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2013年6月 1日 (土)

壮大なセルフネガキャン…もとい、単なる誤解だった?

本日の本題とは関係ない話ですが、最近橋下徹大阪市長の発言が世間の注目を集めていますけれども、それとも関連してマーケッティングということにも通じるコミュニケーションの方法論とはどのようなものかということを考えさせられる興味深い記事がありましたので紹介しておきます。

【参考】市長もご覧ください 「風俗女性の素顔に世界が仰天!」タブーに切り込む本音と問題提起(2013年5月31日日経ビジネス)

生前は何度も禁煙を試みていたという作家の星新一がエッセーで世の禁煙運動なるものについて、自らの正義に酔っているかのような主張は他人の心に響かない、一見するとタバコを勧めているようでいて読み終わって「ん?」と何か引っかかるようなものがいいのだと言ったことを書いていたと記憶しますが、これもなかなかに言うは易く行うは難しというものですよね。
とりわけ理系でトレーニングを受けた人間には物事を順序立てておかなければ気持ちが悪くなる人間が多くて、「AからA'を経てBになる」とか「Cにはその前段階にpCがあった」式の話は理解しやすいのですが、一見して発想の飛躍としか思えないものを見ると思わず「何故?」と考え込んでしまいがちです。
ただ全く脈絡のないもの同士を結びつけたからといってそこに何らのマリアージュも成立するはずがないわけで、突拍子もない組み合わせに見えてもそこに心に響く何かが存在するということであれば、それは表には現れてはいなくとも背景には必ず何かしらの「理(ことわり)」が隠されているということでしょうし、誰も気づいていないその理を突き詰め意図的に顕在化させられる人間がコミュニケーションの達人と呼ばれるのでしょうか。

いささか前置きが長くなりましたけれども、ネットというものがこれだけ社会生活の中に当たり前に存在するようになってきますと、一昔前の「RPGを始める前にまず攻略本を開かなければ気が済まない」という人が結構いたというのと同様、「実生活で何かをするにあたってまずネットでの評価を確認しなければ気が済まない」という人もそれなりの数になってきているのだろうなと推測されます。
お食事会系サイトを自称する当「ぐり研」においても営業時間やメニュー等を確認するのに便利ないわゆる「口コミサイト」をよく参照しているのですが、この口コミサイトなるものが昔ながらの口コミというものとは全く違って、実際には匿名性を利用したステルスマーケッティング(ステマ)の温床となっていることはよく知られている通りですよね。
自分の好みも知っている顔見知りの口コミも実際に自分が利用してみると全然…ということが当たり前に起きるわけですから、ステマがなくとも千差万別の好みを持つネット利用者の口コミというものがどれほど信用出来るものか想像がつきそうなものですけれども、実際に当の利用者はこうした情報をどの程度信用しているものかという調査結果が先日出ていました。

「食べログ」があてになるかならぬかの約15万人調査結果発表(2013年5月31日ガジェット通信)

宴会の幹事を任されると、まず頼ってしまうのがインターネット。とりあえず、「食べログ」や「ぐるなび」などの飲食店情報サイトにエリアや予算などを入力して検索する・・・という人も多いのではないでしょうか。
「食べログ」には、★がついていて、その数によって店の評判がわかります。さらに「口コミ」欄を開けば、その店の利用者の感想が書き込まれ、店の雰囲気とか料理の傾向などを知ることが出来ます。
けれども、過去には「まずい」とのクチコミに「客が減ったから弁償しろ」と店側が提訴するなど、裁判沙汰になりました。
実は筆者も結構利用しており、書き込まれたコメントを参考にしていましたが、あることを機に口コミの不確実さ、個人差の大きさをつくづく感じ、以降、アテにしないようにしています。
さて、読者のみなさんはいかがでしょうか。「食べログ」の口コミを「あてにならない」と思ったことはありますか?アンケートでは以下の通り、「ある」と回答した人が7割を越えています。

・ある:72.5%
・ない:27.5%

(リサーチパネル調べ、14万9333人が対象)

性別世代別に見てみると、「ある」と回答した人は、

男性:10代55.10%、20代64.50%、30代70%、40代72%、50代75.10%、60代77.30%、
女性:10代58.10%、20代65.40%、30代70.90%、40代74.40%、50代77.60%、60代75.60%

と、男女とも年齢が高くなるほど「ある」との回答率が高くなります
若い人ほど「『あてにならない』と思ったことはない」というわけですが、「ない」と回答した人のコメント欄には

「そもそも『食べログ』を見た事が無い」
「『食べログ』知らん」
「もとからあてにしてない」

といった書き込みが多数あり、「『あてにならない』と思ったことはない」というよりも、「そもそも利用していないからわからない」といったニュアンスがほとんどでした。
そんな中でも、今後の参考になりそうなコメントを探してみると…。

「口コミの多い場所を選んで、評価のいいお店を選んで行ってるので失敗した経験がない。」
「何故か直観的にわかるので今迄ハズレた事はありません」

直感が働く人はともかく、サイトを利用するなら「口コミ数の多さ」が決め手のようですね。

では次に「ある」と回答した人のコメントを見てみましょう。
こちらには、以下のように経験談を踏まえて書き込まれた恨みつらみが続出しています。

「味わいは固有の感覚。他者と共通はしない。たまに東京へ出る時、情報を頼りに超有名レストランに友人のご紹介で行ったが、自分で作った方が旨いと思った」
「口コミで好い評価だったのに行ってみると清潔感の無いしかもサービスの悪い店であった経験あり。どこからあのような好評価が出て来るのか不思議であったが、やらせであればさもありなんと納得した」
「☆4つで美味しいと書いてあったので行ったがそれほどでもなかった。関東の方は京都の某氏別荘後や町家改造のというコンセプトの御料理屋さんだと点数高いようです」
「良いことが書いてあったので行ったら、まったく違ったことが数回ある。サクラ? 内容が違うことをコメントしたら2日ほどで削除され、嘘が多いことが分かった」
「かなり前の話ですが、私の知人が経営している店で、経営者や従業員が感想を書き込んでいました。本当に美味しいお店だったけど鵜呑みには出来ないなとその時に思いました」

また

味覚には個人差があるので何とも…」
「食べ物は現物を確かめなければ信用出来ない

と、至極まっとうな意見も多数ありました。

「アテにならない味の感想などはあまり見てなかったりします。その店へのアクセス、値段等を見るために使うほうが多いかな」
「店の場所と写真だけ参考にして、口コミは見てません
更新の時期が古い場合(1年以上前とか・・)の良い評価はあまり信じない。悪いのは信じる」

と、使い方を書いてくれた人も。
(略)

実際のところは少なくとも一時的にはこうした口コミサイトの影響も無視出来ないようで、例えば書き込みが集中した店舗ではリアルでもお客が殺到した結果対処能力を超えてしまい、「サービスが悪い」「料理が遅い」「盛りつけも味も手抜き」と言った口コミへの悪影響となってはね帰ってくると言いますから、シュレーディンガーの猫よろしく口コミという行為それ自体の口コミへの影響も考えないではいられません。
また飲食店の評価などは結局食い物がうまいかどうかだろうと思うのも早計で、人によってサービスや店の雰囲気、あるいは値段や待ち時間と評価基準は様々ですから、結局は数ある口コミの中から自分の役に立つ基準での評価を見つけ出すスキルというものも必要になってくるわけですが、それもこれも書き込みが各人の主観なりに真実性を保っているという担保があってこそですよね。
その意味では世に言うステマやサクラによる書き込みに対しては「元々参考にしていないからどうでもいい」という人はいても少なくとも積極的に評価するという人はまずいないわけですし、それが明らかになった時点でむしろ店や企業の側にとってもマイナスの評価がつきかねない諸刃の剣だと思っていたのですが、どうも必ずしもそう考える企業ばかりではないようなのです。

ソフトバンクが『いいね!』を金で買い自作自演をしていることが判明(2013年5月29日秒刊サンデー)

アベノミクス効果で円安や株価の上昇が取りざたされておりますが、はたして仕事の需要は増加しているのでしょうか。そんな疑問の中「面白い」仕事があるとネットで話題になっているものがあります。なんとこの仕事ソフトバンクのFacebookページにいいね!をするだけで65円という報酬を受けることができるというのだ。ということは10いいねで650円。果たしてどのような意図があるのだろうか。

「ソフトバンク」facebookキャンペーン(現在終了しております)
キャッシュ

この仕事の情報によると、ソフトバンクの公式Facebookページ上部にある「いいね!」を押すことで報酬対象となるとのこと。報酬を受けるには事前にこのサイトに登録する必要があるが、パソコン上でボタンをクリックするだけでお金がもらえるという興味深い内容。
(略)
それ以前にこの仕事の問題点は金額や仕事の内容ではない。ソフトバンクが「いいね!」数を金で買い「自作自演」を堂々と行っているという点だ。いいね!が高いことでなんとなくその企業の信頼性が高いと感じていた消費者にとってこれは「よくない」話なのかもしれない。
現在募集は終了したが、申し込みは72件あったようだ。つまりソフトバンクはこのキャンペーンで94万いいねのうち、「72いいね!」を獲得したということになる。
はたしてこの業界ではそれは常套手段なのか、ツイッターでは驚きの声があがっている。

―Twitterの反応
笑ってしまった
・あれ?掲載終了ですか?
ひどす・・
・ソフトバンクにいいね!で65円貰えるのか。
・65円貰ってソフトバンクに魂を売ろう
・こんなのアリなの??
・うははは…これはイイネ!
・こういう案件どういう経緯で発生するのかが興味あるなー
・うわぁ…これはひどい
・いいねを65円で買うのがソフトバンクかwww 
・なんだこれw
・なんじゃこりゃ…
・世の中にはこんなお仕事もあったんだ…
・これがビッグデータを解析して導き出した「顧客満足度向上」アクション?

「いいね!」をお金で買えるという事実が流布してしまえば、消費者にとってもはやそれは何の基準にもならないのかもしれない。

まあそれにしても世にステマと言いますが、まったくステルスしてないですよねこれは…
同社のサイトを見てみますと「いいね!」を押すと無料情報配信があるそうで、単純に配信対象者を増やそうという考えでやっていたのかも知れませんがすでに同サービスが終了(というより、存在自体を抹消して逃亡?)していることや、ネット上での反応を見る限りでは「こういう案件どういう経緯で発生するのかが興味ある」と言うしかない話ですが、どうも同社では類似サービスを他にも多数やっていた(そして同様に抹消した)ようですから、遅ればせながらまずいとは気づいたのでしょう。
先日コカコーラが特保でもない新商品を「トクホウ(特報)」と連呼することで売ろうとした、さらに先行する他社の特保商品にパッケージデザインまで酷似させていたということで大騒ぎになり、結局あまりに紛らわしく消費者の誤解を招くということで行政指導を受けた事件がありましたが、この一報を聞いて驚いたのがコカコーラという業界のトップブランドがわざわざこんな危ない橋を渡ってしまったという事実です。
当のコカコーラ側は「特保と誤解させる意図ではなかった」「CM中でも特保ではないと言っているのだから問題ない」「デザインが類似したのはたまたま」等々と主張しているようですが、「トクホウ」と漢字ではなく通常使わないカタカナ表記をしていることといい、大多数の消費者は単純に誤解するか誤解を狙ったあくどい商売をしていると誤解するか、いずれにせよ同社にとって売り上げ増加効果以上のデメリットが大きいように思います。
コカコーラなどは旧来型のメーカーだけにまだしも半分悪のりでやっているのか?と好意的に捉えることも出来ないでもないかも知れませんが、大手通信キャリアーでもあるソフトバンクがネット上でどのような評価を受けることになるかの事前予測も出来ないままこうした企画を見切り発射したのだとすれば、どうも大手各社の中の人のコミュニケーションスキルは大丈夫なのか?と他人事ながら心配になってしまいますね。

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コメント

しかしネットの書き込みを鵜呑みにする情弱が不利益を被ってるだけとも言うw
バカが損をするのは実社会もネットも同じ事だなww

投稿: aaa | 2013年6月 1日 (土) 09時43分

橋下市長発言、大阪視聴者8割が「問題なし」 「慰安婦の強制性の有無」指摘に支持?
http://topics.jp.msn.com/wadai/j-cast/article.aspx?articleid=1875486

投稿: | 2013年6月 4日 (火) 11時53分

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