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2013年7月22日 (月)

新出生前診断 検査陽性だった場合その後は?

妊婦の血液から胎児の遺伝子異常が高率で見つけられるという新出生前診断が予想以上の利用者数であると言われていましたが、現段階でその後がどうなったのかということが先日発表されていて、なかなかに興味深い状況にあるようなんですね。

新出生前診断 検査開始3カ月で1,500人を超える妊婦が受診(2013年7月17日FNN)

妊婦の血液を使って行う新たな出生前診断で、検査が始まった2013年4月からの3カ月間で、1,500人を超える妊婦が受診し、およそ2%の人が「陽性」と判定されたことが、臨床研究グループの集計でわかった。
2013年4月から導入された新たな出生前診断は、妊婦の血液を採取するだけで、ダウン症などの染色体異常があるかどうか高い精度でわかるもので、国内22の病院で行われている。
この検査を実施する臨床研究グループは、当初、利用者は1,000人と見込んでいたが、6月末までの3カ月間で、1,534人の妊婦が受診し、およそ2%にあたる29人が胎児に異常がある可能性を示す「陽性」と判定されたことが、臨床研究グループの集計でわかった。
検査を受けた妊婦の年齢は27~47歳で、平均年齢は38.3歳となっている。
検査を受けた理由を「高齢妊娠」と答えた人は、94.1%だった。

新型出生前診断で陽性2% 2人中絶 3カ月で受診1534人(2013年7月17日産経ニュース)

 妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新しい出生前診断で、検査が始まった4月からの3カ月間で1534人が受診し、染色体異常の可能性があることを示す「陽性」と診断されたのは約2%に当たる29人だったことが臨床研究グループの集計で17日、分かった。このうち少なくとも6人が羊水検査などで異常が確定し、2人が人工妊娠中絶をした。別の2人は確定診断で「異常なし」となった

 グループによると、4月から6月末までに全国の22施設で1534人が受診。陽性は29人(1.9%)、陰性は1502人、ほかは判定保留だった。陽性のうち、21番染色体の数の異常があるダウン症(21トリソミー)が16人、心臓疾患などを伴う「18トリソミー」が9人、「13トリソミー」は4人とされた。

 受診した妊婦は27~47歳で、平均38.3歳。妊娠週数は平均13.5週。

ちなみに検査自体は大人気で各施設とも予約も取りづらい状況だと言いますが、今後認知が広がってくるにあたって需要がさらに拡大していくのか、それとも駆け込み需要が落ち着いた後は減ってくるのかは判りませんけれども、前者の場合想定したターゲット層とは異なった対象が検査を希望しているということになりそうですね。
もともとこうした診断技術に需要があるのもそれだけ胎児異常の確率が高い高齢妊娠が多いからですが、そうであるからこそ検査を実際に行う前に十分な説明を行い検査の意義を理解した上で、それなりの覚悟を持って検査を受けてもらうという抑制的な運用をしていくということでコンセンサスが成立していたわけです。
もちろんこの検査は確定診断ではなく、場合によってはかなり誤診の可能性も高くなるということから必ず羊水検査等で確認を行うことが必要になりますけれども、判明している中でのこととは言え29人がまずは胎児異常の可能性があると言われた中で、羊水検査による確定診断を受けたと確認された6人のうちで中絶を行ったのは2人だったと言うことです。

全数を把握しているわけではありませんから確定診断を受けた比率としてどの程度と言うことは言えませんけれども、陽性と診断された後のフォローアップこそ大事だとあれだけ言われている中で診断確定にまで至ったのが6人だけというのはその後の把握が出来ていないのか検査希望者自体が少なかったのか、前者の場合は制度の前提が崩壊しているという由々しき事態であるとも危惧されかねません。
また後者の場合ももちろん今後精密検査を受けるという人が出てくるのでしょうが、そもそも「とりあえず受けてみる」といった軽いノリでの受診は勧められないとして始まった制度だったわけですから、そもそも確定診断も受けられないほど覚悟のない受診者がそれだけ多かったのだとすればこれまた問題になってきそうです。
もちろん幾ら事前に説明されても確率的にも大多数は異常なしとなることが予想されていたわけで、安心を買うために安くもない検査費用を払ったという人も多かったのかも知れませんが、そうした除外診断的な用い方が果たして妥当なのかどうかも考えておかないと、いずれ妊娠が判明した時点で取りあえず検査を受けておくのがデフォルトということにもなりかねません。

新・出生前診断の希望増加 3カ月で1000人超受診 情報提供・説明の充実が不可欠(2013年7月4日日本経済新聞)
より抜粋

 妊婦の血液検査で染色体異常の有無を調べる新しい出生前診断が始まり、約3カ月が経過した。全国の医療機関には希望者が押し寄せている。「高齢出産」を理由にする妊婦が多く、受診者は6月上旬までに1000人を突破した。母体への負担が少ないメリットがある一方、検査を十分に理解しているかどうかへの懸念はぬぐえない。冷静な判断には正確な情報提供などカウンセリング体制の充実が欠かせない。

■「確定でない」強調

 「なぜ、検査を受けようと思ったのですか?」「高齢出産だったから」。今年5月、昭和大学病院(東京・品川)の産婦人科の診察室。認定遺伝カウンセラーの四元淳子さんに、妊婦(38)は思いを伝えた。

 四元さんは、検査で判定できる染色体異常はダウン症などの3種類であることや、結果が出るまで2週間かかることなどを説明。その中で強調したのは、異常の可能性を示す「陽性」の場合は、確定診断ではない点だ。確定するには、妊婦の腹部に針を刺し、羊水を採取する「羊水検査」が必要と、訴えかけた。カウンセリングは約30分間。検査内容に納得した女性は採血室に向かった。

 女性が新しい出生前診断を知ったのは3月。当時、妊娠のごく初期だった。検査を受けるかどうか夫と相談し、話し合いを重ねてきた。「結果について考えないようにして検査を受け、陽性なら、夫と時間をかけて話し合う」と語った。

 昭和大学病院では4月以降、100人を超える妊婦が受診。カウンセリングを受け、確定診断ではないことを知り、羊水検査に切り替えた妊婦や、検査結果が出たとしても、妊娠を継続するか決められないとの理由で受けない妊婦もいた。関沢明彦教授は「十分な説明を受けず、検査を受ければ動揺や混乱が生じ、冷静な判断ができなくなる恐れがある」と強調する。

 関沢教授によると、これまでの出生前診断の一つの「羊水検査」は0.3%の確率で流産する危険性があり、ためらう妊婦も。新しい出生前診断は採血による簡単な検査でリスクがなく、全国の病院には希望する妊婦が相次ぐ。

 名古屋市立大学病院(名古屋市)では週2回、臨床遺伝専門医と産婦人科医、認定遺伝カウンセラーの計5人体制でカウンセリングに臨む。1日あたり約10人。ほとんどが採血に進み、実際に4月の検査は72件と全国で2番目に多く、首都圏や関西圏からの希望者もいる。受診した妊婦(36)は「すべての異常が分かるわけではないことを知り、カウンセリングの重要性を感じた」。鈴森伸宏准教授は「新しい出生前診断が確定診断と勘違いしている人もいる。検査の精度や判定できる染色体異常は一部にすぎないことなどを検査前に理解してもらう必要がある」と説明する。
(略)

名古屋市立大のケースでは検査希望で来院した妊婦のほとんどが実際に検査を受けているということですが、もちろんこうした検査を希望してくる方々は事前に様々な情報を調べてはいるのでしょうけれども、一方で検査が陽性になったらその時点で改めて考えようと言う方々もいらっしゃるわけですから、どうも事後のことまで詳細にシミュレートしてから検査を受けている人はむしろ少数派なのか?とも思ってしまいます。
産科医の間でも妊娠中絶に関する話は意見が分かれやすいようですが、施設によってはまずは正しい情報を元に考えることが必要だと考え検査を実施していたり、あるいは胎児異常が確定すれば中絶するという覚悟がないなら検査だけ受けても仕方がないと考えていたりと、担当医の説明の仕方によっても検査実施率が大きく左右されるんじゃないかと言う気がします。
いわゆる癌検診なども命に関わる重大な結果が出てくるかも知れないにも関わらず、実際に大部分の人は「自分が本当に癌だったらどうしよう」とまでは深く考えずに毎年受診しているわけですから同じようなものなのだと思いますが、こうなると施設毎にどのような事前説明を行っているのか、希望者に対する実際の検査実施率はどうなのかということも知りたくなってきますね。

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コメント

夫婦で妊娠について考えてみるきっかけにしよう!

投稿: まもる | 2013年7月22日 (月) 08時33分

いい検査が出来たのなら受けてみようって考えも理解できますけどね。
関係ないですが健診で高い腫瘍マーカーばんばん追加で受けてる人ってどうなんでしょう?
健診センターのおすすめセットなんてひどい組み合わせだったするんですが。
そのお金を貯めて何年かに一回PETCTでも受けた方がいいんじゃないかな…

投稿: ぽん太 | 2013年7月22日 (月) 10時27分

スクリーニングで引っかかったのに精密検査受けない人って何を考えてるんだろう?

投稿: 徹夜 | 2013年7月22日 (月) 10時43分

仮に確定診断を受けない妊婦が相当数いたとして、施設側がどう対応しているのかは気になりますね。
事前説明はくどくどしいが、いったん終わってしまうと放置では意味がありませんしね。

投稿: 管理人nobu | 2013年7月22日 (月) 14時09分

アメリカじゃついに産み分けもできるようになったそうですね。
日本でもこういうことやるようになるんでしょうかね?

遺伝子選択による赤ちゃんが誕生…優れた遺伝子を厳選=米国
http://topics.jp.msn.com/world/general/article.aspx?articleid=1977313

投稿: てんてん | 2013年7月26日 (金) 12時03分

これは商業ベースでのことですか?
しかしアメリカじゃ宗教的にも問題にならないのかなあ?

投稿: ぽん太 | 2013年7月26日 (金) 12時54分

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