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2013年8月31日 (土)

ネット上の誹謗中傷は収まる気配もないようです

ネット上で炎上だ何だと言っていますけれども、基本的に精神的にもある程度成熟し実社会でそれなりに揉まれた人間だからこそ「ネットはネット」で済んでいるところがあって、リアルとネットとが一体になって炎上したのでは大の大人でもなかなかに対応に苦慮しますよね。
学童生徒のいじめ問題も自殺事件などもあってか昨今ではもっぱら実生活での深刻さが取り上げられてきたところがありますが、実は水面下での活動も全く劣ってはいないどころかますます深刻さを増しているという記事が出ていました。

学校裏サイト 誹謗中傷「減ってない」…隠語ですり抜け、監視に限界(2013年8月28日産経新聞)

 ネット監視大手「ガイアックス」(東京都品川区)の社内には、100台を超すパソコンが24時間体制で稼働する部屋がある。常駐するスタッフが画面越しに見つめるのは「学校裏サイト」への書き込みだ。

 生徒らが学校に関する話題を語り合うために設置した学校裏サイトが、いじめの温床として注目され始めたのは平成19年ごろから。以来、対策は進み、文部科学省によると22年12月時点で、都道府県と政令市の約7割が民間業者に委託するなどして「ネットパトロール」に取り組んでいる

 ガイアックスも16の自治体と契約し、延べ3330校の裏サイトを監視。「個人が特定できる誹謗(ひぼう)中傷やメールアドレスなどを見つければ、学校に連絡し、サイト管理者に削除依頼する。自殺や犯罪予告は警察に通報します」と同社の杉之原明子さんは説明する。

 21年6月に全国に先駆けてネット監視を始めた東京都教育庁の小沢哲郎主任指導主事(53)は「書き込みを1分でも放置すれば転載が繰り返され、飽きられるまで無限に拡大する危険性がある」と早期発見の必要性を指摘。都では21年度に発見された学校裏サイトへの書き込みのうち約13%あった誹謗中傷が昨年度は1・3%にまで減った

 だが、ネット監視は万能ではない。杉之原さんは言う。「パトロールできるのは誰でも閲覧できるサイトだけ。『ミクシィ』や『モバゲー』などの会員制サイトやメール、無料通信アプリの『LINE(ライン)』などでのやり取りは法律上監視できない

 ◆隠語ですり抜け

 全国webカウンセリング協議会の安川雅史理事長(47)も「学校裏サイトへの書き込みは減ってなんかいない。監視する側が見つけられなくなっただけだ」と指摘する。

 安川氏によると、書き込みの舞台は会員制サイトに移行し、パスワードを設けたり、警察が捜査できないよう海外のサーバーを使ったりするケースもある。さらにネット監視の検索などをすり抜けるため、「死ね」なら「氏ね」「市ね」と隠語を使い、「横浜」なら「木」「黄」「三」「兵」と分割。「ネットいじめは巧妙、悪質化している」と安川氏。実際、同協議会へのネットいじめの相談件数はここ数年、7千~8千件で微増傾向にある。

 ネット監視に限界がある中、「ネット情報の正しい受け取り方を教えることが、ネットいじめ防止の手段」と強調するのは、NPO法人「青少年メディア研究協会」(前橋市)の下田太一理事長(35)だ。

 ネット上のコミュニケーションは字面だけで、相手の真意を理解するには圧倒的に情報量が足りない。下田氏は「子供たちは欠けた情報を勝手な『思い込み』で補い、心理的に追い詰められる。場の雰囲気や空気が読めないネットコミュニケーションの特性を理解できれば、ネット上の言葉に対するフィルターや抗体ができ、不快な言葉を問題視しなくなる」と主張する。

 ◆親の役割が重要

 学校現場での情報教育も広がっている。東京都世田谷区では区立中学全29校で大学生によるネットリテラシー(情報の評価・活用力)講座を実施。体験談を交えてトラブルの危険性と有効活用法を伝える。「ネットは危ないから使うなというのは車は危ないから乗るなというのと同じでネットも正しく使えば生活を豊かにする」と橘太造教育指導課長(50)は話す。

 安川氏は被害者にも加害者にもさせないために親の役割の重要性を強調する。「危ないサイトへの接続を制限するフィルタリングの設定が最も効果的な対策だが、大半の親は設定していない。スマートフォン(高機能携帯電話)を買い与えるなら、親も一緒に買って勉強していかないと子供の言いなりになる」と話す。

 ネットいじめは学校の内外を問わないため、夏休み中も継続し、休み明けに悪化するケースも多いという。子供の様子に敏感になる必要がある。安川氏は言う。「急に着信音をオフにしたり、家族の前でメールを見なくなったりしたら要注意。被害に遭っていることを家族に知られないようにしている可能性がある」(河合龍一、篠原那美)

すでにこういう監視組織があって活動しているというのも大変なものですが、このガイアックスという会社の場合はもともと企業向けのweb制作などネット関連事業の傍らでこうした業務も行っているということで、多数の自治体が契約しているというくらいですからすでに立派な商売になるほどの需要があるということでしょう。
少し話が飛びますがパソコン通信と呼ばれた閉鎖コミュニティの時代には会員制かつネット課金も高いこともあって非常に閉鎖的な環境で住民の自治意識も高く、かつて某有名キャスターが実名で降臨した際には散々にソース付きで論破され以後すっかりネット嫌いになったという伝説もあるくらいで、実名ないしそれに近いコテハンが主体であったころは「いい加減な発言は許さない」と言う雰囲気が漂っていたわけですね。
その後ネットが実質的に無料になる頃から発達した某巨大掲示板を代表とする新たなコミュニティは匿名性を最大の特徴として日本独自の発達を遂げたことは知られる通りですが、ネットなどとは縁遠いという化石世代は元よりかつてのコテハン時代を知る人間からも「匿名は無責任な発言の温床だ」と否定的イメージで語られ、今日に至るまでたびたびネット実名制が取り上げられることとなっています。
お隣韓国などでは実質的なネット実名制が導入され(これも違憲判決でどうなるか判らないとも言いますが)ネット規制が強化されはしたものの書き込み内容がさして改善されたという話もなく、中国当局のような人海戦術による徹底した規制を別にすれば今のところ実効性ある書き込み内容の規制策というものもないようですが、だからと言って必ずしも何も出来ないということでもないですよね。

記事中にも幾つかのアイデアが示されていますけれども、やはり未成年が匿名で好き放題なことが出来てしまうということがしばしば大事件を呼んでいるのは事実なのですから、親のカードを勝手に使わせるなどということは論外にしても、まずは親もそれなりに知識とネットリテラシーを持って保護者としての責任を果たすということが必要かと思います。
以前にも子供のネットデビューを前に親はどうすべきかということを取り上げたことがありますが、高校生くらいになってある程度自分で判断し行動するようになってきてからはまだしも、小学生などにスマホを買い与えるのに「いやあボクはそういうのは何も判らないからねえハハハ…」などとお気楽なことを言っているようでは、いつ子供が犯罪行為に巻き込まれても仕方がないというものですよね。
また書き込むということもさることながら読む側のリテラシーも重要で、とかくネットでは一つの意見に加速度的に集約され炎上などと言われる袋だたき状態につながりやすいものですけれども、そもそもそうした話に興味がある人間が同調しているというだけのことで意見が違う人間がその何倍、何十枚も「こいつらまた阿呆くさいこと言ってるなあ」と思いながらそれを眺めているという状況をきちんと理解しておく必要があります。
このところ世界的に見てもネット規制論というものが盛んに取りざたされていますが、ネットもリアルも表現の手段が異なるだけで本質的に同じものの二つの側面を反映しているのだと考えればリアルでは考えもしないような規制をネットだけには施すべきだなどという考え方にもならないし、利用者も一部の書き込みだけを針小棒大に取り上げて大騒ぎする必要もなくなると思うのですけれどもね。

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コメント

人の悪口も言えないなんてどんな統制社会だ

投稿: kakko | 2013年8月31日 (土) 10時26分

9月1日は電凸の日です

違法な当直で救急応需させている病院を告発する大チャンスです

皆様の電話が、日本の医療を変えます!

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000014323.html
報道関係者各位

若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組を強化

 厚生労働省は、若者の「使い捨て」が疑われる企業等が社会で大きな問題となっていることを受けて、以下の3点を取組の柱とし、具体的な対策を行っていきます。

1 長時間労働の抑制に向けて、集中的な取組を行います。

    9月を「過重労働重点監督月間」とし、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対し、集中的に監督指導等を実施

2 相談にしっかり対応します。

    9月1日に全国一斉の電話相談を実施

3 職場のパワーハラスメントの予防・解決を推進します。

    一層の周知啓発の徹底

<具体的な取組>

[1 長時間労働の抑制に向けた、集中的な取組を行います]

(1) 若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対し、重点的な監督指導を実施します。    本年9月を「過重労働重点監督月間」として、集中的な取組を行います。  ア 労働基準監督署及びハローワーク利用者等からの苦情や通報等を端緒に、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等を把握し、監督指導を集中的   に実施。【重点確認事項】* 時間外・休日労働が36協定の範囲内であるかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導。* 賃金不払残業(サービス残業)がないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導。* 長時間労働者については、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導。  イ ア以外にも、過重労働があり、労働基準関係法令違反の疑いがある企業等に対して、重点的な監督指導を実施。  ウ アの監督指導の結果、法違反の是正が図られない場合は、是正が認められるまで、ハローワークにおける職業紹介の対象としない。(2) 過労死等事案を起こした企業等について、再発防止の取組を徹底させます。 ○ 脳・心臓疾患等に係る労災請求が行われた企業等について、法違反の是正確認後も、フォローアップのための監督指導を実施することにより、再発防止の取組を徹底。(3) 重大・悪質な違反が確認された企業等については、送検し、公表します。

[2 相談にしっかり対応します]

(1) 9月1日(日)に、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する『電話相談』を実施します。  【フリーダイヤル】    なくしましょう ながい残業           0120  -  794  -  713* 労働基準法の施行日である9月1日(日)に、全国8ブロックで電話相談を実施。* 若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する相談を踏まえ、労働基準関係法令違反が疑われる企業等に監督指導を実施。(2) 9月2日以後も、「総合労働相談コーナー」、「労働基準関係情報メール窓口」で相談や情報を受け付けします。 ○ 9月2日以後も、都道府県労働局や労働基準監督署等にある「総合労働相談コーナー」や、厚生労働省のホームページ内にある「労働基準関係情報メール窓口」で相談や情   報を受付。  * 労働基準関係情報メール窓口     http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/mail_madoguchi.html (3) 新卒応援ハローワークでも相談体制を強化します。 ○ 新卒応援ハローワークにおいて、若者の「使い捨て」が疑われる企業等の情報や相談を受け付け、労働基準法等の違反が疑われる企業等については労働基準監督署に情報  提供。労働基準監督署は、その情報の内容を踏まえ、監督指導を実施。

[3 職場のパワーハラスメントの予防・解決を推進します]

パワーハラスメント(パワハラ)によって若者を使い捨てにすることをなくすべく、労使をはじめ関係者に幅広く周知・啓発します。 ○ ポータルサイト「あかるい職場応援団」を通じ、パワハラの裁判例の解説、パワハラ対策に取り組んでいる企業を紹介 ○ パワハラ対策の必要性等を分かりやすく説明したポスター、リーフレット等を作成し、全国の行政機関等で掲示・配布 * 取組1の監督指導の際にも配布 ○ 参加者の実務に活用することのできる、全国規模でのセミナーの実施(平成25年10月以降、順次実施) ○ パワーハラスメント対策の好事例集等の作成、周知(平成25年10月以降)

投稿: Med_Law | 2013年8月31日 (土) 10時47分

素朴な疑問ですが書き込み削除してもいじめ解消には結びつかない気が。
書き込み元を追求してさらすなり処罰するなりしないとダメなんじゃ?

投稿: ぽん太 | 2013年8月31日 (土) 10時56分

書き込み元を偽装して無関係の人間を誹謗中傷を書き込んだ加害者に仕立て上げる事例もあるとか。
最近の小学生は恐ろしい・・・

投稿: クマ | 2013年8月31日 (土) 15時43分

こういうことでは大人に出来ることで子供に出来ないことってまずない

投稿: | 2013年8月31日 (土) 16時55分

インターネットが普及してから、世間では馬鹿馬鹿しい問題が激増した気がします。
私がネットやり始めたのは30歳超えてからでまだ創生期だったので、慎重にやっていたので、幸い被害に巻き込まれたりしたことはないのですが、もし世間知らずの未成年でネットができるとなると間違いなく危険に巻き込まれてたでしょうね。

投稿: 逃散前科者 | 2013年8月31日 (土) 17時37分

ネットリテラシーってどうやって身につけさせたらいいかわからないんですが。
だって失敗したら即アウトなんでしょ?炎上して拡散されちゃうって思ったらふつう足がすくみますよ。
たぶんそんなこと何も考えないで突っ込んじゃう人がどんどん炎上してんでしょうけど経験から学ぶリスク大きすぎです。
子供が練習するのにあらかじめいい場所を用意しといたらいいんじゃないかな?

投稿: てんてん | 2013年8月31日 (土) 17時55分

>子供が練習するのにあらかじめいい場所

mixiのようなクローズなSNSがそんな役割を果たすとは思いますが。
みんなプールや内海で泳ぎの練習する前に大海に泳ぎだしてしまうことができる環境をどうにかしないと。
とは言っても何でも規制規制というのもなんだか・・・。

投稿: つかれぎみ | 2013年9月 1日 (日) 18時52分

辛坊治郎氏 ネット全体の規制は否定も「ねつ造は責任を取らすべき」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130901-00000038-dal-ent

ねつ造を何度繰り返しても責任を取らないマスコミがどの口で言うかと

投稿: | 2013年9月 1日 (日) 20時45分

すでに授業で対策してるらしいですよ。
http://www.j-cast.com/2013/09/03182883.html?p=all

投稿: | 2013年9月 3日 (火) 20時04分

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