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2013年9月10日 (火)

意外に身近な場所に人生転落に至る落とし穴が?

本日の本題に入る前に、臓器移植技術が進んだ結果移植すれば助かるということで需要は年々増加している一方で、供給にあたる臓器ドナーの数は世界的に見ても常に不足気味でWHOからも海外渡航による臓器移植は避けるべきだとする勧告が出るなど、言ってみれば世界的に臓器相場が高騰し奪い合いと言ってもいいような状況になっているのは周知の通りです。
最近では中国国内での臓器摘出が「臓器狩り」などと報じられることがありますけれども、この場合は国家による強制的な臓器収奪として人権侵害と絡めて問題視されているわけですが、貧しい第三世界などでは臓器売買は貧困者が大金を稼ぐチャンスであると認識されていて、フィリピンなどでは先年臓器売買が合法化されたなどと話題になっていましたよね。
そんな中で日本でも貧困者が臓器を売るということがかなりの数行われているらしいと言う話は噂として流れてはいましたが、その実際の様子が先日記事になっていました。

「借金抱えた奴らの腎臓は600万円」ブローカーが語る臓器売買の闇(2013年9月4日日刊ナックルズ)

 「臓器売買」とは、臓器移植に際して金銭授受を伴って人間の臓器を売り買いする行為のことだ。これは都市伝説などではなく、世界各国で秘密裏に、また公然と行われ、そのうちのいくつかは事件として報道されてきた。
 国内では、2006年の「宇和島臓器売買事件」で初めて臓器売買の実態が明らかになり、2011年に起きた「生体腎移植売買仲介事件」では暴力団の介入が判明した。
 臓器売買は今でも実際に行われ、巨大なマーケットを形成している。なぜなら需要があるからだ。
 そこには数々の「闇ルート」が存在し、そのなかの複数は海外にもネットワークがつながっている。また、それぞれの闇ルートにはさらに複数の「臓器ブローカー」が存在し、生きた新鮮な臓器を欲しがる客に、ブツは引き渡されていく。
 そんな闇のビジネスに関わっていた「元臓器ブローカー」に話を聞くことができた。元暴力団関係者で仮にX氏とする。彼はこともなげに口を開いた。
「そんな話、聞いて何が面白いんだ? よくある普通の話だろうが」

――臓器売買に今でも関わっている?

「今はやっていない。入国が厳しくなってきたのもあったしな。俺がやっていたのは平成15年から5年くらい。その間、中国を何十往復したかわからないよ。その時は名義上、貿易業を営んでることになっていたから仕事ってことで入国してな。まあ、今もやっている奴がいるから迷惑がかからない程度にしか話せないよ」

――具体的には何をどう扱っていたのか。

「俺が扱ってたのは腎臓だけ。買い手がいくらでも見つかるからな。腎臓は借金を抱えた奴らが提供者になる。その金を元手に何かやろうなんて野心のある奴はまずいないよ。借金地獄で何年も不良に金利を吸い取られて、親戚からも見放され、身内にも誰にも頼れなくなった奴らだな。戸籍も売って最後の最後に売るのが臓器。いま、不景気だからさ。そんな奴らがこの世の中には腐るほどいるんだよな」

――中国では何をするのか。

「腎臓の摘出手術だよ。日本国内だといろいろうるさいからな。中国でやるのがいちばん手っ取り早い。その提供者と一緒に中国に渡るわけだ。当然、その旅費、ホテル代とかも提供者に払わせる。腎臓は1個600万円でそれが中国人だと相場が300万円。その1割が俺の仲介料になる」

――腎臓を摘出して大丈夫なものなのか。

「2つあるうちの一個を取るだけだから生きてはいられるけど、長生きはしないだろうな。必ず身体にガタが来る。それに摘出手術だって、中国でやる以上は気を抜けない。中国人は全く信用ができないからな。腎臓取った後に難クセつけてきて値切るのはザラだし、手術に立ち会ってなければ、2個取って手術中に出血がひどくて死んだ、とか平気で言ってくる。俺が知ってる範囲だけでも中国で死んだ人間は20人はいる。それもさっき言ったように、中国人に誤魔化されて、2個取られたようなケースでな」

――どんな手順で中国での手術は進むのか。

「中国に入ったら、まず病院で検査を受ける。その前に日本で精密検査してるから、そこで問題が起こったことはない。検査に合格してホテルで待機してると、2~3日後に向こうから手術日と病院名が伝えられてくる。その間に、買い手のブローカーに話がまわる。腎臓は人気だから、新鮮な臓器は常に順番待ちの状態なわけだ。腎臓の提供者には手術前に半金、手術後に半金を渡す。俺は手術を見届けたらすぐに帰国。提供者はその後、手術して1~2週間入院するけど」

――今までに何人くらい中国に連れて行ったのか。

「300人くらいだな。年に50~60人ってところ。これだけ人数が多いから、俺は1割のマージンでもやっていけたわけだ。街金を通して腎臓を売りたいって奴らはひっきりなしに来る。そっちからも報酬で出るから、結構いい稼ぎにはなったな。それに日本人の臓器は結構いい値がつくらしいんだよ。その代わり、買い手から敬遠されるのはフィリピンとか。あそこは麻薬とかで汚い腎臓が多いらしいよ。まあ、こんなところで勘弁してよ。臓器の話は」

 どんなに高い金を支払ってでも臓器が欲しい者、そして自分の臓器を売ってでも現金が欲しい者がいる。世界の歴史を振り返っても、需要があるものに関しては経済市場から消えたことがない。このX氏にしても巨大な地下マーケットのごく一部分に過ぎず、「臓器売買」の全容を解明するのはほとんど不可能だろう。経済不況が続く近年は、さらに臓器売買が活発になっていることが予想できる。人間の欲望はどこまでも深い。

腎臓600万が高いか安いかと言うことは微妙なところだと思いますが、記事にもあるように日本人の臓器が高く売れるというのは比較的状態が良いという現実的な理由があってのことなのでしょう、こういうマーケットの相場観が形成される程度には当たり前に売買が行われているということでもありますよね。
記事の信憑性がどれほどのものなのかは何とも言い難いのですが、注目してもらいたいのはたった一人のブローカーが年間50人~60人という単位で腎臓の仲介をしていたということで、もちろんそれがそのまま日本人向けに売られているという訳ではないのでしょうけれども、国内での生体腎移植がせいぜい年間700人規模で死体腎を入れても1000件に届かない現実を思うとき、そのスケール感が理解いただけるかと思います。
国内で合法的な手段で腎移植を受けている限りはまずこうした臓器に当たる確率は低いと思いますが、記事にもあるように実質的な臓器売買事件が国内でも発生していることを考えると事実レシピエントも一定数存在していると考えざるを得ませんから、それこそ人工臓器なりが開発され需給バランスの崩壊による高価格が是正されない限りはどこかで臓器のやり取りは続くものとみて間違いないのでしょうね。

臓器が高く売れるとは言っても臓器摘出による健康被害を考えると生涯的な収支計算では数百万の売値では到底割に合わないと思いますし、そうであるが故に大多数の人々は身内に提供したいといった差し迫った事情がある場合でもなければわざわざ臓器を取り出そうと考えはしないでしょうが、文字通り体一つになってもまだ売れるものがあるというのは状況によっては魅力的に思えるのでしょう。
冷静になって考えると記事にあるように借金漬けで追い詰められた状況で一時的な収入があったとしても問題を先送りするだけじゃないかと言う気もするのですが、国内ではこうした臓器売買を防ぐためという名目でドナーには何ら公的なメリットは用意されておらず、その結果かえって臓器価格の高騰を招き売買が活発化しているのだとすれば何とも皮肉な話ですよね。
こうした状況を防ぐためには当然ながら臓器でも売るしかないと言う状況に追い込まれることを避けるのが一番の根本対策ということになるのでしょうが、近年盛んに言われている若年者の就職難や生保受給者急増などの問題とも大きく絡んで、こういう潜在リスクが高まってきていることが危惧され始めています。

奨学金で自己破産 就職難や非正規増影響…(2013年9月5日東京新聞)

 就職難や非正規雇用の増加を背景に、学生時代に借りた奨学金の返済滞納者が増えている。千葉市の男性(25)もその一人で、返済ができずに自己破産に至った。関係者からは制度の問題点を指摘する声も出ている。 (白名正和)

 男性は高校卒業後、都内のアニメ専門学校に入学する際、日本学生支援機構を通じ、奨学金を借りた。共働きの両親の月収三十万円では、進学できなかったからだ。

 一年半ほど通ったが、父親が親戚から借りた約二百万円の返済に奨学金を充てざるを得なくなり、学費がなくなって中退。利子を含めて借りた奨学金約三百万円が負債として残った。その後、警備会社でアルバイトしたが、月十数万円の手取りでは返済は進まなかった。

 一〇年六月、コンビニ店のオーナーから「ゆくゆくは店長にするから」と店の仕事に誘われた。仕事は見つかったが、父親が男性名義で百万円以上の借金をしていたことが新たに分かり、借金は五百万円近くに膨らんだ。仕事もオーナーが一二年一月に突然店を閉めたため失った。借金返済を相談した司法書士から「ほかの借金だけなら何とかなるが、奨学金も合わせると破産しかない」と言われ、自己破産した。

 「奨学金に人生を狂わされた。借りなければ、もっと良い人生が歩めたかな…」と疑問を抱く男性。父親も亡くなり、現在は生活保護を受けながら仕事を探す。だが、高卒で車の運転免許もなく、仕事はアルバイトぐらいしか見つからないという。

 こうした事例について、奨学金問題対策全国会議の事務局長で岩重佳治弁護士は「雇用崩壊などで、制度の弱点が表に出てきた」と指摘する。

 返済義務のある奨学金は、卒業後に安定した職業に就けるという前提でしか成り立たない。しかし、最近は非正規雇用の対象拡大で学生らの就職は不安定となり、「返したくても返せない状況が構造的に生み出されている」(岩重弁護士)という。

◆12年度の滞納 全国33万4000人

 日本学生支援機構によると、二〇一二年度末時点で奨学金を借りている人は全国で百三十二万人、貸与額は一兆八百億円。滞納者は一二年度に三十三万四千人、滞納額は九百二十五億円となった。滞納者と額はいずれも過去五年間で増え続けている

 同機構の調査(一一年度)では、滞納者は雇用期限付きの正社員やアルバイトら非正規雇用と無職で46%を占め、正社員の34・5%を上回る。滞納者の年収は三百万円未満が83・4%で、滞納理由は「収入が減った」が75・3%に上っている。

この奨学金問題は以前にも取り上げたことがありますが、事実関係を整理するとまず今や大学生の過半数が奨学金を受給していると言う事実があること、10年前と比べて実に2倍に当たる33万人が奨学金返済不能に陥っていること、そして日本の場合奨学金と呼ばれているもののほとんどが諸外国で言うところの単なる学生ローンに過ぎず、奨学金貸し付けが体の良いビジネス化しているということを知っておくべきでしょう。
例えば法科大学院が完全に失敗に終わった弁護士業界では平均年収があっと言う間に半分以下に落ち込んだことが話題になっていますが、若手の就職難が激化し司法修習生の半数近くが就職先も未定だと言いますから奨学金という名の学生ローン返済に加え世界一高いという弁護士会会費まで到底払えるものではないと、せっかく国家試験に合格しても弁護士活動に参入できない若者が増えていると言います。
司法試験合格者の平均年齢が29.1歳と言いますから、長年法律という言わば間口の狭い専門分野にかかり切りになって世間並みの就業スキルを身につけないまま高齢化してしまった元弁護士の卵達をどうするかと考えると、本当に家が金持ちででもなければ弁護士になどなれないという時代が来ているということでしょうか。

それでも弁護士などはまだまだ世間の平均値からすれば大いに恵まれている方だとも言えるわけで、年収300万以下の非正規雇用者が一人当たり30万近い滞納額を抱えているとなればおいそれと返済できるものではないでしょうし、社会人人生のスタート地点に立った時点で抱え込んだ巨額の借金が故に「人生を狂わされ」る人々も今後さらに増えてくるかも知れません。
記事中に出ているケースのような悲惨なものは未だ例外と言えるかも知れませんが、今現在バブル世代の親による実質的な生前贈与によって何とかしのいでいる場合も多いとしても将来的にはかじるべき親のすねが細くなっていくのが明らかなのですがら、学生支援を謳い制度を維持するのであれば日本の奨学金も早急に無利子型、あるいは給付型に転換していくべきだと言えそうですね。
そして奨学金(と言う名の学生ローン)という制度を考えた場合、借金をしてでも進学した方が将来メリットがあるという前提で初めて成り立つものですから、雇用状況がこうまで流動的になってくると以前のように何とはなしに進学しておく、そのために金を借りるしかないと言う前に将来どうやって稼いでいくか、本当に進学した方が得なのかという計算は必ず必要になってくるのだと思います。
しかし最近では医学部なども自治医大方式で奨学金に対する御礼奉公で前途有望な若者の将来を縛ると言うスタイルが絶讚拡大中ですが、これなどはどんなブラックな場所であれ文句さえ言わなければ就職先を確実に斡旋してくれる良心的な制度である…などと考え始めるとすでに末期的なのでしょうかね。

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コメント

僕らの学生時代は家庭教師のバイト代で十分食っていけたんでいい時代でした。
バブルはもう終わってましたがあのころはまだ働いた分だけ稼げる時代でしたね。

投稿: ran-ran | 2013年9月10日 (火) 08時26分

東京新聞の事例、突っ込みどころが満載ですが、この若者の人生を狂わせたのはどう考えても父親・・・
そう思うと、年収300万円で国立医学部を卒業させてくれた私の親には感謝しなければなりません。

投稿: クマ | 2013年9月10日 (火) 09時05分

>都内のアニメ専門学校に入学する際

解散

>年収300万円で国立医学部を卒業させてくれた

私は某3流医大を8年かかって卒業したんですが、親父酔っ払ってボロッと「あの時はバブルで儲かって儲かってしょうがなかったから実のところ学費なんてへでもなかったw」とかおっしゃりやがったので今一感謝する気になれませんw
*実際結果的には一番割のいい投資だったし…。
*他はバブル崩壊ですってんてんw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年9月10日 (火) 09時30分

この人の場合さっさと親と縁を切ってた方がかえってよかったような…?
でもこういう話聞いたら医者稼業は見返りがちゃんと確保されてるってほんとありがたいですね。
いまのとこ奨学金の返済もとどこおらずにすんでますし。

投稿: ぽん太 | 2013年9月10日 (火) 09時57分

今回の記事では例示されたケースがあまりにアレだという指摘は各方面からも出ているようですが、まあこの問題の所在を明らかにするにはもう少し別なケースを取り上げるべきではあったのでしょうね。
奨学金はしばしば貸与であってもありがたい場合がありますが(何しろ何の社会的信用もない学生に多額の金を貸してくれるのですからね)、その後の人生設計をきちんとしていてこそ借りる側の責任を果たしたということでしょう。
不幸にして卒業後の情勢変化に巻き込まれたケースはともかく、最初から返済の見込みが乏しいような場合は貸す側にも責任があるように思いますね。

投稿: 管理人nobu | 2013年9月10日 (火) 11時11分

この新聞って他の記事も似た様なレベルなのかな。潰れないのが不思議。

投稿: 放置医 | 2013年9月10日 (火) 11時27分

学費が払えないって私立医学部の例が真っ先に思い浮かんだw
何であんな高いんですかね?
2000万くらいなら理解できるけど5000万はぼったくりだろw

投稿: | 2013年9月10日 (火) 11時33分

>2000万くらいなら理解できるけど5000万はぼったくりだろw

大学の収支報告が出てますが、早い話が病院につぎ込んでるわけです。
そういや近所の私学も贅沢な病院持ってやがるもんなあ・・・

投稿: | 2013年9月10日 (火) 11時57分

知人は防衛大を卒業して任官拒否して、某新聞社に就職してた
防衛大は返納義務ないんでしたっけ

投稿: | 2013年9月10日 (火) 15時05分

昨年法案が出されたまま廃案になったそうですな>返納義務
再提出されれば今度は通りそうですが

投稿: 元僻地勤務医 | 2013年9月10日 (火) 17時55分

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