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2013年8月 3日 (土)

ネット依存 マスコミ的には放置しがたい大変な問題?!

すでに各種メディアで大々的に取り上げられていますけれども、先日厚労相の研究班がこんなデータを発表したことが話題になっています。

ネット依存の中高生、51万人…睡眠に悪影響(2013年8月2日読売新聞)

ゲームや電子メールなどに夢中になりすぎてやめられず、インターネットへの依存が強いとみられる中高生は全国に約51万8000人いるという推計数を、厚生労働省研究班(主任研究者=大井田隆日本大教授)が1日、発表した。

 中高生へのアンケート調査から割り出したもので、依存が強いほど睡眠に悪影響が出る実態も浮き彫りになった。研究班は「利用時間を区切るなど、夢中になる前の指導が大切」としている。

 研究班は昨年10月~今年3月、無作為抽出した中高計264校約14万人にネットの利用状況を問う調査票を配り、179校約10万人から回答を得た。

 「ネットを制限しイライラしたことがあるか」「不安や落ち込みから逃れるためにネットを使うか」など八つの質問のうち、五つ以上に「はい」と答えた依存の強い中学生は6・0%、高校生は9・4%いた。全国の中高生数(約680万人)から推計すると、中学生約21万3000人、高校生約30万5000人が依存が強いとみられる。

 依存の強い中高生は、59%が「睡眠の質が非常に悪い」「かなり悪い」、23%が「夜、眠りにつきにくいことが常にあった」「しばしばあった」と答えた。画面の明るさから夜に目がさえ、昼と夜の生活が逆転するとみられる。食事が不規則になり栄養障害が出たり、歩かないために骨がもろくなったりする弊害もあるという。

 研究班の一員で、専門外来を開設する国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「生徒が遅刻したり授業中に居眠りをしたりするようになると注意が必要。ネットに依存する生徒がすぐにカウンセリングを受けられる仕組み作りも必要だ」と話す。
(略)

ネット依存、健康悪化など生活に影 治療できる医療機関少なく (2013年8月2日日本経済新聞)

 世界保健機関(WHO)の国際疾病分類には現時点でインターネット依存の記載はなく、病気とするかどうかは議論が定まっていない。ただ、米国の精神医学会は科学的な証拠が集まれば、ガイドラインを採用するとしており、世界では病気とみなす流れができつつある

 厚生労働省の研究班は今回の調査で「ネットの使いすぎにより、健康や暮らしに問題が発生した状態」をネット依存とし、それを判定する項目を選んだという。

 研究班メンバーで、久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「依存が悪化すると、睡眠以外はネットに夢中で食事も取らず、栄養失調になるなど健康が損なわれることもある」と指摘する。暮らしに及ぼす影響としては、オンラインゲームを長時間利用した金銭問題、家族の注意による人間関係の悪化などがあるという。

 同センターは2011年7月に「ネット依存治療部門」を開設。これまでに全国の約500人から相談が寄せられ、約150人が治療のため来院した。

 しかし、国内には治療できる医療機関はほとんどないのが実情で、支援にあたる自助グループもあまり育っていない。樋口院長は「ネット依存に詳しい医師や臨床心理士らを育成し、治療体制を整えていくことが急務だ」と話している。

子供のネット依存、治療に当たる久里浜医療センター院長が「生易しい問題ではない」と警告(2013年8月1日日経トレンディーネット)

 「おそらく多くの人たちは『ネット依存』なんて大した問題ではないと思っているのではないでしょうか。それはとんでもない話です。子供たちのネット依存は、そんな生易しい問題ではありません。私は長年、アルコールや薬物に依存する大人たちの治療に携わってきましたが、ここに来る子供たちのネットへの依存度は、アルコールや薬物への依存と変わらない重大なものばかりです」。

 ネット依存の子供たちと向き合う独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は、真顔で私にそう語った。

 神奈川県横須賀市の海沿いにある久里浜医療センターは、日本で最初にネット依存の治療を始めた医療機関だ。それでも開始は2011年7月。実際に患者が来るようになったのは同11月から。まだ1年8カ月ほどである。久里浜医療センター以外で対応できているのは、全国規模で見ても数カ所もないという。そのため久里浜医療センターには全国から悩み相談が集中する。

 2013年7月までの間に、久里浜医療センターには約350件の電話相談が寄せられ、そのうちの3分の1に当たる約120人が実際にセンターにやって来た。半分以上は、親に「無理やり」連れてこられた未成年者だ。

 ネット依存といっても、これまでに来院した子供たちの80%は、パソコンを使って多人数で遊ぶオンラインゲームへの依存が強い人たちばかり。先に社会問題になった携帯電話やスマートフォンで楽しむソーシャルゲームの方ではなく、「家に引きこもって何時間もパソコンやゲーム機にのめりこんでしまう子供たち」だという。大学生を含む、10代の男子学生がほとんどである。

 逆に女性は20代以上。男性と違ってSNSにはまる傾向が強く、ゲーム依存はまれ。「好きな芸能人の追っかけがいつしか度を越し、四六時中SNSばかりしている女性がいる」(樋口院長)。

 男性と女性で傾向が異なるのは、そもそも依存対象が男性と女性では違うからだ。ちなみに米国では出会い系などにはまる人が多いそうだが、久里浜医療センターにはそうした相談は少ない。

 最近はLINEなどにはまる子供の話もなくはないが、「現在までにセンターに寄せられた相談はオンラインゲームが圧倒的に多い。ただし、ネットの分野はトレンドの移り変わりが激しいので、どんどん依存対象が変化していくことも考えられます。頻繁に調査をしない限り、実態をつかむのは本当に難しい」。

 ネット依存傾向者は全国に約270万人ほどいると推計されている。ただそれも「2008年の調査結果。5年前のものです。現在ちょうど最新の調査を実施中ですが、スマホの登場で状況はまた変わり、依存傾向者はさらに増えていると思われます」(関連記事:スマホから離れられない子供たち、「スマホチルドレン」は今)。

 しかも270万人という数字は、国内の成人だけが対象だ。問題がより大きい未成年者が含まれていない。「未成年者については別に調べているところで、近々結果が出ます」。そのとき、驚愕の事実が判明するかもしれない。「具体的な数字が出てきて初めて、対策に向けて重い腰を上げてくれる人たちが出てくるかもしれません」。

 ともかく、日本での取り組みは始まったばかり。ゲームやスマホアプリの仕組みまで理解しながら、子供たちと根気よく向き合える専門性の高い医師の数も非常に限られている。
(略

こういう記事を読みますと何と言うのでしょう、かつて漫画だのテレビゲームだのについても同様に色々言われて規制論が賑やかだったことを思い出しますし、それら過去の規制論が今どのような末路を辿ったかも考えてみたくなりますね。
それはさておき、昼夜逆転して趣味に没頭するなんてことはどんなジャンルのマニアでも当たり前にあることなんですが、それがこうまで急ぎ対処し治療しなければならないとまで言われるようになるのは、一つにはいわゆる引きこもりやニートのイメージと結びついたイメージで語られているという側面も大きいように思います。
外出が稀という準引きこもり状態も含めると今や全国に300万人はいると言われる引きこもりですが、まさに平成時代の病気とも言え中心世代が20代~30代と言いますからちょうどネット普及期に相当し、いわゆるネトゲ廃人のイメージと非常に重なるのは仕方がないところですけれども、実際には数が少なく社会問題化しなかっただけで40代以上の高齢引きこもりもそれなりに存在しているわけです。
これら初期引きこもり世代はネットと無関係に漫画や家庭用ゲーム機と共に引きこもっていたはずですが、当時は未だ流通の関係で「ドラクエ発売初日に○○万人が行列!」などと言うくらいにそれなりに世間に出ていく機会もあったものが、今やネトゲだネット通販だの時代で全く家から出なくても何不自由なく引きこもれてしまうということが重症感を煽り立てていると言えそうです。
日本で最初に問題化し世界的にも「Hikikomori」で通用してしまうこの状態も別に日本独自のものというわけでも何でもなく、多くの先進諸国で同様の方々が存在することが明らかになっていますから結局は親世代が引きこもりを許せるほど豊かである証拠とも言えそうですが、文化論的に言えば成人後も親から独立せずパラサイトを続ける文化のある日本などで特に顕在化しやすいのかも知れません。

ともかくも世に数多くのアル中親父が普通に社会人として生活を送ることを許容されているのと同様、ネット依存もそれが通常の社会生活と併存可能であればこうまで大騒ぎされる必要もないはずで、管理人なども何かと言えば真っ先に通信手段を確保しようとするタイプですが普通に社会人をしている、その意味ではネット依存であれ何依存であれそれが社会性の喪失、引きこもりという現象に至るからこそ大騒ぎになるのですよね。
近頃言われていることではこうしたヒッキーがそのまま高齢化していき、やがて親世代が死んでいくにつれて社会保障上の巨大なお荷物になるんじゃないかと恐れられていますけれども、多くのケースレポートで親が健康を害するなど生活維持能力が失われたと理解することが引きこもり離脱の契機となっているとも言い、むしろ引きこもりを許してしまう親の側が問題を長期化・深刻化する原因になっているという指摘もあります。
そうした意味では糖尿病やアルコール依存症などと同様、まず患者本人よりも家族への教育こそが優先されるべきかなとも感じるのですが、今のところ前述の樋口先生の記事にしてもそうした点への言及がないというのは一つにはネット依存の主たる患者層が若年中高生と見なされていて、彼らは「まだ未熟であるが故に道を誤っているのだ」と認識されているからでもあるように思います。
実際にはそれより上のいわゆる社会に出て行く年齢層のネット依存の方がよほど社会的に深刻な問題だと思うのですけれども、過去の引きこもり報道をみてもやはり親世代の責任に慎重な態度が見え隠れするというのは一つにはかつての自閉症騒動に対するマスコミの反省ないし警戒もあるでしょうし、それ以上にこの親世代こそ彼らマスコミの主要顧客であるからだと考えるのは穿ちすぎでしょうか?

そしてもう一つ、ネットと言えばかねて既存マスコミの天敵として蛇蝎のように嫌われていますけれども、そのネットに依存することで彼らマスコミを平素から糾弾してやまない若年世代が病気になっていくと言うのですからこれ以上おいしいネタはなく、彼らとしては安心して「ネットなどに関わっていては危険ですよ!病気になりますよ!」と喧伝できるだろうということですね。
先日はパナソニックが満を持して発売したスマートテレビが民放各局からCM放送を拒否されるという珍しい事件が発生して驚きと共に報じられていましたけれども、ネット視聴が当たり前の時代にテレビ放送とネット放送を並列させて表示出来るというのは視聴者にすれば「あって当然の機能」なのですが、民放各局が拒否した理由である「テレビとネットを混同する」という言い訳があまりにおかしいとかえって大きな話題になりました。
おかげでネット広告だけしか打てなくなった同製品は普通にCMを打つよりずっと効果があったとも言われ、今後高い広告費を払ってCMを出す意味があるのかどうかとまで議論されていますけれども、こうした「あって当然の商品」をマスコミが寄ってたかって潰しにかかるということは今に始まったことではなく、有名なところではCMを飛ばして録画できる機能を持つレコーダーが市場から消えた事が挙げられますよね。
マスコミ各社も商売でやっていることですから、商売の邪魔になることに対してはあの手この手で潰しにかかってくるということは当然と言えば当然なのですが、そうなるとこれからは「ネット依存」ということが繰り返しマスコミに大きく取り上げられ、社会的に対応を急がれる喫緊の課題に祭り上げられていくんじゃないかという気がしないでしょうか。

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コメント

アパートにでも放り込んで引きこもらせておけばいいのにw
三食昼寝付きじゃそりゃ誰でも引きこもるってww

投稿: aaa | 2013年8月 3日 (土) 09時41分

でも自閉症なんて親が甘やかすからだ!って言ってたら生まれつきの病気だって反撃されちゃったんですよね。
こういうネット依存の人たちをハッカー対策など有意義に活用できないんでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2013年8月 3日 (土) 12時23分

「ネット依存」は「アルコール依存症」に代わる精神科の新たな巨大マーケットでしょうね。
医者なのにネット依存、SNS中毒になっているような輩もいました。こういう人はこちらが忠告してももはや依存症が根深くなると聞く耳もたない感じで厄介でしたね。
どういう治療法が施されるのか知りたいものです。「断ネット会」とかでしょうか?
ネット依存症→薬物依存症にならないようにくれぐれも注意してほしいものですね。

投稿: 逃散前科者 | 2013年8月 3日 (土) 14時15分

ここは基本にかえってソリティアにはげんだらどうでしょう?
作業療法の一種として認められないかな?

投稿: | 2013年8月 3日 (土) 14時30分

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