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2013年6月28日 (金)

初産年齢30歳突破 まだ注目されていない別なリスク

本日の本題に入る前に、旧ソ連時代末期に初めてロシアに進出したときにはビッグマックひとつが平均的なランチ代の倍もするのに行列が出来たと言いますが、日本でも80年代後半にはマクドナルドのハンバーガーが200円以上した時代もあったわけですから、こうなると高級とまではいかないまでも子供のお小遣いでは気軽に食べるというのも少し腰が引ける値段です。
休日にマクドナルドのドライブスルーに家族で並んでいるのを見るとちょうどそんな子供が成長してかつての渇望を大人買いで満足させているのかなとも感じるのですが、そもそも本家本元のアメリカではマクドナルドやハンバーガーと言えばお金がない人たちが仕方なく食べざるを得ない安価で高カロリーな食べ物という側面もあって、もちろん高級感などとは無縁なジャンクフードの類であるわけですね。
当然ながらカロリー脂質過多で野菜が乏しい栄養価からしても常食して体にいいものとは思えませんけれども、先日見ていましたらやはりこういうリスクがあるんだなと感じさせる記事が出ていました。

◆ 妊娠前にファーストフードを頻繁に食べた場合、妊娠糖尿病リスクがおよそ2倍に(2013年6月25日日経メディカル)

 妊娠前のファーストフード摂取頻度が多いほど、妊娠糖尿病リスクは増大するようだ。ハンバーガーやピザを、1週間に3回以上食べる人は、1カ月に3回以下の人に比べ、同リスクはおよそ2倍に増えるという。これは、スペインUniversity of NavarraのFrancisco Javier Basterra-Gortari氏らが、3000人弱について行った前向きコホート試験で明らかにしたもので、6月21日からシカゴで開幕中の米国糖尿病学会(ADA2013)で発表した。

 これまで、ファーストフード摂取と妊娠糖尿病リスクについては、殆ど明らかにされていなかったという。そこでBasterra-Gortari氏らは、2万人超の大学卒業生から成る前向きコホート「SUNコホート」の中から、1999~2010年にかけて1回以上妊娠し、糖尿病または妊娠糖尿病歴のない女性、合わせて2903人について、ファーストフード摂取頻度と妊娠糖尿病との関連性について検討した。

 ファーストフードの定義は、ハンバーガー、ソーセージとピザとした。被験者は、136の食べ物に関する質問項目に回答した。その結果を元に、被験者をファーストフード摂取頻度に応じ、低頻度摂取(1カ月に0~3回量)、中頻度摂取(1カ月に3回量超~1週間に2回量)、多頻度摂取(1週間に2回量超)の3群に分類した。条件付きロジスティック回帰を行い、潜在的交絡因子について補正を行った。

 その結果、追跡期間中に妊娠糖尿病を発症した人は169人だった。年齢やベースライン時のBMI、総エネルギー摂取量、喫煙の有無、身体活動性、アルコール摂取、食物繊維摂取、地中海ダイエット、非アルコール飲料摂取、糖尿病の家族歴、ベースライン時の心血管疾患や高血圧症、経産について、補正を行った後、ファーストフード摂取頻度と妊娠糖尿病発症には有意な関連が認められた。

 具体的には、ファーストフードを中頻度摂取する人は、低頻度摂取の人に比べ、妊娠糖尿病発症に関する補正後オッズ比は1.51(95%信頼区間[95%CI]:0.93-2.46)、多頻度摂取する人の同オッズ比は1.98(95%CI:1.20~3.29)と、正の線形傾向が認められた(P=0.005)。

 被験者試験開始から妊娠までの期間は、正確なデータとして集計していないものの、Basterra-Gortari氏によると「およそ4~5年ではないか」としている。

 Basterra-Gortari氏は、ファーストフード摂取頻度と妊娠糖尿病発症リスクの関連について、「ファーストフードはカロリーも高く、同リスクが大幅に増えるであろうと予測はしていた」とした。その上で、自分たちの研究目的は全て、妊娠糖尿病の発症予防にあり、「妊娠前の女性は、ファーストフード摂取を控え、妊娠糖尿病発症予防につなげて欲しい」と語った。

こうしたファーストフードの悪影響というものは誰しも内心気にしているようで、先日はマクドナルドのCEO自らが「毎日食べてるけど1年で9キロ痩せましたが何か?」と公言して話題になっていましたし、民間レベルでも一定期間ひたすらマクドナルドを食べまくってみるといった企画があちこちで行われていて、まあ好きであるからこそ安心感の担保が欲しいということなのでしょうね。
今回の調査を見てファーストフードそのものが栄養的に偏っているということももちろんあるでしょうし、そうした食習慣を持つ人が栄養的にこだわりが少ないということもあるのでしょうけれども、体型などを補正してもリスクがこれだけ高まるということは少なくともファーストフードの過食は健康的な食事とは言えないということになるのでしょうか。
前置きが長くなりましたが、妊娠に関わるリスクというものはハンバーガーの誘惑に留まるものではないのは当然であって、恐らく日本ではそれよりもずっと怖いリスク要因となりそうなのが当「ぐり研」でもたびたび取り上げて来た高齢出産問題ですが、先日社会的にも大きな注目を浴びるこんな記事が出ていました。

初産30・1歳、「晩産」鮮明…少子化対策白書(2013年6月25日読売新聞)

 政府は25日午前の閣議で、2013年版「少子化社会対策白書」を決定した。

 女性が第1子を出産した平均年齢が30・1歳となり初めて30歳を超えるなど、「晩産化」が進む傾向が少子化の一因と分析した。これまで子育て支援を重視してきた少子化対策について、「晩産化」と、背後にある「晩婚化」を踏まえた支援策の重要性を強調した。

 1980年の統計は、女性が初婚を迎えた平均年齢は25・2歳で、第1子出産の平均年齢は26・4歳だった。いずれも年々上昇し、2011年の平均年齢で、29・0歳で初婚、30・1歳で第1子出産となり、「晩婚化」と「晩産化」が同時に進んでいることを裏付けた。

 背景として、白書は「若い世代はこの10年間で低所得層にシフトした」と、若い世代における雇用不安や所得減少を指摘した。20歳代の所得分布は、年収200万円台前半の層が最も多い。30歳代も97年統計で最多の層は年収500万~600万円台だったが、07年には300万円台に落ち込んだ。

ともかく初産年齢が30歳を突破したというのは世間的にもインパクトが大きかったようで、何しろ半世紀ほど前であれば30歳と言えばそろそろ子供も大勢産んで出産を終えようかと言う年代だったわけですから年配の方々を中心に「何とかしなければ」と言う声が上がるのも当然なのですが、問題は何をどうすべきかということです。
高齢出産の持つ生物学的なリスクにつきましては今さら改めて繰り返しませんけれども、白書でも指摘しているように根本的な原因として生物学的に最も妊娠出産に適している年代が所得の減少でとても結婚だ、子供だと言っていられない状況になっているというのは、産みたくても産めないという人が多いということですから社会的に対策を急ぐ必要がありますよね。
いわゆる少子化対策云々も絡めるとまた女性手帳問題のように思わぬ横やりが入る恐れがありますが、今日は出産年齢高齢化で一世代毎の交代サイクルが次第に延長してくるとこんなリスクも出てくるのだということで、こちらの記事を紹介してみましょう。

63歳父 35歳ニート長男の今後を考え「不安で夜も眠れない」(2013年6月24日NEWSポストセブン)

 就職難で働けない子供、親のすねをかじることに味をしめて働かない子供……。いずれの場合でも、親は不安を抱え、悩んでいる。「育て方を間違えたのか」「どうして私の息子だけ……」――そうやって自分を責めてもはじまらない。我が子に今、親として何ができるのか。

もし私たちが死んだり、認知症になったりしたら、息子はどうやって生きていくのか……」

 63歳のAさんは言葉を詰まらせる。眉間に深く刻み込まれた皺が、苦悩の日々を物語っている。

 Aさんの長男は今年35歳になるが、これまで一度も就職したことがない。20代の頃はコンビニなどでアルバイトをしていたこともあった。しかし、どれも長続きせず、この数年は「オレは仕事に向いていない」と部屋に閉じ籠もり、ネットやゲームをしてばかりいる

「大学を卒業したばかりの頃は、“そのうちやりたいことが見つかればいい”と呑気に構えていた。それがいけなかったのか、本人は親のスネをかじるのが当たり前のような感覚になっていて、危機感が全然ない。

 私は定年延長であと2年は働けますが、その後は年金暮らし。収入は格段に低くなります。もし私と妻が死んだら、その年金すらなくなってしまう。そうなったら子供の生活の面倒は誰が見るのか。そう思うと、不安で夜も眠れません」(Aさん)

「ニート」「フリーター」という言葉が流行り始めてから、10年、20年がたつ。しかし、その言葉の軽い響きとは裏腹に、親にのしかかる現実は重くなるばかりだ。就職氷河期の犠牲者である本人たちよりも、実はその親の方が苦悩が深い場合は少なくない。

 父親の年代は、50代後半から70代。なかには心労から体調を崩したりしてしまう親もいるという。

Aさんの場合は特に高齢での子供というほどでもありませんけれども、今後初産年齢がどんどん高くなり親子の年齢格差が大きくなってくるにつれてこうした子供の扶養ということがどれほど難しいことになるのか、そろそろ真剣に考えておかなければならないと思いますね。
昨今では美しい表現をするならば若年層の雇用流動化が進行していて、30代くらいまでは職を転々としたりフリーターで食いつなぐということはもはや珍しくありませんが、仮に親が30代後半で子供を産んだとすると親が定年年齢になった頃にはまだ子供は20代、その頃に彼らが無職であったとすれば年金等も親が負担せざるを得ないと言う場合も多いはずです。
しかし高齢で産まれた子供の場合下手をすると親が亡くなる頃になってもまだ受給可能な期間の払い込みすら終わっていないということが当たり前に起こりえるわけで、このところ制度的永続性という観点からも年金問題が非常に大きな関心を集めるようになっていますけれども、こんなところに非常に大きなリスク要因が潜んでいたということはもっと注目されていいと思いますね。

もちろんニートになるような子供を育てるのが悪い、遅く生まれた子供だからと甘やかし放題していた親の責任だという声も聞こえてきそうなんですが、最近では高齢妊娠で卵子の老化がダウン症などの原因になるのと同様精子も老化してくることが知られていて、その結果何が起こるかと言うと子供に自閉症や統合失調症が増えるということが判ってきました。
基礎疾患の種類別による就職率の差ということについて手元に明確な比較データがありませんけれども、例えばアメリカなどではおおむね7~8割は就職しているという自閉症に関しても本邦では自閉症協会の調査によれば「自閉症者の就職率はS62年が6.0%,H2年が6.9%で,100人中93人以上が就職できていない。良くて作業所,悪ければ精神病院に行ってらっしゃる方もある。」とまことに憂うべき状況です。
卵子老化によるダウン症などもダウン症協会によれば就業率はわずか1~2%と惨憺たる状況で、もちろん立派に社会人として勤められている方も大勢いらっしゃる一方で社会参加というレベルに留まっている場合も多く、その場合当然ながら健常者よりも稼ぎが多いとはまず考えられませんから、高齢出産とはすなわち将来的な子供の扶養という観点からも非常に難しい問題をはらんでいるということが言えると思いますね。
だから何だ、いくつの時に産もうが個人の自由だという考え方もごもっともではあるのですが、出産年齢高齢化に伴いこうした様々なリスクも今後懸念されてくるということを考えた場合に、せめて高齢出産をするならしっかり稼いで子供に資産なりと残してやらなければいけないのかなという気もしてきますが、それが出来ればそもそも苦労もないという話ですよね…

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コメント

ファーストフード低頻度摂取群なのですこしだけほっとしました。
でも朝飯にトーストにハムと玉子はさんでよく食べるんですが成分的には似たようなものって気も…
普通の料理でも脂ギッシュな点じゃファーストフードよりひどいのいくらでもありますよねえ?
どんな料理が健康にいいかはもう少し緻密に検討しないと単なる外食産業叩きになるんじゃないですか。

投稿: ぽん太 | 2013年6月28日 (金) 09時59分

結婚しないんじゃなくて出来ないんです
定職もあるしだれか相手紹介して

投稿: tera | 2013年6月28日 (金) 10時36分

最近40歳以上の方で、「妊娠しています」「子作りを検討しています」という女性があまりにも多くて驚かされます。個人の自由とはいえ、リスクも何も考えていないのか?医療に丸投げ思考なのか?将来を考えないのか?
この国の医療教育レベルの低さには唖然とさせられますね。妊婦はリスクがあるので薬は飲めないよと説明しても理解できないみたいだし。
無理に子供を作って非生産的な人口が増加しても、精神科と薬屋が儲かるだけで、医療費がかさむだけです。
子供を作れという社会的圧力ももうやめましょう。衰退していく斜陽の我が国の現状にそぐわないです。
現実的には東南アジアの若い移民を受け入れる体制作りをしてほしいですね。

投稿: 逃散前科者 | 2013年6月28日 (金) 10時50分

ぶっちゃけ好き放題不妊治療やってる産科医にお産まで面倒みるよう義務づけるだけでも違うんじゃ?

投稿: 鳥越 | 2013年6月28日 (金) 11時09分

マクドナルドつながりでこういうのがありました。
どうしてこういうことするかな?

台湾マクドナルド、ダウン症の女性を「他のお客様の迷惑になる」と追い出し、批難殺到。
http://japan.techinsight.jp/2013/06/261000_mac_banned.html

投稿: りんりん | 2013年6月28日 (金) 11時50分

高齢出産をテレビであれだけ喧伝しているのですから、そのリスク面もそれ以上にきちんと報道してもらいたいですね。
どうも年齢に関わらず最近妊娠出産ということに関して、妙にこりかたまった考えをしている人が多い気がします。
なにか婦人向けのメディアで妙なことを特集していたりもするのでしょうか?

投稿: 管理人nobu | 2013年6月28日 (金) 12時02分

唯一の救いはヒキヲタニートは自らの遺伝子も残さず一代限りで消えていくことかw

投稿: aaa | 2013年6月28日 (金) 13時22分

上で出ている記事、

>事件は21日午前11時頃、ダウン症の女性がアイスクリームを買おうと同店を訪れたところ、店長が他の客への影響を恐れて「浮浪者が怒鳴っている」と警察に通報し警察署か病院へ連れていくよう求めたものだ。しかし現場に駆け付けた警官の話では、女性は静かに店内の椅子に座っており、店の営業を妨げている様子は見られなかったという。また外見も浮浪者には見えず、当時店内にいた他の客に事情を聞いたところ、女性が騒いだという事実はなかった。
>同店店長は現地メディアの取材に対し、「事件当時は店内にいなかったため状況が把握できていない」と話した。だがその後、現地メディアが警察に確認したところ、当時店内にいたのは紛れもなくこの店長で、ダウン症の女性を連れていくよう頑なに要求したということだった。
>今回の報道に対して台湾マクドナルドは、「女性の安全を考慮しての適切な対応だった」、「謝罪はしない」とコメントしたが、ネット上で非難が殺到。「マクドナルドを利用するな」という呼びかけも起きる騒ぎとなり、23日夜にはコメントを撤回。「不適切な対応があり女性に不快な思いをさせてしまった」と謝罪した。

これがほんとうならなぜそこまでダウン症女性を嫌ったのか?
単純な差別意識?それともなにか過去のトラウマでも?
台湾マクドナルドの初期対応も稚拙すぎて炎上もやむなしとしか

投稿: 元僻地勤務医 | 2013年6月28日 (金) 16時47分

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