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2013年7月 6日 (土)

電力とテレビ 契約しない自由発揮の難しさ

なかなかに判断の難しい事例だと思うのですが、原発事故以来問題になっていることの一つとしてこういう話があります。

電力供給、初の停止 値上げ拒否で契約切れ(2013年7月4日J-CASTニュース)

  東京電力による企業向け電気料金の値上げを受け入れず、契約が切れた後も料金を払わずに電気を使用していた千葉県内の娯楽施設に対し、東電が電力供給を停止したことが2013年7月3日、明らかになった。契約更新の拒否による料金未払いを理由に電力供給を停止したのは初めて

   東電は、電力供給の打ち切りを5月末に文書で通知、7月2日に送電を止めた。現在、娯楽施設は休業状態で、滞納している電気料金は数百万円にのぼる。娯楽施設は「払えない」と支払いを拒否していた。

電気料金値上げ拒否の滞納1100件! 「ゴネ得」「送電停止は当然」の声(2013年2月28日J-CASTニュース)

   電気料金の値上げを拒否して東京電力に1年近くも滞納している工場や事業所などが約1100件もあることが分かり、疑問の声が上がっている。どんな事情があるというのか。
   1100件もの滞納があることは、新聞各紙が2013年2月28日に一斉に報じた。

東電、拒否続ければ送電停止を検討

   企業向け電気料金については、東電が12年4月から平均で14.9%値上げしている。震災の影響で原発が相次いでストップし、火力発電の依存度が高まって燃料費の負担が増えているのが主な理由だ。
   電力自由化で料金は1年ごとの更新になっており、これまで約22万件が値上げ後に契約した。しかし、まだ0.5%が電気を使いながらも支払いを拒んでおり、東電では27日、このまま拒否を続ければ、送電をストップさせることも検討することを明らかにした。
   その理由について、東電では、料金を払っている事業者から不満が上がっており、事業者間の不公平感をなくすためと説明している。滞納額は、これまでに70億円にも達しているという。

   それらの事業所などでは、どんな事情で滞納を続けているのか。
   フジテレビ系で28日に放送された「とくダネ!」では、キャスターの小倉智昭さんが知っているゴルフ場のケースを挙げた。
   それによると、原発事故後に汚染の影響を恐れて利用者が激減し、東電に対し、被害の補償を要求している。しかし、補償の話は進まず、そんな中で電気料金値上げが持ち出されたため、ゴルフ場側が反発しているというのだ。小倉さんは、こうした事業所などがかなりあると聞いたと明かした。
   とはいえ、こうした事情と使った電気料金を払わないことは別だとの声がネット上では多い。

マスコミの報道ぶりにも批判出る

   「主義主張はあれど、払うべきじゃないのか。ゴネ得はいかんだろ」「使いながら支払いしないのはひどいな」「カネ払ってないんだから止めるのが当たり前」といった指摘だ。
   東電の送電停止方針について、「強制的に打ち切れば利用者からの批判を浴びそうだ」などと報じた新聞もあったが、「マスゴミ君はバッシングしたくてしかたがないらしい」などと報道に疑問が出ている。
   もっとも、東電に対して、「思い上がりもいい加減にしろ」「競争原理をもっと入れようよ!」といった声もある。反原発を掲げる人たちからは、罵声を浴びせられているようだ。

   東電の広報部によると、滞納しているのは、主に首都圏を中心にした中小の工場や事業所だという。中には、60回も足を運んでも契約しようとしないところもあったそうだ。
   ネット上では、「検討じゃなくサッサと止めろよ」との声もあるが、東電では、「説明する必要がありますので、直ちには止められません」とした。
   被災がらみもあるかは、把握していないという。分かっても個別のことは回答を差し控えたいと言っている。

基本的に電気などの社会インフラの類は税金と同じで、その恩恵に浴している以上支払わないという選択枝はないと思うのですが、このところ電力自由化という名目で料金がやたらと変わっている、しかも原油高だ為替変動だと言って値上げするときは躊躇ないのに値下げはしたがらないのはおかしいと言う声は以前からあったのは確かですよね。
そこにあの原発事故ですから東電管内では特に何かと面倒なのでしょう、かねて言われているように電力も競争原理を導入すればこんな一方的な売り手側の言いなりにならずにすむのに…という声も根強くあるようですが、他方では国が話を進めている発送電分離などもすでに実施されている海外からは「全然いいものじゃないぜ」という声も届いているように、インフラ整備には必ずしも自由競争が最良というものでもなさそうです。
いずれにしてもこれで自前の発電施設なりを作るなり、一切の送電を拒否するなり「腐れ東電の世話にはならない」とでも啖呵を切っていればまた違っていたのでしょうが、現状ではやはりいくら不平不満があろうが使うだけ使って料金を払わないのでは世間の理解を得られないでしょうし、今回の送電停止もやむを得ない処置ではあったのでしょう。
ただそれも筋道の通った選択枝が用意された上で自己決定が出来るという前提条件が担保されているが故の話なのですが、こちらの話になってきますといささか世論の風向きも変わってくるようです。

本人が拒んでも「受信契約成立」 NHK訴訟判決はアリなのか?(2013年6月29日弁護士ドットコム)

本人が拒んでいても「契約」が成立する場合がある——?

NHKの受信契約をめぐる裁判で、横浜地裁相模原支部は6月27日、「契約を命じる判決によって、受信契約が成立する」という判断を示した。裁判所がこのような判断を示すのは、これが初めてという。
この裁判は、NHKが神奈川県の男性に対して受信契約を結ぶように何度も要請したが拒まれたため、契約と受信料の支払いを求めて提訴したという内容。男性は「テレビが壊れていた」と主張したが認められず、裁判所は男性に対して、2009年2月〜13年1月までの受信料10万9千円の支払いを命じた。
たしかに放送法では、テレビ(受信機)を設置していれば受信契約をしなくてはならないと決まっている。しかし、契約とは本来、当事者の自由な意思によって結ばれるものだ。
このように、本人の意思に反して義務を課すことを、「契約」と呼んでいいのだろうか。ほかにも、同じようなケースはあるのだろうか。山内憲之弁護士に聞いた。

●法律で契約を強制するのは、極めて例外的

「『判決によって受信契約が成立する』という理屈を、おかしいと感じる方も多いと思います。自分はNHKと受信契約をした覚えがないのに、裁判所が代わりに受信契約を結んだことにするというのですから」

――根拠はどこにあるのか?

「民法414条です。そこでは、債務を履行しない人に対し、裁判所が強制的にやらせる際のルールが定められています。債務というのは、法律的な義務のことで、典型的には借金ですね。ようは、『借りた金を返したくない』という人に対して、強制的に支払わせるような場合の決まり事です」

――今回に当てはめると?

今回の債務はお金ではなく『契約をするという義務』です。具体的には、放送法上の『テレビを置いておけば、NHKと受信契約しなければならない』という義務ですね。

契約のような『法律行為を目的とする債務』を強制させる場合は、『裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる』(414条2項のただし書き)と決まっています。つまりは判決が、契約の意思表示の代わりになるということです」

――そういった例は、よくあること?

「いえ、法律で契約を強制されるというのは、極めて例外的な事態というべきです。私たちには自由意思がありますからね。

似たケースとしては、東日本大震災で注目された『原子力損害の賠償に関する法律』がありますね。この法律には、原子力事業者は、必ず損害保険契約をしておかなければならないという定めがあります(7条)。万一原発事故で、多額の賠償が発生した場合にも、事業者が着実に支払うよう備えさせるという点で、その趣旨は理解できます」

――NHKの受信契約には、どんな正当性があるのか。

「私たち視聴者に受信契約を強制してまで、NHKを存続させる意味があるのか。この点については人それぞれの考え方があるでしょう。

ただ今回、改めてこのような判決が出たわけです。NHKとしても今後いっそう、この判決や放送法に恥じない番組づくりをしていってほしいと願います」

NHKは近年受信料徴収について非常にアグレッシブになっていて、以前から現場の裁量ですませていたホテル客室のテレビに関しても裁判に訴えても厳重に取り立てるという方針に転じていますが、その背景にあるのが近年相次ぐ数々の批判に連動する受信契約解除の動きであることは言うまでもありません。
放送法によればテレビを受信できる機器を持っていれば契約し受信料を支払うことになりますから、先の電力会社の例に従えば「電気を使わないことで料金を払わない自由」を発揮するためには、受信料に関してはテレビを持たないことによってその自由を獲得するという形が考えられますけれども、今の時代これがなかなか大変です。
昨今話題になっているように携帯電話やPC、カーテレビからも受信料を取るというNHKの野望もいずれ具体化してくるはずですが、現在のこうした機器には当たり前のようにテレビ受信機能が搭載されていることを考えると、受信器を持たないことにより契約をしない自由を発揮することは極めて難しくなってきていると言えますね。

本来NHK問題は二つに分けて考えるべきなのでしょうが、実質的な国営放送として政府公報など必要欠くべからざる機能を発揮しているのも事実なのですから、この部分に関しては受信料徴収などとコストとマンパワーばかり無駄に浪費する(これ自体も利権化しているのでしょうが)行為はいっそ中止して税金で運用するということも視野に入れて良いと思っています。
ただそれとは別にNHK自身がニュースや娯楽番組など民放でやっても構わない部分に関して、世間的に批判に値する放送内容を繰り返すというのであればこれに対しては弁護の余地はないところで、しかもそうしたあきれた番組の制作に要する経費を強制的に負担させられるというのは国民にとってはおもしろくないのは当然です。
これら両者をきちんと別会社なり別チャンネルなりに切り離した上で、後者の不必要な放送部分に関しては以前から言われているように任意契約制を取りスクランブラーなりで対応するようにすれば全く問題ない話だと思うのですが、NHKとしては強制的強圧的に受信料を支払うよう国民に強いるというのですからおだやかではありません。
こうした法律はあまりに一方的だ、おかしいと考える人がどんどん増えてくればいずれは放送法を改正しようという動きにもつながってくるのでしょうが、場合によっては憲法まで変えようという話が普通に出ている今度の参院選にも全くそのあたりが争点になる気配はありませんから、ほとんどの国民はこうしたことにはあまり問題意識を抱いていないということになるのでしょうか。

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コメント

2013年2月、NHK週刊ニュース深読み
外国人観光客の比較グラフで 『日本が最下位。お隣韓国にも
負けてますね』と紹介。しかしそのグラフに『2011年』と書かれてた
NHK よ、この年に日本に何が起きたか忘れたのか?
http://p.twipple.jp/KkK4Y
http://www.uproda.net/down/uproda532174.jpg
・ひどい話だね 震災と、民主のせいでクソ円高になったのが理由なのは
アホでも分かるのに、こうまでして日本sage、韓国ageしたいのかね

・ 同じく「NHK週刊ニュース深読み」 アナウンサー
「(旅は)どうして日本は韓国よりダメなのか、韓国より劣っているのか?」
ゲスト「韓国と日本を並べた時どちらかに旅行するかというと、普通に考えて
みんな韓国を選ぶ」 「日本では日本語表示だけではアンフェア」
「日本は挨拶からやり直さないとダメ、韓国、シンガポールなんて
笑顔で挨拶が浸透している」 「日本は遅れている」
「日本では小さい頃、外国人を見たら金だと思えと教えられた」

・ 2012年末、フィギュアスケートNHK杯東北、その クロージングセレモニーで
氷上に日の丸を描いたと思いきや、日の丸の赤を半分欠けさせた上、
スケーターたちを円の四隅に三列ずつ並ばせた。あの国の国旗が
http://www.youtube.com/watch?v=wCH4qa4XPSc
1分17秒あたり

投稿: | 2013年7月 6日 (土) 08時38分

NHKみないのにタダ盗りやめて

投稿: コータロー | 2013年7月 6日 (土) 11時26分

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