« 参院選 各党の医療政策出そろう | トップページ | 世の中にはどんどん病人に増えてもらいたい人たちもいる? »

2013年7月 9日 (火)

医療機関で井戸水利用が進む

たまたま相次いで同じような記事が出ていたのですが、最近ではひところすっかりすたれていた井戸水の利用が再び脚光を浴びつつあるようです。

国立精神・神経研、災害時に飲料水供給-井戸水ろ過、小平市と協定締結(2013年7月5日CBニュース)

 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の樋口輝彦総長は、同センター内でくみ上げた井戸水をろ過した飲料水を、災害時に東京都小平市に提供する協定書を小林正則市長と取り交わした。地震などによる断水時、センター内に設置された地下水利用システムを使うことで、避難所の住民らに飲料水の提供が可能になるという。

 同センターは、被災時のライフラインの確保を目的として、昨年8月末に地下水利用システムを導入した。敷地内の井戸からくみ上げた地下水を高度膜ろ過処理装置でろ過して施設内に飲料水を供給するシステムで、非常用発電機に接続されているため、停電時も飲料水の供給を維持できる

 被災時に、同センターのある小平市を給水面で支援できないかと市側に打診したところ、了解が得られたという。同市は地元の医師会や薬剤師会、助産師会と災害時の協定を締結するなど、災害時の医療・救護体制の整備に取り組んでいる。

 同市によると、市内には東京都水道局の給水ポイントが2か所あるが、これとは別の供給ルートを確保することで、避難所などに対する飲料水の供給体制の拡充が図れるとしている。災害時は、同センターに給水車を派遣して水を受け取り、避難所などに配る方針。同市の担当者は、「停電時に飲料水を確保できる利点は大きい」と話している。【新井哉】

災害に備え井戸設置 断水時に開放 岡山県精神科医療センター(2013年7月7日山陽新聞)

 南海トラフ地震など大規模災害に伴う断水に備え、岡山県精神科医療センター(岡山市北区鹿田本町)は地下水をくみ上げる井戸を敷地内に設置した。飲料水を除く生活用水として利用でき、有事には入院患者のほか、地域住民に開放する。

 東日本大震災では水道管の破損により各地で水の供給がストップ。宮城県南三陸町や福島県南相馬市に派遣した同センター医師からは「トイレや寝たきりの高齢者の体を拭く水に困った」との報告が寄せられ、2012年12月、約200万円かけて掘削した。

 井戸は4、8、20メートルの3本のパイプを地中に打ち込み、4、8メートルは手動ポンプで、20メートルは電動ポンプでくみ上げる。鉄分が多いため飲用には向かないが、洗濯や食器の洗浄、風呂、トイレへの使用には支障ないという。

 同センターは12年8月、災害時に病院施設を一時避難所として提供する協定を地元7町内会(約1800世帯)と締結。鹿田学区連合町内会長の目黒宏平会長(71)は「災害を意識した備えのある病院が身近にあり、大変心強い」と話す。

 南海トラフ地震では岡山市など県南部を中心に広範囲で地盤の液状化現象が発生するとされる。内閣府が3月公表した被害想定によると、県内では給水人口の70%に当たる約130万人が断水に見舞われるという。

 同センターは井戸水を定期的にくみ上げ、水質などをチェックする。赤木一成常務理事(62)は「食料の備蓄も続け、有事は患者だけでなく地域住民の救済拠点として機能させたい」としている。

最近では病院に限らず企業向けなどに井戸水を盛んに売り込んでいて、経費削減にも有効だとして徐々に利用が広がっていたようなのですが、特に先の震災後は何よりも緊急時の水源確保という意味で重要視されるようになってきていて、今回のように大きな公的病院などでは周辺自治体への給水能力も保持しようという動きにもつながっています。
もともと病院というところは非常用の発電設備を用意しているもので、これで水道も自前で用意出来るようになれば地域の防災センターとしてますます重要性を高めることになりそうですが、やはりこうしたものは公的と民間とを問わず自治体も導入・整備段階から関わっていくのが筋で、用意するのはお任せします、いざという時は利用だけさせていただきますでは社会常識的にもどうなのかと思いますね。
ところで最近は井戸水の浄水もずいぶんと処理能力が向上しているようで、今回のように生活用水以外にも飲用など完全に水道水に置き換えるということも行われているようですが、そうなればそうなったで「病院の水道水離れ」などと言われてしまうのもおもしろいですよね。

病院など、井戸水利用へ 水道事業離れ進む(2012年1月24日防災ニュース)

震災時にも、被害が最小で済むようにと、病院などの水道事業離れが進んでいる。

富山県高岡市の済生会高岡病院は、2年前から、井戸の地下水ろ過システムを導入。地下水を9割、市水道局からの水道水を1割で、病院内の水の供給を実施している。

地下水の単価が、水道水より1立方メートルで60円~70円安いことから、年間約150万円の水道料金のコスト削減に成功している。

災害時の断水の恐れも少なく、停電しなければ、井戸から地下水をくみ上げられるので、防災対策にもなっている。

富山市では、西能病院、富山城南温泉病院、大和富士店などが、9割以上地下水を使用する態勢をとっている。

地下水ろ過システムは、全国で約900施設の実績を誇る、業界大手のウェルシィ社。

地下水くみ上げ、井戸の掘削、水の滅菌などの技術が向上し、地下水のコストが水道水に比べて安価なこと、防災策の一環として、水源を分散させたりより地震の被害がおよばない供給を求めてと、井戸水に人気が集まる一方、自治体の水道事業は収入が減少傾向にある。

自治体の水道事業は独立採算制。収入が減ると耐震管への交換も進まず、水道離れはますます加速しそうだ。

建設・処理などの費用込みでも井戸水が安くなったのか、それとも水道が高いのか微妙なところですが、日本各地で未だに水不足で給水制限ということが珍しくないのですから、いざという時にも断水させるわけにはいかない病院などの施設からこうした自前の給水設備を導入することは非常に有益なことだと思います。
ただ井戸水については過去にも何度も有害物質による汚染問題が発生していて、数年前にも名古屋第一赤十字病院で井戸水汚染が発覚したことからも判るように、有病者多数を収容する病院のような場所で日常的に使用するにはチェック体制も水道水に準じて日常的に行わなければならないのではないかなという気がしますね。
実験室内では今までうまくいっていた実験系が突然変な結果ばかり出すようになり、あちこち調べて見ても原因が判らず困惑していると結局純粋をつくる機械の不調だったということが時に起こりますけれども、この場合ポジティブ(あるいはネガティブ)コントロールも設定でき同じ入力をすれば同じ結果が帰ってくることが判りきっている実験系だからこそ何かがおかしいと気付くわけです。
人間の場合は人それぞれに症状も違えば治療に対する反応も異なるので、個人差なのか系の異常なのか気付かないということが十分あり得ると思いますけれども、目先の安さばかりに喜んでいないで保守整備などにも十分なコストをかけていただきたいものだと思いますね。

|

« 参院選 各党の医療政策出そろう | トップページ | 世の中にはどんどん病人に増えてもらいたい人たちもいる? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

実家の井戸にときどき猫が落ちてんですよねえ・・・・

投稿: イナズマン | 2013年7月 9日 (火) 08時33分

地下水くみ上げると周辺の地盤沈下とか大丈夫なのでしょうか。

投稿: 浪速の勤務医 | 2013年7月 9日 (火) 09時00分

まったくの想像ですが工業用じゃないのでしょせん量は知れてるんじゃ。
井戸って意外とやすいんだなと思ったんですがどこでも掘れるんでしょうか?
ここいらみたく海が近いと塩水が出そうな気がする…

投稿: ぽん太 | 2013年7月 9日 (火) 09時36分

災害時に自販機って動くの?

 南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備え、高知赤十字病院(高知市新本町)とアペックス西日本(本社・大阪市)は5日、災害対応型カップ式自動販売機の設置について協定を交わした。県内の病院では初めて。災害時には水やお湯、コーヒーなどが無料で提供される。

 同社の親会社「アペックス」(本社・東京)は東日本大震災の際、宮城県内6か所の大規模避難所に紙カップ式自販機を8台設置し、水やコーヒーなどを無料提供。被災者に喜ばれた。

 通常は30種類のドリンクを販売しているが、災害時は専用キーで切り替え、水、お湯、コーヒー、お茶、コーンスープ、ココアを無料で提供できるようになる。ほかの飲料は販売中止。紙コップは複数回使えるよう、内側をラミネート加工して強度を高めている。

 水は薬の服用に利用でき、お湯は粉ミルクの調乳に便利。ともに200ミリ・リットルと100ミリ・リットルの2種類を用意している。同病院では本館2階の待合室に設置。浜口伸正副院長は「大いに活用させてもらいたい」と感謝し、アペックス西日本の加藤徹郎社長は「万一の際、病院のスタッフと一緒に頑張りたい」と誓った。同社は必要に応じてトイレットペーパーや備蓄水などの提供も行う。

投稿: | 2013年7月 9日 (火) 10時40分

カップ自販機は水道水を引いてるはずだと思ったのですが、これは自立式のタイプなんでしょうかね?
災害時にはヘリ等でどんどん物資を輸送できるよう、平時から法令や機材を整備しておくべきですね。
ドクターヘリなども着陸していい場所がなくて結局よけいに時間がかかるという笑えないケースが多いようですから。

投稿: 管理人nobu | 2013年7月 9日 (火) 11時56分

助けて!猫が深さ10mの古井戸に落ちて3日。
http://nekomemo.com/archives/24811384.html

投稿: | 2013年7月 9日 (火) 15時36分

ぬこは大事に

投稿: めぐ | 2013年7月 9日 (火) 22時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/57749782

この記事へのトラックバック一覧です: 医療機関で井戸水利用が進む:

« 参院選 各党の医療政策出そろう | トップページ | 世の中にはどんどん病人に増えてもらいたい人たちもいる? »