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2013年5月21日 (火)

新出生前診断が大人気ですが

最近始まった血液検査だけで胎児の遺伝子異常が判るという新出生前診断が話題になっていますが、この出生前診断に関連して2011年に羊水検査を受けたところ検査結果を真逆に説明していたという事故が話題になっています。

出生前診断で説明ミス 子にダウン症、両親が医院提訴(2013年5月20日中国新聞)

 北海道函館市の産婦人科医院で2011年、胎児の染色体異常の有無を調べる羊水検査でダウン症と判明したのに、男性院長が妊婦への説明で誤って「異常なし」と伝えていたことが、19日までの関係者への取材で分かった。妊娠継続の判断に影響を及ぼす出生前診断でこうした問題が表面化するのは極めて異例。専門家は「あってはならないミス」としている。

 生まれたのは男児で、ダウン症の合併症のため3カ月半で亡くなった。

 両親は「妊娠を継続するか、人工妊娠中絶をするか選択の機会を奪われた」とし、院長らに慰謝料など1千万円の損害賠償を求め函館地裁に13日付で提訴した。母体保護法は障害を理由とする中絶を認めていないが、医療現場では条文を緩やかに解釈して対応している現実があり、裁判所がどう判断するか注目される。

 ミスがあったのは函館市の「えんどう桔梗ききょうマタニティクリニック」。遠藤力えんどう・ちから院長は3月、取材に「(検査報告書が)分かりづらい表現で読み間違えた」とミスを認め「裁判は弁護士に任せている。両親に苦痛を与え、申し訳ない」と話した。

 両親の話や訴状によると、母親(43)は11年3月、遠藤院長から超音波検査で胎児に障害がある可能性を指摘され、確定診断のため4月中旬に羊水検査を受けた。妊娠20週の5月上旬に遠藤院長から「結果は陰性でした」との表現で胎児に染色体異常はないと告げられた

 ところが、検査会社が作成した報告書には「染色体異常が認められた」と明記されていた。通常は2本の21番染色体が3本あり、ダウン症を示す画像もあった。転院先の病院の医師が男児の誕生後に、クリニックの診療記録を確認して判明した。

 母親は提訴について「遠藤院長の対応に誠意がみられず疑問を感じた。必死に頑張って生きた子どもの命を否定するつもりはないが、医師のミスで家族が苦しんだことを世の中に伝え、二度と起きないようにしてほしい」としている。

やる事自体にリスクがありますと散々説明された羊水検査でこういうことがあったのではそれはご家族もやってられないでしょうし、人口妊娠中絶の是非といった議論は別としてもこうした事故事例が出た以上はレポートの形式も早急に改善していただきたいと思います。
ただ今回正常だと言われて異常だったからこそニュースになったのであって、恐らくその逆の勘違いが今までにあったとしても誰も気づかないまま中絶されていただろうと考えると、やはりこうした検査は「産み分け」が前提であるという現実も考えないではいられない話ですよね(これ自体も本来認められてはいない行為なのですが)。
先日は血液によって簡便に行える新型の出生前診断が一ヶ月で440人あまりと予想を大きく超える希望者があったというニュースを紹介しましたが、検査を受けた理由として実に9割以上の人が高齢妊娠であることを挙げたということですから、特に高齢妊娠になるほど急上昇していくダウン症のリスクというものが世間では非常に深刻に受け止められているのかなという気がします。
周囲の第三者がいくら「ダウン症の子供なんてかわいいじゃないか」などと言ってもやはり当事者として一生の問題だと考えてしまう心境は十分理解出来ますが、早くも偽陽性が確認されたように精度が高いと言っても100%確実というわけではもちろんなく、医学的のみならず社会的にも慎重な対応が求められるという状況にはかわりがないようです。

「新出生前診断で異常、羊水検査で陰性」も(2013年5月16日日テレニュース)

 妊婦の血液検査だけで胎児の3種類の染色体の異常がわかる新しい出生前診断で「異常あり」とされた胎児が、異常の有無を確定する羊水検査の結果、「異常なし」だったことがわかった。

 昭和大学病院によると、4月に40代の女性が新しい出生前診断を受け、「第18トリソミー」という発達の遅れや心臓疾患が出る胎児の染色体異常について「陽性」と判定された。胎児が実際に第18トリソミーである確率はこの女性の場合42.9%で、異常の有無を確定する羊水検査を受けたところ、陰性(異常なし)とわかったという。

 新しい出生前診断について、日本産科婦人科学会の指針では、胎児の異常を確定するには絨毛(じゅうもう)検査か羊水検査が必要としており、昭和大学病院は「新しい検査法の結果は確定的なものではないと理解を求めていきたい」としている。

新型出生前診断 県内7人(2013年5月20日読売新聞)

 妊婦からの採血で胎児の染色体異常が高い精度で分かる新型出生前診断(NIPT)が4月から国内で始まった。全国15の実施施設の一つである岩手医大付属病院では1か月間で、7人が検査や事前の遺伝カウンセリングを受けた。検査を受けるには、染色体疾患の子の妊娠・出産経験などの適応条件があり、実施施設の医師らが適切な普及に取り組んでいる。同病院臨床遺伝科の福島明宗診療部長に、NIPTの現状などを聞いた。(阿部明霞)

 NIPTは検査自体が簡便なため、実施施設の増加を求める声があるが、現状では避けるべきだ。

 遺伝カウンセリングが十分にできない今の医療環境下で実施施設を増やすと、妊婦や家族への適切な説明や周知が行き届かず、混乱を招きかねないからだ。

 当科で遺伝カウンセリングを受けるにあたっては、〈1〉検査だけでは確定診断にはならない〈2〉3種類の染色体疾患以外は全く分からない〈3〉高年齢での妊娠は染色体疾患の発生率が高くなる一方、どの年齢であっても染色体疾患を含めた先天異常児を出産する可能性が3~5%ある――ことなどを十分に理解していただきたい。

 検査を受ける前に、家族のあり方、子どもを持つ意味をパートナーとの間でよく話し合い、なぜ検査を受けたいのかを考えてほしい。遺伝医療は相談者だけでなく、血縁者など周囲にも影響が及ぶため、特別な配慮が求められる。この検査の導入が、日本における遺伝診療充実のきっかけにならなければならない。

◇実施に厳しい条件

 NIPTは遺伝カウンセリングのあり方を検討するための臨床研究という位置づけで行われる。

 現在は日本医学会が認定した施設でしか実施できない。産婦人科医、小児科医が常勤し、少なくとも一方が臨床遺伝専門医であること、遺伝に関する専門外来を設置していること、遺伝カウンセリングに十分な時間をとれる体制が整っていること――などが認定基準となる。

 2011年の人口動態統計で、初産年齢の平均が初めて30歳を超えた。妊婦の高齢化に伴って胎児の染色体疾患の確率も上がる。先天性疾患の約25%にあたる染色体疾患のうち、NIPTでは約70%を占める染色体21番(ダウン症候群)、18番、13番について染色体の本数に異常があるかどうかをおおむね判定できる。

 NIPTを受けるには、出産予定日の年齢が35歳以上の妊婦であること、染色体疾患の子を妊娠もしくは出産したことがあること、産科かかりつけ医が決まっていること、母子手帳の交付や出産予定日が分かっていること――などの適応条件を原則としてすべて満たす必要がある

 事前の遺伝カウンセリングでは、本検査によって分かることや、小児科医を交えて染色体疾患の子に関する説明が行われる。

 検査の利点には、ダウン症の場合は陰性的中率がほぼ100%のため羊水検査が不要なこと、妊娠期の比較的早い段階(妊娠10週以上)で検査が可能なため、胎児に向き合う時間が多くとれること、胎児の状態を早期に把握することで、家族と医療従事者の双方が来たるべき出産に備えられること――などが挙げられる。ただ、ある年齢帯では陽性的中率が50%程度しかなく、その場合、結果が陽性なら確定検査として羊水検査が必須となる。

ちなみに記事では少し判りにくいですけれども、「ダウン症では陰性的中率がほぼ100%」というのはこの検査で陰性ならほぼダウン症ではないだろうということで、一方この検査で陽性であっても必ずしもダウン症であるとは言い切れず、確定診断のために羊水検査が必要だということですね。
人間がいつから人間扱いされるべきかという議論は時代により文化圏により様々であって、そもそも人口妊娠中絶はおろか避妊も認めないということも時と場所によってはあるそうですが、現在の日本では中絶可能な時期においては胎児の生殺与奪権を親が握っているというのは紛れもない事実ではありますよね。
知的障害などでは特別児童扶養手当等々の給付が受けられるとは言え、やはり親からしてみればこのご時世に子供にかかりっきりにならざるを得ないというのは生活破綻にも直結する悲劇で、「貧乏人は異常が判ったら堕ろさざるを得ない」と言う声が少なくないのは別にダウン症児が嫌いだからと言う問題でなく、単純に物理的に養育不能であるからという理由でもあるということです。
そうとなれば行政の立場からは障害児が生まれることによって生活上の不利益を被らないような社会保障システムを整備することが、高価な検査費用と医療現場・妊婦双方のマンパワーを省くのみならず、必ずしも100%とは言えない検査結果によってせっかく授かった胎児を間引いてしまうというリスクの軽減にも結びつくということですよね。
しかしフランスなどでは子供を多く産むほど経済的メリットがあるという制度を構築し出生率向上を果たした、などとよく言われるところですが、日本も本気で少子化対策を講じるなら制度は作りました、これで仕事はすみましたで終わるのではなく、現実に国民の行動を変えるくらいの実効性あるやり方を取らなければならないでしょうし、子供を減らす話ばかりが大きく取り上げられる現状はどうも残念と言うしかないですね。

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コメント

万一このペースで検査希望者が増え続けたなら毎年数千人になりますか…いずれかならず検査施設を増やしてくれって言い出すでしょうね。
ところでダウン症といえば先日こういう記事がでてたんですが出生後に治療開始してどれくらい有効なものなんでしょうね?

ダウン症が“治せる病気”に? 発症メカニズムを解明
http://kenko100.jp/news/13/05/08/02

Nature Medicine 22.462
Loss of sorting nexin 27 contributes to excitatory synaptic dysfunction by modulating glutamate receptor recycling in Down's syndrome
http://www.nature.com/nm/journal/v19/n4/full/nm.3117.html


投稿: ぽん太 | 2013年5月21日 (火) 08時52分

出生前診断が根治的治療に結びつくのが理想ですけど、今は活かすか殺すかの選択枝しか用意されていないんです。
検査を受ける人は堕胎の覚悟を決めてから受けないと、母子だけでなく周囲も巻き込んだ修羅場になりますよ。

投稿: とある内科医 | 2013年5月21日 (火) 10時54分

【時視各角】安倍、丸太の復讐を忘れたか(1)
2013年05月20日08時52分
[? 中央日報/中央日報日本語版]

神は人間の手を借りて人間の悪行を懲罰したりする。最も苛酷な刑罰が大規模空襲だ。
歴史には代表的な神の懲罰が2つある。第2次世界大戦が終結に向かった1945年2月、ドイツのドレスデンが火に焼けた。
6カ月後に日本の広島と長崎に原子爆弾が落ちた。

これらの爆撃は神の懲罰であり人間の復讐だった。ドレスデンはナチに虐殺されたユダヤ人の復讐だった。
広島と長崎は日本の軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐だった。
特に731部隊の生体実験に動員された丸太の復讐であった。同じ復讐だったが結果は違う。
ドイツは精神を変え新しい国に生まれた。だが、日本はまともに変わらずにいる。

2006年に私はポーランドのアウシュビッツ収容所遺跡を訪問したことがある。
ここでユダヤ人100万人余りがガス室で処刑された。どれもがぞっとしたが、最も衝撃的な記憶が2つある。
ひとつはガス室壁面に残された爪跡だ。毒ガスが広がるとユダヤ人は家族の名前を呼んで死んでいった。
苦痛の中で彼らは爪でセメントの壁をかいた。

もうひとつは刑罰房だ。やっとひとり程度が横になれる部屋に4~5人を閉じ込めた。
ユダヤ人は互いに顔を見つめながら立ち続け死んでいった。彼らは爪で壁面に字を刻みつけた。最も多い単語が「god」(神)だ。

ナチとヒットラーの悪行が絶頂に達した時、英国と米国はドレスデン空襲を決めた。
軍需工場があったがドレスデンは基本的に文化・芸術都市だった。
ルネッサンス以後の自由奔放なバロック建築美術が花を咲かせたところだ。
3日間に爆撃機5000機が爆弾60万個を投下した。炎と暴風が都市を飲み込んだ。
市民は火に焼けた。大人は子ども、子どもはひよこのように縮んだ。合わせて3万5000人が死んだ。

満州のハルビンには731部隊の遺跡がある。博物館には生体実験の場面が再現されている。
実験対象は丸太と呼ばれた。真空の中でからだがよじれ、
細菌注射を打たれて徐々に、縛られたまま爆弾で粉々になり丸太は死んでいった。
少なくとも3000人が実験に動員された。中国・ロシア・モンゴル・韓国人だった。

丸太の悲鳴が天に届いたのか。45年8月に原子爆弾の爆風が広島と長崎を襲った。
ガス室のユダヤ人のように、丸太のように、刀で頭を切られた南京の中国人のように、日本人も苦痛の中で死んでいった。
放射能被爆まで合わせれば20万人余りが死んだ。

神の懲罰は国を改造して歴史を変えた。
ドレスデン空襲から25年後、西ドイツのブラント首相はポーランドのユダヤ人追悼碑の前でひざまずいた。
しとしと雨が降る日だった。その後ドイツの大統領と首相は機会があるたびに謝罪し許しを請うた。
過去に対する追跡はいまでも続いている。ドイツ検察は最近アウシュビッツで刑務官を務めた90歳の男性を逮捕した。

ところが日本は違う。ある指導者は侵略の歴史を否定し妄言でアジアの傷をうずかせる。
新世代の政治の主役という人が慰安婦は必要なものだと堂々と話す。
安倍は笑いながら731という数字が書かれた訓練機に乗った。
その数字にどれだけ多くの血と涙があるのか彼はわからないのか。安倍の言動は人類の理性と良心に対する生体実験だ。
いまや最初から人類が丸太になってしまった。

安倍はいま幻覚に陥ったようだ。円安による好況と一部極右の熱気に目をふさがれ自身と日本が進むべき道を見られずにいる。
自身の短い知識で人類の長く深い知性に挑戦することができると勘違いしている。

彼の行動は彼の自由だ。だが、神にも自由がある。
丸太の寃魂がまだ解けていなかったと、それで日本に対する懲罰が足りないと判断するのも神の自由だろう。

キム・ジン論説委員・政治専門記者

投稿: | 2013年5月21日 (火) 11時01分

潜在的な検査希望者はまだ沢山いるようですから、今後検査の存在が知られるほど需要は増していくかも知れませんね。
乳房予防切除が日本でも出てきているという報道が出ていますけれども、予防できるものは予防しないのは馬鹿だと言う流れになってくるとこの手の検査も正義になるのでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2013年5月21日 (火) 12時00分

>神は人間の手を借りて人間の悪行を懲罰したりする。

どうせネタなんだろうがw
それじゃ世界一不幸なウリナラはどれだけの懲罰に値する悪行を積み重ねてたんだってのwww

投稿: aaa | 2013年5月21日 (火) 14時27分

>神は人間の手を借りて人間の悪行を懲罰したりする。

隣に韓国を作られてしまう程の悪行w?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年5月22日 (水) 09時22分

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1 :そーきそばΦ ★:2013/05/21(火) 10:45:49.47 ID:???0  北海道函館市の産婦人科医院「えんどう桔梗マタニティクリニック」(遠藤力院長)が2011年、出生前診断でダウン症と判明した胎児について、誤って「...... [続きを読む]

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