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2013年6月17日 (月)

またも偽医師騒動 現状の対策はそろそろ限界か

先日またぞろ偽医師騒動があったようなのですが、この発見の契機が「あまりにもお粗末」だと話題になっています。

医師装い診察した疑い、診療所経営者ら逮捕 八王子 (2013年6月15日日本経済新聞)

 診療所で医師免許を持たずに診察したとして、警視庁生活環境課などは14日、「高尾クリニック」(東京都八王子市)の元実質経営者で柔道整復師、城代明俊容疑者(45)と元事務職員、真下剣容疑者(45)を医師法違反(無資格医業)の疑いで逮捕した。

 同課によると、城代容疑者は2010年12月以降、週1回、内科や皮膚科などを担当。実際に患者に注射を打ったり、巻き爪の手術をしたりしていた。同容疑者が診察した患者は約2年間で延べ約8180人。約2400万円の診療報酬を得ていたといい、同課などは詐欺の疑いでも調べを進める。

 城代容疑者の不正は今年1月、「医師免許を持っていないのではないか」との看護師らの指摘を受けた内部調査で発覚。同容疑者が持っていた医師免許を調べたところ、本来施されているはずの「すかし」が入っておらず偽物と判明した。

 2人の逮捕容疑は11年1月~12年12月、医師の資格がないのに診察や薬の処方などをした疑い。高尾クリニックは今年2月から業務を停止。同課などによると、患者らに健康被害などの訴えはないという。

無免許で逮捕のニセ医者 医師不在で自ら穴埋め(2013年6月15日テレ朝ニュース)

 医師免許がないのに医療行為をしたとしてクリニックの実質経営者の男が逮捕された事件で、男は「医師がいない日も診療したかった」と供述していることが分かりました。

 東京・八王子市の「高尾クリニック」の城代明俊容疑者(45)らは一昨年から去年にかけて、市内の77歳の男性ら13人に対して、医師免許がないのに注射などの医療行為をした疑いで14日に逮捕されました。城代容疑者は2010年にクリニックの経営権を買い取り、雇った医師に診療をさせていました。しかし、水曜日は医師が不在だったため、城代容疑者が医療行為をするようになったことが捜査関係者への取材で新たに分かりました。取り調べに対し、「医師がいない日も診療したかった」と供述しています。城代容疑者らは延べ8000人を診療し、約2400万円の診療報酬を受け取っていたとみられ、詐欺容疑についても調べる方針です。

無免許医師逮捕:傷の縫合チョウ結び 院内で「偽医師?」(2013年06月15日毎日新聞)

 警視庁が14日、医師法違反(無資格医業)容疑で逮捕した東京都八王子市の診療所「高尾クリニック」(廃業)の元実質経営者で柔道整復師の城代明俊容疑者(45)。警視庁生活環境課によると、「偽医師ではないか」とのうわさがクリニック内に広まったのは12年末だった。城代容疑者が患者の傷の縫合をした際、チョウ結びで縫い止めするのを非常勤医師が目撃。今年1月、報告を受けた院長が医師免許証の提出を求めると、透かしがなかったため偽医師とばれたという。城代容疑者は「他の医師の免許証を勝手にコピーして偽造した。既に捨てた」と供述している。

 城代容疑者はクリニックを1000万円で買収し、10年12月に開業。院長と非常勤医師を雇い、整形外科、皮膚科など4科を取り扱った。毎週水曜日は勤務できる人が見つからず、城代容疑者が「自分も医師だ」として担当。有名私大医学部の白衣を身につけ、周囲を信用させていた

 昨年10月ごろ、城代容疑者から両膝に痛み止めの注射を打たれた患者の女性(72)は「いつも院長の注射は痛くないのに、この時はすごく痛かった」と振り返る。「打つ直前には、スタッフがカルテを持って『この注射で大丈夫ですか』とけげんそうに確認していた。今考えるとおかしい」と語った。【黒田阿紗子、藤沢美由紀】

まあしかし偽医師と言っても色々とありますが、今回のそれは素人目に考えてもお粗末極まるというものですし、こういう偽物が数年間にわたって活動出来たということは驚くばかりですけれども、いわば雇用主に当たる経営者にきちんと筋道の通った対応をした院長もよい仕事をしたと言えそうです。
小説「吉里吉里人」にいかに偽医者が素晴らしいかという記述があって、要するに何であれ身分を偽るようなら日々不断の努力が必要ということなのですが、この人の場合も純粋に経営者に留まっていれば罪は軽かったでしょうにそれほど儲けが違っていたのでしょうか、人間身の丈を無視して欲をかきすぎるとろくなことにならないという好例ですね。
昨年は都内の民間病院で健診を担当していた医師が偽医師だったとして逮捕されましたが、この際に再発防止策として厚労省は同省の運用している医籍登録の検索システムを利用しろと言い、また昨今では必ず医師免許証は原本を確認することが徹底されるなど、それなりに偽医師対策は講じられてきてはいます。
しかし近頃では偽医師側も実在の医師の名を騙るなど工夫をしていて、最終的には現場の同僚等が「この先生本物…?」と疑問を抱いたことから発覚につながるケースがほとんどであるようなんですが、そうなりますとこういったケースでは非常に発見が困難になるんだろうなと思えますね。

医師成り済ましで逮捕=元医師の男ら?神奈川県警 (2013年5月29日ウォールストリートジャーナル)

 別人の医師免許をコピーして成り済ましたなどとして、神奈川県警生活経済課などは29日、医師法違反や詐欺容疑などで、元医師のアルバイト河村直樹容疑者(59)=さいたま市中央区鈴谷=ら2人を逮捕した。容疑を認めているという。

 逮捕容疑は昨年11月、神奈川県茅ケ崎市の病院に非常勤で勤務し、入院患者の死亡診断書を作成して給与の現金5万円をだまし取ったなどの疑い。

 同課によると、河村容疑者らが免許を勝手にコピーした愛知県の男性医師に、心当たりのない源泉徴収票が病院側から届いて発覚した。同容疑者は昨年3月、医師免許を取り消され、金銭面で困っていたという。 

別人なりすまし診断の容疑で元医師を逮捕/茅ケ崎(2013年5月30日神奈川新聞)

 別の医師になりすまし診断したとして、県警生活経済課と茅ケ崎署は29日、詐欺や医師法違反などの疑いで、さいたま市、元医師のアルバイト河村直樹容疑者(59)を逮捕。同容疑者を雇った病院から紹介料をだまし取ったとして、詐欺などの疑いで、東京都世田谷区、会社社長山形精隆容疑者(48)を逮捕した。

 逮捕容疑は、河村容疑者を非常勤医として茅ケ崎市内の病院に雇用させようと共謀し、昨年11月16日、愛知県に住む男性医師の医師免許証のコピーを同病院に提出。同容疑者は給与5万円を、山形容疑者は紹介料1万500円をだまし取った、としている。また河村容疑者は同日、同病院で亡くなった女性患者の死亡診断書を作成するなどした、としている。

 県警によると、2人は容疑を認め、河村容疑者は「免許を取り消され、金に困っていた」、山形容疑者は「(河村容疑者が)生活に困っていたので紹介した」と供述。河村容疑者は昨年3月に免許を取り消されていた。山形容疑者の会社は当直の非常勤医などを病院に紹介しており、過去に仲介したことのある医師の免許を悪用したという。

 県警の調べでは、河村容疑者は昨年9月以降、ほかに千葉県や都内の3病院に勤務。「(風邪やインフルエンザなどの)患者50人ぐらいを診察した」と供述している。

元精神科医で診療行為にかこつけた患者への準強制猥褻で逮捕された過去があると言いますからあまり同情の余地はなさそうなのですが、精神科とは言っても最低限の医学的知識はあるでしょうし、紹介業者もグルになっているのですから誰でも信用したくなるでしょうね。
他院でも予防接種などのアルバイトをやってかなり手広く稼いでいたということでこれをよく発見したなと思うのですが、名前を騙った当の本人のところにたまたま源泉徴収票が届いたから発覚したのであって、現金払いのアルバイトの場合なかなか発覚しにくいだろうということをさすがによく心得ていたものだなと思います。
厚労省の医籍検索システムはこういったところが弱点であって、例えばかつては戦前戦中に活躍した明治生まれの医師を始めとっくに無くなった方々も抹消されないまま掲載されていると大騒ぎになりましたが、仮に本人も亡くなり家族もいないといったケースでは名義だけを不正利用のし放題ということにもなりかねませんよね。

一昔前の大学医局による医師派遣システムはそうした身分保障という点ではなかなかによく出来ていて、病院側としてみれば大学が身元を担保してくれるからこそ何も疑うことなく雇用できる道理ですけれども、場末の病院と言わずとも公募等によって医師を集めることが一般化してきている現在、確実な身元保証の手段を考えていかなければ偽医師騒動はますます拡大しそうです。
当面考えられる対策としては運転免許証など複数の公的証明書で本人であることの確認を徹底するしかありませんが、車の免許は持っていませんだとか言い訳はいくらでも出来るでしょうし、そもそもたかがバイト先でそんなところまで根掘り葉掘り確認されたのでは真面目な医師でもへそを曲げそうではあります。
国が本気で対策を講じるなら現状の単なる書状一枚きりという旧時代そのままな医師免許証頼りの本人確認をやめて、せめて生存確認を兼ねてICカードなりに更新するだとか例のマイナンバー制に絡めて電子的認証システムを用意するだとか時代に即した制度改定が必要でしょうに、一向にそんな話もないらしいことを見るとこの程度のリスクは許容範囲内の細事だと見なしているのでしょうが、問題はそのリスクを許容するのが医療機関だけではなく患者たる国民であるということです。
未だ国民所得の改善も不確かな中で医師免許証ひとつでいい儲けになることが知られ始めた、そして何より昨今では素人でもスマホ等で「あんちょこ」を調べることも楽に出来るようになってきているわけで、偽医師リスクは今後ますます増えこそすれ減る理由はなさそうに思えるのですけれどもね。

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コメント

偽医師のほうでも情報収集くらいしてるでしょう。
病院がどうやって資格確認してるか知っていればごまかすのはわけないですよ。

ところで他の資格職じゃどうやって資格確認してるんでしょうね?

投稿: ぽん太 | 2013年6月17日 (月) 09時01分

偽物と呼ばれる汚名を甘受してまで医師として働きたいというその熱意をもっと積極的に活用すべきでは?

投稿: 田沼 | 2013年6月17日 (月) 10時03分

実は自己申告だけという職場も結構多いんじゃないでしょうか?>資格確認
最近では何十年も運転免許無しで普通に運転していたというケースが珍しくないですが、職場で外回りの用を頼むことはどこでもあることですがいちいち免許があるかどうかまで確認しないでしょう。
資格の有無が就業にあたっての絶対的条件で、なおかつ詐欺を働くリスクに値するほどの見返りがあるということが偽物登場の理由だとすれば、多くの資格はそこまでのうま味はないのでしょうね。
もちろん医療業界が性善説であまりにずさんな対応をしてきたということも最大の理由だと思いますが、医療情報へのアクセスが容易になって「これなら自分にも出来るかも」と考える人は今後増えそうに思います。

投稿: 管理人nobu | 2013年6月17日 (月) 11時43分

医者は額に入れ墨することにしたらいいんじゃない?

投稿: | 2013年6月17日 (月) 13時56分

またもや偽医師が逮捕されたという。このニュースを聞くのも何度目だろう。医師とはそんなにも楽に儲かる仕事だと思われているのか。▲発見のきっかけはささいなことだった。傷の縫い方がまるで素人のようだったというのだ。医師なら誰でも当たり前に出来る処置だ。それさえもおぼつかないようでは偽者としても修行が足りなかった。▲だがちょっと待ってほしい。技術と知識さえしっかりしていれば医師として万全なのか。医師の心ない一言で日々どれほど多くの患者が傷ついているか。全ての医師達はもう一度初心にかえって想像してもらいたい。▲偽医師の多くは患者からの評判はよかったと聞く。素人だからこそ素人の気持ちがわかったのかもしれない。技術を極めるばかりで心が置き去りになってはいないか。患者はしょせん無知な素人とあなどってはいないか。偽医師騒動は医療への警鐘だと受け止めたい。

投稿: | 2013年6月17日 (月) 15時23分

さすがにちょう結びはないけどwどうしようもないくらい縫合へたくそな先生って少なからずいますよ。
内視鏡だのCVカテだの手技的なうまいへたって医師免許の有無より手先の器用さと経験だから。
ちょう結び先生もボク臨床やってなかったからわかんな~いって言ってりゃよかったのにね。

投稿: こんちゃん | 2013年6月18日 (火) 12時39分

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