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2013年5月18日 (土)

小野市の条例制定は生保改革の契機になるか?

報道以来世の進歩的な方々からさんざん批判とバッシングを集めた兵庫県小野市の俗に言うところの「パチンコ禁止条例」ですが、今年3月27日に無事原案通り可決され4月1日付けで施行されています。
市への情報提供を「市民の義務」とうたい、警察OBを調査に動員するといいますから相当に本格的な条例と言えそうですが、「小野市のヒトラー」などと一部世間であれだけ非難囂々の大騒ぎだった割には地元市民は至って冷静であるらしいというのがこちらのニュースになるでしょうか。

「生活保護でのギャンブル禁止条例」反対意見1%以下 兵庫・小野市(2013年5月14日産経新聞)

 生活保護費や児童扶養手当をパチンコなどのギャンブルで浪費することを禁止する兵庫県小野市の「市福祉給付制度適正化条例」について、市に寄せられた意見や苦情2700件あまりのうち、市民からの反対意見は1%以下にとどまっていることが、同市への取材で分かった。不正を知った場合に通報責務を課す内容が波紋を呼んだが、蓬莱務市長は「市民の圧倒的多数から支持されたと受け止めている」と話している。

他の自治体も関心、視察が続々

 ほかの自治体からも視察の申し入れが相次いでいるといい、蓬莱市長は「生活保護制度について『無関心から関心へ』という効用もあった」と話している。

 市によると、4月1日の施行から5月13日までに市に寄せられた意見や苦情は計2713件。賛成1668件、反対976と賛成が多く、さらに市民の「反対」意見はわずか23件、全体の0・84%だった。

 市は、市民から寄せられた情報を調べる「適正化推進員」の人選をこれから行うことにしており、条例は本格的なスタートを切っていない状態。生活保護の不正・不適正受給についてどのくらいの情報があったかについても、同市は「数字が一人歩きする恐れがある」として現時点では公表しておらず、蓬莱市長も一定期間後にとりまとめる意向を示している。

 「受給者の自由や尊厳を損ねる」「市民に通報の責務を課すのは“監視社会”につながりかねない」-など、施行をめぐっては反対意見が聞かれたが、受給者からの問い合わせもほとんどなく、「混乱もなく、淡々と業務に取り組んでいる」(担当の市民福祉部)状態だ。

 市民からの反対がない一方で、他の自治体からの関心が高まりつつある。市によると、現在、17自治体から視察要望が届いており、生活保護問題に悩む自治体の多さを浮かび上がらせている。

特に生保受給に関して緊急の課題もないという小野市での予防的な条例制定がこれだけ圧倒的な市民の支持を集めるとは反対派涙目というものですが、当然ながら他の自治体でもこうした状況に関心を寄せないはずもなく、結局のところ生保対策は声ばかり大きな方々の声に引きずられていては民意を誤るということが明らかになった一件だと言えそうです。
小野市市長にしても「現場に混乱は全く無い」「反対意見は団体から組織的に出されたもの」「圧倒的多数から支持されたと受け止めている」というように、お金を出す市民の側からすれば別に税金でも払わないとお金が貯まって貯まって仕方がないというわけでもない以上、馬鹿げたことに市民の金を使わせないという考え方に積極的に反対する理由もないのは当然ではありますね。
結局は生保云々と限定せずとも他人の稼ぎで自堕落な生活を続けることに社会の理解が得られる時代ではないということでしょうが、一方で「パチンコ通いはギャンブル依存症だ!無理矢理止めたら悪化するんだ!」などと言い張る方々に市長が「病気なら堂々と治療を受ければいい。医療費は無料なんだし」と反論するなど、やや大人げない議論に発展していた側面も否定出来ませんでした。
その意味では条例制定をきっかけにギャンブル依存症も治った、生保からも離脱出来た、結局みんなが幸せになったということであれば一番よいのはいうまでもないことなんですが、この一件を以て他山の石とすべき全国の生保ギャンブラーには未だにさしたる危機感もない様子なのが気になります。

ギャンブル依存深刻 推定患者200万人、国の対応鈍く(2013年5月10日西日本新聞)

 パチンコをやめたいのにやめられない-。そんな状態に陥る「ギャンブル依存症」の問題にあらためて注目が集まっている。兵庫県小野市が4月、生活保護受給者にギャンブルでの浪費を禁じ、浪費を見つけた市民に情報提供を義務付けた「福祉給付制度適正化条例」を施行。小野市には医師や弁護士から「依存症の治療を優先すべきだ」との批判が寄せられた。ただ、医療体制は全国的に貧弱で抜本的な対策を見いだせないのが現状だ。

 「たとえ生活保護を打ち切ると言われても、やめられないんです」

 保護費支給日の毎月1日、全額をパチンコなどに使い果たす福岡県内の男性(34)は、うつろな表情で打ち明けた。
 午前9時ごろ銀行で約12万円の保護費をすべて下ろし、その場で家賃や光熱水費を振り込む。近所のスーパーを2往復し、米や即席めんなど、1カ月分の食料を1万5千円分ほど購入。手元に残った約5万円を握りしめ昼前には近所のパチンコ店へ。「われに返るのは、金が尽きるか閉店するかしたときです」
 勝つことはまれにしかない。「でも打っているときは、絶対に10万円、20万円になるという根拠のない自信がある

   ◇   ◇

 父は公務員、母は専業主婦。大学時代、父に連れられて行ったボートレースで初めてギャンブルを経験した。22歳で就職後、週末にレースに通い始めた。10万円が150万円になった日もあるが、大金は無くなるのも一瞬。やがて家賃も払えなくなり、消費者金融から借りるようになった
 「負けを取り戻そう」と次はパチンコ店へ。負けてもまた借りて行った。借金を借金で穴埋めし、10年間で12社に計約900万円を借りてしまった。職場に取り立ての電話がかかり、2回転職した。親には勘当された。
 32歳のとき司法書士に返済猶予の手続きを取ってもらい、精神科病院に3カ月入院した。診断は「ギャンブル依存症」。完治してから働こうと生活保護を受けた。だが退院後2カ月で再発した。
 図書館の新聞で、小野市の条例を伝える記事を読んだ。「血税をギャンブルにつぎ込まれてはたまらない、という指摘は当然。自分でも情けない。でも支給日になると、そんな気持ちは吹き飛んでしまうんです」

   ◇   ◇

 ギャンブル依存症は、「病的賭博」として世界保健機関(WHO)が精神疾患の一つに位置付けている。専門医らは、欧米での患者の割合を参考に、日本の患者はおよそ200万人と推定する。日本にはパチンコや公営の競輪、ボートレースなど身近にギャンブルがあり、「患者の割合は海外よりずっと多い」との指摘もある。
 にもかかわらず、日本では「問題は誘惑に負ける本人の意志の弱さ」と片付けられがち。本人も家族も病気との認識がなく、問題が放置されるケースが多かった
 ギャンブル依存症に対応できる精神科病院も九州では、八幡厚生病院(北九州市)、西脇病院(長崎市)、菊陽病院(熊本県菊陽町)など各県に1、2カ所しかなく、治療体制も貧弱だ。
 厚生労働省は昨年11月、依存症者支援に関する検討会を発足させた。「まずは患者数など実態を把握したい」(精神・障害保健課)という段階で、問題の深刻さに比べると、国の対応も鈍い。

記事を読んでみますと比較的計画性?を保っているギャンブル依存症の方という印象ですから、こういうケースでは無駄な現金を持たせないという意味で現物支給化や保護費切り下げあるいは一部預かりが有効なのかなと思うのですが、もちろん大多数の依存症の方々はこうした計画性も持っておらず、軍資金が尽きれば「先生、そろそろ入院させてくれ」と各地の病院に転がり込むようなケースも少なくないわけですね。
そもそもこのご時世に働かずとも酒もギャンブルも好き放題という生活を続けている方々が本当に「弱者」なのかという議論もあり、今回の条例制定が一部でそうした弱者の定義見直し論にまで発展したことは相応に意義があることですが、根本原因に何らかの医学的な異常があるというのであれば、各種身体疾患によって就業できないで生保受給する方々と同様にこれは医学的治療の対象になってきます。
生保受給者に限らず現状ではこうした方々には適切な医療機関自体も少ない上に、十分な長期的対応が出来ておらず退院しては再発を繰り返すという状況にあることも問題ですから、例えば依存症認定された方々は同種病者を集めたグループホーム的な施設へ入居させるといった対応も検討していいかも知れません。
その点で生保受給者という収入を公費に依存している方々はそれに見合った義務を果たしていただき治療のモデルケースとして協力いただくのに適当な対象となり得ますし、また単に禁止や制限のみならず受給者には町の清掃等で一定の社会的活動を義務化していくことも彼らの社会復帰の一助にもなり、社会との間に互いにwin-winの関係を築ける契機になってくるかも知れませんね。
ともかくもどんな対策が有効なのかはまだまだはっきりした結論どころか検討が始まったばかりですが、少なくとも改善の必要性が認識され議論が始まったということは前向きに評価したいところです。

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コメント

>事実上、利用できない制度へと変わる!? 生活保護法「改正」案の驚くべき内容
>http://money.jp.msn.com/news/diamond/%E4%BA%8B%E5%AE%9F%E4%B8%8A%E3%80%81%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%B8%E3%81%A8%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8B-%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B3%95%E3%80%8C%E6%94%B9%E6%AD%A3%E3%80%8D%E6%A1%88%E3%81%AE%E9%A9%9A%E3%81%8F%E3%81%B9%E3%81%8D%E5%86%85%E5%AE%B9

だそうです。

投稿: ポメラ | 2013年5月18日 (土) 12時32分

"厚労省、生活保護で就労集中支援 受給6カ月以内、基本方針通知"

厚生労働省は17日までに、生活保護受給者の就労を進めるため、
受給から原則6カ月以内に集中的に支援するとの基本方針をまとめ、都道府県などに通知した。
無職の期間が長くなると就職しにくい傾向があるため、早期の対応を強化する。

なかなか職が見つからない受給者には、職種や就労場所の希望を変更して、短時間、低賃金の仕事でも
いったん職に就いてもらう方針で支援していく。

また受給者が家賃を滞納している場合、本人に代わって自治体が家賃を大家に納める
「代理納付」を積極的に活用する方針も通知した。

47NEWS 2013/05/17 21:44
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013051701002315.html

投稿: | 2013年5月18日 (土) 19時13分

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