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2013年8月14日 (水)

名前がキラキラしているのはあまり喜ばれない?

以前に日本でも「悪魔ちゃん騒動」なるものが勃発したことがありましたが、日本と比べるとずっと宗教的感覚の濃厚なアメリカで先日こんな判決が出たそうです。

「メシア君」はNG、米裁判所が名前の変更命じる(2013年8月12日アメーバニュース)

[11日 ロイター] - 米テネシー州で「メシア」と名付けられた男児をめぐり、同州の判事が、メシア(救世主)はキリストにのみ許された称号であるとして名前の変更を命じた。同州のテレビ局が報じた。

この男児の両親は7カ月になる子どもの名前について意見が一致しないことから裁判所を訪れていたが、判事は先週になって、男児の名前をメシアからマーティンに変えるよう両親に命じたという。

地元テレビによると、判事は「メシアとは称号であり、それは唯一キリストにのみ与えられたものだ」などとコメント。男児が住む同州コック郡はキリスト教徒が多く、メシアという名前を付けられることによって、男児が将来トラブルに巻き込まれる可能性があると指摘した。

一方、男児の母親は「判事の宗教的な価値観で、他人の子どもの名前を変えることはできないはずだ」と述べ、異議を申し立てる考えを示した。

ちなみに悪魔ちゃんはその後かなり数奇な運命を辿ったそうなのですが、日本であれば単に非常識な親といった程度の批判で済むかも知れませんけれども、宗教がしばしば人を殺し殺される理由にもなる世界ではなかなかにリスキーな話ではないかという気がしますがどうなのでしょうね?
その一方で日本でも難読名が続々増えてきていると話題になっていますけれども、昨今ではこういう名前を「キラキラネーム」などと呼ぶことが一般的になっているそうで、「一体これはどう読んだらよいのか?」と判断に迷うケースは確実に増えてきていることを実感する人も多いかと思います。
そんな中で先日とある救急医が「キラキラネームは取り違えて危ないからやめて」とつぶやいたことが各所で取り上げられ賛否両論を読んでいましたが、これが各方面で思わぬ反響を呼んでいるという事実が世間の危機感を反映しているようにも思いますね。

キラキラネームやめて 「患者取り違えの危険増す」 小児救急医師がツイッターで提言(2013年8月6日産経ニュース)

 「キラキラネームは止めて。患者取り違えの危険性が増す」-。静岡県内の小児救急で活躍する男性医師が、先月30日に短文投稿サイト「ツイッター」でつぶやいた発言が議論を呼んでいる。「キラキラネーム」などと呼ばれる一般の読み方と違った読み方をする漢字を使った名前の子供が最近増えているため、急いで患者のIDを作成しないといけない救急医療の現場で、IDの作成間違いなどの弊害が出る恐れがあることを訴えたもので、小児科医療の現場に一石を投じることになりそうだ。

 男性医師は、ツイッター上で勤務先の病院名や実名も明かした上で、キラキラネームは救急隊から名前の表記を説明される際に時間がかかるため、「バイタル(脈拍や体温など)の確認にまでに時間がかかってしまう」とツイートした。また漢字の説明に時間がかかる際は、いったんカタカナで患者のIDを作成した後に改めて漢字で正式なIDに変更するが、そのために必要な事務職員が24時間配置されていないという救急医療の現状も示した。

 産経新聞の取材に応じた男性医師によれば、救急隊が伝えにくい難読の名字や外国人のIDを救急搬送時に作る機会はキラキラネームよりも少なく、「キラキラネームの方が困るのは日常茶飯事」だという。

 ただ、男性医師は「キラキラネームでも実際の治療に支障があったことも遅れたこともない」と強調した上で、「(患者の取り違えなど)不利益が生じないように気を使うが、そういう名前の持ち主を差別するつもりは全くない」と話した。

 ツイッターなどのネット上では、「子供におかしな名前を付けると割を食うのは子供ということを親にわかってほしい」など、男性医師の訴えに賛成する声が多く、男性医師は「8割以上は肯定してくれている」と驚いた様子だった。

 一方、県こども未来局は「(男性医師が)主張している内容は間違っていないと思うが、子供の名前は親が熟慮した上で付けたもの。外部の人がいろいろと言うべきではない。立場を明らかにした上で自分の意見を示すことの社会的影響は考慮すべきだった」と話している。

『キラキラネーム狩り』開始か?テレビでも特集され酷い親と批判殺到!(2013年8月8日秒刊サンデー)

日本テレビ系列NEWS ZEROで先日救命医がツイートして一躍話題となった「キラキラネーム」についての特集が放送された。それを受けてTwitterなどでは「キラキラネームをつける親は酷い」「子供がかわいそうだ」「キラキラネーム」を考えた人が一番DQNだなどと早速批判が寄せられている。やはり子供に名前をつけるのは自由だがその後の人生を考えると突拍子もないものは避けたほうがよいという意見が多く、救命医の発言を発端に魔女狩りならぬ「キラキラネーム狩り」が始まりそうだ。

―キラキラネームはやめて!と言う救命医

7月30日に投稿された静岡県の救命医によるキラキラネームは「取り違えの危険性が増加する」発言。このツイートが波紋を呼び多くの批判が寄せられた。批判と言うのはキラキラネームへの批判ではなく救命医が「キラキラネーム」だからと言って簡単に取り違えを起こして良いものか?と言うものだ。しかし救命医は「もちろん取り違えは厳禁だがリスクが高い」と言う事を伝えたかったとのことで悪魔でキラキラネーム批判をしているわけではないようだ。

―NEWS ZEROでキラキラネーム特集

上記騒動は7日のNEWS ZEROで取り上げられ「キラキラネームをやめてほしい」と報道。番組を見た視聴者からはキラキラネームを批判するのは子供がかわいそうと言う意見もあったが、「キラキラネームをつける親の思考は理解できない・頭湧いてる」という意見がTwitter上で寄せられている。

更に実際にキラキラネームとして使われている例が投稿され始めた。

―キラキラネームの実例
・「みにい」と「まりい」
真理唯で、まりいって読む
・キラキラネームは苺輪舞(まろん)です。
・お兄ちゃんがケンシロウで妹がユリア
月花美人(キューティーハニー)←実在らしい
・「吾郎」で読みは、「ごろう」性別が、女。理由は親が稲垣吾郎のファンだから
凸で“てとりす”とか、もはやなめてるでしょ。
「礼」をぺこ
・有田芳生って最初のキラキラネームだよな。
玖麗亜
樹理亜ちゃん
・キラキラネームの始まりは「悪魔」だっけ。
・今日バイトでお客さんが 「クールクール」って子供呼んでて初めてキラキラネームを目の当たりにしてもう怖かった
・大也くん門土くん
心響音
芽以ちゃん

何処までがキラキラネームと言うべきなのかは明確には線引きできないが、それよりもキラキラネームが次第に『悪』と言うイメージが植え付けられていく風潮にも疑問を感じざるを得ない。

キラキラネームという名前が使われるようになるまではそのものズバリ「DQNネーム」と呼ばれていたものですが、別に名前をつけられた本人ではなくそうした名前をつける親の感性に対する批判的な論調であって、特にそうした名前をつける親に対するある種の固定観念、偏見といったものがあったことは否定出来ないところです。
ちなみに別の調査によれば「自分の子供に付けたいか」では「NO」が97%、「どんな名前でも許容されるべきか」も「NO」が90%、そして「奇抜な名前に接して困惑したことがあるか」は「YES」が77%に上ったと言いますから、そうした名前を子供につけたがっているのは社会的少数派だとも言えますけれども、読んでみればごく普通の音でも読めないといったケースに対する許容度などは意見が分かれそうですよね。
先の終戦後に日本語も漢字仮名表記からローマ字表記にしようという動きが一部にありましたが、一定の範囲内であればどのような文字の組み合わせも許され、それをどのように読ませるかも全く自由であるからにはこうした問題の発生は単なる表音文字使用国よりもずっと高率で起こりえる理屈ですし、実際それによって次第に不便を感じるまでになってきているのが現状です。
ただ日本人の難読名は今に始まったことでもなく、昨今の戦国ブームで多くの人々が当たり前に知るようになった有名武将なども正しくは何と読んでよいのか判らず、宣教師が書き残した横文字表記でかろうじて正しい読み方が判明するというケースも多いと言いますし、そもそも本名をそのまま呼ぶことは避けられた時代の方が長かったわけです。
その意味では歴史的に名前と言うもののバリエーションに対する許容度は高いとも言えそうですから、単に難読であるだけならいずれそれなりに許容されるようになりそうなんですが、何らかの技術的ブレークスルーでも為されるまでは読み仮名を併記する等の対策を講じなければ仕方がないかも知れませんね。

まさかに親にしても子供に悪い名前をつけようと思ってはいないはずで、彼らなりにそれが格好いいと思ってつけているのだから結局は親の価値観の問題だという考え方もあり、外国人の名前が日本語で珍妙に聞こえるからと笑うのが馬鹿げているように文化的バックグラウンドの異なるものを一方的な価値観に基づいて断罪するのは意味がないという意見にはそれなりに説得力を感じます。
ただキラキラの是非は別としても名前にも流行り廃りがあって、名付けられた頃には最新鋭の流行に則ったものであっても長い人生の後半になるといかにも時代遅れな印象を受けるということもありますから、ある程度先を見越して将来子供が恥ずかしい思いをせずともいいような普遍的な名前をつけてやることも大事なことではありますよね。
そもそも名前というものは親がつけるもので、知らない間につけられた子供にとっては「なんでこんな名前を…」と気に入らない場合も多いのですから、昔のように子供時代の名前はあくまでも仮の名で成人してから本当の名前を付けなおすのがいいという考え方もありますが、現代の戸籍制度上は名前変更はなかなかに問題も多く大変な作業ではありますよね。
将来的に同姓同名を排除できない名前という任意の記号に頼るのではなく、各人に必ず別々のものが割り振られているマイナンバーによる管理を優先すべきなのかも知れませんが、日常生活での利便性から考えると無味乾燥な数字や記号を覚えておくというのも難しいところで、今度は数字にかこつけた語呂合わせに頭を悩ませることになるのでしょうか。

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コメント

どうせ夜露死苦とかいって喜んでた珍走上がりだろこれ

投稿: | 2013年8月14日 (水) 09時29分

むしろ腐女子系の関与が疑わしく思われw

投稿: aaa | 2013年8月14日 (水) 10時20分

ユニークな名前の場合、就職に不利になるそうで。

投稿: 浪速の勤務医 | 2013年8月14日 (水) 11時47分

それは聞いたことがありますね。
まあそういう名前を好む人はそういう筋の人だという偏見?が前提にあれば、わざわざそれを取りたいとは思わなくなるでしょうしね。
しかし実際のところ子供の名前と親の個人ステータスに何かしらの相関があるものなのか、誰か調査してみませんかね?

投稿: 管理人nobu | 2013年8月14日 (水) 12時16分

メシア君ってあんがい多いらしいね
http://irorio.jp/eika_k/20130814/72902/
宗教的背景を持つMessiahという名前はこのところ人気があるという。アメリカ社会保障局によれば2012年にはMessiahと名付けられた男の子が700人以上いたという。

投稿: | 2013年8月15日 (木) 11時54分

イスラム教にも「救世主」に相当する概念があって、あちらでは《マフディ》とよばれるらしく、主にイラン周辺のシーア派ではわりとよくある男性名だそうです。
イラン系の移民が移住先の国で出生した男子もすでにいくらでもいるでしょうが、届け出のときに《マフディ》という名付けを拒絶したような話は特に聞いたこともないので、もしもそれを普通に容認しているなら、《メシア君》という名付けも、その社会での常識はともかく行政機関が拒絶するのは法運用の整合性の面でやりにくいかもしれません。

投稿: あおいとり | 2013年8月29日 (木) 03時26分

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