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2013年7月18日 (木)

マスコミ業界 「医」に続くターゲットは「薬」?

媒体が媒体だけにあまり真面目に受け取っても…という意見もありますが、先日毎日新聞にちょっと気になる記事が出ていました。

牧太郎の大きな声では言えないが…:「薬九層倍」って何だ?(2013年7月9日毎日新聞)

 梅雨明け。朝顔市の東京・入谷で、例の「新聞嫌いの元官僚」と一杯。

 「お前さん、コラムで『小金稼ぎでどこが悪い』って書いているけど、新聞記者は小遣い稼ぎにアルバイトしていいのか?」
 「……」
 「1回5万円でコメンテーターをしていた? 全部、飲み食いに使った? いいご身分だなあ。役人の副業は批判するのに(笑い)」
 「そう言うな。広い意味の社業だから……今夜は俺が持つ」
 「当たり前だ! 生ビールの大瓶、もう1本!」
 「新聞記者の給料なんて、知れたもの……高級官僚の半分だ。お前、退職金、いくらもらった?」
 「……」
 「6000万円ぐらい?」
 「そんなにもらっていないけど……まあ、割り勘にしよう。こいつにも、生の大瓶!」
 「上場企業の役員で報酬1億円以上が292人もいたらしい。第1位の日産自動車のカルロス・ゴーンさんは9億8800万円? 異常だ」
 「それと比べれば、役人なんて……小金稼ぎだ(笑い)。2、3、4位は武田薬品工業。役員報酬の一部を株(ストックオプション)でもらっているから、株価上昇で報酬額が膨らんだ。3人とも7億円以上。製薬系はベスト20に7人も入っている。薬九層倍とはよく言ったものだ
 「くすりくそうばい?」
 「原価が10%で利益が90%。包装されれば、それ以上にもなる
 「本当かよ?」
 「医者の技術料を低く抑えて、薬を売ってもうければいいという時代もあったが、今は、仕入れ値段と販売値段がほとんど同じで、医者はもうけがない」
 「なら、なぜいっぱい出すんだ?」
 「標準治療というマニュアルがある。若い人で上の血圧を130未満、下の血圧は85未満にせよ!という数値目標が定められ、目標がクリアできるまで、薬は増え続けるんだ」
 「マニュアルが薬長者を作る?」
 「製薬会社は15年以上の時間と200億円以上の開発費用を投資しているから……」
 「それにしてももらい過ぎだ!
 「僕には何とも言えない」
 「チェッ、OBになっても、お役人はいつもそうなんだから」(専門編集委員)

しかしまあ、これが顧客から金を取って新聞に載せる文章かと言う気はしますけれども、それはともかくここで明確に製薬会社は儲けすぎだと批判的な論調で書かれていることは注目いただきたいと思います。
そもそも以前からマスコミが盛んに医療バッシングを繰り広げてきた理由の一端として、医療業界は法的規制によって広告を出すことが厳しく制限されている結果、マスコミに対してもスポンサーとして発言力を保てないということが指摘されてきたわけですが、この逆と言っていいのが21世紀の優良産業たる製薬業界であることは余程に暇をもてあました折にのんびりとテレビを眺めているだけでも実感出来るかと思います。
マスコミの医師叩きが激しかった頃には主要スポンサーたる製薬会社に不買運動をしかけようなどという話も出たほどで、しかも実際これがかなり効いたらしいということが明らかになったわけですが、そのマスコミ側からこうして製薬会社を揶揄するような話を公然と出してくるというのは何とも不思議な気がしないでしょうか。
何事にも定評ある毎日一社であればまたお得意の…で済んでいるところですが、実は最近他社からもこんな報道が飛び出して大きな紛争に発展していると言うことで、あるいは先日のノバルティスの一件で「医師叩きはもう古い。次のターゲットは薬だ」とでも狙いを定めているのかも知れません。

日本薬剤師会、フジ「とくダネ!」に抗議(2013年7月13日ココヤク)

■番組内容に抗議、回答を文書で要求
公益社団法人日本薬剤師会は、フジテレビ系列の情報番組「とくダネ!」が6月17日放送分で取り上げた内容に関し、フジテレビ情報制作局長宛てに抗議文を送付、その内容を7月1日付で、各都道府県薬剤師会にも連絡した。

この日の「とくダネ!」では、『医療の常識を疑え!院外の薬局増の裏側』と題し、同じ薬を病院でもらうよりも院外薬局でもらうことで、支払い金額が増えたと紹介。院内薬局なら請求されない調剤技術料がかかることや、薬剤服用歴管理指導料を説明所代として取り上げ、「説明書を断って少しでも安く」するとよいといった内容で放送された。

またさらに、医薬分業を行っても薬が減らない、過剰投与のケースが後を絶たない原因として、薬剤師による疑義照会がほとんど行われていないといった事実とは異なる内容を導き出し、そうした薬剤師の責任も大きいと、視聴者に受けとられかねない表現を行っていた。

■一方的取材で事実無根、薬剤師の職能無視と批難
これを受け、日本薬剤師会では、薬剤師の職能が十分に理解されない、一方的な取材により、視聴者に誤解を与えかねない放送が行われたと強く抗議。

文書において、まず、薬剤師は、処方箋どおりに薬を出すだけでなく、一般用医薬品やサプリメントといった患者が自ら購入して服用しているものとの飲み合わせに問題がないかどうかのチェック等、重要な役割を果たしていると説明した。

また、医薬分業は、薬剤師がその職能をより発揮し、薬の重複投与や相互作用の防止等、薬の適正使用と患者の安全確保のために進められてきたものであり、高齢化の進展や薬物治療の高度化が進む今、適切な情報提供と管理は、ますます重要となっていると指摘。

薬剤服用歴管理指導料についても、拒否すれば負担が減ると報じられたが、拒否に起因する重大な事故や副作用が発生した場合、患者の命や健康被害に関わる問題となるのであり、医療従事者として、到底看過できない内容だと主張している。

疑義照会についても、薬剤師の義務として全国で実施されている業務であり、実施状況も日本薬剤師会がたびたび調査して確認済みだと、具体的な調査結果の数値を挙げて説明、放送された内容が事実無視に等しいと批難している。

これらの点について、日本薬剤師会では、フジテレビ情報制作局に、正式な文書による回答を求めているという。

院外処方の是非などは今さらの話題という気もしますけれども、少なくとも院外で医療から独立して営業するようになったことで薬剤師の地位が相対的に向上したのは確かで、昨今製薬業界では相次いで医師への接待廃止を打ち出している一方で、調剤薬局のトップともなれば近頃接待攻勢もかなり激しいなんて噂も聞きますよね。
もちろん一般名処方だ、後発品優先だと医療費削減政策が厳しく言われ医療側への締め付けが年々厳しさを増す中で、ちょうど今現在進行中の参院選で橋下市長が後発品使用を全国民に義務づける、なんてことを叫んだとも報道されていますけれども、経験したことがある方はお判りのように医師の仕事は後発品変更可の指示を出すだけで、あとは薬局で患者さんと薬剤師さんが相談して商品を選ぶということになります。
つまり実質的にどの商品を出すかの選択枝が薬局側に握られるようになった以上そちらに接待攻勢をかけた方が効率的という判断は当然なのですが、番組に好意的に解釈すればそうした厚遇に見合った仕事をしているのかどうかという問題提起を狙ったという形でしょうか。

この報道を受けて薬局利用者である視聴者の側にも賛否両論があるようなのですが、もちろん院外に独立する際に公言したように医薬分業下で薬剤師として果たすべき仕事は幾らでもある、しかし実際にはそんな仕事は果たしておらず単に薬を袋詰めしてるだけじゃないかという指摘は成立し得ると思います。
ただ考えて見ればお判りのようにただでさえ病院の待ち時間も長いのに、それに加えて今度は薬局に出向きこちらでも待ち時間がかかるわけですから顧客側の利便性は相当に低下している、その状況で薬局でまたくどくどと問診だ、副作用の説明だと長く時間を取られるのは勘弁してくれと言う声もまた大きいわけですよね。
この辺りは薬剤師会のかくあるべし論もまた現場の状況を無視した空論というべきものがあるし、医薬分業になっても薬が減らないなどと医師の処方権を否定するかのような報道をするマスコミも頭が悪いと思いますけれども、ともかくマスコミ業界としてこうまであからさまに喧嘩を売るような真似に出てきたということには何かしら意味があることなのでしょうか?
いずれにしてもある意味では医師と製薬会社のつながり以上に薬局と製薬会社のつながりは濃厚ですから、薬剤師側が一致団結して立ち上がれば医師によるスポンサー不買運動どころではない大騒ぎになる可能性もあるはずなんですが、そうなるためには現場で働いている末端の薬剤師達がこうした報道をどの程度不当なものと感じるかにかかっているんじゃないかと思います。

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コメント

冗談めかしてますけど毎日の記事は波紋呼びそうですね。
ちなみに朝日は副業禁止だそうですけど毎日はいいんでしょうか。
金銭の譲受があれば筆先鈍りそうですけどね。

投稿: ぽん太 | 2013年7月18日 (木) 09時19分

マスコミの連中のほうがよほどもらいすぎだろw

投稿: aaa | 2013年7月18日 (木) 10時56分

>金銭の譲受があれば筆先鈍りそうですけどね。

車雑誌などはサンプルたる試乗車を出してもらう以上あまり批判的な事は書けないと公然と言われてますからね。
おかげで新型が出るたびにいかに旧型が○だったかようやく書けるようになるので、新型車は常に劇的に進化しているかのように見えるという副産物もありますが(苦笑)。

投稿: 管理人nobu | 2013年7月18日 (木) 11時33分

今のご時世、高齢者が増えて、なるべく懐が痛まない方がよい、薬局で待つのが面倒と考える患者側の立場からすれば、余計な出費がかさまない、時間の無駄が少ない「院内処方」のほうが有難いという回帰風潮になってくるのではないかと。そうなれば薬局はかなり痛い。フジテレビの今回の放送はそういう流れを推進するものであり、薬局・薬剤師にしてみれば死活問題に繋がる。薬剤師会がフジテレビに猛抗議するのは当然でしょうね。
「原発ムラ」ならぬ「薬剤ムラ」も相当な利権団体・圧力団体ですから、厄介な相手を敵に回したなと。

投稿: 逃散前科者 | 2013年7月18日 (木) 17時08分

一発だけなら誤射かも知れない

投稿: マカロン | 2013年7月18日 (木) 21時37分

医薬分業に批判が集まるのはかかりつけ薬局制度が普及していないからです。いわゆる門前薬局の問題です。医療機関の隣の薬局に行くならば機能的に院内処方と大差ないだけで時間とお金(調剤料)がかかるだけというデメリットが大きく見えてしまいます。患者側も薬は本来かかりつけ薬局で基本的にすべて取り寄せになるという意識を持たなければなりませんし、国もかかりつけ薬局推進のために薬局をひとつにすると医療費が安くなるような制度(具体的には複数の医療機関の処方箋を同一薬局に持ち込んだ場合調剤料を割り引く等)を整備する必要があるかと思います。

投稿: ゆうた | 2013年7月24日 (水) 01時46分

おっしゃる通り門前薬局の問題は看過できないと思います。
こうした「制度的には別組織として制度上のうまみだけをいただく」やり方は病院の外来部門独立などでも見られることで、診療報酬による誘導の限界を示すものでもありますね。

投稿: 管理人nobu | 2013年7月24日 (水) 12時18分

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