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2013年5月30日 (木)

子宮頚癌ワクチンは義務ではありません

HPVによる子宮頚癌を予防すべく近頃では若年女性へのワクチン接種が推奨されているのは周知の通りですが、同時にその副作用が各地で話題になっています。

子宮頸がんワクチン、副作用で重篤106件(2013年5月16日朝日新聞)

 子宮頸(けい)がんのワクチンで接種後の健康被害が報告されている問題で、厚生労働省の検討会は16日、医療機関などから報告されていない例も含めて調査を進めることを確認した。因果関係を判断するための情報が不足しているためという。接種の一時中止などは必要ないとの意見で一致した。

 厚労省が検討会に示した資料によると、販売が開始された2009年12月以降、3月末時点の副作用報告は1968件。接種者数でみると、1万人に1人から2万5千人に1人の割合になる。

 同省によると、製薬会社のグラクソ・スミスクライン製造のワクチンでは、医療機関から1001件、製造販売会社から704件、別の製薬会社、MSD製造のワクチンは、医療機関から195件、製造販売会社から68件の報告があった。接種者数に対する報告の割合は0・004~0・014%。これまで報告されていた割合と、違いはなかった医療機関側が接種との関連があるとした例は733件だった。

<子宮頸がんワクチン>被害者家族「国はしっかり検証を」(2013年5月16日毎日新聞)

 「ワクチンで防げるものなら娘にとっても良いと考えた末の接種でした」。東京都杉並区の主婦、松藤美香さん(46)は、そう2年前を振り返る。

 松藤さんの中学3年生の長女(14)は2011年、ワクチンの「サーバリックス」を自宅近くの診療所で接種した。決められた接種回数は3回。異変が起きたのは同年10月、同じ診療所で2回目の接種をした時だった。

 左腕に注射をしている時、「手がおかしい」と訴え、直後に左腕が痛み出した。夜には腕の腫れや足、肩の痛みを感じた。翌日、同じ診療所を訪れたが「うちでは診られない」と断られた。その後受診した総合病院では10日間の検査入院後、痛みの原因が分からない「慢性疼痛(とうつう)症候群」と診断された。

 その後も薬を服用しながら病院を転々とした。症状が激しい時は足が勝手にばたついたり睡眠中に無意識に起きて歩き回ったりした。1月に症状が改善して登校を再開したが、再び痛み出したため3月中旬から休学。歩行時は車椅子が必要だ。

 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会代表を務める松藤さんは「治療法を把握できる医師がおらず、患者は病院を転々としている。こうした患者は増える一方であり、国はしっかり検証をしてほしい」と話す。【細川貴代】

もちろん不幸にしてかなり重篤な副作用が出てしまったことはお気の毒と申し上げるしかありませんが、基本的にはこの予防接種も別に急いでやり始めたということではなく、むしろ欧米諸国ではとっくに「予防できる病気」になっていたものをドラッグラグの結果今になってようやく日本でも取り入れたという側面が強いわけですね。
発症原因とされているパピローマウイルス(HPV)は性行為感染症(STD)の原因だとも言われるように粘膜接触等性行為によって感染するとされる上に、そもそも感染してしまった後ではワクチンによる予防効果がありませんから性的成熟期以前の接種が推奨されるのは当然で、その結果子供が不幸な副作用に見舞われるという悲しむべき結果となっているのが現状です。
厚労省では今のところワクチンの副作用と思われる症例は諸外国におけるデータから乖離していないと言う立場から、さらに詳細なデータの収集を行いながら接種を続けると言っていますけれども、どうも一部マスコミの報道ぶりを見ると「これだけひどい副作用があるのに知らせていないのはケシカラン!」という批判が出ているのが気になるところです。

子宮頸がんワクチン副作用マスコミが取り上げはじめた舞台裏…あのCMのため?(2013年5月17日J-CASTテレビウォッチ)

  きのう16日(2013年5月)、厚生労働省で今年4月から定期接種を始めた子宮頸がんワクチンの安全性を評価する専門家検討会がひらかれた。傍聴していたある父親は「娘を早く治してくれ」と叫んだ。子宮頸がんワクチン副作用被害に関心が集まっている。

止まらない全身痙攣、運動機能喪失、「数が数えられない」

   子宮頸がんワクチンの副作用とはどんなものなのか。ある少女は肩や足が激しく痙攣して、止めようとしても止まらない。梅津弥英子リポーターはこう説明する。「ワクチン接種は3年前から始まりました。当時は子宮頸がんの発症を50%から70%防げるワクチンとして注目されましたが、副作用については触れられていませんでした
   東京・練馬区の少女は「学校からワクチン接種をするようにと言われ、ほとんどの友達が接種していました。それで自分も接種を受けたら、1週間ぐらい経ったとき身体に異変が起きました」と話す。副作用が問題にされているのは日本だけではない。2年前にアメリカのテレビで放映された少女の映像があった。少女は頭が良くスポーツも万能だったが、副作用が発症してから3か月後には「数が数えられなくなった」という。

副作用知ってた厚労省…マスコミも取り上げず

   メインキャスターの小倉智昭「これだけのひどい副作用があるのに、なぜ今まで問題にならなかったのだろう
   ゲストの伊藤隼也(医療アナリスト)は「厚労省には早い段階から副作用についての報告が上がっていたようです。でも、ひと言で言うなら、マスコミが騒がなかったので問題になりませんでした」という。
   小倉「このワクチンの存在はあまり知られていなかったが…」伊藤「子宮頸がんはいくつかのウィルスによって発症しますが、ワクチンがすべてのウィルスに効くというわけではありません。特定のウィルスだけです。また、慢性的痙攣を起こすかもしれないということを知らない医師がいます
   コメンテーターの深澤真紀(コラムニスト)は「子宮頸がんは子宮の入口にできるがんで、私も30代の時に接種を受けました。でも、接種後に入口を切除すれば大丈夫ということを知りました。ワクチン接種に力を入れるより、子宮頸がんの啓蒙に努力すべきだと思います」と話す。
   しばらく前まで、有名女優の母娘が出演する子宮頸がんのワクチン接種啓蒙のテレビCMが頻繁に流れていた。マスコミが騒がなかったのと何か関係あり? 最近見なくなったら、騒ぎ出した。

子宮頸がんワクチン 副反応が心配だが… 検診とセットで女性守る(2013年5月29日産経新聞)

 接種後の副反応をめぐる問題が大きく報道された子宮頸(けい)がんの予防ワクチン。4月から定期接種になったものの、子供への接種をためらう保護者は多い。専門家は「子宮頸がんは女性の人生に大きな影響を与える病気。ワクチンと検診で予防できることを理解してほしい」と接種を勧めている。(平沢裕子)

 ◆定期接種は継続

 厚生労働省によると、平成21年から今年3月末までに医療機関などに報告された子宮頸がんワクチンの副反応は1968件。このうち全身の痛みなど重篤だったと医療機関が報告したのは106件。内容を検討した専門部会は「すぐに接種を中止するための医学的論拠はない」とし、接種を中止せず、副反応に関する医学的なデータを収集するという方針を決定した。

 一方、ワクチン接種で重い副反応が出たとする保護者らは3月、被害者連絡会を結成。先月、厚労省にワクチン接種を中止するよう嘆願書を提出した様子が大きく報じられた。こうした報道を見て、ワクチンの安全性に不安を持った保護者も少なくない

 子宮頸がん患者らのためのサポートグループ「らんきゅう・卵宮」には、ワクチンの副反応を心配する保護者からの相談が寄せられている。同グループの穴田佐和子さんは20代で子宮頸がんと診断され、子宮と卵巣を摘出。命は助かったが、今もリンパ浮腫など手術の後遺症に悩まされている。14歳の娘の母でもある穴田さんは「母親として保護者の不安は理解できる。一方で、患者としてがんに苦しみ、たくさんの患者が苦しむのを見てきた。ワクチン接種は義務ではなく権利。いたずらに不安に思うのでなく、正しい知識を得て賢く利用してほしい」と話す。

 子宮頸がん予防の啓発活動をしている患者の難波ミチヲさんも「ワクチンのネガティブな情報に敏感な人は多い。しかし、ワクチンのおかげでどれだけの人が救われているかも知ってほしい」と訴える。

 ◆発生を70%減らす

 日本では毎年約1万5千人が子宮頸がんと診断され、約3500人が死亡している。近年、20代後半から30代の罹患(りかん)率が上昇し、命が助かっても子宮や卵巣を摘出するケースは少なくない。子宮頸がんはワクチンを接種しなくても定期的に検診を受けることでほぼ100%の予防は可能だ。ただ、欧米先進国で60~80%の検診受診率が日本では約20%にとどまる

 自治医大付属さいたま医療センター産婦人科の今野良教授は「受診率の低さが若い世代の子宮摘出や死亡の増加につながっている」と指摘する。

 子宮頸がんワクチンが広く接種されることで、将来、日本での子宮頸がんの発生を約70%減少させることが期待できるという。「ワクチンで防げるがんは防ぎたい」というのが多くの専門家の一致する考えだ。

 今野教授は「ワクチンと検診の両方を上手に組み合わせ、日本の女性と家族の健康を守ってほしい」と話している。

 ■100カ国以上、1億人以上が接種

 子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)にできるがんで、性交渉によってヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが原因で起こる。HPVはありふれたウイルスで、性交渉があれば誰でも感染の可能性がある

 ワクチンは2006年に米国で承認されて以降、世界100カ国以上で使用され、既に1億人以上が接種している。日本より早くワクチンを導入した国では子宮頸部の前がん病変の減少が認められている

ワクチンを打ったからと言って子宮頚癌にならないわけではなく、きちんとした健診の継続が必要であることは言うまでもないことですし、ワクチンをせずに健診を受けるといった選択肢もあることは副作用情報と共にインフォームドコンセントしなければならないのは当然ですが、一部マスコミの報道ぶりはまさに副作用渦を騒ぎ立てて日本をワクチン後進国にした一昔前と変わらず、典型的なゼロリスク症候群と言うしかありません。
特にこうした多数の対象を相手にする場合、そもそも接種後に何かが起こったからと言ってそれがワクチンの副作用なのかどうかがはっきりしない場合が多いのですが、逆に言えばワクチン接種後によく風邪を引くようになった、成績が落ちて希望校に通らなかった、何十年後には老化して認知症になったと何でもかんでも根拠なくワクチンと結びつけようとする方々の言動には注意しておかなければならないだろうと言うことです。
今後ワクチン接種者と非接種者との間で比較検討が進み、あるいは現段階で知られていなかった副作用が認められるなど情報のアップデートは当然行われていくと思いますが、その場合にも利益あるいは不利益のどちらかだけを取り上げ強調する方々の声に耳を傾けてしまうと正しい判断は出来ないはずですね。
一部ではワクチン自体そもそも効かないんじゃないかといった極論も飛び出していますけれども、基本的にはそれなりに有効性はあって安全性も全体的には優れているという評価を得ているワクチンですから、後はそれが利用者の側に受け入れ可能なリスクであるかどうかが問題ですし、ましてや一般論としては利益の方がリスクを上回るとはされていてもあくまで「義務ではなく権利」であり、最終的に決めるのは当の本人です。

しかしきちんとした情報を提供した上で自由な判断に委ねることが必須条件であることは言うまでもありませんが、ひと頃話題になった特定宗教の信徒であったため子供が輸血が出来ず亡くなった事例などと同様、未成年者の医療行為における意志決定とはどのようなものであるべきかという問題もはらんだ、実はなかなか微妙なテーマでもあるように思いますね。
何しろ大人になって自己責任で決定する年代に達してからでは遅いわけですから、後になって子供の考え方が親のそれと違っていたことが明らかになった場合には家庭内紛争の原因ともなりかねませんが、往々にしてこうした紛争は家族と医療機関との紛争に発展しやすいものでもあって、その意味ではかなりリスクの高い医療行為であるという認識は医療機関側にも必要なのでしょう。
また考えて見るとこうした予防接種を推進するということはメタボ健診を推進するのと同様に医療費削減という国策でもあるわけですから、国としても何かあった場合にはきちんと事後の面倒はみていくというのは当然ですが、医師の知識が乏しいというのであれば副作用判断などを一元化し治療の助言なども行うなどやれる対策はいくらでもあると思いますね。

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コメント

副作用の怖いものを国が定期接種にしてしまうのが理解できません。
怖いもの知らずの人だけ勝手に病院にいけばいいじゃないですか。

投稿: こまち | 2013年5月30日 (木) 08時49分

記事を見ていて思ったんですけど、

>当時は子宮頸がんの発症を50%から70%防げるワクチンとして注目されましたが、副作用については触れられていませんでした」

いまどきこれってあり得ることでしょうか?
問診票わたして同意書書いてもらう段階で副作用情報なかったら同意もしようがないはずですけど。

投稿: ぽん太 | 2013年5月30日 (木) 09時25分

> ゲストの伊藤隼也(医療アナリスト)は「厚労省には早い段階から副作用についての報告が上がっていたようです。でも、ひと言で言うなら、マスコミが騒がなかったので問題になりませんでした」という。

お前これ言いたかっただけなんじゃないかと小一時間(r

投稿: aaa | 2013年5月30日 (木) 10時41分

頚癌については比較的健診発見が可能な癌ですので、きちんと健診を受けるのであればワクチン無しも選択枝かと思います。
いずれにせよそうした情報をきちんと知った上で主体的に判断することが必要で、ワクチン万能論もワクチン災禍論もどちらも極論でしょう。

投稿: 管理人nobu | 2013年5月30日 (木) 11時03分

個人的経験で言うと、日本人特に女性は異常なまでの心理性の薬剤過敏性体質の方が少なくないようです。
内服薬でもどんな薬を処方しても「副作用が出た」とか必ず言う患者のことです。
今回のワクチンでてんかんや不随意運動などの神経系の重篤な副作用の映像がテレビで多く流されたようですが、これらの症例が思春期女性だという事は無視できない。ワクチン注射とヒステリー性不随意運動の因果関係などが証明できるわけないと思いますが。
そんなに副作用を怖がるのなら個人の判断でワクチンを打たなければいいだけの話です。
ゼロリスク信者の病的神経質な女性が副作用を怖れれば怖れるほど、ヒステリー性不随意運動が発現する可能性は高まるのは間違いないと思います。
無論、ヒステリーかという区別は難しいでしょうが、てんかんや不随意運動に関してはどこまで真性なのか誰にもわからないので。

投稿: 逃散前科者 | 2013年5月30日 (木) 12時31分

日本の医者は筋注に慣れてないからね。
深く差しすぎて、神経損傷をした可能性が高い。

だから「日本で特異的に多い症状」ってなるんだよ。

日本以外の国は、不活化ワクチンは筋肉注射指定だからね。

投稿: | 2013年5月31日 (金) 11時21分

この症例についてはHPVワクチン特異的な副反応というよりは、そちら系なんだろうなと自分も感じました。
健常者に処置を行うにあたっては有病者以上に神経を使わなければならないということを改めて感じますね。

投稿: 管理人nobu | 2013年5月31日 (金) 11時56分

で、日本の低レベルな(?)筋肉注射技術がこれから向上する望みってあるのかしら
貼るインフルエンザワクチンのニュースを見たが、あんなの作ってほしいですね

投稿: | 2013年6月24日 (月) 15時33分

筋肉注射技術の向上はテクニックの向上
貼るワクチンの開発はテクノロジーの向上
同じ技術という日本語をあてても意味するところは違う

投稿: | 2013年6月24日 (月) 16時11分

琉球大学婦人科の論文では、正常な子宮頸部の粘膜で(ほとんどの女性が該当)HPV16型が検出される率は0.5%、18型が検出される割合は0.2%とのことです。2013年4月1日から子宮頸がんワクチンが定期接種になっていますが、これは実質的に「任意」のままであって、強制力はありません。打たない場合の罰則も何もありません。
サーバリクスは、世界中で副作用や死亡例が報告されている非常に危険なワクチンです。そして子宮頸がん予防効果が全くないことも分かっていて、発売元のグラクソ・スミスクライン社はとっくに製造を止めています。

投稿: | 2013年7月 5日 (金) 10時52分

ワクチンの副作用は欧米でもかなり話題になっていたのに。寝たきりなった子供もいた。オバマはあまりにも危険すぎて自分の娘には摂取させなかった代物だ。莫大な金が背後で動いている。うちは受けさせなかった。すると教師が説得にきた。危険なんで徹底拒否したよ。なんでも鵜呑みにして無知だったという責任は親にある。障害者となった気の毒な娘さんの面倒を一生みたらいいだろう。ついでこの副作用が出なくても、不妊になり障害児が生まれるというレポートもある。
孫誕生の期待はやめたほうがいい。

投稿: | 2013年7月26日 (金) 15時37分

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