« モンスター対策は適切に行うことが重要です | トップページ | 今日のぐり:「はま寿司 倉敷連島店」 »

2013年4月20日 (土)

注:マタタビと言っても猫の大好物のことではありません

世の中には時々びっくりするようなことが起こるものですが、先日は思わず「映画化決定!」と言いたくなるようなこんなことがあったそうです。

救急車運転手が心臓発作、搬送中の末期がん患者が運転交代し命救う(2013年4月18日AFP)

【4月18日 AFP】フランスで先週、末期がん患者を病院に搬送中の救急車の運転手が心臓発作を起こしたため、患者が代わりにハンドルを握って病院まで運転し、運転手の命を救っていたことが17日、病院関係者の話で明らかになった。

 仏北部の町ランス(Lens)の病院のフレデリック・アリアンヌ(Frederic Allienne)救急救命室長がAFPに語ったところによると、このがん患者は海沿いの町ベルクシュルメール(Berck-sur-Mer)在住のクリスチャン・ナイエ(Christian Nayet)さん(60)。11日、救急車を運転して同病院に運転手を運び込んだ。

 仏紙ボワ・デュ・ノール(Voix du Nord)によると、ナイエさんは定期検査のためリール(Lille)市内の病院に向かっていたところだったという。ナイエさんは同紙に当時の状況を次のように語っている。

「私は運転手にこう言いました。『私を信用して、キーを渡してくれ!私の命は危険にさらされていないが、あなたの命は危うい!』」

「どうやってサイレンを鳴らすのかは分からなかったけれど、警告灯はつけることができました。彼(運転手)に窓から腕を出して、他の車に合図してくれと頼みました」。他の車はすぐに道を開け、ナイエさんの救急車を通してくれたという。

 運転中、ナイエさんは運転手に対し、血栓症を起こさないようにする抗凝固処置も施したという。ナイエさんの助けがなければ運転手は「死んでいたかもしれない」と、アリアンヌ救急救命室長は話している。

 ナイエさんは運転手を救急救命室に運び込んだ後、他の病院へ搬送され定期検査を受けたという。

海外における救急システムなど色々と考えさせることも多そうな話題なんですが、日本でも救急車が事故を起こした場合にどうすべきかといったことで時折問題になることはあって、やはり業務の性質上何か搬送中に起こりえるという前提での対処法をあらかじめ用意しておく必要があるでしょうね。
この通り世の中にはいつ何が起こるか判らないというリスクがあって、それにどこまで対処するのかということは事後の責任問題においても大きく問われることではあるのですが、津波被害や原発事故などの事後対応を見ていても感じるように、とかく昨今ではリスクを厳しめに評価することが正義であるかのようなやや偏った風潮も感じられます。
それが行きすぎるとゼロリスク症候群に陥ってしまいますし、そうでなくても堅苦しい世の中になってしまいかねませんが、まるでそうした流れに抵抗するかのように一部メディアがずいぶんと自由なブームを煽っていると話題になっているそうです。

誰がブームを仕掛けた? - 妊娠中の旅行「マタ旅」の危険性(2013年4月18日マイナビニュース)

マタ旅」という言葉をご存じだろうか。マタニティ旅行の略で、妊婦が旅行に行くことを意味する。妊娠5カ月目からのいわゆる「安定期」に入れば、妊婦も旅行を楽しんで大丈夫といった風潮が高まり、国内旅行だけではなく海外旅行を楽しむ非常にアクティブな妊婦も少なくない

確かに妊娠中は飲酒や喫煙はもちろんのこと、生魚や生肉などの摂取も制限され、またつわりに悩まされるケースも多いことから、旅行で気晴らしをしたいという気持ちも理解はできる。さらには、出産後は乳幼児を連れての旅行となるため、「出産前に行っておかなくちゃ」という妊婦も多いと聞く。

しかし実際のところ、安定期に入れば旅行をしてもいいのだろうか。50万部突破の大ヒットとなった「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」の著者で産婦人科医の宋美玄医師にマタ旅について聞いてみた。

「安定期」という言葉の罠

「妊婦健診をしていると、『旅行に行ってもいいですか』という質問を受けることがとても多いです」と宋医師。そんなとき、「絶対に行ってはいけない」という指導はしないそうだが、「安定期に入ったら安心して旅行に行ってもいい」という世の中の風潮には疑問を抱くという。

「そもそも、安定期は胎盤が完成し、つわりも落ち着いてくる時期であって、流産などが絶対に起こらないというノーリスクの時期というわけではないのです。例えば、環境の変化で便秘になるという女性は妊婦に限らず多いのですが、旅行中に腹痛が起きたとき、それが便秘で痛いのか、胎児異常での痛みなのか、本人には判断もつかないでしょう。いつもなら何か不安になればかかりつけ医に診てもらうことができても、旅行中はそれができません。その危険性を認識すべきです」。

それらを踏まえた上で旅行をする際は、24時間の救急搬送に対応している病院を宿泊先周辺で見つけておくことだけは忘れないようにしましょう。母子手帳や検査データの携行は"いうまでもなく"レベルのことです。

また、海外旅行については「おすすめしない」とのこと。「長時間のフライトでおなかにはりが出るケースが多く、また海外での医療は非常に高額になることから避けたほうがいいでしょう」と指摘する。

様々な媒体で見かけるようになった「マタ旅特集」だが、そういったブームに踊らされず、安全なマタニティライフを送れるよう正しい知識を持ち合わせてもらいたいものだ。

あらかじめ申し上げておきますと、管理人個人としては今も一部の産科医の先生方が主張するような妊婦に対して最善最良の保護的愛護的行動を取るよう指導するという考え方を是としているわけではなくて、むしろリスクも承知の上でそれに対する対処法をきちんと確保しマタニティーライフをエンジョイしていったらいいんじゃないかと考えています。
その理由としては色々とありますけれども、最大のものとして現在少子化と妊婦の高齢化がこれほどに叫ばれるほど妊娠という行為の意味づけが変わっている時代にあって、妊娠=母体に心身共に過剰な負担を強いる苦行というイメージを蔓延させるということは本人は元より社会にとってもかえってマイナスになるのではないかと考えるからです。
もちろん妊婦として生物学的に必要最低限の保護や対策は必要ですけれども、例えば癌に対する化学療法なども現在では単に余命延長を追求するだけではなく平常と変わりない生活をどれだけ長く送れるかという観点から行われるようになってきたのと同様、妊娠出産もいかに普段通りの快適な生活を続けられるかということの価値を十分評価していかないと、ますます妊娠を忌避する女性が増えてしまいますよね。
要するに妊娠中の活動に伴うリスク増加よりも楽しい妊娠生活を行うことによる利益が個人的にも社会的にも上回るのであれば後者を積極的に推進する意味が出てくるということですが、この場合注意しなければならないのは当の妊婦やその家族がこうしたメリットとデメリットを十分理解した上で自主的な選択を出来る環境が保証されること、そして必ず誰かは増加したリスクを引き受けることになるという事実でしょう。

ちょうどこの「マタ旅」ということを御高名な「天漢日乗」さんが以前に取り上げられていて中々に示唆に富む内容でご一読いただければと思いますが、この追記の中で取り上げられている通り順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科の今野先生らのグループが2010年の周産期新生児学会でそのものズバリ「東京近郊の巨大テーマパークからの産科緊急症例についての検討」という発表をなされていたようです。
詳細は抄録が掲載されたリンク先の元記事を参照いただきたいと思いますが、2007年1月1日から2009年12月31日の3年間で同院産科に搬送された妊婦さんが合計86人、そのうち半数ほどは軽症だったものの流産が18人(21%)等々取り返しのつかない事態になってしまったケースも少なからずといったところで、同院一つをとってもこれだけの症例があるとすれば全国で如何ほどか?ということですよね。
拝見していて興味深かったのは一般に安定期というと妊娠五ヶ月からと言いますが、これ以降の22週~36週が22人とおよそ1/4を占めているということで、この時期ですと低出生体重児で様々なリスクもあるだろうにそれなりに突発事態も起こりえるものなんだなと感じます。

無論ずっと家でおとなしくしていたところで何が起こるか判らないのは当然ですし、ストレス等を考えれば時折は遊びに出かけるくらいのことはむしろ有益性の方が大きいんじゃないかとも思いますが、ご存知のように昨今では全国どこでも分娩施設不足で「妊娠が判明した直後に分娩予約をしても間に合わない」なんて笑い話のようなことも発生しているという危機的状況にあることを最低限理解しておく必要があります。
要するに何かあった時には手近な施設に飛び込めばいいやと思っていても搬入を受け入れてもらえるという保証はないし、海外旅行などしていようものなら天漢日乗さんの言うところの「妊娠は病気じゃないから、旅行の保険では出産費用が下りず、アメリカの医療費は高額なので、もし、異常分娩だとトンでもない額を請求される」ということでいきなり家庭崩壊の危機ということにもなりかねないということですね。
繰り返しますが「だから家でおとなしくしてろ」などと言うつもりは全くなく、むしろそうしたリスクがあることをきちんと理解した上で、旅に出かける時にはあらかじめ交通機関や宿泊の手配をするのと全く同様に旅先でのいざという時のための手配にも当たり前に意識が行くよう、皆で考え方を改めていくことが出来ればこうしたブームの意味も出てくるんじゃないでしょうか。
それにしても毎度のことながらブームを仕掛けるだけ仕掛けて後の責任は知らないふりのメディア側の姿勢もどうかと思うのですが、産科の先生方には無謀な振る舞いには当然きちんと指導していただくとともに、実際のリスクとメリットがどれくらいになるのかといったデータも教えていただければと思いますね。

|

« モンスター対策は適切に行うことが重要です | トップページ | 今日のぐり:「はま寿司 倉敷連島店」 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

   /l、
   (゚、 。`フ またたび…?
   」  "ヽ
  ()ιし(~)~

投稿: ぬこ参上 | 2013年4月20日 (土) 08時44分

>むしろリスクも承知の上でそれに対する対処法をきちんと確保しマタニティーライフをエンジョイしていったらいいんじゃないかと考えています。

1.事実に対して仮定を持ち出す
3.自分に有利な将来像を予想する
10.ありえない解決策を図る

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年4月20日 (土) 09時19分

妊婦が海外旅行いきますか…
楽しむなとは言わないが無理はしないほうがいいんじゃないかなと。
遠出するならいつ産気づいてもいいって覚悟はしとくべきでしょう。

投稿: ぽん太 | 2013年4月20日 (土) 11時14分

馬○の遺伝子に対する自然淘汰を検討してみるべきではないだろうかw

投稿: aaa | 2013年4月20日 (土) 11時38分

妊娠中の旅行に関する危険性 ―東京近郊にある巨大テーマパークからの産科緊急受診に関する検討より―
今野秀洋1), 田嶋敦1), 矢田昌太郎1), 平崎真由子1), 鈴木千賀子1), 加藤英二2), 後藤俊二2), 南宏次郎2), 野島美知夫1), 吉田幸洋1)
1)順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科, 2)社会保険船橋中央病院周産期母子医療センター
日本周産期・新生児医学会雑誌 48(3): 595 -600 2012

ご興味がある方は、御参照ください

投稿: | 2013年4月20日 (土) 14時25分

参照させていただきました。
きちんと問題意識をもってこうした検討をなされた今野先生らに敬意を表します。

投稿: 管理人nobu | 2013年4月20日 (土) 17時00分

わたしの遠縁の親戚の方は旅ではなかったのですが、妊娠中に急用で地元を離れて、出先で破水してしまい、緊急入院。
地元に帰ることなく、そのまま入院先で流産してしまいました。親や夫も新幹線で約4ヶ月間も病院に通う事になったそうです。
安易に妊婦が地元を離れて旅に出るなどとんでもない、危険極まりない愚行といえますね。

投稿: 逃散前科者 | 2013年4月20日 (土) 17時49分

いざとなったら押しかけの飛び込み出産で現地の産科医に責任を押しつけるだけってのはやめていただきたい。
見知らぬ土地に出かけることが判ってるのだから最低限かかりつけからの紹介状くらいは持参するのがマナーというもの。

投稿: 貫太郎 | 2013年4月20日 (土) 18時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/57203423

この記事へのトラックバック一覧です: 注:マタタビと言っても猫の大好物のことではありません:

« モンスター対策は適切に行うことが重要です | トップページ | 今日のぐり:「はま寿司 倉敷連島店」 »