなどを柱とした条例改正を行う内容の覚書が4月に交わされた。しかし、6月定例町議会で条例改正案は否決され、前事務局長はいったんは臨時職員として再任用されたが、9月末に6か月の任期切れによって退職した。

 木村院長は「覚書すら十分に履行されなかった」と、9月27日に石山町長に年度末で辞職することを伝え、10日までに副院長や内科部長ら医師5人が木村院長に追随して辞職願を提出した。

 木村院長は「前事務局長は病院運営に欠かせない優秀な人材だった。病院運営に町や町議会から全く協力を得られない以上、ここで医療を続けられない」と話している。石山町長は「町民の医療を守るため、辞職願を撤回していただけるよう、話し合いを続けたい」と、慰留する考えだ。

 同病院で入退院を繰り返している同町在住の小野寺澄子さん(78)は「遠くの病院に頻繁に通うことになるのは困る。どうしたらいいのか」と、不安げに語っていた。

崩壊のスタイルとしては舞鶴市民病院タイプという感じなのでしょうか、今回事件そのものには深く突っ込むつもりはないのですけれども、こうした田舎の自治体病院の運営がどこも様々な意味で厳しいことが誰の目にも明らかになっている今の時代にあって、自治体側もよく突っ張り通したものだなという気はしますでしょうか。
10人中7人が辞表を提出すると言えばこれはすでに大変な事態ですけれども、中の人が語るところでは残る3人についても一人はもともと研修医であり来春卒業の予定、そしてもう一人は現在留学中でこれも想像するにこうした状況で残るということもなさそうな気配ですから、下手をすると以前から勤務されている小児科医一人という「病院運営に支障が出かねない」どころではない状況になりそうですよね。
中の人も語っているように地域住民はもう少し危機感がないようなのですが、ちょうど「新小児科医のつぶやき」さんのところで考察されているような状況が事実あったのだとすればこれはかなりの部分が町議会側の逆恨みにも近いような印象を受けますし、いずれにしても今の医療現場が人治によって采配されている部分が多々ある以上こんな小さな所帯でこうまで人治を乱した町議会は下手を打ったなとしか言いようがありません。

医療崩壊の話はともかくとして今回のバックグラウンドなどは抜きで現象面だけを書き出して見ると、町立病院院長が町議会という上位組織の意向を無視してお気に入りの人材を院長権限で雇用するという行為が非常に思い切っているなと思ったのですが、言ってみれば本来雇用に関して平等であるべき公的組織のルールを個人的縁故によって横車を押したという言い方も出来ることではありますね。
最近この縁故採用という問題があちらこちらで話題になる機会が多くて興味深く見ているところなのですが、とりわけ公務員の場合は個人の所有物でもなく公的組織であるのにあってはならぬことだと批判を浴びる傾向が強いようで、昨今の特権に対する社会的反感の高まりとも相まって批判的な記事が出ているようですが、興味深いのはこれに対する反論すなわちコネ擁護論も一定数あるという点です。

公務員のコネ採用 清掃員やバス運転手、教員など多岐に亘る(2013年10月15日NEWSポストセブン)

 日本では政界、官界、財界のトップ人事から、これから本格化する学生の就職活動戦線まで、日本社会ではあらゆる場面に「コネ」という“見えざる力”が働いている。そして、国家公務員でも「グレーゾーン」の採用がまかり通っている。人事院の内部資料によると、2011年度に国家公務員に採用されたのは1万6808人。そのうちキャリアと呼ばれるl種を始めとした試験合格組は4281人に過ぎない。

 残りの1万2527人、全体の70%超は「選考採用」と呼ばれる試験によらない面接などで採用されているのだ。これは学力試験などではないから、当然コネがものをいうことは容易に想像できる。

 地方行政でも同様だ。橋下徹・市長のお膝元である大阪市では、昨年3月に提出された報告書において、コネ採用の実態が詳らかにされた。大阪市の職員労働組合関係者がいう。

「地方公務員の中でも、清掃作業員やバス運転手など現業系の部門に縁故採用が多い。報告書には、採用面接の際に履歴書に市会議員、人事部局幹部などの名前が記されていた痕跡が多数見つかったと記されていた。コネが横行する実態は大阪市に限ったことではなく、どの地方行政にも少なからずある」

 また、教職員採用におけるコネも目立つ。埼玉県内の小学校教師が打ち明ける。

「この業界では“親子2代で教師”というパターンが異常なほど多い。表向きは“親の背中を見て教師を目指した”ということになっているが、実際のところは教員の採用において“関係者の口利き”が非常に重要であることが大きい。

 教員免許をとっても何年も教員に採用されない人が多い中、親が教師の人間でそんな話は聞いたことがない。地元国立大学卒業者も有利ですが、成績にゲタを履かせるほどのことはない。人柄や性格、学歴より、まずは縁故がものをいうのがこの業界の常識です」

 公務員の既得権益は、こうして人事面でも温存されている。

コネ採用社員 恵まれた環境で質良い教育受けたため優秀の評(2013年10月17日NEWS)

 日本では政界、官界、財界のトップ人事から、これから本格化する学生の就職活動戦線まで、日本社会ではあらゆる場面に「コネ」という“見えざる力”が働いている。コネはもはや、日本社会のシステムに当然のように組み込まれている。就職活動に苦しむ若者、またその親であれば不平等への怒りを感じざるを得ない。

 しかし一方で、人事関係者の中には「コネ採用は得意先との関係を良好にするためだけでなく、優秀な人材を獲得するための有効な手段」だと断言する者も多い。ある地方テレビ局の幹部が明かす。

「もちろん親のスネをかじることに麻痺してしまったダメなコネ社員もいるが、一方で縁故のある社員に優秀な人が多いことも事実です。恵まれた環境で質の高い教育を受け、いろんな世界を経験していることが大きい。

 ウチの社長は、系列新聞の幹部の息子だったが、ジャーナリズム感覚に優れ、並み居る優秀な“コネなし社員”に出世レースで打ち勝った。また身元がわかっていることで会社側は安心して採用できるし、問題を起こすことも少ない。みのもんた事件はレアケースですよ」

記事を読んでいておもしろいなと思ったのは、やたらに日本社会ではコネが云々と日本の悪しき島国根性の現れか何かのようにかき立てていますけれども、例えばアメリカ人などは人生全てコネでやっているような側面が濃厚にあって、彼らがやたらとパーティー好きで初対面の相手にもすぐ親しげに振るまいファーストネームで呼びたがるのもそうしたコネを重視する社会文化の表れであるという見方もありますよね。
前述の町立松前病院のケースなども、町議会から言わば罷免に近い扱いを受けた一職員が町長との個人的コネによって病院内に居座っている!これは問題だ!と週刊誌的書き方をすることも出来るかと思いますけれども、コネがあるということは面識があり人物を知っているということにもつながりますからよく言えば「雇ってみないとどんな人間か判らない」というリスクを回避する手段として有効であるとは言えるのでしょう。
事実個人的にはコネ入社と言えばあまり良い印象は抱いていなかったのですが、コネの場合身元がしっかりしているということもあるのでしょうが、中の人に言わせるとやはり昨今雇っても仕事を覚えたと思ったらすぐ辞めてしまう人間が非常に多いことも原因だと言い、コネ入社ならば紹介元の顔を潰さないように頑張るので少々きつめに追い込んでも踏ん張りが利く、結果として戦力になる率が高いと言う評価もあるようですね。
だからコネがいいんだ…とまではさすがに言いませんけれども、やはり日本では未だに正規採用すればそうそうは辞めさせられないと言う傾向が特に公務員には強い以上、これも単純にケシカラン!即座に廃止すべき悪習だとバッシングするだけでなく実際にそれがどのような損得勘定になっているのかということを、一度見極めてみるべきなのかも知れませんね。

究極的なコネ社会と言えば近年話題に上ることの多い中国などでは共産党関係者など社会的有力階層に連なるかどうかが人生行路の大きな部分を占めていると言い、有力者の師弟であれば犯罪行為であっても見て見ぬふりをされると言いますから社会的反感も相当なものですし、当然ながら汚職の横行など社会にとってのネガティブ面が多すぎてさすがに共産党幹部も是正の必要性を感じているようです。
日本の場合そこまでひどい状況にはないにしても社会的不満が高まる原因になっていることの一つに「公平な競争の場という建前なのに実際はそうじゃなかった」という事情があるからだと思うのですが、例えば推薦入試なども教師の覚えめでたき品行方正な学生でなければ推薦を受けられないという意味で一種のコネとも言えますが、一般入試と別枠で推薦枠を設けることで社会的には許容されていますよね。
そう考えると現実的にコネ根絶など不可能である以上、就職活動においても一般枠とコネ枠とははっきり区別して募集するという考え方がありかと思いますが、その結果選ばれた双方の人材がその後どのように働き成長していくのかということを比較検討することで最終的なコネの功罪も見えてくるのかも知れません。

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2013年10月22日 (火)

東北への医学部新設 地元市長会のびっくり要求

東北への医学部新設がどうやら非常に前向きに検討されているらしいという話を先日お伝えしたところですが、当然ながら地元では期待論一色に近いものではあるものの、全国的に見れば実にほとんどの声が医学部新設など必要ないとして一致しているという状況です。
そんな中で敢えて新設の意義があるとすれば地元への定着を期待してということになりますが、そもそも医師流出地域であった東北に本当に医師が根付くものだろうか?という不安も見え隠れしていて、歓迎一色に見えたマスコミなどもようやくその現実に気付き始めたようで「人材育成のやり方を工夫すべき」式の論調が目立ってきています。

医学部新設検討/隅々に行き渡る育成策を(2013年10月19日河北新報)

 東北で医師不足が叫ばれたのはいつごろか。大学医学部を供給源とし、郡部の自治体病院などに派遣されていた不動のサイクル。崩れ始めたのは10年ほど前だった。
 新人は卒業後に修業する研修、就職先を首都圏に求め、人気のあった東北大医学部でさえ、「若い人が残らない」と声が上がる。大都市に集中する偏在、いわゆる医療崩壊である。
 そんな中でも医療費抑制を掲げる国は、医師数をコントロールし医学部の新設は認めてこなかった。いま、その流れが変わろうとしている。
 文部科学省は東北に新設する方向で具体案に着手した。東日本大震災からの復興を一つの理念に、宮城県などの訴えが国を動かし、風穴を開けた形だ。
 地域に確実に定着させられるか、新しい医学部の役割はそれに尽きる。隅々で活躍する人材育成こそ使命と考え、思い切った誘導策を工夫してほしい
 新設方法をめぐり、安倍晋三首相は下村博文文科相に検討を指示。同省の告示を見直して認める案が取り沙汰されている。立地場所は宮城県が有力視される。東北大には宮城だけでなく岩手、福島各県などから派遣要請が舞い込む
 近くにもう一つできれば、負担は和らぎ、東北全体を見渡す余裕が生まれよう。先進的な研究に力を注ぎやすくなる面でも意義は大きい。
 新設校には仙台市の財団法人厚生会仙台厚生病院と、私大の東北薬科大が名乗りを挙げている。双方とも、大規模病院を有する特性を生かし、実践講義や研修を受けられることを利点に挙げる。入学定員の一定割合を地域枠とし、東北に勤務するよう支援する制度もある。
 その意気やよしとしたいが、末永く残るかどうかは疑念が湧く。都会志向がすぐにやむとは思えず、一時的な充足で終わりはしないか。実効性を高めていかなければ、普通の医大が一つ増えるだけだ。
 斬新で多様な誘導策、若い人が腕を試したくなる地元ならではの実践メニューがあっていい。それには自助努力のほか、外部の協力が欠かせない
 宮城県医師会などは、新設されると病院から医師を教員に引き抜かれると反対する。そうならないように知恵を出し合い、長い目で卒業生を受け入れるなど好循環の形をつくれないか。教員には首都圏から古里ゆかりの医師を招くのも一策だろう。
 小児科、内科など敬遠されがちな診療科単位の偏在を正すにも、医療圏レベルでの調整が重要さを増す。
 軌を一にし、地域ニーズに合うベッド数や病院ごとの機能分担など提供体制については、都道府県が決められるようにする方針が、国の社会保障制度改革国民会議最終報告で示された。
 医療政策は国、医師育成は大学、保健衛生は自治体と縦割りできたが、医も分権の時代である。その流れの中でできる医学部は新しい潮流をつくることが期待される。責任もまた重い。

失礼ながら「入学定員の一定割合を地域枠と」する程度の策では不十分で、それこそ定員全部地元枠にしてしまうか東北限定版自治医大方式にでもしないことには単に医師免許取得目的の国内留学を増やすだけになると思いますけれども、ここに注目していただきたいのは新設の意義として震災復興が錦の御旗として掲げられ、崩壊ぎりぎりの医療現場に対する支援の役割が期待されているということです。
その意味でかねて言われているように少なくとも短期的には医学部定員増による医師補充効果よりも教員たる医師の引き抜きによる現場の供給減少の方が問題になるんじゃないかと言うことなんですが、この観点からの新設反対論者の中心的役割を果たしてきた医師会などは地元宮城医師会ですら「すでに被災地沿岸部の医師数は震災前の状態に回復した」などと、まるで余計なことはするなと言わんばかりですよね。
東北諸県とすればもともと医師不足傾向が強い中で今回の震災復興でいわば多少の我が儘も通りやすくなっている事情もあり、それならばと特例での医学部新設を認めてもらえそうだという形なんですが、この賛否両論ある医学部新設問題に関して地元市長会があまりに率直すぎる要望を打ち出してきたことが報じられています。

東北新設医学部に地元医師採用しないで…市長会(2013年10月17日読売新聞)

 国が復興支援策として東北地方に医学部の新設を検討していることに対し、東北6県の75市長でつくる東北市長会(会長=奥山恵美子仙台市長)は17日、医師不足を助長しないためにも、東北で勤務する医師を教員に採用しないよう求める特別決議を全会一致で採択した。

 宮城県石巻市の亀山紘市長が、岩手県花巻市で開かれた総会で「医学部新設の検討は大変心強いが、医師不足が生じない方策が必要だ」として提案した。特別決議は学生についても、多くは将来長期間、東北の地域医療に携わることなどを条件に募集するよう求めている。東北市長会は11月、国への要望活動を行う予定。

医学部新設 東北の医師採用禁止を 教員確保で緊急決議(2013年10月18日河北新報)

 東北75市の市長でつくる東北市長会(会長・奥山恵美子仙台市長)は17日、花巻市内で総会を開き、東北への大学医学部新設が実現した場合、教員に東北の医師の採用を禁じるよう国に求める緊急の特別決議案を全会一致で承認した。
 提案した亀山紘石巻市長は「医学部設置には教員となる医師の確保が必要だが、東北各地の医師を教員や診療スタッフにすることで、さらなる医師不足が生じてはならない」と説明した。
 出席した市長からは「医学部新設には200~300人の教職員が必要になる。東北からの採用禁止が確約されなければ賛成できない」(山本正徳宮古市長)などの意見が出た。
 亀山市長は総会後の取材に対し、「医学部新設が医師不足を招いては本末転倒だ。認可へ向け、不安を払拭(ふっしょく)したかった」と述べた。採用禁止の実現性に関しては「東北以外の医師のほか、外国の医師を招くことも考えれば不可能ではない」と述べた。
 特別決議には新医学部の相当数の学生が、地域医療に長期間従事することを義務付ける仕組みの導入も盛り込んだ。
 医学部新設をめぐっては、安倍晋三首相が今月4日、下村博文文部科学相に検討を指示。これまで財団法人厚生会仙台厚生病院(仙台市青葉区)と東北薬科大(同)が医学部構想を発表した。宮城県医師会などは「教官に多数の医師が引き抜かれ、東北の医療は崩壊する」と反対している。
 総会には68市の市長らが出席した。特別決議はほかに、復興特別法人税の前倒し廃止が実施された場合の代替財源確保や、国際リニアコライダー(ILC)の国を挙げた誘致の推進、福島第1原発の汚染水漏えいの原因究明など6件が承認された。

もちろんこうした意見が出たことの背景事情は相応に理解は出来るものの、要するに医学部新設による医師数増加という果実は欲しいがそのために必要となる犠牲としての自前の医者は使いたくないから他所に出してくれと言うことであって、別に医師が余っているわけでもない他地方からすれば「東北はどこまで甘えているんだ」と批判されても仕方がないほど「虫のいい」要求に他なりません。
もともと自前の大病院があって新たにスタッフを抱え込む必要がないからと言うことでとんとん拍子に話が進んできた形なのですから、逆に今から大規模に医師を集めなければならないのであれば話が違うだろうと言うもので、それなら他地方にもっといい条件の物件もあるのに…と言う声も上がってきそうですよね。
逆に開学準備をしている2団体からすると仮に教官の手当は十分に進んでいたということであれば、地元自治体からこんな余計なことを言われることで妙な逆風にもなりかねないと思いますけれども、いずれにしても東北か東北でないかだけを基準に教員を選ぶということが常識的に考えがたい以上、自治体側の要求は浮世離れした空論と言うしかありません。
それではその空論によって開学準備にどれほど影響があるかと言うことですが、現実的に東北部外者のみでの開学などは不可能であり、いわば地元自治体が一切の「自助努力」を拒否している形ですから対外的イメージが悪化するのはもちろん、下手をするとこうした非現実敵要求を打ち出すということは実質的に地元では開学反対なのだと解釈される余地は十分ありそうですね。

そもそも論として医学部教官に求められる資質とはどのようなものであるかと言うことなんですが、冒頭の記事のように「東京から呼べばいいじゃない?医者多いんだし」などと言う声も出ていて、基礎系や社会医学ならこうした地域に偏在する非臨床系医師免許所持者にも相応に期待出来るかも知れませんが、問題はやはり臨床系の教官ですよね。
大学病院の離床系の教官はもちろん学生の相手をしてばかりいるわけでもなく、むしろ大部分は大学病院でしか相手が出来ないような高度な医療を担う臨床専門家でもあるわけですから、大学教官レベルの専門医を数百人規模で全国から引き抜き東北に集められるというのであればそもそも異論反論多数の医学部など開かず、彼らに東北各地で臨床医として働いてもらえば皆がもっと幸せになれるはずです。
そして医者を取られる側の全国各地とすれば優良な人材を送り込むなど期待薄で、むしろ一般臨床家としての活躍が到底期待出来ず外の病院に出すことも出来ないまま、長年大学病院で飼い殺しになっている人材の在庫処分先として向いていると考える可能性もあるかと思いますが、果たしてそんな大学で誰が何を学びたいと思うかですね。

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2013年10月21日 (月)

高齢者事故に見る社会的影響

技術的進歩もあってか交通事故の死者数は減少傾向ですけれども、先日こういう死亡事故があったという報道がありました。

2時間半、事故現場に放置され女性死亡 救急気付かず夫が発見(2013年10月17日産経新聞)

 16日夜に島根県益田市の国道交差点で起きた多重事故で負傷した女性が、救急隊員に気付かれないまま事故現場に約2時間半、放置され、その後死亡したことが分かった。益田署が17日、明らかにした。

 益田署によると、事故は16日午後8時50分ごろ、益田市遠田町の交差点で発生し、車5台が巻き込まれた。益田広域消防本部の救急隊員が駆け付けて軽傷者ら2人を搬送したが、軽乗用車の後部座席に倒れていた益田市遠田町、無職田原良子さん(74)に気付かず、そのまま現場を離れたという。

 事故の約2時間半後、捜しに来た夫らが田原さんを発見。病院に運んだが、17日午前0時半ごろ死亡が確認された。

 益田広域消防本部によると、田原さんが倒れていたのは後部座席の足元で、声なども出していなかったため隊員が気付かなかった。同乗の無職女性も事故のショックで受け応えができない状態だったといい、「検索に怠りがあったことは否めない。十分に検証したい」としている。

 事故は、田原さんが乗っていた車が信号待ちで停止中に、後ろから佐賀県武雄市の運転手のトラックが衝突。前方の車や対向車が巻き込まれた。

不幸にして亡くなられた方がどの程度の状態であったのか判らないため救命可能性については何とも言えませんけれども、最近の車は後席プライバシーガラスが常備ですからこうした事故も起こりえるということなのでしょうか、もはや「赤ちゃん乗ってます」ではなく「お年寄り乗ってます」の表示も必要なのか?と思わされるニュースですね。
多重衝突事故の中で発見された同乗者は軽症であったと言うことですからつい気が急いたのだろう心情も理解出来るとは言え、こうした事故は起こりえることですからもちろん検証し教訓とすることが重要なのですが、特に幼児など発見の難しいケースにどこまで現場で捜索時間を費やすべきなのか、救急搬送時間短縮という命題とも合わせて考えるとなかなかに判断の難しい問題ではあると思います。
判断が難しいと言えばこの場合後日係争化した場合にどうなるのかということも気になるのですが、基本的に民事の大原則である「取りやすいところから取る」で消防隊がターゲットになるだろうと予想されるとは言え、軽症であったにも関わらず後席に被害者が乗っていることを伝えなかった同乗者に対しても責任追及の余地があるとは言えるのでしょうね。
もちろんそれをしたからと言って誰が幸せになるわけでもないと言う点で何ともやるせない話ですけれども、同じく高齢者の絡んだ事故でこれまた司法の判断が降った責任追及の矛先が何ともやるせなく誰の得にもならなさそうだと静かな反響を呼んでいます。

特集ワイド:認知症事故と損害賠償 介護現場に衝撃の判決(2013年10月16日毎日新聞)

 ◇認知症老人が列車にはねられ死亡→地裁が遺族に720万円支払い命令
 ◇「行動を一瞬も目を離さず監視することなど不可能」…遺族から怒りの声

 「ある判決」が介護の現場に衝撃を広げている。91歳(当時)の認知症の男性が線路内に入り、列車にはねられて死亡した事故。裁判所は遺族に対し「注意義務を怠った」として、鉄道会社に720万円を支払うよう命じた。認知症の老人は閉じ込めておけというのか−−介護関係者からはそんな怒りの声すら聞こえてくる。【浦松丈二】

 JR東海から遺族が突然、手紙を受け取ったのは事故から半年後だった。<平成19年(2007年)12月7日に東海道線共和駅内(愛知県大府市)に人が入り、快速列車に衝撃し列車が遅れるという事故が発生しました。本件により弊社に別紙の通り損害が発生しております>。列車遅延による損害賠償の協議申し入れだった。
 別紙には「損害額一覧表」として、事故に対応した職員の人件費、他社に振り替えた運賃、払戻金など720万円の内訳21項目が列挙されていた。受け取った横浜市在住の長男(63)は「正直、驚きました」と振り返る。
 事故当時、男性は要介護4。介護なしでは日常生活が困難だったため、85歳(当時)の妻と、介護のために横浜市から近所に移り住んだ長男の妻が世話していた。男性が自宅を出たのは長男の妻が玄関を片付けに行き、そばにいた妻がまどろんだ一瞬のことだった。
 「手紙が届いた後、JRの要請で、かかりつけ医師の診断書と『認知症があり線路上に出たと考えられる』と認定した警察の死体検案書を送りました。重い認知症だった父に責任能力がないことはJRも分かってくれると思っていた。ところが、専門医の診断書ではないから疑いがあるなどと言ってきた」と長男。事故から1年後、JRから内容証明郵便で正式な賠償請求が届き、その後、裁判所を通じて不動産の仮差し押さえを申し立ててきた。こうした対応に「父の墓前に線香の一本でも上げてくれていたら……父をはねて殺しておいて」と怒りがこみ上げてきた。

 JRはどのような基準で列車事故の損害賠償を請求しているのか。JR東海広報部は「責任の所在や事実関係を十分に調査の上、原因となった方や遺族に、車両の修理実費、特急料金の払い戻し、他社への振り替え輸送の費用や人件費の増加分など、明確に因果関係が説明できるものだけ請求しています」と回答する。
 しかし、JRは「要介護認定4であっても病状を示すものではない」などと、責任能力があったと主張して提訴した。JR東海広報部は「損害の処理について繰り返し遺族の方に協議を申し入れたものの、残念ながら理解いただけず、熟慮を重ねた結果、裁判所の公平公正な判断に委ねることとした」とコメントする。
 提訴から3年半。名古屋地裁(上田哲裁判長)が今年8月に出した判決は、男性の認知症は重く、事故当時の責任能力はなかったとJRの主張を退けた。ところが、その一方で、介護していた妻に「まどろんで目をつむり、夫から目を離していた」と過失による賠償責任を認めた。長男については「法定監督義務者や代理監督者に準ずる」と位置付け、民間施設やホームヘルパーを利用しなかったと指摘して賠償を命じた。
 長男は「父親は住み慣れた自宅で生き生きと暮らしていた。行動を一瞬も目を離さずに監視することなど不可能。こんな判決が確定したら、子どもが親の面倒を見られなくなる。介護を頑張った者ほど責任が重くなるのは理不尽です」と訴える。遺族は高裁に控訴。今でも父親を在宅で介護して良かったと思っている。
 認知症の人と家族の会(本部・京都市)の高見国生代表理事は「こんな判決を出されたら家族はたまったものではない。認知症の人はどこかに行きたい、ここを出たいと思い立ったら必死に出て行く。家族がどれほど注意していても徘徊(はいかい)は起きてしまう。家族の責任を問うべきではない。何らかの公的補償制度を検討すべきです」と訴える。

 そもそも事故は防げなかったのか。現場の共和駅。駅員は日中2人、早朝と深夜は1人だ。高さ1・1メートルのホームの先端から線路に下りる階段があった。判決後、階段の柵は施錠されているが、事故当時は施錠されておらず、簡単に線路に下りられた
 遺族代理人の畑井研吾弁護士は「男性の自宅周辺には踏切など線路に入る場所はなく、柵を乗り越えて線路に入る体力もなかった。男性は現金を持っていなかったため、自宅前の大府駅の改札をすり抜けて列車に乗り、隣の共和駅で降り、ホーム先端の階段から線路に下りたとしか考えられない」と話す。この場合、駅員に遭遇するのは大府駅の改札1カ所だけだ。
 大府駅改札で駅員に勤務態勢を尋ねた。「たまたま今は2人ですが、通常1人です。もうかつかつですよ」と苦笑した。改札は自動だが、切符売り場が併設され、駅員は横目で改札を監視しながら切符を売っていた。これでは人がすり抜けないか常に監視することは不可能だろう。大府駅と共和駅のホームには監視カメラが設置されていたが、駅員は常駐していなかった。
 判決は男性がどのように事故現場の線路に入ったかは「不明」として判断を避ける。JR東海広報部は事故後の原因調査について「名古屋高裁に係属中であり、コメントは差し控えさせていただきます」としている。原因不明では再発防止策もおぼつかない。事故から9カ月後には、大府駅の隣の逢妻駅(愛知県刈谷市)でも認知症の女性(当時83歳)が列車にはねられて死亡した。
 大府駅前の商店主(72)は介護される男性の姿をよく覚えていた。「よく若嫁さん(長男の妻)がおじいちゃんとおばあちゃんの手を引いて、ゆっくりゆっくり散歩していました。私も認知症になったら住み慣れた家で子どもたちに面倒をみてもらいたい。そう思わせてくれた人が事故で亡くなって本当に残念です」
 認知症はひとごとではない。厚生労働省研究班(代表者・朝田隆筑波大教授)の調査によると、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計15%で、昨年時点で約462万人に上る。認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)の高齢者も推計400万人。65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍なのだ。社会全体が自らの将来として認知症とその介護を考える時期を迎えている。

半ば都市伝説のように語られてきた「列車に飛び込んで自殺したら遺族に巨額賠償金請求が来る」という話も実は嘘ではなかったのかと思わされる話なんですが、記事にもあるとおり司法判断としてはこういう考え方になるのかも知れませんけれども、実社会への影響ということを考えると何ともやりきれない話ですよね。
若年者の自殺で後日損害賠償が来たといったケースも家族にとってはダブルショックですが、こうした高齢者の場合もう少し複雑な問題があって、例えば遺族に巨額の賠償請求が来た場合に一般的には相続放棄という形で負債を受け継がないという選択枝がありますけれども、認知症であっても高齢者の場合土地や家屋などの名義人になっているケースが非常に多いですよね。
昨今では高齢者の死蔵している資産をもっと社会に灌流させようという考えから生前贈与ということももっと活発に行われていいんじゃないかとも言われていますけれども、大多数の庶民は死亡時に一切合切の資産を精算し相続するという形を取っているはずですから、下手をすると認知症老人が一人死んだで終わらず家族も家を失い路頭に迷うということにもなりかねません。
そしてもちろんこうした司法判断が出るほど「ちょっとでも危ない高齢者はとにかく閉じ込めておけ」という考え方が社会的には正しいのだと言うことにつながりかねず、昨今話題になる事の多い「健康寿命を長くして高齢者社会保障費を圧縮する」という考え方とは全く真逆のことにもなってしまうでしょう。

損害賠償ということから考えるとこの場合JR側を「線路への侵入が容易に果たせる状況を放置した責任がある」と逆告訴すれば相応に勝てる可能性はありそうですし、その結果賠償金額を相殺できる程度のものを取り返せる可能性もありそうに思うのですが、結果としてまさに誰得?と言いたくなるような泥仕合にしかなりません。
本来的には記事にもあるように個人で負担するのは大きすぎる金額なのですから会社側が保険で処理すべきだと思うのですが、そのコストを利用者である乗客に運賃という形で負担してもらうとしてどのような理屈付けをするのかが問題で、例えば代替交通手段の提供などは利用者利益になるとは言え基本的に列車が止まって一方的に被害を受ける側であるのに、この上乗客が事故処理コストまで負担するのかと言われるでしょう。
ただ統計的に見ると鉄道での人身事故はほぼ年1件のペースで発生していて、損害賠償金額は遅延等事故処理の影響を受けた人数にもよりますが数百万円といった単位が多いようですから、自動車の保険料などから考えると鉄道会社の収益規模からするとほとんど無視出来る程度の保険料に収まるのではないかという気はしますがどうでしょうか?
ともかくも鉄道会社を悪者にしてすむという話でもないだけに、社会に当たり前に存在しているリスクを誰がどのように負担していくべきなのか、それにどの程度妥当性を見いだせるのかということを考える上でも貴重な症例になったという気がします。

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2013年10月20日 (日)

今日のぐり:「レストラン・ファーミー@蒜山高原センター」

アメリカにおける与野党対立で政府機能がストップしたと大きな話題になっていましたが、日本では先日珍しく与野党が意見の一致を見たというこんなニュースがあったそうです。

国会の吉野家限定メニューに「物言い」? 経緯調査へ(2013年10月15日産経新聞)

 国会内にオープンし、話題となっている大手牛丼チェーン「吉野家」の限定メニューをめぐって15日、与野党から“物言い”がついた。

 11日に衆院の敷地内で営業を始めた吉野家の「永田町1丁目店」は目玉として、国産和牛をたっぷり使った1200円の「牛重」をメニューに加えた。通常の牛丼並盛り(280円)の4倍超の高価格ながら、早くも人気となっている。

 この牛重について、自民党の平沢勝栄議院運営委員会筆頭理事が同日の理事会終了後に「国会だけで食べられるのはおかしいと、地元でいわれた。全くその通りだ」と指摘した。

 国会内は、通行証などがなければ入ることができないため、居合わせた他党の理事らも「外の人が食べられないのはおかしい」と賛意を表明。牛重が国会限定メニューとして発売されることになった経緯について調査することになった。

 菅義偉官房長官は15日の記者会見で、この問題について質問を受け「難しい問題だ」と苦笑しながらも「国産牛はあってもいい。結果的に吉野家さんの判断だ」と静観する姿勢を示した。

 吉野家の出店をめぐっては、林芳正農水相が6月の衆院農水委員会で「国産の農産物をできるだけ活用してほしい」と述べていた。 

まあ何と言いますか、日本は平和な国なんだろうなとつくづく思いますけれども、ちなみに一説によると「牛丼屋で高いメニューを頼んでしまう人間は出世できない」のだそうで、先生方もくれぐれもご用心なされた方がよろしいかと思いますね。
今日は国政上の重要課題を日々厳しく追及されている平沢議員に敬意を表して、世界中から当の本人はいたって真面目にやっていることなのでしょうが、端から見ると少しばかりアレだというニュースを紹介してみることにしましょう。

台風で遅刻したら「始末書」!会社が用意した仮眠室が酷過ぎると話題に(2013年10月16日秒刊サンデー)

関東地方を直撃すると思われる台風26号の影響で、帰宅困難となった社員のために会社のはからいで用意した仮眠室が話題となっている。写真を見て唖然とする方も多いだろう、ただっぴろい部屋に段ボールが敷き詰められているだけの部屋なのだ。しかも投稿者のツイートによると明日遅刻すると始末書になるから用意されたのだという。社畜とはよく言ったものだが改めてこの状況を見て我々は何を思えば良いのだろうか。

さて気になるのがこの会社が何処の物なのかと言う事だ。投稿者はアカウントを削除して現在行方が判らないので詳しい状況を知ることが出来ないが、「安全衛生旗」「ゼロ災旗」などが見受けられる点から建築業界ではないかと思われる。ちなみに投稿者は

    日勤終わってました。「明日台風で交通機関麻痺するけどこんだけ報道で予告してるから
    遅刻したら始末書だぞー。出来れば会社泊まってけー」の一言で用意された仮眠場。(段ボール)
    ぶっちゃけゴミクズ。この会社潰したい(怒)

とつぶやいており、会社に対して相当な不満があるようだ。
(略)
―ネットの反応

    ・始末書かよ・・
    ・これが事実ならおわってる
    ・は・・・正気か・・・
    ・凄いね
    ・タコ部屋!
    ・寝床用意してくれるとかむしろ優しい気が…通勤面倒だし
    ・ブラックすぐるw
    ・ダンボール温かいし(震え)
    ・せめてエアマットくらい用意してあげて欲しい。
    ・ネタであって欲しい。
    ・自分の会社も大概クズだと思うけど上には上
    ・人間として扱え
    ・ナンだょこの会社!

よきにはからって用意した段ボールがより劣悪な環境を彷彿させてしまっているのかもしれない。

元記事の画像を見ていただければ状況は一目瞭然というもので、折からの台風直撃で帰るに帰れないという経験をされた方も少なくないとは思いますが、それにしてもこれはあまりにあまりな待遇と言うのでしょうか、なまじ綺麗に敷き詰められているだけにこれはちょっとどうかと…
この時期たまらないものと言えばサンマの塩焼きですけれども、この日本人のハートに直撃するサンマにちなんだ画期的新商品が登場したと話題になっています。

ワタまでリアルに再現! 秋の味覚、秋刀魚の塩焼きがiPhoneケースになりました(2013年10月13日GIZMODO)

一風変わったiPhoneケースをお探しのお客さまにご連絡です。Hamee ストラップヤ 本店で、秋の風物詩とも言える秋刀魚の塩焼きを背負ったiPhone 5c用ケースの予約がスタートしました。

食品サンプルは日本の職人芸。本体からはみ出るくらい大きなそのサンマはインパクト抜群。持ちやすいかどうかなんて考えちゃダメだ! ウケるかどうかだけ、ピュアに見つめるんだ! あ、でも立体固形物ゆえに背面の防御力は高そうですね。

穴を開けたとしてもサンマの影が入るからでしょうか、レンズ部分もしっかりとガードしています。

iPhone 5/5sの方には、アジの開きケースがご用意されています。他にもいろいろ! イチオシはにんじんかなー。

リンク先の画像にあります通り日本人の職人気質が十二分に発揮された逸品と評価すべきでしょうか、しかしこうして見ますと本来自由なはずの携帯のケースなどと言うものに対してかくあるべきだと妙な固定観念にはまり込んでいたことに気付かされますかね…
職人気質と言えばかつての東京五輪などの際に日本では蕎麦屋の出前機を改良して万一にも聖火が消えることのないように苦労して運んだと言いますけれども、「一方ロシアは」というニュースがこちらです。

ソチ五輪に向けての聖火リレー、スタート直後に消えライターで再点火(2013年10月7日GigaZiNE)

2014年2月7日にスタートするソチ五輪に向けて、聖火がギリシャからロシアに到着し、モスクワでプーチン大統領らが出席して聖火リレーの開始宣言が行われました。これから聖火はロシア国内だけではなく北極や宇宙も経由して、冬季オリンピックとしては最長のリレーでソチへと運ばれるのですが、この開会式直後、クレムリンの敷地内でいきなり火が消えるアクシデントが発生しています。

Олимпийский огонь погас во время эстафеты - YouTube
(略)
聖火リレーで火が消えるというのはそれほど珍しいことではなく、2012年に開催されたロンドン五輪の聖火リレーでもバーナーに不具合があって聖火が消える事故が発生しています。今回の原因は、バーナーの出力が抑え気味になっていたためだそうですが、本来、再点火はランナーの後からついてきている聖火の元火を使って行うもの。ライターでつけてしまうと、それはもう聖火でもなんでもないような……。

これもロシア的おおらかさと言うのでしょうか、もちろんいきなり火が消えてしまった現場はパニックだと思いますけれども、それにしてもこんな調子で大会運営の方は大丈夫なんでしょうかね…
一方でドイツ人と言えば何事も理詰めでやるかっちりした国というイメージがありますが、あまりに理詰めで行いすぎると大事な何かを見落としてしまうのではないかという懸念も感じられるのがこちらのニュースです。

ウソみたいな機能にびっくり…19世紀に造られた元祖にして究極の「アーミーナイフ」(2013年10月7日らばQ)

日本では十徳ナイフとも呼ばれるスイス・アーミーナイフ。

19世紀末にスイス軍の装備として製造されたのが由来で、ナイフ・缶切り・栓抜きなどアウトドアに欠かせない便利ツールです。

さて、スイスで製造が始まる10年以上前の1880年に、ドイツでなんと100機能もある、とんでもないアーミーナイフが作られたそうです。

究極のアーミーナイフとはどんな姿で、そして普通のアーミーナイフでは考えられない機能とは何なのか、ご覧ください。
(略)

もうその無茶ぶりは元記事を参照くださいとしか言えませんけれども、しかしアーミーナイフがスイスよりも先にドイツで作られていたというのも驚きですが、現代に伝わったのがスイス方式であったことに多少の安堵を感じるのは自分だけでしょうか…
飛行機の操縦と言えば墜落でもすれば大惨事ですからもちろん慎重の上にも慎重を期して行うのが当然なのですが、こちら思いがけない事件によって飛行中止に追い込まれたというニュースです。

猫がパイロットを攻撃 離陸中止 犯人は見つからず(2013年10月13日Voice of Russia)

  サウジアラビアの首都から香港に向かう予定だった貨物機は、パイロットが猫に襲われたため、離陸することができなかった。猫は飛行機に侵入し、操縦席の下で居眠りをしていたという。
   Arab Newsによれば、パイロットがエンジンを点けた際、猫は驚いてパイロットに飛びかかった。軽傷を負ったパイロットはフライトを中止した。

   NEWSru Israelによれば、その後、猫は見つからなかったという。おそらくすぐに逃げ出したものと思われる。

いやそれは逃げ出したのかどうか確認しないことには危なくて飛べないんじゃないかと思うのですが、しかし猫も驚いたでしょうがパイロットの驚きも相当なものがあったでしょうね。
ホンダと言えば未だにアメリカの会社だと誤解されている場合も多いようですがもちろん正真正銘の日本メーカーであることは言うまでもないこととして、そのホンダがブリ的暗黒面に触発されたのかこんなものを作ってしまったそうです。

ホンダのレース部門が世界最速の芝刈機を製作(2013年7月18日ウェブマガジンオープナーズ)

UKホンダのレース、主にBTCCを管轄するチーム ダイナミクスが、世界最速の芝刈機を製作。完成したマシーンが公開された。

オーバー100psの芝刈機あらわる!

ホンダ技研のレース部門により世界最速の芝刈機が誕生した。担当したのはイギリスツーリングカー選手権(BTCC)でホンダのパートナーとなっているチーム ダイナミクスで、彼らの手により可能な限り、元となる芝刈機の外観を残したまま製作された。
ベースとなっているのは、主に日本国外向けに販売される「ローントラクター」と呼ばれる乗用芝刈機の「HONDA HF2620」で、本来ならば20psを発生する614ccのV型2気筒OHVエンジンを搭載している。
これに、前述のチーム ダイナミクスが徹底的なチューンを施こした。
そのチューンの内容だが、シャシーはクロモリ鋼を使用する新設計の物となり、足まわりはホイールを含めてATV(四輪バギー)から流用。コブラ製バケットシートやスパルコステアリング、スコーピオンエキゾーストシステムを装着するほか、軽量化のためカッターデッキもグラスファイバー製の物にあらためられた。
このような強化や軽量化は車体全体におよび、標準では254kgある車両重量は140kgと、実に100kg以上もシェイプアップ。
エンジンも載せかえられ、おなじホンダのスポーツバイク「VTR 1000F」の996cc V型2気筒DOHCエンジンを搭載。その結果、最高出力は元の5倍以上となる81kW(109ps)を発生。最大トルクは96Nmだ。パワーウエイトレシオに至っては1.28と、レーシングカーなみの数値となった。
トランスミッションもVTR 1000Fのエンジンケースに内蔵される、バイク用の6段ギアをそのまま搭載。それによりこの最速ローントラクターは0-60mph加速は4秒。最高速度213km/hというスペックを獲得した。

これほどの動力性能をもちながら、芝刈機としての機能はしっかり残しており、当然ながら「普通の芝刈り」に使用することも可能。モーターにより、毎分4,000回転する草刈り用のワイヤーカッターで芝をカット。作業効率も大幅に高められており、ベースのHF2620にたいし、倍以上となる時速24kmでの芝刈りが可能になっているという。
イギリスツーリングカー選手権(BTCC)でホンダ ユアサレーシングのシビックターボを駆り、2012年のドライバーチャンピオンに輝いたレーサー、ゴードン“フラッシュ”シェデンのドライブで、庭園を激走する動画が公開されているが、動画からも並みならぬ動力性能を垣間見ることができる。エンジン音含めてすべてが大迫力。是非ご覧いただきたい。

Honda's Mean Mower

ちなみにオリジナルの車体はこちらだそうで見た目はまんまなんですけれども、これを偉業と称すべきか愚行と称すべきかはブリ的暗黒面へどの程度転落しているかにもよるのかなという気がします。
最後に取り上げますのも同じくブリからの話題ですけれども、一体何があったのかというびっくりニュースというしかありませんね。

【海外:イギリス】クモの巣を理由に配達を拒否した郵便配達員(2013年10月13日日刊テラフォー)

海外では、けたたましく吠える犬を理由に郵便局員が配達を拒むケースは多々ある。実際、それは法律でも認められているので、問題はない。
だが今回、スチュアート・ロバートソンリードさん(42)は、「大きなクモの巣があった」という理由で郵便配達を拒まれてしまった。

小切手の配達を待っていたスチュアートさんが、代わりに家の前で見つけたのは1枚の紙切れだった。
『巨大なクモの巣が家の車庫の前にあるため、配達不可』
とそこには書かれていた。
「紙を見た時は信じられませんでした。配達員は、クモに優しい友達でクモの巣を壊したくなかったか、極度のクモ恐怖症だったのでしょう。」
と、スチュアートさんは皮肉交じりに話している。
そのクモは10ペンスコインほどの大きさで、スチュアートさんはクモの巣を壊したくはなかったので、ガレージの片側に寄せて、そのまま残しておいた。

その日の夜、スチュアートさんの郵便物はようやく無事に届けられた。
封筒に記された『巨大なクモの巣が家の車庫の前にあるため、配達不可』というメッセージの横には、おそらくきちんと届けてくれた配達員か上司によって『はっ!?あり得ない』と付け加えられていた。
この件に関して、郵便局側は、
「代替えの配達がなされたのだと思います。」
と話している。

たかがクモと言えばそれまでだが、それでもクモの巣を払う作業は、あまり気持ちのいいものではない。だから配達員の気持ちも分かるが、今回はそれをストレートに顧客に伝えてしまったのが、仇となってしまったようだ。
郵便配達の仕事も、大変だ。

いやまあ、記事の総括として「郵便配達の仕事も大変だ」というまとめが妥当なのかどうかはいささか意見が分かれそうですけれども、ともかくブリにおいては単に郵便を待つにも油断は出来ないという理解は出来そうですかね。
それにしても追加コメントがなかなかに気が利いていていいと思うのですが、こういうコメントをわざわざ表に出さずにはいられないところもまたブリ的諧謔の表れというものなのでしょうか。

今日のぐり:「レストラン・ファーミー」

夏場の避暑地としても有名な蒜山高原の一角で土産物販売のみならず、観覧車など遊園地設備でも集客力を持っているのがこちら蒜山高原センターですが、その中に併設されている食堂部分がこちらです。
以前はこれまた名物とも言えるジンギスカンくらいしか食べるものがないような印象でしたが、近年は例の蒜山焼きそばのヒットもあってか各種新規メニューの開発にも精力的であるようで、もちろん団体客向けの無難なメニュー中心ではあるのですがそれなりにおもしろそうな単品も用意されているようですね。

今回も例によって同行者とシェアしながら適当につまんでみたのですが、まずはその名もずばりジンギスカン丼なるものは当然ながら丼飯にジンギスカンを載せたといった具合のメニューで、タレの味は無難にジンギスカンらしいのですがこの羊肉が元々が硬い上によく焼いているので歯ごたえがハンパない、しかもかなり強烈な羊くささもあって後からじわじわくると言うなかなかの強敵で、これは焼く前に下処理が必要ではないでしょうか。
古来からの定番である蒜山おこわ定食はかけそばとおこわを中心とした無難な組み合わせで、いかにもこういう店らしいそばはまあともかくとして蒜山おこわの方はもう少し硬めの炊き加減が好みなんですが山菜メインの具材にキノコ出汁の利いた味も悪くなく、これはこれで悪くないかなと思います。
昨今B級グルメとしても定着してきた蒜山焼きそばは鶏肉と味噌系のタレが特徴なんだそうですが、こちらの場合もともと焼きそばも相応のボリュームもある上に何故か飯と汁付きと言うのは栄養学的にも胃の容量的にもどうなのかと思うのですが、焼きそばとしては独特のタレの味も突出し過ぎてはいないし堅焼き細麺も意外に悪くないしで及第と思えるだけに、単品で出せばと思ってシマしますね。

全般的には見た目の期待値からすると裏切られたと思うほどのこともないと思いますし、全体的な味付けが塩気が濃いのは田舎だからと納得するとしても、どうせ大多数の人間は車で来て車で帰るのにここまで無理にボリューミーに仕立てなくても…と言う気はします。
接遇面では食券制でもあり水などもセルフとかなり放置プレーなのは仕方ないとして、見ていても元気もやる気もなさそうなのは今時のお店としてはむしろ希少価値はあると思いますけれども、近隣の団体客向けの大規模店がどんどん淘汰されてきていることもあって今後もこんな感じでずっと続いていくのでしょうか。
それにしても団体予約で席がほとんど埋まっているのは場所柄仕方ないとして、テーブルの上一面に冷え切った料理がずらり並んでいる光景は今の時代にかなり不気味な光景ではありますけれども、方向性として個人客への対応が難しいというのであれば、集客自体は未だそれなりにあるのですから同じ敷地内に小ぶりでも今風な別店舗を作ってみてもいいような気もしますね。

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2013年10月19日 (土)

昔ながらの災害報道を続けるマスコミの弊害

大型の台風26号が関東地方を中心に大きな被害をもたらしたところですけれども、相も変わらぬマスコミの台風報道フォーマットにもさすがにそろそろ鼻についてきたという声が増えてきているようです。

ヘルメット姿のびしょ濡れ台風レポーター目障りなだけ!必要な情報と映像しっかり伝えろ(2013年10月16日J-CASTニュース)

   10年に1度という大型台風26号が関東をかすめた。「朝ズバッ!」は8か所の中継でリアルタイムに状況を伝え続けて、一般ニュースもスポーツも芸能もなし。切り替わる映像が刻々と動く台風を見せるという珍しい形になった。
   番組スタートの午前5時半ころがどうやら東京近辺のピークだったようだ。台風はまだ伊豆半島の南にあったが、雨の雲は太平洋岸と東北一帯を覆う広さで、時速60キロで北東へ進み、25メートルの暴風域は関東地方を覆っていた。
   ほぼ直撃となった八丈島では44.7メートルの風が観測され、伊豆大島では午前4時40分現在で24時間の降雨量が760.5ミリ。観測史上最大で、大島の平均からすると2か月分が1日で降ったことになる。これが5時20分現在で819.0ミリになった。元町では川がはんらんして住宅3棟が流され、この段階では6人の安否が不明という情報だった。
   千葉の館山に奥平邦彦レポーターがいたが、朝一番の中継では風雨が荒れ狂い、その後、中継アンテナが折れる危険があるというので一時中断し、7時半すぎに再開した時には、風は強いものの青空がひろがっていた。

お天気キャスターも傘飛ばされそうになってやることないよ

   それにしても、リポーターにヘルメット冠らせ、吹きさらしの中でドタバタとしゃべらせるのが続くとうんざりする。映像は映像、しゃべりはしゃべりという本来の姿には戻れないものか。
   田原市の中継で司会の井上貴博アナが「映像で見ると」といって、リポーターに質問していた。映像の真ん中にはリポーターがいる。そのわきからわずかに見える映像だった。そう、リポーターがいなければもっと良く見えて、状況がわかる。カメラが動けばもっとわかる。
   お天気キャスターの美馬怜子だって伝える内容は天気予報なのだから、わざわざ傘を飛ばされそうになりながらやる必要はあるまい。見ていても疲れる。
   終わりに近く、江ノ島のお天気カメラが雲間に半分顔を出した富士山を映していた。まだ風は強く大きな白波が次々と砂浜に寄せているが、台風は去りかけていることは一目瞭然である。必要な情報はそこへ重ねればいい。リポーターが出てくる必要はない。

日本のマスコミの台風報道と言えば「びしょ濡れで歩いている女性ばかり写している」とその悪趣味さはすでに海外でも有名なんだそうですが、避難勧告も出ている中でわざわざ大波が打ち付ける海岸線にレポーターを派遣して「はいこちらこんなに大変なことになっています!」とやってみせることにどんな意味があるのかと思うのですが、彼らに言わせれば「それも視聴者が求めているから」ということになるのでしょうか。
過去には山中に墜落したヘリの映像を撮るために山に入ったカメラマンが遭難死するという事件もありましたが、この時も天候悪化からガイドといったん引き返したにも関わらず無謀にも再入山しての結果だったことはさておき、それを報じるマスコミ関係者からも「ヘリの墜落現場を見ることにどれだけ意味があるのか」などと言われてしまうのではあまりに馬鹿馬鹿しい死に方としか言いようがないことです。
今回の台風では特に大きな被害が出ているということで現場取材に急ぎ駆けつけるマスコミ各社も多かったのですが、それに対しても一生懸命生存者を救い出そうと頑張っている現地ではこんな声が上がっていると言いますね。

「とにかく生きていて」 必死の救助阻む、三原山の土砂(2013年10月17日産経新聞)

 「水が飲みたい…」「大丈夫だよ」。東京・大島で、多数の死者・行方不明者を出した台風26号。16日、一時行方不明になっていた女性が見つかり、深夜まで懸命の救出活動が続いた。「72時間の壁」といわれ、災害から72時間以上がたつと、生存率が急激に低くなる。夜を徹して必死の捜索と救出が続けられたが、足場の悪さや広範な現場、大量の土砂に阻まれ、難航を極めた。

 一時行方不明だった女性が見つかったのは伊豆大島・丸塚地区。16日朝、がれきの間から顔だけ出して助けを求めているのを住民が発見し、午前10時半ごろから警視庁の隊員らによる救助が始まった。
 「76歳です」。問いかけにしっかり答える女性。しかし、えびぞり状態の女性の上に何重にも流木が重なり、隙間には水を含んだ土砂がびっちりと入り込んでいる。重機を使うと土砂が崩れる恐れがあり、隊員らは手作業で掘り進めた。
 「孫が待っているよ」「大丈夫」。隊員らがしきりに女性に声を掛ける。「水が飲みたい」という女性に、隊員らは水を含ませたガーゼを口に含ませた。
 日が暮れるにつれ容赦なく吹き付ける冷たい風。午後10時40分ごろ、女性の上半身が姿を現したが、ぐったりした様子で呼びかけにも応じなくなったため、隊員は懸命に心臓マッサージを続けた。

 伊豆大島西部の三原山中腹に位置する神達(かんだち)地区。頂上付近の山肌が大きくえぐり取られ、大量の土砂が根こそぎ樹木をなぎ倒して通り過ぎた筋が2本確認できる。幅にして100メートルほどの箇所も。そこにあったはずの民家は跡形もなく押し流され、がれきや木々が辺り一面を覆う。
 数十メートル先の駐車場から流された車が折り重なり、真っ二つに折られた電柱があちこちに散らばる。「集落のほとんどの住民と連絡が取れない。あまりにひどく言葉も出ない」。神達地区で水道工事会社を経営する佐々木一典さん(50)は呆然(ぼうぜん)としていた。
 東京消防庁のハイパーレスキューや地元消防、被害を逃れた住民らが樹木や岩をかき分け、捜索を続ける。しかし、ぬかるんだ土砂に足を取られ、思うように作業が進まない
(略)
 日没前、近くのがれきの中から、1人の子供が発見された。幼い女児とみられる。すでに息はなく、地元消防隊員は遺体を毛布にくるみ優しく抱える。警視庁の車で遺体が運ばれる前、隊員らは手を合わせ、1人が頭をそっとなでた。(森本充)

伊豆大島、大手報道ヘリに悲痛の叫び「サイレントタイムにヘリを飛ばさないで!」(2013年10月16日ガジェット通信)

台風26号の影響で伊豆大島では深刻な事態が発生している。山の斜面が崩れるなどして30棟以上が倒壊。全部で283棟に影響が出ている。そして連絡が取れない人は50名以上。
今朝から伊豆大島では生存者の捜索が開始されているが、そんな中、伊豆大島の情報を発信する一つのTwitterが悲痛の叫びを上げている

「【拡散希望】伊豆大島救助隊が、救助の為のサイレントタイムを15時から17時で実施したいが旋回する報道ヘリコプター二機のため困難との事。どなたか、報道機関に伝えるか、拡散願います。」

サイレントタイムとは、災害発生の際、静寂の時間を作り、地中やがれきの下にいる生存者の音を聞き取りやすくするため設けられる時間。通常であればその時間、ヘリコプターが上空を飛ぶことは勿論、重機の使用も自粛が求められる
このツイートが投稿されたのは、16日15時04分。サイレントタイム開始直後に該当する。なぜサイレントタイムに報道がヘリを飛ばしているのかは不明だが、行政から報道へ連絡が行き届いていない可能性が考えられる。そのため、一概に報道側を攻めることはできないが、ことは一刻を争う事態。少しでも早い報道と行政との連携が望まれる。

某大手新聞社などは今回の台風に関連して社説で関係当局の対応を不十分だったと熱心に批判すると共に、今回の大災害の教訓として「災害対応は「時間との競争」であることを認識すべき」だと書いていますけれども、なるほど彼らにとっては締め切りに間に合わせるための時間との競争は確かに大変なものがあるのだろうなと改めて感じさせられます。
すでに阪神大震災の時にも全く同様の取材ヘリによる爆音が救助活動を妨げるという問題が明らかになっているにも関わらず、相も変わらず同じ取材方法を続けているというのは彼らにとっては何ら改めるに値しないという認識であるのか、とかくこうした横暴無礼な災害報道ぶりはすっかりそれに慣らされてしまった日本人よりも外国人にとってよりセンシティブであるようで、ニュージーランド大地震では国際問題にもなりましたよね。
いずれにしても当事者の常識の角度はいささか斜め上方向に歪んでいる上に良識などと言うものには全く期待出来ないということになりますと何とか強制力を発揮して規制をするしかないということにもなりかねませんが、報道と行政との連携という観点からすると救助活動の妨害にしかならない取材活動にある程度の規制を行うことが出来るのかどうかです。

こうした話になりますとまたぞろ「なんたる横暴!報道の自由の侵害だ!」と即座に反応する方がいらっしゃいますが、例えば大変なことになっている被災地には一時的にせよ救助活動に必要不可欠なもの以外の車輛や航空機の侵入を規制するといったことであれば別にマスコミに限定した話ではありませんし、現実的に無制限無規制で放置するよりはよほど救助活動に益するんじゃないかという気がします。
マスコミに言わせれば現地主義と言うのでしょうか、とにかく現場に行って実際の状況を画像なりで報道するのが自分たちの仕事だと感じているのでしょうが、それなら各社ぞろぞろと車輛やヘリを無分別に送り込む必要もなく共同取材で十分ですし、バカでかい中継車を路駐して邪魔をする暇があったら少しでも救助の手伝いでもした方がよほど社会のためになるでしょう。
むしろ現地情報が住民の生の声としてリアルタイムで伝わってくる時代にマスコミによって創作された「シナリオ通りの報道」にどれほどの人々が感銘を受けるのかということで、国によってはあまりにいい加減な災害報道に怒り狂った地元住民がテレビ中継車を破壊しネットに流したなんて話も伝わっているように、「マスコミだから何をしてもいいんだ」などと思い上がっていられる時代ではとっくになくなっているという現実は認識すべきでしょうね。

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2013年10月18日 (金)

福島原発作業から読み取るべき教訓

本日の本題に入る前に、先日「新小児科医のつぶやき」さんのところで「月200時間の残業を容認する36協定書を受理した国を提訴した事件が結審」というびっくりするような記事が紹介されていたものですから興味深く拝見したのですが、まあしかし労基署というところもそれなりに大変であろうことは理解出来るにしてもあまりにあまりな話という印象は受けますよね。
昨今話題になることも多いブラック企業というものの鑑別法として、先日「弁護士ドットコム」の記事で「初任給が「残業代込み」だったら気をつけろ!」というそのものズバリな記事が載っていましたのでこれも興味深く拝見したのですが、注目すべきデータとしては「離職率」や「平均勤続年数」なども挙げられるのだそうで、ともかく企業の側が出したがる数字ばかりを漫然と見ていたのでは落とし穴にはまってしまうという困った時代です。
以前におもしろい記事があると紹介したことがありましたが、雇う側には雇う側で「不平不満も言わずまじめに働くいいやつだと思っていたのに有給を取りたいと言いだしたり、ついには残業代まで要求してきた。人間不信に陥る」なんて声もあるようですから、逆説的にブラック企業に勤める側もそろそろ最初から慰謝料をふんだくるくらいのつもりで入社してくる人間も出てきてもおかしくないのかなと言う気もします。
ただ根本的にはやはり他人の労働に対する正当な評価ということが社会に根付かなければブラック企業問題は解消しないはずで、外食大手が名ばかり管理職で残業代支払い命令を受けたなんて話を聞けば「ブラック企業ざまあw」と思う人が、ファミレス大手が消費税値上げ後もコスト削減につとめ日替わりランチの値段は死守したいと言っていると聞けばGJ!と手を叩いて喜ぶというのは、やはりおかしなことだと思わないといけないでしょうね。

さて、このところ原発事故の後始末と関連して福島原発で相次いでトラブルが発生していて、しかも報道から見る限りその多くがちょっと信じられないようなうっかりミスに端を発していることから東電はどこまで駄目なんだとか、こんな企業に任せていたのでは絶対にまともな作業など期待出来ないという声すら上がっています。
これに対して東電側が「作業は下請けがやっている。マニュアル通りに手順を守ってやっていれば支障はない」と答えたなどと報じられたことから「それなら高い給料もらってる東電社員が自分でやれよ!」と火に油を注いだ形なのですが、まさにマニュアル通りにやっていれば何も問題がないはずの単純作業の繰り返しで何故こうまで手順間違いが発生するのか非常に気になるところですよね。
思い返していただきたいのが事故発生直後、現場の状況を把握しようとしてロボットを突入させるということになり、通路を進ませていたところ図面と違う構造になっていたため結局途中で断念したということがあったと思いますが、東電に限らず多くの現場では構造や運用で現場の実情に合った形でモディファイしているのが普通であって、普段仕事をしている人間は皆知っていたり、見れば判るといった状況ですから支障はないわけです。
ところがたまに新しいスタッフが入ってくると知っていて当然と思い込んでいた共有知識を知らないものだから思ってもみない事故が発生する怖さがあって、よくある「消毒薬を飲み物の空き容器に小分けしていたところ誤って患者さんに注入してしまった」なんて馬鹿げた事故もこういった理由で起こることが多いのだと思いますね。

ともかくも当たり前に共有出来てきたはずの情報が受け継がれなくなった時の怖さをまざまざと示してくれたという点でも今回の事故は非常に大きな教訓をはらんでいると思うのですが、何故そうなったのかということを想像してみるに不詳管理人などはもちろん現場の状況は承知しないのですけれども、やはり放射能汚染の問題が大きく関わっているのではないかという気がしてなりません。
元々技術的な問題、あるいは保安上の問題などもあってそうそう誰にでも入って来られない閉鎖的な施設内で決まった人達だけが働いていた、ところがそうしたベテランは事故後もそこで危機対処をしていれば当然いつかは線量の限界を超えて立ち入り禁止になってしまいますから、それを補うのは後から入って来て事故前の本来の状況も何も知らない素人となってしまうのは当然です。
もともと構造が改変されたような現場で津波被害に遭い爆発事故も起こり、さらに応急の工事があちこちでなされているのですからもはや原型をとどめないような場所も多いと思いますけれども、こうした現場で次々と基礎的な情報も持っていない素人の下請け作業員が現場の空気を承知していない上司の指示通り働けと言われてまともな仕事が出来るのかどうかで、実際かなり悲惨な状況になってきているようです。

作業員「線量パンクでポイ捨て」 福島第一、下がる士気(2013年10月13日朝日新聞)

 【根岸拓朗、笠井哲也、岡本進、木村俊介】東京電力福島第一原発で9月以降、単純な作業ミスによるトラブルが続いている。放射線量の高い現場で働き、汚染水まで浴びた作業員もいる。ミスの背景に何があるのか。

 「浴びちゃったな」「きょうも高かったな」
 第一原発の出入り口「入退域管理棟」。その日の仕事を終えた作業員たちが、渡されたレシートのような紙を見てつぶやく。無言で数字を見つめる人もいる。
 記された数字は、被曝(ひばく)量。1日で2ミリシーベルト近く被曝する作業員もいるという。一般人の年間被曝限度の2倍近い。
 建屋周辺は今も毎時100ミリシーベルト超の場所がざら。作業ごとに浴びる線量を想定して計画を立てて現場に向かうが、1年間の被曝限度50ミリシーベルトを超えると、その年は現場では働けなくなる
 「被曝線量がパンクすれば、ポイ捨てされるだけ」。10年以上、第一原発などの原発で働いてきた30代の男性は、そう自嘲する。
 原発作業員が「ポイ捨て」されると語った男性は、事故前は原子炉建屋内などの作業でチームの責任者も務めた。事故直後、避難先から志願して戻り、原子炉に水を入れるために建屋にホースを運んだ。被曝(ひばく)量が1時間で10ミリシーベルトを超え、「死ぬかと思った」こともある。

 五輪に沸き返る東京の様子や、消費税増税がメディアをにぎわす一方で、第一原発の報道はトラブルばかりで、作業員の声はほとんど報じられない。被災地に著名人が慰問に訪れても、作業員には会わずに帰る。
 「今は社会全体で応援してくれる空気が感じられない。モチベーションがどんどんなくなる」とぼやく。
 入退域管理棟で働くベテランの男性は、汚染水絡みのトラブルが相次いだ夏ごろから、作業員の肌や下着の汚染が増えたと感じる。
 防護服に全面マスクを身につけてはいるが、マスクを外す際に汚れた手袋で首筋に触れる人もいるという。「事故後にゼネコンが集めた作業員は経験も知識も浅く、防護服も上手に脱げない
 しかも、第一原発は通常の発電所と違い、がれき撤去やタンクの据え付けなどで少しずつ様子が変わっていく。事故前の作業経験が通用しない現場もあるという。

現場の作業員は決して適当に手抜きをしているわけではなくて、むしろ労基法越えの過酷な労働をしているという報道もあるように精一杯努力しているのでしょうが、その貴重な努力がしばしば無駄になるどころかかえって問題を大きくしかねない状況にある、そして国民からは「何をのろのろやってるんだ馬鹿野郎!」と始終罵声を浴びせられているのですから、それはモチベーションも下がろうと言うものですよね。
それでも相応に報われているというのであればまだしもなんですが、以前にも取り上げましたように下請け会社の従業員とは名ばかりで名も知れぬ日雇いを一山幾らで連れてきて限度一杯まで働かせる、そして給料から作業手当までほとんどを中抜きしてしまうというのでは、到底真っ当な仕事をやろうという気にもならなければ出来ると言う状況でもなさそうです。
労働法規云々を離れてもこの伝わっていなければならないはずの知識の断絶する怖さは人ごとではなく、医療などは特に施設毎どころか医師一人一人が微妙に違った流儀で仕事をしているところがあって、ベテラン看護師などが「あの先生がこう言ったらこういう意味」などと翻訳しながら回している施設もあるようですが、これまた一朝事あるときはどんな齟齬が発生するか判らない危ない橋を渡っていると言えますよね。
最近は何でも医療の標準化と言われる時代ですが、それは単純にガイドラインを作ってその通りにすればいいと言ったレベルに留まるものではなくて、例えば日本全国いつどこに行こうがどんなスタッフの組み合わせだろうが当たり前に滞りなく仕事が出来るということも、日常診療にも還元出来る非常に重要な標準化の行程ではないかという気がします。

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2013年10月17日 (木)

生レバー提供による食中毒で初の逮捕者

本日の本題に入る前に、仕事をしていて思わず「やっちまった!」と真っ青になる瞬間というものは誰にでもあると思いますが、こちらかなり「やっちまった!」度が高かったのではないかなと想像出来る記事が出ていました。

結核発病の男性医師、マスクせず635人診察(2013年10月15日読売新聞)

 静岡県は15日、同県伊東市で診療所を開業する50歳代の男性医師が結核を発病したと発表した。

 医師は症状が表れた今年8月から9月26日まで、観光客も含めて10都道県の男女635人を診察した。同県は診察を受けた患者らに連絡し、説明会や健康診断を実施する。

 発表によると、医師は8月中旬頃からせき込み始めた。9月26日、診療所で自らレントゲン撮影したところ、肺に結核の症状を発見して休診。その後、病院を受診し、今月2日に結核と診断された。休診までマスクを使用せずに診察していたという。静岡県は今後、診察を受けた人のうち幼児や糖尿病患者ら392人については、健康診断を実施する。

 診療所名について、同県は公表しなかった。壁下敏弘・県医療健康局長は「診療所の医師は1人だけで、診療所イコール医師の個人名となるため」としている。

伊東の医師が結核発症(2013年10月16日中日新聞)

◆診察635人に健診実施へ

 静岡県は十五日、伊東市で診療所を開業する五十代の男性医師が十月二日に結核と診断されたと発表した。県疾病対策課によると、医師はせきなどの症状が出始めた八月中旬から診療を中止する九月二十六日までに六百三十五人を診察していた。同課は、六百三十五人を接触者として、十七日から伊東市観光会館などで順次、説明会を開き、健康診断を実施する。

 同課によると、医師はせきの症状があったため、九月二十六日に診療所で自らエックス線撮影し、左肺に異常を認めて診療を中止。結核専門病院で結核と診断されて入院した。医師は診療所で外科、内科などを一人で担当し、診察中にマスクを付けていなかった

 県は、接触者のうち乳幼児、糖尿病患者や二回以上診察を受けた三百八十六人と医師の家族、診療所職員ら六人を優先的に健康診断する。家族らは結核の症状は出ていない。

 接触者のうち県内は五百八十八人で、三十六人が東京、神奈川など九都道県。県はこれまでに説明会の実施などを連絡した。残る十一人は生命保険加入のための健診で個人住所は不明だが、生保会社が把握しているという。

これだけ広範囲に暴露されると後始末で大騒ぎになりそうですが、記事から注目すべきなのは8月に咳の症状が出てから9月末まで症状が続いていたにも関わらずマスクもせずに診察をしていたということで、別に一部ホームのように「咳や熱のある人間は一切出入り禁止」とまでは言いませんが、結核に限らず一般の呼吸器感染症として考えてもあまりにお粗末ではなかったかと言う気がします。
感染症患者が非常に多い小児科医などは感染予防対策も相当に神経質だったり、逆に「僕はもう大抵の風邪は免疫出来てるからね」などと妙に無神経だったりしますけれども、いずれも少なくとも自分がもらうことはあっても自分から他人に移さないように配慮しているのは当然で、全国多数の医療関係者はこの事件を以て他山の石と為していただきたいですよね。
さて、感染予防と言えば医療関係者よりもむしろ神経質なのが食品関係者で、特に加工食品の工場などは非常に厳しく管理をしているというのは法律上の規制はもちろん、ひとたび何かあれば後始末で会社が潰れかねないのですから当然と言えば当然なんですが、一方で末端飲食店レベルになるとかなりいい加減なところもあるようで、当然ながらたびたび食中毒事件が発生します。
基本的になんであれ十分加熱したものをすぐ食べてもらえばそうそう大きな問題はないと思いますが、いわゆるこだわりのお店ほど味や食感重視でぎりぎりの加熱で出そうとする、そしてもちろん日本人であれば上物はまずは生で食べるということを客の側も期待しているわけで、昨年「新鮮なものでも高率に汚染されている」とのエヴィデンスにより生食が禁止されたレバーでこんな事件があったそうです。

生レバー提供容疑で経営者ら逮捕(2013年10月15日NHK)

京都府八幡市にある焼き肉店で、牛の生レバーを客に提供したとして経営者ら2人が食品衛生法違反の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、去年、法律で禁止されたあと生レバーを提供した店が摘発されるのは全国で初めてだということです。
経営者は容疑を否認しているということです。

逮捕されたのは、大阪市の焼き肉チェーン店経営会社の社長、仲宗根孝之容疑者(53)と、京都府八幡市にある店の店長、白瀧信彦容疑者(45)の2人です。
警察の調べによりますと、2人はことし8月、八幡市の「焼肉牛宗まるなか京都男山店」で、生で食べることを前提として牛の生レバーを客に提供した食品衛生法違反の疑いが持たれています。
この店で食事をしたあと食中毒になった人がいたことから、警察が店を捜索するなどして捜査を進めていました。
警察によりますと、調べに対して仲宗根容疑者は、「生レバーは焼くことを客に伝えるように店員に指導していた」などと容疑を否認し、白瀧容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているということです。
牛の生レバーを巡っては、おととし、富山県などの焼き肉店でユッケを食べた客が食中毒を起こして5人が死亡した事件をきっかけに、去年7月、生レバーの提供や販売が禁じられました
警察によりますと、法律の施行後、業者が摘発されるのは全国で初めてだということです。

専門家「消費者が命を落とす可能性も」

食品衛生が専門の奈良県立医科大学の今村知明教授は、「牛の生レバーは症状の重い食中毒を起こす危険性が高いため、法律で禁止する必要があると判断されたものだ。場合によっては消費者が命を落とす可能性もあるものなので、牛の生レバーの提供は絶対にやめるべきだ」と指摘しています。

生レバー:提供容疑で焼き肉店経営者ら逮捕 京都府警(2013年10月15日毎日新聞)

 2012年7月から禁止されている牛の生レバー(肝臓)を生食用として客に提供したとして、京都府警は15日、京都府八幡市男山の焼き肉店「焼肉牛宗(ぎゅうそう)まるなか京都男山店」の経営会社、丸中精肉店(大阪市阿倍野区)社長、仲宗根(なかそね)孝之(53)=大阪市旭区新森5=と焼き肉店長、白滝信彦(45)=大阪府枚方市東山1=の両容疑者を食品衛生法違反(規格基準違反)容疑で逮捕した。生レバーを提供した店が摘発されるのは全国で初めて。

 逮捕容疑は8月30日、男子高校生8人と引率の常連客の男性(26)に、コース料理の一部として生レバー166グラムを提供したとされる。実際に食べたのは6人で、数日後、生徒4人が食中毒症状を訴え、うち1人は1週間入院した。保健所は「因果関係は特定できなかった」としている。

 府警によると、両容疑者は当時、焼き肉店で調理をしていた。仲宗根容疑者は「普段から従業員に『焼いて食べてください』と客に伝えるよう指導している」と容疑を否認。白滝容疑者は「常連客に生食用として出した」と容疑を認めているという。生レバーを給仕した従業員は「客に『焼いて食べて』とは言っていない。指導も受けていない」と話しているという。

 経営会社のホームページによると、1958年に精肉店として創業。焼き肉店と精肉販売の本店(大阪市阿倍野区)のほか、八幡市と枚方市に焼き肉店があり、テレビ番組や雑誌にも取り上げられている

 11年に富山県などで起きた焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」での集団食中毒事件を受けて食品衛生法に基づく新たな基準が作られ、11年10月から生食用の牛肉(ユッケ、牛刺しなど)の調理方法などが厳格化された。生レバーは12年7月から販売、提供が禁止されている。【土本匡孝、村田拓也】

別記事によれば有名焼き肉店でコースを頼んでいたというこの高校生グループ、「メニューに掲載のない「生3種盛り」を注文」してこうした被害にあったと言いますから自ら呼び寄せた災害と言うしかありませんけれども、裁判の過程においてはまたそれぞれの証言などから判断されるだろうとは言え、事実関係としては出す方も食べる方も完全に承知の上でやっていることだと言ってよさそうですよね。
昨年の法的な禁止によってこの生レバーも各店で対応が分かれるところで、チェーン店などはこんにゃくなどの代用食品でそれらしく加工したものを出したりするケースがあるようですし、一方で個人店などでは今回のようにメニューには載せていないけれども常連客用に用意はしていると言うケースも多いようで、その場合はもちろん覚悟を決めている人間にしか出さないということなのでしょう。
一応はこの法律逃れのテクニックとして「お客様には焼いて食べるように言って生を出す」というやり方が広く知られていて、今回も表向きはそのやり方でやっていたようなのですけれども当の従業員が「そんな指導は受けていないし言ってもいない」とネタバレしてしまっているあたり、完全に形骸化していたと見て間違いないでしょう。

今回たまたま集団食中毒に発展し病院にかかったことから、当然病院の側も届け出の義務がありますから公にせざるを得なかったわけですけれども、一般論として出す方も食べる方もお互い承知の上で一定のリスクを冒すと言う場合にこれを第三者が強制的に規制するのが妥当なのかどうかという議論があると思いますし、事実生レバーに関しても各方面で激論が交わされたことは記憶に新しいですよね。
逆説的に言えば今回全国で始めて摘発されたと言うことですから、警察などは「大きなトラブルさえ起こさなければお目こぼし」の状態なのかなと推測するのですが、では「大きなトラブル」を起こさないようにどのような工夫が行われていたのかが重要で、今回のように団体客にぽんと出してしまうというのは当然ながらあまり賢いやり方とは思えません。
この点で大規模トラブルが懸念される大手通販サイトでも対応が分かれているようで、厚労省から生食は禁じられている旨明記しはっきり「中心部まで加熱後お召し上がりください」と書いてある(実際レバーをそこまで焼くかどうか微妙ですが)サイトもあれば、「食中毒やウィルス性肝炎の危険性もあるので、鮮度などに注意し、食して下さい。 [加熱用]と表記させて頂きます。」と何とも曖昧な表記をしているサイトまであるようです。
もちろん利用者のコメント欄を見ればこれも生食用として購入し利用していることは明らかなのですが、通販の場合は例え同じ出荷元から大規模食中毒が発生しても買う側はバラバラで集団発生と認識されないという利点?がありますから問題になる機会が少ないと思われ、今後出荷元としては飲食店よりもこちらの需要を狙った方が賢いのかも知れないですね。

今回の事件でも提供時に焼くように指示していなかったことが逮捕の直接的な理由となったのだとすれば、きちんと焼いて食べるように口頭注意をするなり掲示なりをしておけば食中毒を出しても罪に問われないのか?という疑問が当然に出てきますが、前述のように基本的に厳しくは取り締まっていないのであればあまりに大騒ぎにならない限りは通常の食中毒程度の対応で終わるのかも知れません。
もちろん法で決まっていることですから取り締まる側の判断によっては今回のように逮捕にまで至る可能性はありますが、世間の目線的には生では食べられないとあれだけ言われている中で敢えて生で食べた人間が悪いというものでしょうから、営業的なリスクという点ではかなり低めなのがこれまた未だに生での提供が続いている一因なのかも知れませんね。
ただ行政罰、刑事罰などはそれで済むとしても民事的なトラブルはまた別問題で、「生食が禁止されているのに生で食べられると誤解するようなものを出した!謝罪と賠償を要求します!」なんて言われるリスクは当然ながらあるわけですから、絶品レバーは食べてもらいたいが何かあっては困るというお店はくれぐれも相手をよく見てからの対応を考慮されるべきかと愚考致します。

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2013年10月16日 (水)

社会補償制度改革 高齢者支出増で必要に迫られる

こういう記事が出ていたのですけれども、一見すると何でもない昨今日本でもよくある健康寿命延長論に見えますよね。

医療方針のパラダイムシフト「加齢を遅らせて病気をおこさせない」という方法論(2013年10月9日GigaZINE)

Google社が健康と人間の幸福を改善する目的で新しい会社「Calico」の設立を発表しましたが、それに呼応するかのように、今後の医療政策を大きく転換させるかもしれない調査結果が公表されました。そこでは現在の医療に見られるような、病気ごとに個別に行われている研究や治療ではなく、より根本的なところで人間の加齢による老化を遅らせて、人々の健康状態を良好に保つ施策を採るほうがメリットをもたらすとしています。

Delayed aging is better investment than cancer, heart disease

この発表は、アメリカの健康関連のジャーナル誌である「Health Affairs」誌に掲載されたものです。同誌は、米ワシントン・ポスト紙から「健康政策のバイブル」とも呼ばれており、大きな影響力を持っているといわれています。
加齢による老化の速度を遅らせることができると、65歳以上の健康な人の割合が2030年から2060年の30年間にわたって少なくとも毎年5パーセントずつ増加し、2060年には健康なお年寄りの数が1170万人増加するという試算が出ています。また、健康な人の割合が増加することで医療費を1.25パーセント削減できると見込んでおり、長期的に見れば大きな恩恵を受けることができるとしています。

◆増加する老齢人口と医療問題
今後の50年間で、アメリカ国内の老齢人口は現在の4300万人から1億600万人と2倍以上になることが予想されています。そして、そのうち約28パーセントの人が健康に問題を抱えるといわれています。医療政策・経済学を研究する南カリフォルニア大学・Schaeffer Centerの所長で報告書の筆頭著者でもあるDana Goldman博士は「これまでの50年間は、数ある病気ごとに個別の対処方法を開発することによって寿命を延ばしてきましたが、結果的に長生きはできても健康に問題を抱えながら老後を送るケースを増やすことになってしまいました。もし加齢による老化そのものを遅らせる研究が進むと、そのような病気の発生と進行そのものを防ぐことが可能になります」と語り、従来のような「今後数十年間でガンの発生率を25パーセント減少させる」というような方法を続けても、人々の健康面と費用面の両方でのメリットはほとんどないと指摘しています。
研究チームの一員であるイリノイ大学のS. Jay Olshansky氏は、この新しい医療のあり方についてこう語っています。「加齢を遅らせることに関するどんな小さな発見でも、健康と人生の質(クオリティ・オブ・ライフ)に大きなインパクトを与えることになるでしょう。この方法論は人々の健康に対する根本的に新しい考え方であり、あらゆる病理に共通して横たわる問題の根本に立ち向かうものです。今すぐにでもこの研究を開始するべきです。どのメカニズムが加齢を遅らせることに関連しているかはわかっていませんし、おそらくいくつもの解決策があるはずですが、まずは『取り組む価値のあるもの』として認識を行うことが必要なのです」
100歳を超える長寿の人に共通する遺伝子の研究から、加齢を遅らせる方法が少しずつ明らかになってきています。また、動物実験レベルでは、薬剤やカロリー制限などの方法で老化を食い止める兆候を確認することもできました。

◆加齢速度を遅くすることによるメリットとそのコスト
それでは、新しい方法にはどのようなメリットが期待できるのでしょうか。報告書では、51歳の患者がガンまたは心臓の病気を患っている場合の例を挙げて説明しています。従来の方法では平均して寿命を1年上乗せすることができるのに対し、加齢を遅らせる方法をとっていれば寿命を2年以上長くすることが可能で、しかもその間の健康状態は、より良好な状態をキープできるとしています。
また、この方針転換により向こう50年間で7兆1000億ドル(約690兆円)の経済的メリットがあると試算しています。しかし同時に、人口一人あたりにかかる医療費は減るものの、65歳以上の人口が増加するために医療費全体の削減にはつながらないということも述べています。
「特定の病気ごとに研究を集中させる従来の方針から、老化の速度を遅めて根本的に病気の発生を避ける方法へとシフトすることで、人々の健康状態が改善され、社会との関わりを持ち続けることができるようになると考えています。ここにはとてつもなく大きなメリットがあり、その恩恵は将来の世代にまで及ぶでしょう。財政的には大きな挑戦になりますが、施策の転換と、無視できないほど大きい経済的価値を見いだすことによって実現されると思っています」とGoldman氏は語っており、新しい施策への転換を促しています。

もちろん健康寿命が延長すれば高齢者にかかる社会保障コストは一見して節約出来るように見えるし、人間の根源的欲求としていつまでも若くいられる技術はどんどん開発したらいいのでしょうが、一方で加齢による各種疾患の続発とそれによる高い医療支出というイベントを回避出来たとしても結局は一時的な先送りに過ぎず、将来的長期的に見ると結局新しい社会年齢分布に基づいて先送りした高齢者向け支出がのし掛かってくるという意見があります。
そしてもう一つ気になるのが健康寿命を延ばし元気になった高齢者に何をさせるのかと言うことで、例えば日本においては高齢者の入り口に差し掛かった頃には勤めを終えて社会的には隠退生活に入る、そしてそこからは多額の公費も投じられた年金によって扶養されるわけで、結局のところ非生産年齢の扶養人口が増えることによってトータルでの社会保障支出はむしろ増す可能性がありますよね。
いやいやそんなことはない、高齢者の老化が抑制できればもっと長く働けるようになるじゃないかと言う声もあって、事実近年は政策的にも定年延長が盛んに唱えられているところですけれども、基本的には仕事の需要は人口比で決まるのだと考えれば限られた雇用総量というパイの切り分け先が若年者から高齢者へと移行すると言うだけで、最も生産的であるべき若年者にとっては何らメリットはなさそうです。
結局のところ働けなくなったらさっさと退場いただくのが一番効率的と言う構図に変わりはないし、いくら健康需要を伸ばしても高齢者にコストはかけないというコンセンサスもセットで普及しなければ意味がなさそうなのですが、そう考えると先日出ていた文科省の体力・運動能力調査で「70歳代の体力が12年前の5歳若い世代と同等になった」などといったニュースを見ても素直に喜べなくなってしまいますね。

ところで主に大企業を対象とする健康保険組合においては昨年度全国1431組合の7割超で合計2976億円の経常赤字だったと言う記事が出ていて、一見すると前年度よりも赤字額が減ったようにも見えるのですが過去最多の609組合が保険料率を引き上げたことがその理由だとも言い、保険料収入の半分近くを占め増え続ける高齢者向けの医療費支出が重くのし掛かっている格好です。
こうした状況から健保組合側では政府の言うところの「もっと大企業に医療費を負担させよう」という社会保障改革案には反対だと言うのですが、表向き法人税引き下げなどの「アメ」もセットで打ち出されてきている以上は雇用の促進や社会保障費の負担など相応の見返りも要求されるというところで落ち着きそうに思えます。
厚労省の宇都宮啓医療課長が先日の講演で医療従事者に対して「超高齢社会で医療は変わらなければならない」と言ったそうで、高齢者は「治すための医療「Cure」よりも、支える、場合によっては看取るための医療「Care」が求められる」のに「今の医学部教育や医療現場は治すことばかり教えている」と批判したそうですが、「治すことばかり」考えなければ経営が成り立たないよう誘導する診療報酬体系もその一因ですよね。
他方で山形大の嘉山孝正先生はこれまた講演で医師確保のために必要な方策の一つとしてドクターフィー導入などにも言及した後で、「医療における既得権益は医師ではなく国民」であると言い、「国民が安い医療費で最高の医療を受け続けている現状を変えないようにしている」と語ったそうですが、こちらの方が現場感覚としてはより近いイメージがないでしょうかね?

いずれにしても何十年も前の日本が上り調子で成長していた時代に出来上がった現在の社会保障システムが、21世紀になってもそのまま続けられると考える方がどうかしているというもので抜本的改革が不可避であるという認識は多くの人達が共有している、一方で現実問題一番お金を持っている高齢者が自己負担においても一番優遇されているのはおかしいんじゃないか?と言う考え方はあって当然でしょう。
ちょうど政府が来年度からの高齢者医療費自己負担1割という特例をとうとうやめる(と言っても、来年度以降70歳になる人は2割負担にする方針を固めたというだけですが)という報道があったところで、相次ぐ高所得者への負担増とも合わせて社会保障負担は年齢による階層化から所得による階層化へと移行しつつある気配がありますが、では「お年寄りでもお金持ちは負担してもらいます」でいいのかどうかです。
結局のところ高齢者向けの給付が際限なく増えていくのに何ら抑制のためのシステムが働いていない(厚労省課長が医療者向けに「年寄りにはあまり金を使った医療をしないでね」と説教して何が変わるのか?というものでしょう)という根本的原因を放置したまま、お金を出せる人なり会社なりがいるんだから出してもらえばいいじゃないかと言う考えでいると何が起こるのかということです。

高所得者の国保保険料上げ議論へ(2013年10月13日NHK)

厚生労働省は、自営業者などが加入する国民健康保険について、来年度から所得が高い世帯が年間に支払う保険料の限度額を引き上げる方針で、今後、対象となる世帯の範囲や引き上げ幅などを議論していくことにしています。

厚生労働省は、先にまとまった社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえ、経済力に応じて負担を求めることを基本に、医療制度などの見直しを進めています。
このうち自営業者などが加入する国民健康保険については、来年度から所得が低い世帯の保険料の軽減措置を拡充することにしていて、夫と専業主婦の妻、それに子どもの3人の世帯の場合、▽保険料が5割軽減される年収の上限を今の147万円から178万円に、▽2割軽減される年収の上限を今の223万円から266万円に、それぞれ広げ、対象の世帯を増やす方針です。
一方、所得が高い世帯は、より多くの負担を求める観点から、年間に支払う保険料の限度額を現在の65万円から引き上げる方針で、今後、対象となる世帯の範囲や引き上げ幅などを議論していくことにしています。

基本的に無保険者の増加が医療現場にとっても大きなリスクになっているのですから、低所得者対策が何よりも優先されるのは当然なのですが、その財源としてお金持ちからもっと取ったらいいじゃないかと言う意見は一見するともっともらしいようにも見えますよね。
ちょうど今現在交渉が進行中のTPPで医療も一つの焦点になっていて、特に国民皆保険制度というものがどうなるか注目されているところなんですが、民間保険主体のアメリカから今後日本にも保険会社が様々なプランを携えて進出してくることになった場合、こうした富裕層への負担増加政策がどのように影響するのかに注目しています。
もちろん日本の皆保険制度は保険会社の中の人も「最善最良の医療保険」と評価したと言う話もあるくらいで、それはこれだけ赤字続きになっても手厚い給付が行われ何らの制約も受けないとなれば特に利用の多い高齢者ほどありがたいものですけれども、一方で質的平等を追求するあまりお金持ちであっても一文無しの貧困者と同じ医療しか受けられないという、パフォーマンス面での制約があるわけですね。
仮に民間保険でより高い質の医療をカバーするプランが登場したとして、その時点で富裕層の健康保険負担がこれら民間保険と同等水準にまで高まっていたりすると、「それならもっといい医療が受けられる民間保険にしようか」と富裕層による皆保険制度離脱が起こってもおかしくはないという話になります。
実のところ今後さらに大きな負担を求められそうな「お金持ち」大企業中心の健保組合などは以前から支出の増加に伴って保険料がどんどん高騰し、これでは独自の企業保険を用意する意味がないと組合解散するケースが増えているのですが、その結果かえって国庫負担が増えることになるのですから調子に乗って「取れるところから取ればいい」では必ずしも望んだ結果が得られるわけではないということですね。

結局のところ支出(給付)をどうやって抑制するかという議論なしに誰が負担するかと言う話ばかりをやっていても仕方がないし、逆に高い給付水準を今後も求めるなら応分の受益者負担もあってしかるべきだろうと言うことなのですが、特に後者の場合自己負担増加はそのまま受診制限という二重の支出削減に結びつきますから、かねてあちこちで議論はされてきた(ただし、なかなか実現はしない)ところです。
医者がどんどん病気を見つけて治療してしまうから医療費が増えるのだという考え方も確かに一面の真実なのですが、現実問題として80歳90歳の高齢者だろうが保険診療の制度上は若者と同じ一患者に過ぎず、病気を見逃せば若年者と同じように巨額の賠償金を請求されるという仕組みになっている以上「あなたはもう歳だからこれくらいの適当な診療でいいですよね」とは医療側からはちょっと言いにくいですよね。
医療の受益者たる患者=国民は同時に医療のスポンサーでもあるわけですから、もっと有意義に医療費が使われるように当事者意識を持つべきだと思うのですが、現代の姥捨て山だとか散々に言われ骨抜きにされてきた高齢者医療制度なども本来若年者と高齢者とは制度的にも別物で、負担も給付も違う扱いなのだということを示すよい道具立てになっていたはずなのに十分活用されているようには見えません。
制度的改変が一向に進まないのであればせめて現場レベルで対応出来ることから何とか始めていくしかないのかも知れませんけれども、国民の8割が延命治療を希望していないのにそれを文書化していざという時に備えている人はわずかに1%、半数の人はそもそもリビングウィルを作成する意志もないという調査結果を見るに付け、いい医療が誰でもただ同然で受けられたことが自主的判断力を奪ってきた側面も感じてしまいます。

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2013年10月15日 (火)

大学入試改革で論争勃発

先日以来大学入試センター試験の改革ということが繰り返し話題になっていて、センター試験を廃止して高校在学中に複数回の到達度評価試験を入れようだとか、一点刻みの評価ではなくもっと緩い階層化評価だけにしようだとか色々とアイデアが出ているようです。
ゆとり教育というものの反動が社会問題化している中でまたぞろこういう話が出てくることに色々と思うところがある方々も少なくないのではないかと想像するのですが、この一発勝負方式の廃止には高校生の学力低下対策と言う側面もあるようで、少子化による大学全入時代にあって単に受験テクニックを磨くだけでなく、全般的な考える力を鍛えた学生を評価したいという発想が根底にあると言います。
そうした考え方をどう制度に反映させるかは非常に大変な問題だと思いますが、今やセンター試験のみならず大学入試全般を改革するという流れになってきていて、先日は本当かどうか二次試験で学力試験はやめて全部面接にしよう、などというびっくり報道も出ていたようですね。

大学入試:国公立大、2次の学力試験廃止 人物重視、面接や論文に−−教育再生会議検討(2013年10月11日毎日新聞)

 政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、国公立大入試の2次試験から「1点刻みで採点する教科型ペーパー試験」を原則廃止する方向で検討することが分かった。同会議の大学入試改革原案では、1次試験で大学入試センター試験を基にした新テストを創設。結果を点数グループでランク分けして学力水準の目安とする考えだ。2次試験からペーパー試験を廃し、面接など「人物評価」を重視することで、各大学に抜本的な入試改革を強く促す狙いがある。実行する大学には補助金などで財政支援する方針だ。【福田隆、三木陽介】

 同会議のメンバーである下村博文文部科学相が、毎日新聞の単独インタビューで明らかにした。

 同会議は「知識偏重」と批判される現在の入試を見直し、センター試験を衣替えした複数回受験可能な新しい大学入学試験と、高校在学中に基礎学力を測る到達度試験の二つの新テストを創設し、大規模な教育改革を進めようとしている。11日の会合から、本格的な議論に入る。

 下村文科相は「学力一辺倒の一発勝負、1点差勝負の試験を変える時だ」とし、新テスト創設の必要性を強調。さらに、大学ごとに実施する2次試験について「大学の判断だが(同会議では)2回もペーパーテストをしないで済むよう考えたい」「暗記・記憶中心の入試を2回も課す必要はない」と述べた。私立大も新テストを活用するのであれば、同様の対応を求める方針だ。

 同会議の改革原案では、各大学がアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)に基づき多面的・総合的に判断する入試を行うよう求めている。だが、面接や論文、課外活動の評価を重視する新しい2次試験では、従来のペーパー試験に比べ、人手など膨大なコストが発生する。下村文科相は「改革を進める大学には、補助金などでバックアップしたい」と述べ、国が費用面で支援する考えを示した。

文科相「学力試験否定せず」 大学入試での廃止検討に(2013年10月11日47ニュース)

 下村博文文部科学相は11日の記者会見で、政府の教育再生実行会議が国公立大入試の2次試験で学力試験の原則廃止を検討するとの一部報道に関し「学力テストを否定しているわけではない。学問の府だから(試験を実施するのは)当然」と述べ、一律に廃止する考えはないと明らかにした。

 ただ、「学力一辺倒の試験で良いのかが問われている。各大学は時代の変化に対応した入試改革に取り組んでほしい」と注文を付けた。

 具体的な入試の在り方は「高校時代のリーダーシップを発揮した活動やボランティア活動など、学力以外でも総合的に判断する必要がある」と語り、面接や小論文重視の必要性をあらためて強調した。

センター試験のスタイルも様々な批判もありますけれども、一方では要領が良くいわゆる地頭がいい学生は効率的に高得点を取れるという評価もあって、医学部などとにかく入学後に覚えることが沢山ある学部においては必ずしもあれも馬鹿にしたものではないという意見もあるようですね。
一方で大学にもいろいろな大学がある以上、当然ながら例えばスポーツ推薦入学のように学力以外の面での評価が主体というところもあるわけですから、中にはそれこそリーダーシップの有無や対人関係の上手下手など学力以外の部分を期待されているところもあるやも知れず、そうした場合に入試の選抜を単なる学力試験の点数で行うのはおかしいという考え方は理解できます。
要するに学力試験が悪い、いやあれもいいところがあるんだと言った議論単独では無意味で、大学なり学部なりそれぞれにおいて必要とされる能力、資質を適切に選抜出来ているかどうかの方が重要であるはずなんですが、どうも世の中にはどうしても方法論単独の議論に落とし込みたい方々が一定数いらっしゃるようです。

「面接苦手な人は大学に入れなくなる」 国公立大学入試の「人物重視」に猛反発(2013年10月11日J-CASTニュース)

   「知識偏重型」から「人物重視」へと国公立大学入試が大きく舵を切る。
   政府の教育再生会議が2次試験について、ペーパー型入試試験の廃止を検討していると毎日新聞などが報じた。その後、下村博文文部科学相は一律に廃止するわけではないと明らかにしたが、ネットでは大学関係者や知識人らが、「大学入試が就職活動と同じになる」「勉強できても面接が下手だと落ちるのか」などと猛反発している。

「端的に言ってしまえば大学入試も就活と同じになる」

   毎日新聞によると、会議の大学入試改革案は、第1段階として大学入試センター試験をベースにした新テストを設ける。1点刻みではなく何段階かでランク分けをして、大学はこの結果をもとに学力到達度を判断する。2次試験からはペーパー試験だけでなく、面接や論文、ボランティア活動や部活などで「人物評価」をするという内容だ。
   ウェブに公開されている同会議の配布資料には、
    「従来の一定の学力レベルを測る試験と同時に、小論文、面接等の手段で、何を学びたいのか、何を成し遂げたいのかといった子どもたちの『志』を問うべき。大学は、その志を受け取って熟慮し、その『人となり』を総合的に評価し、その志をいかに支援できるか、大学でいかに育成できるか検討して、入学の可否を判断するような入試をすべき
などの意見が書かれている。

   しかし、こうした「人物評価」重視への入試改革案にネットでは反発の声が大きい。就職活動のように面接の印象で大きく判断され、学力は優秀だが面接が不得意な人には不利になるといった批判だ。
   帯広畜産大学・人間科学研究部門の渡邊芳之教授は、「端的に言ってしまえば大学入試も就活と同じになる。面接苦手な人は大学に入れなくなる,ということだ」とツイートした。ジャーナリストの江川紹子さんも「人物重視?企業の入社面接じゃあるまいし…と思ったが、要は大学を産業界の研修所と位置づけ、入試を就活の第一関門とする発想だにゃ」とツイートしている。
   また、高崎経済大学・経済学部准教授の國分功一郎さんは、
    「大学に入るために子どもたちが教師の顔色を伺うようになり、社会から安易な仕方で認められるように『ボランティア』をする。そんなおぞましい社会にしてはならない」
と主張している。

代ゼミ「コストがかかりすぎて現実的ではない」

   入試改革案について大学受験予備校はどう見ているのか。代々木ゼミナールの広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対して、従来のペーパーテストは受験生の学習量がそのまま結果に反映されるというメリットがあるとした上で、「大学が志願者全員の小論文や面接を見るには、コストがかかりすぎて現実的ではない」と指摘した。
   一方、ベネッセ教育総合研究所・高等教育研究室コンサルタントの村山和生さんは、
    「改革の方向性として、必ずしも就職活動のようにプレゼンスキルの高い人が有利になるわけではないのでは。小論文や面接を通じて教科外でどのような学びを積み上げてきたかも見るはずだ」
と話し、受験生の「中身」が評価されるとの見方だ。

しかし一昔前には「学力だけで人間性も判るのか」と言い、特に医学部などでは面接による適正判定をもっと重視すべきだと言う声が大きかったようにも記憶しておりますけれども、いざ面接重視という話が出たとたんに今度は「面接技能ばかり重視するのは不公平だ」と言い出すのでは一体何が何やらというものですよね。
大学・学部によっては「うちはひたすら数式を読み解く能力さえあればいい」と言うケースもあるでしょうからもちろん全てを同じやり方でやるのは無理でしょうが、やはり空気を読むという能力は社会的生活を送る上で最も重要視されるべきスキルであって、ほとんどの場合に一定程度の面接対応能力すらない方々は社会生活を送るスキルに欠けていると評価されるのはある程度妥当ではないかと思います。
そして大多数の学生にとって大学とはやはり現実的によりよい(評価される)社会人としての地位を手にするための手段であるという現実を考えると、社会人として求められる能力と全く無関係に大学入試を方向付けするよりはある程度共通の方向性があった方が、数年後にこれら学生を引き受けることになる企業にとってはありがたいのでは?という考え方も出来るでしょうね。

一方では先日おもしろいデータが出ていたのですが、学力試験を受ける一般入試で入学した学生と学力試験ではなく面接による推薦、AO入試で入学した学生とで就職内定率を比べたところ、一般入試の学生の方が内定率が高かったという調査結果があって、一見すると面接重視の入試など全く企業の求める人材の選抜には役に立ってないじゃないかとも受け取れる結果です。
ただ企業の側から見るとこれもまた当然とも思えるところがあって、推薦でさっさと入学を決めてしまった学生よりも最後まで一点でも多く取ってやろうと死にものぐるいで努力していた学生の方がいかにもやる気と根性に満ちあふれていそうなイメージがありますから、どうせ取るならそっちの方が潰しが効くんじゃないかと考えたくなるのも人情なんでしょう。
そうなると結局何が正解なのかさっぱり判らないということになってしまいますが、個人的には部下なり後輩なりを選べと言われれば優秀であればそれに超したことはないでしょうが、最低限何事にもちゃんと精一杯頑張るといったやる気があり、なおかつ対人関係もきちんと出来る人間が無難なんじゃないかなと言う気がしますし、そうした人材はどこであれまあ嫌われるというタイプではなさそうですよね。
その意味で多くの企業は体育会系学生を好むなんて聞けばなるほど、厳しい練習に耐える根性もあり先輩後輩の立場をわきまえる礼節もあるという「保証書付き」と言うくらいの意味なんだろうなと何となく納得しますけれども、そう考えると厳しいペーパーテストで一点でも多く稼ぐために塾なり予備校なりでハードな研鑽を積むと言う行為もある意味体育会的ではありますかね。

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2013年10月14日 (月)

今日のぐり:「にっこりうどん 平島店」

先日は一体何がどうなっているのかという、こんな驚きのニュースが出ていました。

迷い犬がハーフマラソン完走、飼い主と再開(2013年10月10日CNN)

(CNN) 米インディアナ州で開かれたハーフマラソン大会に1匹の迷い犬が「参加」し、ランナーと一緒に最後まで走り抜いて話題になっている。

話題の主は茶色いラブラドル犬の「ブギー」。同州エバンズビルで5日に開かれたマラソン大会に紛れ込み、参加者に付いていくうちに、一緒にゴールインしてしまったらしい。

誰の助けも借りず、自力での完走だった。

警察によると、ブギーはその前夜に飼い主と離れ離れになっており、マラソンに参加したのは人恋しかったためかもしれない。沿道のファンにも応援され、ゴールで待っていた係員に保護されて、保護施設に落ち着いた。

警察や観客は、ブギーの飼い主探しを応援しようと交流サイトのフェイスブックに写真を投稿。しかし飼い主は自分の犬がそれほど有名になっているとは知らないまま、たまたまブギーが保護された施設にたどり着いて、無事に再会を果たした。

ブギーはマラソンを完走したご褒美にメダルを贈呈された。

色々な意味で犬すげえと言うしかない話なんですが、飼い主も犬も相当な天然ぶりなんでしょうかねこれは?
本日は無事に再会を果たした両者に祝意を表して、世界中からこれってすごくね?と言ってしまいそうな生き物たちの話題を紹介してみましょう。

ハムスターが15tトラック運転、蛇行しながらも狭い崖道コース上る。(2013年9月17日ナリナリドットコム)

大型トラックを運転するとなれば、資格免許が必要な上に経験も大切で、普通の人が急に乗るのは無理のある話。ところが最近、熟練者でも神経を使いそうな、スペインの採石場にある狭い崖道のコースで、小動物にトラックのハンドルを操らせてゴールを目指す挑戦が行われた。その小動物は、生後6か月のかわいらしいハムスターだ。

挑戦の様子は、9月11日付でYouTubeに投稿された動画「Volvo Trucks - The Hamster Stunt (Live Test 2)」(http://www.youtube.com/watch?v=7N87uxyDQT0)で見ることができる。投稿したのは、自動車メーカーのボルボで、新しく開発した15トントラックのハンドル操作のしやすさをアピールするため、今回の挑戦を行ったそうだ。

そこでチャレンジャーに抜擢にされたのが、英国生まれのハムスター“チャーリー”。動物トレーナーのグレイス・ディッキンソンさんが数週間の訓練を施したという、いわばスタントハムスターだ。スペイン北西部オーレンセの採石場にある道をコースに見立て、チャーリーはドライバーのショーン・ロジャースさんと15トントラックに乗車。一歩間違えば崖下の池に転落するような細い危険な道を、チャーリーがハンドルを操作して、ロジャースさんと用意されたゴールを目指すという挑戦だ。

もちろんハムスターはハンドルを握ることができないので、扇風機の型枠のような回し車を用意。ハンドルに固定したこの中でチャーリーを走らせると、ハンドルが回る仕組みだ。運転席に座るロジャースさんは的確な操作をしてもらうため、文字通りの“小さなにんじん”をチャーリーの顔の前で右へ左へぶら下げて、必要な分だけ走らせてハンドルを回してもらう。つまり人間とハムスターが一心同体にならなければ、無事にゴールできない挑戦なのだ。

そして、始まった挑戦。チャーリーの軽快な走りは、トラックをスムーズに方向転換させており、パワーステアリング性能を存分にアピールできている。ただ、コースを見ながらアクセルとブレーキを踏み、チャーリーをも気遣うロジャースさんはなかなか大変なようで、途中で道幅ギリギリのところまで進んでしまい、接触した岩がはるか下の池に落ちていくハラハラのシーンも。それでも、チャーリーが休むことなく動いてハンドルを回し続けた頑張りもあり、最後は採石場の山の上に用意したゴールに無事たどり着き、挑戦は成功に終わった。

この奇抜な挑戦動画は、欧米メディアで広く紹介されて話題となっており、再生回数も270万回超(9月17日現在)を記録。かわいらしい小さなハムスターが、15トントラックを動かす役割を担うというアイデアが、多くの人を楽しませているようだ。トレーナーのディッキンソンさんも「私たちのスター」と褒め称えたチャーリーの活躍ぶりを、ぜひ一度ご覧になってはいかがだろうか。

そもそも何故にハムスターなのか?という疑問が残るところではありますが、ともかくその圧巻の画像は是非とも参照いただきたいところですよね。
同じく働くネズミ系というくくりでこういうニュースがありますけれども、これまたやはり何故そこでネズミなのか?と思ってしまいそうな話ではあります。

オランダに「ネズミ捜査官」誕生、銃の痕跡かぎ分け(2013年9月6日ロイター)

[アムステルダム 5日 ロイター] - オランダの警察当局は、事件の捜査にドブネズミを採用している。優れた嗅覚を活かし、鑑識官が銃弾の残留物を見つけ出すの手伝うという。

警察の広報担当エド・クラシェフスキー氏は、ネズミは極めて発達した嗅覚を持っているだけなく、警察犬よりも訓練が簡単かつ安価だと説明。「鑑識官が容疑者の手から取った残留物をネズミにかがせれば、そこに銃の痕跡があるかどうか数秒で分かる」としている。

ネズミの嗅覚は、一部の国ではすでに地雷探知で実績を挙げている。

しかし確かに初期投資は安上がりなのかも知れませんが、ネズミの寿命は犬よりもずいぶんと短いと言いますからトータルコスト的にはどうなのでしょうかね?
その犬と言えば世界中で毎日働いているありがたい生き物ですけれども、こちらとんでもない相手を召し捕ったと言う誇らしい?犬のニュースです。

メルケル首相の飛行機の羽でパンツ一丁の麻薬中毒者、踊る(2013年8月23日The Voice of Russia)

  ドイツのアンゲラ・メルケル首相の乗る飛行機にパンツ一丁の麻薬中毒者が乗り込み狂態を演じるという一幕があった。

   その男性はケルン軍用空港の有刺鉄線を越えて滑走路に降り立った。その様子は監視カメラには捉えられていない。男性は政府専用機の屋根に上り、最後の理性がパンツは脱がせなかったが、羽の上で踊り始めた。その後、操縦室に侵入。手当たりしだいにボタンを押しまくり、非常用タラップを作動させ、客室座席付きの消火栓を解放するなど、3時間にわたって狼藉を尽くした後、警察犬に足を咬まれ、ようやく鎮静した。

   後に素性が明らかになった。男性は24歳、ヴォルカン・Tと呼ばれる、トルコ出身のボディビルダー。

   男性は精神病院に送られた。空港の保安職員は、システムの故障によりこのような事件を許してしまった、と釈明している。

いや技術的にはもちろん十分可能なのでしょうが、犬にしても普通咬みたくないだろそんなものは…と思ってしまいそうな相手はいるもので、仕事とは言えご苦労様ですとしか言えない話ですよね…
もちろん犬と言えども仕事一筋というわけではなく遊びも楽しむのは当然ですが、妙にスキルアップを図ってしまうのはここでも共通する傾向であるようです。

ワンちゃん達が見せる華麗な波さばき、米国で犬のサーフィン大会(2013年9月30日AFP)

米カリフォルニア(California)州ハンティントンビーチ(Huntington Beach)で29日、今年で5回目となる、犬たちのサーフィン大会「サーフシティ・サーフドッグ(Surf City Surf Dog)」が開催された。毎年恒例となったこの大会では、華麗に波を乗りこなす犬たちの勇姿を見ることができる。

まさにリンク先の数々の画像によって一目瞭然ということなのですが、しかし乗りこなしもさることながらコスプレ?もなかなかに決まっていますよね。
動物の場合基本的に体の柔軟性は人間より上で体中をなめ回したりしてますけれども、体格的にどうしてもそれが出来ない生き物はどうしているのかという決定的な写真がこちらです。

「キリンの決定的な姿を見てしまった…」思わず2度見をしてしまう決定的な写真(2013年6月30日らばQ)

背中がかゆいときは、手が届きにくいので他人にかいてもらうのが一番です。
「あ、そこそこ…、いや、もっと右、もっと上……」 などとやるのは人間だけではありません。
キリン2頭による決定的な写真をご覧ください。

君たちはいったい!?
確かにキリンが首をかこうとしても届きにくいことは想像がつくので、そう考えるとこの図式も自然と言えば自然かもしれませんが……。
くんずほぐれずな2頭に対する、海外掲示板のコメントをご紹介します。

●きっと秘密のキリン握手クラブなんだ。これでお前もキリンだってのを証明するんだよ。
●そのうち首の長いバカ馬も参加しようとするに違いない。
●五輪のシンクロナイズド・スイミングの練習にも見える。
●「右手に見えますのが2匹のサイが寝ているところでございます。左手に見えますのが2匹のキリンが……ええと気にしないでください、次へまいります……」
●足が7本しか数えられなかった。
●社交ダンスにも見える。
●どう見てもキリンのカーマ・スート…(略)。
●「フランク、どう考えてもこの姿勢が出来るとは思えないわ」
 「スー、黙ってもっとオレの首を押すんだ!」
●「そこにぼんやり立ってないで、さっさと写真を撮ってくれ」
(略)

驚きの写真とともに実は…という種明かしは元記事を参照いただければと思いますけれども、いずれにしてもこれは何とも奇妙な生態と言うしかありませんね。
同じく海の中で暮らす生き物たちはどうやって眠るのか?という永遠の謎がありますけれども、鯨たちはこんな風にして寝ているのだという衝撃の画像が公開されています。

これには驚いた!「クジラが寝るときはこんな姿勢」という写真(2013年8月6日らばQ)

どんな風に寝るかは動物ごとに異なりますが、クジラがどうやって寝るかご存じでしょうか?
「クジラってこんな風に寝てたの!?」と、海外サイトで驚かれていた写真をご紹介します。
何とこんな風に縦になって寝るのです!
(略)
クジラの寝方に対する、海外掲示板のコメントをご紹介します。

●クジラの寝方なんて考えたこともなかったな。水面から酸素が必要だから、これが沈んで無呼吸になるときの寝方の方式なんだろうな。
●実際は脳は半分しか眠らせないらしいよ。呼吸のためと敵から身を守るためだ。
●クジラにどんな敵がいるって言うんだ。
●↑人間だよ。
●要は起きているときには水平に、寝ているときは垂直になっているということで、人間と逆だ。
●↑ついでに我々は水中じゃないしね。
●↑クジラでもないしね。
●ちょっと気味が悪い感じ。
●クジラは、夢を見ているときのあの落ちる感覚を味わったり、空を飛ぶような感覚を味わったり、いきなり目覚めて怖くなったり、恥ずかしくなったりするのだろうか。
●↑落ちる、はないだろうな。
●ピクルスみたいに見える。
●宇宙人と通信しているみたいだ。
●クジラは立ったまま起きるのか。

人間とちょうど逆というのも面白いですね。
海の中の生物もいろいろ知ることはまだまだあるようです。

これまた衝撃の真相は元記事の画像を参照いただきたいと思いますけれども、水中でこんな光景に遭遇してしまったらびっくりするどころじゃありませんね…
最後に取り上げますのは今や競争などにしか使われないかと思われていたあの生き物ですが、実はこんなにもすごかったというニュースです。

南アフリカではデータをハトで運ぶ方がインターネットより速かった…IT企業が実験(2013年10月9日らばQ)

日本ではインターネットのブロードバンド回線が当たり前になりましたが、世界では名の知れた都市でもまだまだスピードの遅い地域が多いようです。
インターネットの遅さに悩まされている南アフリカのIT企業が、伝書鳩とネット回線のどちらが速いのか、80km離れた距離で実験してみたそうです。
その結果、ハトのほうがぶっちぎりで速いという結果になりました。

今回の実験で使われた伝書鳩は、11カ月になるウィンストン。
4GBのデータを載せたmicroSDを脚に装着し、ピーターマリッツバーグから海岸都市のダーバンまでを届けさせたところ、移動にかかった時間は1時間8分で、データ転送までを含めた総所要時間は2時間6分57秒でした。
さて、一方のインターネット側ですが、使用したのは国内主要のADSL回線。同じ時間が過ぎた時点でのデータの転送はわずか4%だったそうです。
この実験を行ったIT企業は11の支店を持ち、支店同士でデータのやりとりをすることもあることから、常々回線の遅さを嘆いているとのことです。
アナログ中のアナログとも言える伝書鳩にスピードで負けたとあって、海外掲示板も盛り上がっていました。

●しかし鳥ベースのインターネットは、猫信仰の未来からするときっと悪いニュースだ。
●↑ハト信仰だって必要だ。
●↑カナダの自分も、ダウンロード速度は60~80kbpsが平均だ。しかもそれほど田舎でもないところで。
●↑それはひどいな。Google Fiber(アメリカで実施されている実験的なブロードバンドプロジェクト)がキリストのように思えてきた。全く何もないないところに救世主がやってくるような希望だ。
●ハトだと配達の遅延がひどそうだ。
●荷物を落とすとか。
●糞とか。
●「テープのバックアップをいっぱい積んだステーションワゴンの帯域を過小評価してはいけない」ということわざがあったな。
●少なくともハト・ネットワークが途中で攻撃されると高くつく上に目立つ。
●↑何百万も飛ぶようになれば一羽くらい途中で遮られても誰にも気づかれない。
●でもこれはいろんなものがネットより速いことを適用できるよ。40TB/sの速度のISPなんて聞いたことがないが、HDDをリュックにつめて移動すれば済む。

数十GBもあるゲームをダウンロード販売するほどインターネットも速くなりましたが、それはあくまでネット環境に恵まれたところでの話。
日本のようなネット環境は、海外の多くの地域から羨望されているようです。

もちろんサイズや信頼性など様々な要素が絡み合っている話ですけれども、こうした話を聞くと「またネットが落ちてる」と嘆いている暇があったら電話とファックスを使えという話を思い出しますね。
ちなみに鳩便を実用化するにあたっても外部からの不正な干渉に注意しなければなりませんが、セキュリティー面での比較検討も同時に行ってみればより意義深いデータになったかも知れませんね。

今日のぐり:「にっこりうどん 平島店」

岡山市から東へ東へと進んだところ、渋滞の名所として有名な同市郊外平島交差点界隈には郊外型の大型店舗が並んでいますが、その一つ夢タウンの一階にあるのがこちらのお店です。
看板では本格讃岐うどんと言いつつ更科そばも置いてある、しかもきしめんも丼もあるという「どこが本格讃岐だ」と思わず突っ込みたくなるようなお店なのですが、まあうどんが讃岐風ということなんでしょうね。
一見普通の讃岐風セルフに見えてオーダーを通すとフロア係が席まで運んでくれるという意外性も思わず突っ込みを入れたくなるんですが、こうしたお店である結果として意外性のあるメニューも多いようでちょっと迷いますね。

メインは敢えてうどんではなく冷たいきしめんぶっかけにしてみたのですが、見た目はまさにきしめんに変えただけのぶっかけと言ったところで、ぴらぴらくにゅくにゅとしたきしめんの食感はおもしろいと思います。
つゆはよくいえば香川スタイルのぶっかけによくあるあっさり薄味風なんですが、讃岐と言う割に煮干しがさほど効いていないこともあって、何か市販の某社製ぶっかけつゆみたいな特徴のない味ですよね。
それとあまり普段じゃ気にならないんですが、トッピングの揚げたまが妙にうまくないのが気になりましたが、きしめん自体は可能性を感じさせられましたし釜玉とか岡山風のぶっかけのような濃厚系の味ならもっと合うんだろうなと感じました。
サイドメニューにオーダーしたのがげそ天丼なんですが、よくあるタレに絡めて飯に載せたというものではなくカットしたげそ天でカツ丼風に仕立てたというスタイルでよくいえば家庭的と言うのでしょうか、これまたよくある家庭向け合わせ出汁っぽい味で妙にお店の雰囲気にマッチしていると言えなくもありません。
げそ天自体はカツに比べるとややくせがあるしスパイスも強め、食感が硬すぎるのも微妙な感じでこの汁の味にも馴染みませんから卵とじよりも、オーソドックスな甘辛天丼スタイルあるいはソースカツ丼っぽくしてもいいのかなと感じました。

全体的な味としてはいかにもショッピングセンターのフードコートといった見た目通りのものなんですが、他にも幾つかアイデア的にはおもしろそうなメニューはあるだけにもう少し調理過程にもこだわっていただけるとなおよかったという感じでしょうか。
こうした場所の小さな店舗なので設備面は限られていますが比較的小綺麗にはしてある方で、接遇面では妙にゆるいというのでしょうか、今時珍しいほどのんびりしたもので多少の不手際もありますがまあこんなものかという気にはなりますね。

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2013年10月13日 (日)

今日のぐり:「すし丸児島店」&「すし遊館 新倉敷店」

先日こういうニュースが出ていたのですが、皆さんご覧になりましたでしょうか?

高齢者向け売春クラブ経営者逮捕 「茶飲み友達」と仲介、82歳女性も(2013年10月8日産経新聞)

 警視庁保安課は8日までに、高齢男性に売春をあっせんしたとして、売春防止法違反の疑いで、東京都葛飾区新小岩、売春クラブ経営、黒田清英容疑者(70)を逮捕した。

 保安課によると、黒田容疑者は約10年前から「茶飲み友達紹介 40歳~熟年」などとうたった新聞広告を出し、応募してきた男女を会員として登録。会員同士の売春を仲介し、紹介料などの名目で約3千万円を売り上げたとみられる。

 会員は男性が約千人で、平均年齢は65歳前後。女性は約350人、平均60歳前後で、中には82歳の女性もいた。

 逮捕容疑は今年8月と9月、男性会社員(67)らの依頼で、女性会員(65)らを東京都内の喫茶店などで引き合わせ、売春をあっせんした疑い。

しかし熟女だ美魔女だと今の世の中成熟した女性が人気だとは聞いていましたが、何にしろ守備範囲が広いということは幸せになれるチャンスもまた増やしてくれるということなんでしょうかね。
今日は世の中どれほど多種多様な趣味があるかということを示す様々なニュースを取り上げてみたいと思いますが、まずは究極の愛の形とも言えるこちらの記事から行ってみましょう。

【海外:ウクライナ】線路で性行為していたカップルが電車にひかれ、女性は死亡、男性は両足を失う(2013年10月1日日刊テラフォー)

土曜の朝、ウクライナ南部ザポリージャで、スリルを求めたカップルが悲劇に見舞われた。帰宅途中に線路に立ち寄り、愛を確かめ合っていたところを電車にはねられた。
これにより、30代と思われる女性は死亡し、41歳の男性は両足を失った。

ウクライナ内務省は、カップルは、歩いて帰宅する途中で、自然の情熱を抑えきれなくなったことが原因で、事故が発生したと発表した。

当局の報告によると、カップルは線路のすぐ横で行為を行うことで、極上の快感を味わいたかったのだと言う。
だが、極上の快感を求め続けるあまり、2人は線路を走って来た電車から逃げ遅れてしまった。

Yohoo!7の報道によると、この時、2人はパーティからの帰り道で、酔っていたらしい。

悲劇が起こったザポリージャの街は、ウクライナで6番目に大きな都市で、人口は77万。数時間に1本しか電車がこないような田舎ではないので、いくら酔っても、線路にいたら電車が来ることは分っていたはずだ。

酔いが2人を猟奇的な愛の行為へと導いたのか、はたまた、元々そういう嗜好のカップルだったのかは不明だが、愛の絶頂が一瞬にして不幸のどん底へと変わってしまった。
両足を失いつつも生き残った男性は、事件の状況を関係者に話している。

どんなに愛し合っていても、いや、愛し合っているからこそ、無謀で危険な行為は避けるべきだ。

それがどのようなものであったのかは当事者以外には判りませんけれども、まさしくこれは「死ぬまで愛して」しまったということなんでしょうかね。
いわゆる異種性愛というものも様々なバリエーションがありますが、いささかその状況に問題があったのでは?との疑念も持たれているのがこちらの事件です。

意識不明雌牛の性器にココナツ油塗りレイプ(2013年9月30日日刊スポーツ)

 インドの50代男性が、列車にひかれた雌牛をレイプし、暴行罪で逮捕された。30日付の電子新聞「インターナショナル・ビジネス・タイムス」英国版などによると、ムット容疑者は9月15日夜、同国南部タミル・ナードゥ州の鉄道の駅で、列車にひかれて重傷を負った4歳の雌牛を発見。意識不明の雌牛の性器にココナツ油を塗り、自身のペニスを挿入したという。

 民間動物福祉団体「ブルー・クロス・オブ・インディア」(BCI)が同日午後8時半ごろ、雌牛が列車にひかれたという報告を受けた。鉄道警察と調整し、スタッフが午後10時50分ごろに現場に到着すると、同容疑者が雌牛に寄り添っているのが見えた。その場から逃げた同容疑者を捕まえ、警察に通報。同容疑者は暴行の事実を認め、謝罪し、「逃がしてくれ」と頼んだという。

 雌牛は動物病院に運ばれ、背骨や数本の足を骨折し、内臓の損傷も激しいことが分かった。レイプされた痕跡もあったという。翌16日夜に死んだ。BCIはインターネットのフェイスブックでこの事件を詳報。「人間も動物も、生きる権利と、尊厳を保ちながら命を終える権利がある」などと書き込み、動けない雌牛に対する性的暴行を強く非難した。

まあ、何と言うのでしょうか…とりあえずは人であれ動物であれ最低限きちんとした手順と相手の合意なしに事を進めてはいけないということなんでしょうかね…
俗に三大欲求などと言いますけれども、性愛以外の欲求もまた極限的なものとなるとこれも一つの性愛と言える?のがこちらのニュースです。

【海外:奇病】愛し合っている時も食欲が止まらない!シトフィリア(食物性愛)(2013年10月8日日刊テラフォー)

超肥満体型のサミー・マシューズさんは、食べ物により異常に興奮してしまう特殊な症状を持っており、セックスの間中、ドーナツを貪り食べるほど、その症状は強烈だ。

アメリカ・ラスベガス在住で2児の母でもあるサミーさんは、体重が177.8㎏もある。これだけでも十分大問題だが、サミーさんをもっと苦しめているのは、シトフィリア(食物性愛)という精神障害だ。
シトフィリアとは、食べ物や飲み物を食べる行為、もしくはそれを体に添付する行為に性的興奮を覚える症状だ。

もちろん、中には“性的嗜好”として、こうした行為が好きな人もいるだろうが、それが度を越えている場合、精神障害として診断される。
具体的には、本人が自分の性的嗜好に対して心理的な葛藤や苦痛を感じ、周囲の人々へも支障をきたし、日常生活を送ることが困難である場合に、その性的嗜好は単なる個人的な嗜好ではなく、精神障害と診断される。

サミーさんの場合は、ケーキや甘味に異常に性的興奮を掻き立てられる。パン屋やケーキ屋が視界に入っただけで興奮してしまい、喘ぎ声が漏れてしまう。
実際、サミーさんがここまで太ったのもこの性的倒錯が原因で、元は普通の体型だったのに、あっという間に激太りしてしまったのだ。

世の中には、デブ専と呼ばれる性的嗜好もあり、ケーキを貪り食う太ったサミーさんを美しいと感じる人もいるかもしれないが、だから良いという問題ではない。
精神疾患であるだけに、容易に完治できる症状ではなく、また、周囲からも理解され難いのが辛いところだ。

アメリカ人を見ていますとどこまでを正常と解釈すべきか中々に微妙なものがあるのですけれども、中にはこうした特殊性愛の持ち主も混在していらっしゃるということなんでしょうかね。
ご存知ブリではジャガイモ等性的多様性に関して少々のことでは驚きませんけれども、こちらは救急隊もさすがに驚いたとか驚かないとか言う話もあるニュースです。

【海外:イギリス】感動の救出劇!?救急隊が男性のアレをトースターから救い出す!(2013年10月9日日刊テラフォー)

イギリス・ロンドンで、救急隊がトースターにペ○スを挟んで痛みもだえ苦しむ男性を救出した。

一体この男性に何が起こり、どうしてペ○スがトーストに挟まる事態に陥ったのは不明だが、ともかく、ロンドンの優秀な救急隊が直ぐに駆けつけ、男性の大事なモノは一命を取りとめた。

「とんだ珍事件」と思うのはまだ早い。昨年大ヒットしたSM官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を真似した結果なのか、ロンドンの救急隊たちが遭遇した飽きられたエロ現場は、これだけではない。

ペ○スを掃除機のホースの中に詰まらせた男性を救ったかと思えば、SMプレイをしていて手錠が外れなくなった男女を救い出した件数は過去3年間で79件に上る。ペ○スにはめた指輪が抜けなくなった人が9人もいたし、何かにはまって抜けなくなった通報は、1,300件に上る。

こうした現場への出動にも、最低290ポンド(約45,000円)の税金が使われる。
「こうした事故は、少しの常識があれば、十分に防ぐことができる事故です。
これがフィフティ・シェイズ・オブ・グレイの影響なのかは分かりませんが、手錠が抜けなくなった、というような事故は増加しています。彼らは、救急隊が現場に到着した途端に、(恥ずかしさで)フィフティ・シェイズ・オブ・<del>グレイ</del>レッドになったことは間違いありませんが。」
と、救急隊は憤っている。

常識も何もかもかなぐり捨てて快楽を求めた結果が、赤面の救出劇では、折角の快楽もどこかへ吹っ飛んでしまっただろうに。
救急隊の言う通り、快楽を求めるのにも少しの常識を持ち合わせていた方が良さそうだ。

いやブリに向かって「少しの常識があれば」などとはひどく間違った要求と言うしかありませんが、それにしても本当にどんなカーテンを用意すればそんなところに挟まるなんてことが起こるのか謎ですよねえ…
最後に取り上げますのも同じくブリからの話題ですけれども、こちらも日本的な常識とはいささかファウルラインの角度を異にする彼の国らしい新番組の話題です。

英国 生放送でセックス(2013年9月26日The Voice of Russia)

   英国のテレビ「Channel 4」では、10月7日から新番組「Sex Box」がスタートする。この番組では、招待されたカップルが、スタジオに設置されたボックスの中で放送中にセックスをする。

   1回目の番組には、男女のカップルとゲイのカップルが参加する。番組製作者によると、雑誌、インターネット、映画などで描かれているセックスではなく、「本物のセックス」について視聴者と話し合いたいという。

   そのためにカップルが招かれ、防音が施された内側が見えないボックスの中でセックスをしたあと、心理学者や性科学者たちと、経験について話し合う。

   第1回目の放送には、男女のカップル3組と、ゲイのカップル1組が登場する。

百歩譲ってそういう企画の存在自体は認めるにしても、何故第一回目からそこまでハードルを上げるのかというのが本当にブリ流ですよねえ…
もっともハードルが高いと感じてしまうのは日本人だけで、彼の地においてはむしろそれが正常ということなのかも知れませんが。

今日のぐり その一:「すし丸児島店」

児島市街地から少し外れかけたあたり、やたらと濃厚なスープで有名なラーメンチェーン店の近所にあるこちらのお店、なんでもビールをつぐ達人がいるんだそうですが、しかし回転寿司でどんどんビールを飲んでいる人と言うのもそう多くは見たことがない気もしますがどうなんでしょう?
それはさておき入ってすぐの持ち帰り用スペース兼待合室が結構広いのが特徴と言えますが、しかし食事時を外しつつある時間帯で店内はほぼガラ空きなのに席待ちとはどういうことなのか?と少なからず不思議な気もします。

例によって同行者とシェアしながら軽めにつまんでみたのですが、定番のイワシは味はごく普通なんですがなんなんでしょう、半解凍みたいな独特な食感が少し気になりました。
同じく定番の煮穴子は回転にしてはアナゴっぽいほうなんですが、やはりこういう甘すぎる煮詰めはちょっと苦手ですね。
鉄火巻きは細巻き中巻、そして手巻きもあるというのがおもしろいのですが、細巻きについてはさすがに百円系ほどにはマグロをケチってないんですが、脂の味ばかりでマグロらしい味がないのは同じでしょうか。
回転らしいメニューとしてエビアボカドの天ぷら巻きなるものがあったので試してみましたが、意外だったのは天ぷらを巻いたのでなくエビ巻き寿司を天ぷらにしてあるとは意表を突かれずにはいられないのはいいとして、中身はいわゆるサラダ巻き系にほぼ近い感じですが普通の表巻きだと海苔がちょっと硬いかなという気もしますから、裏巻きの方がいいかも知れませんね。
その裏巻きの定番であるサーモンロールなどはもちろんうまいのはうまいんですが、よく言えば渾然一体とは言えやはりネタとしてのサーモンの味はよくわからないですね。
サラダ巻はよくある軍艦かと思ったら錦糸巻きというもので、これももっと中身がたっぷりならいいんですがほとんどシャリの味とレタスの食感のみが印象に残りました。

メニューに写真が無く文字情報だけで、しかもほとんど回転していないので一体どんなものが出てくるのかという意外性はあるのですが、まあ一般的にはちょっと不親切という気はしますね。
そのネタがほとんど回ってないせいもあってか不足がちなフロア係が配膳に手を取られているようで、もともと対面のオープンキッチンでもないためレスポンスはよくないんですが忘れたことに届くという感じですし、やはり価格帯的にもオープンキッチンにしていただきたいと思うのですが、どうも垣間見た限りでは厨房のスタッフも不足がちであるようですね。
トイレなども設備面は及第なんですがスペース的に無理矢理押し込んだ感が半端ない構造で、最初からこういう設計ならダメだし改装店舗にしてもちょっとこれは…と思ってしまいます。
しかし今までこのチェーンの他店に行った時にはそんなに悪印象なかったんですが、ここは何か妙に気分が乗らないと言うのでしょうか、締めの玉子もとらないまま店を後にしてしまいました。

今日のぐりその二:「すし遊館 新倉敷店」

こちら新倉敷駅近所にある回転寿司のお店ですが、近隣にさしたる競合店がないためもあってかいつも満席という印象で、今回も見ていましたら大きな観光バスで乗り付けてぞろぞろと降りてくる人達までいるのは驚きましたね。
店内に入っても満席なのは変わらず、かつ持ち帰りも多数利用があるようで近隣他店にとってはなかなかに手強いんじゃないかと思いますけれども、幸いにも早めに席につけたので軽くつまんでみました。

まずは本日のおすすめから幾つか見繕ってみたのですが、季節ネタの生さんまはなかなか立派なさんまでそれなりにいけますし、しめさばは酢が強いのは苦手なのですがこちらは締め加減が強すぎず生に近いのがいい感じです。
塩すだち三昧なるものは鯛にほたて、いかと言う微妙な組み合わせなんですが、鯛については確かに甘さを引き出す塩がいけるなと思うのですがホタテはちょっとわさびが強すぎでしたかね。
白身三昧の方はエンガワはさすがに100円系よりは味があり、ヒラメはまあ普通には食べられる水準ですが正直ふぐは…やはり回転ではあまり原価の高いネタを選ばない方がいいように思います。
こちらの玉子は甘すぎずほんのり卵味というもので悪くないと思いますが、同じようにオーダーしても暖かかったり冷たかったりするのは特に提供温度を決めているわけではないのでしょうかね。

全般にはシャリの味は好みの方だしネタもまあまあで相対的には確かに周辺他店より味はいい方かなと思うのですが、それでもこれだけお客が入るのは競合店が少ないと言うことがどれだけ影響しているのかで、仮にスシローあたりが出店したらどうなるか見てみたい気もしますね。
しかしこちらのお店も回転なのにネタがほとんど回ってないのはどう考えるべきかなんですが、確かに今時は皆オーダーすることが多いですから仕方ないのですが先に書いたような利便性ももちろん見栄え的にも寂しい感じもしますので、ここに限らずいっそ見本の蝋細工などを回してみてもいいのかも知れませんね。

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2013年10月12日 (土)

薬通販問題 ゼロリスク追及は意味があることなのか?

ネット通販大手のアマゾンが今月中にも薬のネット販売を開始すると表明したことを受けて改めて注目が集まっている薬通販問題ですが、今年の最高裁判決で規制は憲法違反だとの判決が確定したことで一気に規制緩和が進んでいるかと思いきや、逆に政府筋では無制限な拡大に対して新たな規制を求める意見が出ているとのことです。

薬ネット販売、28品目は代理購入禁止 厚労省有識者会議提言(2013年10月8日日本経済新聞)

 一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売に関し、一部28品目の安全性を検証する厚生労働省の有識者会議が8日、提言をまとめた。頭痛薬「ロキソニンS」などは代理購入を禁止するなど、慎重に販売すべきだとした。厚労省は同品目のネット販売を規制する方向で調整するが、政府内ではあくまで全面解禁すべきだとの声が強く、決着は難航している。

 28品目は医師が処方する医療用医薬品(処方薬)から転用後4年以内の23品目と、成人向けで副作用リスクが高い劇薬の5品目。ネット販売は6月に安倍晋三首相が全面解禁を表明した。ただ、28品目は別途、専門家の意見を聞き、対面とネットを問わず、慎重な販売や使用を促す仕組みを検討するとしていた。

 8日の提言ではネット販売の是非については言及を避けたが、28品目は「本来の大衆薬とは別の医療用に準じたカテゴリーと認識すべきだ」と指摘した。使用者以外の代理人への販売は認めないとした。症状が出ていないのに常備薬として売ることも認めない。劇薬5品目は「購入希望者の挙動も十分、観察する必要がある」とした。

 ネット販売に限定した提言ではないため、症状のある人のために親族などがドラッグストアで代理で購入することは認められなくなる可能性もある。

 厚労省は処方薬から転用後4年以内の大衆薬は対面での発売から4年程度はネット販売を認めず、劇薬5品目は一切認めない方向で政府内で調整する。ただ、政府の規制改革会議などは安全なルールを作った上で、あくまで全面解禁すべきだとの考えだ。政府・与党内でも意見が分かれており、最終決着には安倍首相の政治判断が求められる可能性もある。

 これまで有識者会議の委員は「28品目のネット販売は危険」との意見が大勢を占めていたが、規制改革会議が「ネット販売を規制する前提での議論はおかしい」と反発。8日の提言にはネット販売に限定した考え方は盛り込まれなかった

大衆薬ネット販売、28品目に「本人確認必要」 厚労省会合が提言(2013年10月9日産経新聞)

 一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売で、厚生労働省の専門家会合は8日、医療用から大衆薬に転用されてから原則4年未満の「スイッチ直後品」など28品目について、「大量に、簡便に購入できる形での流通は避けるべきだ」とする報告書をまとめた。使用者本人以外への販売は認めず、購入時の個数制限を設けることなどが提言された。

 厚労省は提言を踏まえ、28品目の適切な販売方法を検討し、15日召集の臨時国会に関連法案を提出する方針。ネット販売のみならず、薬局などの店舗販売時にも、薬剤師による本人確認が必要となるなど、新たな規制強化が進みそうだ。

 報告書によると、規制強化の対象となるのは、スイッチ直後品23品目と劇薬5品目。会合ではスイッチ直後品について「(医師らによる)厳格な管理から外れた直後であり、(使い方によっては)新たな健康被害、有害事象が発現する恐れがある」と指摘。薬剤師の説明を加えた上での本人への販売が望ましく、家族も含めた代理人による購入や症状が出ていない時点での常備薬としての購入は「認めるべきではない」とした。

もちろんこれらの規制「強化」はまだ試案というにも至らない検討レベルの話ですけれども、運用レベルでも先日は大手サイトであるヤフーで安く売られていた薬が期限切れのものだった、しかも業者は薬局薬店としての認可も受けていなかったという問題が明るみに出たことで騒動に発展するなど、今まで以上に厳しいチェックが入るようになっているようですね。
薬というものは同じ口から入る食品などと比べても特定成分が高濃度で濃縮されているだけに激烈な副作用を来す可能性もあって、どこの誰が作っているとも判らない怪しい秘薬の類にうかつに手を出して健康被害が出たといった自業自得な話もよく聞きますけれども、ネット通販に関しては販売者の実態が直接見えないだけにやはりきちんとした業者かどうかも問題になってきます。
よくあることですが薬に限らず昨今ネットオークションなどを利用して得体の知れない業者が半ば詐欺のような売り逃げめいたことをやっているケースがままある訳ですから、薬通販の全面解禁ともなればその裏返しとして売る側にも最低限の資格認証というものはどうしても避けて通れないのかなと言う気はしますね。
そして国の規制論を見ていますと作用が強い一類など元処方薬ばかりが問題になっているように見えますが、例えば肝臓にいいと根強い人気の生薬系市販薬なども逆に激烈な肝障害を来すことが以前から知られているように作用の強さと副作用の強さはまた別問題であって、まずは議論の大前提として市販薬においても副作用をきっちりと把握しエヴィデンスに基づいてのリスクマネージメントを行うことが必要ではないかと思います。

ただそれとこれと薬通販の是非と言う問題とはまた違った話で、一部の方々は薬剤師による対面販売こそ安心安全なんだと主張されていますけれども、実店舗での薬剤師の関与の仕方を見ていますととてもまともな専門職の仕事ぶりではないと思わされる場合が少なからずあって、また薬剤師の勤務時間外になれば売ってくれないという実店舗への不満の解消も十分ではありませんよね。
仮に対面販売で毎回薬剤師がきちんと専門職としての仕事を果たしていたとして、敢えて保険も使えて安価な処方薬ではなく割高なOTC薬を求める層がそうした面倒な手順を求められるお店を利用したがるかという問題もありますから、何故利用者がネット通販を利用したがるのかという理由から考えず「かくあるべし」論に終始していたのでは実効性のある安全対策は取れず単なる既得権益擁護だろうと言われてしまうでしょう。
実のところそうしたお手軽に自由に薬を使いたいという顧客こそ販売形態に関わらず副作用リスクも高いと言うのは処方薬の世界でも全く同じことで、「診察なんていいからさっさと薬だけ出して」などと言う初診患者は要注意というのが常識ですが、そうしたハイリスク顧客に関連して先日こんなおもしろい記事が出ていましたので紹介してみましょう。

病歴を伝えそびれたために生じた副作用は、患者の自己責任?(2013年10月10日日経メディカル)

(略)
ウェブ画面上でのやり取りは医療になじむか?
 9月11日、「一般用医薬品の新たな販売ルール策定作業グループ」の第3回会合でのこと。この日は、厚労省が提示した新ルールのたたき台に沿って、メンバーからの意見聴取が行われていた。

 現状、第1類医薬品を販売する際は、薬剤師が書面を用いて適正使用のために必要な情報提供を行うことが、薬事法で義務付けられている。日本薬剤師会が作成した「一般用医薬品販売の手引き」では、これに加えて、薬剤師が購入者から症状などを聞き取った上で、適切な医薬品を選んだり、必要に応じて受診勧奨を行うことを推奨している。新たなルールづくりの議論では、この流れをネット販売、つまりウェブ画面の表示や電子メールによるやり取りによって、どのように実現させるかが争点となった(遠隔医療のように、ネット販売においてテレビ電話を使用させるという厚労省案は、推進派の反発により早々に姿を消した)。

 厚労省のたたき台では、第1類医薬品のネット販売においては、(1)購入者(使用者)が薬剤師に対し、症状や副作用歴、既往歴、医療機関の受診歴などを伝える、(2)薬剤師が使用者の状態に応じて、個別に情報提供(必要に応じて受診勧奨)を行う(自動応対・自動返信は不可)、(3)購入者が「情報提供を受けて理解した」旨を薬剤師に伝える――という、“1往復半”のやり取りを義務付けることが提案された。

 ここで揉めたのは、“1往復半”のやり取りの必要性について。ネット販売推進派である楽天副社長で新経済連盟顧問の國重惇史氏は、「特に問題がない場合は、(3)のステップは不要ではないか」と主張したのに対し、ネット販売慎重派である日本薬剤師会常務理事の藤原英憲氏と日本チェーンドラッグストア協会理事の森信氏は、ネット販売でも店頭販売と同様に3つのステップを踏むべきだという姿勢を固持した。

 この時、全国薬害被害者団体連絡協議会・副代表世話人の増山ゆかり氏がこう質問した。「そもそも、ネット販売では患者に対して、相当量の情報を自己申告するよう求めることになるけれど、私だったら、持病から副作用歴から、全てを正直に伝えられるかどうか心配です。持病についても、申告すべきほど重要な意味を持つかどうか分からないし、副作用歴にしても、どこまでさかのぼって伝えればいいのかなんて分からない。もし、それらがきちんと申告されていないために何か問題が起きた場合、患者は『適正使用していなかった』と責められることになるのですか」。

 私は増山氏のこの発言は、インターネットというコミュニケーション手段の虚を衝いていると感じた。もっと言えば、インターネットは患者の自己申告に頼る面が大きいという点で、OTC薬販売という、医療を提供するツールとしてふさわしいかどうか、今一度考え直す必要があると思ったのだ。

 だが議論は、私の予想とは異なる方向へ進んだ。“1往復半”について意見が交わされるうちに、「第1類医薬品をネットで販売する際には、『できる限り専門家に電話や電子メールで相談することをお勧めします』とウェブ表示し、相談を希望しない患者には、何か起こった場合の責任を取ってもらうようにすればよい」という意見が挙がり、一部の販売者側からも賛同の声が挙がったのだ。

 この意見が今後、ルールの中にどう落とし込まれるかは明らかではない。しかし、本来ここで議論されるべきは、OTC薬販売の安全性を担保するために販売者側が順守すべきルールの在り方であって、消費者が守るルールの在り方ではないはずだ。“1往復半”のやり取りが必要かどうかの議論の中で、「薬剤師が購入者から情報を収集する=購入者に情報を提供させる」という論理になり、それがいつの間にか、消費者に責任を転嫁することにすり替わってしまったのではないか。

 前述の増山氏の発言に続いて、座長である東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授の山本隆一氏は、「この仕組みは、消費者側に薬のリテラシーを持たせないことには、うまくいきません。ネット販売や店頭販売という立場にかかわらず、薬のリテラシーを高めていく重要性を皆さんにも認識していただきたいと思います」と付け加えた。

 私は、販売者側のルールが定まれば、いずれ消費者が守るべきルールについても議論されるべきだと思う。ただし山本氏が指摘したように、消費者側にはそのルールを守るほどのリテラシーが伴っていないのが現状だ。そのような状況下では、消費者に自己責任を求めるのは早計であり、対面ないしはインターネットというコミュニケーション手段において、販売者と消費者の双方の負担を抑えつつ、第1類医薬品を販売する際にどのようなやり取りを行うべきかについて、販売者側にはもっと知恵を絞ってもらいたかったと思っている。

消費者にどれだけの自己責任を課すかということは非常に示唆的なテーマだと思いますけれども、ここで注意すべきなのはこの「情報隠し」問題は別にネット通販固有のテーマではなく実店舗対面販売においても、それどころか医療機関における診療の場においても当たり前に見られる現象であって、敢えてネット通販に限定して議論する意味は全くないということでしょう。
逆に言えば実店舗ではそのリスクを長年当たり前に甘受しているのに、何故ネット通販においては殊更に問題にされるのか?という話にもつながってきますが、もちろんこれは規制緩和の裏面として何かあればマスコミによる格好の政府バッシングの種になると言う現実を考慮した、いわばリスクマネージメントの一環として行われている議論に他なりません。
ではリスクマネージメントが悪いのか?と言われると、JBMなどと言う言葉にも表れているように専門職なのだから何かあったときには例え素人の側に過誤があっても責任を負うべきだ的な論調が社会の主導的なものとなるところ、専門職側としてもリスク回避のため過度の安全マージンを見込むのは当然ですから、それでも利便性を求めるというのであれば続発するトラブルは受益者の自己責任となるのは仕方のないことですよね。

興味深いのがこうした本来普遍的な議論がネット通販とセットになって言われ始めたことですが、繰り返しますが別に通販に固有の問題では全くないわけですから実店舗においても同様のリスクが今も存在しているわけで、それをネット通販なら自己申告義務を果たさなかった利用者の自己責任という形に落とし込んでしまうと、今度は実店舗だけが過度のリスクを甘受するという奇妙な逆転現象が発生しかねません。
一方で先日コンビニ大手が薬販売を強化すると表明したと報じられていましたが、昔からそこらで当たり前に売られている風邪薬なども重大な副作用を発症することが知られていて、リスク管理のために売る側がもっと頑張るべきだと言うならこんな素人のバイト店員に売らせるなどとんでもないと言うことになりかねませんけれども、実際のところ国民の大多数は利便性向上に伴う甘受すべきリスクであると考えているわけですよね。
そう考えると「ネット販売や店頭販売という立場にかかわらず、薬のリテラシーを高めていく重要性を皆さんにも認識していただきたい」と言う言葉に尽きるというもので、市販薬よりもはるかに危険性が高そうな車に乗る場合はすでにリスクと利益を運転手一人一人が自己責任で受け止めていることから考えると、薬だけは国民は馬鹿なんだから国が安全を担保すべきだ、売る側も責任を取れるようもっと知恵を絞るべきだという考えにはいささか違和感があります。
車を運転するというリスクに対する一つの解答として強制保険加入ということが義務付けられていますけれども、要するに何か問題が起こらないようにと言う考えの適用が無理な領域においては何かが起こるのは当たり前であるという考え方に基づいた対策が必要であるということであって、今行政に求められているのは有りもしないゼロリスクを追及していたずらに空論を重ねることではないように思いますね。

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2013年10月11日 (金)

金のない老人は捨てられる時代 だが金をかけることが目的ではないはずで

先日こういうニュースが出ていたのですが、ご覧になりましたでしょうか。

スイス与党議員が「姥捨山」構想 コストが安いモロッコに「年金老人」を移住させる(2013年10月5日J-CASTニュース)

 高齢化社会で脹らむ一方の「老人コスト」は万国共通の課題だが、欧州では「現代の姥捨山」ともいえる構想が持ち上がり、波紋を広げている。高齢者を北アフリカに移住させるというのがその構想だ。
 ここまで極端ではなくても、ドイツではすでに高齢者が隣国ポーランドの施設に入所するケースが報道されており、コストの安い国に「老人輸出」する動きはすでに具体化しているようだ。

■「モロッコの方が住宅費、医療、社会保障費がずっと安い」

 ジュネーブの英語専門局「ワールドラジオ」や地元紙「ジュネーブ・トリビューン」が2013年9月下旬に報じたところによると、構想を披露したのは与党・スイス国民党のイブ・ニデッケル議員。アフリカ北部のモロッコに居留地を作って、年金受給者や亡命希望を断られた人を住ませる、というのがその内容だ。ニデッケル議員は、
  「モロッコの方が住宅費、医療、社会保障費がずっと安く、(自らが地盤とする)ジュネーブにとって経費節減になる
と、その理由を説明した。また、居留地が雇用を創出するため、若いモロッコ人にとっても利益になるとも説いた。ニデッケル議員は、ウエリ・マウラー大統領もこの構想を支持していると主張している。
 物価の違い以外に、ジュネーブでもモロッコでもフランス語が使用されていることも背景にあるとみられる。現地報道からは、自発的な移住を促すのか、ある程度強制的に移住させるのかは明らかではない。

すでにドイツでは「老人の輸出」が問題化

 ジュネーブとモロッコとでは直線距離にして1900キロ程度あるが、隣国同士、とりわけ介護が必要な高齢者にとっては、この動きはすでに現実化しつつあるようだ。ブルームバーグは13年9月16日、ドイツの認知症の女性(94)がポーランドの介護施設に入所したケースを紹介している。ドイツでは、このような「老人の輸出」が問題化しており、ミュンヘンの主要紙は「老年植民地主義」と批判しているという。それでも国民にとっては、背に腹は代えられないようだ。ポーランドの介護施設の場合、ドイツと比べて費用が3分の1に抑えられるということもあって、調査会社「TNSエニムド」の調査によると、5人に1人が国外で介護サービス利用を検討しているという。
 欧州委員会の12年の調査によると、ドイツ人の長期介護にかかる費用は、現在は国内総生産(GDP)比1.4%なのに対して2060年には3.3%に大幅に増える。このような背景もあって、今後「老人の輸出」がさらに加速しそうだ。

外人さんはストレートだなと感じてしまうかも知れませんが、記事にもありますようにこの高齢者にかかる医療・介護コストの高騰は万国共通の悩みではあるようで、日本においても昨今年金世代は東南アジアで暮らそう!物価も安くて満足のいく生活が送れます!なんて話がまことしやかに取り上げられる機会が増えましたよね。
国内でもこのところ自治体の枠を越えて高齢者を他地域の施設へ送り込むということが話題になっていて、先日は厚労省が医療費制度を改正して送り元の自治体がコストを負担することで地方移住を円滑化させられる見込みだと記事になっていましたが、今後更に制度的な後押しを拡大することで都市部から地方へと高齢者移住を促進させようと検討しているようです。
興味深いのはひと頃であれば「現代の姥捨て山だ!」などと大騒ぎしそうなマスコミ諸社が案外平静を保っているということで、さすがに社会保障費増大を平素から問題に取り上げてきただけにそれに対する対案を無碍には批判出来ないということなのでしょうが、ともかくこれもアクセスの制限によって質を保ち、コストを切り下げるという最近流行りのやり方と言う解釈も出来るでしょう。
ただもちろん良い話ばかりではないのは当然で、すでに世の中「お年寄りならどれだけコストをかけても許される」という時代ではなくその中身が問われるようになり、むしろ無駄なコストの切り下げが重要視される時代になってきますと、当然ながら儲けにならないお年寄りはいらないと言う考え方も出てくるでしょうね。

追い出される「償却切れ老人」 介護施設がもうけ優先?(2013年10月7日朝日新聞)

 「介護を成長産業に」の陰で、入居者が苦しんでいる例はこれだけではない。
 入居が長く、一時金の取り崩し(償却)が終わりかけ「もうからない客」になった「償却切れ老人」が、退去を迫られる例もある。

 「もう入ってもらう部屋はない。受け入れは無理です」。受話器の向こうで施設長の乾いた声が響いた。父親(当時77)が入居していた50代の女性は一方的に通告され、途方に暮れた。
 「日本ケアリンク」(東京)が運営する老人ホーム「せらび新横浜」に入っていた父親は昨年6月、外出先で転んで入院。四肢まひが残り、医師から要介護度が「1」から「5」になる見通しを知らされた。退院が決まり、施設に「戻ります」と連絡した際の、思いもよらぬ返事だった。
 入居契約には施設側が退去要請できる条項もあるが、父は該当しなかった。

 施設に戻ることを拒む正当な理由はない。「父のような入居者はなるべく追い出して、新しい入居者を入れたかったのだと思う」。いまも女性はそう疑っている。入居時に納めた一時金1440万円は、すでに3年半が過ぎて償却が進み、約300万円を残すだけだった。「あと1年半、つまり入居して5年がたてば、家賃は入らなくなる。施設にとっては『資産価値』がなくなったんでしょう」

取り上げられているケースの場合は介護度が顕著に上がって明らかに老人ホームで対応出来る対象者ではなくなったと言えそうですし、高齢者の場合年と共に身体的に衰え対応出来る施設を転々とせざるを得ないということはままあることですから必ずしも問題視するには適切ではない気もしますが、朝日的には実名を挙げて糾弾するに値すると考えたということなのでしょうね。
ただ他にも注意すべきなのはこうした施設に入る場合には当然ながら様々な入居費用というものが必要なのですが、例えば何かイベントが起こって病院に入院する、状態が落ち着いて退院しようとすると施設側ではすでに「次の入居待機者を入れましたから」と契約が切られていて、再入居するためには順番待ちすると共にまた新たな入居コストを負担しなければならないというケースもあるということです。
一般的に施設側としてはなるべく手のかからない元気が良く安定している利用者を歓迎するでしょうが、こうした手口が行われているとなればたびたび入退院を繰り返しそのたびに余分なお金を払ってくれるお得意さんを何人か囲い込んでおいた方が儲けが出るというもので、利用者側も最初の契約時にこのあたりはしっかり確認しておく必要があると思いますね。

どこも営利でやっている以上当然ながら儲けが出なければ施設自体存続出来ませんが、よりよい介護体制を整えようと優秀なスタッフを集めようとすればそれだけコストは余計にかかり価格競争力もなくなってしまう、一方で何しろ「介護だけは死んでも嫌」と言うほど求人難の業界ですからスタッフの奪い合いにもつながりかねないと、とかく介護業界を取り巻く状況は厳しいものがあります。
先日は暴れる高齢者を押さえつけたところ腰椎骨折による出血性ショックで亡くなってしまったという残念なニュースがあって、一部メディアが「お年寄りの腰を伸ばしたらショック死」などと非常に紛らわしい?見出しをつけていたことで気になったのですが、当然ながら優秀な人材が乏しい現場ほどこうした思いがけない事故も増えてくるでしょう。
ただ介護の場合注意したいのは医学的に正しい対応をしているということと、利用者の満足度とは全く別問題ということがあって、よくあるケースですが認知症老人の訴えで家族が怒鳴り込んできたといった場合でも医学的には全く妥当な対応をしているしっかりした施設であったり、逆に非常に患者受けがいい施設でも医学的観点から見れば実に稚拙なことを平気でやっていたりするということもあるわけですね。

理想的には高級クラブのママ並みに接遇能力も高く、看護師並みに十分な医学的知識も兼ね備えた人材が取りそろえてあれば言う事はないのでしょうが、現実的にそんなことが不可能である以上施設を利用する側も何を優先してその施設を選ぶのかをきちんと決めておくことが重要だろうし、施設側も何が売りなのかということを明示しておくべきかなと思います。
医療と介護どちらに主体を置くかと言う議論と同じで、急性期基幹病院でもの凄いコストと労力を払って最後までがんばってもスパゲッティ症候群などと嫌われたりする、一方でろくに医療もやってない老人病院で最後まで介護だけしっかりやっていると家族が泣いて喜んだなんて話もあって、やはり高齢者においては家族の心情的にも財政的要求の上でもキュアよりもケアが主役にならざるを得ないんだと思います。
冒頭に取り上げたような「姥捨て山」じみた話でも地元を離れることや安上がりに済まされることが問題なのではなくて、その結果顧客満足度が上がるのかどうかと言うことの方を問うべきなのであって、金もないのに高級レストランで一番安い一皿だけをみんなで分け合っていいものを食べた気になるくらいなら、安い大衆料理屋で賑やかに飲み食いした方が楽しく満足も出来るということも知っておいた方がいいでしょう。

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2013年10月10日 (木)

東北への医学部新設は蟻の一穴になるのか?

東北地方に医学部新設をという声に対して安倍総理直々に検討を指示した話が先日出ていましたが、文科省側でも前向きに検討するとして何やら実質新設が決まったかのような報道が出ています。

東北の医学部新設、文科省が具体的検討へ- 1か所前提、地域の医師引き抜きも配慮(2013年10月8日CBニュース)

東北地方への大学医学部の新設について、安倍晋三首相から正式に検討するよう指示が出たことを受け、下村博文文部科学相は8日の閣議後の記者会見で、「今後、具体的な検討を進めていきたい」と述べ、1か所の新設を前提に検討する方向性を示した。

医学部新設をめぐっては、1979年の琉球大への設置以降、事実上凍結されていた。下村文科相も同日の会見で、「新設は約40年行われていない。現在の医学に対応して、教員の体制や、附属病院の規模や内容などを検討していく必要がある」と指摘。東日本大震災で被害を受けた東北地方の復興の観点から、関係自治体が一つにまとまる必要性を挙げ、1か所に新設することが望ましいとした。

一方、新設医学部の教員や附属病院の医師・看護師の確保に伴い、地域の病院の医師らが引き抜かれ、医師不足を招くとの懸念に対しては、「地域医療に支障を来たすようでは意味がない」として、新設体制の構築時に配慮が必要との考えを示した。今後、関係自治体などの意見を踏まえ、文部科学省は関係省庁と連携し、医学部の設置場所や附属病院のあり方などを検討する見通し。

記事を見る限りではあくまでも被災地特例というのでしょうか、無制限に新設を認めるのではなく被災地東北だから特別ということで新設反対派と要望派の双方に配慮しているような印象を受けますけれども、逆に言えば一つ新設してどうこうなる問題なのか?と言うことでもありますよね。
医学部新設がコストや人材確保の面で効率が悪いということはすでに言われている通りなんですが、もう一つの論点である地域の医師不足解消手段としての新設という話ももちろん観念的には理解出来るのですが、東北各県の医学部を卒業して地元に残る人間が半数以下という現実を見るにつけ単に都市部学生向けに新たな国試予備校を提供するようなものではないかという気がしてなりません。
この対策として仮に自治医などにならって全定員を地域枠的な縛りをかけると言った強固な縛りをした場合にどのような学生が集まるのかも興味があるのですが、いずれにしてもほぼ新設が決まりということであれば今後はいかにその悪影響を減らすのかが課題となってくる理屈で、とりわけ多数の教職員スタッフをどこから確保するかということが気になりますよね。
その意味で既存の大病院を抱えている運営母体が誘致レース上非常に有利であることは言うまでもないのですが、以前から気になっていたのですが新設が一大学だけということになると改めて問題になってきそうなのがどこがその新設先として指定されるのかということです。

東北薬科大が医学部新設へ 定員100人、総合医養成(2013年10月5日河北新報)

 東北薬科大(仙台市青葉区)は4日までに、医学部新設を目指す方向で最終調整に入った。旧東北厚生年金病院(宮城野区)を取得し、ことし4月に付属病院として開院させるなど準備を進めてきた。近く正式に発表する。
 東北への医学部新設をめぐっては2011年、財団法人厚生会仙台厚生病院(青葉区)が地元大学との連携による医学部設置構想を発表。東北薬科大の参入で、宮城県内から二つのグループが医学部設置に手を挙げることになる。
 関係者によると、東北薬科大は医学部定員を100人程度と想定。校舎を新設し、臨床実習は付属病院や連携病院の活用を見込む。新設に必要とされる約230億円は自己資金で工面するとみられる。
 東日本大震災を踏まえ災害医療に対応できる人材の育成を最重視し、急性期から慢性期まで対応可能な「総合医」の養成に取り組む。医師の養成には、薬剤師育成のノウハウを活用する方針。
 単科の東北薬科大は10年秋から医学部設置の準備に乗りだした。震災を経て、学内に第三者を交えた医学部設置準備懇話会を設置。11年末に最終報告書をまとめた。厚生労働省所管の独立行政法人から東北厚生年金病院の土地建物を取得し、看護師らスタッフも引き継いだ。
 東北薬科大病院(466床)は22診療科を備え、急性期対応型の総合医療を提供。薬学生の臨床実習にも活用している。

[東北薬科大]1933年創設の東北・北海道初の薬学教育機関「東北薬学専門学校」を母体に49年開設。6年制の薬学科と4年制の生命薬学学科に、院生を含め2139人(5月1日現在)が在籍する。キャンパスは仙台市青葉区小松島、付属病院は宮城野区福室にある。

記事にもあるように仙台厚生病院が久しく以前からすでに東北福祉大と組んで医学部開設の準備を進めていることが知られていて、いずれも大学病院に相当する基幹病院もあれば医療系学部もありと非常に条件的には似通っていると言えそうなのですが、もちろん両方ともが新設を認められるというのはちょっと考えがたいところですよね。
どちらも既存リソースを活用しなるべくお金をかけずにやる方針のようで、基本的には一方が選から漏れても決定的な大損害というわけでもないのでしょうが、国から指名を受けるためにはあらかじめどんどん準備を進めていつでもいけますとアピールする方がいいという考え方もあるでしょうから、下手をすると競争で開設準備を進めるしかないということにもなるのでしょうか。
ちなみに現地の地理的なことには明るくないのですが、仙台厚生病院というのは東北大医学部のまさにお隣と言うべき立地にあって、一方薬科大の付属病院はその数km東の仙台港近くで震災の際には玄関先まで津波が押し寄せたと言いますから東北への特例、被災地のシンボル性というメッセージ性を考慮するとやや薬科大の方が有利なのか?と思えなくもありません。

今回は新設そのものの是非は改めて議論しませんが、いずれにしても数十年ぶりの医学部新設ともなればその意味は決して小さなものではなく、特に千葉や埼玉などかねて医師不足に悩まされてきた地域からはデータも添えて「東北も深刻かも知れないがこっちの方が医師不足はもっと深刻なんだぞ!」と言ってくるに決まっていますから、さらに追加の医学部新設を認めるのか認めないのかと言うことが必ず問題になると思います。
もともと大都市周辺地域としてのこれら地域の方がまだしも東北よりも学生にとっては魅力的だと思えますが、事実文科省の調査によっても卒業後の地元定着率において東北諸県の医学部よりも埼玉、千葉の方がより高い数字を残しているということで、要するに地域での医師不足を鑑みた必要性からも卒後の地元定着という効率面からも東北諸県に対してより新設の必要性が高そうだと言うことになってしまいます。
実は人口増加率においても千葉や埼玉がトップクラスに高い数字を示しているのに対して東北諸県は軒並みマイナスの人口減少地域で、2040年には現在より3割方は人口が減少しているだろうと予測されているのですから、実のところ今現在は医師不足だと言っても将来的にはそれ以上に人口の方が減ってむしろ放っておいても医師不足は改善しているかも知れない、などと言われかねないですよね。
そうであるからこそあくまで被災地特区の一環であり、東北は復興のシンボルとして特例だから認めるのだということを繰り返し強調しているのでしょうが、しかしこうまでデータをそろえて「我が県にも医学部を」と主張してこられれば国としてもどこまで突っぱねることが出来るものなのか、あるいは東北復興のシンボルが後の世に蟻の一穴と呼ばれることにもなるのでしょうか。

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2013年10月 9日 (水)

相次ぐ馬鹿発見器騒動当事者の逮捕にマスコミは

今夏以来世間的にも注目を集める機会が多いいわゆる「馬鹿発見器騒動」ですけれども、話題になった人々が相次いで逮捕されたという報道が出ていました。

「餃子の王将」で裸、客2人逮捕 店の業務妨害容疑 画像はネット公開(2013年10月7日産経新聞)

 「餃子の王将」金沢片町店(金沢市)で来店客がカウンターに裸で座るなどした問題で、金沢中署は7日、威力業務妨害と公然わいせつ容疑で、客だった風俗店経営榎本忠司容疑者(39)と、風俗店店長高田勇一容疑者(38)の2人を逮捕した。いずれも容疑を否認している。

 2人の逮捕容疑は他の数人と共謀し、昨年12月8日午前9時半ごろ、数人の客が飲食していた金沢片町店で、従業員が制止したにもかかわらず、全裸で写真撮影を行い、店内を混乱させるなど業務を妨害した疑い。

 「餃子の王将」を展開する王将フードサービスによると、撮影した画像がネット上に公開されていることを確認。9月に発表し、刑事告訴した。

しまむら店員に土下座させ携帯で撮影 強要容疑で43歳女逮捕(2013年10月7日スポニチ)

 札幌・東署は7日、札幌市の衣料品店で購入した商品が不良品だと訴えて従業員に土下座をさせた上、自宅に来て謝罪するよう約束させたとして、強要の疑いで札幌市の介護職員の女(43)を逮捕した。土下座する様子を携帯電話のカメラで撮影していたという。

 東署によると、土下座の画像は短文投稿サイト「ツイッター」に投稿され、インターネット上で話題になっていた

 逮捕容疑は9月3日午後6時ごろ、札幌市東区の衣料量販店「ファッションセンターしまむら苗穂店」で「購入したタオルケットに穴が開いていた。店に来るのに費やした交通費を返せ」などと訴え、パート従業員の女性(32)ら2人に土下座をさせ、自宅に来て謝罪をするとの念書を書かせた疑い。

 容疑者は調べに「強要はしていない」と容疑を否認しているという。

 苗穂店は不良品だったとして、容疑者にタオルケットの代金980円を返却したが、従業員は容疑者宅を訪れなかったという。土下座を強要された従業員が9月下旬、東署に被害届を出していた

「応報感情、沈静化の狙いも」 しまむら店内の土下座ツイッター逮捕(2013年10月7日産経新聞)

 「しまむら」の従業員に土下座を強要した疑いで43歳の女が逮捕された事件。『情報社会と刑法』などの著書がある甲南大学法科大学院教授、園田寿弁護士(60)は「ネットで事が大きくなり警察としても、立件せざるを得なかったのだろう」と分析する。

 園田氏は「餃子の王将」で裸になり、写真を投稿した事件でも男2人が逮捕されたことを受け、「強要罪、威力業務妨害罪など、いずれも微罪といえる。土下座強要の問題では、義憤に燃えたネットユーザーによる犯人捜しが始まり、行きすぎた追及があった。処罰によって、国民の応報感情を抑え、事態を沈静化する狙いもあったのではないか」と述べた。

 さらに「ネットへの投稿は自らの犯行を世界に暴露し、写真という動かぬ証拠を残すことになりかねない。なぜ気軽に投稿してしまうのか。デジタル時代の規範意識の薄れを感じる」と語った。

先日も書きましたように苦心の跡が見られる今回の逮捕の容疑にも注目いただきたいと思いますが、実際に大騒ぎになり影響も大きかったのは店内で騒いだというローカルな行為ではなくそれをネットに晒したと言う行為の方だったはずですが、いずれにしても全国で同様の計画を企てている方々がこの報道にどう反応するかですよね。
今回逮捕に至った二件、特に後者の土下座事件の方に注目いただきたいのですが、記事にもありますように今まで発生してきた馬鹿発見器騒動が多くは食品衛生的な問題に関することで、それによって各店舗が商品一新を強いられるなど民事的な損害が大きかったことに対して、この事件は従業員に対する土下座謝罪の強要というやや趣を異にするものではありました。
昨今どこの業界でもこの種のクレーマー顧客には悩まされているだけに、言わばしまむらという場を借りての代理戦争的側面もあったのだと思いますが、今回の一連の炎上騒動を見て改めてネットの怖さを思い知ったという声も出ているようです。

しまむら店員に土下座させツイッターに投稿した女逮捕 『2ch』の調査能力に驚愕の声が挙がる(2013年10月7日ガジェット通信)

10月7日、先月からネットで大いに話題になっている“しまむらで店員に土下座させ『Twitter』に写真を投稿した女”が逮捕されたと報道された。

    札幌東署:しまむら店員に土下座させる…強要容疑で女逮捕
    衣料品店で商品にクレームをつけ、店員に土下座をさせたとして、札幌東署は7日、札幌市白石区菊水元町10の1、介護職員、青木万利子容疑者(43)を強要容疑で逮捕した。
     容疑は、9月3日午後6時ごろ、札幌市東区本町の「ファッションセンターしまむら苗穂店」で、前日に購入したタオルケットに穴が開いていたとして、店員の女性2人に土下座をさせ、携帯電話で撮影したほか、自宅に謝罪に訪れることを約束する文書を書かせていたとしている。青木容疑者は「強要はしていない」と容疑を否認している。
     同署によると、青木容疑者は土下座の写真をツイッターに投稿していた。
    http://mainichi.jp/select/news/20131007k0000e040152000c.html

逮捕が報じられると、『2ちゃんねる』ではスレッドがものすごい勢いで進みお祭り状態となっているが、同時に報じられた内容がそれまでに『2ちゃんねる』の有志が調査し書き込んでいた内容と同じであったため、あらためてその調査能力に驚きの声が挙がっているようだ。

今回、氏名などが明らかになった青木万利子容疑者。『Twitter』の過去ログやアップしていた写真などから住所、氏名、年齢、職業などが調べられ、まとめられていたがそれに関しては間違いなかったようである。また青木容疑者のmixiアカウントと思われるものも発見されて内容が精査されている模様。
それらによると、今回の強要容疑以外にもいろいろな疑惑あるとされてるようだが、果たして……。
今後の推移を見守りたい。

あらかじめ申し上げておきますけれども、いわゆる炎上に際して個人情報が晒されたというケースは過去にも決して珍しいことではありませんし、それが結果として全く別人の個人情報であったとして問題化したこともこれまた珍しいことではなく、有名なところでは大津いじめ事件で同姓同名の別人が晒され名誉毀損容疑で逮捕者まで出たと話題になったことが記憶に新しいところですよね。
世間一般におけるそれと同様にネット上の情報も玉石混淆なのは当然ですし、どこまで信用していいのかは完全に利用者各人の取捨選択に任されているのが現状ですが、とりあえずネットに出ていたからと言ってすぐに事実だと飛びつかないというのは最低限利用者に求められるリテラシーと言うもので、それを持たないままうっかり拡散に手を貸してしまうようだと後日お縄になるということにもなりかねません。
記事にもあるように仮に今回の逮捕劇がネット世論の盛り上がりを無視出来なくなってのことなのだとすれば、今後も炎上にかこつけて他人の過去を掘り下げ犯罪行為を見つけ出すという行為が趣味と実益を兼ねるものとしてより白熱する可能性もありますが、当然ながらこうした手法が誰かの意図によって誰かに恣意的に用いられ誹謗中傷のネタにされる可能性も十分にあることですよね。
繰り返される炎上騒動を通じて既存マスコミなどもこの点に注目し新たなネット批判のネタに活用してきているようなのですが、例えば先日こんな報道があったということが話題になっています。

NHKが「まとめサイト」の問題点を指摘 ネットで「その通り」「論点すりかえ」など盛り上がる(2013年10月5日J-CASTニュース)

   アルバイト従業員などが悪ふざけの写真をSNSに投稿する、いわゆる「バイトテロ」問題をNHKが特集した。炎上に至るまでのプロセスを紹介するなかで、「まとめサイト」の問題点を取り上げた。
   このところ広がりを見せている「まとめサイト」だが、テレビで正面から取り上げられるのは珍しい。ネットでは「まあ、事実だよなw」「投稿するやつが悪いんじゃね」「まとめサイトは悪」などと様々な意見が出て盛り上がっている。

義憤や広告収入のため、まとめサイト作成

   NHKは2013年10月5日、「週刊 ニュース深読み」で、「ネットへの悪ふざけの投稿 つぶやきが企業を滅ぼす?どう防ぐ"悪ふざけ投稿"」を放送、飲食店のアルバイト店員が調理室の冷蔵庫に入ったり、有名人の個人情報を無断でネット公開したりする問題を取り上げた。
   番組内では、「悪ふざけ」画像がSNSに投稿されてから拡散するプロセスや、投稿してしまう若者の心理など説明したほか、過去の悪ふざけが蒸し返されてしまう原因として、「まとめサイト」を紹介した。
   「まとめサイト」とは、ネットに散らばる情報をテーマごとにまとめるサイトのことで、個人・団体を問わず誰でも開設できる。ブログを利用して2ちゃんねるの書き込みを編集したものだけでなく、「NAVERまとめ」など企業が運営するプラットフォームもある。 最近では影響力を増していて、電通パブリックリレーションズの調査(9月6日公表)によると、SNSなどのシェア機能を利用して情報の「拡散」をする人のうち、およそ4人に1人は「まとめサイト」を情報源として使っているという。
   番組によると、「悪ふざけ」に対して、けしからんというレベルではなく「懲らしめてやろう」と義憤に駆られ、画像をまとめる人がいる。また、サイトの閲覧数に応じて広告料金が入る仕組みがあるため、注目を集めるネタとして画像を集めるブログもある。まとめサイトとSNSが組み合わさり、「悪ふざけ」画像が多くの人の目に触れ、飲食店に苦情が殺到し、閉店に追い込まれるケースもある、などと紹介した。

賛否が分かれる

   NHKが指摘する「まとめサイト」の問題に対してツイッターなどでは、「事実」「合ってる」と肯定する意見がある一方、「これ見てたけど、やらかしたガキどもの自業自得としか思えんから何を言い出すの?て感じやった」「悪ふざけする馬鹿がいることが問題であって、論点すりかえはよくないですよ」
などと、悪ふざけ投稿した人が悪く、まとめサイトは問題ないというツイートがあった。
   また、2ちゃんねるでは、
    「まとめブログは悪だよ まとめブログは面白いように改変したりするからな」「2chを嫌うくせに アフィブログはありがたがる アホだな」
と辛らつな意見も書き込まれている。
   実際、まとめサイトの中には閲覧数を稼ぐため、確定情報でないものまで断言するような見出しで煽るものもあり、過激なネタに走る傾向がある。2012年7月には、アフィリエイト収入を得ていた2ちゃんねるまとめサイトの恣意的なまとめが問題になった。2ちゃんねるでは一部まとめサイトを名指しし、サイトのサーバを管理する企業に、「2chの著作物を転載をしてるページに一切の広告を載せない措置をお願いしたい」などとお願いをしていた。

まとめサイト問題としては従来アフィブログなどが特にまとめられる側の掲示板利用者から非常に攻撃される機会が多かったわけですが、今回問題になっているのはまとめサイトと言えども結局は一個人の開設した私的なサイトに過ぎないということに伴う当然のリスクを、利用者がどれほど意識して使っているのかということで、特にSNSと掲示板双方での反応の違いに注目いただきたいと思います。
今回NHKの取り上げた問題はまとめサイトの抱える数々の問題のごく一部を取り上げたに過ぎず、その意味でこれも意図的な編集の結果そうされたのだとすれば問題の本質からむしろ遠ざける恣意的なまとめではないかと思いますが、特定の意図を持ってまとめをしている人がいるという指摘は重要なのは確かですよね。
まとめサイトもスマホ普及で新たにネット初心者の情報源として注目されているようで、元ネタである掲示板は利用せずともまとめさいとはよく使うという人が多いそうなのですが、これまたソース原理主義的観点から言えばまとめという操作によって恣意的なセレクションが働く以上、例えば参加者を二分する激論の一方の意見だけを採り上げて他方を無視するといったことも当然に行えるわけです。
既存メディアなどはこうした点を突いて「だからネットは」という方向に結論を誘導したいようですが、しかし実はこの種の恣意的誘導は既存マスコミによって当たり前に使われてきたありきたりの手法であって、むしろまとめサイトはそれを参考にやっているだけの後発組だという考え方も出来るかと思います。

当のNHKにしても以前に台湾に関する報道で「あまりに一方的かつ恣意的な解釈だ」と当の台湾の方々から大々的抗議を受けたことは記憶に新しいところですし、朝日の有名な椿事件などあからさまな偏向報道が明るみに出て史上初めて放送免許剥奪が検討された一大スキャンダルでしたが、社会の木鐸などという言葉に表れているように衆愚を教え導くことをマスコミ諸社はむしろ社会的使命と認識しているようです。
彼らの一般的手法として内外に問題視されていることに街頭インタビューと称してあちらこちらで市民の声を取り上げる、そのうち自社の見解に合致するものだけを取り上げて編集し「国民世論はこの通り!」と主張するやり方がありますけれども、これなどはまさにまとめサイトにおける恣意的まとめと全く同じやり方と言っていいものですよね。
長年の蓄積があってすでに有効性が十分に確認されている手法を後発組がそっくりそのまま真似るというのはどこの世界でも当たり前に行われていることですが、先発組が後発組に対して真似たことを「パクリだ!」と糾弾するならまだしも、真似られた手法そのものを問題有りとして糾弾しようと言うのであれば、世間一般にはこれは天に向かって唾を吐く「自爆」として認識されるものに他なりません。

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2013年10月 8日 (火)

温存すべき病院は一つだけ?

近頃の病院の経営状態と言うことに関連して先日こういう記事が出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。

自治体病院、昨年度に赤字は49.6%- 総務省調べ、前年度から微増(2013年10月3日CBニュース)

 総務省が取りまとめた「公立病院改革プラン」の実施状況の調査結果によると、全国897の自治体病院のうち、昨年度の経常収支が赤字だった病院の割合は49.6%(445病院)だった。赤字病院の割合は2008年度の70.3%から大幅に減少したが、11年度(46.6%)からでは3ポイントの増。また、東日本大震災に被災した地域を除く766病院の赤字割合は49.2%(377病院)で、前年度から3.5ポイント増えた。

 「公立病院改革」は、国のガイドラインに従って各自治体が08年に策定した改革プランに沿ったもので、▽給与の適正化や経費節減といった「経営効率化」▽病院統合など「再編・ネットワーク化」▽民間への事業譲渡など「経営形態の見直し」-が柱。対象期間は09年からの5年間(経営効率化は3年間)で、同省が実施状況を毎年調査している。

 経営効率化プランの対象期間は既に終わっているが、今回の調査結果によると、629病院では「職員給与費比率(対医業収益)」の目標を引き続き設定していた。このうち目標を達成したのは290病院(46.1%)だった。

 また、これまでに再編・ネットワーク化の計画を策定済みなのは、09年度以降に新設された2病院を除く895病院のうち396病院(44.2%)、今年度内に策定を予定しているのが44病院だった。このほかは、「策定を検討中」が227病院(25.4%)、「実施予定なし」が228病院(25.5%)。

 09年度から昨年度にかけて経営形態を見直したのは212病院で、うち13病院が民間譲渡だった。このほか44病院が、今年度内に経営形態の見直しを予定している。【兼松昭夫】

自治体病院など公立病院の場合注意すべきなのは黒字だ黒字だと言っても、自治体からの繰入金(実質的な赤字穴埋め)を込みにすれば黒字という場合が多くて信用ならないところがありますけれども、それを込みで考えてもひと頃の医療費削減政策が絶讚推進中だった時代に比べれば、今回やや悪かったとは言え全般的に病院経営も持ち直してきているとは言えそうです。
医療費もどこまで下げられるかを競っていたような時代が過ぎて、一応これ以上は下げるとやばいという最低線は何となく明らかになったようにも思いますけれども、一方で医療と言うものが長年診療報酬設定によってその運営体制を時々刻々と変化させてきた以上、より医療費もかからず質的向上を果たせるやり方に医療を誘導したいとは国も当然に願っていることでしょう。
ひと頃は医療崩壊という現象と絡めて救急崩壊ということが言われ、例の7:1看護など急性期に手厚く報いるということが当たり前のように行われてきましたけれども、病院経営がやや持ち直してきている現状を見計らってか最近少しばかり風向きが変わってきたのか?とも思わされる報道が続いています。

診療報酬、高度急性期病院からリハビリ病院を優遇へ(2013年9月7日産経新聞)

 厚生労働省は6日、看護師を手厚く配置すれば高額の診療報酬を得られる現行の制度を見直す方針を決めた。入院患者7人に対し看護師1人以上を配置しながらも脳梗塞や心臓病などを治療する「高度急性期病院」としての機能を有していない病院を減らし、病床不足が指摘されているリハビリ病院を増やすのが目的だ。来年2月に中央社会保険医療協議会で示す2年に1度の診療報酬改定案の目玉として盛り込む。

 田村憲久厚生労働相は6日、大阪市内で講演し、「必要なときに必要な医療を受けられるよう、適切な病床数を確保していく」と述べ、リハビリ病院を増やすよう病院機能の再編を促す考えを示した。

 現行制度では、高度急性期病院に対し、短期入院で済む治療をこなしても診療報酬として高額な入院基本料が支払われている。しかし、患者の症状とは無関係に看護師を増やせば高度急性期病院としての診療報酬を得られることになり、長期入院患者のケアだけでも制度を利用する問題が生じていた。

 改定案では、内視鏡による結腸ポリープ手術や睡眠時無呼吸症候群検査など2~3日の短い入院で済む治療に対し、入院にかかわる診療報酬を減らす。逆に、リハビリ病院での医療行為や、在宅医療を推進する病院には診療報酬の点数を上げる

 厚労省は平成18年、看護師1人が受け持つ入院患者数で決まる入院基本料を変更、従来の患者「15、13、10人」の各区分に加え「7人」を新設した。

 これにより、外形的に基準を満たす病院は割り増し報酬を得られることになり、患者の症状とは無関係に「7人」の病床数を増設する病院が相次いでいる。「7人」の病床数は18年には4万4千床だったのが、22年には32万8千床になった。一方、リハビリ用ベッドは、22年は6万6千床にとどまっている。

 厚労省がその後、それぞれのベッド需要を試算したところ、37年では高度急性期用は18万、リハビリ用は26万床必要になることが判明、病院機能の再編が急務となった。

原医政局長、高度急性期は各県1か所めど- 看護師25年まで200万人規模に(2013年10月5日CBニュース)

 厚生労働省の原徳壽医政局長は4日、日本医師会の「社会保険指導者講習会」 で講演し、手厚い治療が必要な急性期患者を受け入れる「高度急性期機能」の病 院について、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、都道府県ごとに1か 所ずつをめどに整備する考えを示した。また、明らかに高度な医療を提供してい る病院のイメージとして、「県によっては県立中央病院とか、大学病院の地域医 療機能の指定を取っている部分」と説明した。

 原局長は講演で、高度急性期病院について、「そんなにたくさん作る必要はな い。二次医療圏に1つも作る必要がない、というか作れないと思う」と述べた。 人口規模にも配慮しながら、こうした病院を都道府県単位に整備し、急性期の状 態を終えた患者を自宅近くの回復期病院が受け入れる形を想定している。

 また、看護師の数を11年現在の約150万人程度から、25年までに200万人規模に 増やす必要があるとの認識も示した。この期間に50万人(33%)の確保を目指す ことになり、うち30万人程度は、看護師養成所の増設を通じた自然増を見込んで いる。残りは、看護師の資格を持ちながら医療現場を離れている「潜在看護師」 の掘り起こしや、離職防止に向けた環境整備などで対応する。

 一方、医師の必要数は、「30数万人程度」とした。ただ、「最近は毎年4000人 余りが増えているし、来年、再来年辺りになると卒業生が数百人程度増える」と 語り、これらによって必要数を確保できるとの見通しを示した。

 原局長は、これら医療従事者を有効活用する必要性を繰り返し強調。高齢化の 進展に伴って医療ニーズが急激に増加すると見込まれるためで、そのためにも病 院・病床の機能分化を着実に進める必要があると指摘した。

 この日は、同省保険局の宇都宮啓医療課長も講演し、来年度の診療報酬改定に 向けた論点として、かかりつけ医機能の評価(外来医療)、在宅療養支援診療所 と同病院の評価(在宅医療)などを挙げた。【兼松昭夫】

この話にも二通りの見方があると思いますが、一つには従来急性期を手厚くすれば救急も何とかなると思ってそちらに重点投資していた、ところが実際には急性期からの出口、受け皿となる回復期の病床がなければ急性期のベッドを空けることが出来ず、結局救急崩壊は是正されないということにようやく気付いたという考え方がありますよね。
特に7:1看護によって大学病院などに働きもしない看護婦が多数抱え込まれた結果実際に患者の面倒を見ている市中病院で深刻な看護師不足が発生したことは記憶に新しいところですけれども、当然ながら適切に働いてもいないのに診療報酬加算の恩恵だけを受けるような「なんちゃって」救急病床などいらないという考えは妥当だと思います。
ただもう一つ気になることとしてわざわざ厚労省の医政局長が高度急性期病院について「そんなにたくさん作る必要はな い。二次医療圏に1つも作る必要がない、というか作れないと思う」と言及していることですが、一県に一つとなれば当然その候補の筆頭に各県一つは確実に存在する大学病院が挙がると思います。
厚労省がかねて医師集約化を推し進めようとしていることは周知の通りですが、仮にその集約先として大学病院を想定しているのであればこれはいささか問題無しとしないところで、世論的に見ても「せっかく解体した白い巨塔を厚労省がわざわざ復活?!」と言われかねないですよね。

おもしろいことに同局長は医師数に対しても「毎年4000人余りが増えている」と現状のままでも医師不足解消間近しと言っていて、先日総理直々に医学部新設を検討するよう文科相に指示したという話と好対照をなしているのですが、いずれにしても厚労省としては看護師不足にしても医師不足にしても絶対数の不足よりも偏在の解消を重視しているという立場なのでしょうか。
その方法論として大学病院への一極集中と言うのも無理がある話にも思えますが、注目すべきは近く専門医制度改革が実施される見通しとなり専門医資格の取得も維持も今までよりもずっと厳しくなる、言い方を変えれば厚労省が潰したがっている中途半端な規模の中小病院にとっては専門医の認定施設も外れますます研修医からそっぽを向かれる可能性が高いということです。
先日日経メディカルに「地域枠は専門医を取れない?」という記事が載っていて、必要とする研修期間の関係で地域枠からの新卒医師は御礼奉公期間中に内科小児科を含めた多くの専門医資格を物理的に取れない可能性があると言うのですけれども、新専門医の認定においては例えば大学病院に籍を置いて地域病院に派遣されるだとか、逆に市中病院から大学病院に研修に行くという道もありになるようです。
大学病院であれば単なる医療機関として以上に文科省も絡んだ教育機関としての側面もありますから亀田のように好き放題している市中病院よりもよほど国の統制が及ぼしやすいのではないかとも思いますけれども、そこに新たな権威付けをし権限も与えることで医師を集約化すれば、ごく少数の頭を押さえるだけで医師達のコントロールはしやすくはなる理屈ですよね。

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2013年10月 7日 (月)

本日は薬剤師に関わる話ですが

先日の日本薬剤師会の学術大会に出向いた日医の鈴木邦彦常任理事が、「すべてが日医の見解ではない」と断りながらも当の薬剤師会が推進してきた医薬分業について「成果はあまり明らかではない」「保険薬局の収入が診療所よりも高い」「母屋でおかゆをすすっているのに離れですき焼きを食べているようなもの」と散々に批判したと話題になっていました。
発言内容の是非はまた別として、どうも日医幹部から「医師の間で言われていることだ」などと言われると何とも違和感を抱かざるを得ないのですけれども、儲けすぎ批判はともかく医薬分業を果たしたからにはこと薬に関することにはもっと薬剤師会らに頑張っていただきたいとは思うところですね。
今まで医療に関することに関してはやはり医師が第一で、例えば手術や検査に使う道具などは医師とメーカーが二人三脚で改良を進めてきたわけですが、では薬の改良は薬剤師とメーカーが共同でやってきたかと言えばそういう訳ではなく、やはりこれまた医師とメーカーとが主導してやってきたという事実があります。
もちろん医学的知見を背景にこれこれの効能を有する薬が欲しいといった話に関して医師が関与するのは判るのですが、例えば喘息治療などで使う吸入薬などは正しい吸入法が出来ているかどうかで効果が全く変わってくる、ところが実際に患者に吸入法を指導しているのは医師ではなく薬剤師なのですから、正しく確実に使える吸入薬を開発するなら医師よりも薬剤師の意見の方が重要ではないかという考え方もありそうですね。
先日はこういう記事が出ていましたけれども、これなども毎回内視鏡医が「先日当院でこんな症例がありました」と発表して終わりにするだけではなく、薬剤師側からももっと積極的に改善策を提言してもよさそうなケースに思います。

PTPシート誤飲減らず 2年間で26件 日本医療機能評価機構が再注意(2013年9月19日ミクスオンライン)

日本医療機能評価機構は9月17日、医療従事者が注意すべき行為について注意喚起する「医療安全情報」(No.82)を発表した。11年8月にPTPの誤飲を注意喚起したが、その後の2年間の報告が26件と減らないことから再び注意を呼びかけた。多くが医療者側からPTPシートを1錠ごと切り離して患者に渡し、そのまま患者が服用してしまうケースだったという。同情報では、患者にはPTPから取り出して渡すことのほか、患者には切り離さずにPTPから取り出して服用することを伝えることを求めている。

PTPシートの角は鋭利なため、のどや食道、胃・腸を傷つけるおそれがある。厚労省は10年に、医療関係者に調剤・与薬時等に不必要にハサミなどで1つずつPTPシートを切り離さないよことや、一包化も検討することなどを呼びかけていた。

PTP誤飲症例に遭遇する頻度を考えると2年間で26例なんてことはないと思いますが、あのPTPシートと言うものも作る側にとっては便利なものなのかも知れませんが利用者側としてはさして便利なものでもなく、指先の弱った高齢者がパッケージからうまく取り出せなくて苦労しているということは薬剤師なら当然に知っているはずです。
パッケージ自体が硬く折り取った角が鋭利であるというのは誤飲の際に大事故につながりやすいと言うことでもありますし、硬くて折り曲げるにも力がいるのですから内視鏡で取り出すのも一苦労というものですが、別に錠剤が綺麗に並んでいるのが見える必要性もなさそうなのですからもっと柔らかいパッケージでもいいだろうし、どうしても実物画像が必要なら表面に印刷でもすればいいようにも思います。
以前に厚労省から製薬団体に対して注意喚起と共に技術的改善の通知が出された際にも、問題点を列挙しこれこれこうすべきではないかと意見を述べているのは誤飲の後始末をしている医師であって、いわば原因を作る側の薬剤師会は単に注意喚起の受け手にしかなっていないというのは、10万人規模の会員数を誇り今や医薬分離も果たした専門職団体として主体性に問題があるんじゃないかという気もしますね。
薬ということに関してはもう一つこういう気になるニュースも出ていたのですが、一昔前なら「薬価差益減って医師会涙目w」などと騒がれていたかも知れませんけれども、医薬分業を果たした今となってはむしろ調剤薬局の利益率に多大な影響を及ぼしかねない話ですよね。

薬の「費用対効果」とは?(2013年9月22日読売新聞)

薬効に見合う価格か検討

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)が、薬の価格(薬価)について、その「費用対効果」も考慮して設定するかどうか、議論を進めています。
 今月上旬に中間の論点整理案をまとめ、来年度の診療報酬改定から試験的に導入できるか検討しています。

 ――薬の費用対効果とは何ですか。

 「薬には、生存期間を延ばしたり症状を和らげたりする効果を期待できますが、副作用で患者を苦しめる場合もあります。こうした点を踏まえ、薬価について、その効果にふさわしい価格が設定されているかを見極めよう、という考え方です」

 ――なぜ今、議論しているのですか。

 「新型抗がん剤の登場など医療技術の革新や高齢化が進み、医療費は毎年増えています。一方で財源は限られており、このままでは公的医療保険制度を維持するのが難しいという危機感が背景にあります。そのため、効率的な医療費の使い方を考える必要に迫られています」
 「例えば、ある抗がん剤を使う場合、費用は1000万円近くかかるものの、既存薬と比べた延命効果は1か月半程度にとどまる、と試算されています。高血圧の治療薬を服用する人は800万人いるとされていますが、例えば1日100円分かかる薬を全員が飲むとすると、年間費用は3000億円に達します」

 ――費用対効果はどう調べるのでしょうか。

 「それぞれの薬で、延命や症状緩和の効果を得るのにかかる費用を計算します。効果には、服用した際の生存期間と生活の質を組み合わせて算出する指標『QALY(クオリー)』が、スウェーデンや英国など諸外国で広く使われています」
 「費用は薬剤費や検査費などの医療費を積算します。新薬では既存薬に比べ、1クオリーあたり、どの程度費用が増えるかを分析します」
 「論点整理案では、対象に手術なども含めましたが、患者の少ない病気の治療は外しました。効果の指標にはクオリーと合わせ、生存期間や治癒率も挙げました。費用面では、仕事ができない経済的な損失や介護費も加えられるよう、方向性が示されました」

 ――計算の結果をどのように活用するのですか。

 「効果に対して薬の費用があまりに高いとみなされれば、スウェーデンのように公的医療の給付対象から外したり、オーストラリアのように給付額を下げたりします。英国では、既存薬と比べて新薬にかかる費用の上昇が、1クオリーあたり2万~3万ポンド(310万~480万円)以下ならば、公的医療から給付する、という目安が国立医療技術評価機構(NICE)から示されています」
 「今後、費用対効果の手法について、日本の公的医療保険制度に適した導入方法が議論される見通しですが、論点整理案では、保険適用から外したり、薬価を上げ下げしたりするのに使う案が示されました」
 「ただ、計算結果を機械的に保険給付の方針に反映させるわけではありません。終末期の患者向けの薬は効果が高いとみなすなど社会的影響も考慮し評価したうえで、公的医療保険で賄うかを決定する方向です」

 ――導入に関し、注意点はありますか。

 「英国では、一部の抗がん剤を公的医療の給付対象から外したところ、治療を受けられない患者の不満が高まる事態が起きました。薬価が下げられれば、原価割れを避けるため、製薬企業による販売控えも想定されます。患者に必要な薬が届かない事態が起きないよう、制度作りには十分な配慮が必要です」
 「また、英国では高血圧薬の処方に費用対効果の観点を加味し、同じ効果なら安価な薬を薦めたりする指針を国と学会が策定しています。日本でも処方に費用対効果の観点を取り入れてもいいでしょう」(米山粛彦)

この医療における費用対効果という議論は昨今注目されるようになってきた話で、すでに昨夏の段階で国が医療保険制度に費用対効果の考え方を導入する気だという報道が流れていた、そして医薬分業的考え方からすると当然その検証対象として医療行為そのものと薬剤の選択という二つの対象が大きく取り上げられると考えられますよね。
このうち前者の医療行為の部分に関しては、例えば「予後極めて不良な進行癌に手術をすることは無駄ではないか」などと言う話が非常に議論が分かれそうなことからも容易に理解出来るように、かなりアナログ的で境界不明瞭な領域も多いことからすっぱりとこれは無駄、これは有効と判断しかねる部分が多いだろうと考えられます。
これに対して医療費の1/4を占めるとされるのが薬剤費ですが、こちらは大規模臨床試験などが日常的に行われているように比較的明確な数字を出しやすい、しかも多くの場合「この薬でなければ治療できない」ということはなく別な治療法が複数種類あるのが普通ですから、記事の論調にも見て取れるように何かしら非効率的だと切り捨てが行われるとすれば真っ先にこちらが狙われそうですよね。

一昔前ならそれこそ日医あたりも「医師の処方権を侵害する許し難き暴挙だ!」などと熱心に反対してくれたかも知れませんが、医薬分業で薬価差益と言ううまみも手放した以上は基本的に薬価のことまでは知ったことではないという話になりかねず、むしろ定額払いのDPCが主流になるにつれ出来高算定できない薬剤コストなど安ければ安いほどいいということになりそうです。
調剤薬局の儲け云々はともかくとしても、本当にその薬が患者にとって必要なものなのに制度改変で利用しにくくなるということがあるなら薬剤師会も能動的に動く必要があるんじゃないかと思うのですが、どうも日医などの露出の多さに慣らされてしまっているせいかこれまたさっぱり何を考えているのか判らないほど露出不足に感じられて仕方がないのは自分だけでしょうか?
ともかくも薬学部も6年制になって今後はますます師業としての専門性も求められていくと思いますが、当然ながらそれに見合った専門的知見の発信力と言うことも求められるはずで、単に薬局で袋詰めさえしていればそれで仕事は終わりというわけにはいかないのは当然ですし、何より医師の側にも単なる下請け扱いなどではなく同じ専門職として良好なパートナーシップを構築出来るよう相応の度量が求められる気がしますね。

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2013年10月 6日 (日)

今日のぐり:「比呂勢 青江店」

先日こんな記事が出ていたのですが、扉が開いていきなりこんな光景が目の前に広がっていればそれはびっくりしますよね。

「ソウルの地下鉄に乗ったら肉屋だった」という光景が激写される(2013年10月4日ロケットニュース24)

地下鉄の車内はドラマの宝庫。何かが起きそうな予感がプンプンしてくる。なにせ地下を走っているのだ。地上とは違った空気が流れているのだ。一種独特なあのニオイ……何が起きても、おかしくはない。

ということで今回ご紹介したいのは、韓国のソウルで激写された「ソウルの地下鉄に乗ったら食料品店だった」なる光景である。

海外の画像アップローダに掲載されている写真を確認すると……なるほど、これはまさしく「ソウルの地下鉄に乗ったら食料品店だった」そのまんまの光景である。売っているのは、肉に見える。お肉屋さんっぽいショーケースだ。

ちなみに、よーく見るとレジもある。ショーケースにも、レジにも、ちゃんと電気が付いている。おそらく稼働しているのだ、地下鉄車内のお肉屋さんが! 冷静に考えてみると、帰宅時の買い物に便利である。食品売り場専用車両、悪くない。

リンク先の一目瞭然な画像を見れば新手の車内販売か?とも思うのですが、しかし何故肉屋からスタートするんだろう?という素朴な疑問を抱かずにはいられないびっくり新商売としか言いようがありません。
今日はソウル地下鉄の英断?に敬意を表して、世界中から正直その発想はなかったと思う画期的アイデアの数々を取り上げてみましょう。

四国に初の“新幹線”……正体は0系風に改造した気動車 2014年3月ごろ予土線で運行開始 (2013年10月1日はてなブックマークニュース)

JR四国は2014年3月ごろから、既存の気動車を改造した観光列車「鉄道ホビートレイン」の運行を予土線で開始します。外観は0系新幹線をイメージしたデザインで、おなじみの丸みを帯びた先端も再現されました。四国では新幹線が開通していないことから、はてなブックマークのコメント欄には「四国初の新幹線か?」「JR四国の悲願ですね」といった反応が集まっています。

鉄道ホビートレインの運行は、予土線の全線開通40周年および宇和島駅~近永駅の開通100周年に合わせた取り組みです。車両外観は「鉄道に親しみを感じていただけるデザイン」として、1964年から2008年まで運用されていた0系新幹線をイメージ。車内にはショーケースを設置し、鉄道模型を展示する予定だとしています。対象列車は1両編成のキハ32形。運転区間は予土線の窪川駅~宇和島駅で、毎日運行されます。

車両のイメージ図はサイトで公開されており、先端部分だけでなく、側面のカラーリングでも0系新幹線を再現しています。はてなブックマークのコメント欄には「みんな、わかってやれ。JR四国はそれほどまでに新幹線が欲しかったんだと」「これは史上最強レベルの『魔改造車』になりそうだが、怖いもの見たさで見に行きたい気もする」「精一杯頑張ってる感じでいいじゃない!手作り感もあって」などの感想が寄せられ、戸惑いつつも楽しみにしている人が多くみられました。

いや気持ちは判るけれども!と言うしかない無理矢理感漂う画像は是非リンク先で参照いただくとして、とにかく発車前からすでにこれだけ話題になっているのですからつかみはオッケーと言うものなんでしょうか。
誰しも一度は空想したことがあるという意味ではあまりにありふれたアイデアなのですが、まさか実際にやってみるとは思わなかったという意味で奇想天外なのがこちらの企画です。

衝撃の“うんこ味カレー”再現、糞食経験者と料理研究家がレシピ考案。(2013年9月25日ナリナリドットコム)

「うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、食べるならどっち」――。そんな“究極の選択”に関するバカ話をした経験は、日本人なら誰もが一度や二度はあるだろう。しかし、当たり前ではあるが、ほとんどの人がどちらも想像でしか答えることはできない。否、想像の範囲で留めておいて良いとも言えるが、この“究極の選択”に決着を付けるべく、うんこ味のカレーを本格的に作るという衝撃的なイベントが、9月28日に東京・阿佐ヶ谷ロフトで開催される。

「【究極のカレーイベント】うんこ味のカレー単独ライブ」と題し、深夜24時30分から始まるこのイベント。長年の疑問ながら、本当にうんこの味なのかを確かめるには勇気が必要で、なかなか出来ることではない。しかしこのたび、それに一つの“解”を提供する、有史以来初の試みが行われる運びとなった。

イベントは、まず、糞食経験者でロリカルト女優の白玉あも氏から、「どのような味なのか」を聞き、料理研究家のオガワチエコ氏を中心に、さまざまな分野からうんこ味のカレーに興味を持つほかの出演者と、どのような食材や調理方法をすれば近づけるのかレシピを考案、検証していく。実際にうんこを使用するわけではなく、あくまでも「限りなく近い味」の再現を目指すイベントなので、そこは安心しても良さそうだ。

イベントの主催者は「このイベントは、これまで誰もしようとしてこなかった事に対して機会を提供するだけでなく、疑問を疑問のままにさせないという姿勢を見せた社会的に意義のあるイベントにもなっています」と、その趣旨を説明している。

なお、当日は“カレー味のうんこ”は作らないとのこと。実際に会場で食べる人は、何があっても自己責任を認める誓約書へのサインが必要で、深夜イベントのため20歳以上を証明する身分証が必要となる。
(略)

その結果が気になるのももちろんなのですが、それにしてもどのような味なのかももちろんですがやはり香りの面でも追求をしてこそカレーというものではないでしょうか?
画期的新商品!と謳って登場するものは毎年幾らでもありますけれども、これはアイデアもさることながらビジュアル的にもなかなかに画期的という新商品のニュースです。

このアイデアはなかった…たった6秒で全ての歯がみがける「3D歯ブラシ」が登場(2013年10月3日らばQ)

毎日の歯ブラシ、面倒だと感じてはいませんか。
振動や回転する電動歯ブラシはありますが、他の電化製品に比べるともう少し進歩して欲しいところではありますが……。
なんと6秒で全ての歯をみがける「3D歯ブラシ」なるものが登場しました。

6 sec toothbrush - YouTube

この歯ブラシに対する海外の意見をご紹介します。

●確かにクレイジーには見える。
●口の中を襲われるみたいだな。
●↑でもたった6秒なら襲われてもいいな。
●これって300ドル(約3万円)もする。しかも歯医者に行って型を取るのは別でだ。つまり最低500ドルはかかる歯ブラシってことだ。
●↑まとめると500ドルの歯ブラシで替えは300ドル。ただし歯の形が変わらなければだ。
●自分が知りたいのは5人のうち4人の歯医者さんがお勧めするかどうか。
●↑(型取りで)彼らのサービスが必須なので5人中5人がお勧めだろう。
●何のことはない歯ブラシさ。それって普段の歯ブラシより12秒早いだけだ。
●↑普通の歯ブラシより掃除に時間かかりそうだぞ。
●↑それに3000ドルの消毒器具をあとから買うことになるんだよ。
●10人のうち0人だよ。
●自分がこれを使えない理由は毛虫に見えるから。

使ってみないと効率的なのか判断が下しにくいですが、メンテの費用や手間まで考えるとコストパフォーマンスには疑問の残るところです。
リッチで時間のない人にはお勧めなのかもしれませんね。

動画で見ますとブラシではなく歯の方を動かして磨くらしいのですが、効果の程やコストパフォーマンス等々実用面はすべてスルーするとして、ここまで画像的な衝撃を持っているのですからギーガーあたりに依頼してもっとデザイン面で極めてみるのはどうでしょうね?
金銭が絡んだトラブルは時に思いがけない発展を見せることがありますが、こちら正直その発想はなかったと言うしかない結末を迎えたケースです。

婿に嫌気でアウディ吊るし上げ、借金返済なく過激な“差し押さえ”。(2013年10月3日ナリナリドットコム)

借金の返済が滞ると、給料や預貯金、家財道具などが差し押さえられることがあるが、中国では先日、借金をいつまで経っても返済しようとしない“身内”に嫌気が差し、高級車をクレーンで吊るして4階のベランダに上げてしまうという出来事があった。

この一件は9月下旬、ネットユーザーが微博(中国版ツイッター)に投稿したことから発覚。その内容は「麗水市区後甫新村(浙江省)で、理由はわからないけど、1台のアウディA8が吊るされてマンション4階のベランダに運ばれた」というもので、文章とともに投稿された写真には、黒のアウディがクレーンで吊るされている様子、車1台がぎりぎり納められそうな広さのベランダに無理やり押し込められている状況が写し出されていた。

これに関して、ネットではさまざまな憶測が飛び交い、「駐車スペースがなく、仕方なしにベランダに置いたのでは」「車上荒らし対策だろ。でも毎日上げ下げするのは面倒だな……」「いや、人のアウディを白昼堂々と盗んだだけじゃないの?」などと言いたい放題。そうこうしているうちに「アウディの持ち主は家の持ち主の娘婿で、彼が話を聞かないから、義理の母が怒って吊るしたんだ」という有力情報が書き込まれた。

騒動に注目した地元紙が真相を確かめたところ、確かにアウディの持ち主は家の持ち主の娘婿であることが判明する。ただ、アウディを吊るす過激な行為に出たのは義母ではなく、義父であった。

義父の話では、最近娘夫婦の関係が悪く、加えて娘婿は義父から多額の借金をしていた。にも関わらず、娘婿がいつまでたってもこれといった解決策を講じようとしないことから、義父らは嫌気が差してしまい、ついに娘婿のアウディを“差し押さえる”行為に出たそうだ。借金の額とアウディの価格はほぼ同じであった。

ちなみに、身内のプライベートな話題が広く関心を集めてしまったことに義父は驚き、恥ずかしさを感じているという。

その驚くべき状況はリンク先の画像を参照いただくと一目瞭然ですけれども、素朴な疑問としてこれだけの大仕事をすればそれなりのコストもかかりそうに思いますけれどもね…
モンスター顧客というものが世界的にも話題になってきているようで、そのクレームには毎度の事ながら意表を突かれますけれども、正直この発想はなかったと言うしかないのがこちらのクレームです。

【海外:モンスターカスタマー】「乗馬した時痛かった!」と、ホテルに馬の解雇を要求する珍客(2013年10月2日日刊テラフォー)

「従業員の態度がなっていない!あいつを解雇しろ!」
と要求してくる客は、まあ時折いるだろうが、
「あの馬に乗ったら痛かった。あいつを解雇しろ!」
と、馬の解雇を要求してくる客を、未だかつて聞いたことがあるだろうか?

だが、これはホテルの宿泊達の理不尽な要求のほんの一例に過ぎない。
旅行会社lastminute.comのカスタマーサポートが、モンスターカスタマー達が要求してきた無理難題を公開している。
ちなみに、上記の客は、ホテル所有の馬の解雇をさらに正当化するため、自らの真っ赤になったお尻の写真を提出したそうだ。
別の客は、マラケシュの海の正確な温度を教えるようスタッフに要求した。言うまでもないが、マラケシュに海なんかない。
ヤキモチ焼きのボーイフレンドは、クラブで自分のガールフレンドを見つめたといちゃもんを付け、クラブのスタッフの解雇を要求した。
“理不尽”という訳ではないが、ホテルを予約した後、「確認の電話は要らない。予約を確認する必要がある時は、名前ではなく『秘密の合言葉』を使ってくれ」と要求してきた客もいた。なぜならその客は、息子の妻と旅行をしていたからだ。

lastminute.comのカスタマーサポート長デービット・ビートレイさんは、
「我々カスタマーサポートチームは、旅行業界の陰のヒーローです。」
と、カスタマーサポート部門の日々の功績を労う。
たくさんの人の努力によって支えられている旅行を気持ちよく楽しむために、心はいつも広く持っていたいものだ。

ちなみにこのlastminuteという会社を検索してみるとブリの会社…なんだ、その程度当たり前じゃないか!と言う気がしないでもないのは彼の国積年の功徳というものでしょうか?
同じくブリから駐車場絡みの話題が続きますが、まずはこんな駐車料金の支払いが可能なのもブリという国の懐の深さなんでしょうか。

駐車料金の代わりに「木の実」で支払ってもいい…イギリス(2013年9月22日らばQ)

イギリスではこの時期になると、栗よりひと回り大きい「トチの実」“conker”がなり始めます。
食用ではない実ですが、子供たちはそれに穴を開け、ひもを通してぶつけ合って強さを競う遊びをします。
イギリス中がシーズンを迎えるので、この時期は大人も子供もトチの実集めをするのですが、一部の駐車場では、料金の代わりにこの「トチの実」で支払ってもよいというキャンペーンを始めたそうです。

トチの木は森の近くならどこにでもあるような木で、普通の栗と同様にいがぐりが弾けたように落ちています。
リーズやマンチェスターにあるいくつかの駐車場では、1個あたり20ペンス相当(約32円)で、50個相当にあたる10ポンド分(約1600円)までトチの実で支払いが可能になっています。
ただしこれは森林保護のためのチャリティの一環で、今週いっぱいの試みであるとのこと。
トチの実は傷のないきれいなものでないといけないとか、1家族につき車1台のみなど、いくつか条件はあるあものの、必死でトチの実探しをした少年時代を大人たちにも思い出させてくれると好評だそうです。
ユニークなチャリティの方法ですが、集まったトチの実はどうするのでしょうね。

極東の某国も木の葉で支払いをしようとした客がいたとかいないとか言った真偽不明の伝説が伝わっていますけれども、ちなみにこれまた世界の果ての某島国では昔からトチの実をひどく手間暇かけてまで食用にしているようですのでご参考までに。
最後に取り上げますのも同じくブリから駐車場絡みのニュースなんですが、まずは黙って記事を参照いただいてみましょう。

【海外:無意味な標識】絶対ムリ!22㎝しかない駐車スペースが出現!(2013年9月15日日刊テラフォー)

つい先日、公道を走る世界最小の車のニュースを報じたが、その車ですら止めるのが不可能な、おそらく世界最小の駐車スペースがイギリスに出現した。
問題の駐車スペースは、市役所によって先日作成されたのだが、幅がわずか22㎝しかなく、せいぜいおもちゃのミニカーくらいしか駐車することができない。

ウェールズ西部カーマーゼンシャー州バリーポート市から派遣された作業員は、駐車禁止を意味する黄色い2本線を、まず公道に引いた。
続いて、医師たちの緊急用に、病院の私道にも黄色い2本線を引いた。
それぞれの作業自体は問題がなかったのだが、この過程で公道に引いた1ヶ所目の駐車禁止線と病院の私道に引いた2か所目の線の間に、僅かな隙間ができてしまった。
こんなに小さなスペースなら、2つを繋げて1つの駐車禁止線にしてしまおう!と誰もが思うところだが、この作業員はとても律儀だった。
「公道に引くように指示された線を、私道に伸ばす訳にはいかない!かといって、私道に引くように指示された線も、言われた通りの長さにしなければ!!」

こうして出来上がった僅か22㎝の駐車スペースは、直ぐに住民達の笑いの的になった。
「最初に見た時は、我が目を疑いました。ここに止められるのは、せいぜい自転車か、ホッピングくらいでしょう。
でも、ただ笑うためだけに、ここにおもちゃのバスを止めるのは大好きです。
それにしても、どうしてこんなところにスペースを作ったのかは、全く理解不能です。」
と、地域住民のフィリップスさん(72)は、インタビューに答えている。

フィリップスさんを皮切りに、他の住民達も面白がって、次々におもちゃの車をここに駐車し始めた。
市役所側は、私道は道路の所有権が違うため、このようなスペースが生じたと説明しているが、住民たちにはまったく理解できなかった。
「(公道と私道の違いがあるとはいえ)どうして2つの線を繋げなかったのか、ナンセンスとしか言いようがないわ。」
お役所仕事の現場では、指示されたことを的確にこなす能力が高く評価されるが、実社会に於いては、臨機応変さが求められる。

リンク先の画像を見ますと確かにこれはお役所仕事と言うべきですが、そこに「敢えて」有意義な活用法を見いだすのがブリ流ということ、なんでしょうか?
いずれにしてももはやここまで来ると当初の目的もどこへやらですが、何やらこんなことで観光名所化してしまうとすればかえって瓢箪から駒というものでしょうかね。

今日のぐり:「比呂勢 青江店」

岡山市街地の一画に位置するこちらのお店、おもしろいことにうどんととんかつの看板を掲げているのですけれども、この界隈ではラーメンカツ丼の看板はそれなりに多いのですがうどんととんかつと言う組み合わせは割合珍しく、しかもそのうどんというのが備前うどんと称しているのですから謎は深まりますよね。
メニューを見ますとこれが意外にも結構本格的なとんかつ屋風で、そう言われてみれば店構えなども昨今多いとんかつ専門店の書式に準じたものになっているのですが、うどんにもそれなりに力を入れている様子なのがややフォーカスがぼやけても感じられるところでしょうか。
ちなみにこちらの場合ごはんキャベツのおかわり自由というのもフォーマット通りなんですが、うどんもやっているお店らしく定食の味噌汁は無料でミニうどんに変更可能というのもおもしろいもので、まずはうどんも試してみたいという人にはありがたいでしょうね。

例によって同行者とシェアしながら色々とつまんでみたのですが、まずはメインに選んだ人気メニューだというネギおろしヒレかつ定食は丸いヒレカツの上に薬味を山盛りトッピングし小鉢のポン酢タレにつけて食べるというスタイルで、ヒレカツは一応半分にカットしてあるんですがこの状態だと厚みのあるカツをどっぷりポン酢ダレに浸しても薬味は全く浸からないままで、さりとてひっくり返すわけにもいかずで見た目はいいのでしょうが食べ勝手としてはどうなんだろうと言う感じですね。
カツとしてはロゼを通り過ぎた揚げ具合でも肉は柔らかいのはいいんですが、それなりに揚げているのに衣の方はカリカリでもさくさくでもなく少し柔らかめでこの辺りは油温の関係なんでしょうか、カツと言えば衣の食感重視の方々にはやや残念な感じです。
ご飯は米の味は並みですが割合に粒の立った炊き加減はまあ及第、味噌汁は出汁と味噌のバランスが出汁寄りの仕立てになっているのはいいんですがよく言えば家庭料理っぽい味で、全体として見るとファミレスやそこらの定食屋よりはもちろん真っ当なとんかつ定食なんですが専門店としては特にこれといって…というところでしょうか。
サイドメニューではざる豆腐は昨今多いやたらに脂肪分リッチな甘ったるい豆乳でないのはいいんですが妙に既製品っぽい味と食感、定番の鳥からあげはショウガ風味がやや弱めの味付けでクリスピーと言うより少し揚げ過ぎなくらいで肉のジューシー感はないんですが、ここまで揚げるならいっそ皮と身を別々に分けたらいいのかなとも思います。
豚キムチ鍋なるものは初めて食べたのですが、卵とじのアイデアは確かに飯に合いそうなんですが味の中心のキムチが日式なのはまあいいとして、卵もかちかちの完熟状態な割には中身の玉ねぎは硬くて辛いと言うのはちょっと不思議ですよね。

とんかつと並んでこれまた一方の名物となっているのがへぎうどんなんですが、元々は新潟あたりの郷土料理でへぎそばと言うものがあって、へぎ(片木)という大きなうつわに数人分を盛りつけることに加えて布海苔をつなぎに使うのが特徴なんだそうで、こちらのうどんは色調から判断する限りでは布海苔は使っていなさそうで器だけからくる名称なんでしょうか、いずれにしてもこういうのを備前うどんと言うのが妥当なのかどうなのか微妙ですよね。
うどんとしては加水率高めで表面はごくごく柔らかめなんですが、食べて見ると噛み応えも十分あり腰もしっかり、表面は滑らかで喉越しも良好と正直意外に馬鹿にできないと思ったのですが、洗いの行程がもう少し不十分な印象なのと出す前にもっとしっかり水切りした方がいいんじゃないかなという気がします。
とくにこちらのへぎの場合底がザルではなく板なので置いておいても水は切れないんですが、合わせるつゆはほんのり甘口かつ薄口で元よりこのうどんには少し弱めなものですから、デフォルトの量だとあっという間に薄まってしまってしばらくつゆに漬け込んで味を馴染ませないと…ということになりかねません。
いずれにしてもとんかつ屋の余技としては及第とは言っても、看板に掲げるほどうどん屋としても売り出すのであればコストパフォーマンス面も含めてもう少し改善の余地はありそうに思いますね。

設備面では待合スペースを用意しているのは好印象ですが喫煙所を兼ねているのは店の性質上子供客なども多いだろうにどうなのかと感じるのと、トイレやテーブルなど設備が妙に古臭いことや駐車場も今時の車を停めるには狭すぎることなど、少しばかりハードウェアは見劣りしてきているように思えます。
接遇は基本的にはごく簡素なもので昨今のこの手の店にあるように細かい作法まできっちり決まっているという感じではありませんが、客数に余裕があったせいかレスポンスはそれなりに良いのは好印象ですね。
元々のベースラインをとんかつ専門店として見るか、よくある和食系なんでもありのレストランとして見るかで評価は微妙なところだと思いますが、価格帯的にもメニューの比重においても前者として見るべきだとすると今ひとつ押しが弱い気もしますが、うどんも込みでちょっとがっつりいきたいと言うときにはこういう店も選択枝の一つに上がってくるのでしょうかね。

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2013年10月 5日 (土)

どんな医療を望みますか?

先日こういう記事がありましたが、医療のあり方というものは人それぞれの理想像があると言うことを改めて実感しますね。

「どんな医療を望みますか?」を見える化(2013年10月3日朝日新聞apital)

ちょっと、意識調査にご協力ください。
だれでも好きな医療機関を選んで受診できる方がいい?
この質問に、どう答えますか? 今まで当たり前と思っていたかもしれませんが、改めて聞かれると、質問が出てきた背景も気になりますね。

さらに、
「自由診療はもっと推進した方がいい?」
「医師や医療機関の治療成績がよい場合、支払う医療費を上乗せしてもいい?」
「患者の意思に基づき、尊厳死を選択できるようにすべきだ?」
といった医療政策にかかわる48の質問「医療政策版思想マッピング」が、web上でアンケート形式での答えを集めている。
東京大学公共政策大学院の医療政策教育・研究ユニットが主催する医療政策実践コミュニティー(H-PAC)の研究班によるものだ。

2025年には、団塊の世代が75歳以上になる。少子高齢化、人口減少社会となり、ますます厳しい時代を迎える。限られた財政、限られた医療資源の中で、どうやりくりしていくか、考えなければならない時代だ。医療政策を厚生労働省や国会、都道府県にお任せする時代は終わっている。
厳しい状況の中で、よりよい医療をつくっていくには、医療従事者や患者、家族、市民らといった政策の受け手も含めた合意形成が重要だ。今回の「医療政策版思想マッピング」の試みは、立場によって価値観のずれがあり、それを可視化するためのツールづくりである。医療に関心がある人や医療にかかわりのある人以上に、普通の市民の人たちがどれほど多くアンケートに参加してくれるかが、ポイントになる。

9月28日の日本医療・病院管理学会で発表されたパイロット調査によると、2012年12月から2013年1月にかけて、143人から回答を得た。51問を「強く賛成」「賛成」「どちらともいえない」「反対」「強く反対」の5択で回答してもらい、性別、年齢、職業、世帯年収といった属性も加えて分析している。(もちろん、匿名です)

分析をすすめると、3つのグループに分かれたという。
【1】 中道派 67人
【2】 公助派 62人
【3】 自助派 14人

言葉の通り、【2】の公助派は、「標準化された医療を公費負担で受けたい」という人たちだ。国民皆保険制度を維持し、受けられる医療は診療報酬に組み込まれることによって、誰でも同じ医療が受けられるようにすることを求める人たちだ。

逆に【3】の自助派は、「自ら選択したオプションに対し、積極的に支払う。医師や政府の関与は避けたい」という人たち。つまり、今の医療制度にある先進医療の拡大のほか、混合診療や自由診療を求める人たちだ。

【1】の中道派は、「給付が制御させることは消極的だが、受療機会が減ることは受け入れる傾向」の人たち。つまり、急激な高齢化で国民皆保険制度を維持するには、ある程度のがまんも仕方がないという考えだ。

残念ながら、回答者数がまだ少ないため、統計的優位差はみられなかったというが、傾向は見えてきたという。

62人が選んだ公助派は、49歳以下の割合が低く、65歳以上の割合が高かった。世帯年収は、300万円以上800万円未満の割合が高かった。いわゆる中間層だ。800万円以上の割合は低い。
14人が選んだ自助派は、49歳以下の割合が高かく、65歳以上の割合が低かった。世帯年収は、800万円以上の割合が高かった

ツールとして使うために、研究班の取り組みは続く。
(略)

質問の詳細はリンク先を参照いただくとして、見てみますと医療の利用状況、より身近に言えば給付と負担のバランスというキーワードで見るとなかなかに興味深い結果ではないかなという気がしますが如何でしょうかね?
細かいことを言えば「だれでも好きな医療機関を選んで受診できる方がいい?」などと言う質問もなかなかに恣意的で、何が聞きたいのかと言うことを回答者が類推しなければ「そりゃそうだよ」で終わってしまいそうな話なんですが、興味深いのはこれだけ多種多様な質問に対して回答者のグループ化というはっきりとした傾向が見られたということです。
アメリカで今だに激論が続いている医療制度改革などにも見られるように、日本では当たり前のもののようになってしまった国民皆保険制度というものも医療の高度化すなわち高額化がこれほど進んだ現代においては新規導入もままらなないほどの巨大な事業であり、逆に言えばひとたびその導入を行ってしまった国々はどこも増え続ける医療費をどうやってコントロールするか四苦八苦しているという状況にあります。
欧州などでは比較的財務規律と言う事を尊重してか、近年厳しく給付面を抑制する方向での改革を推し進めている国も増えているようですが、日本の場合とっくに話が決まっている高齢者自己負担1割の特権是正ですら未だにずるずると先送りになっていることにも見られるように、とかく今まで当たり前に受けられたサービスは未来永劫受けられて当然のように既得権益化してしまっているきらいがありますよね。

基本的に皆保険制度とは国民のためにあるという認識が一般的だと思うのですが、一部の方々にとっては「皆保険=駄目医者でも食っていける業界既得権益」的な捉えられ方をされている部分もあるようで、中には極論ですけれども「医師会の力も弱っているんだからさっさとこんなものはやめてしまえ」なんてことを言う人も(表立っての場ではさすがに少ないものの)いないわけではないようです。
医療が本当に必要な人ほど保険料が高額すぎて加入出来ないなんてことが当たり前に起こりえる民間保険主体のアメリカの医療などを見ていると、お上が全ての人に等しく用意してくれている日本の健康保険制度がどれだけありがたいものかと思うのですけれども、特にワープア化著しい若年者などにとっては使いもしない医療を支えるために高い保険料を負担させられているという不満があることは理解できなくもありませんね。
それでは実際に皆保険など医者にとってはどうでもいいものなのかと言えば必ずしもそうではないところが厄介なところで、何しろ過去半世紀にもわたって皆保険制度下での保険診療しかやったことがないという医者ばかりの世の中なのですから、病院などの診療システムもそれが存在する事が当たり前に組まれていてそこから逸脱するものに対してはひどく脆弱なことになってしまっています。

外国人 医療費未払い3300万円…千葉(2013年10月2日読売新聞)

 千葉県の医療機関で治療を受けた外国人の医療費未払いが今年3月末現在、60人計約3300万円に上ることが県が初めて行った集計でわかった。

 このうちの2人が多額で約1300万円分。県は「緊急の場合、外国人でも支払い能力、意思を確認した上での治療は難しい」と対応に苦慮している。

 県病院局経営管理課財務室によると、ベトナム系米国人女性は2012年1月、旅行中、成田空港行きの飛行機内で脳卒中を起こし、同空港から搬送された県救急医療センター(千葉市)で手術を受けた。その後、病状は改善し退院したが、医療費の一部の約100万円を支払い帰国。しかし、残りの約640万円は現在も支払われていないという。県では、女性の加入する米保険会社と交渉を続けるが、支払いの見通しはたっていないという。

 一方、フィリピン人男性は、県循環器病センター(市原市)で11年5月から10月にかけて2回、心不全で入院し、手術を受けた。連絡は取れているが、収入も少ないことなどから今も約670万円が支払われていないという。

 県が今年度、初めて行った集計によると、13年3月末現在の外国人の医療費未収金は3271万円。日本人も含めた全体の未収金(約1億7500万円)の2割近くに上る

 国籍は、フィリピン19人、中国7人、タイ5人、韓国4人など少なくとも16か国。パスポートや身分証を持たないまま治療を受け、国籍不明の外国人もいる。不法滞在のため、症状が改善すると姿をくらましたり、旅行中の病気で入院したものの、退院後、未払いのまま帰国したりするケースなどがあるという。

 県では未収金対策として05年度に対策マニュアルを作成していた。マニュアルで、保険証を持たない外国人が入院した場合、日本人の保証人をつけたり、医療費が10万円を超える際は、保証金を預けさせたりすることなどを求めるが、「緊急時はすぐに治療に入る。保証人をつけたり、支払い意思を確認したりするのは難しい」と県の担当者は打ち明ける。(石川純)

一般の客商売であればサービス提供に対して代価支払いを拒否されれば取るべき手順は決まっていますしリスク回避の方法論もおおよそ確立していますが、いちいちその都度対処に困ってオタオタしてしまう、やっと対策も取られ始めたばかりというところに医療機関の運営が本質的に性善説で行われているという状況が垣間見えるように思いますね。
とまれ近年医療機関の経営を圧迫する大きな要因にもなりかねないと懸念されている未収金問題ですが、基本的に有保険者が自己負担分を払わないケースと無保険者が支払い能力がないと拒否するケースとに大別されていて、このうち前者に関してはそもそも病院は保険者の業務を代行しているようなもので、本来自己負担分も含めて保険者が病院に全額支払うのが筋ではないか?といった意見も根強くあります。
一方で後者が問題になるのは産科のようなそもそも保険診療ではない場合と、そしてここに挙げられているような皆保険制度の対象外である外国人への診療とに大別されますけれども、特に後者の方が当然ながら緊急性を要する大病というケースもあることから巨額債務に発展しやすく、近年の観光立国日本だ、メディカルツーリズムだとひたすら外国人呼び込みに邁進している国策への懸念にも結びつきかねないですよね。
そうでなくても「あの病院はお金を払わなくても診てもらえる」などと噂になった公立病院に未払い患者が殺到するといった事例が問題視されていますが、医療の場合厄介なのは応召義務というものが課せられていて、支払い能力がないことが明らかな患者に対して診療を断る(診療契約を結ばない)ということができるのかどうかに未だはっきりした結論が出ていないことですね。
法律家の見解によれば直ちに診なければ死ぬといった緊急の場合は断れない、生保等の各種支払い支援策を説明した上でそれでも支払えないなら拒否できるといったところだそうですし、そもそも罰則規定がない以上断っても現実的に支障ないと考える医師もいると思いますが、国が応召義務を課している以上はそれによって生じた未収金も最終的には国が担保すべきだとは思いますね。

ともかくも様々なトラブルは抱えながらも皆保険制度が直ちになくなると言う予想はさすがに極端ですが、今後仮に混合診療が解禁されたり自由診療が一般化してきたといった場合に皆保険制度から離脱出来る病院はどれほどあるだろうかとも考えると、無保険者の増加もこれだけ問題化している時代に昔ながらの「まあ保険もあるし何とかなるだろう」式の漫然たる経営を続けることもまた問題無しとしないとは言えそうです。
以前に順天堂大学で会員制の有料サービスを開始するという報道があって、表向きの位置づけはともかく「通常診療においてもお待たせしない予約診療」だとか「緊急医療についても昼夜の別なくサービスを提供」などと言われると、これはまさに冒頭の記事で言うところの「自ら選択したオプションに対し、積極的に支払う」自助派的立場の方々に向けたサービスに他ならないでしょう。
この場合は大学病院でごく限定的に行われているに過ぎないということで特殊な顧客層が対象のサービスだからと納得出来る範疇ではありましたが、先日こんなニュースが出てきたことを見ると案外こうした需要も少なからずあって立派な商売として成立し得るのか?とも思わされますよね。

Yahoo! JAPANとエムスリー、医療機関の優先診療サービスを開始(2013年10月2日TechTarget)

 ヤフー(Yahoo! JAPAN)とエムスリーは10月1日、時間帯を指定して医療機関の優先診察が受けられるようにする医療機関/患者向けサービス「ファストチケット」を公開した。

 ファストチケットは、患者が希望の時間帯を事前に指定することで、優先して医療機関の診察を受けられるようにするサービス(サービスの運営はエムスリー)。エムスリーによると「医療機関は自院の混雑状況を考慮して、待ち時間が比較的少ない時間帯を中心にファストチケットを利用することで、新規患者の来院増加が期待できる」という。また患者は、ファストチケットを利用する医療機関で受診する場合、待ち時間が比較的少ない時間帯を選んで受診することが可能だ。

もちろん「3時間待ちの3分診療」などと揶揄される医療現場ですから、待ち時間短縮のサービスが出来れば誰でも利用したいだろうし多少の追加料金をそのために払っても構わないと考える人も多いのでしょうが、特に注目していただきたいのはこうしたサービスを利用する顧客層がどのような人々なのかで、「一週間前から風邪気味で」と深夜救急に飛び込んできたり最初から踏み倒す気満々といった顧客では少なくともなさそうですよね。
京都と言う街に関するトリビアとして以前から広く伝わっている「ぶぶ漬け伝説」とも言うべきものがあって、昔からあちこちで格好のネタにされてもいますし、一見さんが店に入るといきなりぶぶ漬けを出されたなんて例も(真偽の程は不明ながら)あるようなのですが、あれも要はひいきにしてくれている常連さんへのサービス提供を優先したいという考えから一見さんお断りにしているということのようです。
数を出してナンボの大衆向け飲食店でこういうスタイルをとるのはさすがに無謀ですけれども、すでにリソース一杯まで顧客を抱えていて商売としては十分成立している、さらにその上過剰顧客を抱え込んで仕事の質を落としたくないという場合には有効でしょうし、何より誰が来るか選ぶ事が出来ない客商売としては「この人なら大丈夫」という優良顧客の囲い込み方法としてはそれなりに出来ているシステムだなとも思いますね。

一般に飲食店にしろ服飾店にしろ店の方向性によって自ずと階層分け(と言う言葉が妥当なのでしょうか?)が行われているのが普通で、正装した紳士がファーストフード店に来るのも場違いならカジュアルファッションの若者が高級フレンチに入っても居心地が悪いというものですが、諸外国であれば医療の世界においても大衆向けや富裕層向けといった階層分けが存在していることが普通です。
日本では大富豪であれ生保受給者であれ同じ医療を受けられる、というより同じ医療しか受けられないという皆保険の縛りがありますからこの辺りの階層分けが不明確ですが、忙しいからとにかくさっさと薬を出してくれと言う気ぜわしい労働者もいれば、今日は長年続く体調不良についてとことん担当医と相談したいという有閑マダムもいるでしょうに、万人が同じように待合室に並んでじっと待っているというのも不思議ではありますよね。
そもそも皆保険制度とは医療を提供する側が同等同質であることが前提であるのと同時に、実は医療を受ける側も同等同質であることを前提に成立しているところがあって、ビジネスの世界で言うところの「1%の顧客が10%のリソースを消費し0.1%の利益にしかならない」などと言われるような顧客を相手にするようには出来ていないし、まして無理に対応した結果残り99%の顧客が不利益を強いられるのもおかしな話ではあります。
商売的にみても優良顧客をいかに囲い込み優良ならざる顧客にはいかに適切に対処するかが重要ですが、顧客の側からも、「質」「価格」そして「アクセス」という医療三大要素のうちアクセス規制なら受け入れられると言っている、そしてそれによって大多数の顧客に対して今よりも満足いくサービスを提供出来るようになるのであれば、これは双方にとってwin-winの関係になると言っていいのでしょうか。

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2013年10月 4日 (金)

でき婚…もとい、授かり婚が推奨される時代

ひと頃言われていたところの「でき婚」なる言葉、最近ではちょっと語感がよろしくないという声もあって「おめでた婚」だとか「授かり婚」だとか言う言葉で言い換えられているようですけれども、とにかくこのでき婚率も今や4人に1人というレベルで、地域によっては半数近くにも達するというのですからひと頃の「恋愛か見合いか」並みに「でき婚か否か」と言う構図で語られるほど一般化していると言えそうですよね。
何しろ少子化がこれだけ問題視される時代ですからどんどん産んでもらった方がいいじゃないかと言う考え方もあって当然なんですが、一方では将来親の結婚記念日と自分の誕生日とを逆算して子供が嫌な気分にならないか?といった声もあって、一般的には許容はするけれども推奨はしないといったレベルの受け止め方なのではないかという印象を持っています。
そのでき婚について先日女性誌で特集記事が組まれたというのですが、これができ婚を大いに推奨する内容だと言うので「いくら何でもそれはちょっと…」と感じている人も多いというニュースを紹介してみましょう。

「授かり婚」推奨のan・anにネットで疑問の声 プロポーズから出産まで一気に叶えられる?(2013年10月1日J-CASTニュース)

 子供ができてから結婚する「できちゃった結婚(デキ婚)」が珍しくない今日このごろ、呼び方も「おめでた婚」「授かり婚」に替わりイメージの悪さが薄まりつつある
 そんな中、「プロポーズから出産まで一気に叶える!授かり婚はこんなにスバラシイ!」という大胆な見出しが女性誌に登場した。インターネット上では「さすがに推奨するのはどうなのか」と物議を醸している。

■「アラサーには特にオススメ」と授かり婚推奨

 授かり婚の記事が掲載されているのは、「男が結婚を決める理由」をテーマにした「an・an」最新号(2013年9月25日発売)。今、結婚したい男性が増えているとして、さまざまなデータとともに男心を知るヒントを紹介している。
 中でも注目を集めているのが、冒頭でも紹介した「授かり婚」特集だ。誌面ではメリットとして(1)結婚の覚悟が即できる(2)結婚と出産、Wのオメデタ(3)すぐに家族の絆が生まれる(4)周囲に祝福してもらいやすい(5)出産までの時間がスピーディー、の5点を掲げる。高齢出産の身体的負担を考えると、タイムロスが少ない授かり婚はアラサー(30歳前後)女子にとって大きなメリットになるとも指摘する。「基礎体温をつける」「半同棲して避妊は気にしない」など成功のコツも伝授した。

 厚生労働省の調査によると、嫡出第1子出生のうち、結婚期間が妊娠期間より短い出生(=授かり婚)の占める割合は25.3%(平成21年)。第1子を出産する人の約4人に1人が授かり婚での出産ということになる。最近では「授かり婚」のカップルに特化した結婚情報サービスまで登場し、an・anのいうとおり「授かり婚」が定着してきていることは確かだ。
 しかし、いくら市民権を得ているとはいえ、積極的に推進することに対しては違和感を持つ人も少なくない。発売後、インターネット上では「なんかもう世の中こんなことになってんの?と思い、驚愕」「…喧嘩売ってるんですかね」「危機管理能力がこれから先さらに求められるようになりそうですね。男性のみなさん頑張ってください」「でき婚と授かりは計画性があるかないかで違うとかいいながら彼氏が決断してくれないなら授かりを狙いましょう的な推奨文で心底気持ち悪いと思った」といったコメントがいくつもあがった。

「さりげなく合意」で大丈夫?

 記事内には「『できたら結婚しよう』とさりげなく合意しておく」との記述もあるが、こうしたカジュアルさも批判の的になっているようだ。「授かり婚」の問題のひとつとしてよく指摘されるものに、離婚率の高さがある。「女性自身」が12年3月に行った授かり婚経験者100人へのアンケート調査では、100人中17人が離婚、12人が現在離婚を考えているという結果に。平均結婚生活期間は5年だったという。この結果をみると「an・an」のいうように、できたら結婚しようと「さりげなく」合意しておくだけでは少し不安も残る
 女性の側も、しっかりした心構えが必要になる。相手の男性に正面から「結婚」「子作り」を申し込まない以上、結婚資金や出産費用などをどこまで一緒に貯められるか不明瞭だ。また、東京・六本木にある「アヴェニューウィメンズクリニック」院長の福山千代子さん(日本産科婦人科学会専門医)は、「最近では、もともと望んでいた女性が結婚前に妊娠したというケースが多い印象。一言に『授かり婚』だから問題ということはないと思います」と授かり婚への理解を示すものの、「予想外の妊娠になるため、つわりがひどくなったり、急な結婚式の準備でバタバタしたりという心配はありますが」と付け足す。その上で「子宮筋腫など妊娠前に手術したほうがいい病気にかかっている場合があるので、しっかり検診を受けることが重要です」とアドバイスしている。

まあ結婚とはどうあるべきかという考え方には文化的背景にも関係することで、例えば海外で親が幼い子供を無理矢理結婚させているなんて話を聞けば「なんてひどい!」と言う人も多いですが、人権意識が高いと言われる欧州でも小児婚の風習はまだ残っていると言いますし、日本でも昔から幼い子供が嫁ぐなんてことは別に珍しいことでもなんでもなかったわけですよね。
天下のNHKで大河ドラマにもなった加賀藩の祖前田利家公と糟糠の妻たる正室芳春院(まつ)なども多産だった時代にも稀な11人の子供を為すなどおしどり夫婦と讃えられますが、嫁いだ時には数えで12歳だと言いますから今であれば大騒ぎになること必至ですけれども、当時は10代前半(それも数えで)の結婚は当たり前だったわけで今のように30過ぎてやっと結婚し子を産む習俗の方がさぞ異常に見えることでしょう。
話がいささかそれましたが、価値観の差異も踏まえた上ででき婚のネガティブな面を取り上げてみますと、とある調査に寄れば一般的離婚率に比べてでき婚による離婚率は3割増しほどになると言い、特に結婚後早い段階で離婚するケースが目立つというのは、ただでさえ行き違いの増えるだろう結婚と言う共同作業の開始に加えて、慣れない子育ても加わることで「こんなはずじゃなかった」と感じる人が多いということなのでしょうか。

逆に言えばある程度の期間共同生活を営んでいてお互い気心も知れ結婚生活のリスクは少ないだとか、これまた昨今多いバツイチ子持ちといったケースであればこうしたリスク重積は緩和されるのかなと言う気もするのですが、実際には若く人生経験も少ないカップルが無計画に妊娠し結婚してしまうからこそ後々のトラブルが増えるということなのかも知れませんね。
そういう意味では記事にもありますように、もともと結婚もする気だったカップルにとって一つのきっかけになるといったケースが増えていると言うのは悪い傾向ではありませんけれども、裏を返せば妊娠でもしなければ結婚にまで結びつかない場合も増えているのかなと気になるところで、先日の「卵活」騒動にも見られるように近頃の女性誌は本当に女性の関心領域に生々しいまでに踏み込んでいるんだなと改めて感じさせられます。
その卵活騒動にも関連してやはり高齢出産は様々なリスクがあって、卵子保存にしても40歳以上は認めないだとか色々と制約が多いことから改めて危機感を募らせている方も多いんじゃないかと思いますが、これまた女性誌で大いに取り上げられそうな新たな福音とも言うべき技術が実用段階に至っているという前向きなニュースを紹介してみましょう。

早発閉経の患者出産…卵巣組織を凍結、細胞培養(2013年10月1日読売新聞)

 卵子が育たず、排卵しないために妊娠・出産が難しい早発閉経の患者の卵巣組織を凍結、独自の手法で組織内の卵子の元になる細胞を活性化して、出産に成功したと聖マリアンナ医科大学(川崎市)などのグループが米科学アカデミー紀要に発表する。

 同大では、早発閉経の患者の卵巣組織の活性化による出産は世界で初めてとしている。

 同大の河村和弘准教授らによると、女性は25歳で早発閉経と診断された。ホルモン治療を受けたが排卵せず、29歳で卵巣を腹腔(ふくくう)鏡下で取り出す手術を受けた。取り出した卵巣組織をいったん凍結し、患者の体が回復した3か月後に解凍した。1ミリ四方に切った上で、特殊な培養液で卵子の元になる細胞を培養。体内で卵子に育てるために、女性の卵管を覆う膜の下に移植した。その後、採卵し、夫の精子と顕微授精させて妊娠。昨年冬、約3300グラムの元気な男児を出産したという。

早期閉経患者、さらに2人が同じ手法で妊娠(2013年10月1日読売新聞)

 早発閉経患者の卵子の元となる細胞を活性化し、世界で初めて出産に成功したと、聖マリアンナ医科大学(川崎市)の石塚文平特任教授らが1日、東京都内で開いた記者会見で正式に発表し、さらに2人が同じ手法で妊娠していることを明かした。

 早期に閉経した100人近くがすでに待機しているといい、同大以外の3病院でも実施できるよう準備を進めているという。

 同大はまた、加齢で卵巣機能が低下した女性への臨床研究も進めたいとしており、年度内にも日本産科婦人科学会に申請する方針。

 治療の詳細はホームページ(http://www.ivafertility.com/IVA/index.html)に掲載されている。

卵子の形成される過程に関してご記憶の怪しい方は復習していただきたいと思いますけれども、記事にもありますようにいったん片方の卵巣を取り出してその一部を切り出して培養することによって数も減り弱っていた卵子の元たる卵母細胞を再活性化する、この段階で体内に戻し排卵の直前段階まで成熟させたあと再び取り出して体外受精するという、なかなかにテクニカルな手技だなという気がします。
素人考えでは卵母細胞を活性化させる行程を生体内でやらないのがポイントで、試験管レベルで初めて使えるような様々な処理が行えるのが利点なのかなと思うのですが、今後様々なデータが蓄積され確かに有用な方法であると確認され手技的にも確立してくれば、こうした手法も一気に広がってくることになるのかも知れませんね。
当然これだけのことをやるのですから決してお安くはなさそうだなとも思うのですが、もともと不妊治療は不確実なものでなおかつ高価でもありますから百万単位の出費も珍しいものではなく、特に従来の手法では高い成功率が見込めなかった40代以降でも効果的ということにでもなれば是非ともという希望者が殺到することが予想されます。
聖マリとしてもその辺りが色々と難しい問題をはらんでいることは認識しているのでしょう、とりあえず母体がまだ若くリスクも少ないだろう早発閉経の患者からスタートしたのは当然の判断だったと思いますが、これまた当たり前ですが同大も言っているように卵巣機能の低下した高齢出産希望者の方が需要面では圧倒的に勝っているはずですよね。

しばしば言われることに諸外国ではロボットと言えば潜在的に人類への反逆者であると認識され危険視される傾向がある一方で、日本では人間のパートナーあるいは友人的に捉えられる傾向があることが日本がロボット大国になった理由だという説があって、その大元をたどれば「R.U.R」に対する「アトム」といった文化的刷り込みが背景にあることなのかも知れませんが、ともかく日本人は技術的進歩には比較的開明的だと思います。
その日本にしても昨今の生殖医療の進歩には一部に危惧する声も出始めていますけれども、それ以上に技術的進歩を求め歓迎する声が高まっているというのは当事者である女性向けメディアの取り上げ方を見ても明らかですし、そもそも結婚出産年齢が高齢化し続け年々生物学的には妊娠出産に不利になっていく中で産めよ増やせよと言われれば、それは何かしらのサポートでもなければやっていけないのは当然でしょう。
「それは話が逆だ。まずは若いうちにちゃんと産める世の中にするのが先だ」と言われればまことに御高説ごもっともなんですが、一方ではそうしたごもっともな主張によって今年は平均出産年齢が何ヶ月短縮しましたなどという話は一向に聞かない、他方では現実的に新技術の恩恵によって望んでいた子供を得られる方々が年々増えているとなれば、まあ大抵の心弱き子羊達は御利益が確実な方にすがりたくはなるでしょうね。
結婚だ出産だといった行為は一人で行えるものではなく最低限二人の共同作業で、一般には双方の過程や周囲の友人知人までも巻き込んだ社会的な事業でもあるわけですから、周りとしてもあれやこれやと言いたくなるのは当然なんですが、周囲がかくあるべし論ばかり言い立ててしまって一番プレッシャーを感じているはずの当事者が一向に救われないのではなんとも悲しいことですよね。

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2013年10月 3日 (木)

馬鹿発見器騒動 高質燃料となるための条件

先日は有名俳優がクレジットカード番号の記載されたレジ伝票を店員によって公開されカード停止を強いられるという事件がありましたが、個人情報の取り扱いが厳しく言われる中でこの店員はあまりに考え方が未熟に過ぎたと言わざるを得ませんよね。
留まるところを知らず社会問題化しつつある馬鹿発見器騒動ですが、そもそもSNS等の利用という手段が問題なのではなくそこに至る考え方自体がおかしいという指摘もあって、根本原因として昨今のバイト店員の質的低下を嘆く店長店主も少なくないようです。

飲食店店主激白!「若者バイト悪ラツ アホバカ行状」実話(2013年9月24日デジタル大衆)

「体と一緒に、頭も冷やせ!」と言われても仕方ないだろう。
8月初旬から発覚し続ける飲食店の不祥事だ。

若者のバイトたちは悪ふざけの一部始終をフェイスブックやツイッターなど、インターネット上に投稿
なかでも頻発しているのが、冷蔵庫に入ってポーズを決めた写真撮影である。
(略)
だが、これらはインターネットで表出した氷山の一角に過ぎない。
遅刻やバックレは言うに及ばず、若者アルバイターたちによる悪ラツ行状が横行中なのだ!

埼玉県で洋風居酒屋を営む平岩次郎さん(仮名=以下同)の被害報告はこうだ。
「彼は九州から上京し、都内の国立大学に入学したばかりの実直そうな青年でした。でも、2カ月もすると、チャラチャラして若い女性客に絡むようになったんです。会計時、お釣りと一緒に自分の電話番号を無理やり渡すので、"いい加減にしろ"と強く注意しました」

しかし、暴走は止まず
その日、常連客の20代半ばの美女2人組が来店。スノーボードの話で盛り上がっているときのことだった。
「彼が"俺もスノボに連れてってよ? 一緒に楽しも!"と割り込み、宿泊プランや自分のスノボ観、さらに、大好きだという美女モーグル選手・上村愛子の魅力を一方的に話し始めた。もう来なくなりましたね、あの2人は……」(前同)
(略)

まあしかし「そこは言わなくても判ってるよね?」という社会常識と思われていたことが通用しない時代ということなのか、上司にしてもこういう公私混同も一昔前ならまだ「今日うちの若いのが」とネタにする余裕もあったのでしょうが、今日日雇った誰も彼もがこんな調子ですとバイトと正社員とに関わらずお客の前に出す以前に接遇教育というものをもっと大々的、系統的に行っていく必要性があるということなのでしょうか。
ご存知のように近年いわゆるモンスター顧客、クレーマーと言われる問題顧客の問題が大きく取り上げられるようになっていて、相手をする側からすると「これだけ誠意を尽くしているのにこれでは…」と言いたくなるのは当然ですけれども、一方でこうした従業員側の質的低下に顧客の方でも「なんだあいつら、お客を何だと思ってるんだ」と腹に据えかねるという局面も増えてきているのではないでしょうか。
その意味では馬鹿発見器騒動もお馬鹿で考えの足りない店員側だけが問題なのではなく、同様に顧客の側にも同種の問題が発生してしかるべきと言うことですが、ちょうど先日以来大きな騒動になっているこちらの事件を紹介してみましょう。

しまむら店員に「土下座」強要 投稿者に非難殺到、炎上騒ぎ(2013年9月23日J-CASTニュース)

 衣料品チェーン「ファッションセンターしまむら」の女性店員に土下座させ、その姿をツイッター上で公開した女性に批判が殺到している。
 画像は2013年9月21日、一気に拡散した。投稿者は炎上し始めるとすぐにアカウントを削除した。

■実名公開「土下座させるお客様凄い凄過ぎる」

 投稿者は9月3日、北海道札幌市の「しまむら苗穂店」で撮影した画像をツイッター上に複数回アップした。そこに写るのは、売り場の床に正座し、手を膝の付近であわせて深々と頭を下げる2人の女性店員だ。ツイートはほぼ同じ文面だが、いずれも「店長代理●●と平社員●●」(●は編集部によるもの)と実名まで晒している
 土下座の理由については「従業員の商品管理の悪さの為に客に損害を与えた」とコメントしているのみで、具体的な問題には触れていない。投稿者と店側の間に何があったのかは分からないが、土下座の強要、「土下座させるお客様凄い凄過ぎる怖い怖過ぎる」というコメント、さらに撮影してネット上に公開する行為は、多くの人の反感を買った。関連スレッドが複数たち、炎上騒ぎに発展した。
 「理由はどうあれ、これは笑えないし不快」「土下座姿ってプライドを捨てた必死の謝罪なのに、それを嘲笑して晒しものにする行為は許せないわ」「こいつは客としての一線を超えた」「あーあー、名前まで出しちゃって。裁判なったら負けるよこの『お客様』」など多くの批判コメントがあがった。写真右端に子供の靴が写りこんでいることも「その場で見てた子供かわいそう」と、ネット民を怒らせる要因となったようだ。

クレーム対応は「ケースバイケース」

 しまむらに問い合わせたところ、「個人的なことでもありますので、コメントは差し控えさせていただいております」(広報担当者)と、今回の件について話を聞くことはできなかった。また、クレームがきた場合の社員教育は行っているものの、個別の対応についてはケースバイケースだと説明するにとどめた。
 事件の経緯については、「使用済み商品を返品できず、店に来るまでの交通費を請求したが、断られたため土下座を要求した」という話が、店員を名乗る人物らの発言としてインターネット上で出回っているが、事実かどうかの確証は得られていない。
 しかし店側に明らかな問題があったとしても、悪質なクレームは場合によって違法行為にあたる場合がある。土下座も例外ではなく、本人の意に反して土下座をさせた場合は「強要罪」にあたる場合もある。ネット上でも投稿者を非難する一方で、「しまむら側も土下座すんなよ、どうせたいした理由でもないんだろうに」「店側は客が通常業務を超えた事を求めて来た場合は従業員を守らなければいけないんだよ。実際にこういう客が来た場合は即警察に引き渡すべき」と対応を問題視する声も多数あがっていた。

<しまむら土下座騒動>土下座しても、させても会社から訴えられる?(2013年9月26日東スポweb)

「ファッションセンターしまむら」の店員に土下座させた画像と店員の実名をツイッターに投稿した主婦とみられる人物に対して、批判が殺到している。
 精一杯の謝罪を不特定多数の世界中の人が閲覧できるインターネットにさらした行為が非難を受けているのだ。一方で、店側にどのような過失があろうと、土下座させたことへの疑問の声や、土下座した店員への疑問の声も上がっている。

 法曹関係者は「土下座の強要は、強要、威力業務妨害、名誉毀損いずれにも該当します。ただ、従業員の一存で会社に無断で土下座して写真まで撮られたとなれば、服務規定違反等によって会社の名誉を毀損したことになるので、土下座した従業員に損害賠償請求をすることも可能です。被害者側(しまむら)の出方次第です」と指摘する。
 場合によっては、土下座させた客には刑事、土下座した社員には民事で責任を追及することが可能だという。
「ただ、商品トラブルで騒ぐ顧客をケアする警備員の配置や、土下座店員の上司のケア等、店舗の人材配置や管理に問題があったことも争われそうです。クレームにおびえて土下座する店員を生んだしまむらの社内教育が問題になりそうです。『できないことをやれというのは強要です』『店頭で大声を上げるのは、他のお客様に迷惑です』などと毅然とする部分も必要でしょう」(同)

 ドラマ「半沢直樹」ばりに土下座させるなんてことは、現実にはそうそうないが、過去に量販店や役所の担当者に土下座させたことがあるクレーマー男性はこう明かす。
「クレーマーが店員や店長を土下座させて謝罪文を書かせるなんていうような手口は昔からあります。店から威力業務妨害などで通報される前に、自らを『店にだまされた』として詐欺被害者ぶって先に110番通報しておくんです」
 土下座店員騒動はまだまだ波紋を広げそうだ。

記事にもある通り法的にはなかなかに難しい問題をはらんでいるようなのですが、とりあえず世間として「これはアウト」と言う共通認識が形成されているようですから、当然ながら炎上もするし非難も殺到するということで、すでに件の顧客の個人情報が続々晒され住所氏名は元より家族の写真まで流出しているというのですから穏やかではありません。
こうした炎上騒動のたびに個人情報が執拗に追求され晒されるということが常態化してきているわけですが、これまた法的にはそもそも当の本人が自分で公開していた情報ばかりであるということでなかなかに難しい議論になるようで、いやしくもクレーマーたるもの平素から身の回りの情報整理もきちんとしておくべきということでしょうか?
冗談はともかく一連の経緯を見ると常習者と言うよりも一過性のクレーマーと言いますか、モンスター顧客としてはどうもまだ素人に近いのかな?という印象も受ける事件なのですが、何事にもやり過ぎはいいことではないというのは店舗側、顧客側そして周囲で見ている第三者側それぞれについて言えることで、全ての関係者にとって後味の悪い事件であったとは言えそうですよね。

先日の衆院選に当選するのと前後して様々な秘密を隠していたとして相次ぐスクープに晒されている某俳優が、特定秘密保護法案に反対していることについて自分もプライベートで様々な秘密を隠し持っていたじゃないかと追求され「もうプライベートの秘密はない。これからの社会は、情報公開が大切だと痛感した」と言ったそうですが、まさに今の時代秘密を保つということは極めて困難になってきたと言うことです。
ただ困難だとは言っても何でも開けっぴろげに晒されていると言うわけではなく、山のような無意味な情報の中から少なくない手間暇をかけ情熱を持って探し出さなければ見つからないという意味では、興信所を使って身辺調査をやれば家庭内の秘密まで割り出せてしまうといった昔ながらの状況と実は本質的な差はないとも言えそうですよね。
興信所の調査もネットでの追求も結局は同じことなのでしょうか、調べればいい情報も悪い情報も入ってくる中で総合的にその人の人となりを判断される側面があるようで、単なる一過性に馬鹿を晒される段階から大々的な炎上騒動に至る発端としては「こいつ以前にも同じようなことやってる」と言う情報が出回ったときというのが一番多いように思います。
要するに「馬鹿も一回だけなら許してもらえるが二回目以降繰り返すのは」という、これまた昔ながらの当たり前のことがネット上で拡大再生産されているとも言えるのですから、馬鹿を晒した人ほどよくよく反省し勉強もして二度と同じ馬鹿を繰り返さないよう学ぶ必要があるということなんでしょうね。

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2013年10月 2日 (水)

佐川がアマゾン配送から撤退の衝撃 無料配送のつけは誰が支払うべきなのか?

不詳管理人もよく利用しているのですが、昨今ネット通販というものが大変に便利になっていて日本全国どこでも素早く配達してもらえる、それはそれでもちろんよいことなのですけれども、一方では既存小売り店の経営を圧迫しているという声も根強くあって、最近では新たな中小小売店向け販促サービスなども登場し巻き返しが期されているようですね。
それはともかく、ネット通販がここまで台頭した理由として様々なものが挙げられると思いますが、そのうちの一つとして送料無料サービスが非常にありがたいという声が大きいのも確かで、それだけに先日飛び出してきたこんなニュースは今後どのような影響が出てくるのかと注目せざるを得ません。

佐川急便、アマゾンの負担転嫁に耐えられず取引停止…ヤマト一極集中への懸念(2013年9月29日ビジネスジャーナル)

(略)
●ヤマト運輸に重くのしかかる負担

 同誌は第1特集「物流 最終戦争」で、物流業界に迫っている。「日本の物流業界の勢力図は、ネット通販の巨人、アマゾンが決めている。佐川急便の取引返上の深層とは。そして王者ヤマト運輸は次世代戦略をどう描く」という内容だ。

 売り上げ拡大一辺倒だった佐川急便の顧客に対する値上げ交渉が9月末で終了する。驚きをもって迎えられたのが、ネット通販大手、アマゾンとの取引のほとんどを返上したことだ。

 「アマゾンは当日配達地域の拡大、送料の無料化など、配送サービスの拡充を強力に進めてきた。その負担を転嫁されることに耐えられなくなった佐川は、大幅な値上げを持ちかけて決別した」。SGホールディングス(佐川グループの持ち株会社)の栗和田榮一会長は「海外では、サービスをすればきちんと対価を払うのが原則。よいサービスをしても、ろくに払ってもらえないのではおかしい」と語り、採算重視路線への転換を決めたのだ。

 アマゾンの宅配便は事実上の「ヤマト一極」となったが、不安材料がある。「佐川の分まで引き受けて、今後も荷物が増加し続ければ、ドライバーをほとんど正社員で抱えるヤマトの負担は際限なく膨らむ」のだ。

 また、ネット通販業界では、産地から直接出荷・販売している業者(産直業者)や、メーカーの通販を囲い込む動きが活発だ。アマゾンのマーケットプレイスや楽天のスーパーロジスティクスといったサービスがその典型だ。

 「彼らの使う物流センターが急ピッチで増設されている。アマゾンが9月に世界最大級の物流センターを神奈川県小田原市で稼働させたほか、楽天も今後2年ほどで全国に6つの大型物流センターを新設する」

 「アマゾンや楽天も、われわれにとっての競争相手になる可能性がある」とヤマト関係者が語るように、物流をめぐる戦いは業種の壁を越え、顧客企業といえどもライバルになる、激しい時代を迎えているのだ。
(略)

佐川急便「アマゾン切り」の理由 「採算がとれないと判断」?(2013年9月30日J-CASTニュース)

 宅配便大手の佐川急便(SGホールディングス)が、インターネット通信販売のアマゾンとの取引をやめた。

 これまでアマゾンを利用すると、多くのケースで佐川急便かヤマトホールディングスから荷物が届いたが、同社が取引を打ち切ったため、ヤマトが事実上の独占状態になっているようだ。

■配達個数増えても、収益増えない事業構造

 宅配便業界にとって、アマゾンなどのネット通販はいまや一番の「お得意先」。経済産業省によると、国内のBtoC Eコマース市場規模は、2012年は全体で9.1兆円規模に達した。宅配便市場も、この10年間で28億個から34億個へと2割超も拡大。それをけん引しているのがネット通販だ。ただ、配送単価は下落している

 こうした状況に、佐川急便は収益改善を進めており、その一環がアマゾンとの取引打ち切りとされる。同社は「個別の取引のことはお話しできません」としているが、取引停止について、否定も肯定もしていない。

 取引停止の理由には、「適正な利潤が稼げなくなったから」、「春先から、佐川急便がアマゾンに値上げを交渉したが破談になった」との情報がある。

 アマゾンは当日配達の地域拡大や送料の無料化など、配送サービスの拡充を強力に進めることで多くのユーザーを獲得してきた。一方で、こうしたサービスの負担を、佐川急便などの配送業者が負ってきたのもまた事実のようだ。

 週刊東洋経済(2013年9月28日号)によると、佐川急便がネをあげたのは事業インフラが要因と指摘する。佐川急便は配送の一部を外部委託していて、配達個数が増加すると委託業者に支払う用車費も増加するため、「アマゾンが求める値引き以上に用車費が下がらないと、不採算取引になる」という。

 そのため、ネット通販大手のアマゾンといえども、このまま取引を継続していては採算がとれないと判断したようだ。

配送は「自前」の時代になる?

 しかし、佐川急便が手を引いたからといって、ヤマトホールディングスが「安泰」というわけではないようだ。

 その理由の一つは、単純に仕事量が増えること。ネット通販の利用は右肩上がり。なかでもアマゾンの利用は急増している。加えて、佐川急便の分まで引き受けて荷物が増え続けるとなると、多くの正社員で作業を賄うヤマトの負担はかなり膨らむ

 「個人向けの配達が多い郊外では、アマゾンの配送や荷動きのチェックなどの作業が増えて、仕事に追われる」との声もある。

 もう一つは、ネット通販では産地から直接出荷・販売している業者やメーカーの通販を囲い込む動き、また、たとえばセブンミールやカクヤスなどのように自前配送を実現しているところが増えていることだ。

 さらに、アマゾンや楽天も自ら物流に参入する動きがあるとの見方がある。首都圏のほか、地方などにも物流拠点を建設。自らが配送業者として、あるいは配送を委託するにも、全国にネットワークを有するヤマトよりも安い単価で運んでくれる地場の中小配送業者に委託してコストダウンを図るというのだ。

要求高くて対価は低い 佐川がアマゾンとの取引撤退 宅配業界大揺れ(2013年10月1日産経新聞)

 日本独自の発達を遂げた宅配システムは、ついに首都圏などかなり広い範囲で「当日配達」が可能になるほどスピードアップした。その原動力は、ネット通販の世界最大手であるアマゾンだ。同社の当日配達実施率は、人口ベースで全国の8割近くまで達した。ネットで注文したその日のうちに商品が届くうえ、ほとんどのケースでは送料がかからない。(フジサンケイビジネスアイ)

 だが、宅配業者にとってアマゾンについていくのは、容易なことではない。宅配便2位の佐川急便は、今年4月にアマゾンとの取引のほとんどを返上した。数量の変動が大きく、時間指定を含めサービスの要求水準が高い一方で、対価は極めて低かったからだ。

 2000年にアマゾンが日本に進出したときには、日本通運の「ペリカン便」が宅配業務を担当していた。それを佐川が引きついで、業界首位のヤマト運輸とともにアマゾンの配送を支えてきた。今回、佐川が撤退を決めたことで、アマゾンの宅配業務はほとんどヤマトが一手に支えることになった。

 ヤマトと佐川は、国内の宅配市場のシェアがそれぞれ4割前後。わずかにヤマトが上回る程度だが、配送を支えるネットワークの構成は大きく異なる。ヤマトが国内に約4000の営業拠点を持つのに比べ、佐川はその1割程度。配達員の数も半分程度でしかない。

 もともとヤマトのインフラは個人間取引を前提にできているが、佐川の場合は企業間取引がベース。その差が拠点数などに現れている。佐川は、配達員の数が足りない分は「アンダー」と呼ばれる下請けを起用して補ってきた。

 配達員のほとんどが社員であるヤマトでは、配達する荷物が増えるほど効率が上がる。だが、下請けに依存する度合いが高い佐川では、数量の拡大は外注費増に直結する。その分だけ、アマゾンからの値引き要求の打撃が大きかったとみられる。佐川は、今後は原点である企業間物流に活路を求める。

 一方のヤマトも安泰ではない。佐川の仕事の一部は日本郵便の「ゆうパック」が引き継いだが、配送品質が心配なアマゾンはこの仕事をしばらくヤマトに任せる方針だ。急激に増えた仕事を、ヤマトは配達員の残業で何とか回している。さらに物量が増えたときの人件費増をどうすべきか、ヤマトにとっては頭の痛い問題だ。

 アマゾンへの対応をめぐり、日本の宅配業界は大きく割れた。だが、企業がそれぞれの特徴をはっきりさせて生き残りを図るのは当然のこと。問題は、これがコップの中での争いに過ぎないかもしれないことだ。

 独DHL、米UPS、フェデックスなどは、グローバル企業のサプライチェーン改革や新興国市場の拡大を手掛かりに急成長している。彼らにとって、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を含めアジアでの自由貿易圏拡大は強い追い風だ。

 近い将来にアジアが主戦場となる流れをよそに、国内の過剰サービス競争に明け暮れているようでは大きなチャンスを見逃すことになりかねない。(「週刊東洋経済」副編集長 西村豪太)

記事にもありますけれども、消費者の側からすれば送料無料というサービスはありがたいしその分は売り主である通販業者が勉強しているものだと思っている、しかし実際には通販業者の側ではそのコストを単に流通業者に転嫁していただけで、いわば自らは損をすることなくおいしいところ取りをしていたという構図だったようですね。
当「ぐり研」でもかねて物流業界が様々な問題点を抱えていることを紹介してきましたようにこの業界はもともと荷主のコスト要求が非常に厳しいことで採算性が低く、それに加えて昨今では労働がきつい上に給料も安いと新規参入者も少なく、ベテランドライバーが一斉に退職していく近い将来には深刻な物流機器が訪れそうだという予測もあるようです。
やはりこれだけ手間暇かけて迅速な作業を行うからには人件費も通常以上にもらわなければ割に合わないのは当然なのに、実際にはむしろコスト切り下げばかりが推し進められているというのは非常に深刻な状況ではないかと思いますけれども、それではその適正なコストを誰が負担するのが妥当なのかということですよね。
今回の件に関連して当日配送の実際がどんなものなのかと取材した記事が出ていますけれども、その中にこんなエピソードを紹介しています。

送料無料は「労働タダ」ではない ヤマト運輸の「当日配送」に密着した(2013年9月25日日経ビジネス)より抜粋

(略)
 特集内でも触れたが、昨年秋、アパレル専門通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイの前澤友作社長は、物流に関する「失言」で大きな非難を浴びた。

 きっかけは同社の顧客が次のようにツイッター上でつぶやいたことにあった。「(商品が)1050円なくせに送料手数料入れたら1750円とかまじ詐欺やろ~」。これに対して、前澤社長は「ただで商品が届くと思うんじゃねぇ」「ヤマトの宅配会社の人がわざわざ運んでくれている」と反論し、インターネット上で炎上した。

 批判の矛先は、主に前澤社長の言葉遣いに対して当てられた。しかし同時にネット上では、「送料無料はもう当たり前。なぜゾゾはできないのか」という意見が上がった。一方で「何でもタダだと思っている顧客側の意識がおかしい」と擁護する声も出て、大きな議論となった

 当時、この議論に対して私は、恥ずかしながら「ゾゾも送料無料にすれば、こんな批判を浴びずにすむのに」と安易に考えていた。「送料無料」であることに対して、「(本当は商品価格などに転嫁されているが)、コストとして目に見えて金額を支払う必要がないのだから、労働力もそんなにかかっていないのではないか」と勝手に思い込んでいたのだ。もちろん、労働力がゼロということはないだろう。だがついつい、「送料無料」という言葉に隠された労働に対して、思いを及ぼすことをやめてしまっていた。クリックすれば、当たり前のように商品が数時間後には手元に届く。そんな「アマゾン生活」にどっぷりと慣れ切っていたのだ。

 今回、当日配送の裏側に密着して、自分自身が抱えていた勝手な思い込みを、改めて再認識させられた。「送料無料」は、何も「労働ゼロ」ではない
(略)

労働者が労働に対して正しく報われることがないのであれば、それはすでに労働ではなく搾取とか奴隷とか言われるべきではないかと思いますけれども、仮に「俺は宅配業者勤務じゃないから関係ないし」と安易に考えているのだとすれば、自らの所属する会社が取引先から不当な要求を突きつけられ回り回って給料が削られることになったとしても文句は言えないということになるでしょうね。
そして他人の労働に対してはそれなりに対価を支払うという顧客側の意識改革と並んで、今回の件で注目されるのが今後独占的に配送を引き受けることになるヤマトがどうするのかということなんですが、同社にしても厳しい経営の中で大口顧客と厳しい価格交渉を続けてきたとは言え、現に同業他社が撤退までしていく中で今まで通りのやり方でいいのかどうかは十分再検討する必要がありそうですね。
経営者視点からすれば「俺だって板挟みで苦労してるんだ」と言いたいでしょうが、従業員からすればやはり業務命令で厳しい職務を日々こなしている以上よくも悪くも経営者に最終責任をとってもらわないことにはやっていられないというもので、外からの圧力に対してスタッフを守ることもまたブラック企業と言われないためトップに求められる重要なポイントだと思います。

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2013年10月 1日 (火)

似非科学の蔓延 トンデモさんの鑑別法とは?

「漫然と大病院に行き、漫然と薬を常用する「自立できないおいしい患者」は「ダメ医者」を太らせ、病気とも縁が切れない」と言い、癌患者向けの情報提供サイト「e-クリニック」を立ち上げるなど患者への情報発信を積極的に行っている岡本裕医師が先日こんなことを書いていましたが、冒頭の一部なりと抜粋させていただきましょう。

40歳過ぎのランニングは「元気の浪費」 「患者リテラシー」の有無で健康寿命は決まる(2013年9月13日日経ビジネス)より抜粋

-岡本先生は、がん患者同士の情報交換や治療へのアドバイスを行うウェブサイト「e-クリニック」を運営されて12年になります。患者の自立度が治療結果を大きく左右すると以前から強調されています。患者の自立というのは、どういうことですか。

岡本:病気が治るというのは、医者が治すんじゃないんです。自分で治すという意志がないと治りません。患者自身が、何が正しく何が必要かを見極めていく力をつけることが一番大事です。それが自立です。
 医者というのは本来、活用するための存在なんです。医者の限界とか守備範囲を知って、患者がある程度対等にならないと活用できません。コンピューターと一緒です。いくら素晴らしくても使い方が分からなかったら使えないし、そもそも万能でもないでしょ。
(略)
-自立していないおいしい患者は高齢者に多いのかもしれませんが、ビジネスパーソンはどうでしょうか。特に現在の40代以下の人は若い頃からパソコンとインターネットを使っているので、情報収集能力の高い人は多いと思いますが。

岡本:情報収集よりも、大事なのは情報を取捨選択する力です。何が正しいか正しくないかという、見極めの力を持っているかどうか。
 例えば日本人ってダイエットの情報が好きですよね。最近だと糖質制限ダイエットなど、はまっている人は多いですね。でも、それを長く続けたらどうなるのかなと、それで健康になれるのかなと疑問に思うのが、リテラシーであり自立だと思うんですよ。

-「炭水化物を摂らないと、脂肪が燃えて痩せる」という説明で納得していましたが。

岡本:だとすると、人間の体は炭水化物を必要としないように進化しているはずですが、そうじゃないでしょう。
 基本的に、極端なところに真実はないと思います。生物の体というのは曖昧にできているので、糖を全く摂らないとか、不自然な極端なことをして健康になれるはずがない。自然から離れすぎると体に悪いんじゃないかと考えるのがリテラシーでしょう。薬も同じです。一時しのぎに使うのはよいけど、常用すると寿命を縮めます。
(略)

岡本氏の主張もかなり極端なところも多くて、必ずしも全面的に賛同できないという方もいらっしゃるかと思いますけれども(苦笑)、ただこの自立していない患者が多いという点は実感として大いに判るという意見も多いかと思います。
良い患者の定義というのも色々とあって、人によっては「黙って医師の言うことに黙々と従うのが良い患者だ」と言う人もいるかも知れませんけれども、やはり患者の自己決定がなければ一歩も進めなくなっている今の時代にあっては、医療側から見ても理解しようする意志と正しく決断する能力を備えている患者こそが良い患者であるという考え方が出てきておかしくないですよね。
その前提条件として正しい情報をきちんと必要なだけ仕入れるという作業が必要になってくることは自明である一方、多くの多忙な臨床医達が「そうは言っても理解力も千差万別な患者が大勢いるのに、全部が全部きちんと理解できるまで説明するのは無理だよ」とくじけそうになるところを、患者向けの情報サイト運営という形でボトルネックを解消しようとしたところに岡本氏の功績があるのかなという気がします。

さすがに新聞テレビしか情報源がないという、いわゆる「情弱」な方々はさておくとして、今の時代その気になれば幾らでも情報の量だけは揃いますけれども、怪しい代替医療の宣伝サイトなどといった例を出すまでもなく、過剰とも言えるほど山積している情報の中から必要かつ正しい情報を取り出していくという作業は確かに非常に重要性を増していると言えますよね。
例題としてしばしば取り上げられるDHMOなども個々を見れば嘘ではない情報が正しい結論を導くとは限らない好例だと思いますが、何しろ多くの場合商売が絡んで言わばプロが騙そうと思って騙しに来ているのですからタチが悪いと言うもので、多くの場合その方面の専門的知識がないだろう情報の利用者としてはある程度情報のソースに対する信用度によって情報の信頼性を判断するしかないわけです。
以前にホメオパシー問題を取り上げた際に、彼らホメオパスシンパが「多数の科学者がホメオパシーの有効性を認めている!」と言い張っている、そのソースを辿っていくと同類とも言うべき代替医療論者の論文ばかりだったというトンデモないオチがありましたが、やはり長年の試行錯誤の果てに成立してきた現代の真っ当な科学的検証の手法というものには一定の敬意を払うべきではないかと言う気がします。

「科学」にだまされないで 健康食品のウソ・ホント/有路昌彦(2013年9月24日日本経済新聞)

 「体にいい」とうたわれているものの多くには、いろいろと「非科学」の世界が広がっています。問題なのは、非科学であるにもかかわらず、科学のふりをするものが巷にあふれていることです。
 例えば比較的最近の例では、消費者庁からおとがめを受けたものとして「マイナスイオン」があります。マイナスイオンの効果については懐疑的な意見を持つ科学者が多いにもかかわらず、大手企業はあたかもそれが科学的に確立した機能のように商品を販売しているケースもあります。科学論文を読む機会がない人々の間では、効果があることの方が常識になっているような状態です。

■酵素は体内で分解される

 食品の世界はさらにいろいろなものがあり、しかも次から次へと生まれてくるのでキリがありません。今回は最近流行りの「酵素」について取り上げましょう。ここで言う酵素とは「酵素ドリンク」など健康食品の世界でブームになっているものです。
 そもそも酵素というのは高次のアミノ酸化合物(タンパク質)であり、代謝系に何らかの働きをもたらすものです。人の消化・代謝は酵素の働きによるものが多いことは広く知られています。
 酵素は生命の活動の重要な要素になっており、それゆえ植物や動物などの多くの生物が酵素を持っているわけです。そこから、「酵素を摂取すれば健康になる」とか、「アンチエイジング効果がある」という話が出てきているようです。

 ちょっと冷静に考えてみましょう。
 タンパク質は体内に入るとアミノ酸に分解されて小腸で吸収されるというのは、中学校までの生物で学んだとおりです。酵素もタンパク質の一種ですから、体内で分解され、体内で必要な分だけ必要な形に合成され、生命の活動に使われます
 酵素を口から飲むと、分解されるわけで、その酵素の効能が得られるという科学的根拠はどこにも存在しません

■「科学者」にだまされない

 こういった非科学で問題になるのは、それを科学のように見せる科学者の存在です。
 私も研究者としてこの点は特にはっきりしておきたいところですが、学会で発表したとか、研究しているという程度のものを科学と呼んではいけないと思っています。しっかりした学会の論文として、査読のプロセスを経て掲載され、手順を踏んだものを科学と呼ぶべきと考えています。
 例えばある食品を与えるグループと与えないグループの比較対象実験を行ったとします。そのグループの差異を生み出す要素が、その与えた食品以外、完全に同じにしてこそ実験の意味があります。しかし、その状況を整えることは、それほど簡単ではありません。
 また統計学を専門としている立場から見ていると、統計の数字を都合のいいようにいじる人が、残念ながら研究の世界には存在しています。そういったものを排除するのが査読というプロセスなのです。
 つまり、「○○大学の○○教授が効果があると言っている」は、科学的根拠にはなりません。その先生の論文が、査読を経てその学会で認められてこそ、初めて効果があるという科学的根拠になるでしょう。

■危険を煽ってるものこそ危険

 実は、簡単に非科学と科学を見分ける方法があります。「マッチポンプ」をしているかどうかです。
 「世の中の食べ物は何を使っているかわからないので危険。だけどこれを飲んだら健康になれる」というようなものです。「危ない」と危機感をあおって、これで危険から回避できると自社の商品を売り付けるマーケティングの方法を、マッチポンプ商法と言い、古くから使われています。
 そういう食品の大部分には、まず疑いの目を向けるのがよいでしょう。

 先進国において、食べ物に危険なものなどほとんど存在していません。食べ物のリスクは過去と異なり、現在は厳しい管理下に置かれ、細菌やヒスタミンなどの食中毒以外、リスクは極めて低いからです。欧州でリスク管理の目安となる、100万分の1以下のリスクに抑えられており、ほとんどが1億分の1以下です。
 「危険」という言葉がもつイメージは、食べたら50%くらいの確率で健康被害を受ける感じではないでしょうか。実際には、それとはかけ離れて小さなリスクなのです。
 それを「危ない!」と言いきって物を売る商法には、乗らないほうが賢明なのです。

こうした話が出ると一方では決まって「頑迷な科学界の無理解」だとか「御用学者の陰謀論」なんて反論が飛び出してきて収集がつかなくなりますけれども、科学者であれば誰であれ人が考えたこともないような画期的な 新しいアイデアを夢見ているのは当たり前のことで、ただその検証が正しい手法で行われているのでなければ世に数多く噴出するトンデモさんと区別できないの ですから、これはまともに相手にされないのは当たり前ではないでしょうか。
学問の話は難しいと言われる方には商売の話で考えてみれば判りやすいかも知れませんが、例えば健康食品などに関して言えば今時世界中の巨大製薬資本が少しでも有用そうな物質を実用化して大儲けしようと鵜の目鷹の目で探し回っている中で、そうした網の目にすら引っかかってこないようなものは大抵箸にも棒にもレベルと考えていいのかなという気がします。
とはいえそうした判断もある程度基礎知識がないと難しいところで、一般市民からすればいずれも聞いたこともない企業が出している何かと言う以上の知識もない以上、そこで自ら疑いをもって積極的に情報収集をするか、それとも判らないがとりあえず信じて疑わず大金を投じるかと言うことが詐欺紛い商法に引っかかる分かれ目になるということなのでしょう。
こうした詐欺紛い商法のもう一つの特徴として昨今気になるのが確かに体に悪いものではないし正しく使えばそれなりに効果もあるかも知れないが、しかしいくら何でもその単価はボり過ぎだろうと言う相場無視商法(仮称)の存在で、月数百円の血圧の薬を飲みたくないからと毎月数千円の健康食品を飲み続けていると言ったケースなども大きくはこの範疇に含まれるのかも知れませんね(ナニワのおばちゃんの健康食品利用率はどうなんでしょう…)。

そもそも科学的リテラシーがどうやって養われるかということを考えた場合に非常に気になるのが、昨今学校でまともな科学指導が出来る教員がいないと言う問題で、科学技術振興機構(JST)の調査によれば実に7割の中天文部や生物部のような科学系の部活動(科学部)がなく、こうした科学部に所属している生徒は全体のわずか1%に過ぎないという現実があります。
その理由として顧問となる指導者がいないことが7割に上ったと言いますから指導者層からして科学的リテラシーの欠如があり、それが世代を超えて伝播し始めていると言う可能性がありますけれども、この調子ですと科学立国日本などと胸を張っていられない悲しむべき未来絵図が想像されてしまいますよね。
冒頭の岡本氏のような個人レベルの努力に頼るのではなく公的な支援システムが望まれるところなのですが、例えば厚労省が難病に関する臨床医からの質問に専門家が答える「難病医療支援ネットワーク(仮称)」を設立することに決めたと言うニュースが出ていて、そうしたサービスの一般版が出来れば有用性が期待出来そうに思います。
今現在もネット上で自由回答の掲示板などが各所で稼働していますが、一つには回答者の質的担保(トンデモの鑑別をしたいのに答えるのがトンデモさんでは仕方ありません)と言う点と、もう一つは専門家を拘束するのであればコスト負担がどうなるかが問題になりますが、幸いにも今やスマホ全盛の時代ですから少額の課金で専用アプリを購入してもらうようにすればいいんじゃないかなと思いますね。

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