« 今日のぐり:「うなぎ なか勝(なかかつ)」 | トップページ | 医療機関で井戸水利用が進む »

2013年7月 8日 (月)

参院選 各党の医療政策出そろう

ちょうど参院選もたけなわですが、各党から出ている医療関係の選挙公約がどんなものか確認してみましょう。

2013参院選、医療分野の政党公約-成長戦略、保険財政が俎上に(2013年7月4日CBニュース)

 第23回参院選が4日公示され、21日の投開票に向けて選挙戦がスタートした。出そろった各党の選挙公約によると、政権与党の自民党、公明党は診療報酬改定について触れておらず、民主党、共産党などが診療報酬の引き上げを明記。全体としては、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の議論や、社会保障制度改革国民会議(国民会議)の進行などを受けて、成長分野としての医療を後押しする政策や、保険財政の方向性を示す政策が目立っている。

 自民党は、昨年の衆院選と同じ「日本を、取り戻す」のスローガンを掲げる。「民間投資を喚起する成長戦略」の一つとして、日本版NIH創設を前面に押し出し、2020年に、医薬品・医療機器・再生医療などの市場規模を16兆円(現状12兆円)、健康増進・予防・生活支援関連では10兆円(同4兆円)を目指すと明記した。このほか、社会保障の基本的な考え方として、「『自助』・『自立』を第一に、『共助』と『公助』を組み合わせ」ると記載。医師や高度医療機器などの医療資源の適正配置により、地域医療を確保するとした。6月に政府が発表した「日本再興戦略」の政策も展開するとしている。

 自民党と連立を組む公明党も、日本版NIHや医療の海外展開を公約に載せた。がん対策の記述にも分量を割き、放射線療法、化学療法の専門医育成に言及。医療費負担の軽減策として、高額療養費制度の上限を約8万円から約4万円にする施策や、難病対策の拡充を盛り込んだ。
(略)

2013参院選、介護分野の政党公約-ほぼ共通する「介護職員の処遇改善」(2013年7月4日CBニュース)

 参院選の各党の公約には、介護に関する内容も数多く盛り込まれた。自公民をはじめ多くの政党が、ほぼ共通して掲げているのが介護職員の処遇改善や地域包括ケアシステムの構築の推進だ。また、ロボット介護機器の普及など、介護を成長分野と位置付けた政策も目立つ。ただ、充実を目指すサービス類型や、廃止期限が延長された状態にある介護療養型医療施設の今後の扱いなどでは、各党の姿勢の違いが垣間見える。

 自民党は「政権公約2013」で、「自助」・「自立」を第一に、「共助」と「公助」を組み合わせることによって、持続可能な社会保障制度の構築を目指すと標榜。さらに、質の高い医療・介護サービスの提供を実現するため、従事者の処遇改善や研修などの支援に継続的に取り組むとしている。また、自民党と連立を組む公明党は「参院選重点政策」で、地域包括ケアシステムの構築の推進や、複合型サービスの大幅拡充を明記。さらに、安価で使いやすいロボット介護機器の普及なども盛り込んだ。
(略)

■自民、政策集で「多床室の整備促進」など明記

 自民党と民主党は、「政権公約2013」や「Manifesto2013」とは別に、目指すべき政策などを比較的詳しく提示した政策集も発表している。

 このうち、自民党の総合政策集「J-ファイル2013」には、▽介護サービスの範囲の適正化と公費負担の増加などによって持続可能な介護保険制度を堅持▽介護従事者の一層の処遇改善、キャリアパスの確立などを図り、介護人材の需給計画を示す▽間仕切りなどの工夫でプライバシー保護に配慮した上で、「多床室特養」の整備を促進▽廃止期限が延長されている介護療養型医療施設について、同施設の必要性を重視し、見直しを行う介護支援専門員の国家資格化を目指す▽居宅介護支援事業所の経営の独立性・中立性の推進-などが盛り込まれている。
(略)

昨今では公約などというものの値打ちもずいぶんと低下して週刊誌の記事タイトル並みの信用度ですけれども、とりあえず現実的に今後の政策実行に反映されそうな政権与党の政策を見ていきますとキーワードとしては「持続可能」ということになるのでしょう。
一般的に受け止めるならば社会保障給付の抑制政策を意味するものと受け取られそうですが、一方では医療関係領域を産業としてどんどん育てていくと言っているのですから、当然ながら一部医療系団体などが長年反対してきた混合診療の拡大なども行われていくことになるのでしょうか。
その手段として医師ら医療資源の適正配置ということを言っていますけれども、恐らくこれは厚労省などが進めてきた医療資源集約化と軌を一にする話であって、今までともすれば全国どこでも近場に専門医も揃っていていつでもいい医療が受けられ入院も出来るということが理想的な医療のように語られていましたが、それとは逆に高等な医療を受けたいのであれば患者さんの方でも労力を払いなさいという方向性なのかも知れません。
もちろん遠くの病院に入院するともなれば本人や家族の負担も大きくはなるでしょうし、それだったら多少「格落ち」でも近場の施設で出来る範囲でいいか…と考えることまでも狙っているのかも知れませんが、その補完的な機能として特に高齢者で期待されているだろうことが介護領域の充実となるのでしょうね。

まずは不足しがちな介護スタッフの待遇改善をという点については各党異論がないようですが、例えば介護施設においても介護スタッフが研修を受ければ吸痰や胃瘻の接続など一定の医療行為が出来るようになっていることから、今までともすればリスクが高い、手間がかかると施設で敬遠されていた介護度の高い方々も今後は療養型病床から施設へと移行させていく条件立ては出来ているわけです。
医療などと同様の対応で政策的に誘導していくのであれば、こうした研修を受けたスタッフが一定数以上存在し介護度の高い人々を多く受け入れているほど介護保険から割り増しで報酬が支払われるといった話が出てくるのかも知れませんし、さらに自助、自立などと言われればいっそ介護度の低い軽症者は在宅へということも考えているのかも知れませんね。
実のところ効率を考えると素人である家族が仕事もやめて一人つきっきりで面倒をみるくらいなら、大勢を集めて施設で専門スタッフが交代制でみた方がよほど効率的だし、産業としての成長にも貢献するはずですから、単純に施設入所はコストがかかるから自宅へ帰せという考え方が正しいかと言えば社会全体にとってはむしろ税収・雇用等も考えるとマイナスになっているんじゃないかという気もします。
ただ繰り返しますが「持続可能」であるということがキーワードになっているのであれば、どうしても公費負担をこれ以上大きく伸ばすということは避けたいのでしょうし、そもそも今までさんざん老人切り捨てなどと言っては財政的な制約を強めることを批判してきたマスコミすらこんなことを言い出しているのですから、やはりお金の問題でどこまでダイナミックな政策を実行出来るのかが鍵ということになりそうですよね。

(社説)医療と成長 財源を語らない無責任(2013年7月7日朝日新聞)

 医療に必要な財源を確保していけるのか――。日本が直面する大きな課題だ。
 いま、日本の医療費は年間40兆円。団塊世代が75歳以上になる2025年には60兆円を超える見通しだ。少子高齢化が急速に進むなか、税金や保険料などの負担増は避けられない
 ところが、参院選を戦う各政党はそこを率直に語っているだろうか。70~74歳の窓口負担にしても本則の2割が1割に据え置かれ、毎年2千億円近くを使っているのに、高齢者の反発を恐れ、口をつぐむ党が大半だ。

 一方、医療分野の振興で経済成長をめざそうという主張が目立つ。
 自民党は公約で、医療関連産業の市場規模を現在の12兆円から20年に16兆円へ拡大させることを掲げた。
 日本維新の会は「規制緩和によって医療政策を拡充」とうたい、みんなの党は「医療・介護の大改革」をアピールする。
 民主党も政権を握っていたとき、革新的な医療技術の開発を成長戦略に盛り込んでいる。
 医療技術の進歩自体は歓迎すべきものだ。ただ、それを利用するにはお金がかかる。日本の医療費は、だいたい年3%ずつ増えているが、うち1~2%分は「医療の高度化」が要因だ。
 誰がどう負担するのか。

 キーワードになっているのが「混合診療」だ。保険のきかない先進医療は患者が全額自己負担しつつ、保険診療の併用も認める制度である。
 現在、日本での混合診療は、国が認めた一部の先進医療に限られている。国が安全性に責任を持つことを基本としているからだ。その治療の有効性や安全性が十分に認められれば公的保険に取り込む。
 この混合診療を思い切って解禁しようというのが、みんなの党や維新の会だ。患者の自己負担をベースに最先端の医療を広げることを重視する。安倍政権も成長戦略で、現行制度の「大幅拡大」を掲げる

 ただ、混合診療を全面解禁すれば、医療従事者や製薬会社が公定価格に縛られない先進医療にばかり目を向け、公的医療がおろそかになるのではないか。そんな懸念がある。
 先進医療がお金のある患者しか利用できない状態が続き、格差が固定化するのは好ましくないだろう。公的保険が適用される医療をできるだけ広げるのが望ましいはずだ。
 そう考えるなら、各党とも公的医療の財源を確保する道筋を示す必要がある。医療産業の振興を叫ぶだけでは無責任だ。

まあしかし朝日などに「無責任」などと言われては一応選挙等々で国民の判断を受ける政治家としても立つ瀬がなさ過ぎるというものですが、あの「姥捨て山」「あまりに冷たい」と後期高齢者医療制度をさんざん批判していた朝日が高齢者窓口負担優遇特権について「高齢者の反発を恐れ、口をつぐむ党が大半」などと言っているのですから、もしや彼らがまたも変節したという噂は本当なのかも知れませんね。
それはともかく、医療費抑制だ、混合診療導入だといった話になれば一昔前なら何が何でも反対しそうなイメージすらあった朝日のようなメディアでさえ、一応は両論併記といった形でありながら実質的に導入を容認するかのような論調で社説を書く時代になっているのだということはそれなりに重要だと思います。
一昔前であれば大きな改革となるとそれが何であれマスコミからは「国民の声なき声が」と批判され、政治家も実態の明らかでない民意なるものに恐れをなして尻込みするという構図が続いていて、「日本人は昔から急激な変革を望まず、合議によるゆるやかな変化を求めるのだ」などと社会文化論的なことまで言われていたものですが、このところむしろ民意の方が先行し「いつまでぐずぐずしているのか!」と言われるケースが多いようです。

混合診療なども各種世論調査ではおよそ8割程度の圧倒的多数が容認していると言われ、それについては世論誘導だとか詳しいことを知らない素人の意見だとか言われますけれども、実は案外多くの人がそれなりに詳しい情報を知っていて、その上であまりに慎重すぎる政策に異を唱えているという可能性もあるのかも知れません。
いずれにしてもアベノミクスだなんだと言っても未だ劇的に景気が上向き税収が増えたと言うわけでもないのですから、介護スタッフの待遇改善などと言えばその分をどこからか削って捻出してこなければならない道理であって、その意味では拡充だ改善だと景気の良い話ばかりが並んでいる一方で具体的にどこを削るつもりなのかということにもう少しツッコミがあってもいいかなとは思いますね。

|

« 今日のぐり:「うなぎ なか勝(なかかつ)」 | トップページ | 医療機関で井戸水利用が進む »

心と体」カテゴリの記事

コメント

医療政策は厚労省と日医ら関係諸団体で決まっている印象ですね。
政党としての公約がどれくらい影響力があるのかと疑問視してます。
とりあえずは混合診療拡大だけはほぼ決まりですか?
新規薬の保険収載には今まで以上に慎重になりそうですけど。

投稿: ぽん太 | 2013年7月 8日 (月) 09時56分

野党公約完全スルーwww

投稿: aaa | 2013年7月 8日 (月) 11時10分

>新規薬の保険収載には今まで以上に慎重になりそうですけど。

保険診療にせずとも使えるのであれば、リスクが大きいものや有効性安全性の検証が不十分なものを急ぎ認可しようとはしなくなるでしょうね。
ただそれはそれで保険診療の意味を考えると間違ったことではなく、むしろ慣習的に行われているが効果が不確かなものなども含めてこの際保険診療の範囲を再定義してもいいかとも思います。
根本的には根拠も不確かな点滴注射を追加しなければ経営が成り立たない点数設定がそもそも無茶なのですが。

投稿: 管理人nobu | 2013年7月 8日 (月) 13時36分

>野党公約完全スルーwww
そういえば自民党一人勝ちでちっさな野党ばっかりになっても各党平等に取り上げなきゃいけないんですかね?
さいきん新党ばっかりでちょっとついていけてないの自分だけ?

投稿: てんてん | 2013年7月 8日 (月) 15時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/57743730

この記事へのトラックバック一覧です: 参院選 各党の医療政策出そろう:

« 今日のぐり:「うなぎ なか勝(なかかつ)」 | トップページ | 医療機関で井戸水利用が進む »