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2013年6月29日 (土)

日本型チーム医療の中でのナースプラクティショナー(特定看護師)の位置づけは?

先日厚労省のチーム医療推進ワーキンググループでこんな話が出ていたそうですが、今まで各施設を中心とする自主的努力に依存していたチーム医療も公的な制度を設けていくべきということのようです。

チーム医療推進、コメディカルの質も課題-厚労省WG、臨床研修の導入が俎上に(2013年6月26日CBニュース)

 厚生労働省のチーム医療推進会議・チーム医療推進方策検討ワーキンググループ(WG)が26日、約11か月ぶりに開かれ、業務拡大などに関する職能団体からのヒアリングを始めた。この日は、コメディカルの18職種でつくる「チーム医療推進協議会」と、日本薬剤師会が参加。協議会の半田一登代表(日本理学療法士協会長)は、「専門職の質を上げることがチーム医療の根幹にある課題。コメディカルにも臨床研修システムを整備してほしい」と述べ、組織率の低さなどから、職能団体のみの努力では難しい現状を訴えた。

 チーム医療推進協議会は、理学療法士のほか、救急救命士、放射線技師、栄養士などの団体が参加している。協議会の要望は、▽卒前教育におけるチーム医療教育の推進▽臨床研修システムの確立と支援▽免許更新制度の推進▽包括的指示の積極的な運用と活用範囲の拡大▽全職種の身分法への「連携」項目の追加-の5点。臨床研修システムについては、専門業務が多く他職種のことを知る機会が少ない現状や、職能団体が研修や認定制度を設けても、病院当たりの勤務人数が少ないために参加が難しい事情、18歳以下人口が減る中で質の担保と向上に懸念を抱いていることなどが説明された。

 これに対し、小森貴委員(日本医師会常任理事)や高本眞一委員(三井記念病院長)からは、「国に頼るのではなく、専門職団体がもっと努力するべきでは」という意見があったほか、「これまでは医者を中心としたヒエラルキーの中での修練が中心だった」(栗原正紀委員・長崎リハビリテーション病院理事長)として、研修の方向に賛成する意見もあった。

■薬剤師会、患者宅での臨機応変な対応を要望

 日本薬剤師会は、主に在宅医療における役割の明確化に関して要望した。同会の安部好弘常務理事は、現在認められていない業務について見直し、▽調剤した薬剤を患者宅で渡す際に、残薬の状況などから薬剤の調整が必要になった場合、処方医への疑義照会の上で計数変更する▽在宅患者向けの調剤の処方箋について、現在は認められているファクスでの受領を、電子メールなどに広げる-ことなどを求めた。背景として、法律や法令における薬剤師の業務が、薬局や調剤室を想定しており、調剤室の一部と解されている病棟でできることが在宅医療の現場で認められないという状況を説明した。【大島迪子】

ちなみに末尾の薬剤師会の役割拡大にも関連する話ですが、処方薬の飲み忘れ等で薬が余ったり数が合わなくなったりするのはままあることで、今までは外来医師がその都度処方数を加減するなど面倒なことをしていたわけですが、先日ちょうど福岡市薬剤師会が九大と共同で残薬を回収したり差し引きの不足分だけを処方するという試みが紹介されていて、医療費削減や現場の手間の軽減にも有効な策だと思いますね。
それはともかく各施設頼りでの活動となると悪い点として質的な統一が為されない一方で、良い点として施設毎の実情に合わせた調整が効きやすいということがありますが、それに対して制度として行うということであれば研修なり試験なりも集まってしようかという話になりますから、施設の状況によっては「とてもそんなことやってる暇はない」と言うことにもなりかねませんよね。
最近どうもこういう「○○にもきちんとした組織を作りましょう」という話が多いようにも思うのですが、よく言えば医療の標準化推進と質的担保ということなんでしょうけれども、天下り云々といったことを抜きにしても制度論ばかりが先行してしまうと施設の実情に合わせて手探りでやってきた現場の努力を無駄にすることにもなりかねず、なかなか難しい問題ですね。
ただコメディカルの医学的知識が(それを言うなら医師もそうなんですが)一定しておらずしばしば怖い経験をするのはどこにでもあることですから、少なくとも院内で勉強会を行い必須知識の共有を図るなど教育環境の整備と質的な底上げが必要であることは言うまでもありませんが、そこに何かしらの権威・権限を付加するという話が結びついてくると少しばかり話がややこしくなってきます。

日本の医療現場で「診療看護師」が活動し始めています。(2013年6月25日FNNニュース)

アメリカでは、「ナースプラテクショナー」と呼ばれる専門教育を受けた看護師が、患者の診察や処置などを行っていますが、今、日本でも、これをモデルにした診療看護師が活動し始めています。その現場を取材しました。

夜間救急外来を設置している、東京・港区のせんぽ東京高輪病院。
発熱と激しいかゆみで訪れた女性を最初に診察するのは、医師ではなく、診療看護師の松橋詩織さんだった。
松橋診療看護師が「アレルギーあります? 食べ物とか」と尋ねると、患者は「ないと思う」と答えていた。
松橋診療看護師は、当直医の指示を受けて、バイタルサインと呼ばれる血圧、脈拍などの基本データと、持病やアレルギーなどを確認し、その診察をもとに、当直医は診断と処置を検討する。
松橋診療看護師は「最初はやっぱり、不安ですね。看護師なのに、医療に携わって。医療というか、治療に携わるっていうのは、どこまで(患者に)受け入れられるのかっていうのが」と話した。

診療看護師は、5年以上の実務経験を持つ看護師が、大学院などで2年間、医学知識や技術の教育を受け、医師の指示のもとで診療や検査、処置など、特定行為をする
医療機関によっては、「特定看護師」と呼ばれ、3年前から厚労省のモデル事業としてスタートした。
診療看護師1年目の松橋さんは、研修医と同じく、救急外来やさまざまな診療科を回り、実践経験を積んでいる。
動脈からの採血は、出血リスクが高く、これまで医師が担当してきた分野だった。
松橋診療看護師は「視野が広がったなっていうことは、すごく感じていて、採血結果とかで治療効果を一緒にドクターと判定して。で、またその治療方針を変えるという立場にいるんで」と話した。
松橋さんは6年間、この病院で看護師として働いていたが、退職して自費で大学院に入り直し、4月から診療看護師として戻ってきた

朝のミーティングでも、診療看護師は医師のグループに入る
看護と医学の両方の視点を持つ診療看護師は、深刻な医師不足を救う存在としても期待されている。
この日、外来で70人の患者を診察する予定の循環器センター・山本雅人医師は、夕方遅くまで入院病棟へ行く時間は取れない。
山本医師は「1人、病状が動いている患者さんがいまして、彼女なりの診察だとかしてもらって、それで報告してもらって、それで僕が適切な、それに対して、(対応の)指示をしていく」と話した。
松橋診療看護師は、山本医師に代わり、入院患者のもとを1日に何度も訪れ、状態の変化を把握し、治療についての説明も丁寧に行う
松橋診療看護師は「すごく、言葉を選びます。不安をあおるような形で説明してはいけないと思うので、やっぱり医師の言葉だと、難しいっていうことをよく聞くので、そこは何とかかみ砕いて」と話した。
入院患者は「もう先生も忙しいから、説明されるだけの傾向があるんで。それのギャップを(診療看護師が)埋めてるっていうか、そのへん本当に安心してます」と話した。

いつもそばにいる存在として、松橋診療看護師に対する患者の信頼度は高い。
しかし、法律がまだ改正されていないため、診療看護師の地位や業務範囲は不透明な状態のままで、医療機関によって試行錯誤している状況となっている。
心臓移植を受けた女性のカテーテル検査。
心臓の筋肉組織の一部を採取して、拒絶反応がないかを確認する。
リスクが高く、通常は医師だけで行うが、メンバーに診療看護師の松橋さんが加わっていた。
松橋診療看護師は「やっぱり、もう看護師なので、看護もするし、プラスアルファで、医学的なことにも参画するという形でとらえているので。患者さんがやっぱり足りない部分を、わたしが(病室に)行ったときには補ってあげたい」と話した。

厚労省は、看護師の特定行為の項目や手順規定を、2013年度中に定めて法改正する方針。
新たな役割を担う診療看護師の挑戦は続く。

ナースプラクティショナー(Nurse Practitioner, NP)なるものの導入の是非に関しては「患者にとって不幸な結果をもたらすだけでなく、生命をも脅かすことになりかねない」と強硬な日医を含め未だに賛否両論ありますが、知識も技能も不足する研修医でも単なるお荷物ではなくいないよりいた方がましという局面も多々ある以上、これまた使いようによっては十分有効なものになってくるんじゃないかと考えています。
例えば未だに「点滴ルートをとるのは先生の仕事ですから!」なんてことを言っている病院は医師からも忌避されますけれども、こうした仕事はどんどん率先してNPにお任せすればいいはずですし、臨床現場で「別に医師がやらなくてもよさそうなのに何となく慣例的に医師がやっていて業務の多忙感を増している仕事」など幾らでもあるわけですよね。
NPが実際どんな仕事をするのか、それをやって法的に問題ないのかという議論はある程度煮詰まっているとは言えまだ法的にはっきりと確定してはいない状況ですが、現状で医師は多忙でろくに患者の顔も見ていられないという状況にある、そして当の患者側は実に9割が看護師の業務範囲拡大に賛成しているという調査結果もあるのですから、基本的には今後次第に導入が進んでいくものと思われます。

ただ船頭多くして船山に上ると言う言葉もあるように、NPの権限がある程度拡大してくると当然ながら医師の判断と違ってくる部分も出てくるはずで、そうした場合組織としてどちらの指示に従ったらいいのかと迷う局面は必ず出てくるはずですよね。
研修医と指導医との間でもこうした対立はしばしばあって、両者の指示が分かれて混乱するような時にベテラン看護師であれば「まず指導医の先生と相談してみてもらえますか」と両者間に丸投げすることで難を避けたりもしますけれども、看護師と一番深刻な対立関係になりやすいのが女医であると言うのと同様、つい先日まで同格の看護師だった人間から上から目線であれこれ言われることに感情的対立は必ず起こるでしょう。
先の記事中の施設では医師への報・連・相と末端の手技だけで判断と指示出しの部分は医師がするようになっているようですが、元々厚労省が考えている思案ではある程度簡単な日常診療上の問題には独力で対処するというところまで考えられているわけですし、そもそも本家アメリカでのNPとはそうした簡易医師的な役割を持つ制度であるわけですから、それを行わないなら全く似て異なる別物と言われかねません。

本来NP制度は医師不在地域での代替医師的役割と同時に医師ほどコストがかからず医療費削減が期待出来るという意味もあって、どうも日本で今試行されているチーム医療の中で医師とも対等に会話できる専門的知識を持ったサポートスタッフ的な位置づけとは出発点が違うという気はしますよね。
ただよくも悪くも封建的な医師の独裁権力を前提に構築されている日本の医療システムは前時代的だと批判するのはたやすいのですが、同時に最小限の医師数で世界平均よりずっと多い病床や患者を効率よくさばくのに都合のよいシステムでもあったわけで、純粋に医療の効率化を図るなら昨今人気の医局秘書導入と同様医師の業務を下請けしサポートするだけでも医師の多忙感はずいぶんと違ってくると思います。
その場合一番問題となるのが時間とお金を使って研修も受け、本家アメリカでのNPとはこんなにも素晴らしい専門職なんだ!と勉強してきた当のNP有資格者がそんな下請的地位に満足出来るのかどうかで、そもそもこんな資格を取りに行くくらいですからよほどに熱意情熱にあふれている有能な人材が多いでしょうに、制度としての形にはめて定着させた結果かえってやる気をスポイルさせてしまったのでは目も当てられませんね。

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コメント

法的裏付けが整ってからでないと侵襲的処置はしにくいんでしょうね。>NP
でもしゃべってること聞いたらやはりNsって感じですよねえ…
今後のトレーニング次第でだんだんとしっかりしてくるものなんでしょうか。

投稿: ぽん太 | 2013年6月29日 (土) 11時22分

これ給料はどれくらい違うんだろう?
看護師の仕事にプラスで働くのだったら給料に見返りがいりますよね?

投稿: 徹 | 2013年6月29日 (土) 12時15分

せんぽ東京高輪病院のHPを見たんですが、特に手当などについては記載がないようですね。
まさか同じ給料でやらせているわけでもないでしょうけど。
http://www.sempos.or.jp/tokyo/kangobu_boshu.html

投稿: コンタロウ | 2013年6月29日 (土) 17時19分

「特定看護師に当直してもらったらいいんじゃないかなあ。精神科ならたぶん医者とやることそうそう変わらないだろうし」
と口走ったら当院の特定看護師志望の看護師が静かになりました。
出来ることが増える=仕事が増える、ってことを理解してない看護師は結構多いです。

投稿: クマ | 2013年6月30日 (日) 07時46分

今のところあまり評判はよくないのですが、うまくいけば非常に使い勝手のいい制度だと思うのですけれどもね。
各施設が現場のニーズをきちんと読んで適切な教育を施していけるかどうかが鍵だと思います。

投稿: 管理人nobu | 2013年7月 1日 (月) 12時19分

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