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2013年4月

2013年4月30日 (火)

待ったなしの高齢者医療制度改革 麻生節炸裂は実を結ぶのか?

マスコミが「読者の声」と称して特に自らの主張に都合の良い意見を優先して採り上げることは別に珍しいことではありませんが(その逆であったならおもしろそうですけどね)、先日の産経新聞に取り上げられた読者の声にこんなものがありました。

読者から 医療費、不適切に安いのでは(2013年4月25日産経新聞)

横浜市 年金生活者(66)

 65歳以上の人口が3000万人を超えたとの報道がありました。友人のご主人は75歳。10年前から人工透析で、いたって元気です。透析患者の医療費は地域にもよりますが、ほぼ無料。検査も頻繁です。先頃、初期の腎臓がんが見つかり、手術。結局、3週間入院しました。

 「いくらかかったと思う?」と友人から電話が来ました。かかった医療費は340万円超、75歳だし、健康保険で1割負担と思いきや、払ったお金は1万4000円!だそうです。3週間も入院し、食事代も含めてだから、家にいるより安上がりだと。覚悟していた友人は驚き、「こんなじゃ、国民皆保険制度も崩壊するわねえ」と。

 別の友人は72歳のご主人が心臓近くの血管が詰まり、9時間に及ぶ大手術を受けました。費用がやはり300万円超で、友人は1割負担分の貯金を下ろすつもりでした。でも、高額医療費で4万4000円でした。

 親戚の85歳になるおばあさんは200円だからと毎日、整骨院でマッサージをしています。200円なんて電車にもバスにも乗れない金額ではありませんか。

 若い頃から保険料を納めていない人や、病気を治す気のない人が、無料で医療を受けられたり、薬局へ行くより安かったりするような仕組みはおかしいと思います。負担をしている若い人のことをもっと考えてほしいと思います。

 自民党の小泉進次郎議員が国会でも発言したように、70~74歳の医療費1割負担は早急に2割に。高齢化の進行は統計上、はっきりしているのだから手を打たないとけません。

さすがに昨今では透析病院は黙っていても大儲け、というほどには儲からないようですけれども、それでもほとんど無料でこれだけの医療費を使い放題ということになれば昨今その破綻が懸念されている医療財政上どれだけの負担になるか、ということはどうしても気になってきますよね。
かつて高齢者医療制度改革と言えば姥捨て山だ、老人切り捨てだと総バッシングを受けた記憶が生々しいのでしょうか、それともこれだけ高齢化社会が進展し3000万の票の行方が気になると言うことなのかも知れませんが、いずれにしても政治家の側からは未だに高齢者の医療費問題はどこかタブー視されているような気配があります。
ただ昨今流れが変わってきたのはやはり財政上の問題があまりに大きなものとなったため、かつての高度成長時代に行われた過剰とも言える弱者保護的社会保障政策をそのまま持続していくことは実際問題として不可能になっているという現実が否応なしに存在しているという点で、一部マスコミからも行政側の「弱腰」を批判する論調が出てきているというのは時代の変化を感じます。

年金・医療に切り込み財政規律を取り戻せ(2013年4月24日日本経済新聞)

 安倍政権が主導した異次元の金融緩和策と世界経済の改善が寄与し、日本経済の先行きに対する企業経営者と消費者の心理は好転した。この流れをさらに太くするのに不可欠なのは、成長を促す規制改革と国の財政に規律を取り戻すための歳出改革である。

 成長戦略は6月の成案作成へ向け、産業競争力会議などが詰めの議論に入った。気になるのは、歳出改革への動きが鈍い点だ。高齢者数がさらに増えるなかで年金や医療の持続性を確かにするためにも、社会保障給付の膨張を抑える制度改革は避けて通れない

 政府・与党が7月の参院選を意識して高齢層に厳しい政策を示すのを先送りしようと考えているとすれば、問題は大きい。選挙戦を通じて財政と社会保障を立て直す道筋を野党と競うべきである。

 安倍政権が編成した2012年度の補正予算によって国の財政赤字は大幅に拡大した。ある年度の政策経費を借金以外でどの程度まかなっているかを示す基礎収支は、地方自治体の分を含めて13年度に国内総生産比で6.9%の赤字に悪化する見通しだ。

 菅政権の時代、日本はこの赤字幅を15年度に3.2%に縮め、20年度に黒字転換させると国際公約し、安倍政権はこれを引き継いだ。しかし消費税率を14年4月に8%へ、15年10月に10%へ引き上げても公約達成はおぼつかない

 消費税増税は年13兆5千億円の増収をもたらすと、財務省は試算する。その使い道をみると11兆円弱は赤字国債でまかなっている既存の社会保障費に充て、残る3兆円弱を育児支援や医療の充実などに使ってしまう計画だ。財政規律の回復に程遠いのが実態である。

 だからこそ歳出の絞り込みが欠かせない。本丸は社会保障だ。

 年金制度は実質給付額を毎年、小刻みに切り下げる仕組みを早急に発動すべきだ。医療は重複検査・投薬を解消するために、診療報酬明細の電子化をさらに徹底させてほしい。大学病院などの外来受診を適正にするために、家庭医制度を普及させるのも課題だ。財政対策では、豊かな高齢者の窓口負担を引き上げるべきである。

 改革案を審議中の社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)の責任は重いが、痛みの伴う給付抑制や負担増に踏み込もうとしているようには見えない。政治的な思惑に左右されずに思い切った制度改革を打ち出す時だ。

もちろん若年人口減少と出生率減少対策もさらに推し進めないことには根本的な収入減少に歯止めがかからないでしょうが、ただ人口構成が以前のそれとは全く別物となってきた現代日本において、昔ながらの制度をそのまま続けていくのでは社会補償制度の永続性など到底担保出来ないことは明らかなのですから、少なくとも過度に優遇されている部分はさっさと是正しないことには仕方がないでしょうね。
先日の社会保障制度改革国民会議を受けて読売新聞では「節度ある医療へ議論を深めよ」と主張ていましたが、その改革の方向性として「「病院で治す」医療から「地域全体で治し、支える」医療への転換」云々が正解なのかどうかはともかくとして、お金のことは気にせず最善最良の医療を提供し、提供されて当然だという考え方が通用する時代ではなくなったということでしょう。
その意味で注目されるのが先日以来麻生副総理が繰り返している「健康なら保険料が還元されるような制度を導入すべき」論ですが、何しろ政界の実力者であるという以上に財務省として医療財政の首根っこを握っている同氏が時を変え場所を変えこうした発言を繰り返しているということの背景には、それなりの財政上の根拠があると言うことであるようです。

仰天麻生提案で医療費3兆円削減!? 似た制度導入の市は全国平均より2割低い数値(2013年4月26日zakzak)

 麻生太郎副総理兼財務相(72)がブチ上げた、高齢者医療費の抑制案が波紋を広げている。「70歳以上で、年に1回も通院しなかった人には10万円あげる」という仰天プランだが、専門家によると、うまく機能すれば、なんと3兆2000億円も抑制できる可能性があるという。

 厚労省によると、2010年度の70歳以上の医療費は計約16兆円。1人あたりでは、70~74歳が年間約62万円、75歳以上が同約87万円だった。自己負担1割、税金約3割、残りの大部分を若年層が支払った健康保険料から賄っている。医療費が増えるほど、税金や現役世代の保険料負担も増える仕組みだ。

 麻生氏は24日の会合で、増大する医療費負担に関して、「『10万円あげる』と言ったら、ちょっと病院に行こうかな、という人が行かなくなって医療費が下がる」と秘策を披露したが、実際の医療現場はどうなのか。

 新渡戸文化短期大学の学長で医学博士の中原英臣氏は「肌感覚では、医療費のうち1~2割は減らせる余地があると思う」と話す。16兆円の2割は3兆2000億円になる。

 「高齢者が病院をサロンにしていることが社会問題になっている。『今日は○○さんが来ていないけど、病気かしら?』というジョークもある。病院が混雑して受診に時間がかかる原因にもなっている。麻生案は興味深い。ほかにも、薬を2週間分ではなく1カ月分渡したり、自治体が高齢者が集まるサロンを作っても効果があるだろう」

 過去に似たような制度として、長野県佐久市が1979年度から2007年度まで、1年で1度も通院しなかった70歳以上の人を表彰していた。同市国保医療課によると、07年度では70歳以上の1万4207人のうち、2・8%にあたる397人が表彰を受けた。

 制度と関連性があるかは不明だが、同市の高齢者1人あたりの医療費は、全国平均よりも2割ほど低い傾向が続いている。

 担当者は「表彰制度があったころは、風邪などの軽い症状では『賞状をもらうために頑張る』と、病院に行かないお年寄りも多かったと聞いています」と話した。

 麻生氏は10万円作戦について、「最もカネがかからない方法だ」と胸を張ったが、費用はどのくらいになりそうか。

 政府が発表している4月1日時点での70歳以上の人口は2291万人。通院しない人が07年度の佐久市と同じ2・8%として計算すると、64万1480人となり、計約641億円が必要になる。確かに、うまくいくなら費用対効果は高い。

 少子高齢化で、政府の社会保障費は毎年度1兆円超の自然増を続け、サラリーマンが納める健康保険料も右肩上がり。10万円作戦が、事態を打開する切り札となるのか。

まあしかし、医師としてのキャリアも何もない医療コメンテーター氏の肌感覚云々が根拠というのもなんとも頼りないものではありますけれども(苦笑)、効果が実際にそこまでになるかどうかはともかく、こういう制度を導入して大きな問題はなさそうだと言うよりも、むしろ高齢者医療の現場を正常化する期待も持てるかも知れませんね。
例えば高齢者による病院のサロン化云々はともかくとしても、それ以上に高齢者医療で問題になってくるのが始終病院に通い詰めてあそこが悪い、ここが痛いと訴えれば当然検査なども受けるでしょうけれども、その結果何かしらの病気が見つかってしまう確率が高齢者の場合非常に高いということです。
若年者の場合何かしら不調や不具合がありそれに対して検査と治療をする、その結果症状が良くなればいったん病院から縁が切れるというのが普通ですが、高齢者の場合大抵は隠れ基礎疾患が幾つもありますから調べれば調べるだけ病気は出てくる、そして見つかった以上は世に数あるガイドラインに従ってきちんと対応せざるを得ないというのはこのご時世、医療訴訟のリスクなども考えると仕方がないことではありますよね。
その結果ちょっと気になったから念のためと病院にかかっただけの高齢者が、気がつけば幾つもの病気を抱えて病院通いを強いられるということになりますけれども、例えば若年者に対しては意味がある慢性疾患の厳重な管理なども人生の先が見えている高齢者に対してどこまで意味があるのか、もちろん予防的効果はあるにしても費用対効果や生活の質の向上等々も考え合わせてどうかという問題はさらに検討が必要でしょう。

いささか話が脱線しましたけれども、世界的に見れば人生で使える医療費の総額が決まっていて、使い残した分は家族内で使い回せるといったやり方で無制限な医療費増大に歯止めをかけている国もあることを考えるとき、日本の医療制度は「タダ(同然)なのだから使わなければ損」という考えを招きやすい制度設計であり、また医療を提供する側も医療費を心配せずに済むだけコスト意識が弱かったのは事実だと思いますね。
もちろん「しかし病気が見つかれば治療しなければ仕方がないじゃないか。訴えられれば負けるのは医者だ」という話にもなってくるのですが、例えば「ところで先生、特になんともないですがドックを受けたら高いので、全身一通り調べてもらえませんか」なんてことを言い出す患者は制度設計に甘えているというしかないし、少なくともそうした人に保険病名をつけてまで安い医療を提供するのはおかしいということでしょう。
本当に必要な医療を省いてしまうようなことにならないよう気をつけることと無駄な医療をなるべく少なくすることとは表裏一体の関係にあるとも言えますが、麻生案に関して言えば比較的たちの悪い副作用も少なく安上がりに効果を期待出来る上に国民感情にも合致しやすい案に思えますから、揉めそうな高齢者の自己負担優遇措置是正などと比べれば案外早く実現に向けて動き出すかも知れませんね。

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2013年4月29日 (月)

今日のぐり:「麺や 廣」

カワイイはすでに世界標準語であると豪語した人も一部にいるとかいないとかですが、こちらも大変にカワイイと話題のワンオフ品があるようです。

かわいい! でもでっかい! 実物大の文鳥イヤフォンジャックカバーが迫力満点(2013年4月22日ねとらば)

 Twitterユーザーが作成した文鳥のイヤフォンジャックカバーが話題になっています。サイズはなんと実物大! 迫力満点です。

 制作者のバドさん(@vanilla256)は実際に文鳥を飼っており、ある時スマートフォンに文鳥を乗せた写真を撮ろうとしたそうです。ところがなかなか乗ってくれず撮影に苦労したため、「本物が愛想良く乗ってくれないなら自分で作ればいいじゃない」と、イチから作ることに。そして、石粉粘土を材料にこねこねと2週間……。ついに完成した文鳥は、自称・素人とは思えない素晴らしい仕上がりです。
ah_buncho.jpg 写真提供:バド(@vanilla256)さん

 ただし、全長がスマートフォンのサイズに迫る勢いなので、端末にセットするとエラいことになっています。付け方は「見つめ合いバージョン(前向き)」と「お尻バージョン(後ろ向き)」があるのですが、いざ使うとなるとなかなか大変そう。

 制作者自身「作ってみた。……が、邪魔すぎる」とぶっちゃけていましたが、画像付きの投稿は、1万8000回以上リツイートされ、「かわいい」「欲しい」「天才現る」と好評でした。

その状況は元記事の画像を参照していただくとして…まあなんと言うのでしょう、スマホに文鳥が乗りたがらない理由が何となく理解できる状況なんでしょうかね…
本日はすばらしい作品を公開されたバド氏に敬意を表して、世界中から何とも微妙な気分にさせられる新製品の数々を紹介してみることにしましょう。

一瞬で胸毛ボーボーになれるスウェットが登場 モジャモジャボディで男子力アップ(2013年4月14日ねとらば)

 エルヴィス・プレスリーをはじめ、70年代のころには男らしさの象徴とされた胸毛。近年は男性でも無駄毛を処理してしまう人が増えていますが、胸毛文化を復権させる画期的なスウェットが登場しました。

 胸毛ボーボーの裸体がプリントされたこのスウェット。肉襦袢のようなシルエットと無駄にリアルな乳首がたまらなくセクシーです。ご丁寧にゴツい金のネックレスまでプリント済み。カラダに自信の無いもやしっ子の人でも、ワイルドな男性に早変わりできます。おまわりさんに何か言われても「服です」と言えるので、安全面もバッチリ。

 このスウェットは海外のネットショップ「FIREBOX」で販売中。お値段は39.99ポンド。

これまた画像を参照いただきたいところなんですが、こういうのを見ると現代日本人の嗜好が世界標準を外れてきているのか、それとももともと特殊な嗜好に合わせて開発された商品なのか、気になりますね。
一方こちら日本人ならこうした、とも言うべき商品なのですが、思わぬところで評判を呼んでいるようです。

モテ男になる「リア充コート」に中国人歓喜 筑波大生が発明、「ノーベル賞ものだ!」(2013年4月11日J-CASTニュース)

   日本の大学生が生み出した「リア充コート」なる発明品が、世界の驚きを誘っている。たとえモテない男でも、着るだけでまるで彼女がいるような気分が味わえるというユニークなアイテムで、ネットを通じて話題は世界中に広がった。
   そんな中で、意外に食いつきがいいのが中国人だ。中国では最近「結婚難」が社会問題になっているせいか、半ば本気で「ほしい!」と叫ぶ声が多く聞こえる。

   問題のコートを開発したのは、筑波大学の学生3人組。2013年4月4日に、ニコニコ動画に、実際の動作の模様が投稿された。
   コートにはベルトと、電動式の巻き取り装置が搭載されている。あとはヘッドホンをつけてスイッチを押すと、ベルトが適度な力加減で締まり、と同時にヘッドホンからはかわいらしい女性の、

    「ごめんね、待った?」

というようなささやきが聞こえる。ベルトの締まりと音声の相乗効果で、まるで「彼女が、後ろから抱きついてきた」ときのような感触を味わうことができる――というのが、この「リア充コート」のうたい文句だ。動画では製作者の男子学生が自ら着用、「抱きつかれた」感触に、思わず満面の笑みを浮かべる様子が大写しで収められている。
   その強烈なインパクトで、動画は投稿からわずか1週間で10万再生を記録したほか、たちまち海外にも波及、米「タイム」や英「デイリーメール」といった有名メディアにも相次いで取り上げられた。YouTubeに転載された動画にも世界中からコメントが押し寄せ、

    「これぞまさに孤独のコートか……」

などと大受けに。

中国人「まったく日本は…俺にも一着よこせ」

   中国版ツイッター「ウェイボー(微博)」などでも、このリア充コートの話題が盛り上がりを見せている。「これだから日本は」式のコメントや、「今年のノーベル物理学賞(暇人部門)は確定だな」といった笑いも多いが、目立つのは「ほしい」という真剣な叫びだ。

    「え、これどこで買えるの? いくら? サイズ違いある? 動力は? 声は自分の好きなキャラにできるの? タオバオ(中国の大手通販サイト)にないの!? うおおおお、誰か教えて!!」
    「まったく、日本の科学技術は奇怪な方向にばかり発展しているな……ところで俺にも一着よこせ」
    「よし、我妻由乃タイプ、戦場ヶ原ひたぎタイプ、逢坂大河タイプも作ろう(※いずれも日本のアニメヒロイン)」

   もちろん他国でも「ほしい」の声は少なくないが、中国からの反応は妙に気合が入ったものが多い。ちなみに中国では近年、中国版「非リア・非モテ」というべき言葉「吊糸」が流行語になるなど、結婚にあぶれる「モテない男」問題が深刻化している。「モテない男用コート」人気は、あるいはそうした「吊糸」社会の影響なのかもしれない。

ちなみにその販促動画?なるものはこちららしいのですが、全世界的に見ますと必ずしもよい評判というわけでもないような…まあこのあたりは文化的社会的背景事情jの違いが大きいのでしょうね。
スケスケと言えば世の男性諸氏の怪しい妄想を誘ってやまない魔法の言葉ですけれども、こちらもある意味病的な妄想の産物とも言えそうなスケスケの新商品が完成間近ということです。

もうちょっとで完成のスッケスケ透明自転車(2013年3月20日GIZMODO)

透明になったけど、むしろ注目を集めそう...

自転車好きの大半は、機能面だけでなく外見のデザインにも気を遣うと思いますが、パフォーマンス・アーティストのJimmy Kuehnleは違います。彼は今自転車のあらゆる部品を透明にすることに懸命になっています。その作業は大方終了し、残すはタイヤとチェーン、ギア類のみです。

2005年頃から開発の進められてきたこのスケスケ自転車。透明部品の大半はLexan樹脂という、優れた耐衝撃性をもつ無色透明の樹脂で作られています。Jimmy Kuehnle曰く、この自転車に乗る時は自分も透明な格好をした方がイイのだとか。見方によっては変質者扱いされそうですが、これも立派なアートなんです。

最終的に自転車の全てが透明になり、裸の男が奇妙な格好で横移動するというシュールな光景を見ることができるかもしれません...

いやまあ、どのような暗い情熱に基づいたアートなのか容易には理解しかねるところですが、しかし元記事の写真をご覧いただくだけでもすでに人間側の状態が問題と言いますかね…
一部地域の方々のベーコン好きは半ば病的なほどで、先日はベーコン味のマウスウォッシュなるものが発売されたとエイプリルフールじみたニュースがありましたが、ここまで来るとどうなのかという新製品が出たようです。

ホントに使うの!? アメリカでベーコン風味のコンドームが発売されるって!(2013年4月5日GIZMODO)

今日ほどアメリカが遠くに感じたことはありません。

アメリカのベーコン会社、J&D's社がベーコン風味のコンドームを発売するというニュースが飛び込んできました。エイプリルフール? と勘ぐりたくなりますが、同社はこれまでもベーコン風味のリップクリーム、ボディーローション、シェービングクリーム、ソーダといった奇抜なベーコンアイテムを商品化しているため、こちらもガチで出してくるのかと予想されます。

これは男性が喜ぶアイテムなのか? 女性が喜ぶアイテムなのか? ジャッジの難しい装備品です。

すでにその画像を見るだけでもただ者でない感が濃厚にただよってきますが、しかしシリーズ化しているくらいですからこういう需要もまた一定数あるのでしょうね…
ありそうでなかったというのがこちらの商品ですけれども、単なるネタではなくすでにそれなりに普及しているらしいというのですから興味深いですよね。

墓石にQRコードを埋め込むバチあたりなサービスが中国で登場(2013年4月1日秒刊サンデー)

墓石にQRコードを埋め込み、スキャンすると故人の思い出の写真や映像がスマホによみがえると言うとんでもないサービスが中国で登場。・・・なんだエイプリルフールのネタか。と思うのかもしれないが実は違う、本当にこのサービスが登場して話題を呼んでいるのだ。しかし案の定、墓石を写真で撮影するなんてバチあたりだと非難の声も上がっているという。

中国の葬儀会社は、墓石にQRコードを埋め込み故人の楽しい思い出などの写真や動画をスマートフォン上によみがえらせるサービスを始めたという。遺族らはこのQRコードを墓石から読み取り、スマホに撮り込むと言うハイテクな墓石。言うならば、スマート墓石だ。

確かに墓石の模様とQRコードは似ている、と思いきや中国の墓石は日本のような模様ではなく城の門のような墓石だ。その門に唐突にQRコードが付いているという事だから、恐らくこれを知らない人は単なるいたずらに過ぎないと思われそうだ。

既に10人以上がこのサービスを契約しており今後増えるのかもしれないのだと言う。さてこのアイディア中国が発端では無いらしい、では何処が元祖かと言うとなんとそれは日本。やはり墓石の模様とQRコードはリンクしていたようだ。

早速調査をしたところ、確かに日本の墓石にQRコードを埋め込み、同様のサービスを行う会社があった。そのうちの一つが「石の声株式会社」さんだ。サイトを見てみるとQRコードを埋め込むサービスがある。紹介文によると『墓前で子や孫に、先祖の事を伝えていってほしいと思い考案しました』 とのこと。

ある意味これはエイプリルフールのネタであってほしかったが、賛否両論になりそうだ。

墓石そのものよりも墓地の一角にでも案内をかねて説明的な内容を載せておけば便利かなとも思うのですが、個人情報保護が厳しい時代ですとそれまた問題となるのでしょうか。
最後に取り上げますのはやはりブリからの話題ということになりますが、そもそも商品コンセプト的にどうなのかという気はする新商品です。

【海外:イギリス】食欲が無くなること間違いなし!グロテスクな酷いケーキが大人気(2013年4月11日日刊テラフォー)

ひどいケーキのトレンドが、イギリスを圧巻している。

どれくらいひどいかというと、そのケーキは、かわいらしい人形や花がデコレーションされた通常のケーキがもたらす甘い幻想なんか無視して、グロテスクな切り取られた指や耳、汚れた肺、吸い殻を模した、最高に気分が悪くなるケーキなのだ。

こんなひどいケーキを販売しているのは、イングランド南東部ハートフォードシャー州にあるケーキ屋さん『ネビー・パイ・ケイクス(Nevie-Pie Cakes)』だ。
『ネビー・パイ・ケイクス』のホームページを見てもらえば分かるが、このケーキ屋さんは普段は、花柄やちょうちょをあしらった、美しいケーキを制作・販売している。特にウェディングケーキの評判は良い。

食欲減退ケーキは、元々は18禁の屋台向けに作ったものだった。普段の『ネビー・パイ・ケイクス』の仕事とはまったく正反対のケーキだが、それはそれで評判は良いようだ。たばこの吸いすぎで真っ黒になった肺のケーキは、よく注文が入る。
ケーキは、ココナッツやスポンジ、クッキーなど食べられる素材でできているので、味は普通のケーキと同じだ。そうと分っていても、なかなか食べる気にはなれないが…。

嫌いな人の誕生日やたばこの吸いすぎの人へのプレゼントに最適かもしれない。その不気味さにパーティは一瞬盛り上がるだろうが、ケーキがどんなにおいしかったとしても、すべて食べ尽くされることはないだろう。

いやブリ食というだけでもう十二分に食欲が減退して…と言う声も聞こえてくるようですけれども、元記事の写真を見ますとなるほど積極的に食べたくはないかなと思うものではありますよね。
しかしケーキと言うものは必要欠くべからざるという食品ではなく食べたいから食べるという性質のものでしょうに、わざわざ嫌がらせめいた外観にせずにはいられないのがブリ気質というものなんでしょうか。

今日のぐり:「麺や 廣」

新倉敷駅近くにあるショッピングモールの一角に新規開業したこのお店、もともと担々麺屋があった場所だったと思うのですが居抜きで開業したのか業態変更したのか、塩ラーメンがメインらしいのですが醤油や味噌に加えて担々麺もありますから、あるいは経営は同じなのかも知れません。
ともかく敷地の端っこというあまりいいとも言えなさそうな立地なのですが、お向かいに存在するバイキングのお店が結構繁盛しているようで、その集客効果も手伝ってか開店早々それなりにお客が入っているようです。
このあたりは割合に飲食店も多いように見えて昼に気軽に入れる外食がまだ少ないのかも知れませんが、おかげでラーメン屋にしては待ち時間は相応にあるんですがオペレーションはすぐ慣れてくるかも知れませんね。

メニューをざっとみますと石鍋チャーハンにも惹かれるんですが、ここは基本に忠実にということでネギ盛り塩ラーメンにしてみましたが、しかしこのメニューはシンプルにトッピング一覧で済むだろうに、わざわざ別メニューのようにトッピング載せラーメンも書き並べてあるとは、ちょっと煩雑でわかりにくいなあと感じます。
それでも塩ラーメンがメインのお店らしく麺とスープだけの匠麺なるものもあるのは好印象で、しかも極コク旨塩ラーメンなるものが基本なんですがあっさり塩ラーメンも別にある、そしてセットメニューはラーメンとサイドメニューの順列組み合わせで一通りそろっていると、こういう場所で営業するにはそれなりに狙い目通りなのかなと思う品揃えではありますね。
塩ラーメンとしてはほんのり甘さを感じさせるスープはまずまずで、トッピングの白髪葱も悪くない相性だと思いますが、しかしこの中細麺はもともとの麺自体がさして腰がない上に、今回だけの問題なのかすっかり茹ですぎで残念な食感になってしまっていて、正直ラーメン一杯分を食べるのもつらいと感じるのは久しぶりでした。
他に面白いのは妙に極太なメンマなんですが、メンマというものの性質上食感で失敗しがちなのでその解決策としては即物的ながらありかもと思いますし、他のチャーシュー煮卵も含めて今時のラーメン屋らしくトッピングは水準には達しているとは思います。

他はまずまずなだけにともかくこの麺さえもう少し何とかなっていれば…と思わずにはいられないのですが、入り口脇のスペースにこれ見よがしに小麦粉と製麺機を置く演出もこうなると鬱陶しいだけで逆効果でしょうし、本当に自家製麺でやっているのであればしっかり修行してねとしか言いようがないですね。
接遇面では開店後間もない現段階として考えると一応許せる範囲内なんですが、よくある待合客の名前を書く名簿を待合室側の客に向けてではなく店員側に向けて置いているのはどうなのかで、こういう田舎のお店だけに気がつかずに黙っていつまでも待っているおじちゃんおばちゃんも出そうに思いますね。
以前にあった店舗がどうしてなくなったのかは存じ上げないのですが、この地域で流行っているラーメン屋の傾向を考えると塩ラーメンメインというのは少し押しが弱いのかなと言う気もしますし、ともかく開店早々のご祝儀相場が落ち着くまでにどれだけの固定客がつくかが今後の行く末を決めそうに思いました。

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2013年4月28日 (日)

今日のぐり:「おんまく寿司 青江店」

何をもって犯罪的行為とするかは時代により国により様々ですが、先日は極めて奇妙な罪に問われた男性が国外退去になったというびっくりニュースがありました。

サウジアラビア 「ハンサムすぎる」男性3人を国外退去(2013年4月21日ロシアの声)

 サウジアラビアは、「あまりにもハンサムすぎる」という理由で、3人の男性を国外へ強制退去させた。テレビ Emirates24/7 が伝えた。

   国外退去処分を受けたのは、 アラブ首長国連邦( UAE )の男性3人。彼らは、サウジアラビアの首都リヤドで開かれていた民族文化イベントに、UAEの代表団として参加していた。 サウジアラビアのムタワ(宗教警察)が、UAEのブースを襲撃、男性3人を拘束した。宗教警察の情報によると、UAEのブースには、イベントへの参加が認められていなかった女性アーティストがおり、その女性と一緒に、「ハンサムすぎる」男性3人が拘束された。イベントに訪れた女性たちが、男性たちに「恋をする」可能性があることから、拘束されたという。男性3人は、国外へ退去させられた。

 ムタワは、サウジアラビアの宗教警察。宗教警察は、アルコール飲料の摂取や売春などを取り締まるために、街や公共施設などを巡回している。職員は、およそ3500人。

何ともよくわからない理由としか言いようがないのですが、想像するに何らかの戒律なり法規なりに抵触しそうなということで名目上こうした罪を認定したといったことなんでしょうかね?
今日はあまりにハンサムすぎることが罪に問われてしまった男性達にちなんで、世界各国から犯罪行為に関わりのあるびっくりニュースを取り上げてみましょう。

女子中学生がダイコン100本を盗む → 盗んだダイコンを路上に並べ車にひかれる音と形の変化を楽しむ → 逮捕(2013年4月23日ロケットニュース24)

2012年12月、三重県鈴鹿市の民家からダイコン100本が盗まれるという事案が発生していたのですが、このほど容疑者が逮捕されたそうです。

逮捕されたのはなんと中学3年の女子生徒! これだけでも驚きなのですが、女子生徒が盗んだダイコンの使い道に注目が集まっています。なんと彼女はダイコンを路上に並べ、車がダイコンをひいていく音と形の変化を楽しんでいたというのです。 

この驚きの事件に、ネットユーザーからは以下のような声が寄せられています。

「食べ物を粗末にする奴はもっと罰せられたほうがいい」
「大根100本とか結構良いお値段」
「気持ち的には盗まれる以上にいやだな」
「無駄な努力」
「親の顔が見てみたいわー」
「狂気を感じる」
「ダイコンにあやまれ!」

思春期の女子といえば「箸が転んでもおかしい」というように、どんなことでも、おかしがって笑うと言われています。が、ダイコンが車にひかれる音と変化を楽しいと思うとは全くの想定外。なかには、あまりの発想に「大物になる気がする……」、「哲学的」というコメントもありますが、窃盗は犯罪、褒められたことではありません。

なお、女子中学生は今回の事件以外にも、遊び友達の男子高校生らと鈴鹿市内の小学校や幼稚園の窓ガラスを割って侵入し、トロフィーや青色回転灯などの窃盗も行っており、窃盗と器物損壊の疑いで逮捕されています。逮捕された女子中学生は「面白半分でやった」と容疑を認めているとのことです。

まあ馬鹿としか言いようがない話ではあるのですが、せめて廃棄されたクズ野菜ならともかく売り物を盗んでというのは罪が大きいですよね。
これまた何が罪なのかは微妙な問題なのだなと感じさせる話なのですが、日本でも時折騒音公害が話題になるだけにあるいは…とも感じさせられるニュースです。

「笑い声が大き過ぎる」と隣人が通報、米男性に禁錮刑の可能性(2013年3月7日ロイター)

[ニューヨーク 6日 ロイター] 米ニューヨーク州ロングアイランドに住む男性(41)が、笑い声が大き過ぎるという隣人の通報を受けて、禁錮30日と罰金500ドル(約4万7000円)を科せられる可能性が出ている。

弁護士によると、この男性は先月12日と13日に自宅の窓から外に向かって笑い声を上げ、隣人の平穏を乱したとして、警察から2通の召喚状を受け取った。

男性は電話取材に対し、通報した隣人がいつも自分をからかい、それに抵抗するために大声で笑ったと説明。弁護士は、男性には神経障害の発作がしばしばあるが、笑い声が大き過ぎることはないとコメントしている。

一方、警察に届け出た隣人のコメントは6日現在、得られていない。男性と隣人の家は隣接しており、私道を挟んで約6メートル離れている。

警察は声明で「2つのケースで、この男性が隣人に向けて騒ぎを起こし、法律に違反したことを確認した」と指摘。一方、男性の母親は、隣人が自分の息子を知的障害者だとよくばかにし、話し方や歩き方についてからかっていたと話した。

しかしアパートメントならともかく道路を挟んでとなるとどんな大声だったのかと思うのですが、こういう騒ぎを取り締まる法律もちゃんとあるというのも驚きですね。
野生児と言えば何となくロマンあふれるものであるかのような響きすらありますが、現代社会においてリアル野生児?は単に世の中の迷惑なのではないか?とも感じられるのがこちらのニュースです。

森に27年「隠とん生活」、盗みで生計立てていた男を逮捕(2013年4月13日ロイター)

[ボストン 10日 ロイター] 米メーン州で、1986年から森の中で隠とん生活を始め、キャンプ場などで盗みを繰り返してきた男が逮捕された。地元警察が9日明らかにした。

逮捕されたのはクリストファー・ナイト容疑者(47)。警察によるとナイト容疑者は、メーン州ローム郊外にある池のほとりにテントを張り、他人との接触を避けるように暮らしていた。27年間に及ぶ隠とん生活で他人と言葉を交わしたのは、ハイカー1人だけだったという。

ナイト容疑者は4日、キャンプ場で食料を盗んでいたところを逮捕された。警察の調べに対し、食料のほか、衣服、プロパンガスといった必需品を約50回にわたり盗んでいたことを認めた。逮捕時の所持品で自前のものは眼鏡だけで、あとは全て盗品だった。

メーン州は冬になると気温が氷点下になることもあるが、ナイト容疑者は寝袋を重ねることで寒さをしのいできた。またゴミ箱は迷彩色に塗り替えるなど、徹底して人目を避ける工夫が施されていたという。

なぜナイト容疑者が隠とん生活を送るようになったのかは分かっていない。地元メディアによれば、住民やキャンプ場の管理人らは、以前から必需品がなくなることを不審に感じていたという。

しかしキャンプ場近辺というくらいですから基本的には人里離れた田舎なのでしょうが、27年間で50回の盗みと言うくらいですから相応に自活度は高かったということなんでしょうかね。
ここからは泥棒ネタが続きますが、まずは先日出ていました微妙に人のいい?泥棒のニュースから紹介してみましょう。

盗んだスーツケースに遺灰、犯人が持ち主に送り返す(2013年4月25日ロイター)

[シアトル 24日 ロイター] 米ワシントン州西部タコマ郊外で、トラックから盗まれたスーツケースがその後持ち主の男性の元に送り返される事件があった。中には男性の息子の遺灰が入っていたという。

地元の保安官事務所が24日明らかにしたもので、トラックの男性所有者がゴルフを楽しんでいる間に車から2つのスーツケースが盗まれた。1つには約3000個の宝石用原石や30個以上の指輪やブレスレットが入っており、もう1つには男性の息子の遺灰が入っていた。

ところが、数日後、この遺灰が持ち主の男性に匿名で郵送されてきたという。保安官事務所の広報官は、「犯人にも人間の血が通っていたのだろう」とコメントした。

いくらなんでもこれだけのお宝を車の中に詰め込んだままゴルフをするというのも無防備すぎる気がしますが、思わぬ大漁だった泥棒側も気をよくして仏心を発揮したというところなんでしょうか、どうしても遺灰を盗まれては困るという場合は応用できるテクニックかも知れませんね?
こちらもある意味で心温まるというのでしょうか、むしろ人がよすぎると言うべきニュースを紹介しましょう。

泥棒を捕まえた集合住宅の管理人、同情して仕事をオファー イタリア(2013年4月11日AFP)

【4月11日 AFP】盗みを働こうとした男を取り押さえたイタリア・フィレンツェ(Florence)近郊の集合住宅の管理人が、この男に仕事を与えると申し出た。第2次世界大戦後最悪の不況に襲われ、厳しい緊縮財政と高い失業率に苦しんでいるイタリアで、このニュースは大きく報じられた。

 管理人のパオロ・ペドロッティ(Paolo Pedrotti)さん(62)は8日、この集合住宅で銅線を盗もうとしたマルチェロ・ムッチ(Marcello Mucci)さん(54)を、刃物を使ってひるませて取り押さえ、警察に引き渡した。

 しかしその翌日、ペドロッティさんは、ムッチさんが失業中で妻が受給している月額250ユーロ(約3万2500円)の障害年金で暮らしていたことを知ったという。「妻の車を使って60ユーロ(約8000円)の物を盗みに来るなんて、どんな泥棒だい」(ペドロッティさん)

 そこでペドロッティさんは、ムッチさんに集合住宅の清掃と芝刈りの仕事を、時給8ユーロ(約1000円) で提供するという内容の公開書簡を地元紙ティレーノ(Il Tirreno)に投稿した。

 庭師の職を失っていたムッチさんは、この厚意をすぐに受けたと話している。銅線を盗もうとしたのは、これを使って器やシャンデリアを作り、各家庭を回って売るためだったと説明している。

 ペドロッティさんの手紙は「親愛なる泥棒さんへ」から始まり、「私はあなたを待っています。いずれにせよ、私の住所はご存じでしょう」と締めくくられていた。

イタリアでは折からの不景気で思わぬ助け合い精神が発揮されているらしいのですが、何にしろせっかくの信頼を裏切らないよう正道に復帰してもらいたいものですよね。
これまた他人事であればほほえましい…と言ってしまってもいいような話なのですが、やられた側はたまらないというニュースを紹介しましょう。

不法侵入者を止めるどころか一緒に仲良く出て行った史上最悪の番犬が話題に(2013年4月13日ロケットニュース24)

ある史上最悪の番犬が話題を集めている。ワシントンのある家で飼われているバディというワンコは、2013年4月6日、主人が出かけているあいだ留守を任せられていた。そんななかジェイソン・マクダニエル(38歳)という男が、家に侵入してきた。

これは番犬としての活躍を見せる絶好の機会! しかしバディはその不法侵入者を止めるどころか、その侵入を快く歓迎してしまったのだ! えっ、うそーーーん!

現に、この事件に関わった警官が「(家に入った時)マクダニエルは冷蔵庫のドアを開けたまま、そこに立っていました。そしてその家の犬バディに、エサとしてプリンをあげていたのです」と述べており、2人はすぐに仲良くなってしまったようなのだ。

マクダニエルはその家の住人たちが帰ってきた時、動じることなく、その場にいつづけた。そして家の住人に向かって、自分には殺したい男がおり、その人物を探しに来たことを伝えたのだ。しかし探している相手は、他の場所に住んでいることが住人の情報により発覚。

マクダニエルはその場を去ろうと決意するまでのあいだ、揺りいすに座り、くつろいでいたという。住人たちは怖くて、何もできなかったのだろう。そしてマクダニエルがついに家から出るというその時、彼はバディを呼んだ。そして次の瞬間、信じられないことが起こったのだ。

なんとバディは、その不法侵入者についていってしまったのだ! 警察はマクダニエルを追跡し、見事逮捕した。しかしバディはいまだ逃走中とのことである。うーん、バディはどこをさまよっているのだろうか。今はバディが早く見つかることを、ただただ願うばかりである。

しかし犬の方もまさかこれで史上最悪の番犬として名を残すことになるとは思っても見なかったでしょうが、しかしカゾクに大きなトラブルがなかったことは幸いでしたね。
最後に取り上げますのはご存じブリからの話題ですが、こういう間の悪い人間はどこの世界にもいるものだなと感じさせるニュースです。

【海外:イギリス】哀れな最期。強盗が宝石店を襲撃中に心臓発作を起こして死亡(2013年4月2日日刊テラフォー)

イギリスで昨日、宝石店に押し入った武装強盗が、強盗している最中に、心臓発作で倒れて死亡するという、強盗にとっては不運な事件が起こった。

9時15分、オックスフォードの中心街にある宝石店に、2人の武装強盗が押し入った。盗んだバイクに乗って現れた2人は、怒鳴りながら店のガラスを叩き割ると、店に入り、年上の方の強盗が店員の前に立ちはだかった。通常はここで、店員は銃を突きつけられて、金を出せ!と脅されるところなのだが、この武装強盗は少し違った。強盗は腰を折り曲げて崩れ落ち、そのまま床に倒れて意識不明となってしまったのだ。この様子を見たもう一人の強盗は、何も奪わずに、倒れた仲間を残したまま店から逃走した。

その後、現場に駆けつけた警察からの要請を受けた救急隊が着いた時には、強盗は完全な心肺停止状態だった。この強盗は、クリントン・タウンセンド容疑者(33)だと判明し、すぐには病院に運ばれたが、その日の午後に死亡が確認された。襲われた宝石店のスタッフは全員無事だったが、白昼堂々強盗に押し入られたことと、目の前で強盗が倒れたことに、大きなショックを受けている。

死亡したダウンセント容疑者の仲間は現在も逃走中で、警察は現在彼の行方を追っている。目撃情報なども多いことから、すぐに捕獲できる見通した。強盗のような大犯罪は、ダウンセント容疑者の老体にはかなり堪えたのだろう。宝石強盗も達成できず、仲間にも見捨てられた容疑者の最期はあまりにも切ない。

老体と言っても元記事でも犯人は33歳だと言うのですから若いのではないかと思うのですが、そうなりますと一体彼の健康に何があったのでしょうか?
しかし銃を突きつけて動くな!と言うべき強盗が助けを求める状況になった場合、店員としては動くべきか動かざるべきかなかなかに問題だったかも知れませんね。

今日のぐり:「おんまく寿司 青江店」

近頃ではどこもかしこも回転寿司屋が大盛況ですが、競争が激しいためか価格も質も厳しく問われるようで、こうなると昔ながらの街の寿司屋のような小資本では手も足も出ないのでしょうね。
こちら岡山市街の一角に比較的最近オープンしたというチェーン店ですが、その特徴はとにかくやたら広い!ということで、広大と言うしかない店内には座敷もあり、何しろベルトコンベアの長さがすごいことになっています。
メニューを見てみますと寿司は基本百円系のようなのですが、同行者曰く以前はこういう値段ではなかったような?ということであるいは価格改定をしているのかも知れず、また一部は高価格の寿司メニューもある、そして何よりどこが回転寿司屋か!?と思うほど一品料理も充実していて、何やら宴会でも出来そうな雰囲気ですよね。

例によって同行者とシェアしながら適当につまんでみたのですが、まず赤出汁は具沢山でまずまずいける、茶碗蒸しもごく普通なんですが割合にベースの味はしっかりしていて、いずれもとっかかりの一品として悪くなさそうです。
調子に乗ってサイドメニューを幾つか頼んで見ましたが、おんまくサラダは見た目に豪勢でグループで頼むにはよいものの味は特記すべきものはなく、またもやしホルモンは見た目通りもやしとホルモンの鍋なんですが、どうせなら寿司ネタと関係のある海鮮鍋の方がよかったかも知れません。
握りではちょうど今が旬だというサヨリを試してみたのですが、あっさり味ながらなかなかすっきりしたうまみも感じられて馬鹿に出来ませんけれども、一方で定番の海老などは海老自体に何か妙な風味が感じられたのがマイナスでしょうか。
三種盛りが豊富なのも特徴のようなのですが、海老かに三昧は甘エビが思ったよりもちゃんとした味で好印象である一方、カニはすっかり味が抜けきってしまっていてこのあたりはコストの影響も感じさせられます。
エビフライ巻きはノーマルのものはごく普通の百円レベルなのですが、見ていますと車エビらしい巨大なジャンボエビフライ巻きもあるようで、今度立ち寄る機会があれば試してみたいですね。
寿司ネタでは野菜系が充実しているのも興味深くて、菜の花などは和えてあるものを握っていますが思った以上にいける味ですし、季節のタケノコなどもすっきりした味と食感が楽しめて悪くありません。
締めには例によって玉子を頼んで見ましたが、見た目通りごく平凡な回転寿司系の玉子なんですが、ちゃんと甘い味付けで妙にほっとしました。

前述の通り基本的に百円系だと考えるとネタなどはがんばっている方で、ネタにもよりますが百円にしてはと断らずともごく普通の回転寿司として受け入れられる水準にはある思いますが、その分はおそらく豊富なサイドメニューで利益を回収するスタイルなのでしょう、競争激しい業界だけにこういうやり方もおもしろいと思います。
しかしとにかく広大な店内で、特に店舗奥側から見ますと反オープンキッチン状態なのですが、ものすごい数のスタッフが働いているのでよほどにお客の回転がよくなければ元が取れないんじゃないかと心配になります。
ところでこの日は比較的空いていたこともあってオーダーの通りはまずまずだったのですが、入力端末に利用されているiPadの操作性は今ひとつといったところで、特にこれだけメニューも際限なく増えた状態ですと紙メニューを眺めながら口頭で注文した方が明らかに利便性が高そうですよね。

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2013年4月27日 (土)

国際的にネット規制派が伸張中だそうですが

まあそういうものなんだろうなと想像はしていたところでしょうが、先日は中国における監視社会の実態というものについてこんな記事が出ていました。

中国の執拗な盗聴・ネット監視 携帯が突然、音をたて始め…(2013年4月22日産経新聞)

 30年ぶりの北京駐在も2年近くになるが、執拗(しつよう)な電話盗聴やパソコンの監視には神経をすり減らされる。

 昔も盗聴は日常茶飯事だった。しかし電話がつながると装置が稼働する音が聞こえ、自分の声が山びこのように返ってきたり、相手の声にエコー(残響)がかかったりするのですぐ分かった。盗聴者を意識し、共産党政権や監視当局への皮肉を言って、電話を切られることもあった。

 今は、当局の装備や手口が格段に進化したため、先方の思うままに操られる。携帯電話で海外と話しているのに実によく聞こえるので、話し込んでしまい、手痛い打撃を受けることもある。

 昨秋の反日暴動直前、地方の同僚と情報交換している最中に、携帯が突然「ブーン!」と音を立てて震動し始めたのには驚かされた。

 ネット監視も執拗だ。当局が遮断している海外ネットにアクセスを繰り返していると、その都度パソコンを使えなくされる。修理して繰り返しトライしていると、幽霊屋敷のようなおどろおどろしい画面が現れ、「捜索!」という2文字が浮き上がってきたのにはあぜんとした。

 中国では数万人規模のネット監視団が、自国民や外国人のネットを日夜見張っているとされる。(山本勲)

しかしさすがに十数億の人口を抱える巨大国家であるが故にというべきなのでしょうか、こうした不毛な人海戦術に万単位の監視団を貼り付けるということが出来るマンパワーには驚くしかありませんね。
おもしろいのはこのネット監視団、どうもアルバイトの人間も大勢いて一定のルールに従って監視活動をしているそうなんですが、一度これを経験すると当局が何を隠蔽しようとしているのかが丸わかりであるため、一度で政府不審になったと言う人も少なからずいるらしいという話ですね。
いずれにしてもまともな文明社会でこうした盗聴、規制と言った行為が許容されるべきではないのは言うまでもありませんが、何故か他ならぬこの日本においても近頃一部でネットを規制すべきだと主張する方々がいらっしゃるようで、様々な手段を通じてネットは諸悪の根源だ、さっさと規制しなければ大変な事になるぞと主張を続けているようです。
国際的な場においても中国を初めとして強力な規制を主張する国々が少なからずいますけれども、問題なのはネットというものには国境線はありませんから、こうした強硬派の勢力が伸張するにつれて日本も決して他人事ではなくなってくるということですよね。

ネット規制は是か非か、正念場は来年訪れる 仲矢徹・情報通信政策研究所長に聞く(2013年4月11日日経ビジネス)より抜粋

(略)
昨年12月にドバイで開かれた国際電気通信連合(ITU)の会合で、インターネットへの国家規制を巡る日米欧と途上国の対立が決定的となりました。

仲矢:そもそもの経緯からお話しします。ドバイで話し合われたのは国連の機関であるITUが定める国際電気通信規則を改正するかどうかということでした。この規則は1988年に制定されましたが、対象としているのは国際的な電話サービスです。当時、インターネットはそれほど普及していませんから、国際通信と言えば電話の時代です。その後、ネット技術を使った通信が急速に普及し、途上国からネットも対象に加えるべきだという議論が起こってきたのです。

 規則を改正する会議を2012年に開くことが決まったのは2006年のことです。当時はネットがこれほど大きな議論になるとは思われていませんでしたが、その後、「アラブの春」で政権を倒す原動力になったこともあって、ネットの力が世界で強く認識されました。同時にサイバー攻撃の問題も出てきましたから、規則の中でネットを全く扱わないわけにはいかないだろうという議論が巻き起こってきたのです。

 実は先進国の間でも様々な議論があり、必ずしも固まって1つの方向を目指していたわけではありませんでした。EU(欧州連合)は規則に迷惑メール(スパム)防止を書き込もうと主張しましたが、日本はさらなる規制につながりかねないとして反対しました。そうしているうちに、もっと中身のことを書こうという国が出てきて、結局、EUも途中から防戦に回ったわけです。

 どこまで強い表現で書くか先進国の足並みがそろわないまま、問題意識を持った途上国が議論を主導するようになりました。先進国も表現ぶりを弱めようとかなりいい線まで持っていったのですが、最後の段階でアフリカグループから出された「通信に関する国の権利」を追加する改正案が多数決で採択されてしまったのです。
(略)
仲矢:重要になるのがASEAN(東南アジア諸国連合)各国との連携です。アジアの中にもネットを自由に放置しておいていいはずがないという意見はあります。中国の議論に乗ってしまう可能性もあるわけですが、日本の役割は何かをしなくてはならないとしても、政府が直接手を下すことがいいのかを問うことです。

産業界を通じたり、自主規制のための仕組みを作ったりして、政府が言論統制に手を突っ込む形にならないようにすべきだということを主張するのが1つの考え方です。ネットは民間主導で自由な世界だったからここまで発展したと説明するということもあるでしょうね。
(略)
仲矢:日本で生活している人たちには直接的な影響はないと思いますが、グローバルに展開している企業などは無関係ではないでしょうね。現に一部の国はネットを遮断するなどの動きをしていますから、こうした行動がほかの国にも広まってしまう恐れがあります。
(略)

要するに一部統制国家からすれば「アラブの春」に象徴されるようにネットによって国民のパワーが政府のコントロールを外れて「暴走」することは避けたいわけですが、注意すべきなのは日本を始め先進国でネット規制を云々している一派というものはもちろん存在するものの、彼らとて「政府に都合の悪い話がネット上に流れないよう監視する」式のネット規制を求めているわけではないだろうと言うことです。
むしろそうした草の根の議論に関してネットの力を認め、それが正しい民主主義の発展において非常に有力なツールになり得るという認識を共有しているのだとすれば、一見同じような言葉でくくられてしまいがちなネット規制ということに関しても所属する母体によって全く異なった文脈で用いられているんじゃないかということですよね。
そもそもどんな専政国家においても「お上の目の届かないところでお上の悪口を言う自由」は保証されていた、なんて話もあるくらいですが、電話からネットへと技術が進歩するにつれて各個人の日常により深く関わってきていることが明らかである以上、例えば将来的に各個人がウェアラブルコンピュータを装備するような社会にでもなればネット規制すなわち思想統制と同義になるとも言えるわけです(スマホの普及ですでに似たような状況になっていますが)。
「ネット上で他人の悪口を言ってる人がいます。いけないことですよね?」なんて言葉に乗せられてうっかり規制賛成派に与するようなことがあれば、気がつけば常時誰かに言動を監視され言いたいことも言えないどこかの国のようになってしまうかも知れないということでもありますよね。

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2013年4月26日 (金)

いささか季節外れなインフルエンザワクチンの話ですが

中国では鳥インフルエンザ騒動が大変なことになっているようですが、幸いインフルエンザのシーズンが終わりつつあることから本格的な大騒ぎは今冬以降に持ち越しということになりそうですね。
日本でも当然慎重な対策が求められるのは当然なんですが、インフルエンザの予防ということに関して季節性のインフルエンザについてのことですが、やはり予防接種はやった方がやらないよりも罹患率は下がるという調査結果が出たそうです。

ワクチン接種の病院職員、非接種者に比べ罹患率は有意に低く(2013年4月8日日経メディカル)

 インフルエンザワクチンを接種した病院職員と接種しなかった職員を比べたところ、接種者でインフルエンザの罹患率が有意に低かったことが示された。聖マリアンナ医科大学病院感染制御部の三田由美子氏らが、第28回日本環境感染学会総会(3月1~2日、開催地:横浜市)で報告した。

 聖マリアンナ医科大学病院では、毎年10~11月に全職員を対象にインフルエンザワクチン接種を行っている。また、例年、インフルエンザ流行時期の終了時に、全職員を対象にアンケート調査を実施。接種時期、接種場所、未接種の場合の理由、インフルエンザ罹患の有無などを把握している。

 2011年度のアンケート結果によると、2252人が調査に回答。接種したと回答したのは1941人で、接種率は89.3%だった。接種率の推移をみると、2006年度以降、75.8%、82.8%、90.2%と連続で上昇し、新型インフルエンザが発生した2009年度は94.5%に達した。翌2010年度は86.3%に低下、今回報告の2011年度は上昇に転じた。

 接種率を職種別にみると、医師が72.5%、事務部が81.7%と低かった。一方、薬剤師が96.9%で最も高く、リハビリテーション部が96.2%、臨床工学士が95.5%、臨床検査技師が94.4%、看護師が91.8%で続いた。

 ワクチンを接種した場所は、同病院が83%と高く、他施設が11%だった。医師の場合は、外勤先などでの接種も多く、同病院での接種率は50.9%と低かった。

 調査では接種しなかった理由も明らかにしているが、「罹患したことがない・罹患しない」が15件(20.5%)、「体調が悪かった」も15件(20.5%)と多かった。「時間がとれない」も12件(16.4%)と目立っていた。

 インフルエンザの罹患率は、全体で6.5%だった。前年度は4.9%であり、2011年度は上昇していた。

 ワクチン接種の有無とインフルエンザ罹患率を検討したところ、接種者の罹患率は5.9%、非接種者の罹患率は11.2%で、接種者のほうが有意に低いという結果だった(P=0.00271)。

 演者らは職種間で接種率に差があったことから、今後は接種率の低かった職種・部署における対策を強化する必要があると指摘した。

ワクチンと言えばかねてマスコミなどからは「予防接種による副作用渦!悲惨な人災をこれ以上許すな!」などと散々にバッシングされた結果日本は世界に冠たる予防接種後進国となってしまった現状があって、例えば「はしか輸出大国」として日本からの旅行者が入国禁止にされたりといった事例もあるわけですが、そろそろ冷静に損得勘定を行っていくべき時期なのだと思いますね。
今回の調査では医療機関職員を対象にするということで、平素からの予防意識や患者との接触頻度によって罹患率も差が出るんじゃないかと思いますし、そもそも医療専門職でありながら「罹患したことがない」からと予防接種を受けないような人はどうなのか、あるいは非接種者が高いと言っても罹患率はせいぜい1割じゃないかとか、様々にバイアス等も含まれていそうなニュースではあります。
ただ仮に鳥インフルエンザの大流行が発生した場合に医療機関は患者の殺到でパニックになると予想されますから、その時スタッフの5%が休んでいるのと10%が休んでいるのでは大変さも違うだろうと言うもので、少なくとも医療職従事者においては職業的義務を果たすという上でもインフルエンザに限らず予防できるものは予防しておくことが望ましいのではないかと思います。

マスコミの攻撃によってすっかり衰退してしまった学童の集団接種なども欠席率や学級閉鎖を減らすのに有効であったという報告が以前に出ていましたが、インフルエンザなどは副作用もそうそうひどいことはないし効果が期待出来るのであれば打っておこうかと考える人も少なくないとは思うのですが、そうなるとやはり気になってくるのは注射の痛さ(苦笑)と共に価格ですよね。
予防接種は保険診療に含まれていない関係で自費での診療になるということで、この価格が各施設でてんでバラバラになっていることから誰しも「同じ薬なのに何故こんなに値段が違うんだ?」と思ったことはあると思いますが、基本的には安くしている施設は客寄せ効果を狙って、高くしている施設は出来れば他所で受けて欲しいという気持ちがあると考えていいんじゃないかと思います。
デフレ時代にあって薄利多売でもとにかく売り上げを伸ばさなければと躍起になっている他業界の人にすれば何それ?というものでしょうが、特に大きな基幹病院などはそうでなくとも重症患者多数が集中してどこもオーバーワークですから、予防注射などどこででも受けられる簡単なことであればご近所のクリニックに行ってくださいと言うことですよね。
ただそうした顧客誘導もあくまで自由な需給バランスによって価格を主体的に決められるという前提があって成り立つ話であって、これがどこかの誰かがありもしないはずの「公定価格」を決めていたということになれば話が違ってくるのは当然です。

インフル予防接種の価格協定で公取委が立ち入り検査(2013年4月24日日経メディカル)

 公正取引委員会は4月23日、インフルエンザの予防接種費用を医師会が決定し、会員にも従わせていた可能性があるとして、埼玉の吉川松伏医師会に立ち入り検査を行った。同医師会は、成人の接種費用を「4450円以上」、小児では「初回は3700円以上」と設定していた疑いが持たれている。公取委は「本来は自由に設定できる価格を強制することで、人為的に競争を妨げており、独占禁止法に抵触している可能性がある」と指摘する。

 吉川松伏医師会に近い関係者は、「接種費用は会員に通知していたが、あくまでも推奨価格という位置付けだった。強制はしておらず、それ以下の価格にしているという理由でペナルティを課したこともない」と説明する。また、「来シーズン以降どうするかは未定」(同)という。

 公取委は今後、調査により具体的な違反を認定した際には、詳細を報告するとともに、改善を求めるという。

 インフルエンザの予防接種の価格設定をめぐっては、四日市医師会が価格の下限を指定し、独禁法に違反したとして2004年に公取委から排除勧告を受けている。

接種料金ファクスで指示か 埼玉の医師会カルテル事件(2013年4月24日日本経済新聞)

 埼玉県吉川市の吉川松伏医師会によるインフルエンザ予防接種料金を巡るカルテル疑惑で、同医師会が接種料金を「4450円以上」などと明示した文書をファクスで会員に送っていたとみられることが23日、医師会関係者などへの取材で分かった。公正取引委員会は同日、医師会幹部が経営する病院を訪れてこの幹部から事情を聴いており、詳しい経緯を調べる。

 関係者によると、同医師会はインフルエンザの予防接種の料金を「4450円以上」、13歳未満の子供は「初回3700円以上」と決めて会員の医師に連絡。各医療機関に接種料金を守らせていたとみられる。

 65歳未満のインフルエンザ接種料金は医療機関が自由に設定できる。厚生労働省は2009年に新型インフルエンザの流行を受けて料金を全国一律で3600円に決めたことがあるが、10年9月に解除。同医師会はその後も会員に料金を指示し続けていたという。

 同医師会の会員だった吉川市内の産婦人科医院によると、11年と12年の9月中旬ごろ、医師会から接種料金を明記したファクスが届いたという。

 この医院は指示より低い「初回3000円」で料金を設定したところ、医師会側から「理事会で決めている」と是正を求められ、12年9月末に医師会を除名された。同医院の副院長は「吉川市内の料金が高いので、子供の予防接種のために周辺都市に出かける親もいる。受診者のためにも自由に料金を決めるべきだ」と話した。

 吉川松伏医師会の平井真実会長の話 「推奨価格」として会員にファクスを送ったことはあるが、強要はしていない。独占禁止法違反に当たるとの認識はなかった

10年前から価格決定か…予防接種カルテル疑惑(2013年4月24日読売新聞)

 インフルエンザの予防接種の料金を巡り、吉川松伏医師会(埼玉県吉川市、松伏町)が最低額を決めていたとされるカルテル疑惑で、最低額は、少なくとも約10年前から医師会幹部らが毎年決めていた疑いがあることが関係者の話で分かった。

 公取委が23日に独占禁止法違反(事業者団体による競争制限)の疑いで立ち入り検査に入った同医師会では、インフルエンザ予防接種の料金について、幹部らが医師会の会合などで最低額を決めた疑いがある。同日午後には、医師会幹部が所属する医療機関など数か所を審査官が訪れ、会員に送付した通知書などを提供するよう求めた。

 通知書を受け取っていたという医療関係者によると、文書は毎年、予防接種の時期に合わせて医師会名で各医療機関に送付された。

 約10年前、複数の医療機関が接種の料金を通知より安く設定したところ、医師会から最低額に戻すよう、すぐに連絡が入ったという。この関係者によると、最近も料金を守るよう厳しく言われていたという。別の関係者は「やってはいけないという認識はあったが、医師会は互助的な組織で、自分のところだけ勝手なことはできないと思った」と説明した。

 同医師会の平井真実会長は「(医師会の)会合で、価格について、推奨価格としてみてはどうかと話したことはあるが、この目安から上に設定するか、下に設定するかは会員が決めること。今どき強制は出来ない」と話している。

どこから読んでもさすが医師会ハンパねえという話なんですが、そもそも予防接種の価格などは薬剤原価(これはほぼ各施設大差ないはずです)に施設毎の人件費を加え、それに対して前述のような意図的価格調整を行った上で決められるべきものであって、ワクチンメーカーが「メーカー希望小売価格」を表示するくらいならともかく、全く価格決定の過程に無関係の医師会風情が口を出してくるべき問題ではないはずです。
しかも当該地域での元々の相場観がどれくらいであったのかが判りませんが、全国的な価格を考えれば非常に割高な価格設定ですから地域内でカルテルを結成して不当に価格をつり上げていると公取に判断されても仕方がないですし、そもそも医師会が口を出す筋合いのないもので除名処分までしておいて「強制はしていない」もなにもないものです。
敢えて好意的に想像するに接種希望者数が少ない零細施設にも配慮すると言った名目で、本来1管から2人分取れるワクチンを1人分だけ使っても元が取れるように(その日のうちに2人目がこなければ半分は破棄しなければならないのですから、接種者が少ないほど無駄な原価がかさむ理屈です)この値段を提示したのかとも思うのですが、よくも今時こんな話が10年も続いていたなと逆に感心しますね。
同医師会には粛々と罪を償っていただくしかないかなと思いますが、こういうことがある以上利用者の方々も予防接種の値段は各施設の判断で決められていて定価などないのだという事実を再認識していただくと同時に、敢えて値段を高く設定している施設を見れば「高いじゃないか!」と文句を言うよりも、なるほどここは大勢に来てもらいたくないのだな…と黙って察していただければ双方がより幸せになれるんじゃないかと思います。

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2013年4月25日 (木)

医学教育が大いに変わる?

日本とアメリカとでは医学教育のカリキュラムもずいぶんと異なることは言うまでもありませんが、その背景にはもちろん学問的な重点の置き方に対する考えの違いというものもあって、例えば一昔前の日本では学生時代は遊んでいろ、教育は研修医時代からという考え方も結構あったものです。
その背景には国土の広大なアメリカと違って狭い地域に複数診療科が近接して存在する日本では、医者は自分の専門領域だけをやっていれば許されていたと言うこともあったと思いますが、近年では日本の医学教育もローテート必須になり学部教育も年々高度なものになっていっているのは必然なのでしょうね。
その一方で単なる学問としての違いというだけではなく国民意識の違いも背景にあるようで、例えば先日米国での医学教育に関わるこんな記事が出ていましたが、日本であればかなり議論を呼びそうな内容ではないでしょうか?

《119》 米国のある医療倫理に関する模擬問題(2013年4月23日朝日新聞)

 さてここで皆さんにクイズを出題しましょう。アメリカの医師国家試験(アメリカでは州単位なので厳密にいえば州の資格試験)において出題された医療倫理に関する模擬問題です。正解が1つありますので、a~eの中から正解を選んでみて下さい(樋口範雄:終末期医療と法の考え方. 老年精神医学雑誌 Vol.24 増刊号-Ⅰ 139-143 2013)。

     84歳の女性が腹痛で入院した。入院2日目に彼女は、腸穿孔による熱、重度の低血圧、頻脈状態になった。患者は、自分の病状を理解する能力のまったくない状態であった。その後48時間にわたって抗生物質、水分、ドーパミンを投与したが、効果はなく、重度の無酸素性脳症の徴候がみられた。医療代理人(healthcare proxy)は指名されていなかったが、患者が自分で話すことができたならば自身のために希望したであろうことについて、家族間で一致した合意があった。家族の指示により止めることができないものは、以下のうちのいずれか。

     a. 人工呼吸器
     b. 血液検査
     c. ドーパミン
     d. 水分および栄養補給
     e. なにもない(つまり、すべて中止することができる)

 東京大学大学院法学政治学研究科の樋口範雄教授がこの問題の正解について端的に解説しておりますので以下にご紹介しましょう(樋口範雄:終末期医療と法の考え方. 老年精神医学雑誌 Vol.24 増刊号-Ⅰ 139-143 2013)。

     「正解は最後のeである。そこには『困惑』はない。明らかな医療倫理上の正解が存在すると考えられている。もちろんそこに法の出番はない。裁判所に行く必要もなければ、水分や人工呼吸器を外したことで警察が介入することもない

     なぜか。それは、患者サイドでは終末期医療における『自己決定』を尊重することがまさに医療倫理と考えられていること、さらに、医療サイドでは、無理な延命は、医療倫理に反することであり、医療にも一定の限界がある(それを越えた医療はfutility=無益)と考えられているからである。」

 自己決定が最優先されることに関しては、「ひょっとして認知症? Part1─改めて尊厳死、平穏死を考える(第325~337回)」において詳しくお話しました。リンク先のファイルの冒頭に記載しておりますように、「自己決定権の尊重という、医療倫理上もっとも重要な原則に照らす限り、患者本人の意思が明瞭に示されている場合に延命治療の中止を認めるかどうかが議論の対象となることはありえない。議論の対象になるとすれば、それは、昏睡患者などで、患者本人に意思を表明することができない場合だが、その場合でも、米国の判例は『昏睡患者などで本人に意思を表明することができない状況においても、その自己決定権の行使を保証する』という立場をとり、近しい家族による本人の意思の推定を、きわめて合理的な手段として受け入れている。」のが米国の現状でしたね。

 一方で、筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達科学の飯島節教授は、自己決定原則の限界についても言及しておりますので以下にご紹介します(飯島 節:高齢者医療に必要な法律的知識. 2013.3.23付日本医事新報No.4639 42-45)。

     「いずれのガイドラインにおいても、それが現在のものであるか病前のものであるかにかかわらず、患者自身の自己決定を最優先している。しかし、和を尊び自己主張を抑制することを美徳とする我が国の高齢者には、自己決定を避けて、信頼できる誰かに決定を委ねようとする傾向もある。米国においても、ほとんどの患者は自己決定権を行使したいとは思っていないという指摘もあり、自己決定に頼りすぎることの弊害も説かれている(マーシャ・ギャリソン:ケース・スタディ生命倫理と法 第2版, 樋口範雄 編著, 有斐閣, 2012, p377)。」

腸穿孔と診断のついたショック状態の患者を48時間も保存的治療だけで経過観察という時点でそもそも消極的安楽死も同然ではないかという意見もありそうな症例なのですが、要するに回復の見込みもないどころか近い将来永眠するだろうことが確実視されている患者の終末期問題という普遍的なテーマであるということですね。
日本においてもこのところ終末期のガイドラインが次第に整備されつつあり、きちんとした手順を踏めばa~dのいずれも中止できるという制度にはなってきていますけれども、例えば救急医療の終末期ガイドラインなども複数の医師が終末期であると客観的に診断した上で、繰り返し家族の意志も確認しながら慎重な対応を行うよう求めていて、家族が求めたから即中止可能とまでドライなものにはなり切れていません。
また記事にもありますように日本の場合は特に家族そのものの意志も曖昧な場合が多く、リスクを恐れる医師の側にしても多くは無理押しをするつもりもありませんから医療費自己負担が安いということもあり、どう見ても回復の見込みのない終末期患者に巨額の医療費が漫然とつぎ込まれていくということが少なからずあるわけですね。

終末期医療に関してはもちろん民族の文化や各個人、家庭での考え方の差異が大きく、どれが正解でどれが間違いだという話でもありませんけれども、いずれにしても一事が万事で現代医療と言う日常的に多国間でエヴィデンスを共有し進歩してきた領域においても、これだけ圧倒的な文化格差が存在するということは非常に重要なことだと思います。
もともと医療制度は国単位で行われているものですから、別に国毎にどんな医療観があっても問題なかったと言えばなかったのですが、どうもこれからの時代はそうも言っていられないらしいと言う話が先日日経メディカルに掲載されていました。

日本の医学教育に“黒船”襲来(2013年4月23日日経メディカル)より抜粋

(略)
 ことの発端は2010年9月。米国外で医学教育を受け、米国での臨床研修を希望する医師の臨床研修資格を認証するECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)が、「2023年以降は、国際的に認められた認証評価を受けた医学部の卒業生のみを認証する」と通告したことに始まる。この背景には、アジアや中東、中南米で医科大学の新設が相次ぎ、その卒業生が米国に多数流入したため、それらの医師の質の担保が必要となった事情がある。

 この通告によって、日本の医学部を卒業した医師も、このままでは2023年以降、米国の臨床研修資格を得られなくなるという事態に陥ってしまった。そのため、文部科学省と全国医学部長病院長会議は、日本にも医学教育の認証機関を設置し、国際的に同機関を認められるよう働きかけることを決定。2012年度の文科省の先導的大学改革推進委託事業(GP)で、認証機関となるJACME(日本医学教育認証評価評議会;Japan Accreditation Council for Medical Education)を立ち上げた。認証は各大学の自己点検評価と、JACMEから派遣された評価者による実地評価とで行われる(図1)。今年度は、試行的に東京医科歯科大と新潟大、東京慈恵医大の3校で評価を行い、ECFMGが期限とする2023年度までに希望する全医学部の認証を行う予定だ。
(略)
 現在作成中の評価基準について、日本医学教育学会認証制度委員会で委員長を務める北村氏は、「多くの医学部は現在のカリキュラムの組み直しで認証を受けられるはずだ。不適格にはならないだろう」と話す。もちろん、形だけの評価制度になるというわけではない。「『最終的にどのような医師を育成するか』というアウトカムを重視するのが、現在の国際標準。『何を教えるか』というプロセスを重視してきた日本の医学教育は、組み直すのに苦労するのではないか」と北村氏は予測する。

 例えば、WFMEの評価基準の冒頭、「医科大学の使命と目標」の領域の基本的水準では、「医科大学・医学部は自己の使命を定め、大学の構成者ならびに医療と保健に関わる分野の関係者に理解を得なくてはならない」とされている。いわば、医学部としての“ミッション”を示すことが求められているわけだ。だが、「創立者の理念が強く反映される私立大学はともかく、地方の国立大学では、『何のために、どのような医師を育てるのか』を明示できない医学部がほとんどのはずだ」と北村氏。カリキュラムや入試方法も当然、その“ミッション”を達成するための方策として位置付ける必要がある。

 臨床実習も問題だ。日本における臨床実習の期間は平均48週。だが、米国では一部の州で72週以上の実習期間が義務付けられているほどで、日本は国際標準と比較して短い。72週が必達目標とはならなくても、現在よりも長い実習期間が求められることは間違いない

 期間だけでなく、質も問題だ。文科省GPの担当責任者で、東京女子医大の外部評価(次ページ別掲記事参照)に評価員として携わった東京医科歯科大医歯学教育システム研究センター長の奈良信雄氏は、「女子医大の評価の際、海外の評価者からは『1週間ごとに全診療科をまわる日本のスタイルでは深い実習ができない』との指摘があった。見学ではなく診療参加型の臨床実習へと変える必要もある」と指摘する。当然、大学教員の負担は重くならざるを得ない

 しかも、これらの評価基準に基づく評価結果はJACMEのWebサイト上で公開され、改善計画の提出も求められる。
(略)
 例えば、医学部の臨床実習の充実は、認証評価と関係なく以前から課題とされてきた。奈良氏は以前、ある大学の教授から「教員も施設も十分でなく、臨床実習の充実は難しい」と打ち明けられたことがある。だがその大学ではその後、学生が臨床実習の充実を強く要求し、臨床実習の見直しに向けて動かざるを得なくなったという。また、「認証の際に評価結果が公表されるため、認証は優秀な学生を集めるツールにもなる。大学としては認証評価制度に参加せざるを得ないだろう」と奈良氏は話す。

 いずれにしても今年度、医学教育の認証制度が立ち上がり、来年度以降多くの医学部で受審が行われるのは間違いない。臨床、研究、教育の3つの役割を求められている医学部教員は今後、教育にこれまで以上の比重をかけざるを得なくなりそうだ
(略)

しかしこの話、直接的にはTPPとは全く無関係に出てきた話なんですが、教育の世界でも国境を越えて世界標準化が求められるようになってくると国内専用のシステムは全く組み替えていかなければならなくなるというのは、全くもって示唆的な話という気がしてこないでしょうか。
アメリカの教育システムが最良と言うわけではもちろんなく、特に向こうは日本と違って学士レベルから教育がスタートするのですから目的意識も教育密度も違うのは当然なんですが、ともかく現代医学がアメリカという世界最大の医療市場を中心にして動いている以上は、そこでの基準がデファクトスタンダードになっていくのは仕方がありません。
もちろん日本の医学教育は数々の問題を抱えていることは全くの事実で、特に教育者としての教官の技量や経験を全く評価するシステムが存在しないまま研究者としての業績を上げたものが漫然と教育者としての権力も掌握していくというのは、決して日本だけの問題でもないでしょうが医学教育の質的担保という意味ではよろしくないとしか言えませんよね。
本当であれば講師、助教クラスで教育能力の高いスタッフを抱えてきちんとしたプロフェッショナルな教育を受けられるようにするのがいいのかも知れませんが、毎週入れ替わりでやってくる学生達のためにそこまで自分の人生を捧げる気になる人がどれだけいるかと考えると、やはりどうしても本業の片手間にということが増えてしまうのは仕方がないのかも知れません。

特に記事を見ていても強調されているのが、医学に限らず日本の教育現場で重視されがちな「何をどのように」という方法論ではなくて、その結果をもって評価されるという点ですが、それこそ医師たる者点滴採血は言うに及ばず通常分娩くらいは扱えなければ駄目だ、なんてことにでもなってくれば教育課程の大改革は言うに及ばず、そうした実習を可能にする法体系の整備も必要になってくるはずですよね。
医学よりも実学寄りな看護学の方でも「いかにして手技の能力を担保するか」ということは長年の課題で、かつては法的にはともかく学生同士であれやこれやの「実習」をしていたという話も聞きますが、さすがに医師に求められる高度侵襲的処置はおいそれとはやれませんから、これからはすでに導入が進んできている医療実習用ダミーを使っての実習も単に「やったことがあります」レベル以上の習熟を求められるようになるのでしょうか。
もちろんこれが世界標準ですと言われれば横並び意識の強い日本のことですからどこの大学もカリキュラムの改正をし道具もそろえるのでしょうが、それに対して本業が他にある教官達の教育時間の捻出がきちんと行えるかどうかの方が問題で、せっかく機材はそろえても指導医もいない部屋で学生達がダミー人形を相手に黙々と自習を繰り返しているだけなら何の為の教育改革かということになりかねませんよね。

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2013年4月24日 (水)

社会保障会議が役立たずだと評判に?

4月22日に第10回の社会保障制度改革国民会議が開催されましたが、かねて医療報道に強いと自負しているという読売新聞からこんな社説が出ています。

【社説】社会保障会議 「節度ある医療」へ議論深めよ(2013年4月23日読売新聞)

 超高齢社会を迎える中で、急増する医療・介護費用の伸びを抑え、信頼される社会保障制度を築くことが急務である。
 その方策を議論している政府の社会保障制度改革国民会議が、医療・介護について改革の論点をまとめた。
 限りある医療の設備や人材について「国民の財産」と位置付け、適正利用の重要性を強調した。持続可能な医療・介護制度を構築する上で適切な指摘である。

 ポイントは、国民会議が「必要な時に適切な医療を適切な場所で、最小の費用で受ける」医療への転換を打ち出したことだ。
 日本の医療は、患者側が費用の心配をせずに、いつでも、どの医療機関にもかかれる「フリーアクセス」を特徴としている。
 その結果、軽い風邪でも大学病院にかかるなど、無秩序とも言える受診を招いた。これが医師の過重労働にもつながっている。
 こうした状況の改善策として、国民会議では、紹介状を持たずに大病院を受診する場合、診察料に加え、1万円程度の保険外の負担を求めるとの案が示された。自己負担を大幅に引き上げるものだ。検討に値するのではないか。

 国民会議が示した論点のうち、実現を急ぐべきなのは、価格の安いジェネリック医薬品(後発品)の普及である。
 米国、イギリス、ドイツでは、処方薬のうち後発品が占める割合が6~7割に上る。これに対し、日本は4割にとどまる。
 後発品の品質は向上しているが、医師の間では、その効能を疑問視する風潮が根強いことも背景にあるだろう。後発品の価格は先発品の2~7割で、普及が進めば医療費の削減につながる
 現在は医療機関の裁量に任されている医薬品の処方について、厚生労働省は後発品の使用を原則とする仕組みを検討すべきだ。

 国民会議は、「病院で治す」医療から「地域全体で治し、支える」医療への転換をうたい、在宅医療・介護の充実も求めた。
 国民健康保険については、運営主体を現在の市町村から都道府県に広域化する方向で一致した。財政事情が悪化し、保険料が高騰している市町村もあることを踏まえた問題提起だ。
 ただ、こうした施策を実現するには様々な角度からの議論が必要だ。国民会議は、社会保障と税の一体改革関連法により、8月までに議論をまとめることになっている。優先順位を決め、実効性ある結論を得ることが肝要である。

この国民会議を巡っては現行の社会補償制度に危機感を抱える各方面から「存在感が薄すぎる!一体何をやっているのか!」と叱責の声が上がっているようですが、何しろ高齢者窓口負担の優遇措置是正も一向に進まないことにも見て取れるように、こうした問題は関係者各位が既得権益を主張してまとまるものもまとまる気配がないという状況が続いています。
特に今回は日医などが断固死守を表明してきたフリーアクセスの原則にも踏み込んできたということで、考えて見れば医療機関各々が診療内容やレベルに違いがあるということは当たり前の話なんですが、国民皆保険制度下で全国どこでも同一価格同一内容の医療を受けられますというタテマエになっている日本においては「風邪で大学病院を受診して何が悪いのか?」と言われれば答えに窮したのも事実です。
今まで病院側の自主的決定に委ねられていた選定療養費加算については5000円程度が多かったようで、時間外救急が2割程度減る一方で入院患者数はほとんど差が見られなかったと言いますから軽症者のコンビニ受診抑制効果はあったと見るべきですが、1万円という診察費と比べても割高な加算によってこの辺りの受診行動がどう変化するかです。
軽症者は医療機関そのものの知識が無く見た目に目立つ大病院に集まってくるケースも多いでしょうから、大病院では窓口以前に電話なりインターホンなりでまず相談を受付るところから始めて、場合によっては適切な施設を紹介するといった振り分け機能も発揮出来るようになれば、比較的悪意のないコンビニ受診者対策として一定の効果はあるんじゃないかという気もします。

ジェネリックに関しては国が本気で同じ成分で同じ効果だと主張する気なのだとすれば、例えばジェネリックが出た時点で先発品も後発品も全部同じ価格に統一すれば「後発品は効かない」という医師にも、「後発品使用で医療費削減を」という財務省にも、そして「何か知らないけれども高い方が効きそうだ」と漠然と盲信している一部患者にもいずれも損のない話ですが、そういう話は出てきません。
ひとたび決めた薬価を引き下げることは沽券に関わるとでも考えているのかも知れませんが、長年同じ薬剤を作ってきた先発品メーカーであれば新規に製造を開始する後発品メーカーよりも低コストで製造できるだろうと考えられるわけですから、価格差を認めているということは公に薬効なりその他の部分で両者に違いがあると認めていることにも等しいんじゃないかという気がします。
先発品のメリットの一つに儲からないからといきなり製造をやめて撤退するということがないといった話もありますが、本当に先発品が高いことが問題であるなら承認後の年数に応じて徐々に薬価を切り下げていくことで対応すべきで、儲かるほど数が出るかどうかも判らない後発品をどんどん承認して経営的に不安定な製薬会社を増やすことが本当に良いことなのか疑問に感じます。

在宅医療推進に関しては先日の中医協でも改めて確認された「国策」ですが、実際には多くの家庭で希望してはいても実際には在宅での看取りは無理だと答えるなど、核家族化どころか生涯独身化に加えて既婚者も共働きが当たり前になっている現代の家庭の実情と全く合致していない斜め上方向への妄想と言うべきでしょうね。
各種在宅サービスの充実ばかりでこうした社会構造の変化には一向に目を向けていないように見えることが気がかりなのですが、子供夫婦のうち一人が働き一人が介護というスタイルが経済的に成立しない状況なのですからサービスなどいくら充実されても利用できるはずもなく、本気でやる気であれば在宅推進で減った国の負担を介護当事者にきちんと還元し手当を支給するなり遺産相続で優遇するなり、ともかく「親を看取れば見返りがある」という担保が必要でしょう。
そもそも経済効率を求めるのであれば素人が各家庭バラバラに見よう見まねで介護をするよりも、一カ所に大勢集めてプロが交代勤務でやった方がはるかに効率も質も高くなるというもので、ましてや産業化することが経済活性化にもつながるのですから昨今話題の中高年リストラや生保受給者の増加への対策と併せて、介護業界にどう人を呼び込むかを議論するのが本筋だと思います。
激務で安月給だから人が集まらないというのであれば、真っ先に安月給を解消して人が集まるようになれば自然激務も解消されていくというもので、医療介護領域を儲けも期待出来ない安い公定価格でやらせている国にはそうした部分を是正していく責任もまたあるだろうことは言うまでもありませんよね。

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2013年4月23日 (火)

医療事故調、ついに臨時国会へ

長年議論が続いてきた医療事故調ですが、とうとう今年の臨時国会に提出されることになりそうです。

医療事故調関連法案、臨時国会に提出へ-モデル事業を念頭に制度設計(2013年4月18日CBニュース)

 厚生労働省は、医療事故調査制度を整備するための医療法改正案を、秋にも開かれる予定の臨時国会に提出する方針だ。医療事故調については、同省の「医療事故に係る仕組み等のあり方に関する検討部会」で議論されており、同省のモデル事業を引き継いでいる日本医療安全調査機構の仕組みをベースに、新たな制度を構築する考えだ。制度設計を急ぎ、制度の運営費や医療機関を財政支援する費用などは、来年度予算の概算要求に計上する。

 厚労省の検討部会は医療事故調について、院内事故調と院外の第三者機関の二層構造にすることで、ほぼ一致。同省は、医療法が医療機関の安全管理体制などを規定しているため、同法改正で制度全体の枠組みを整備することにした。院内での事故調査の手順や、第三者機関への届け出の方法については、同省のガイドラインで定める。医療法改正案にはこのほか、病床機能情報の報告制度も盛り込まれる。

 18日に開催された検討部会では、診療行為に関連した死亡事例はまず、医療機関が院内で原因究明し、遺族などがその調査結果に納得できない場合、院外に再調査を申請できる仕組みにすることを確認した。ただ、遺族などが医療機関に不信感を持ち、院内での調査を望まないケースでは直接、院外に調査を依頼できる仕組みも選択肢として残した。医療機関は、再発防止につなげるために、調査結果を第三者機関に届け出ることになる。

 また制度の運営費については、第三者機関に調査を申請する医療機関や遺族などに負担を求める意見が大勢だったが、遺族などに過度の負担を強いることにより、医療の質向上につなげる原因究明を抑制する恐れがあるため、国が一定程度は補助すべきとの意見が聞かれた。

 一方で、医療界代表の委員からは、院内事故調メンバーは医療専門職で構成すべきとの意見が根強い半面、法曹界代表は、透明性や公平性を確保するためにも医療専門職以外の第三者を一定割合で参加させるよう求めているほか、民間組織にする第三者機関の業務範囲について意見が統一されていないため、今後の議論はなお、曲折が予想される。【君塚靖】

しかしつい一ヶ月ほど前には一体いつまで代わり映えのしない議論が続くのだろうかと言った感じでしたが、とかく前回も書きましたように弁護側の意見通りにやっていたのではおそらく現場は大変なことになるという危機感を医療側の医院の多くが共有している中で、とりあえずの形ででも見切り発車させることに意義を見いだしたということなのでしょう。
まず最初の調査を誰が行うのかということに関しては医療機関の院内調査が先行されることに落ち着いたようですが、患者側の要望によっては最初から第三者への調査もありと、この辺りは議論が錯綜した部分だけに両論併記とも玉虫色とも言い難い妥協点を探してきた感じでしょうか。
記事を見ているだけでもじつは細部が全く煮詰まっていないらしいので、今後どうやって法律上の文言に落とし込んでいくのかと心配になってきますが、特に議論が分かれそうな部分として例えば費用負担の問題があります。

医療事故調:調査費の遺族負担検討 厚労省(2013年04月18日毎日新聞)

 医療事故の原因を究明し再発防止を図る「医療事故調査機関」の新設を目指す厚生労働省が、死亡事故の遺族が事故調に調査を依頼した際、一定の負担金を支払わせることを検討していることが18日、分かった。

 事故調査の制度設計を検討する有識者会議で報告された。厚労省は「調査依頼者が費用を一部負担するのは当然」と説明するが、有識者からは「負担金を払えず泣き寝入りする遺族も現れかねない」などと懸念する声が相次いだ。

 厚労省は18日の有識者会議で、死亡事例について医療機関がまず院内調査をし、結果を民間の第三者機関である医療事故調に報告▽調査結果に遺族が納得できない場合、事故調が調査▽事故調から警察への通知はしない−−などの案を示し、大筋了承された。

 厚労省は案の中で、事故調の調査費について、国の補助金や医療関係団体の負担金を充てるのに加え「遺族の申請に基づき調査を行うため、遺族にも一定の負担を求める」と提案。これに対し、出席した加藤良夫・南山大法科大学院教授は「医療の向上に貢献すると考え調査するのに、遺族に費用を負担させるのは制度の理念に合わない」と指摘。医療事故で5歳の長男を亡くした豊田郁子さん(45)は「負担金が出せないために遺族が依頼できず、問題が調査されずに素通りになる恐れがある」と訴えた。

 厚労省側は「低所得者にも配慮した金額にする」と説明し、5月下旬の次回会議で詳細な負担金の額を示して新制度の骨子案をまとめる方針。

 再発防止を目的とした事故調査機関では、航空や鉄道、船舶の事故を調査する国土交通省運輸安全委員会や、製品事故などを調べる消費者安全調査委員会がある。いずれも被害者や遺族に調査の負担金は発生しない。【桐野耕一】

もちろんお金がかかると言われれば調査依頼を躊躇するという意見ももっともなのですが、前回にも懸念されたように現行のまま制度化されてしまうと調査依頼が殺到して大変なことになりかねない中で、特に事件性もないような症例までも「せっかくだから調べてもらおう」と安易に考えていただかないためにも何らかの歯止めになる措置はあった方がいいだろうなとは思います。
見ていておもしろいのは同じように何でもかんでも依頼が殺到して大変なことになっている救急搬送などでは「重症者が躊躇するかも知れない」と搬送有料化に反対する声が医療側にも根強くあるのですが、今回の場合はそうした声は聞こえないように見えるということで、もちろん考え方は様々なのでしょうがやはり医療とは生きている人間を相手にした商売なのだなと妙なところで感心してしまいました。
実際のところは他の業界での事故調においてはこうした費用負担はないということですから、実際に法案になったころにはなんだかんだで削除されているだろうと思うのですが、鉄道事故調などと違ってこちらは件数がはるかに多い、そして弁護士側委員の言うように疑わしきは調査にという考え方でやられたのでは医療現場は破綻するだろうということだけは念押ししておくべきだと思います。
また医療側に連なる立場の全医連の方からは別な視点で注文がついているようなのですが、これがなかなか興味深い話ですので併せて紹介させていただきましょう。

医療・看護 事故調、医療者の第三者機関申請の仕組みを- 全医連が緊急声明(2013年4月22日CBニュース)

 厚生労働省の検討部会が、医療事故調査に関する第三者機関の創設を盛り込ん だ制度の骨子案に大筋で合意したことを受け、全国医師連盟(全医連、中島恒夫 代表理事)は20日、緊急声明を発表した。同案では、院内の委員会での調査を優 先させる方向性が示されているが、全医連側は、医療者個人が院内調査の結論に 不服がある場合、第三者機関に調査を申請できることなどを求めている。
 声明では、院内の事故調査委員会の報告書が発端となり、医師が逮捕されたも のの、最終的に無罪となった2001年の東京女子医科大での医療事故に触れ、院内 で利害関係の対立が生じた場合、公正な調査が行われる保証がないとして、医療 者が院内調査の結論に不服がある時は、第三者機関に事故調査を依頼できる道筋 をつくるべきだとした。
 また、医療事故が発生した際、事故調査が刑事捜査に優先することを法律上で 明記するよう求めるとともに、将来的に、刑法の業務上過失致死罪規定の廃止 や、医療事故を、告訴がなければ公訴が提起できない親告罪化することも要望した。
 さらに、医療者が事故の真相を供述しやすいように、事故調査で得られた資料 のうち、刑事裁判の証拠として使用できるのは、診療録(カルテ)など客観的な 資料のみとし、関係者の証言部分を対象外とするための法改正を行うべきだと主 張した。証拠として採用する余地を残すのであれば、調査対象者の黙秘権を認め なければならないとしている。
 この日、大阪市内で記者会見した中島代表理事は、「正しい調査報告をする上 では、現場でかかわった者の保護を最優先させなければならないと思う。その意 味で、院内事故調査委員会の結論が、果たして十分に機能するのか。すべての病 院でできるわけではないので、制度設計としては、まだ改善の余地がある」と述 べた。

■業務上過失致死傷罪の廃止を
 全医連はまた、同日付で業務上過失致死傷罪の廃止などを求める提言も発表し た。報告者の身分保証などを定めたWHO(世界保健機関)の指針に準拠した事故 調査機構の創設によって、医療事故の真相究明や再発防止が進歩するとして、そ の制度設計のため、業務上過失致死傷罪を廃止する必要性を示している。【敦賀 陽平】

女子医大の件につきましては以前にも取り上げられました通り、現場当事者の利害と組織としての利害とが対立する場合にその一方である組織側の結論だけが公なものとして流通される危険性が顕在化した事件でもあって、極端な話「あの事故は担当医個人が失敗したせいだ」と一人に責任を押しつけてしまえば病院側は賠償責任を免れ得るということも起こる可能性があるわけですね。
また医療に限らず業務上過失致死というものが果たして妥当な刑罰なのかという議論は以前からありますが、特にこうして医療事故調というものが整備される段階となってきますと、「事故を起こした個人の責任追及よりも免責を行ってでも真相追求と再発防止を優先する」という世界的な趨勢との兼ね合いがどうなるかで、日本のようにまず業過容疑で警察が介入するようでは事故調の意義も意味も失われかねません。
他業界との絡みもありますからいきなり刑法改正とはいかないと思いますが、例えば事故調ルートで真相究明が図られる場合には刑法に基づく捜査よりもまずそちらを優先するといった運用規定を設けておかなければ、関係者が当初から黙秘権を貫いて結局誰かを罰するためにしか機能しない名ばかり事故調になってしまうでしょう。
正直どのような制度になっても完璧ということはないでしょうし、まずはやってみなければ問題点も明らかにならないという考え方も確かにありますけれども、そもそも事故調とは何の為に設けるのかという基本を皆が共通理解として持っていないことには全く当初の理念とかけ離れたものになってしまうという危機感はありますね。

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2013年4月22日 (月)

新入生はカルトの毒牙に要注意

この時期各方面で新人が大挙参入してきますが、当然ながらそれを狙った各種勧誘活動も活発化してくるというもので、先日はこんなありがたくない勧誘に注意をという記事が出ていました。

新入生がカルト集団の餌食に…大学や駅で声かけ 予備校生も標的に(2013年4月18日zakzak)

 新学期がスタートし、多くの学生が期待に胸を膨らませて大学の門をくぐった。そんななか、大学関係者が頭を悩ませているのが、新入学生を狙うカルト集団の存在だ。教祖が信者への暴行で逮捕された団体やオウム真理教の後継団体「Aleph(アレフ)」などが手ぐすね引いて待ち受ける。専門家も「最近は手口が巧妙になっている」と警戒心をあらわにしている。

 入学シーズンのこの時期、大学関係者はキャンパス内に紛れ込む侵入者がいないか、目を光らせる。正体を隠しながらカルト団体が学生に近づき言葉巧みに入会させるからだ。
 「洗脳した上で教祖への絶対的な服従を強いたり、お布施の納付や物品の購入を強要したりする。団体運営のために違法行為や反社会的行為を働かせることもいとわないだけに注意が必要だ」 公安関係者はカルト団体の恐ろしさを説く。
 大学関係者によると、トラブルなどの相談が多いのは、教祖が女性信者への暴行容疑で逮捕された韓国発祥のキリスト教系組織「摂理」や霊感商法が問題になった統一教会系の組織で、「『アレフ』も増えている」と指摘する。
 公安調査庁の調査では近年、北海道でアレフが信者数を急増させた。社会を震撼させたオウム事件を知らない若い世代の入信が多く、「ヨガサークルや親睦団体を装って学生を勧誘するケースが目立つ」(先の公安関係者)。

 被害学生を1人でも減らそうと4年前、「全国カルト対策大学ネットワーク」が立ち上がり、現在、全国162校の大学が加盟し、情報交換などを続けている。
 横浜市に学舎を構える横浜国立大学の学生支援課職員は「毎年、勧誘トラブルの報告を受ける。注意喚起するチラシをキャンパス内に張ったり、ガイダンスで気をつけるように呼びかけるなどの対策をとっている」。慶応義塾大学でも、文系学部の1年生が学ぶ横浜市の日吉キャンパスで『偽装勧誘・ダミーサークルに注意!』などの張り紙を掲示。入学手続きの書類にチラシを同封するなどした。
 それでも勧誘・入信をめぐる事件、トラブルは後を絶たない。
 恵泉女学園大の川島堅二学長兼教授(宗教学)は「これまでは、キャンパス内でサークル勧誘に紛れ込むのがポピュラーだったが、最近は見回りが強化されて難しくなった。それで大学の外や最寄り駅などでの声かけが目立っている」と危ぶむ。“危険スポット”はキャンパスから駅前の喫茶店やファストフード店に移り、たむろする大学生を捕まえては「友だちになろう」「一緒にスポーツしよう」などと大学生信者が新入生を誘い出すという。
 「大学受験前の高校生や予備校生もターゲットにされている。見るからに受験勉強している子に『受験勉強もいいけれど、たまには身体を動かした方がいい』などと誘いかける」と川島氏。

 都内に拠点を構えるあるキリスト教系のカルト団体はサークルに化けて勧誘中で、信者獲得のマニュアルを作成。教団関係者は「信者同士で新規信者の獲得数を競わせ、目標に達しなければ木刀でお尻をたたくなどの体罰を与えている」と明かす。
 自分を変えてみたくはありませんか…。こんな誘い文句に安易に乗ると救われるどころか、足をすくわれる。

すでにオウム事件も遠い歴史上の出来事になっているということに歳月の流れを感じますけれども、最近では便所飯などという言葉まであるほど孤独な人々が増えている時代にあって、甘い言葉と共に接近してくる人々には要注意と言ってもどうしても引っかかってしまうものなのでしょうね。
そもそも近頃ではネットやSNSで誰とでも容易につながることが出来る時代ですから大学横断的に活動している真っ当なサークルもあるでしょうし、勧誘する側も年々その手口は巧妙化しているわけですから、最終的には入って見なければ判らないというはなはだ心許ないことにもなりかねません。
面白いのはカルト側はカルト側で近年の各種カルト対策強化を「弾圧だ!」などと反発を強めていることで、「公然と学生の思想・信条の自由を侵害することは由々しき事態」「大学が本来の役割を果たせるよう取り組んで参りましょう」などと呼びかけていますが、カルトに嵌ることが大学本来の役割に当たるのかどうかは議論の余地がありそうです。
ただ勧誘という手法をとっているうちはまだしも警戒心も湧きますけれども、どんな世界でも本当にレベルの高い連中は決して誘われたと感じさせず自ら進んで飛び込んでくるように仕向けるものらしく、先日今度はこういう話が出ていました。

今日アルバイトの面接に行ってきた(2013年4月18日ガジェット通信)

今回は、『はてな匿名ダイアリー』から転載させていただきました

■今日アルバイトの面接に行ってきた

今日某塾アルバイトの面接に行ってきた。面接官は、黒斑メガネの若いお兄ちゃんだった。

温厚な人だなあ、と思って、自分の考え言ったら、とりあえずボロクソ言われた。めちゃくちゃ怒られた。説教された。もちろん自分の教育に対する態度もだけど、何よりも自分の人格とか、意識について
「なんでもっと頑張らないんだ!?こんな貴重な体験をしてきたのに、もっと能動的に動かないともったいないぞ!リーダーシップとか取ったことないの?何を一番頑張ったと言えるの?そういうもの、ないの?!なんでこんな生温い生活を送ってるんだ?!大学生なのにこんなのでいいのか?!もっと頑張らなくていいのか?!」
とりあえず、色々怒られた。私は意識が足りないと。私はもっと頑張らなきゃいけないと。そして、何かちゃんと最後までやりきって、自分の物にしたほうがいいと。自分のやりたいことに向かって、精一杯頑張った方がいいと。そんなやめ癖あるような、気持ちはあっても行動に移せないような奴は雇えないと。そう言われながら、私は泣いた。めちゃくちゃ泣いた。面接中なのに。

散々言われて、保留だな、まあ落とされるだろう、って言われた。もしどうしても働きたいなら、もう一度覚悟を決めてから受けろと。「もう一度絶対受けます」って言って、そこを出た
説教された直後は、なんてすばらしい人なんだと思った。こんな人の下で働きたい、ってかむしろお金払うから私に説教してくださいって思った。もっともっと、これから頑張らなきゃって思った。でも、私はそんなに熱くなれる夢も、大きな情熱もない。何の夢もない、意識も高くない、友達と話すのだけが好きなしょうもない大学生だ。そう思ったり、色々考えたりしながら、帰り道の電車の中は花粉症のフリしてずっと泣いた。

で、帰ってきて、親に言った

私は生温い生活を送っている。適当に勉強して、適当にサークルに行って、辛いからって部活もやめて、適当に短期アルバイトをして過ごしてる。せっかくこれまでの人生、色々貴重な経験させてもらったのに、意識高い人たちより全然生温く過ごしてるね。ごめんね。あたし、ダメな人間だね。もっともっと、頑張らなきゃね。何かやりきったことのない、やめ癖のある人間になっちゃった。意識低い大学生だよ、ごめんね、って。

そしたら、めちゃくちゃ怒られた。…

お前の生活は生温くない。勉強だって頑張っているじゃないか、成績ものすごくいいじゃないか。その面接官は誰だ?俺よりずっと年下だろ。俺の方がそいつよりずっとずっと色々なことを知っている。お前のことも知っている。お前は、全然生温くない、ダメじゃない。
意識なんか高くなくていい。そんな辛いとこに自分の身をおいて、そんな常に気を張りつめていたら人間死んじゃうだろ。お前の人生観とか人格に口を出していい権利なんて誰にもないだろ。お前はお前の好きなようにやったらいい。別に意識高いから成功するとか幸せなわけじゃない
ってか、そういう風に散々言って、きっとお前を就活対策コンサルティングとか自己開発系のなんかに誘って金ふんだくろうとしてるんじゃないのか?気をつけろよ。

実際、その塾の親会社は就活対策コンサルティング会社だった。
親って偉大だ。ありがとう。

今日学んだこと:何かあったら、変なコンサルティングとかカウンセラーに相談にしないで、親に相談しよう。

いわゆる啓発セミナーの類には全く疎いもので正直「なるほどその手があったか!」と思わず小膝たたいてにっこり笑いというものでしたが、しかし考えて見ればまずガツンとかませて自信を喪失させ、その後手をさしのべるというのは洗脳の基本テクニックですよね。
お父さんもこれはGJというものですけれども、しかしこういうところにさっと考えが及ぶというのはそれなりに人生経験を積んできた強みというものなのでしょうか、亀の甲より年の功とはこのことだとは言えどこの親でもこううまく助言が出来るものだとも思えません。
ともかくこうした洗脳まがいの方法を用いてくるとはこれぞまさにブラック企業と言うべきでしょうけれども、昨今では新入社員がすぐ退職していくことに辟易してか面接の場でわざと怒鳴りつけたりして反応を見るということをする企業もあるということで、一体どこまで他人を疑ったらいいのかと考え込んでしまいますね。

対人関係というものはやはり経験値が大きくものを言うわけですから、学生時代から様々な経験を通じて経験値を高めていくことが社会に出る前段階として重要であり、そのための格好の場として各種学生サークルが機能してきたという側面もあったはずですが、冒頭の記事にあるようにそんな貴重な体験の場にも食いつこうとしている人々がいるのではおちおち人生修行もしていられません。
怪しげな宗教にのめり込んで人生を踏み外してしまうリスクを考えれば、大学なりが公認した由緒正しいサークル以外は全てキャンパスから閉め出すべきだと考えたくなる保護者の皆さんもいらっしゃるでしょうが、そもそも大学という場はそうした怪しげな人間のつながりを経験出来る場所でもあったわけで、品行方正に清く正しく過ごしているばかりでは本当に無菌培養のまま社会に出ることになってしまいますね。
いずれにしても怪しげなサークルの勧誘が出没しています、などと呼びかけるだけでは誰も本気に受け取るはずもないことですから、いっそ囮捜査ならぬ囮勧誘で強制的に経験を積んでもらうとか、引っかかった場合にどうやって脱出するかを講習するといったことも必要になってくるのでしょうか。

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2013年4月21日 (日)

今日のぐり:「はま寿司 倉敷連島店」

世の男性諸氏ならば思わず股間に手をやってしまいそうな恐ろしい事件の裁判が始まったという、先日出ましたこちらのニュースをご覧になりましたでしょうか。

女に局部強く握られた男性がショック死、裁判始まる=中国海南省(2013年4月18日新華経済)

【新華網】 中国海南省海口市で8日、昨年起きた傷害致死事件の裁判が始まった。事件では被告の女とけんかになった男性が局部を強く握られ、ショック死した。

被告の女は昨年4月19日、子どもを迎えに行くため電動自転車を被害者男性が営む店の前に停めた。「商売の邪魔になる」と怒った男性との間でけんかになり、被告は男性の陰嚢を強く握りながら「握り殺してやる、子どもができないようにしてやる」と叫んだという。男性は激痛によるショックで倒れ、救急処置を受けたが死亡した。

売り言葉に買い言葉とは言え、何もそこまで文字通りの行為に走らずとも良いのではないか…とも思いますが、しかし激痛によるショック死…想像するだけでも恐ろしいとしか言いようがありませんね。
今日は人間一人を「握り殺して」しまうという英雄豪傑もかくやの偉業を達成した被告女性にちなんで、思わず「無茶しやがって…(AA略)」と言いたくなるような世界各地のびっくりネタを紹介してみたいと思います。

塩尻を「尻のまち」に― おしりの形の焼き菓子、商品化目指す (2013年4月17日信濃毎日新聞)

 塩尻青年会議所(塩尻市)が、塩尻を「尻のまち」として発信しようと、おしりの形をした焼き菓子作りを進めている。2011年に開発したお尻(ヒップ)の形をしたプリン「ヒップリン」に続く第2弾のお菓子で、土産品として商品化を目指している。

 ヒップリンは、試食会などで人気があったものの、要冷蔵品の生菓子で長期保存が難しく商品化につながらなかった。このため塩尻を訪れた観光客らが土産品として買い求められるよう賞味期限の長い焼き菓子を開発することにした。

 焼き菓子は、同会議所の要望を受けて塩尻市広丘原新田の洋菓子店が試作を進めている。このほど開いた試食会では、おしりの形やハート形の焼き菓子に、プリン味のクリームを入れたり、キャラメルソースを加えたりしたものが並んだ。試食した同会議所メンバーは「イメージ通りだ」「味がおいしい」などと意見を出し合った。

 今後、小麦粉や卵といった材料を塩尻産で作ることができるかどうかや、包装方法、販売価格などについて検討を重ねていく。焼き菓子は最低6千個を作り、同会議所設立45周年を迎える9月に披露し、発売する計画だ。同会議所の丸山大輔理事長(38)は「しりの街、塩尻の名物として世に広めていきたい」と話している。

塩尻と言えばリニアの中間駅建設という話もあるくらいでただいま絶讚売り出し中なのは理解出来ますが、それにしても少しは自重しろと(r
一部方面で根強い人気を誇るのが恋愛ゲームなるものですが、こちら思わず「誰得よ?」と言いたくなる斬新すぎる新作が登場したようです。

上級者向け!恐竜相手の恋愛ゲーム(2013年4月17日R25)

恋愛シミュレーションゲームといえば、一般的に“人間同士”の恋愛を描くものだが、なんと、恐竜と人間の恋愛生活をシミュレーションできるゲーム『Jurassic Heart』が登場し、話題となっている。

『Jurassic Heart』は、主人公の女の子と、「Taira」という名前のティラノサウルスとの恋愛をシミュレーションするゲーム。正式に販売されているものではなく、「ティラノ・スクリプト」というノベルゲーム作成用のフリーソフトを使って作られた同人ゲームで、ブラウザ版、ダウンロード版ともに、無料でプレイできる。

海外のユーザーが作ったということもあって、全編が英語となっているが、ゲームの内容は日本の恋愛シミュレーションゲームと同様に、選択肢を選びながら物語を進めていくというもの。ネクタイを締めた恐竜の「Taira」くんと駅前で待ち合わせをして楽器店にウクレレを買いに行くという内容となっている。

なんともカオスな『Jurassic Heart』は、ツイッターでも話題となっており、「ジュラシックハート」でキーワード検索してみると。

「すげえ超越者向けやなwwww俺やりたいwwwwwww」
「恐竜は好きだけどこれは流石にwwwww」
「鳥の次は恐竜かい!!!しかも擬人化なしとかとんだ上級者レベル!!」

などと、衝撃を受けるネット住民が続出している。

ツイッターにも「鳥の次は」というつぶやきがあったが、過去には鳩との恋愛を描く『はーとふる彼氏』や、アルパカと恋愛する『パカプラス』といった同人ゲームも存在している。そんななかでも恐竜を相手とする『Jurassic Heart』は、特に“上級者向け”と感じる人が多いようだ。

しかし記事の写真を見ても擬人化も変身もなしの恐竜と恋愛…まあ、こういうのが上級者向けだと言うのであれば自分は恋愛ゲームはせいぜい初心者向けで十分かなという気がします。
これを見れば誰しも気持ちは判る?と言いたくなるような事故なんですが、しかし実際にやってしまったというのはお約束過ぎるというものでしょうか。

「わんわん、わんわ...ゴン!」はしゃぎ過ぎてジャンプするのを忘れた犬(2013年4月15日らばQ)

こちらのワンちゃん、何か良いことでもあったのか、ベットの上を飛び越えて行ったり来たりしていたのですが......。
興奮のあまり、一番大事なジャンプすることを忘れてしまったようです。
ちょっぴり切ない映像をご覧ください。

YouTubeでの視聴はこちら」

あイタタタ......。
あれだけうれしそうに駆けずり回っていたのに、すっかりしょげて座りこんでしまいました。
いくら興奮し過ぎとは言え、犬がジャンプするのを忘れるなんて、お茶目すぎますよね。

一転しょんぼりしてしまったワンちゃんに何と声をかけるべきか、ここは黙って頭を冷やしてあげるべきなのでしょうかね。
飛行機の乗り込みと言えば手荷物検査が必須ですけれども、それに引っかかってしまった場合にどうするかと言う一つの究極がこちらのびっくりニュースでしょうか。

空港でドリアンの機内持ち込みを拒否された女性、怒りの3キロ一気食い―広東省広州市(2013年4月15日レコードチャイナ)

2013年4月12日、広州白雲空港で、ドリアンの機内持ち込みを拒否された女性が、その場で平らげてしまうという出来事があった。13日付けで広州日報が伝えた。

広東省広州市の玄関口、白雲空港で、一人の中年女性がドリアンの機内持ち込みを拒否され、激怒のあまり1つ丸々食べてしまった。ドリアンは1つ3キロ近くある大型の果物である。

12日夜9時頃、女性がドリアンを所持していることに気づいた安全検査の職員が、機内への持ち込みを拒否した。女性は新聞紙で何重にもくるんだドリアンを取り出して見せ、においが漏れることはないと主張したが、その場に居合わせた他の乗客はあたりに漂うドリアン独特の臭気を嗅ぎとっていたという。

空港職員は、強い臭いが他の乗客の迷惑になるため、機内に持ち込むことはできないと伝えたが、女性は難癖をつけられていると思い、激怒してドリアンを床にたたきつけた。

「持ち込めないなら食べてしまえばいいんでしょ!」

そう言うなり、女性は近くにあったベンチに腰掛け、3キロ近くあるドリアンを一気に平らげてしまった。見事完食を遂げた女性は、床一面に散らばったドリアンの皮を残してその場を立ち去った。(翻訳・編集/岡本悠馬)

確かに強引ながら合理的解決法と言えなくもないのですが、いずれにしてもその場を立ち去ったということであれば食べてしまったことは無駄な努力だったと言うことになるのでしょうか。
こちらはまたとんでもないびっくりニュースなのですが、是非元記事の写真を参照しながらその無茶ぶりを想像いただきたいと思います。

【海外:中国】命懸けの通学路!断崖絶壁に掛けられた梯子を毎日登って登校する子供たち(2013年4月17日日刊テラフォー)

以前、超危険な吊り橋を渡って、命がけで学校に通っているインドネシアの子供たちの話題をお届けしたが、同じような状況の子供たちは中国にもいた。

中国湖南省桑植(そうじゅ)県の人里離れた山奥にあるジャン・ジーワン(Zhang Jiawan)村の子供たちは、学校へ通うために、断崖絶壁にある細い木の梯子を毎日上り下りしなければならない。崖の下は落ちたら死ぬこと確実の大きな谷底が広がっている。命綱や安全マットなんて、もちろんない。
切り立った崖に囲まれて暮らす村の子供たちにとっては、学校へ行くという日常的な行動が、命懸けだ。

なぜ子供たちは毎日、こんなに危険な通学路を通っているのかというと、答えは簡単、これが村から外へ出る唯一の方法だからだ。山道を歩く方法もなくはないが、学校まで片道4時間もの遠回りになってしまう。

子供たちを送り出す親たちは、もちろん心配でならないが、他にどうしようもない。だだ、「教育を受けたければ梯子を登れ」と言うしかない。
村では、学校に通い始める5歳の子供たちは、国語や算数の前に梯子の登り方を覚えなければならない。

「梯子がある崖はとにかく高いの。だから下を見ないようにして登るの。」
と、新入生のリュー・ダンちゃん(5)は話す。
「パパとママが、どうやって安全に梯子を登るか教えてくれたの。今は、崖がそんなに高いとは思わないわ。」
この断崖絶壁が高くないとは、子供の順応能力は凄まじい。

村民たちは、子供たちがこの危険な梯子を上り下りしなくてもいいように、地元当局に谷底まで通じる道路を建設するよう要請したが、実現は難しい。地形が険しすぎるため、道路建設には約14億円もの莫大な費用がかかってしまうのだ。
「村の人口は100人ちょっとです。それなら村の皆でヘリコプターを買った方が安いです。」
と村民の一人は話す。

ひゃ~、写真を見ているだけで、恐ろしい。

まさに無茶しやがってと言えば少々の無茶ぶりではないのですが、子供達の環境順応能力を侮るなということなんでしょうか、それにしても人間用のリフト一つつければ済む話にも(r
最後に取り上げますのはご存知ブリの話題ですが、こちらは経費節減のための素晴らしいアイデア…と言ってしまっていいのでしょうか?

【海外:イギリス】ハリー・ポッターの世界が現実に!?経費削減の為、書類の国内輸送をフクロウが行う(2013年4月1日日刊テラフォー)

『ハリー・ポッター』からそのまま引用したような“魔法のアイデア”が、企業の財政を救うかもしれない。
企業の経費削減のため、イギリス・ノースヨークシャー州の動物保護区の専門家たちは、フクロウを訓練して国内便の郵送手段に使おうとしているのだ。まさに、あのホグワーツ魔法学校の生徒たちが持っているフクロウのように。

トレーナーのアミー・スミスさん(19)が、このメルヘンチックな考えを思いついた時、同僚たちは皆、懐疑的だった。
「フクロウが手紙を運ぶなんて、物語の中でしかありえない。」
皆がそう考えるのは当然だが、アミーさんは、フクロウが生まれ持っている性質は、郵送業務に最適だと、皆を説得した。

「フクロウにとって、手紙を運ぶことは、彼らが捉えた野生の獲物を運ぶことと、何も変わりありません。ですから、正しい場所で手紙を拾い上げ、届けるよう、彼らに教えればいいだけです。」

という訳で、先週から『フクロウ便プロジェクト』が発足し、保護区の45羽のフクロウの内、8羽に特別な訓練を開始した。
訓練では、フクロウたちはまず6つの色を識別するよう教え込まれる。
それができるようになれば、宛先によって色で区分けされた発送書類入れから手紙を取り出し、その色に対応した宛先に実際に手紙を届けられるようになる。

この件に関して、英国郵政公社は作業費用を削減するためにフクロウを使用することを考慮するかどうかの明言は避けている。
保護区内のオフィスでは、実際にフクロウが書類を運んで活躍しているようだ。

もしかしたら、イギリスの空に手紙を咥えたフクロウたちが飛び交う日が来るかもしれない。

さすがブリ正直その発想はなかったと言う話なんですが、しかしどこからこの発想を得たのかと考えると著作権諸々の問題が副次的に発生しかえって高コストについてしまわないでしょうか。
仮にこういうものが実用化されればそれなりの観光資源にはなるのかも知れませんが、それでも郵便を出す側にしてみれば人間が運ぶかフクロウが運ぶか選択制にして欲しいところかも知れませんね。

今日のぐり:「はま寿司 倉敷連島店」

ところで本日の本題に入る前に、先日出ていましたこちらの記事を紹介してみましょう。

“やらせライター”に困っている……とあるラーメン店の話 (2013年3月22日ビジネスメディア誠)

内容としてはよくある話…という感じなのですが、こうした話を聞くたびに思うことにこうした問題には完全に主体的立場で参戦するか、それとも完全に無視するかの二者択一しかないのではないかと言う気がします。
ネットリテラシー、メディアリテラシーがしっかり身についている店主の方々であれば自ら打って出ることもまあありかなとは思いますが、下手にうっかりしたことを発信して炎上騒動でも起こせば大変ですから、昔ながらの地に足の付いた商売をしている大部分の方々は完全無視でやっておいた方がよろしいでしょう。
そもそもこうした情報を元に食べ歩きをしているタイプの顧客は別に常連客になるわけでもなく、あくまでその時々の旬の店を巡回しているだけなのですから、ひたすら新規顧客を開拓して拡大路線まっしぐら!と言うことでもない限り昔ながらの口コミ頼りに徹しておいた方が優良な顧客が集まりやすいはずです。
もっともその大前提として店の質、料理の質がまともであるという必要があるはずですが、何にしろあたら名店とうたわれた店が過剰な情報に踊らされて守るべき味も客層も崩壊して消えていくというケースが少なくないのは憂慮すべきことだと感じますね。

余計な前置きはさておき今回またお邪魔したのがこちらのお店なんですが、以前に来たときにはこの元ネタは何なのかと過度の想像力を要求される100円系の中では、比較的鮮魚ネタがそれらしい味を保っていることに好印象を受けたものでした。
しかし今回入ってみれば席は十二分に空いているように見えるのに何故か何組も待たせているというのは、よくある行列待ちを敢えて演出するという戦略なのか単にフロア担当が極端に少ないせいなのか、見ている限りではどうも後者っぽいんですがいずれにしてもお客から見ればあまりいい印象ではないですよね。

それはともかくとりあえず今回も同行者とシェアしながら目に付いた鮮魚系ネタからつまんでみたのですが、オススメというアジは季節の魚だけによく言えば嫌味のないスッキリ淡泊な味、これに対して愛媛産のカンパチはやや早いせいもあるのか正直カンパチらしさは感じられない味でした。
鹿児島産というヒラメは一応ヒラメらしいところはあるものの「猫またぎ」の異名の由来を感じさせる水っぽさ、一方で愛媛産なるマダイはとにかくネタの切り口がひどい上に味も見た目から想像する範囲内であまりいいところがありません。
鮮魚系が今回やや残念な、あるいは値段相応だった一方で定番のサーモンは西京味噌炙りなるものを試してみましたが、西京味噌を載せて炙っただけなんですが定番のサーモンも一手間加えると新鮮さがありますね。
これから瀬戸内でもシーズンの穴子は天ぷらの握りをいただきましたが、香ばしさと食感に特化したこちらの方が甘ったるい上に安っぽい煮詰めの味ばかりが突出する回転寿司の煮アナゴよりはよほど好感度が高く、キスやハゼなどにも応用できそうなあしらい方で好印象でした。
ところで玉子の握りについては以前から個人的には好みではないものの海苔を巻くのはデザイン上はありかとは思っていたのですが、こちらのようにネタとシャリとの間に挟むというのは意味があることなのかどうか、そうまでして海苔の風味が欲しいなら上に載せた方が香ばしさが残せると思うのですけれどもね。

全般的には寿司として考えるとちょっと寂しいにしろ100円系としてはまあ元ネタらしい味は感じられるか?という評価になりそうなのですが、しかし昨今では100円系はどこも満員御礼状態である中で、まだ開店からそれほど時を経ていないとは言えこちらのようにやや客足が鈍い店もあるという現実をどう考えるべきなのかとも感じてしまいました。
ラーメンとインスタントラーメンが別物であるのと同様に回転寿司というものがいわゆる寿司とは別料理になったことを感じさせる理由の一つに、回転寿司にしかないような創作系メニューが好きだから敢えて回転を選んでいるという人が実際にいるらしいのですが、逆に言えば安くてうまい寿司を求めている訳ではなく回転寿司らしい回転寿司を求めている顧客もいるということでしょう。
こちらの場合狙いは判るのですが寿司としてみれば競合店よりネタはまともだとは思いますが百円系にしてはという注釈はどうしてもつく、かと言って百円系の得意な創作系メニューは必ずしも充実していないとなると、顧客としてもどう解釈すべきなのか迷うところがあるのかも知れません。
同じ回転寿司と言っても高価格帯の店では鮮魚系などはきっちりコストを価格に転嫁して質を維持する一方、創作系メニューは百円系並みの低価格で提供しているという場合も多いようですが、こういうセルフスタイルの飲食店ですと連れだって同じお店に入っていても各人各様に求めるものが違う場合も多そうですから、どこにターゲットを置いてメニューを整備するかということもなかなか難しいんでしょうね。

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2013年4月20日 (土)

注:マタタビと言っても猫の大好物のことではありません

世の中には時々びっくりするようなことが起こるものですが、先日は思わず「映画化決定!」と言いたくなるようなこんなことがあったそうです。

救急車運転手が心臓発作、搬送中の末期がん患者が運転交代し命救う(2013年4月18日AFP)

【4月18日 AFP】フランスで先週、末期がん患者を病院に搬送中の救急車の運転手が心臓発作を起こしたため、患者が代わりにハンドルを握って病院まで運転し、運転手の命を救っていたことが17日、病院関係者の話で明らかになった。

 仏北部の町ランス(Lens)の病院のフレデリック・アリアンヌ(Frederic Allienne)救急救命室長がAFPに語ったところによると、このがん患者は海沿いの町ベルクシュルメール(Berck-sur-Mer)在住のクリスチャン・ナイエ(Christian Nayet)さん(60)。11日、救急車を運転して同病院に運転手を運び込んだ。

 仏紙ボワ・デュ・ノール(Voix du Nord)によると、ナイエさんは定期検査のためリール(Lille)市内の病院に向かっていたところだったという。ナイエさんは同紙に当時の状況を次のように語っている。

「私は運転手にこう言いました。『私を信用して、キーを渡してくれ!私の命は危険にさらされていないが、あなたの命は危うい!』」

「どうやってサイレンを鳴らすのかは分からなかったけれど、警告灯はつけることができました。彼(運転手)に窓から腕を出して、他の車に合図してくれと頼みました」。他の車はすぐに道を開け、ナイエさんの救急車を通してくれたという。

 運転中、ナイエさんは運転手に対し、血栓症を起こさないようにする抗凝固処置も施したという。ナイエさんの助けがなければ運転手は「死んでいたかもしれない」と、アリアンヌ救急救命室長は話している。

 ナイエさんは運転手を救急救命室に運び込んだ後、他の病院へ搬送され定期検査を受けたという。

海外における救急システムなど色々と考えさせることも多そうな話題なんですが、日本でも救急車が事故を起こした場合にどうすべきかといったことで時折問題になることはあって、やはり業務の性質上何か搬送中に起こりえるという前提での対処法をあらかじめ用意しておく必要があるでしょうね。
この通り世の中にはいつ何が起こるか判らないというリスクがあって、それにどこまで対処するのかということは事後の責任問題においても大きく問われることではあるのですが、津波被害や原発事故などの事後対応を見ていても感じるように、とかく昨今ではリスクを厳しめに評価することが正義であるかのようなやや偏った風潮も感じられます。
それが行きすぎるとゼロリスク症候群に陥ってしまいますし、そうでなくても堅苦しい世の中になってしまいかねませんが、まるでそうした流れに抵抗するかのように一部メディアがずいぶんと自由なブームを煽っていると話題になっているそうです。

誰がブームを仕掛けた? - 妊娠中の旅行「マタ旅」の危険性(2013年4月18日マイナビニュース)

マタ旅」という言葉をご存じだろうか。マタニティ旅行の略で、妊婦が旅行に行くことを意味する。妊娠5カ月目からのいわゆる「安定期」に入れば、妊婦も旅行を楽しんで大丈夫といった風潮が高まり、国内旅行だけではなく海外旅行を楽しむ非常にアクティブな妊婦も少なくない

確かに妊娠中は飲酒や喫煙はもちろんのこと、生魚や生肉などの摂取も制限され、またつわりに悩まされるケースも多いことから、旅行で気晴らしをしたいという気持ちも理解はできる。さらには、出産後は乳幼児を連れての旅行となるため、「出産前に行っておかなくちゃ」という妊婦も多いと聞く。

しかし実際のところ、安定期に入れば旅行をしてもいいのだろうか。50万部突破の大ヒットとなった「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」の著者で産婦人科医の宋美玄医師にマタ旅について聞いてみた。

「安定期」という言葉の罠

「妊婦健診をしていると、『旅行に行ってもいいですか』という質問を受けることがとても多いです」と宋医師。そんなとき、「絶対に行ってはいけない」という指導はしないそうだが、「安定期に入ったら安心して旅行に行ってもいい」という世の中の風潮には疑問を抱くという。

「そもそも、安定期は胎盤が完成し、つわりも落ち着いてくる時期であって、流産などが絶対に起こらないというノーリスクの時期というわけではないのです。例えば、環境の変化で便秘になるという女性は妊婦に限らず多いのですが、旅行中に腹痛が起きたとき、それが便秘で痛いのか、胎児異常での痛みなのか、本人には判断もつかないでしょう。いつもなら何か不安になればかかりつけ医に診てもらうことができても、旅行中はそれができません。その危険性を認識すべきです」。

それらを踏まえた上で旅行をする際は、24時間の救急搬送に対応している病院を宿泊先周辺で見つけておくことだけは忘れないようにしましょう。母子手帳や検査データの携行は"いうまでもなく"レベルのことです。

また、海外旅行については「おすすめしない」とのこと。「長時間のフライトでおなかにはりが出るケースが多く、また海外での医療は非常に高額になることから避けたほうがいいでしょう」と指摘する。

様々な媒体で見かけるようになった「マタ旅特集」だが、そういったブームに踊らされず、安全なマタニティライフを送れるよう正しい知識を持ち合わせてもらいたいものだ。

あらかじめ申し上げておきますと、管理人個人としては今も一部の産科医の先生方が主張するような妊婦に対して最善最良の保護的愛護的行動を取るよう指導するという考え方を是としているわけではなくて、むしろリスクも承知の上でそれに対する対処法をきちんと確保しマタニティーライフをエンジョイしていったらいいんじゃないかと考えています。
その理由としては色々とありますけれども、最大のものとして現在少子化と妊婦の高齢化がこれほどに叫ばれるほど妊娠という行為の意味づけが変わっている時代にあって、妊娠=母体に心身共に過剰な負担を強いる苦行というイメージを蔓延させるということは本人は元より社会にとってもかえってマイナスになるのではないかと考えるからです。
もちろん妊婦として生物学的に必要最低限の保護や対策は必要ですけれども、例えば癌に対する化学療法なども現在では単に余命延長を追求するだけではなく平常と変わりない生活をどれだけ長く送れるかという観点から行われるようになってきたのと同様、妊娠出産もいかに普段通りの快適な生活を続けられるかということの価値を十分評価していかないと、ますます妊娠を忌避する女性が増えてしまいますよね。
要するに妊娠中の活動に伴うリスク増加よりも楽しい妊娠生活を行うことによる利益が個人的にも社会的にも上回るのであれば後者を積極的に推進する意味が出てくるということですが、この場合注意しなければならないのは当の妊婦やその家族がこうしたメリットとデメリットを十分理解した上で自主的な選択を出来る環境が保証されること、そして必ず誰かは増加したリスクを引き受けることになるという事実でしょう。

ちょうどこの「マタ旅」ということを御高名な「天漢日乗」さんが以前に取り上げられていて中々に示唆に富む内容でご一読いただければと思いますが、この追記の中で取り上げられている通り順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科の今野先生らのグループが2010年の周産期新生児学会でそのものズバリ「東京近郊の巨大テーマパークからの産科緊急症例についての検討」という発表をなされていたようです。
詳細は抄録が掲載されたリンク先の元記事を参照いただきたいと思いますが、2007年1月1日から2009年12月31日の3年間で同院産科に搬送された妊婦さんが合計86人、そのうち半数ほどは軽症だったものの流産が18人(21%)等々取り返しのつかない事態になってしまったケースも少なからずといったところで、同院一つをとってもこれだけの症例があるとすれば全国で如何ほどか?ということですよね。
拝見していて興味深かったのは一般に安定期というと妊娠五ヶ月からと言いますが、これ以降の22週~36週が22人とおよそ1/4を占めているということで、この時期ですと低出生体重児で様々なリスクもあるだろうにそれなりに突発事態も起こりえるものなんだなと感じます。

無論ずっと家でおとなしくしていたところで何が起こるか判らないのは当然ですし、ストレス等を考えれば時折は遊びに出かけるくらいのことはむしろ有益性の方が大きいんじゃないかとも思いますが、ご存知のように昨今では全国どこでも分娩施設不足で「妊娠が判明した直後に分娩予約をしても間に合わない」なんて笑い話のようなことも発生しているという危機的状況にあることを最低限理解しておく必要があります。
要するに何かあった時には手近な施設に飛び込めばいいやと思っていても搬入を受け入れてもらえるという保証はないし、海外旅行などしていようものなら天漢日乗さんの言うところの「妊娠は病気じゃないから、旅行の保険では出産費用が下りず、アメリカの医療費は高額なので、もし、異常分娩だとトンでもない額を請求される」ということでいきなり家庭崩壊の危機ということにもなりかねないということですね。
繰り返しますが「だから家でおとなしくしてろ」などと言うつもりは全くなく、むしろそうしたリスクがあることをきちんと理解した上で、旅に出かける時にはあらかじめ交通機関や宿泊の手配をするのと全く同様に旅先でのいざという時のための手配にも当たり前に意識が行くよう、皆で考え方を改めていくことが出来ればこうしたブームの意味も出てくるんじゃないでしょうか。
それにしても毎度のことながらブームを仕掛けるだけ仕掛けて後の責任は知らないふりのメディア側の姿勢もどうかと思うのですが、産科の先生方には無謀な振る舞いには当然きちんと指導していただくとともに、実際のリスクとメリットがどれくらいになるのかといったデータも教えていただければと思いますね。

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2013年4月19日 (金)

モンスター対策は適切に行うことが重要です

本日の本題に入る前の余談として、司法による判断が社会常識というものとは少しばかり乖離しているのかなと感じることは少なくありませんが、先日出てネット上で大いに話題になっていたこの判決もあるいはそうした例の一つになってくるのでしょうか。

道路くぼみで車故障 神戸市に53万円支払い命令(2013年3月28日神戸新聞)

 所有するドイツの高級車「ベンツ」が故障したのは道路のくぼみが原因として、神戸市北区の産廃業者が道路管理者である市に対し、車の修理期間中の代車料金など約135万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、神戸地裁であり、長井浩一裁判官は「くぼみは軽微なものといえず、管理上の瑕疵がある」として市に約53万円を支払うよう命じた

 判決によると、2009年9月、同社社長が会社のベンツ車で同市中央区元町通4の市道を走行中、深さ約3センチのくぼみにはまり、車のホイールやサスペンションなどが故障した。

 長井裁判官は「くぼみによって車の損傷が生じた」と因果関係を認めたが、同社がBMWの最高級車をレンタルしたのは「原告の見えや体面もあるが、代車が事故車両と同格である必要はない」とし、「国内最高級車であるトヨタの『レクサス』が相当」として請求全額は認めなかった。

 同市建設庶務課は「判決文を見てから対応を検討する」としている。

しかしさすが神戸と言うべきなのか高級外車に縁のない身としてはこの代車費用にはびっくりするしかありませんが、そもそも車検の最低地上高を満たす車が3センチの窪みでサスペンションまで壊れるかどうかと多くの人が疑問に感じたようで、ネット上でも「ドイツ製高級外車はこんなにも壊れやすいと日本の司法が認定!」と大騒ぎですけれども、こういう場合費用を管理者なりに請求する事自体は別におかしな話ではないとは思います。
一方で代車費用というものに少し興味を持って調べて見たのですが、以前に岐阜地裁で土建業者の乗る高級外車が絡んだ事故の件で民事訴訟になった際に高級外車の高額な代車費用の認定がこれまた問題になり、業務活動との関連が乏しく代車が高級外車である必然性が乏しいことから代車費用は認められないと判断されたケースがあるようです。
この場合は保険金詐欺の疑いが濃厚であるとして厳しい判断が降った側面もあるにせよ、代車費用をどこまで認めるかは本件でも争点になったようで、それに対してとかく医療訴訟などにおいても公立病院のやる気のない訴訟態度を見るにつけ、本件においても市側がどこまで本気で裁判に臨んだものなのかと疑問に感じないでもありません。

神戸の件はともかくとしても、昨今どこの業界でも何かと謝罪と賠償を要求される機会が増えてきている印象がありますが、どこまでが正当な要求でどこからが不当なものなのかと判断に迷うケースは少なくありませんよね。
先日は学校帰りの子供が転んで怪我をしたのは学校のせいだと執拗に謝罪要求を繰り返していた男が逮捕され、その要求内容が「いくら何でも…」と話題になっていましたが、興味深いのはこの場合も司法的には問題ないという解釈になるらしいということです。

強要未遂容疑:娘の小学校に謝罪文要求 父親を逮捕 東京(2013年03月23日毎日新聞)

 東京都葛飾区の小学校に通う長女がけがをしたのは担任の責任だと言いがかりをつけ、学校側に謝罪文を書かせようとしたとして警視庁葛飾署は23日、葛飾区、職業不詳、亀山順一容疑者(35)を強要未遂容疑で逮捕した。葛飾署によると、亀山容疑者は「電話はしたが強要はしていない」と容疑を否認しているという。

 逮捕容疑は2月20日昼ごろ、50代の女性副校長に「校長、副校長、学年主任、張本人(担任)のフルネームと実印を押して原本をよこしてくれ」「どんだけこっちが我慢しているんだ」などと言い、謝罪文を書くよう強要したとしている。

 葛飾署によると、亀山容疑者の長女は昨年12月下旬、帰宅途中に転倒して左手小指を骨折。亀山容疑者は翌日から学校に「担任が荷物をいっぱい持たせて帰宅させたのが原因」と主張し、謝罪を要求し続けていたという。知人ら数人で学校に押しかけることもあり、学校側が2月下旬に被害届を出していた。【浅野翔太郎】

内縁妻の子が通う小学校を脅迫容疑、35歳逮捕(2013年3月23日読売新聞)

 内縁の妻の長女が通う小学校を脅したなどとして、警視庁葛飾署は23日、東京都葛飾区鎌倉、職業不詳亀山順一容疑者(35)を強要未遂などの疑いで逮捕した。

 発表によると、亀山容疑者は先月20日、小学校に電話をかけ、「長女は、担任教諭の指導で学校に置いてあった荷物を持ち帰る際に転倒し指を骨折した」と抗議したうえで、学校側に骨折の責任があると記した書類の提出を求めるなどした疑い。

 調べに対し「電話はしたが強要はしていない」と容疑を否認しているという。亀山容疑者は昨年12月以降、担任らに電話や面会で「通院にかかった2万円の交通費を払えるのか。殴り込みにいくぞ」などと繰り返していたといい、学校側は先月下旬、同署に被害届を提出していた。

「謝罪文」を書かせようとした男を逮捕 「謝れ」と迫ったら犯罪になるのか?(2013年4月9日弁護士ドットコム)

「校長、副校長、学年主任、担任のフルネームと実印を押して原本をよこしてくれ」。小学校に通う子どもがケガをしたのは担任のせいだとクレームをつけ、学校側に「謝罪文」を書かせようとした男が3月下旬、強要未遂の疑いで逮捕された。
発端は、昨年12月。男の長女が帰宅途中に転倒して小指を骨折した。それを受けて、男は学校に「担任が荷物をたくさん持たせて帰宅させたのが原因」などとクレームをつけ、謝罪を要求し続けたのだという。男は「強要はしていない」と容疑を否認していると伝えられている。
今回のケースでは「謝罪文」まで要求しているが、何か迷惑を掛けられた際に、その相手に口頭や書面で謝罪を要求する行為はよくある話だろう。では、「謝れ」と迫っただけでも、犯罪になってしまうのだろうか。刑事事件に詳しい伊佐山芳郎弁護士に聞いた。

●「謝れ」と迫っただけでは、「犯罪」にはならない

謝罪を要求しただけでは、強要罪にはなりません
伊佐山弁護士はこう端的に指摘する。そのうえで強要罪について次のように説明する。
「強要罪については、刑法223条が定めています。強要罪が成立するためには、手段として『脅迫』または『暴行』がなされることが必要です。『脅迫』を手段とする場合、相手が恐怖心を生じなければ強要をしたこと(既遂)にはならない、と解されています。
そして、強要罪が成立するためには、『脅迫・暴行』の結果として、相手に義務のないことを行わせるか、または行うべき権利を妨害した、ということが必要です」
このように強要罪が成立するための要件を述べたうえで、伊佐山弁護士は「未遂罪」についても言及する。
「強要罪の手段としての『脅迫・暴行』はあったが、相手方に義務のないことを行わせ、または行うべき権利を妨害するまでに至らなかった場合には、強要罪の『未遂』となります(223条3項)。
一方、『脅迫』や『暴行』そのものが未遂に終わったケースであれば、未遂にもなりません。たとえば、強要の目的で脅迫状を郵送したが、相手方に到達しなかったような場合は、強要未遂罪は成立しないと解されます」

●脅迫・暴行を手段として、『謝罪を要求する』という事実と強要罪の成否について

では、謝罪文を要求し続けて逮捕された父親の事件では、強要罪は成立するのだろうか。
「長女の父親が、学校に対して、謝罪を要求したからといって、それだけでは強要罪にはなりません
学校側には謝罪すべき義務がない事案であるにもかかわらず、父親が『脅迫・暴行』を手段として、『謝罪を要求する』という事実があれば強要罪になります。
しかし、父親が謝罪を要求し続けたとしても、『脅迫・暴行』を手段としていないのであれば、父親の学校への謝罪要求は犯罪にはならないといわなければなりません」
このように述べたうえで、伊佐山弁護士は次のように指摘している。
「今回、報道されている『強要はしていない』という父親の言い分が、『脅迫・暴行を手段としていない』という意味で、それが事実とすれば、刑事上の問題は何ら生じず、逮捕は不当で冤罪ということになると考えます」
このように強要罪の成立する範囲は限定的になることが多そうだ。身近にあるようで、意外と知られていない犯罪と言えるのかもしれない。

集団で押しかけては不当な動機に基づいて謝罪要求を繰り返す、殴り込みに行くなどと脅すといった行為に学校側が恐怖を感じなかったかどうかは議論の分かれるところでしょうが、こと刑事事件として取り扱うとすれば微妙なラインであったということでしょうか、あるいは当事者もそのあたりを熟知した上で行っていたことであったのかも知れません。
ただ本件の場合このような判断の分かれるケースもきちんと警察に通報し逮捕にまで至っているということが重要なのであって、その上で今後もなおしつこく要求を続けるのであればまた話も変わってくるでしょうし、明らかに正常な業務を妨害しているというのであれば民事上の損害賠償請求を行うにあたっては何ら支障がなさそうに思えます。
要するに学校側がきちんと問題行為を問題行為と認めて本気で対応する気になればやれることは幾らでもあるということで、恐らく全国各地に程度の差こそあれ同様のトラブルに巻き込まれている施設は幾らでもあるはずですから、こうした事例をきちんと情報共有していくことが必要ではないかと思いますね。

医療の世界でも同様の問題はあって、例えば先日の調査で患者から院内暴力を受けた医師・看護師は約半数に上るというニュースがありましたけれども、おもしろいのはそのうち約半数は「説明不足」や「長い待ち時間」などによって「医療者側にも原因があった」と認識していることで、医療現場に「説明不足なら暴力を振るわれても仕方ない」といった発想があるのだとすればいささか世間の常識との乖離を疑われるところですよね。
常習的なモンスターペアレンツは半ばプロ化しているケースが多く、彼らは相手を見て対応を使い分けることでスタッフの中に味方を作り上げ自分の利益に結びつける場合がままありますが、特に困るのは院長など職員に対して責任を持つ立場にある者が「しかし当院が放り出せばこの患者には行く先がなくなるじゃないか」などと妙な仏心を発揮して、適切な対応を取らないままモンスターを増長させてしまう場合です。
その結果スタッフはストレスを貯め込み離職が相次ぎ医療サービス供給に支障を来したり、多くの一般患者に不利益がかかっていることに気がつかないのでは間違った医者魂の発露としか思えませんが、顧客は全てが平等だというわけではなく、度を超えた不良顧客には早期に適切な対応を取らなければ状況は悪化する一方だということを、今時の職場管理者ならばきちんと理解しておかなければならないでしょうね。

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2013年4月18日 (木)

断固我が道を行く患者を麻生氏が強烈批判?!

昨今有害だという声も出ていることで何かと話題になることも増えた糖質制限食ですが、そればかりに頼ることは現状おすすめ出来ないものの例えば夕食一食を糖質制限してみるといった使い方ならそれなりに有効かも知れませんね。
いずれにしても現状ではエヴィデンス不足でなんとも言い難いという段階だと思いますが、その糖質制限食を擁護する一人の糖尿病患者の「らしい」コメントがちょっとした話題になっています。

「糖質制限食」議論、学会は真実見よ 作家・桐山秀樹氏が反論(2013年4月2日ZAKZAK)

 昨今、糖尿病治療で脚光を浴びる「糖質制限食」。先頃、日本糖尿病学会が「現時点では勧められない」という提言を出したことで波紋を広げている。自ら糖尿病を患い、糖質制限食を実践しベストセラー「おやじダイエット部の奇跡」(マガジンハウス)の著者である作家の桐山秀樹氏が“反論”を寄稿した。

 「なぜ、こうした糖尿病患者置き去りの議論がいつまでも戦わされているのか。アベノミクス登場まで動かなかった日銀と同じだ」

 糖尿病患者の一人として、そんな思いを抱かずにはおれなかったのが、白米、糖類などの炭水化物を控える「糖質制限食」についての、日本糖尿病学会の提言である。昨年8月に設置した「食事療法に関する委員会」が国内外の論文を検証し、作成したもの。早速全文を取り寄せて読んでみたが、糖質制限食の提唱者である京都・高雄病院理事長の江部康二医師は「突っ込みどころ満載で、墓穴を掘ったとしか言いようがない」と言う。

 提言で「現時点では勧めず」とした糖質制限食の代わりに勧めているカロリー制限食と薬物療法の結果、糖尿病網膜症で失明する糖尿人が年間約3000人。糖尿病腎症で透析になる糖尿人が年間1万6271人もおり、糖尿病壊疽(えそ)で下肢を切断せざるを得なくなった患者も後を絶たない。

 これらは、医師や栄養士の言うことを聞かず、薬も飲まずに暴飲・暴食した結果だろうか。いやむしろほとんどの方は医師や栄養士の言う通り、カロリー制限食を実践してきた結果である。

 なぜ、こうなってしまうのか。江部医師によれば「従来のカロリー制限食(高糖質食)だと、食後高血糖および、平均血糖変動幅という最大の酸化ストレスが生じる」からだ。従って「カロリー制限食(高糖質食)で糖尿病合併症を防ぐことは極めて困難」(江部医師)と言う。

 これに対し、筆者も既に4年にわたって実践してきた1日3食の「スーパー糖質制限食」では最大の酸化ストレスリスクが大幅に改善する。これは筆者が身を持って体験した「真実」だ。
(略)
 患者をナメてはいけない。いくらでも最新の専門知識を入手できる現在、真実と逆の方向を向かせようとする今回の提言はまさしく墓穴を掘ったとしか言いようがない。糖質制限食は、糖尿病治療の「エベ(江部)ノミクス」だ。私は断固支持し、実践し続ける

ま、桐山氏の人生ですから何をどのように実施されようとも自由というしかないのですが、学会が何と言おうが「私は断固支持し、実践し続ける」という桐山氏自身の主張こそが「これらは、医師や栄養士の言うことを聞かず、薬も飲まずに暴飲・暴食した結果だろうか。いやむしろほとんどの方は医師や栄養士の言う通り、カロリー制限食を実践してきた結果である。」というご自身の発言が正しいのかどうかを端的に示しているように思いますけどね。
桐山氏の人生航路がいかなるものであっても多くの方々にとっては正直知ったことではないのでしょうけれども、各人各様に好き放題やった結果医療費の「無駄遣い」が無視出来ない金額となり、結果として本当に必要とするところにもお金が回らないようにでもなったのでは他人事とばかりも言っていられなくなります。
先日は村上智彦先生が「医療にたかるな」というこれまた物議を醸しそうな新刊を出されていて、友人で佐賀県は武雄市長の樋渡啓祐氏が「不満だけを訴えて、自らの手で健康と安心を守ることを忘れた日本人に贈る、過激かつ愛に満ちた処方箋」と絶讚していますけれども、メタボ健診などにもみられるように自分の健康は自分で守るべきだというのが現代日本の国策にもなってきていますよね。
一部の若年ワープア層のように「病気になったらあきらめるから保険料払わないよ」というのはさすがにやり過ぎだとしても、医療費もただではないのだから健康であるべく自助努力に務めている人にはそれなりの見返りがあってもいいんじゃないかという声は少なからずある中で、先日は麻生副総理がこれまた率直すぎる発言でマスコミの注目を集めています。

総理時代に批判を浴びた“麻生節”が復活!(2013年4月17日テレビ朝日)

 総理時代に批判を浴びた“麻生節”がまた復活です。麻生副総理は、衆議院の予算委員会で「いい加減に生きている人の医療費を俺が払ってると思うとバカバカしい」と語りました。

 麻生副総理:「私は72歳だが、病院に行ったことはほとんどない。そうじゃない人って世の中にたくさんいるじゃない。飲みたいだけ飲んで、やりたいだけやっていい加減に生きて、それで72でくちゃくちゃになってる人がいっぱいいるでしょ。そういう人たちが病院で払っている医療費を俺が払ってる。俺が払ってるんだと思うと、なんとなくばかばかしくなってくる
 麻生副総理は、総理大臣時代の2008年にも、経済財政諮問会議で「たらたら飲んで、食べて、なにもしない人の分の金を何で私が払うんだ」と発言して批判を浴びたことがあります。16日の委員会でも、「当時はいいようにたたかれてボロカスになった」と振り返りながらも、健康なら保険料が還元されるような制度を導入すべきだという持論を改めて主張しました。

いつもながら一言余計な麻生節の効果もあってマスコミなどにはさっそく突かれそうなネタではありますが、しかし批判を浴びたといっても批判したのはマスコミばかりで、市民の声は「当たり前だろjk」というものだったように記憶しておりますが…
いずれにしても努力に対しては相応に見返りがあっていいんじゃないかという考え方自体はあるべき人の道としては至って健全な発想と言うべきで、保険料還元がいいのかどうかは別としても一般論としてそうおかしな考え方とは思えません。
もちろん努力しても病気になったから差別するというのはこれは公的皆保険制度の根幹を揺るがす間違った考え方で、民間保険のように病気持ちは保険料が高騰して実質保険診療から閉め出されるようなことがあってはならないですが、長年一定額以下しか医療費を使ってこなかった人には一定額を還付するなり保険料を割引くなり、それなりのご褒美は健康に対するモチベーションも高めるでしょうね。
こういう考え方が出ると「医療をたくさん必要とする人々が割を食う。とんでもない話だ」と反対論が出るものなんですが、例えば自動車保険などは厳密なルールに従って運用されていますが、ご存知のように事故歴や車種によって非常に細かく保険料が区分されているというのは同様な考え方によるもので、あれに対して「事故率が高い人間ほど保険の必要性が高いのにおかしいじゃないか」と文句をつける人はいませんよね。

実際には評価すべきなのは健康であろうとして行った努力なのか、それともその結果得られた健康という結果なのかというところでまた議論は分かれそうですし、結果に反映される保証がない努力をどのように評価するかということもなかなか難しいところがありますけれども、現状のように「高い保険料を強制的に取られるのなら使わなければ損」となりがちな制度よりは多少なりとも医療費抑制効果が期待出来そうです。
医療費明細をみていただいても判る通り実際の医療費は自己負担よりもずっと大きい金額ですし、特に入院などで高額医療費の上限を超えるような場合は財政的持ち出しも大変な金額になるわけですから、例えば年間医療費がいくら以下の場合には節約した分の○割相当をキャッシュバックといった形であっても、少ない金額の支出でそれなりの効果が期待出来るかも知れませんね。
しかし病気というものには一方では生活習慣病に代表されるように不摂生によって発症したり悪化したりするものもあれば、本人がいくら努力してもどうにもならない類の病気ももちろんあるわけですが、自身が難病持ちである安倍総理はこういう考え方をどう捉えているのでしょうか?

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2013年4月17日 (水)

昨今上向きだという医療業界は今も現場の献身的努力に支えられている?

ようやく景気が上向きつつあると感じる人が増えてきているようで世の中も次第に雰囲気が変わりつつあるところですが、そんな中で一足早く上昇基調に乗っていると認識されているのが医療・介護領域だという内閣府の調査結果が先日出ていました。

「良い方向に」医療・福祉が7年ぶりトップ-内閣府世論調査(2013年4月9日CBニュース)

 内閣府が実施した「社会意識に関する世論調査」によると、現在、良い方向に向かっていると思われる分野に「医療・福祉」を挙げた人の割合(複数回答)は27.5%で、2012年の前回調査から5.0ポイント上昇、「科学技術」(25.7%)を抜き、06年以来7年ぶりにトップになった。

 「医療・福祉」が良い方向に向かっていると思う人の割合は、09年には13.2%にまで落ち込んだが、その後は4年連続で上昇し続けている。今回の調査では、男性の25.7%に対し、女性が29.0%と高かった。年代別では、20歳代の32.6%が最も高く、最低は40歳代の20.7%。地域別では、人口10万人未満の「小都市」が28.4%で比較的高く、東京都区部など「大都市」で25.5%と低かった。

 一方、この分野が悪い方向に向かっていると思う人の割合(同)は、前回の21.2%から5.8ポイント減り、15.4%だった。こちらは、医療崩壊が盛んに報道された06年から07年にかけて急激に伸びたが、09年の37.3%をピークに4年連続で減少した。

 調査は、全国の成人1万人を対象に1月24日-2月10日に実施し、有効回収率は60.9%だった。【兼松昭夫】

一般国民を対象にした、いわばイメージでの調査ですから現場の実感としてはどうなのかは判りませんが、なんだかんだと言いつつ景気の波に左右されないというのは不景気が慢性化する時代には強いのは確かで、昨今の医学部人気の高値安定化もその辺りの理由も大きいのでしょうか。
数年前に医療崩壊だ、救急たらい回しだとマスコミなどによっても取り上げられるようになった時代があり、その頃からすると制度的な面で現場の何がどう変わったかと言えば特に劇的な変化はなかったのかも知れませんが、例えば診療報酬が名目だけでもマイナス成長からプラスに(と言うよりもマイナスでなくなった、と言うべきでしょうが)転じた効果もあってか、経営的にはやや落ち着きを取り戻した施設が多いと言います。
現場の医師の数などもそうそう増えているわけでもないのでしょうが、多忙を極めた医師達も出来ないものは出来ないと無理はしなくなってきた、そして周囲も医師ならこれくらいの激務は当たり前と無理をさせなくなってきたという気配があって、なんだかんだ言いながら落ち着くべきところに落ち着いてきたのかなという印象も受けるところです。

もちろんそうした変化が心理的なものに留まらず現象面において影響を与えずにはいられないわけで、例えば聞くところによると某基幹病院では往時には夜間にまで予定手術を組んでまで一生懸命仕事を続けていたところがあまりの激務にスタッフの一斉逃散を招き、結局今ではほどほどのところで手術件数を抑えていると言います。
その結果かつては手術までの待ち時間が一週間だったものが例えば一ヶ月になるといったこともあるかも知れませんが、医療と言うものが何よりも永続性を担保していくべき性質のものである以上それが可能な体制で続けるべきなのは当然であって、一瞬だけ燃え尽きて後は野となれ山となれという考え方で無理や無茶を押し通す方が無責任とも言えますよね。
「それでも手術が遅れたことによって患者に不利益があるんじゃないか?」と言う人はいるかも知れませんが、現実の医療現場では医師らスタッフの過労の方がはるかに実際的な悪影響を及ぼしているということは以前から繰り返し言われているところです。

外科の医療事故などの原因は「過労」-日本外科学会がアンケート調査(2013年4月15日CBニュース)

 忙し過ぎる勤務環境が、事故やインシデント(ヒヤリ・ハット)を招く-。外科医の8割余りが医療事故やインシデントの原因が「過労・多忙」にあると考えていることが、日本外科学会のアンケート調査で分かった。その一方で、7割余りの医師が当直明けに手術に参加した経験があることも明らかになった。

 日本外科学会は昨年10月30日から12月10日にかけて、全会員を対象にメールによるアンケート調査を実施。8316人から有効回答を得た。

 外科診療における医療事故やインシデントの原因について尋ねた質問(複数回答)では、「過労・多忙」が81.3%で最も多かった。次いで「メディカルスタッフとのコミュニケーション不足」(67.1%)、「知識・勉強不足」(59.4%)、「技術の未熟」(53.4%)などと続いた。

 最近1-2年で当直明けに手術に参加した経験について尋ねた質問では、「いつもある」が36.0%で最多となったほか、「しばしばある」は25.0%、「まれにある」は12.5%を記録。当直明けに手術に参加した外科医は73.5%に達し、2011年に実施した同じ調査と比較して2.1ポイント増えた。さらに、当直明けに手術をした医師に対しアンケートした結果、その71.2%が「当直明けは休みというルールを作るべき」と回答した。同学会では「当直明けの業務軽減を実現するためにも、外科医が本来業務に専念できる体制を整えるためにも、医師と看護師の中間職種であるナース・プラクティショナーやフィジシャン・アシスタントの創設・養成が必要」(事業課)としている。

■半数余りの外科医「兼業を経験」

 また、兼業の有無について尋ねた質問では、52.6%の医師が兼業していると回答。兼業している医師に、その理由を尋ねたところ(複数回答)、「金銭のため」が63.8%で最も多く、以下は「病院依頼による地域医療支援等のため」(45.9%)、「学会活動のため」(16.4%)、「修練のため」「個人判断による地域医療支援等のため」(いずれも15.4%)などの順となった。【ただ正芳】

「だからナースプラクティショナーをさっさと導入すべきだ」といった同学会の結論部分に関しては本稿では触れませんが、近年多少は改善傾向にあるとは言え日本では日勤からそのまま当直業務を行い、そしてまた翌日の日勤業務を当たり前にこなすというスタイルを強いている病院が圧倒的大多数であって、むしろ当直開けの勤務に配慮しているという施設の方が例外に属するというのは憂慮すべき事態ですよね。
患者なら誰でも一生にそうそうあって欲しくない手術という体験を前に緊張もしているでしょうし、それを行う医師の側にも万全の体制で手術に当たって欲しいと考えるのは当然ですけれども、実際には多くの場合は前日から働き通しで疲弊しきった医師達の手によって手術が行われているのだという状況に患者側こそ危機感を覚えなければならないでしょう。
医療訴訟などに発展しかねない医療リスク管理の意味もあって、ある程度以上の規模の病院では当直も内科系、外科系と二人以上で行う場合が多いでしょうが、当然一人の医師が全ての患者を診る全科当直よりも当直回数が増え、結果として過労を抱えたまま翌日の業務に回るという機会が増えることになります。
また外科系病院でもなければ外科医の数は一般に内科医よりも少ないのが普通だと思いますが、外科系当直とは言っても失礼ながら眼科医や耳鼻科医では本当の緊急処置に対応出来ない場合がほとんどでしょうからいわゆる単なる電話番ともなりかねず、実際にはオンコールの外科医が全て対応するというのでは当直を外れた意味がないということにもなりかねませんよね。

結局のところは外科医の仕事をどれだけ減らせるかということに要約されるのですが、無闇に外科医を呼び出す側にもそれなりの理由があって、昨今では後で何かあれば医療訴訟に発展しかねない時代ですからとりあえず専門家にコンサルトして大丈夫と一筆もらったという証拠が欲しい、そのためにとりあえずオンコールに連絡しておくというのはリスクマネージメント上は必ずしも間違いとも言い切れない対応ですよね。
また内視鏡やインターベンションの進歩で昔と比べて手術が減ってきたはずだという意見がありますが、例えば内視鏡医が何時間もかけて切除する胃癌も外科医なら1時間で終わる簡単な部類に属するものが多いはずで、そうした優しい症例を除いた難しい患者ばかりが外科病棟のベッドを埋めているということになってくれば、むしろ術後管理の手間などを考えると以前よりも大変だということにもなりかねません。
医療秘書などを増やして書類仕事を分担させるといった対策も今ひとつ画期的な成果を上げているようではありませんが、結局根本的には一度手術を手がけた患者は外来でのフォローアップから再発時の化学療法、さらには終末期の看取りまで全部自分でやらないではいられないという、古き良き時代から続いている主治医制と言うものの束縛から外科医自身が解放されないことには抜本的な解決とはならない気がしますね。
もちろん一生懸命手術の数をこなさなければ経営が成り立たない診療報酬体系の是正だとか、過労になることを承知の上でさらに働けと尻を叩き続ける経営側の判断なども問われるべきでしょうが、何より当事者自身が無理を通せば仕事の質も下がるしかないという当たり前のことをどこまで自覚出来るか、そしてその上で自ら是正策を講じられるかが一番の課題なのでしょう。

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2013年4月16日 (火)

終末期医療と安楽死

終末期の延命医療ということに感して、先日相次いでこういう記事が出ていたことを最初に紹介してみましょう。

御坊保健所が終末期医療意識調査(2013年4月3日日高新報)

 御坊保健所は、 管内の一般住民1300人を対象に行った終末期医療に関する意識調査の結果を発表した。 これによると7割以上が終末期医療に関心を持っており、 全体の約9割が自身の延命治療を望んでいないことが分かった。 リビング・ウィル (生前の意思表示) への意識も高く、 約8割が必要と答えている。 保健所では結果をもとにリビング・ウィルの啓発や在宅医療態勢を充実させる対策を検討していく。

 終末期に対してどのような考えを持っているかを把握し、今後の医療や介護の態勢づくりに役立てていこうと初めてアンケート調査を行った。対象は管内1市5町の40~79歳の住民1300人を無作為に抽出し、ことし1月に実施。927人から回答があり、回答率は71・3%だった。

 終末期医療について関心があるかの問いには、「非常に」と「少し」を合わせると75%以上が「ある」と答え、高い関心を持っていることを表している。自身の延命治療については、「どちらかというと望まない」を含めて9割近くが「望まない」とし、「望む」はわずか2・5%だった。ただ、家族の延命治療については「望まない」が7割にとどまり、「望む」は7%に増え、「分からない」も17・3%いることから、自身は望まなくても家族になると望んだり、迷う人が多いことをうかがわせている。

 元気なうちに自身の終末期医療について意思表示しておく「リビング・ウィル」にも関心は高く、81%が「必要」と答え、さらに5割の人が書面の必要性を感じている。自身が最期を迎える療養場所の問いには「自宅」と答えた人は37・9%で4割にも満たず、病院と老人施設で3割以上あった。家族の最後の療養場所も同様で、自宅は35・9%にとどまった。

 自由欄には「家族が胃ろうの延命治療をするとき、家族内で意見が割れた。本人の意思が重要」「自宅療養者にもっと厚い支援が必要」などの意見があった。同保健所の西岡倫代主任は「今回の結果を基礎データとし、リビング・ウィルをもっと啓発していくことと、在宅医療態勢を充実させるために、医師や介護員、家族らが情報を共有する方法として『患者支援ノート』を作製することなどを検討していきたい」と話している。

延命措置、医療スタッフの9割「望まず」-高齢社会をよくする女性の会が調査(2013年4月3日CBニュース)

自身が自分で意思表示もできず、治る見込みもない状態に陥った場合、約9割の医師や看護師は、人工呼吸器の装着も心肺蘇生も胃ろうも望まない―。こんな調査結果が「高齢社会をよくする女性の会」によってまとめられた。また、医療スタッフとそれ以外の人で比較した場合、いずれの延命措置についても医療スタッフの方が「望まない」と答えた割合が高かった

会では、昨年12月から今年2月にかけて、全国の介護関連職や看護職、医師らにアンケート調査を実施。4744人から回答を得た。

このうち、「あなたが意思表示できない状態になり、さらに治る見込みがなく、全身の状態が極めて悪化した場合」という前提で、心肺蘇生が必要かどうかを尋ねた質問では、医師では87.4%、看護職では88.7%が「してほしくない」と回答した。一方、介護関連職の場合は70.1%、その他の職業の人では65.5%が「してほしくない」と答えた

同様の前提で、人工呼吸器の装着の是非を尋ねた質問では、医師の89.1%が「してほしくない」と回答。看護職では97.1%が「してほしくない」と答えた。一方、介護関連職の場合は86.4%、その他の職業の人では82.7%が「してほしくない」と答えた。

同様に、胃ろうの造設については、医師では83.9%、看護職では89.0%が「してほしくない」と回答したが、介護関連職で「してほしくない」と答えたのは85.9%、その他の職業の人で「してほしくない」と答えたのは80.0%だった。

CBニュースの記事にもあるように「医療スタッフとそれ以外の人で比較した場合、いずれの延命措置についても医療スタッフの方が「望まない」と答えた割合が高かった」という傾向は日常的に死を身近に見ていることからくる実感が原因なのかとおもいますが、同時に相対的に延命措置を望む人の割合が高いはずの一般人においても、すでに大部分が延命医療を望んでいないという現実も現れていますね。
延命医療と一言に言っても、それでは切除不能癌に対する化学療法は延命なのか?などと言われれば単純にそうだと言い切れないものもあって定義が難しいところだと思いますが、「自身が自分で意思表示もできず、治る見込みもない状態」にもなった段階でのただ結論を先延ばしにするだけの延命的行為に対しては、すでに大多数の国民がそれを望んではいないということです。
ただこれももう一つ微妙な問題もあって、こうした調査でしばしば言われることに自分自身に対しては望んでいないという人でも家族に対しては必ずしもそこまで思い切ってはいられず、もしかしたら延命を希望してしまうかも知れないと考える人が一定数いるわけですから、本人がすでに意識もない状態になっている医療現場において今もそれなりの延命行為が行われていることも仕方がないのかなとも思いますね。

現在の医療体制を考えると、救急受け入れなどの問題もありますからある程度以上の年齢になれば例え目立った病気はなくともかかりつけ医を持つことが望ましいはずですし、出来ればその段階で自分の終末期についても意志を明確にしておくのが理想的なんでしょうね。
もちろん死生観など人それぞれですし、日本では延命治療をしたからといって家族が破産するようなこともまず考えられないのですからどちらでも好きな方を選べる自由があるのは幸いなことではないかと思いますけれども、ただ延命を望みながら治療を受けられない人がいることが問題であるなら延命を望まないのに延命医療を受けざるを得ない人がいることも同等に問題であると言う認識は持っておくべきでしょう。
その意味では延命医療の議論とはすなわち安楽死・尊厳死問題とも直接的に結びついてくるはずなんですが、先年尊厳死法が成立した米ワシントン州でこんなデータが出ていますが、ちなみにいささか混乱するのですがこの場合の尊厳死とは日本で言う安楽死(薬物投与等で積極的に死を早める)と言うべきもので、日本で言う尊厳死(延命治療の停止による死)とはニュアンスが異なることを付記しておきます。

尊厳死法に基づき24人死亡 米病院、40人に処方(2013年4月12日産経ニュース)

 米ワシントン州の病院で2009~11年に、尊厳死を求める末期がんの患者40人が自分の意志で致死量の薬の処方を受け、24人が薬で死亡したとの報告が、11日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。ワシントン州では09年に、オレゴン州に次ぎ米国で2番目となる尊厳死法が施行された。

 是非をめぐっては専門家の間でも議論があるが、報告した米フレッド・ハッチンソンがん研究センターのチームは「患者に選択肢を与えるものだ。家族にも好意的に受け入れられている」としている。

 報告によると、同センターなどの尊厳死プログラムに問い合わせてきた患者114人のうち、40人が手続きに沿ったカウンセリングを経て致死量の薬を受け取った。患者らが尊厳死を望む理由は自律性の喪失や、望む活動ができなくなることなど。最終的に24人が薬を飲んだが、うち半数は処方から半年以上も薬を飲まなかった。(共同)

ワシントン州の尊厳死法については「余命半年以下と診断された患者に対して医師が致死性薬物を処方することが認められている」というもので、気になる薬物の効果のほどは「通常は服薬後10分以内に意識を失い、多くは90分以内に死亡する」といい、一部では薬を吐き出してしまい死にきれなかったという例はあるもののおおむね効果は安定しているようです。
ワシントン州の人口は670万人余りと言いますから愛知県よりやや少ない程度ですけれども、今回の報告では三年間に問い合わせが114人で処方した者が40人、しかも実際に亡くなったのはそのうち24人というのは多いのか少ないのかと言えば、思ったより少ないという印象を抱く数字かと思います。
興味深いのはその理由で、「自律性の喪失」や「望む活動ができなくなる」などが理由というのはいかにも自己決定権を重視するアメリカらしい理由だとも感じますが、例えば高額な延命医療を受けられないといった経済的理由の場合は今までにも日本で言う尊厳死を行ってきたはずですし、9割の患者は保険に入っていたと言いますから最低限の医療を受ける程度の余力はあるという点で日本に似た背景とも言えそうですね。
しかし考えて見れば「家族にも好意的に受け入れられている」というのは当然で、逆に家族の反対が続いているのに幾ら自己決定権の尊重と言ってもこうした制度は利用すべきではないのでは、とも思いますが、やがて制度が浸透し利用者が増えてくるほどその辺りの突き詰めた議論が求められるケースも出てくるかも知れず、注目するべき今後の課題と言えそうです。

記事から見る限りでは一部の方々が懸念するように日本で言う安楽死を認めると周囲の圧力によって患者が死を選ばざるを得なくなり、望まぬ死を迎える者が急増するという状況には今のところなってはいないようで、特に薬は受け取ったものの使わない人が半数近くに上るというのは逆にいつでも死ねると言う安心感が生きる意志を保たせているということなのかも知れません。
もちろん日米の死生観の違いもある以上日本で直ちに同じような法律が出来るというものでもないはずで、例えば昨年末にも尊厳死法制化を目指して議員立法の動きがありましたが、この場合も先の記事のように積極的に薬等で死を早めることまでも求める意志は全くなく、あくまで延命処置中止による尊厳死を求めるものであるということで、現状この辺りが立法化を目指す場合の落としどころかなとは思います。
しかし毎年1万人以上も拳銃自殺がある(銃による自殺は飛び降り等他の方法より断然成功率が高いそうです)ほどいつでも死ねる環境にもあるアメリカでもこうした需要が一定数あるということを考える時、年間3万人の自殺者を抱える日本においてその潜在的需要はどれほどかと考えてしまいますが、仮に法律が成立したとしても本来的な意味に立ち返って医学的に末期という場合に限るという大原則だけは断固徹底すべきでしょうね。
安楽死などと言うと何やら死ぬのが楽しいことであるかのような語感がありますが、安楽死を求める人々はその前段階としてもはや生きてもいけなければ平穏な最後を得られる見込みもない人々なのだということを忘れてしまうと、単に楽で確実に死ぬ道を提供する安易な自殺幇助との境界線が曖昧になってしまうでしょう。

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2013年4月15日 (月)

新専門医制度 大枠決まる

昨今何かと話題になる新専門医制度では制度自体がどうなるのかということもさることながら、多くの医師にとっての現在の関心は従来の専門医資格がどう扱われるのかということに集中しているのではないかと思います。
その点について社団法人日本専門医制評価・認定機構理事長の池田康夫氏が先日以来各地で説明を行っていますけれども、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

新たな専門医制度めぐり、本音で議論-池田理事長と兵庫県医師会(2013年4月1日CBニュース)

 兵庫県医師会は、「専門医制度が近々、大幅に変わる」と題したセミナーを3月30日、神戸市内で開催した。日本専門医制評価・認定機構の池田康夫理事長と、兵庫県内の研修医、専攻医、指導医らが、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」で方向性が固まった新たな専門医制度をめぐって本音で議論した。
 新たな専門医制度の枠組みは、厚労省検討会の議論の結果、まず専門医の資格認定を担う中立的第三者機関を設立、基本領域を取得してから、より専門性の高いサブスペシャルティ領域の研修に移るという2段階制とする方針が打ち出された。近く最終報告書として提出される。今年度中に第三者機関を設立し、その後、各学会と連携しながら、プログラム策定へとつなげ、2017年度にも新制度による専門医研修が始まる
 検討会の構成員である池田理事長は、制度改革の経緯や狙いについて解説。現在の専門医制度の問題点として、各学会が独自に制度を設けて認定しているため、専門医の質担保に懸念があり、国民にとって理解しにくい制度であることや、プログラムが必ずしも臨床能力本位、患者の視点に立ったものではないことなどを挙げ、新制度に移行する意義を強調した。
 講演後のディスカッションでは、▽現制度で資格を取得しようとしている「谷間世代」への対応▽現制度での取得者の今後の処遇▽新制度・現制度の両立による混乱への対処▽第三者機関がどこまで関与できるのか▽開業医が資格を失った場合、科を標榜していいかどうかーなどの具体的な質問が相次いだ。
 池田理事長は、現制度と新制度両立の考え方として、「安易に現制度を新制度に移行はしないが、新制度でも齟齬がないよう納得できる形で更新基準を設ければ、新制度で更新したことにより、新制度で認定された専門医として認めるというのも一つの考え方。また、これから取得する人に関しては、少なくとも、17のサブスペシャルティ領域の制度設計は既にOKが出ており、新制度とほぼ同じ内容であるため、谷間世代を不利益に扱うことはなくて済むだろう」と述べた。
 制度の両立による混乱について池田理事長は、「今までの人は今までの人、新しい制度の人は新しい制度の人といように厳密に区別することを主張する一部の先生方もいるが、実際の問題としては、ダブルスタンダードになる形は混乱の極みになるので、避けたいというのが私どもの考えで、恐らくそうなっていくだろう」と話した。
 さらに第三者機関については、大きな組織にするのではなく、今までの各学会を中心に考えた標準化作業を進めるための機関を想定していると説明。各学会から委員を派遣してもらい、各診療領域の専門医ボードを設置。グッチ アウトレットボードメンバーには、各学会からを8~9割、関連領域の他学会からを1、2割とすることで、他学会のプログラムの利点を取り入れるメリットもあるとした。
 また、現制度での取得者の診療科の標榜については、すぐに標榜をできなくすると大混乱になるので、慎重に対応しいていくと考えを示した。しかし、更新制度は、その領域で日常診療をしていることを条件にしなければならないと強調。学会に参加したから更新できるというような形ではなく、e-ラーニング講習を取り入れるなど、別のしくみを考えていく必要性を示唆した。

特に問題となりそうなのが資格の引き継ぎがあるのか、そして専門医資格が更新できなくなった医師、特に開業医は標榜診療科の看板を降ろさなければならなくなるのかといったあたりでしょうが、まずは旧資格からの引き継ぎについてはいわゆる移行措置については安易なものとして忌避する考え方が根強いようで、それなりに厳重なチェックが入ることになるのではないかと思います。
問題はこの点で新専門医制度下での更新で引き継ぎ審査を代用するという考え方があるようなんですが、この新専門医制度自体が実際にその分野の実臨床を担当し症例数を持っている先生でなければ更新できないということですから、こうなるとかつて専門医をとったまま延々と引き継いできた多くの先生方が資格を失うということにもなりかねませんね。
このあたりは後者の問題点とも関わってきますが、認定された施設(おそらくは地域の基幹病院など)で一定数の症例を持っていなければ認めないという現行の専門医試験のようなシステムが更新時にも採用されるとすれば、多くの医師達が人生のどこかの段階で専門医資格を失うことになりかねず、標榜診療科と新専門医資格を関連づけるということが認定施設以外では非常に難しくなってきそうです。
このあたりをどう考えているのかが多少なりとも推察できるのが、先日日経メディカルで掲載された池田氏のインタビューですが、「第三者機関が認めた専門医のみが広告できる、診療科目として標榜できる仕組みも検討したいと思っています」というくらいですからあるのとないのとでは収入にも大きく影響する制度になりそうです。

専門医制度で日本の医療は変わる、今年度中に第三者機関を/池田康夫(2013年4月12日日経メディカル)

 3月7日の厚生労働省「専門医の在り方に関する検討会」で報告書案が了承され、正式な報告書が4月に公表されます。質が担保された専門医を、学会から独立した中立的な第三者機関で認定する新たな仕組みづくりがその骨子です。
(略)
 第三者機関では、専門医育成のための研修プログラムと研修施設の評価・認定も行います。研修プログラムについてはカリキュラムにのっとって各学会がモデルプログラムを構築し、それを基に各研修施設が具体的なものを作成することを想定しています。こうした仕組みにより、それぞれの診療領域において患者から信頼される、標準的な医療を提供できる医師が育成されると考えています。

 専門医制度を確立することによって、日本の医療のあり方も変わっていくのではないでしょうか。例えば、わが国で社会問題にもなっている地域や診療科における医師不足や偏在の状況に、専門医制度が一石を投じることになればと思っています。

 現在、都市部の大病院に後期研修を受ける医師が集中しているわけですが、都市部とはいえ1施設で経験できる症例数は限られており、制度に沿った研修プログラムを作るとなれば、そこで研修できる人数も決まってきます。各基幹施設は研修プログラム設定に当たり定員を設け、地域の施設と病院群を構成していく必要も出てきます。研修プログラムによっては、一定期間の地域医療に関する研修も求められます

 一方、外科系の研修プログラムでは、一定以上の手術件数を確保する必要性から、地域では施設の集約化が進むことも予想されますし、場合によっては病院群での研修が必要となります。

 今後は専門医の取得にインセンティブを付けることも重要だと考えています。例えば、中立的な第三者機関が認めた専門医のみが広告できるようにしたり、診療科目として標榜できる仕組みも検討したいと思っています。第三者機関が認めた専門医が行う診療行為に新たなフィーを付けるといった仕組みも考えられます。
(略)

一定の症例数が必要ということになれば特に外科系では町医者が更新できるのかと気になるのですが、現在までの議論では外科系学会はすでに取得・更新時に一定数の症例などを課すようにしていることから、新制度に移行しても大きな変更は必要ないということのようで、今現在維持出来ている先生方にとっては新制度になっても維持出来そうだと言うことでしょうか。
逆に内科系はかなりの変更が予想されるということなんですが、特に二階建ての一階部分について気になるのが医師として必要な総合的能力を担保するために日医の生涯教育を使おう、などという声が一部にあるらしいことで、これは日医という組織を医師のキャリア形成上必要欠くべからざるものにするための布石ということでしょうか。
また池田氏自身が述べているように新専門医制度は医師偏在解消のための手段としても利用される予定であるということで、専門医資格というアメと地域医療への貢献という義務とをセットにするというやり方がどの程度受け入れられるかですが、案外ローテート研修当たり前というこれからの時代の医師には抵抗感がないのかも知れません。
最終的には診療報酬上の評価がどのようなものになるのかによって各医師の必死さ加減が決まってくるように思いますが、地域の中小医療機関においては専門医資格保持のためにも基幹病院との系列化を推し進める必要があるとなれば、厚労省のもくろむ医療リソースの集約化も狙い通り捗るということになってくるのでしょうか。

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2013年4月14日 (日)

今日のぐり:「しーじゃっく高梁店」

この歌なんだったかな…と考え込んでしまう瞬間は誰にでもあるものですが、先日こんなびっくりする話が紹介されていました。

Yahoo!知恵袋に投稿される「曲名を教えてください」の質問がカオスすぎると話題(2013年3月6日おたくま経済新聞)

Yahoo!知恵袋というサービスをご存じでしょうか?
誰かが質問を投稿すると、それについて誰かが答えを返してくれるというちょっと便利なサービスです。質問されるのは専門知識を要する事からどうでもいいことまで様々。
そんな数ある質問の中でも、今ネットを通じて話題になっている質問があります。
それは「曲名を教えてください」。

質問者は文章だけで曲の雰囲気を伝え、回答者はその少ないヒントから曲名を当てるのです。
今回は、Yahoo!知恵袋から実際に投稿された質問とその回答をご紹介いたします。
一応回答は添えておきますが、読者のみなさんも是非曲あてクイズのつもりで挑戦してみてください。

――質問(1)
曲名を教えてください!ピアノの曲だったと思います。
いきます

ちゃららららんららん ちゃららららんららんらんらん
ちゃららららんららん ちゃららららんららんらんらん
らんらんらんららんらんらんららん

ちゃららんららんらんらんららん
ちゃららんららんらんらん ちゃららららん

⇒ベストアンサーの回答:久石譲のSummerって曲ではないでしょうか。
(引用:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1037018615?fr=rcmd_chie_detail)

――質問(2)
曲名を教えてください!
すごく迫力のあるテンポのはやい曲です!

「ダン!ダン!|ダン!ダン! |ダッダダーッダダー|ッダダーッダダー|アーアア|アアアア|アアアアアア|アアアアーア|アンディレレレディレレレディレレレ|ディレレレディレレレディレレレディレレレ|ダン!ドン!ダン!ドン!|ダン!ドン!ダン!ドン!|ダッダダーッダダー|ッダダーッダダー|アーアア|アアアア|アアアアアア|アアアアーア|アンディレレレディレレレディレレレ|ディレレレディレレレディレレレディレレレ・・・」

よろしくお願いします。
m(__)m

⇒ベストアンサーの回答:ベルディのレクイエムから「怒りの日」だと思います。
(引用:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1386508058)

――質問(3)
曲名を教えてください。
たぶん有名な曲名だと思うんですが、オーケストラの曲でテンポがはやい曲です。

たりらりら |たりらりらりらり|たりらりら |たりらりらりらり|たりらりらりらり|たりらりらりらり|らどどどどどどど|たーり|らたりら|たーり|らたりら|ぱーん|ぱーぱ|ぱぱぱぱ|ぱぱぱぱ|ぱっぱかぱっぱかぱっぱかぱっぱか|たりらりら・・・(最初と同じ)

わかりにくいかも知れませんがよろしくお願いします。

⇒ベストアンサーの回答:モーツァルトのフィガロの結婚序曲かな?
(引用:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1386364768)

――質問(4)
曲名を教えてください!!
有名かどうかはわかりませんがテンポのはやい曲です。かっこいい曲です。

ジャンジャジャジャン|ジャンジャンジャン|ジャンジャジャジャン|ジャンジャンジャン|ジャンジャジャジャン|ジャンジャンジャン|ジャンジャジャジャン|ジャンジャンジャン|ジャンタタタン|タンタンタン|タンタタタン|タンタンタン|タンタタタン|タンタンタン|タンタタタン|タンタンタン|タンタタタン|タンラーラ|ラーラ|ンラーラ|ラーラ|ンララ|ラララ|ラーラ|ラーー|ピロピロピロ|ピロピロピロ|ピロピロピロ|ピロピロピロ|ピロピロロロ|ピロピロロロ|ピロピロロロ|ピーー|ンラーラ|ラーラ|ンラーラ|ラーラ|ンララ|ラララ|ラーラ|ラーー|ピロピロピロ|ピロピロピロ|ピロピロピロ|ピロピロピロ|ピロピロロロ|ピロピロロロ|ピロピロロロ|ピーー|ンジャカジャカ|ジャンバンバン|バンジャカジャカ|ジャンバンバン|バンタリラリ|ラリーラ|ラリーラ|ラー・・・

よろしくお願いします。
m(__)m

⇒ベストアンサーの回答:ビゼー:カルメン第1組曲よりアラゴネーズ
(引用:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1086687310)

――質問(5)
曲名を教えてください!!
有名かどうかはわかりませんが、ちょっと不気味な感じのするオーケストラの曲です。

(最初は弱く始まる)ドドドドドドドドドドドド|ファッファーファ|ファドドドドドドドドドドド|ファッファーファ|ファドドドドドドドドドドド|ダッダーダ|ダドドドドドドドドドドド|ダッダーダ|ダドドドドドドドドドドド|(ここから徐々に強くなる)ダッダードドドドドド|ダッダードドドドドド|ダッダードドドドドド|ダッダーッダー|ッダーッダー|バババーーー|ドドドドドドドドドドドド|ジャン!ラー|ラーラッララ|ラッラッ|ラーラッララ|ラッラッ|ラーラッララ|ラッラッ|ラー・・・
|
よろしくお願いします。
m(__)m

※「ド」とか「ファ」はドレミファソラシドの「ド」や「ファ」ではありません。雰囲気です。

⇒ベストアンサーの回答:ベルリオーズ:幻想交響曲、第4楽章です。
(引用:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1186661281)

――質問(6)
曲名を教えてください。「ぱぱぱぱぱぱぱーぱぱぱーぱぱぱーぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぁーぱぱぱぱぱぱぱー」文字で表現するとこんな感じになります。何かの映画で使用されていたクラシック系の曲です。
わかりにくくてすみません。

⇒ベストアンサーの回答:グリーグ 山の魔王の宮殿にて
(引用:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11100228356)

以上6曲をご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか?
質問者が投稿する文章から1問でも正解を導き出すことができましたでしょうか?
私も挑戦してみましたが、1曲もわかりませんでした。

ちなみにこの質問に対する回答。ほんの数時間で正解を回答している方がほとんどでした。
分かる方にはわかるんですね。

恐ろしいのはこのヒントで二人同時に正解が出ていたりするところなんですが、元ネタを知っていて見直してもさっぱり判らないような気がするのは自分だけでしょうか?
本日は暗号解読めいた才能を発揮する回答者の方々に敬意を表して、世界各地から音楽に関わるびっくりする話題を紹介してみましょう。

北海道・池田高校吹奏楽部の「ももクロ」ダンシング演奏がカッコよすぎると話題に! ネットの声「鳥肌ヤバい」(2013年3月21日ロケットニュース24)

今の吹奏楽部って、こんなにスゴイの!! そう驚いてしまうほどの超絶パフォーマンスを見せるある高校の吹奏楽部が、現在ネット上で注目を集めている。その話題沸騰中の吹奏楽部とは、ズバリ北海道池田高等学校の吹奏楽部である!

彼らはこのたびYouTubeに「「サラバ、愛しき悲しみたちよ」〜「ドリフの早口言葉」ダンプレリハ」というタイトルの動画を投稿。そのタイトル通り動画のなかで、吹奏楽部のメンバーたちは人気アイドル「ももいろクローバーZ」の『サラバ、愛しき悲しみたちよ』、そして次に昔懐かしいザ・ドリフターズの早口言葉を演奏していく。

だがこれらの演奏、そんじょそこらの演奏とは一味違うのだ。なんと踊りながら演奏していくのである! 信じられないかもしれないが、吹奏楽部メンバーたちは曲のイメージに合わせたダンスをキレッキレッに踊り、そして楽しく演奏していくのだ。

これには多くのネットユーザーが衝撃を受けており、動画には次のようなコメントが続々と寄せられている。

・ネットユーザーの声
「完成度高すぎww」
「振りつけ完璧!!GJ」
「素晴らしい!学生時代にこんな演奏してみたかった」
「鳥肌ヤバいです!」
「めっちゃカッコいいな!」
「学生服がたくさんで懸命に演奏し踊る姿に胸打たれる!!皆ももクロ好きなのかなー。すごい!!!」
「何故かわからないが涙が溢れた初めてももクロを見たときと全く同じ感覚です」
「道民としてちょっと嬉しい」
「今俺完全にコール入れてたww本家危うしですかねこれww本当に凄いです」
「ぜひ本人たちに見せたいです」
「ももクロ本人も踊りながら歌ってるけど、それよりも明らかにきついよなこれ(笑)」

鳥肌立ちっぱなしの池田高等学校・吹奏楽部のダンシング演奏。ちなみに今回の動画に映っているのは、本番に向けたリハーサル映像である。ということは、本番はもっとスゴイものになるということなのだろうか? すっ、凄すぎだぜ、池田高等学校・吹奏楽部!!

どれくらいすごいのかはリンク先の動画を是非参照いただきたいと思いますが、これで本番にはマスコットのマングースがピアニカを弾いていれば完璧ですかね。
音楽と言えばDJなども人気ですけれども、こちらは単なるそこらのDJとは違うという存在感満点のプレイを紹介するニュースです。

アイデアに脱帽…落ちていた葉のみで超絶クールなサウンドを展開する「葉っぱDJ」(2013年4月11日Pouch)

ご自宅にターンテーブルがある方は必ず試してみたくなるであろう動画を、海外サイト『Behance』で発見してしまいました。

それはなんと、葉っぱのみでターンテーブル技を披露する、「葉っぱDJ」ことDiego Stoccoさんの超絶クールなDJプレイ! 

イタリア出身で現在はカリフォルニア在住だというStoccoさんは、作曲家でありサウンドプロデューサー。そんな彼が繰り広げるのは、おそらくあなたが未だかつて聴いたことがないであろう、葉っぱを使った超絶クールサウンドです。

葉の種類、またそこに加わる微妙な角度や圧力によって、生まれてくる音は異なります。それをレコード針に見立てることで、Stoccoさんはレコードが置かれていないターンテーブルから、新しいサウンドを創りだしている模様。こんなこと、よく思いつくよね……ホント脱帽!

葉っぱだけで、ここまでカッコイイ音楽を創ることができる。それを証明してくれたStoccoさん、あなたは本当に偉大です。自由な発想で音楽の可能性はどこまでも広がる……そんなことを実感させてくれる秀逸動画を、それでは早速お楽しみくださいませ。

これまたリンク先の動画を参照いただきたいところですが、まさか葉っぱでこんな音が出るとはちょっと想像がつかないところでしたね。
こちらもある意味で想像の斜め上を逝くという話なんですが、どのように斜め上なのかは是非動画を参照していただきたいと思います。

目の前に突き出されたプリンプリンのお尻を叩いて音楽を奏でる男(2013年2月15日ロケットニュース24)

人類の祖先は、石を打ち、草を吹き、音を奏でてきた。そして人間は文明の発達とともに楽器を発明し、現在の音楽が完成したのである。

そして2013年。新たな試みが行われ、それがネット上で話題になっている。その話題の楽器とはプリンプリンのお尻! 目の前に突き出された4つのTバック姿のお尻を叩いたりなでたりして音楽を奏でるのだ。その不思議な様子は「Bottom percussion PATAX.」で確認できるぞ!

このお尻で演奏をしているのは、パーカッショニストのホルヘ・ペレスさんだ。ホルヘさんの目の前に出されたのは4つのプリプリしたTバック姿のお尻。ホルヘさんはミュージックに合わせながらお尻を叩いていく。

主旋律とお尻パーカッションの調和は最高! 新しいミュージックの誕生を予感させるぞ。しかし、それにしてもこの4つのお尻、肌の質や腰のなだらかな曲線、叩いたときの肉の揺れ具合……どうも男の尻には見えない。

この動画にネットユーザーは

「ワオ!」
「これは女性のお尻?」
「えー、ひどい」
「女性がかわいそう」
「男性だったりして(笑)」
「いいなぁー!」
「演奏者になりたい」
「俺は今、音楽を楽しんでいる。女の尻だろうと何だろうと関係ないんだからなっ!!」

などなど、4つのお尻が女性のものであるという前提で「羨ましい」や「ひどい」という声が見られる。だがホルヘさんにはそのようなことは関係ないようだ。そこにあるのは楽器としてのお尻だからである。

古くから音楽は神事と深い関係を持っていた。「music」の語源もギリシャ神話の女神・ミューズだと言われている。清らかな心で見れば何てことはない動画のはず! さあ、邪念をぬぐいさって純粋に音楽を楽しもうぜ!

それにしても様々な意味で見事な…としか言いようがないのですけれども、この状況で冷静に演奏をこなすこの男もただ者ではない?!ということなんですかね?
ニューヨークと言えば一部では世紀末的カオスの街といったイメージもあるところですが、その街で勃発した一つのバトルが素晴らしいというニュースです。

ニューヨーク電車内で起こった「即興サックスバトル」がカッコよすぎて世界が大興奮! 海外の声「これは伝説になる」(2013年4月5日ロケットニュース24)

あるバトルがカッコよすぎると、現在海外のネット上で大きな話題になっている。その世界が注目するバトルとは、2013年3月31日に、大都市ニューヨークの地下鉄電車内で起こった「即興サックスバトル」である!

動画「SAX BATTLE IN NYC SUBWAY」にその熱いバトルが収められているのだが、これが本当に! 本当に!! しびれるほどカッコイイ! 動画冒頭にはまず、車両の反対側でサックスを演奏する一人の男性が映し出される。

そのサックス演奏に触発され、動画撮影者の目の前にいるもう一人のサックス演奏者が対抗心メラメラに立ち上がる。そしてここから、乗客全員から大歓声を引き起こす史上最高のサックスバトルが始まっていくのだ!

ニューヨーク電車内で起こったこの即興サックスバトルには、現在多くの海外ネットユーザーが心震わせており、以下のようなコメントを続々と投稿している。

・海外ネットユーザーの声
「これぞアメリカだ!」
「サイコーー! 私もこの場所にいたかった」
「これが私たちの世界の正しいあり方」
「なんて美しい瞬間なんだ」
「これは伝説になる!」
「これだから俺はニューヨークが好きなんだよ」
「史上最高のサックスバトル!」
「これはみんなを笑顔にするビデオだね」
「いま猛烈にサックスが学びてーー!」
「魂が揺さぶられるバトルだな!」
「これが音楽の力だ! 幸せと笑顔をもたらしてくれる」
「電車に乗ってる人たちのリアクションが、俺は大好き」
「こんなのが起こったら、駅を乗り過ごしちまうぜ!」

体全身で「音」を「楽」しむニューヨークの人々。そう、これぞまさに「音楽」と呼ぶにふさわしい最高のエンターテインメントである! あー、記者(私)もこの場に居合わせたかった! そしてその楽しい楽しいサックスの音を、一緒に感じてみたかった!!

電車の中でサックスの音を聞いてついつい自分も取り出してしまうという青年の表情が実に良いんですけれども、しかし彼らはちゃんと目的地で降りられたのかと気になりますね。
こちら好きでない人には何のことやらというニュースなのですが、ともかく一見の価値は十二分にあるというものすごいニュースです。

【驚愕美声】スト2のガイルステージをアカペラで完全再現したサラサラロン毛のヒゲ男がスゴイ!(2013年4月13日ロケットニュース24)

対戦格闘ゲームで最も有名な作品といえば、言うまでもなく『ストリートファイター』シリーズである。特にシリーズ2作目の通称「スト2」は、日本のみならず全世界に衝撃をあたえ、対戦格闘ゲームの世界的流行にもつながった。

そんなスト2のガイルステージをアカペラで完全再現された男が現在話題になっている。動画のタイトルは「Street Fighter 2 – Guile Theme Acapella」だ!

歌うはサラサラロン毛&ヒゲ面という厳つい男のSmooth McGrooveさん。だが、その歌声は「美声」の一言! 全パートを自ら歌い、組み合わせ、実に美しいガイルステージのテーマになっているのだ!!

また、スト2以外にもFFシリーズやゼルダシリーズ、悪魔城ドラキュラにマリオ64などのアカペラ曲も多数公開しているので、ゲームミュージックファンなら要チェック!

そういえば以前、同じくガイルステージの曲を効果音付きで完全再現したブラジル人男性もいた。彼もスゴイが、こちらもスゴイ! 他のステージも是非とも完全再現してほしいものである。

元記事の方には他にも様々なゲーム音楽の再現動画が紹介されているのですが、しかしこの再現度はすごい!と言うしかありませんね。
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、そこは逝っとけよブリ的にと思わず考えてしまいそうなニュースでもあります。

爆音で博物館が倒壊する?ナパーム・デス企画ライブ急きょ中止、英V&A(2013年3月21日AFP)

【3月21日 AFP】英ロンドン(London)のヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria and Albert Museum、V&A)は20日、館内で今週開催予定だった英グラインドコア・バンド「ナパーム・デス(Napalm Death)」のコンサートについて、「建物が崩れる恐れがある」との理由で中止せざるを得ないと発表した。

 激しい演奏が特徴のナパーム・デスは22日、V&A博物館の招待作家である陶芸家キース・ハリソン(Keith Harrison)氏とのコラボレーション企画として、同氏が制作した陶器製の彫刻作品の間で演奏を披露し、最後に音のパワーによって「彫刻を爆発させる」という内容のコンサートを予定していた。

 しかし博物館側によると、彫刻だけではなく、築150年の博物館の建物そのものも崩れ落ちてしまう可能性があることが分かったという。同博物館は声明で「非常に残念」としつつ、イベントの中止決定を発表。「本イベントは最近改修した欧州展示室で予定していたが、安全面の追加調査を行ったところ、コンサートの大音量によって歴史的建築物である本館が損壊する懸念が生じた」と説明している。

 コンサート中止決定についてナパーム・デス側は取材に応じていないが、リードボーカルのマーク・バーニー・グリーンウェイ(Mark "Barney" Greenway)氏は先に、同コンサートについて「音は武器だ」というコンセプトを追求したいとコメント。「音楽が持つ『騒音』という要素を甘く見てはいけない。クリッピングされた制作手法の枠を超えた面白いことが音楽によってできるんだということを、今回のV&Aのイベントで示したい」と語っていた。

最初から壊す目的でやっているのですから今さら壊れるもなにもないだろうというものですが、中に入った状態で壊れると観客も無事では済まないということでしょうか。
まあしかし、後先を考えるだとか空気を読むだとか言う属性は実にブリ的伝統の退廃でケシカランと考えるべきなんでしょうかね…

今日のぐり:「しーじゃっく高梁店」

高梁市内の近隣商業施設内では回転寿司も二店が競合しているようなんですが、こちら「しーじゃっく」さんは同じ回転寿司チェーン店「マリンポリス」系列の100円系という位置づけのようですね。
休日と言う事もあってか孫を連れた老人が多いのが地域性を感じさせるところで、まあ安いですし家族で連れ立ってくるにはこういう選択枝になるのでしょうが、しかし程よくくたびれた内外装が実に良い味を出しているのですが、一応鮮魚を扱う店としてはそのあたりイメージ的にはどうなんでしょうか?
こちら入店管理は昔ながらに紙と名前で機械式に慣れた目でみるとアナログながら客層を考えるとこういうやり方の方があっているのかも、とも思うのですが、その名簿を客に見やすい場所に置いておけばいいでしょうにレジ係で管理しているというのは、店舗出入り口が二箇所だから仕方ないのでしょうかね。

例によって同行者とシェアしながら適当に見繕ったのですが、マグロカツ巻なるものはマグロというかツナ缶のカツを巻いたものなんですが、味はやや油っぽくてくどいもののB級チックでおもしろいアイデアですね。
揚げナスはナスが揚げたてなのはいいんですが揚げ具合はもう少しサクサクにいってもいいかなと思うのと、油の強い味も加わっているナスにこの味噌ダレは少し弱い気がしました。
今や日本でも定番になったカリフォルニアロールの中身はアボカド入りサラダ巻きといったところですが、こちらの場合残念ながら味よりも何よりも食感がもう一つかなという気がします。
鉄火巻きはまあ値段相応、これも定番の炙りサーモンはほぼガス臭い風味のみしか感じないというもので、炙りメニューって難しいなと改めて思いました。
県北地域では鯖寿司が昔から名物なんだそうですが、こちらのトロサバは酢が強過ぎない締め加減は好みなんですがサバ自体の味もさほど印象に残りませんね。
玉子は甘すぎないお惣菜屋風の味付けで、逆にこういう客層ですと思いっきり甘く作ってもよかったかなという気はします。

近来稀に見るほど小さく狭い店内で色々と物理的制約もあるのは判るのですが、100円系にしては大胆なオープンキッチンを採用しているせいかかなり古風な寿司ロボットが目立つのは仕方ないとしても、ベルトコンベアが短いのでほぼオーダー対応のみで、回っているのはケーキやパフェばかりというなんともおかしな光景ではありますね。
また夕方ならともかく開店直後の早い時間帯であるにも関わらず最初から多くのメジャーなレギュラーメニューまでもが入荷なしというのはどうなのか、特に肝心の季節の海鮮が軒並み品切れというのは少し気になるところですが、店の規模的にある程度住民の嗜好に応じて見切りをつけていくのは仕方がないところなのかも知れません。
しかし「マリンポリス」にしろ「しーじゃっく」にしろあまり来る機会がなく他店舗との比較は出来ないのですが、こういう場所の店も営業は難しいところがあるんだろうなと思う反面、近隣競合店とは住み分けが出来ているのか、特に昔ながらの田舎町の寿司屋がどうなっているのだろうかと、そんなことも気になりました。

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2013年4月13日 (土)

春と言えば新人の多い季節ですが

先日こういう記事が出ていたのですが、案外今の年長者世代には頷ける内容であったかも知れませんね。

かつての世代が持っていた向上心と自信を失った日本の若者=中国(2013年4月10日サーチナ)

  日本の華字紙・中文導報はこのほど、日中両国の若者を比較する記事を掲載した。同記事は統計データを調査し、日本の若者は夢がなく、向上心が低いと結論づけた。アナリストは、「日本経済の衰退および貧富の差の拡大により、若者は未来に悲観的になっており、若者が夢を持てないことは社会全体の責任だ」と指摘した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  世界最大の人材サービス業者アデコはこのほど、日本で働く日中の若者の人生目標などについて調査を実施した。その結果、日本で働く中国の若者の9割が明確な目標を持っていた一方で、明確な目標を持っていた日本の若者はわずか3割しかいなかった

  現在の日本の若者は新しいことに興味を示さず、家で休暇を過ごす傾向が強まっている。マイカー購入を検討せず、活動範囲が狭く、最低限度の生活を送っている。これは「消費しない消費者」と呼ぶことができる。

  文部科学省の教育研究機関は2012年8月、米国・中国・日本・韓国の7200人の高校生を対象にアンケートを実施した。そのうち「自分は価値がある」と回答した比率は、米国が89.1%、中国が87.7%、日本が36.1%、韓国が75.1%となった。「自分に満足している」と回答した比率は、米国が78.2%、中国が68.5%、日本が24.7%、韓国が63.3%となった。前の世代から見ると、日本の若者はかつての日本人が持っていた向上心と自信を失っている

  就職氷河期の「失われた世代」、教育の「ゆとり世代」である日本の20代の若者たちは、未来を見据えリスクを避けようとしている。

  財団法人日本青少年研究所が12年に発表した「高校生の生活意識と留学に関する調査」によると、中国の6割の高校生は海外留学を希望しているが、日本の高校生の過半数は海外留学を希望しておらず、その理由の多くが「1人で生活する自信がない」などだった。また、文部科学省の調査によると、米国の大学に留学する日本の学生が急減しているという。(編集担当:米原裕子)

こういうニュースを見てもとかく今の若い連中は淡泊というか草食系と言うか、やる気があるのかないのか判らないという声がある一方で、「今の若い者は」云々ははるか古代から繰り返されてきた定型句で意味はないという反対意見もありますけれども、ともかくこれだけ社会の変化が早い時代にあって人間の変化もまた速くなってくるのは当然ではあるのでしょうね。
ちょうどこの時期は職場でも学校でも新人が目立ってくる時期で、全国各地で発生中の様々な局面でのジェネレーションギャップをメディアもおもしろおかしく報道していますけれども、当然ながら先輩諸氏から見れば新人のマナー欠如などが気になって仕方がないというもので、歓迎会に誘うメールを送ったら本文無しの「Re:出ます」という返信が来てあきれたという記事が出ていたりもしました。
何をもって妥当なマナーとするかは時代時代で感覚の差が異なるのも事実で、例えば「ら抜き言葉を使う人は採用しない」という面接官に反論する学生の話などを聞くとまあ年長者側にも言いたいこともあるのだろうと思いますし、若者からすれば地位を盾に相手の反論を封じ込め上から目線で好き放題言う年長者に好意も抱けなければ耳を傾ける気にならないのも仕方ないのかなという気もします。
そんな中でも特に反響が大きかったのがこちらの記事なのですが、賛否両論、というよりも反論の声の方が圧倒的にも思えるというのが時代を感じさせる気がするのは自分だけでしょうか。

飲み会断るのは「あなたと話すことに3000円の価値ないというのと同じ」 明大新入生へのアドバイス巡りネットで大論争(2013年4月10日J-CASTニュース)

   「飲み会を『お金がない』との理由で断る人は、『あなたと話すことに3000円の価値もない』と言っているのと同義だということを自覚しろ」——明大の新入生に向けたこんなアドバイスが、インターネット上で注目を集めている。
   「本当にないんだよふざけんな」「そんな風に感じる奴にこそ3000円の価値がない」などと怒りのコメントが相次いで寄せられ、過去には未成年に飲酒を勧めるようなツイートをしていたことも発見されるなど、「炎上」状態になってしまった。

「その3000円は数日分の生活費なの!行ったら生活費なくなって死ぬの!」

   「2013明治大学新入生お役立ちbot」という名前のツイッターアカウントが2013年4月10日にこんな投稿をした。

    「飲み会を『お金がない』との理由で断る人は、『あなたと話すことに3000円の価値もない』と言っているのと同義だということを自覚しろホー。交際費はある程度用意しておくものだホー。 まあ、そういう人はその内、声をかけてもらえなくなるから安心しろホー」
   最近の大学生は、同じ大学の学生とツイッターでつながりをもち情報交換をするのが一般的だ。このアカウントは、明治大学とは無関係の非公式なもので、有志の学生がつくったものとみられる。明大への新入生向けに有用な情報を発信するという名目で、実際のフォロワーも明大1年生とプロフィールに書いている人がほとんどだ。
   先のツイートは6000回以上ツイートされ、3000円を用意できないだけで「あなたと話すことに価値がない」ととられるのは不当だと、批判的な意見が相次いで寄せられた。

    「ちげーよ!!!!マジで金ないの!!バイト戦士はマジできっついの!!!その3000円は数日分の生活費なの!!!!行ったら生活費なくなって死ぬの!!分かれよ!!」
    「学生で一回3000円の飲み代って結構キビしいと思う。月一とかならまだしも、週一ペースとかはキツい」
    「そもそも話をするという行動は、その3000円を払わなくとも可能ではないか」

   また、「金がない」と断られただけで、自分は重視されていないと思ったり距離を置いたりするような考えの人とはそもそも付きあいたくないという見方もある。

    「3000円の飲み会断っただけで『あ、俺らと話すための3000円も出せないのねハーイハーイお疲れ様〜wもう呼ばないしw』とかなるような人間とは人間関係つながってていいことなんてひとつも無いだろうからあんまりどうでもいい」
    「おめーの無駄話に2時間3時間付き合って3000円払わさせられるってどんな罰ゲームなの?死ぬの?ぐらいの断り方ですよ。自覚してください

早大アカウント「『お金ない』を『俺もない笑』と返してくれる友達も出来るでしょう」

   さらに、このアカウントは、未成年がほとんどのはずの「新入生」を対象としているのに、「飲み会のお供『ヘパリーゼドリンク』だホー。お酒があまり強くない方は事前にこれを飲んで肝臓にバリアーを張るホー」などと飲酒を当然視するかのような書き込みをしていたことも発覚して「炎上」状態に。
   ただ、ツイートの書き方は悪いが、こういった考え方があることを知っておくのも大事だとして、「3000円で普段話したくても話せない人と沢山顔合わせて談笑できたら安いし、1000円で料理たくさん食べられても嫌いな面々と苦痛な時間を過ごしたら損、という部分が値段の価値の計算に入れられるかどうかか考え方としては重要なトコだと思うんですよね」「あの年頃は、本当に仲がいい間柄だとしても 安居酒屋の3000円飲みをお金がないと断られると『あの子苦学生なのかな、お金使う遊びに誘うの悪いかな』になって本当に声がかけづらくなって疎遠になっちゃったりすんだよなあ」などと語る人もいる。
   「炎上」したアカウントと同様、新入生に向けて情報発信しているツイッターアカウント「早稲田大学新勧情報2013」もアドバイスをリツイートした上で、こうコメントしていた。
    「『お金ない』という理由で断ることは、そういうことと捉えられる可能性も無きにしも非ずだと思います。しかし、そう捉えられて切られてしまう様な関係なら切れてしまえと思います。早稲田には、約4万人の学生さんがいます。『お金ない』を『俺もない笑』と返してくれる友達も出来るでしょう。
       でも、新歓やクラスでの懇親会等は参加しましょう。例え親に借金してでも参加しましょう。その3000円で何かが変わるかもしれません

まあ新入生に飲み会参加を勧めるというのも法律上どうなのかとはもっともな指摘ですが、気になるのは金まで出して興味のない他人に付き合うのは嫌だとか言う声意外にも、3000円などお試しでおいそれと出せる金額ではないという切実な声が少なからずあることで、これも世相を反映しているのかとは思いますね。
ちなみについ先日も私大生の仕送り額が史上最低を更新したなどというあまりありがたくないニュースが出てきたばかりで、それによれば1日あたりの平均生活費が923円だと言いますから、確かに3000円と言えば何日も暮らしていける大金という感覚ではあるのでしょう。
そもそも春先の新入生にまだそれほど確固たる生活基盤も収入先もあるはずもないわけですから、個人的にはこういう時期には先輩が飲み食いの面倒くらいは見てやればいいだろうにと思うのですが、今時ではそういう付き合い方もまた面倒くさいと言われかねないのでしょうか、そうであるとすると確かに今時の若者の扱いには気を遣うなと言う気もしてくる話です。

近年では社会人の間でもこの飲み会という伝統が是か非かという論争がたびたび起こっていて、職場の上司が若手部下を飲み会に誘ったところ「それは超勤がつきますか」と真面目な顔で言われた、なんて話も漏れ聞こえてくるくらいで、ごくごく親しい間柄でもなければ皆で集まって一緒に飲み食いするという行為に魅力を感じなくなっているということでしょう。
ただ現代においても合コンという文化は未だに生き残っているくらいで、そもそも人脈作りにしてもパートナー探しにしても出会いのきっかけがある前は誰しも知らない間柄なのは当たり前ですし、職場で年中顔をつきあわせている関係だからこそ表立って言えないという話でも非公式の場では聞けたりするもので、要は金額相応の価値があるかどうかは出てみなければ判らないなら、親に借金してまでとは言わないが何度か経験はしてみるべきかなと言う気はします。
ちなみに管理人などは飲まない口なせいで自然に幹事めいた役割ばかりで「退屈でしょう?」と心配されることも多いのですが、普段はなかなか表に出て来ず虚虚実実の駆け引きの中で推測するしかない他人の深層心理や人間関係といった情報を一方的に獲得できる立場というのもこれはこれで興味深く有益でもあるし、見ていて十分おもしろいものだと思いますけどね。

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2013年4月12日 (金)

健康改善にアメとムチ 医師も決して他人事ではなく

2008年の特定健診(いわゆるメタボ健診)導入以来各職場で健診健診とうるさく言われるようになったと言う人も増えているようですが、企業のみならず国や自治体としても予防医学の徹底で医療費削減を目指す立場を標榜している以上、定期健診受診の徹底にはずいぶんと気を遣っているようですね。
特定健診受診率も「12年度までに7割」という厚労省の目標に反して2011年度も半数弱に留まったことが先日発表されていましたが、単に受診率を高めるだけでなくその結果健康増進がなされるのでなければ意味のない数字あわせで終わってしまうわけですから、かねて異論のある腹囲基準などメタボ基準の見直しも含めて今後その効果についても検証し改善を図っていかなければならないでしょうね。
さて、この健診の本来目的とするところの健康増進ということについても国民性が出るということでしょうか、先日日米で対照的な二つのニュースが出ていましたので紹介してみましょう。

血圧測定し商品券と交換 美里町と福医大など協定(2013年4月5日福島民報)

 血圧測定するたびにポイントがたまり、商品券に交換できる会津美里町などの新事業の協定調印式は4日、同町高田庁舎で行われた。日本初の取り組みで、町などでつくる実行委員会は7月のスタートを目指す。 
 町をはじめ、商品券を発行する町商工会、医療面を監修・サポートする福島医大、データやポイントを監理するNPO法人福島医療・ヘルスケアICT研究会の各代表が出席し、協定書に調印した。 
 渡部英敏町長が「町全体を元気にしたい」とあいさつ。発起人の谷田部淳一・福島医大助教が「多くの人が積極的に継続して健康管理に取り組むきっかけになればうれしい」とPRした。 
 事業名は「あいづじげん健康ポイント倶楽部」。会員が専用の血圧測定器で血圧を測定すると、データがセンターに自動送信される。ポイントがたまると町内で使用できる商品券に交換できる。

太っていたら罰金―米企業「アメ」より「ムチ」で医療費削減目指す (2013年4月7日ウォールストリートジャーナル)

 腹囲が40インチ(約101センチメートル)以上の男性がいるとしよう。この男性がタイヤメーカーのミシュラン・ノースアメリカに就職したら、罰金の支払いを求められることになりそうだ。
 同社では来年から、血圧が高かったり腹囲が一定のサイズを超えていたりする社員は医療費として他の社員より1000ドル多く負担しなければならなくなるかもしれない。

 米国では医療費の増加や自主的な健康プログラムがめぼしい成果を上げていないことから、企業が血圧や腹囲などを基準に社員への罰則を定める動きが広がっている。企業はさらに、ボディマス指数(BMI)や体重、血糖値などの健康情報を報告するように求めており、報告しない場合は保険料か医療費の自己負担額を引き上げるとしている。
 医療費の削減には社員の習慣を変えることが欠かせない、というのが企業幹部の言い分だ。人間は報酬といった期待利益より罰則などの潜在的な損失により効果的に反応するという行動経済学者の研究結果も企業幹部を後押ししている。
 コンサルティング企業のタワーズワトソンの研究によると、今年、企業が負担する医療費は社員一人当たりの平均で1万2136ドル(約118万円)に達すると予想されており、罰則は今後、主流になるかもしれない。
 健康状態の報告をしない従業員を罰するなどの厳しい措置は従業員にとっても、医療費の点でもプラスだと企業側は主張するかもしれない。しかし、こうした措置は将来的に、高血圧症などの慢性疾患によって解雇されたり昇進の道が閉ざされたりする事態を招く恐れがある。そもそも雇ってもらえないこともありそうだ。

 ミシュランは最近まで、医療保険の自己負担分を補てんするために自動的に600ドルを付与していた。その上、健康評価調査に答えるか、強制力のない健康「アクションプラン」に参加した従業員には追加の支払いを行っていた。しかし、昨年、医療費が急増したことを受けて、同社はより厳しい政策の導入に踏み切った。
 ミシュランは今後、血圧、グルコース、コレステロール、トリグリセリド、腹囲(女性は35インチ=約89センチ=未満、男性は40インチ未満)といった健康基準を満たした社員にだけ報酬を与える方針だ。このうち3つ以上の基準を満たした社員については医療費の年間自己負担額を最大で1000ドル引き下げる。基準を満たすことができなかった社員は健康アドバイスのプログラムを受講して、少額の補助金を受け取る。
(略)
 ミシュランはいかなる差別もしていないと主張し、社員は自主的に参加することになっていると述べた。このプログラムに参加しないということは、社員は報酬を手にすることはできないということだ。ミシュランの最高人事責任者のウェイン・カルバートソン氏は以前の奨励プログラムではあまり 変化がなかったと話す。カルバートソン氏によると、例えば、社員が「これから毎日ウォーキングする」と言っても、それを証明する必要はない。「社員の自由に任されていた。ただよい社員であるだけで600ドルが手に入っていた」

 人材コンサルタント会社エーオンヒューイットが中規模・大規模企業800社を対象に行った最近の研究によると、10社中6社が今後数年のうちに、健康改善に取り組まない社員に対して罰則を設ける予定があると回答した。健康に関する企業団体のナショナル・ビジネス・グループ・オン・ヘルス(NBGH)とタワーズワトソンが行った研究では、罰則を科す予定の企業の割合は2014年には現在の倍の36%に達する可能性がある。
 現行法では、企業は従業員の医療保険費用の20%を超えない範囲で健康関連の報酬や罰則を活用することができる。法律事務所バッツェル・ロング(デトロイト)で労働や雇用を担当するジョン・ハンコック氏によると、企業は健康問題を理由に従業員の給与を削減することは法律的に認められていないが、従業員の医療費と健康目標の到達度をリンクさせることは認められているという。健康目標を到達できない事情のある社員を免除すれば、あとは企業の自由だ。
(略)
 今のところ、企業はバランスを取りながらアメとムチの両方を使おうとしている。多くの企業は多少の金銭的な負担が長期的な変化につながるかどうかを確認しようとするだろう。デロイトの医療調査部門であるセンター・フォー・ヘルス・ソリューションのエクゼクティブ・ディレクター、ポール・ケクリー氏は「社員がどの程度の痛みを感じるのが適切なのか」と問いを投げかけた。「最終的には、社員が自然に行動を変えるようにする必要がある」と述べた。

もちろん日本のメタボ健診などもそれを理由に昇進や雇用に差をつけてはならないはずですが、実際には大企業などでは罰則を恐れて、結果の悪い社員は子会社に出向させたりするといった形で数字合わせの努力をしている形跡がありますから、やはりどうしても個人の健康問題というよりも社会的側面を帯びてこないではいられないものではあるようですね。
健診も社会的にちゃんと意味のあることもあって、例えば昨年には大阪・西成区で弁当を配るから結核健診を受診してくれと大阪市が言い出したことが話題になりましたが、その背景には先進国の中でも日本の結核罹患率がかなり高く、中でも西成区など特定地域では非常に有病者が多いことが蔓延につながっているという公衆衛生学的な危機感があったわけですね。
一方でメタボだろうが何だろうが個人の勝手じゃないか、俺は誰にも迷惑はかけずに自己責任でやっているんだと言う主張ももっともですが、現実的に健康管理を行わないことで医療費が際限なく増大していくとなれば、きちんと努力して健康管理をしてきた人々にも最終的には迷惑が及ぶということになってしまいます。

以前から「努力して健康を維持してきた人が無節制で好き放題やった人の医療費を負担させられるのはおかしい」という声はあって、保険料や窓口負担に差をつけるべきだという意見もありますが、今後医療費負担がますます跳ね上がるほど日本においてもアメリカと同様、まずスポンサーである保険者の側から何かしらの強硬論が上がってきそうですよね。
その意味で国民の健康面である意味日本よりもより深刻なステージにまで進んでいるアメリカで「人間は報酬といった期待利益より罰則などの潜在的な損失により効果的に反応する」などと言い出しているというのは先行きに不安を覚える話なんですが、そうならないためにはまず自分で何とかしなさいよという警鐘だと受け止めておくべきでしょう。
医学の素人である大多数の国民が自分の健康状態を把握する窓口になるのが健診ということで、それも受けるだけではなく毎年少しずつでも改善が見られるよう生活改善も進めていただくことが当然なんですが、他方で健康向上に努力すべき立場にある医師なども決して無関係だという話でもなく、先日これまた困ったニュースが出ていたことを紹介しておくべきでしょうね。

法定の健康診断、受けない医師3割超-多忙などが理由、医師向け調査(2013年4月10日CBニュース)

 医療機関などに勤める医師の3割超は、法律で義務付けられている健康診断を毎回は受けていないことが、医師・医療従事者向けサイトを運営するケアネット(東京都千代田区)の調査で分かった。理由としては、忙しさを挙げる医師が多かったほか、「その気になればいつでも検査できる」「自分の健康状態は自分で分かっていると思う」といった答えもあった。

 ケアネットは3月15日、インターネット調査で、同社の会員医師1000人から回答を得た。それによると、「健康診断(人間ドックを含む)」を「毎回必ず受けている」のは68. 7%だった。一方、「受けないことがある」(19.3%)、「毎回受けない」(12.0%)と答えた医師を合わせると31.3%。労働安全衛生法では、労働者への健康診断を事業者に義務付け、労働者にも健康診断を受けるよう求めている

 毎回受けていると答えなかった313人に理由を聞いたところ(複数回答)、「忙しいから」(64.9%)が最も多く、以下は「面倒だから」(32.3%)、「院内に自身しか医師がいない/シフトを替ってもらえないから」(19.2%)、「その気になればいつでも検査できると思うから」(13.1%)、「自分の健康状態は自分で分かっていると思うから」(6.7%)、「知りたくない、怖いから」(5.1%)、「健康診断・人間ドックには意味がないと思うから」(3.8%)の順だった。

■「医者の不養生」を2割近くが後悔

 また調査では、「心身の具合を悪くした際、結果として『もっと早く受診すればよかった』と感じた経験はあるか」との問いに対し、17.6%が「ある」と回答。医師の2割近くが、「医者の不養生」を後悔していた。
 医療機関を受診できなかったり、遅れたりした理由を複数回答で尋ねると、「忙しかったから」が69.9%で最多。以下は、「受診するほどの症状ではないと思ったから」(27.8%)、「面倒だったから」(23.3%)、「院内に自身しか医師がいない/シフトを替ってもらえなかったから」(19.9%)、「自覚症状がなかったから」(7.4%)、「知りたくなかった、怖かったから」(4.0%)などと続いた。【佐藤貴彦】

逆に言えば7割は受けているのだから国民平均よりもいいじゃないか、という開き直りの声もあるかも知れませんが、以前から呼吸器学会員に喫煙者が多いのは問題だと批判を集めていたことから最終的に喫煙者は専門医資格を認めないという話にもなったように、医師の不養生は個人の健康の問題という以上に患者指導をする上でも示しが付かないということはありますよね。
おおよそ理由を聞いてみれば世間で言われている健診未受診の理由と大差ないし、特に「知りたくなかった、怖かった」などと言う声が上がるあたりは医師も所詮人の子ですが、もちろん健診を受けること=健康を担保することなどと言うわけではないとは言え、古来言われているような「医師の平均寿命は世間より10年短い」という話を考え合わせるとき、医療スタッフの労働環境改善という点からももう少し真剣に考えてみるべき問題でしょう。
そして臨床的にも最近ではネットなどで幾らでも情報が集まるようになっているせいか、一部の生活習慣病患者などはああ言えばこう言う状態で医師を論破するため理論武装することに心血を注いでいるようなところもありますけれども、科学的にはともかく実社会においては「あなたは不養生で病気になったから病院にかかってる。私は養生して健康だからあなたを指導している」という一言が最も説得力を持っているような気がします。

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2013年4月11日 (木)

出張レントゲン検診には医師同乗が必要と厚労省が解釈変更?

新卒社員の加入もあってこれから各地の職場などでは春の検診シーズンに入ってくる時期ですが、自治体検診も年度替わりからまた新たに始まってきますよね。
その自治体検診の中でも特に僻地を中心に大きな意味を持ってくるのが検診車による出張検診ですが、ここに来て突然その出張検診ができなくなるかも知れないという事態が勃発しているようです。

「全てに同乗無理」下関市中止、他の自治体も困惑(2013年4月4日読売新聞)

 がんの早期発見などを目的とした検診車でのX線撮影への対応について、県内の自治体が頭を抱えている。検診車では、ほとんど放射線技師が撮影しているが、医師が立ち会わない場合について、国が「違法」と判断したためだ。これを受けて下関市は1日から胸部検診車の運用を中止。医師不足に悩む他の自治体も情報収集に追われている。(古藤篤)

 違法の疑いは、昨年春に浮上した。検診車で巡回サービスを行っていた下関市に対し、市民が「(医師がいないのは)法律違反ではないか」と指摘。市が県を通じて国に問い合わせたところ、今年2月に厚生労働省から「現場に医師がいないのは違法」との回答があった

 診療放射線技師法は「技師は医師または歯科医師の具体的な指示を受けなければ、放射線を人体に照射してはならない」と定めており、厚労省の見解はこれに則したものだ。

 一方、検診車については、1978年の衆院予算委員会で当時の厚生大臣が「(医師が)包括的な指導、あるいは監督(する)ということもある。集団検診などの実施に配慮していい」と答弁し、医師がいない運用の支えになっていた。

 下関市はX線撮影機を備えた肺がんと胃がんの検診車を各1台所有。毎年度、支所や公民館などで約160回の検診を行ってきた。2011年度も約7000人が利用したが、今回の「違法」判断を受け、肺がん検診車の運用を中止。運用委託している胃がんの検診車も委託先と対応を協議している。

 市は「医師である保健所長の指導を受けて実施していた。大臣答弁から法令上、問題はないと考えていた」とする。

 県によると、下関市以外の市町も県予防保健協会などに運用委託する形で巡回サービスを行っており、影響が広がっている。6月に集団検診を予定している周南市は「国や県の指示を待って協議したい」と対応を保留。岩国市も「国や県から指示がなく情報収集している段階」と困惑する。

 防府市は「全ての検診車に医師は同乗できない」などとして、検診車の運用について、県に指示を求めているという。医師を何とか確保して5日から検診を実施するという防府市は「指示がない状況が続けば、今後は中止も視野に入れなければならない」。山口市は「委託先と調整し、(医師配備のために)検診車の台数を減らすことも検討する」としている。

 下関市は「国や県には、市民サービスが低下しないように現実的な対応を考えてもらいたい」と求めている。

がん検診車法改正要望案提出へ(2013年4月9日読売新聞)

 医師が立ち会わないがん検診車でのX線撮影を厚生労働省が「違法」と判断し、下関市が検診車の運用を中止している問題について、中尾友昭市長は8日、国に診療放射線技師法の改正を求める議案を県市長会で提出する意向を明らかにした。

 中尾市長は定例記者会見で、「全国の自治体が同じ課題を抱えている。(医師が)同乗しないでも検診できる仕組みを残したい」と述べた。18日に山口市内で開かれる市長会の会合で提出する。議案では、県に対しても問題解決に向けた協力を求めるという。

 検診車を巡っては、放射線技師によるX線撮影がほとんどで実施されているが、厚労省は医師不在での撮影について、同法に違反するとの見解を示した。これを受けて、下関市は1日から胸部検診車の運用を中止している。

自治体の出張検診というのもなかなか大変なもので、街中などと違って田舎では医療機関そのものがない場合も多いのでレントゲン撮影ができる大きな検診車で出かけていくわけですが、もちろん非常に高価な特装車ですからそう何台も各地に配備してあるわけではなく、特に遠隔地の出張検診などではわずか数人のために延々何十キロも田舎道を往復するということもあり得るわけですね。
当然費用対効果という点も厳しいですし、そんな仕事に医師がついて行きたがらないのも当然というものなのですが、自治体検診に限らず全国の医療機関による出張検診で医師が立ち会わずにレントゲン撮影を行っている場合が過半数であると、先日行われた日本診療放射線技師会のアンケート調査でも明らかになっています。
ちなみに記事中にもある放射線技師法で該当するのが第26条だと言いますが、該当する部分を引用してみるとこんなことが書いてありますね。

(業務上の制限)
第26条 診療放射線技師は、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けなければ、放射線を人体に対して照射してはならない。
2 診療放射線技師は、病院又は診療所以外の場所においてその業務を行つてはならない。ただし、次に掲げる場合はこの限りでない。
1.医師又は歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、出張して100万電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線を照射する場合
2.多数の者の健康診断を一時に行う場合において、医師又は歯科医師の立会いの下に100万電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線を照射するとき。

この文言を文字通りに解釈すればなるほど、医師の同行しない出張検診のように医師または歯科医師が立ち会いも事前の診察もせずにレントゲン撮影をすることは違法行為であるということになりそうなんですが、当然ながら放射線技師会ではこれに対して条文の変更を求めていくようです。
恐らく法律上の意図としてはレントゲン技師がミニ医師化して勝手にここを撮ろう、あそこも撮ろうと撮影をしてしまうようなことを禁じているのだと思いますが、そもそも検診のレントゲンは何をどう撮るかははっきり定められているものでもあり、今やナースプラクティショナーにレントゲンの指示も出させようと言う規制緩和の時代にあって、今回の厚労省の回答はいささか教条的すぎる解釈であるように思います。
当面の自衛策として例えば従来レントゲン等一通りの検査の後に医師の診察を行っていたのであれば、まずこれを先に行った上で医師の指示を受けて撮影したという形にするくらいなのかなと思うのですが、いずれにしてもこれから検診シーズン真っ盛りというこの時期にいきなり躓くような話が出たのでは、各地の検診スケジュールが大混乱を来すこと必死でしょうね。
もちろんレントゲン技師も別に余って暇をもてあましているというわけではないですから、何らかの対策が講じられるまで検診を先延ばしにするともなれば別などこかで後々技師不足という問題が顕在化してくる恐れもあって、唐突な厚労省の解釈変更?が全国の医療現場に大きな影響を及ぼすということにもなりかねません。

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2013年4月10日 (水)

公費助成 単にお助けというだけに留まらない社会的な意味と意義

妊娠出産年齢の高齢化に伴い不妊医療が注目されるようになっているのは今さらですけれども、そもそも若年者であればさしたる苦労もなく妊娠も出産も出来ていたところを、あたら高齢化してから出産を目指すから大変なのだと言うのも一面の真理で、しばしば成功もおぼつかない不妊治療を手がける医師に言わせると「もう10年若ければ何と言うこともなかったのに…」と嘆息したくなる状況なのだと言います。
社会的に見れば若いうちはお金も余裕もなく妊娠出産どころではない時代なのでしょうが、しかしその余裕が出来た頃にはもはや生物学的に妊娠出産どころではなくなり、なおかつ成果も大きくは見込めない不妊治療に改めて高いお金と大きな労力をつぎ込むというのでは、治療を受ける側も提供する側も大変な非効率と言うしかないですよね。
その背景となっている若年者の社会的、経済的状況を改善することも一つの課題だとして、もう一点不妊治療を受ける上でそれが極めて高価であるがために躊躇あるいは断念せざるを得ないというケースも多く、以前にも金融庁が不妊治療に対して民間保険で補助を出来るように検討中というニュースを紹介したことがあります。
もちろん少子化対策が言われる時代ですから公費助成も当然用意されていて利用者も急増していると言いますけれども、これに対して先頃その対象者に一定の制限を加えようという話が出てきたということをまず紹介してみましょう。

不妊治療助成「39歳まで」有識者会議で検討へ(2013年4月9日読売新聞)

 不妊治療への公費助成について、厚生労働省は、対象年齢に上限を定めることを含めた制度改正の検討を始める。

 同省研究班(代表者=吉村泰典・慶大教授)が、40歳以上では医学的な有効性や安全性が低く、「公的助成に年齢制限を設ける場合、39歳以下とするのが望ましい」とする報告書を先月まとめたため。同省は産科医や患者らによる有識者会議を近く設け、助成のあり方について検討する。

 不妊治療は保険がきかず、体外受精などの高度治療には、採卵を含む場合1回30万~40万円程度かかる。助成事業は2004年に開始された。国と都道府県などが2分の1ずつ負担し、1回最大15万円が補助される

 04年度約1万8000件だった受給件数は、11年度は約11万3000件と6倍以上に急増した。1件15万円とすると11年度は約170億円かかった。

記事の書き方からすると利用者が急増して国や自治体の財政支出も増えている、それに対して何らかの制限をということで年齢を絞るという話が出てきたかのように読める内容ですし、実際に当事者意識として際限ない支出の増大にある程度掣肘をという考えもあったのでしょうけれども、しかし医学的に考えるとこうした制限はまあ妥当なところかなと思いますね。
昨今では著名人を中心に高齢出産を報じるニュースが相次いでいて、何か世間では不妊治療というものは素晴らしい夢の技術だと錯覚されているようなところもありますけれども、普通であれば起こりえない妊娠が成立しているからこそニュースになると考えておくべきなのであって、年齢が進むにつれ妊娠可能性が激減するばかりでなく様々な合併症リスクが急増することは幾ら強調してもし過ぎることはないと思います。
もちろんようやく出産出来る環境が整っていざ!と決意を固めた女性に対して「いや、あなたはもう無理な年齢です」と告知されることは大変な重荷であることは理解できますが、同じ事は告知を行う側の医者にとっても言えることであって、いくら生物学的にそれは無理だろうと思っても必死に不妊治療を頑張っている相手に向かって「それは賽の河原で石を積むような無駄な行為ですよ」とはなかなか言えませんよね。
そうした現状ではある程度失敗が続けば高い経済的負担に耐えかねてしぶしぶあきらめるというケースが多いのでしょうが、無制限に続く公費助成によって生物学的にはすでに不可能なことをさらに長く頑張ってしまうということになれば、これは考えようによってはより残酷なことだとも言えるのではないでしょうか?

もちろんなんでもかんでも年齢で切ればよいというものではなく、例えば将来的に医療技術が進歩し妊娠可能年齢が劇的に進歩してきたと言うことであればまた助成の範囲も見直せば済む話ですし、極端な少子高齢化が進行して多額の公費助成を行って無理やりにでも生んでもらうことのメリットが出てくるということであれば確率的に低くリスクもある行為にも補助を行う意味が出てくるかも知れないですよね。
結局のところ公費で補助するということは単に困っている人がいるから、かわいそうだからというだけで決まるものではなく、それが社会的にどんな意味があるのかということも考え合わせながら対象を設定しておくべきだと言うことで、極端な例を挙げれば身よりもない寝たきり痴呆老人に高価な先進医療を施すために公費助成をするなどと言う馬鹿げたことはいくら「命は地球よりも重」かろうが考慮すべきではないということでしょう。
その意味で少しばかり気になったのが、先日以来相次いで死者が出たと報道され大騒ぎになってきている鳥インフルエンザ感染に関連して、現地でこんな議論が行われているというニュースです。

鳥インフル:感染は自己責任? 中国、医療費巡り議論(2013年4月8日毎日新聞)

 【上海・隅俊之】鳥インフルエンザ(H7N9型)の感染拡大を受け、中国で患者の治療費を有料とするか無料にすべきかが議論になっている。03年の新型肺炎「SARS」ではヒトからヒトに感染したため無料だったが、今回は「自己責任で気をつければ感染を防げる」という見方もあるためだ。

 中国メディアによると、南京市で重体になっている45歳女性は、集中治療室での費用が1日1万元(約16万円)で、既に10万元に達した。家族は貯蓄を崩し、自宅も売り払おうとした。だが、何者かにインターネット上で住所を暴露され、売れる見通しはない

 ニワトリの解体業をしていた女性の報酬は1羽1元(約16円)で、1日30羽以上をさばいていた。手はトリの爪に引っかかれ、内臓も洗い出す作業をしていた。ただ、家族は「健康に問題もなく、感染は予想もできなかった」と訴える。安徽省の35歳女性も重体で、夫は「貯蓄がない」として治療費免除を求めている

 中国メディアによると、中山大学の林江教授は「ヒトからヒトに感染するなら、公衆に重大な影響を与えるので政府が治療費を払う道理がある。今は散発的な感染で個人の衛生の問題では」と指摘する。一方で、呼吸器疾患の専門家、鐘南山氏は「さらなる拡大を防ぐためにも無料か減免措置をとるべきだ」と主張。中国版ツイッター「微博」では「誰が患者を助けるべきか」と議論になっている。

 中国では社会保障制度が脆弱(ぜいじゃく)なことに加え、「病院は高い」という意識が強く、風邪をひいても市販薬で治そうとする人が多い。今回も病院に行くのが遅れて重体になったケースが目立つ。微博上では「世界で初めて感染が確認されたのに、政府が面倒を見ないのはおかしい」などと医療費免除を求める意見が大勢を占めている

 中国国家衛生・計画出産委員会は3日、費用が理由で治療が遅れることがないよう地方政府に要請。広東省政府は感染者が出た場合に備え、医療保険に入れない低所得者のための基金の設立を決めた。中国当局は「48時間以内の治療が有効だ」と早めの受診を呼びかけているが、医療費を巡る問題が感染拡大防止の足かせになる可能性もある。

時期的にちょうどインフルエンザ流行の終息期でもあるのと、大流行の原因となる人-人感染がまだはっきり確認されていない(当然ながらいずれそうなるという声は複数ありますが)ことから養鶏業者など特定の範囲で感染が収まっているのは幸いですが、ともかく現段階で最優先すべきは社会的にこれ以上感染が拡大することのないよう厳重な対策をすることであるはずですよね。
その意味では何か調子が悪いぞ?と感じている患者が医療費が高いからと放置したままでいる、さらに一歩進んで感染が明らかになれば社会的に抹殺されるから隠蔽しようとするといったことが一番怖いはずなのに、未だ医療費負担を巡って議論している段階だと言うのでは早晩国外に拡散しても仕方がないのでは、と大いに不安を抱かせます。
日本でも宮崎で口蹄疫パニックが起こりかけた際には本来正しい情報を周知徹底させるべきマスコミが見当外れの批判と感染拡大に自主的協力(苦笑)をするばかりであったことが注目されましたが、あの場合にもとにかく不正出荷が起こらないように高値で牛を買い取るという対策が奏功したからこそ感染が終息したという側面もあって、公費助成によってそれ以上のメリットが社会に及ぶのであればそれを迅速に行うのにためらうべきではないということですよね。
何より失礼ながら中国という未だ医療においては発展途上の側面が色濃い国ですらこうまで騒ぎになるのですから、患者が一人亡くなっただけでも医療ミスだ!訴えてやる!と何かと紛争化しやすいほど医療への期待値が高まっている日本において感染が広がろうものなら国を挙げての大騒動になることは必至で、為政者の方々にも今からくれぐれもきちんとした社会的対策を用意しておいていただきたいものだと思います。

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2013年4月 9日 (火)

滝川市不正受給問題 早急な制度的対応を

2007年に北海道滝川市で元暴力団組員の夫婦に2億4千万もの生活保護費不正受給をしていたことが発覚、これに対して市の幹部に損害賠償を求めた住民訴訟の判決が札幌地裁で先日下され、幹部2人の過失を認め約1億円を2人に請求するよう市に命じるという異例の結果となりましたが、聞けば聞くほどあまりに単純なやり方でよくもここまでと思うような事件ですよね。
市長はこの判決を受けて「当時の職員はすでに処分を受けており、国や市への返済も終わっている」と控訴する意向を示していて、市議会も同意しているということからいずれ控訴審が始まることになると思いますが、ともかく金額も内容も異例だったというこの不正受給事件はマスコミの業界でも大きな話題を呼んでいるようです。

なぜ2億4千万円も支出したか 「気付かないふりをするのが合理的」(2013年4月7日産経ニュース)

 北海道滝川市の元暴力団組員の夫婦らによる生活保護不正受給事件では、不正を疑う機会が何度もありながら、市は積極的な行動を取らずにタクシー代として約2億4千万円の公金を支給し続けた。なすべきことをなさない「不作為」がまかり通った過程を、関係者の証言や裁判記録から検証した。(大竹直樹)

「救急車並み」

 「まったくやっていない『不作為』はなく、やれることはやっていたと思う」

 産経新聞の取材に市の幹部職員は事件を振り返り、「田舎の町なので詐欺事件に発展するという発想がなかった」と釈明した。

 滝川市内にも13の診療科を擁する市立病院がある。約85キロ離れた札幌市の北海道大学病院へのタクシー通院は本当に必要だったのか。幹部職員は「北海道でナンバーワンと認める北大病院の医師の判断が非常に大きかった」と語り、当時の担当者をかばった。

 通院が必要と判断する医師が一人でもいれば「覆すのは難しかった」と幹部は主張するが、ある政令市の生活保護担当者は「元暴力団組員ということで、何か言えば、すごまれたりして面倒だという思いもあったのでは。そうでなければあり得ない」と疑問視する。

 男が「タクシー代を立て替えた」と計340万円分の領収証を福祉事務所に持参し、全額を支出した経緯について、支出を決裁した福祉事務所長(当時)は昨年7月、住民訴訟の法廷で「当時はおかしいとは思わなかった」と証言。夫婦のタクシー代が月に2千万円近くに及ぶこともあったのに、事務所長は「まあ、救急車並みの装備を付けたタクシーだったので、移送費については妥当というふうに考えていた」と語った。

A格付け世帯

 生活保護制度に詳しい学習院大の鈴木亘教授(社会保障論)は「暴力団関係者などいわく付きの人に対してどうしても審査が甘くなる傾向がある」と指摘した上で「担当者がおかしいと気付かないはずがない。気付いてしまったら何かしなければならなくなるので、気付かない行動をするのが合理的と、先送りにしたのではないか」と分析する。

 クレーマーとしても知られていた男は、原則月に1度以上の面会を求める「A格付け」世帯として、「取り扱いの非常に難しい案件」と市側に認識されていた。にもかかわらず、ケースワーカーが8回連続で男と面会できないなど、市は男の居住実態を把握できないまま放置した。

 詐欺罪などに問われた札幌市の介護タクシー会社役員の公判で、証言台に立った福祉事務所の査察指導員(当時)は「世帯主に会わなければならないという決まりはない」と答えた。

 申請書類や手続きに誤りがなければ問題はない-。その間、男は札幌市内の高級マンションなどを転々とし、高級車を何台も乗り回していたが、市がこうした男の実態に目を向け、支給を見直すことはなかった。

 鈴木教授は「今回のケースで不作為があったのは間違いがない」と断じた。

しかしマスコミ報道を見ていておもしろいのは、先日の小野市の生保条例の件にも見られるように生保受給者に厳しくすれば一生懸命バッシングする一方で、こうして不正受給が公になると今度は「何故見抜けなかった!」と鬼の首でも取ったかのように騒ぎ立てることです。
現在の制度では書類さえきちんと整えていれば役所としては支給をせざるを得ないようになっていて、だからこそ「こうすれば確実に受給できる」とノウハウまで出回っている、それに対して現行制度の枠内で何とか対抗しようと現場で「申請させない」ように誘導しようとすればこれまた「門前払いだ!国民の権利を何と心得ているのか!」とキャンペーンを張られるといった始末で、福祉事務所を始め担当者の方々も頭が痛いでしょう。
今回の事件はタクシー会社もグルになった確信犯的詐欺事件ですが、医療からみの不正受給ではしばしば担当医の判断が不正と認定することの障害になるケースが多く、今回の場合も通院頻度が多く医師の間で判断が割れていたと言うくらいですから医療の側でも改善すべき点は改善しなければ、全国どこでもまた同じようなことが起こりかねません。
一般に皆保険制度と応召義務によって現代日本の医師は患者性善説に基づいて診断書等も「優しめ」に書くのが当たり前のようになっていますが、公立病院の救急外来に高級車に乗った生保受給者が毎夜の如く押しかけて好き放題やっているという現状を思えば、今後医療の側にももう少し社会的なリテラシーが求められるようになるかも知れませんね。

ともかくもこうした事件の再発を防ぐべく、マスコミでさえも指摘するように不正受給対策をさらに推し進めなければどうしようもないということになりますが、その際に実態確認等で何かと不足しがちな窓口のスタッフもさることながら、制度的に不正受給を防ぐための仕組みがまるで存在していないということが大いに問題になってきます。
不正受給者の多くが暴力団関係者など言わば「プロ」なのですから、昨今の流れで言えば警察OBなどを窓口担当者に据えるというのも一つのやり方ですし実際に一部では導入がされているようですが、制度的な不備に関しては現場からも不満の声が強いようですね。

Gメン「もっと調査権限を」 ペナルティー存在しない不正受給(2013年3月24日産経ニュース)

 不正受給にペナルティーが存在しない、との指摘がある。支給した自治体は返還を求めることができるが「使い尽くして金がない」といわれれば、それまで。生活保護はそのまま継続される。「最低限度の生活保障」(生活できるぎりぎりの額)という制度の性格上、保護費から強制的に天引きすることもできない。自治体の調査権限には限りがあり、刑事告発に至るケースも極めてまれ。保護費全体に占める不正受給の割合は1%に満たないが、一部の“悪意”が制度の信頼を大きく揺るがしている。

動かない電気メーター

 大阪市内のとある住宅街。散歩のような足取りの3人組の男性が、アパート一室の前で足を止めた。辺りに注意を払いながら走らせた視線の先には、壁に取り付けられた電気メーター。表示されている数字を覚え、再び歩き出す。少し離れたところでメモ帳に数字を書き付けた。
 見返すと、1カ月前の日付にも同じ数字があった。電気がまったく使われていない。疑念が深まる。「この部屋に住んでいるわけがない」
 3人組は警察官OB(63)と区役所OB(64)、現役の区役所職員(40)。大阪市の不正受給調査専任チームのメンバーで、「生活保護Gメン」とも呼ばれる。
 3人が監視していた家には、生活保護受給者の50代男性が1人で暮らしているはずだった。だが、近くに住む40代女性と内縁関係にあり、女性宅で同居しているとの情報が市に寄せられていた。
 この女性も受給者だ。それぞれ単身として申請し、2人合わせて約26万5千円の保護費を受け取っている。2人が一世帯として申し込むより数万円多く、より多額の保護費を受給するため単身を装っているというのがGメンの見立てだ。

不正判断に高い壁

 そもそも自治体が不正受給の判断を下すには「不当、不正に受給しようとする意思」(故意)の立証が必要とされる。この男性のケースなら「たまたま外出することが多かった」と否定されれば、不正とは見なせない。自治体がGメンを組織し、警察さながらの調査を行わなければならない理由はここにある。
 それでも故意とまで言い切れなければ、控除や減額が認められる緩やかな費用返還しか求められない。大阪市の平成23年度の不正受給額は17億4800万円だったが、こうした“グレー”な事例や、返還に充てるべき受給者の資産を含めると総額は41億円超に跳ね上がる
 大阪市は昨年4月から、職員と警察官OBなどの嘱託職員2人の計3人を1チームにして、全24区に配置。張り込みや銀行口座の調査などにあたらせている。今年1月末までの調査対象は約千人。うち約260人の不正を確認した。
 適正化への取り組みは、他の自治体にも広がっている。東大阪市では警察OBらが情報提供を受け付けるホットラインを設けたり、ケースワーカーに対する助言や警察との調整役を務めたりしている。

調査の足かせ

 ただ、態勢が整いつつある一方で課題も残る。Gメンによると、大きな足かせとなっているのが調査権限が限定されている点だ。
 現状では銀行口座や不動産の調査も受給者本人のものに限られ、金の流れはごく一部しか分からない。届け出た住所に実際に住んでいるかを調べようにも、オートロック付きマンションだと手が出せない。
 冒頭のチームの職員は「マンションの防犯カメラのチェックや関係者の資産調査ができれば、もっと動かぬ証拠を突きつけられるのに」とこぼした。
 実際、同居が疑われた男性に対して、地道に集めた電気メーターなどのデータを提示したが「電気も水道も使わずに自宅にいる」と強弁され、「故意」の結論は出せないまま。もちろん、保護費は今も男女それぞれに支給されている

 加算金制度を創設へ 政府の生活保護改正案

 生活保護の不正受給に歯止めをかけるため、政府は今国会にも、厳罰姿勢を明確にした生活保護法改正案を提出する方針だ。
 厚生労働省は現行制度にペナルティーがないとの批判を踏まえ、不正に得た保護費の全額に一定額を上乗せして返済させる「加算金制度」を創設する意向。
 自治体の権限も拡大する。受給者の就労状況や保護費を何に使ったか調査できる権限を明文化するほか、官公庁に対しては自治体調査に回答する義務を課す。「従来は税務署や年金事務所などで、照会に応じてくれないケースがあったため」(厚労省の担当者)という。罰則も「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「同100万円以下の罰金」に引き上げる方向だ。
 法改正に先立って、厚労省は不正受給者から費用を徴収できるとした同法78条をより厳格に適用するよう各自治体に通知した。
 本来、不正受給と判断すべきケースでも「反省している」「調査に協力的」などの理由で返還額を減額する自治体があり、「是正すべし」と会計検査院から注文を受けたためだ。
 ただ、不正受給への包囲網が着々と整備される一方で、回収の見通しは暗い。厚労省の調査によると、22年度の徴収率は28%、23年度も26%で改善の傾向は見られない

「電気も水道も使わなかった」などとまるでどこかの議員候補者のような弁解をするものですが、ここまで調査を行い証拠を突きつけてもなお不正受給だと断ずることが出来ないという現状にはさすがに危機感を覚えざるを得ないところで、それではどうすればそれを改められるかということですね。
厳罰姿勢を明確化するという生活保護法改正に関しては現金給付から現物給付への転換を図るだとか、受給者の受診回数を制限すると言った過去の事例から考えれば当たり前とも言えるアイデアが様々に出ているようですが、これまた一部方面からの根強い反対が予想されることから実際にどの程度実効性あるものとなるのかははっきりしません。
基本的に食べていけるだけの現物給付さえ迅速に対応すれば緊急性のあることは滅多にないはずで、多くの不正受給が金銭的な過剰支給に味をしめていることからも現金給付の制限が最優先課題となるはずですが、いずれにせよ状況的に明らかに不正と考えられるのに調査の権限がない、罰則がないばかりに放置せざるを得ないというのはスポンサーである市民の素朴な感情としてもおもしろくないですよね。
定数削減だ、TPP交渉参加だと色々な議題が目白押しだからと例によって国会での法改正を先送りにするということは許されないのももちろんですが、何かと生保問題に口を出しがちなマスコミ各社も現場が適正な対応を取れるよう制度改革に協力していただきたいものだと思います。

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2013年4月 8日 (月)

集積される医療個人情報 取り扱いは慎重に

医療が進歩していくにつれ、より多くのデータをより短時間で扱う必要が出てくるのは当然ですけれども、久しく以前から他業界での進歩にならって「医療にももっとITの導入を」と叫ばれているのは周知の通りですよね。
そんな中で最近では各地で病院間での診療情報共有が試みられていて、もちろんこれはこれで非常に有益な試みではあるのですが、未だそれを扱う者の意識が追いついていないということなのかこういう事故もたびたび報道されています。

個人情報:長崎こども医療福祉センター、432人分保存のUSBを紛失 /佐賀(2013年3月23日毎日新聞)

 長崎県立こども医療福祉センター(諫早市)は22日、障害のある子供たちの発達を促す「集団療育」を受診した432人分の住所や氏名、生年月日、診断名などの個人情報を保存したUSBメモリー1個を紛失したと発表した。01、02、06〜12年度に受診した長崎、佐賀両県に住む3歳児から小学生。今のところ、情報漏えい、被害は確認されていないという。

 センターによると、昨年11月上旬、グループ表を更新しようと、担当者がUSBメモリーを保管しているセンター2階のリハビリテーション科の机の引き出しを開けたところ、ないことに気付いた。センター内で見つからず、紛失から4カ月以上たった今月18日に県情報政策課に報告。21日から保護者に電話で連絡し、謝罪した。USBメモリー使用を原則禁止するなど再発防止に努めるという。

医療情報データベース、参加大学で流出続発(2013年4月5日CBニュース)

 厚生労働省が基盤整備を進めている「医療情報データベース」に参加している10機関のうち、東大や九州大など少なくとも5大学で、整備が始まった2011年度以降、不正アクセスによってメールアドレスなどの個人情報が流出したり、患者情報が含まれたUSBメモリーを紛失したりする事案が起きていたことが、キャリアブレインの調べで分かった。厚労省は5日、医療情報データベースに関する検討会を開き、15年度までに延べ1000万人の情報を集める方針を示したが、参加大学の個人情報流出などが相次いでいることから、情報管理体制の抜本的な見直しを迫られそうだ。

 厚労省は11年度から医薬品の安全情報などのデータベース構築に着手し、安全対策に活用する「医療情報データベース基盤整備事業」に取り組んでいる。データベースには、東大や東北大、九州大、浜松医科大、千葉大など全国の10機関から1000万人分の薬剤情報を集め、従来の企業などからの副作用報告のみでは把握できなかった安全性情報を正確に収集する狙いがある。

 大学病院などの拠点ごとに電子カルテやレセプト、傷病、診療行為情報などの医薬品評価に必要なデータを抽出。患者の同意を得て匿名化した情報をデータベースに集積し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)や研究者らが分析や研究を実施し、医薬品のリスクやベネフィットの迅速な評価を行う方針だ。

■不正アクセスで流出、ひったくりで紛失も

 だが、そのデータベースの拠点を設ける大学では、この整備事業が始まった11年度以降、個人情報の紛失や流出が相次いでいる。九州大では12年11月、大学院生が、同大病院の患者138人の個人情報が記録されたUSBメモリーが入ったショルダーバックを、バイクに乗った2人組にひったくられて紛失。USBメモリーには、氏名や生年月日、患者番号、プログラフの内服量、処方医の氏名などの情報が記録されていた。パスワードは設定されておらず、誰でも閲覧可能な状態だったという。

 このほか、11年12月には東北大の職員が、学生名簿などの個人情報を保存したパソコンを海外で盗まれた。千葉大でも、教員が学生の個人情報が含まれているパソコンを学外に持ち出して紛失。浜松医科大では、学生が周産期の助産過程やその家族の氏名3人分などのデータが入ったUSBメモリーを一時紛失。学外で落とした可能性があり、関係者には個別に連絡して謝罪したが、後日見つかったため大事には至らなかったという。

 さらにハッカーとみられる第三者の不正アクセスで、個人情報が流出する事態 も発生した。東大では12年10月に、同大の情報が漏えいしている可能性が高いと の情報提供を受け、該当する4台のウェブサーバーを緊急停止。サーバーを調べ たところ、約2700人分のメールアドレスや約1300人分の氏名などの情報の流出が 確認できたという。同大は「アプリケーションのぜい弱性を突かれたものと考え られる」と不正アクセスがあったことを認め、再発防止の徹底を図るとした。

 5日開催された医療情報データベースの検討会でも、データを研究者らが利活 用する際、希少疾患の患者らの個人情報が特定される事態を懸念する声が相次い だ。厚労省は、氏名や生年月日などのデータを削除するなどの「匿名化」を図る ことで、個人情報は守られるとの立場を取るが、患者データの一部の項目につい て、委員からは「人海戦術で解読すれば、匿名化が崩れる可能性がある」と厚労 省の主張を疑問視する意見も出た。個人情報の取り扱いをめぐり、患者の匿名化 や情報管理の徹底が今後、検討会の重要な課題となりそうだ。【新井哉】

昔からセキュリティの基本は物理的対策よりもまず使用者の教育であるという話があって、銀行などの暗証番号でもくれぐれも生年月日など容易に類推できるものは使わないようにと言われますが、例えばせっかくパスワードを設定していてもそれをPCの横にポストイットで貼り付けていたというのでは何の事やらですよね。
USBメモリーに限らず個人情報を私的PCに入れておいたところ紛失したという事例がしばしばありますけれども、これもそもそも組織としては秘密に属する情報ならば私的な環境に持ち出すことを禁じているという場合の方が多いはずで、それならばUSBメモリー使用禁止などと言って済ませるのでなくUSBポートを塞ぐなど物理的に情報を持ち出せないようにするべきだし、現にきちんとした企業では各種セキュリティ対策を推し進めているはずです。
某製薬会社なども個人情報流出をチェックするセキュリティーツールを導入しその実績を公表していますけれども、こうした厳しい対策を行うことで内部での情報管理意識が高まり情報流出も減ってくるというのですから、医療の世界においてももう少し真剣に対策を講じていくべき時期ではないでしょうか。
もちろん臨床現場においてはデータを扱う者全てがセキュリティーに精通しているわけではないといった事情もありますが、だからこそ余計に何も考えていない人間には勝手にデータを持ち出せないようにしておくということが必要で、現状のような当事者が好き放題何をやってもいい状況ではいずれシステムの運用自体に批判の声も上がりかねません。

そうはいってもせっかく情報が集積できる場があるのだから、それを研究などにも使いたいという事情は理解できますが、そもそも臨床研究に関する倫理指針を考えると、きちんとしたインフォームドコンセントを得て収集されていない個人を特定可能な情報は研究に使ってはならないし、仮に使ったとしても発表できないということになりますよね。
それを回避するためには個人を特定出来ない状態にした情報にまでデータを落とし込んでから使わなければならないということになりますが、逆にそうなると臨床面ではあまり意味のない情報ということになってしまいますから、システム設計の段階で用途によってどのレベルの情報にまでアクセスできるかといったことを設定しておくべきなのかも知れません。
いずれにしてもマイナンバー制度などが実現すれば医療の面に限らず個人情報が一元管理され一気に流出する危険性は増すはずで、医療情報の扱いだけを心配していても仕方がないと言う意見もあるかも知れませんが、借金なら努力して借りないようにはできるかも知れませんが多くの疾患は本人に責任のないところで罹患してしまうものだけに、その取り扱いにはくれぐれも注意がいるだろうと言うことです。
基本的に医療の世界は性善説前提で動いていて、特に内輪では誰も悪いことはしないものという前提でやっている部分が多いですけれども、しばしば問題になる危険な薬品の管理体制などもそうですが多忙な中で利便性を優先して緩い管理を行っているのであれば、同時に何かあった時に余計に面倒な話になるというリスクも引き受けなければならないでしょうね。

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2013年4月 7日 (日)

今日のぐり:「海鮮居酒屋はなの舞 岡山本町店 」

先日のロシアでの事件をきっかけに隕石対策というものがにわかに注目されていますが、先日NASA長官が語った対策が非常に斬新すぎると話題になっています。

NASAが提案する「隕石飛来対策」に海外ネットユーザー驚愕 / NASA長官「祈ってください」(2013年3月26日ロケットニュース24)

2013年2月15日、ロシア南部チェリャビンスク州に直径約15メートルと見られる隕石が飛来しました。その衝撃で、1500名以上が負傷する事態となりました。

これを受けてNASA(米航空宇宙局)チャールズ ・ボールデン長官は、米下院科学委員会の公聴会に出席し、もしもニューヨークに隕石が飛来した場合の対策について、驚くべき提案をしたのです。対策について長官は、「祈ってください」と発言。アメリカをはじめとする海外インターネットユーザーは衝撃を受けています。

・ロシア隕石直後に、巨大隕石が通過
ロシアの隕石は世界中で取りざたされましたが、実はその数日後に、昨年観測された最大級の隕石を上回る大きさの隕石が地球の間近を通過しました。その距離は人工衛星軌道の内側、約27,681キロメートルだったと言われています。

・隕石は驚くべき頻度で通り抜けている
下院議員エディー ・バーニス ・ジョンソン氏は「隕石は、驚くべき頻度で地球の間近を通り抜けている潜在的に危険な物。我々が活発な太陽系に住んでいるという証拠」と説明しました。そのうえで公聴会を主宰する下院科学委員会はいかなる対策を講じるべきか、議論を重ねたのです。

・95パーセントの巨大隕石の軌道を把握
NASAは現在、地球近隣に存在する直径100キロ以上の巨大隕石のうち、約95パーセントの軌道を把握しています。しかし文明を滅亡に導くほどの衝撃を与える隕石は、わずか1キロメートル以上の直径なのだとか。

・小型隕石の把握は10パーセントに留まっている
1キロの直径を持つ小型隕石は、推定で1万個近くあると言われています。そのうち軌道を把握できているのは、わずか10パーセント程度。歴史的に観るとそれらは1000年に一度の割合で、地球に飛来しているそうです。

・祈ってください
ボールデン長官は「現在NASAが持っている情報の範囲では、これらがアメリカの存亡に影響を与える可能性はない」としながらも、「もしこの先の三週間以内に、隕石が飛来するならば、祈ってください」と発言し、公聴会参加者を驚かせたのでした。つまりは現段階で取りうる術はないということなのでしょうか?

ちなみに2月に飛来した隕石は、1908年にツングースカに落下した隕石に次ぐ規模なのだとか。そのツングースカの隕石は約2150平方キロメートル、約8000万本の木々を焼き尽くしたと伝えられています。いずれにしても、祈る以外に手立てはないのでしょうか? NASAの活躍に期待したいところです。

隕石落下と言えばSFパニック映画の定番ネタですけれども、実際のところいざそうした状況になれば文字通り神頼みでもするしかないんでしょうね。
はたして神は実在するかどうかは判りませんが、本日は我々にもここまでは出来るという人間の起こした数々の奇跡を紹介することで少しばかりの気休めとなることを願っておきましょう。

バスケの天才現る…1歳の赤ちゃんが次々にトリックシュートを決める(2013年2月6日らばQ)

1~2歳児であれば歩くのがやっとという年頃ですが、バスケの天才と言うべき赤ちゃんがいました。

生後1歳半~2歳までに撮影された、さまざまなトリックショットをご覧ください。

Unbelievable Little Kid Does a Trick Shot Video - YouTube

投げる力だけでも素晴らしいですが、この投げ方でシュートをバンバン決めるのは大人だって難しいのではないでしょうか。

最初の頃からどんどん上達しているのがわかりますね。

このまま順調に成長していって欲しいものです。

まさに奇跡的とも言えるシュートの様子はリンク先の動画を参照いただきたいと思いますが、しかし一見力任せに放り投げているようなこの投げ方も体格なりに工夫してやっていることなんでしょうね。
同じくこちらも幼児の起こした奇跡というべき事例ですけれども、いったい何がどうなったのかという話ですよね。

3階から4歳転落も奇跡の着地、血相変えて駆けつけた母親もビックリ。(2013年3月7日ナリナリドットコム)

アパートやマンションで暮らす小さな子を持つ家庭なら、特に気をつけたいのが子どもの転落事故。米国では先日、4歳の男の子がアパート3階窓から転落する事故が起きた。ところが、最悪の事態に怯えながらも急いで1階へと向かった母親が見たのは、意外にも大きなけがもせずに元気だった男の子の姿。目撃者の話から、転落した男の子は幸運な着地の仕方ができたおかげで、すり傷程度の軽傷だけで済んだそうだ。

米放送局CBS系列KCNC-TVやABC系列KGO-TVなどによると、転落事故が発生したのはコロラド州オーロラにあるアパート。2月中旬頃、3階に住むジェシカ・ヘイズさんは、自身の母親と一緒に家の掃除を行っていた。そしてカーペットの洗濯に取りかかろうと、上に乗っていた物を移動させた彼女は、ソファーを窓際の近くに置いてしまった。

すると、そのソファーに乗って遊び始めたというのが、彼女の4歳の息子ディランくん。飛び跳ねたりして元気に動きまわった彼が、やがて窓へもたれるように身を預けようとしたところ、そのまま外へ転落してしまったという。その瞬間、冷蔵庫を掃除していた母親から「ディランが落ちた」と叫び声が上がり、事態に気付いたジェシカさんは、慌てて息子が落ちた1階へと向かった。

下へ降りている最中は「血まみれになって倒れているのではないか」(米放送局CBS系列KWGN-TVより)などと恐ろしい想像しか思い浮かばず、混乱していたというジェシカさん。ところが彼女の目に飛び込んできたのは、特に大きなけがを負うこともなく元気な様子の息子の姿だった。念のため病院へ行き、さまざまな検査を受けたディランくんだったが、幸いにも多少のすり傷が見つかっただけでほかにけがはなく、20時間後には退院したという。

事故の瞬間を見た目撃者の話によると、3階から飛び出すと「体を2回宙返りさせた後、足から地面に着地した」というディランくん。「落ちた音が聞こえた」という近所の人もおり、彼の体にもかなりの衝撃はあったはずだが、身の軽さも幸いしてか、小石が敷かれた地面に足から落ちた彼は、ほぼ無事に事故をやり過ごした。

しかし、心の中にはしっかり事故の記憶が刻みこまれてしまったようで、落下中の時間が「とても長かった」と語るディランくん。母ジェシカさんは、我が子がほぼ無事で済んだものの「自分を責めずにはいられなかった」と転落事故を大いに反省したという。そして今後は二度と息子が事故に遭わないようにと、ジェシカさんは1階の部屋探しを始めたそうで、良い環境の場所を見つけたら、今度はしっかり注意して見守り続け、ディランくんを元気に育てて欲しいところだ。

その瞬間わずか4歳にして回想シーンを経験?!と言う話なんですけれども、くれぐれも良い子の皆さんは真似をなさらないようにお願いいたします。
昨今やたらにオリーブオイルを使いまくる料理コーナーが人気だと言いますが、いくら何でもここまでのことは常人には追随不能というニュースを紹介しましょう。

の、飲みオリーブだと!? オリーブオイル2800グラムを3分で飲み干す男(2013年2月23日ねとらば)

 オリーブオイル2800グラムを3分間で飲み干す男性の動画が恐ろしいです。カロリーの摂取量はなんと2万4000キロカロリー!

Idiot Consumes 24,000 Calories of Fat in 3min

 自分の顔の倍近くはある大きなグラスに、オリーブオイルをたっぷりと注ぐ男性。ごくごくと勢いよく飲みはじめますが、グラスから口を離すたび、眉間にしわを寄せ苦しい表情を見せます。後半はさらに辛いようで、飲んでは吐き気をがまんし、肩で息をしている状態。3分かかってようやく飲み干し、なんとか挑戦成功! ……なのに、男性は手で目をおおったり目を瞬かせたり。喜びよりもオリーブオイルの苦しみが大きいようです。だったらやらなきゃいいのに……。

 男性はこのあとトイレで、お尻から9時間も油を漏らしつづけたとのこと。良い子は絶対にマネしないでください!

人間の可能性ということを感じさせる偉大な奇跡の発現とも、あるいは壮大な愚行とも言いかねるような何とも微妙なニュースでしたね。
こちらも常人では到底真似できそうにないという絶え間なき修練の賜物ですが、なんでもそれなりの実用性もある?というところが興味深いですね。

女子は性器で14キロのダンベルを持ち上げられるんだゾ♪ 女子「トレーニングさえ積めばどの女子もできる」(2013年3月12日ロケットニュース24)

世界一強靭なアレを持った女性が、人々に衝撃を与えている。気になるその “アレ” とは、そう、女性の性器「膣(ちつ)」である!

ロシア人女性Tatyana Kozhevnikovaさん(40代)はなんと自分の性器を使って、14キロもの重りを持ち上げた記録を持っており、「世界一強靭な膣を持つ女性」として知られているのだ。それでは自分の性器を使って、どのようにして重りを持ち上げるのだろうか?

Tatyanaさんはイギリスの番組「The Body Shocking Show」に出演し、その驚異の性器重量挙げをやって見せた。まずは卵型の木製ボールを自分の膣へと入れる。そしてそれとつながっているひもの反対側にダンベルをつけ、それを膣の筋肉だけを使って持ち上げるのだ。このレベルに達するまで20年かかったと、Tatyanaさんは番組内で語っている。

そして自分の膣は決して特別なものではなく、普通の女性でもトレーニングさえ積めばここまでできるようになると強調し、次のようなことをTatyanaさんは話している。

「女性のみなさん、1日5分自分の膣を鍛えるだけで十分なんです。すると一週間もすれば、自分自身そして相手の男性にベッドの中の忘れられない喜びをもたらすことができるのです」

ちなみにギネスには性器重量挙げという項目はなく、Tatyanaさんは非公式での世界記録保持者である。いれずにしても、そのたくましい精神と性器はこれからも人々に驚きを与え続け、いつまでも語り継がれていくことだろう。

Tatyana Kozhevnikova je žena s nejsilnější vagínou na světě!

しかしナニの筋肉もすごいのかも知れませんがなかなかにこの腹筋もすごいものが…ロシア女性に対する偏見を打ち破りかねない鍛え上げられた肉体美ですが、やはりこれもたゆまない鍛錬の賜物ということなのでしょうね。
これまた奇跡というべきか何と言うべきかはっきりしませんけれども、普通それはないだろうという驚きのニュースを紹介してみましょう。

【海外:カナダ】背中の痒みの原因は…背中に刺さったナイフ!背中のナイフに3年間気づかなかった男(2013年3月24日日刊テラフォー)

ここ最近、ずっと背中が痒いんだ。」
カナダ人のビリー・マクニーリーさん(32)は、3年間、背中の痒みを抱えていた。だが、その原因は、なんと、背中にかみそりの刃が刺さっていた為だった。
しかも、ビリーさんの背中から発見されたかみそりの刃は、7.6cmもあった
どうやら3年前に喧嘩で5回ほど刺された時に、刃がそのまま背中に残っていたらしい。その時診察した医師は、ビリーさんの背中にできた傷口を縫い合わせただけで、レントゲン検査は行わなかった。
刃が刺さっていた部分には、こぶができていた。

かみそりの刃が刺さっていることに3年間も気づかないなんて信じられないが、今思い返せば、ビリーさんには確かに思い当たる節があった。
「過去に拘留されたことがあったんだけど、警備員が金属探知機を僕の体にかざすと、必ず背中で探知機が反応していたんだ。」

それでも、背中は自分では見えないので、ビリーさんは特に気にしていなかったようだ。
3年経って、背中を掻いた爪に何かが付着しているのを発見したところで、ビリーさんは、ようやく自分の背中をよく見てみることにした。

ビリーさんはガールフレンドに、背中を見てくれるよう頼んだ。
そしてびっくり、彼女はかみそりの刃をビリーさんの背中に発見してしまった。
「『背中にかみそりが刺さってるわよ』ってビリーに言ったんだけど、怖かったわ。
ピンセットで抜く準備をしたわ。」

怖いと言いながら、ピンセットで刃を抜こうとするとは、彼女もなかなかの度胸だが、最終的には、ビリーさんはきちんと病院へ行き、刃を取ってもらった。

通常なら手に小さなトゲが刺さっただけでも気になって仕方がないのに、7cmもの刃はが刺さっているのに3年も気づかなかったとは、ビリーさん、よほど図太い神経の持ち主なのだろう。

しかしまるで格闘マンガにでも登場しそうな剛胆なエピソードと言えなくもないのですが、それに三年間も気づかなかったというのは単なる鈍…
人並み外れた非常識な人間ばかりが奇跡を生むのではなく、当たり前の人間であっても奇跡の瞬間は訪れるのだと期待を抱かせるのがこちらのニュースです。

誰かスローで解説たのむ 速すぎてもはや意味不明レベルな神業ポスティングおばちゃん(2013年3月24日ねとらば)

 マンションの集合郵便受けに、高速でチラシをポスティングしていく女性。いつも無用なチラシを投かんされて困っているという人も、この早業には怒るどころか感動してしまうかも。

Caught a spambot in action.

 右手には短い棒のような道具、左手にはチラシの束。彼女は道具を使って郵便受けにチラシを1枚ずつ、次々と押し込んでいきます。どれくらい速いか数えてみたら、再生時間22秒の間になんと50枚ものチラシを配布(秒間2.3枚ペース)! 現場を目の当たりにしたら、思わず見入ってしまいそうなポスティング術でした。

何やら見慣れないツールのようなものまで用意しているのですからよほどに創意工夫と精進を重ねてこの境地に至ったのだろうと思いますが、それにしても一体何年チラシ投函を続けるとこの域に達するのでしょうね?
最後に取り上げますのはこれまた人間のたゆまない精進の賜物と言うべき奇跡ですが、しかし当人よりも周囲へのダメージの方が大きいかも知れないというびっくりニュースです。

【男性閲覧注意】自分の股間をフルボッコにするビックリ人間がYouTubeで活躍中(2013年3月7日ねとらば)

 数ある痛みの中でも男性にとって最も恐ろしいのが「股間を強打する」というもの。男なら誰でも守りたいこの股間を、何を考えているのか自ら進んでボコボコにする男性の動画がYouTubeで注目を集めています。

HORSE "Ow My Balls" TV REEL 2012

 このビックリ人間はHORSEさんという海外の男性。「ゴルフクラブをフルスイングして股間を打つ」「平均台の上でジャンプして股間で着地する」「ブラジリアン柔術王者のキックを股間で受ける」など数々のキンタマ潰し動画をYouTubeに投稿しています。タマが潰れる度に「ヴォウウ!」と苦しそうな声をあげていて、見ているこちらの股間もヒュンとなります。

 恐怖のキンタマ潰し芸は海外でも有名になっており、MTVなどのテレビ番組にも多数出演。その名の通り股間が馬並みに強いのか、はたまたとんでもないドMなのか……。真相は不明ですが、男らしい挑戦を続け過ぎていつか男でなくなってしまわないか心配です。

痛覚は我慢することで何とかなるのかも知れませんが、その部分の物理的耐性には明らかに限界があるはずだと思うのですが大丈夫なのでしょうかね。
それにしても動画を見ていますと観客の男と女でリアクションが顕著に違うんですが、確かに女にはこのすごさの本当のところは判らないんでしょうなあ…

今日のぐり:「海鮮居酒屋はなの舞 岡山本町店 」

居酒屋というと個人的には親父がやっているカウンター主体の小さな店を想像するのですが、昨今では海外展開もするほど大資本によるチェーン店の方が増えてきているようですよね。
こちら「はなの舞」さんも全国展開されている居酒屋チェーンなんだそうですが、一見小さな間口に見えても中に入ってみると相当な席数が用意されているのがチェーン店らしいなと思います。
しかし海鮮と言うくらいですから鮮魚系の料理なども充実しているのかと思いましたら、メニューに載っているのはありきたりの刺身くらいで特に目立った特徴もなく、むしろ馬刺しや鯨ユッケなど海鮮以外の方が目立っているくらいですね。
全般的にはこの手の居酒屋チェーンでありがちなメニューは一通り満遍なくそろえているという印象なのですが、しかし場所柄を考えるとキッズプレートまであるのは時代の変化なのか…と思ってしまいます。

お通しに細切れ状態の唐揚げが出ていて、てっきり軟骨か何かだと思ったら魚だったのが意表を突かれたのですが、後は特に海鮮にこだわることなく適当に頼んだものをつまんでみました。
ざる豆腐系の手作り豆腐は最近よくある脂肪分過多で甘すぎる豆乳でなくある程度大豆蛋白の味も楽しめる具合で、これ自体はそれなりにいけると思うのですが向き不向きがあるでしょうに何の料理にも使い回すのはどうなんでしょうね?
昔ながらの酒のつまみとしてホタルイカ沖漬けがありますけれども、これは確かにうまみたっぷりでいいんですが今日的視点で見るとこの塩分過多なので食べ過ぎは要注意ですね。
これまた定番のえいひれは炙り加減はいいのですが、しかしこういう昔ながらのメニューも未だにそれなりの需要があるというのは面白いところです。
焼き鳥は一通りそろっていて、皮はカリッと香ばしいのはいいんですがこの作りたてのような味の甘辛だれは少しくどいので、マッチングとしては塩の方がよさそうです。
羽根つき餃子はいかにも市販品によくありそうな味で特記すべきところはなく、軟骨唐揚げは食感はいいんですがこれまた少し粉っぽいのが気になったというところでしょうか。

全般的に味はこの手のチェーン店の標準というレベルで特に印象に残るものではありませんが、メニューが多種多様なので大人数の宴会にはこういう店が使いやすいんでしょうね。
それにしても本当に全方向に取りそろえたという感じですが、甘いものなどの充実ぶりはいいとして海鮮系はせっかくなので地のものを中心に味も種類ももう少し頑張って欲しい気がしてしまいます。
接遇面では比較的レスポンスはいい方で特別悪い印象はなかったのですが、これだけ席数がある上に酒飲みばかりが集う店としてトイレ設備は相対的にやや貧弱かなとも感じました。

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2013年4月 6日 (土)

マスコミ的には「ネトウヨ=反マスコミ?」

最近マスコミが好んで使う言葉として「ネット右翼(ネトウヨ)」というものがありますが、この定義もなかなかに微妙で明確化されきっていないところがありますよね。
文字通り解釈すれば「ネット上で右翼的言動をする人々」という程度の意味になるはずですが、例えばお隣韓国などは以前から日本のネット上の言論に非常に神経質になっていて、こうした場での言論をもって「日本が右傾化している!」と大騒ぎしていたりする。
単純に考えれば彼らの言う「右傾化」をさせている「極右的ネチズン」こそが日本のマスコミが言うところの「ネトウヨ」かということになりますが、実際には先日安倍総理がいみじくも「私の主張を極右的だとするなら、世界の国家全てが極右国家」だと看破したように、「彼の国の主張に反する人々」という意味で用いられているようです。
一方で日本のマスコミが連呼する「ネトウヨ」も確かに反韓的傾向が強いと指摘されるとは言え、この場合はどうやら「日本のマスコミの主張に反する人々」という意味で用いられているようですね。

マスコミが在日に支配されていると信じるネット右翼を知る書(2013年3月14日NEWSポストセブン)

〈グーグル検索で「中川淳一郎」と打てば、予測変換に「在日」と出る〉と、中川淳一郎(ネットニュース編集者)が書くように、安田浩一(ジャーナリスト)、山本一郎(ブロガー)、中川はいずれもネット上でネット右翼から激しく攻撃されている。彼ら3人は、「嫌韓」を特徴のひとつとするネット右翼に対する批判を繰り返しているからだ。

 本書はその3人の書き下ろし原稿と鼎談からなる。安田は「街に出たネット右翼」と呼ばれる「在特会(在日特権を許さない市民の会)」のメンバーとのやり取りを描き、彼らの心の内実に迫る。安田は忍耐強いが、やり取りは絶望的である。中川は自らが身を置くメディアの現場を説明し、ネット右翼がしばしば持ち出す「マスゴミの反日陰謀論」を一笑に付す

 陰謀論は実に荒唐無稽である。自分の人生が恵まれていないのは在日韓国・朝鮮人が不当、不正に特権を享受しているからであり、マスコミはその「在日」に支配されているというものだ。そして彼らは、ネットに流れる情報によって初めてそうした「真実を知った」と考えている3者が共通して指摘することだ。

 馬鹿馬鹿しいと笑うのは簡単だ。だが、「親韓」だとしてネット右翼に抗議された企業の売り上げは落ち、大量の「電凸」(電話による抗議)に悩まされた。その影響力は無視できないところまで拡大している。山本はパネル調査により、ネット右翼の定量分析や海外との比較などを行なっているが、それによると、“ネット右翼予備軍”は最大120万人と推定される。

 社会の一角を占めるようになったネット右翼を知る入門書として最適だ。

ま、1億人以上の市場によって支えられている企業活動が予備軍まで総動員してもたかが100万かそこらのネトウヨによって売り上げを左右されるなら、普通に考えてネトウヨと見解を同じくする人々が社会的にも無視出来ない数だけいるんじゃないかと思うのですが、どうも彼らマスコミによるとあくまでネトウヨ的見解は社会的極少数派によって共有されるに過ぎない「異端」なんだそうです(苦笑)。
彼らが自らの主張に反する人々に取りあえずネトウヨとレッテルを貼って「またネトウヨのヘイトスピーチが!」などと騒げば騒ぐほど、本来彼らが目の敵にしたいはずの中核的ネトウヨ(という言い方が正しいのかどうかは判りませんが)とは立場を異にするライト層までも「マスコミ批判を勝手にヘイトスピーチにすり替えるな!」と反発を強めたりもしているようですね。
要するに日本においてこの問題の本質を最大公約数的に表現すればマスコミを批判するネット利用者対マスコミという構図だと思うのですが、どうもマスコミ側としては「批判されるのは自分達が悪いからじゃない!抗議してる連中が頭のおかしいネトウヨだからだ!」という論点に持っていきたいらしい、しかしそれが本当に正しいのだろうかという疑問を感じさせるのが以前に取り上げた名古屋新聞の記事です。

「祭り」の標的となった中日新聞 記事自体に問題はなかったか?(2013年04月03日WEBRONZA)

 「ネトウヨ」。最近よく耳にする言葉だ。インターネット上の掲示板などで勇ましい右翼的発言をする、あるいはそれを支持する人たちを「ネット右翼」といい、略して「ネトウヨ」。最初は熱帯魚の一種かなと勘違いしたが、同僚に聞いてその意味を知ったのは半年以上前のことだ。
(略)
 定義はともかく、その「ネトウヨ」に中日新聞は最近、相次いで標的にされた。昨年暮れに自民党が政権に返り咲き、安倍晋三氏が再度首相の座に就いた。新政権が誕生すると、東京新聞(中日新聞東京本社)特報部が取材する恒例の記事に新内閣の命名がある。「安倍新内閣 名付ければ」が載ったのは12月27日付朝刊で、名古屋本社発行の中日新聞にも同日掲載された。
(略)
 標的となったその記事は、1ページの上8段をすべて使い、安倍首相が笑顔で手を振っている全身像の写真をコラージュで中央に配置し、その周りに、命名案を見出しというより正札のように貼り付けた。「逆戻り」「そつなくまとめてみました」「福島圧殺」「まぐれ敗者復活」「改憲」「学力低下」「ネトウヨ」「厚化粧」「極右はしゃぎすぎ」「国防軍オタク」―。

 一読して、よくこれだけコキ下ろしたものだ、と思うのは私だけではないだろう。少しは評価する命名はないの?と首をかしげてしまった。だが、本文を読むと、その理由は明快だ。作家の高村薫や宮崎学、金子勝・慶応大教授、大田昌秀元沖縄県知事、政治評論家の森田実、エッセイストの北原みのり、國分功一郎・高崎経済大准教授ら各氏のほか脱原発団体の代表などもいる。いずれも脱原発、反自民、護憲の色彩が強い人たちばかりだから、当然といえば当然の紙面だろう。

 この記事が出ると、すぐにネット上で?祭り?が始まった。記事の写真が掲載され、あちこちの掲示板で「反日新聞」「マスゴミ新聞」などの書き込みが拡散した。と同時に編集局読者センターには苦情の電話とメール、ファクスが殺到した。

 「頭にきた。新聞を破り捨てた。購読をやめる」(名古屋市、30代男性)、「新聞によるいじめだ」(津市、40代女性)、「批判の限度を超えている」(京都、50代女性)など、電話138件、メール・ファクス437件もの声が寄せられた。

一本の記事でこれだけ反応が大きかったのは近年まれだという。なかには「思想的に右翼」と自称する50代男性が「安倍氏に関する記事でヒステリックに批判するネトウヨがいるが、真の愛国者ではない。賛成一色では怖い。スパイスがあってよかった」と、妙なほめ方をする例もあったが、これは極めて少数派で、記事に対する不快感を示す意見が大勢を占めた

■自らの足元を検証し議論できる環境を

 この一件が冷めやらぬなか、今度は明けて1月29日付夕刊の1面コラム「夕歩道」が標的になった。

 日銀の物価2%目標の意味を問うもので、最後のセンテンスに書いた「調子に乗りすぎるなよアベノミクス」が火に油を注いだ。またもネット掲示板などで”祭り”が始まり、読者センターにも苦情の電話やメールが寄せられた。読者からの声は「ヤンキーが使う言葉で新聞記者が使う言い回しではない」「ヤクザの捨てぜりふ」など、表現の不適切さを指摘する意見が多かった。さらに中日新聞のエリア外である大阪府の40代女性からは「知人宅で読んだ。この政策を支持していない者からみても、違和感を覚えた」と耳を傾けるべき意見もあった。

 中日新聞は以前から日常的に「反日新聞」「『中』国人民『日』報」など決まったパターンでネット掲示板の標的になってきた。しかし、これらの書き込みを読むと、針小棒大な書き込みが大勢を占め、初めから?たたく?ことが目的になっている。この手の中傷は弊社ばかりではなく、全国の新聞がなんらかの標的になっていると考えられる。

 今回、これら2つの事例を挙げたのは、ネット掲示板で騒がれる以前に、記事そのものが問題を内包していたと考えるからだ。

 例えば安倍内閣のネーミング記事は、明らかにバランスを欠いていた。コキ下ろしばかりでなく、評価する側の命名案も載せるべきだった。同時に、内閣命名案という古い手法の記事が今でも必要だろうかとも思う。確かに安倍内閣に批判的な人が読めば、痛快な命名に溜飲を下げるかもしれない。だからこうして記事を提供するのだ、というのはマンネリズム以外の何ものでもないし、新聞社側の傲慢ではないか。

 また、「夕歩道」の一件は、論説委員から提稿された編集局側で、あの表現について疑問がなかったのだろうか。あっても遠慮したのだろうか。もし、疑問を自ら封じたのであれば、問題だろう。そもそも最後の言い回しは必要だったのか。いかにも付け足しの一文のような気がしてならない。

 新聞をはじめ既存メディアへの信頼が大きく揺らいでいる。記事の表現やレイアウト、バランスなど、少しの”揺れ”が信頼に大きくヒビを入れる。そこが?祭り?の種にもなりかねない。まず自らの足元を検証し、編集局内で自由闊達な議論ができる、新聞社本来の社風を絶やしてはならない。

小島一彦(こじま・かずひこ)
中日新聞社編集局編集委員。1951年長野県生まれ。青山学院大学卒。中部読売新聞社(現・読売新聞中部支社)を経て84年中日新聞社入社。文化部次長、放送芸能部長、大阪支社編集部長などを経て現職。

ここで注目されているのは、「中の人」ですら「よくこれだけコキ下ろしたものだ」と言うほど罵詈雑言めいた批判的文言ばかりが並ぶ中に「ヲタク」などと並んでしっかり「ネトウヨ」も入っているということで、彼らの中でどのような人種が嫌悪すべき対象であるのかが丸わかりというものですよね(しかしヲタクを敵に回すと怖いよ…)。
そしてわざわざ抗議を行ってきた方々が実年層まで含めて社会全階層にまんべんなく広がっていることは明らかで、図らずも彼らの「ヒキヲタニートのネトウヨだけが文句をつけている」という主張が崩壊していることも立証されているでしょう(そもそもネット掲示板で祭りだ炎上だと言ってる連中が今時ファックスで抗議ってあり得ない…)。
商売でやっている以上別に中日新聞として特定の立場を取ることは一向に構わないだろうし、その偏った購買層に媚びた記事を掲載することもご自由にというしかないことですが、それでは客観的にそれはおかしいと批判された時に、いやこれこれでおかしくないと論によって反論するのではなく「批判する者はネトウヨ」で言論封殺を図って終わりと言うのでは、いやしくも言論で飯を食っている人間としてお粗末ではないか?ということですよね。

メディアが公正中立であるなどと幻想を抱いている人間も今や絶滅危惧種でしょうし、彼らが言うネトウヨという集団としてこれまた特定の方向性を共有しているという傾向も見られるかも知れない、しかし問題なのはその特定の方向性を共有している集団からみて「弊社ばかりではなく、全国の新聞がなんらかの標的になっている」と言うほど、メディアもまた逆方向に価値観を共有していることは言論の多様性としてどうなのかです。
マスコミはネトウヨネトウヨとまるでネット上の言論が特定色に染め上げられているように言われますが、お隣韓国の「ネチズン」が日本のネトウヨどころではない単色に染め上げられ、国家の意に沿わぬ言論をうっかり書き込もうものならウェブを閉鎖されてしまうことに比べると、ネトウヨもいればリベラルもいる日本のネットの方がよほど多様性があり健全だという気がします。
そして「またネトウヨがヘイトスピーチを…」などと余計な色眼鏡を外して冷静に虚心坦懐に記事を読み直してみれば、確かに批判されるような問題が記事に含まれているのは明らかなのですから、それでは改めるべきはネトウヨの偏った言論なのか、それともマスコミの偏った言論であるのか、少なくともどちらか一方が正義で他方は悪というものでもないように思いますね。
わざわざ当事者たる中の人までがこういう記事を出してくるくらいですから、マスコミ業界内にも「売り言葉に買い言葉」という現状を疑問視している人間はいるのだと思いますが、そうした多様な意見に基づく「自由闊達な議論」が社内でことごとく圧殺され表に出てくるのは単色光だけだという現状こそ、マスコミがもっとも危機感を抱くべきものではないでしょうか?

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2013年4月 5日 (金)

産業競争力向上へ医療特区推進の声あがる

本日の本題に入る前に、先日出ていましたこういうニュースを紹介しておきましょう。

日本版NIH…医療研究の司令塔、創設を検討(2013年4月3日読売新聞)

 政府は2日、最先端医療の技術革新を進める司令塔として「日本版NIH」を創設する方向で本格的な検討に入った。

 政府の医療関係の研究開発予算を一元的に取り扱う組織で、医療関係の企業と協力し、研究開発成果を早期の新薬開発や医療機器の実用化などにつなげる。政府は、経済再生に向けて6月にまとめる新成長戦略に創設方針を明記し、関連法を整備したうえで、2014年度中の設置を目指す。

 医療分野に関しては、政府内で基礎研究を文部科学省、臨床応用を厚生労働省、産業育成を経済産業省が担っているが、連携不足との指摘もある。政府は医療関係の研究開発予算を一元的に扱うことで、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った再生医療の進歩や、医療機器開発の国際競争力を強化することにつながると判断した。革新的ながん治療薬や小児疾患の医薬品、医療機器の開発を重点的に支援するなど、国家戦略として定めた目標を達成しやすい環境を整えることもできるとみている。

一般論ですが症例数蓄積の必要性から他施設共同研究が当たり前になっている臨床研究と違って、特に基礎研究などに言えることですけれども一大学、一講座単位の小さな学閥内で細切れに研究が行われている場合が多々あるというのは効率の上でも無駄が多いとは思いますね。
昨今はネットなど通信手段も発達していて遠隔地だろうがほぼリアルタイムで情報共有が出来るのですから、きちんとした司令塔役が仲立ちして各研究室の仕事を有機的に統合し、場合によっては迅速な産業化への仲立ちをしていくということになれば、少なくとも形の上ではより研究がはかどる体制が整えられたということになります。
もちろん多くの大学において研究とは名ばかりで教員としての雇用枠を維持する役目しか果たしていない研究室などもあることはこれまた問題ですが、とかく医師たる者常に研究を念頭に仕事をこなせと言われがちな業界である以上、その実を挙げるのに効果的な体制を工夫することは無駄な労力を削減しQOML向上を目指す上でも有効だろうと言うものでしょう。
もちろん実際には司令塔のはずが単なる新たな天下り先に終わってしまうということになったのでは意味がありませんから、これまた名目だけでなくきちんと実を得られるよう現場が監視するようなことも求められていくのかも知れませんね。

それはともかく、iPS細胞絡みでにわかに各方面が医療技術の産業的応用にやる気を見せている感がありますが、先日も少しばかりお伝えしましたように日本の場合もともと何事も規制規制でやっている国であることに加えて、長年の医療バッシングの成果なのか人体に直接影響を及ぼす医療分野では特に規制が強力で、せっかく素晴らしいアイデアが生まれてもそれが臨床応用されるのはまず外国から、などという笑えない状況がありますね。
皆保険制度という制度自体が最低限これだけはという医療を万人に等しく保証する性質を持っている以上、これを堅持し混合診療を認めない立場の日本ではどうしても最先端の医療技術導入にはやや後れをとってしまうのは仕方ないのかも知れませんが、今後は単に医療面のみならず経済的産業的側面からも医療技術開発の迅速化と大々的産業化が求められるようになるはずです。
そのために必要な規制緩和なり特例措置なりを何であれ整えていく必要があることは言うまでもないことで、もちろん国民性として何かあったらではなく何かがあるという前提で保険等の救済策を用意しておくべきだとは言え、技術立国日本としてはまずは技術に対する否定ではなく肯定から入るという大原則を徹底していただきたいと思いますね。

さて、世を挙げて不景気だ、マイナス成長だと大騒ぎもし意気消沈していた時代にあって、放っておけばどんどん急成長していく素晴らしい産業として医療・介護分野がありますけれども、長年に渡って続いた不景気の時代にあっても医療産業をもっと大きく育てよう、国民雇用をこの業界で確保しようという機運はなかなか盛り上がっては来ませんでした。
皆保険制度を無条件の前提にしている以上産業としての医療の発展は国庫支出増大につながるという忌避感もその理由の一つでしょうし、3Kだ、いや4Kだと言われるほど逃散相次ぐブラック業界で就労者に対する魅力のアピールが乏しいという副次的な理由もあったのでしょうが、やはり医療を一大産業として自由に発展させていくには諸々の規制が多すぎるということも大きな理由だと思います。
日本では医療の営利的な経営が(少なくとも建前上は)認められていないことからも、あまりイケイケドンドンで拡大基調の経営をすることはやりにくいのも確かなのでしょうが、TPPによって経営的に鍛えられた海外資本による病院経営参入も大いにあり得ると噂される時代にあって、狭い島国内でのローカルルールにある意味守られた運営を続けてきた日本の病院は実はかなり危機的状況にあるとも言えそうですよね。
もちろん日本全国同一料金同一内容の医療を(これも少なくとも建前上は)提供することになっている皆保険制度一本槍では創意工夫する自由度もさしてないじゃないかという意見もあるでしょうが、ちょうど反TPP派が根強いと言われる農業、医療分野で先日こんな話が出ていたことが注目されます。

農業・医療特区、首相主導で 競争力会議で民間議員が提案(2013年4月3日日本経済新聞)

 政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は3日、企業の国内投資を促す対応策を巡る議論を始めた。民間議員は地域を限定して規制や税制を優遇する特区を首相主導で推し進め、農業や医療の活性化を提案した。政府は方向性を理解しつつも、「税制は代替財源を確保しないと難しい」と一部に慎重論が出た。

 今回は少人数の民間議員と関係省庁が特定の課題を議論するテーマ別会合で、「立地競争力の強化」を議題にした。近く開く本会議で関係省庁も改革案を持ち寄り、政府が6月にまとめる成長戦略に反映する。

 竹中平蔵慶大教授が他の民間議員の意見も取り入れ「アベノミクス戦略特区」に関する提言をまとめた。首相が議長を務める特区諮問会議を設けるとともに、特区担当大臣が実務を担う仕組みをつくるとしている。

 具体的には農産物の輸出、医療機関での診断や治療で観光客を呼び込む医療ツーリズム、外国企業の拠点誘致について、税制、金融、規制の見直しなどで後押しする。特区担当相と意欲のある自治体の首長らが議論する場を設け、それぞれの特区の内容を決める。当面は現在の特区制度を活用するが、将来の法改正も視野に入れる

 民間議員が提言をまとめた背景には現行制度への危機感がある。日本総合研究所の高坂晶子主任研究員は「担当する省庁が規制緩和に消極的なうえ、縦割りで対応するため使う側の手続きが非常に煩雑。期待された効果が上がっていない」と指摘する。

不肖管理人はかねて被災地を始めとして各地で医療特区という制度をもっと大々的、積極的に活用していくべきだと言う持論を持っていますけれども、その理由の一つとして農業はもちろん医療というものも地域性というものに非常に左右されやすく、そもそも全国画一なやり方ばかりを強制的に押し通すことが必ずしも最善の方法ではないはずだという前提があります。
例えば先の震災によっても改めて医療過疎地域として注目されることになった東北地方などは広大な県域で冬などは交通もしばしば分断されやすい、そして人口は高齢化率が高いが人口密度は低く医師は少ないという特徴がありますけれども、これを医師も人口も多く皆が狭い地域に固まって生活している首都圏などと同じ医療でやっていけると考えるのはどう考えても無理がありますよね。
日本の医療はあるべき姿に向けて診療報酬に格差付けすることによって政策的に誘導してきたという歴史があるのですから、本来なら各地でそれぞれの実情に応じたきめ細かな誘導政策が必要であったはずのところを、それでも全国画一な皆保険制度をどうしても堅持したいと考えるのであればどうしたって例外、例外で押し通すしかないはずですし、特区というシステムはそのために十分使えるものではないかと思います。

例えば被災地のような医療供給体制が崩壊しかけている状況で何とかやりくりして安定化しようとしている地域に、長年安定的定常期にあることを前提に策定されたルールをそのまま押しつけるのは無理も無駄も大きすぎるというもので、それに対して「24時間必ずサービスが提供出来る担保がない」などと平和ボケしたツッコミをするのは潰すことが目的と言うのでもなければ頭が悪すぎるだろうということです。
お隣台湾などは各種の事情からFTAなどへの加入交渉は今ひとつ順調に進んでいるとは言えませんけれども、すでにそれを見越して同じく医療や農業分野で特区を設け規制緩和を図っているところだと言い、当然ながら限定的地域内での運用で問題点が洗い出されれば対策も出来るし、非常によい効果が認められたことであれば改めて全国的に導入も出来るというものですよね。
とかく規制緩和となれば副作用を心配してか慎重すぎるほど慎重に歩み出すのが今の日本の行政ですが、それなら何かあろうが限定的な影響で済む範囲でまずはお試ししてみるというのは当たり前の考え方ですし、特に医療のように何かと理屈通りにはいかない領域でこそトライアンドエラーの機会を少しでも増やしていくことが望まれるはずです。
混合診療解禁にしろ応召義務撤廃にしろあれだけ議論百出し賛否両論分かれるくらいですから結局極端に一方的なメリット、デメリットがあると言うものでもないでしょうし、それなら実地臨床で検証してしまった方がよほど話が早いというものでは?と思うのですが、そうなりますと一部の方々の望んでいなかった意外な?事実が明らかになってしまうのかも知れませんね。

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2013年4月 4日 (木)

がん登録義務化迫る やや不安も残す制度設計?

昨日はダルビッシュ投手が惜しいところで完全試合を逃したと話題になっていましたが、こちらは「完全」を目指すという記事が出ていました。

がん登録怠った病院に罰金も-超党派議連作業チーム(2013年4月2日CBニュース)

 超党派の国会議員でつくる「国会がん患者と家族の会」(代表世話人=尾辻秀久・自民党参院議員)は2日に作業チームの会合を開き、がん登録法制化に向けて、これまで積み残してきた課題についての議論を続けた。病院はがんを初回に診断した場合に、所在地の都道府県に情報を届け出なくてはならないが、それを拒んだり、怠ったりした場合には、罰金を科すことを決めた。

 病院の届け出義務違反の罰則は、直罰ではなく、都道府県が改めて報告を求める仕組みにして、それにも応じなければ20万円以下の罰金とする。罰則の程度を決めるに当たり、医療法の同種の規定を参考にした。また、がん登録の業務に従事する都道府県職員などが知り得た秘密を漏らした時には、2年以下の懲役または100万円以下の罰金とする。

 集積されたがん登録情報は、国の統計作成やがん対策の立案などに利用できるようにし、がん検診の実施主体である市区町村が活用することも想定している。一方、がん医療の質向上のための調査・研究などに登録情報を提供するかどうかは、国や都道府県が委員会を設置して判断することにした。判断する上で、情報の提供を受ける研究機関の管理体制などが審査される。

 がん患者の生存を確認するために行う登録情報と死亡情報を突合する作業で、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を利用する案も検討されてきたが、見送られる見通しだ。また、登録情報について本人から開示請求があった場合、原則的に非開示にする方向だが、行政機関個人情報保護法の解釈と再度照らし合わせて、次回会合で最終決定する。【君塚靖】

ちなみに「国会がん患者と家族の会」などと言いますからどこぞの市民団体でも加わっているのかと考えてしまいますが、会員は国会議員ないしは秘書で「本人または家族・縁者が、がん患者である者、がん患者であった者」あるいは「日本のがん医療の水準向上を願う者」が参加している団体なんだそうです。
昨年6月にがん対策推進基本計画が閣議決定されるのと歩調を合わせて全国都道府県で地域がん登録が進んでいるところですが、当初厚労省の官僚側から提出された基本計画案ではがん登録について「5年以内に精度を向上させる」と何とも緊張感に欠ける目標が記載されていたと言います。
これに対して政治側が主導して同時期にまとめられていた「医療イノベーション5カ年計画」に急遽「13年度までにがん登録法制化を目指す」という目標が追加され、ようやく具体的な道筋についての議論が進むようになったと言いますけれども、基本的にはがん登録をきちんと行っていくことは医学的にも意義があることですし、実際都道府県単位ではすでに行われていることです。

利用法を見て見ますと個別の症例について掘り下げるというのではなくあくまで統計的データとして用いるつもりであるようですが、その点から患者側からの請求に対して非開示にするというのは筋が通っていると言えばその通りなのですが、実際にこれを行うと患者側の不満が高まりそうですね。
そもそも患者側からすれば自分にとっては明らかなメリットもないまま強制的に個人情報が登録されてしまうのですから不平不満は出そうな制度なんですが、一方でいちいち登録に同意を得るともなればまた大変な手間ですし登録漏れも増えそうですから、全例登録制ならクレームがついたときに誰が対応するのかも含めて検討しておいていただきたいですね。
ただそれ以上に今回見ていて気になったのは「病院はがんを初回に診断した場合に、所在地の都道府県に情報を届け出なくてはならないが、それを拒んだり、怠ったりした場合には、罰金を科すことを決めた」という一文なのですが、少し判りにくいところがあると思いますので以前の会合の内容も併せて紹介してみましょう。

がん登録、医療機関の負担軽減で折衷案も- 超党派議連作業チーム(2013年2月13日CBニュース)

 超党派の国会議員でつくる「国会がん患者と家族の会」(代表世話人=尾辻秀久・自民党参院議員)は13日に作業チームの会合を開き、がん登録法制化に向けた議論を続けた。前回会合での情報提供する医療機関の範囲についての議論を踏まえ、診療所を除外する案も出たが、登録情報の悉皆性を担保するために、診療所でも「治療」した場合には情報提供を義務付ける折衷案も浮上している。

 この日の会合では、がん登録法制化は、全国のがん患者の罹患情報と死亡情報を悉皆的に収集することを前提とし、法制化の目的として、がん治療データを集め、がん対策への取り組みを推進するためと法案に盛り込むことを確認。その上で、個別課題の詰めの議論に入った。

 個別課題では、情報提供を義務付ける医療機関の範囲について、継続して議論している。前回会合で、新たな制度については、がん診療連携拠点病院など専門医療機関は初回に「診断」した時点で情報提供し、それ以外の医療機関は治療方針を決定した場合に情報提供義務を負う仕組みを検討したが、初回かどうかの判断が困難なケースがあることや、「治療方針の決定」の概念が不明確だと指摘されていた。

 これらの議論を通じ、専門医療機関の場合、現行の地域がん登録制度と同様に「診断」した時点で情報提供し、それ以外の医療機関の場合、情報提供するかどうかの基準を「経過観察を含む治療」に定めて、既に専門医療機関で「診断」されたことが明らかな場合には情報提供しなくて済む案と、医療機関を病院と診療所に分けて、病院だけに情報提供義務を課し、診療所には免除するという2案を基に議論した。

 両案とも、メリットとデメリットを整理したが、その中で、登録された情報の悉皆性が重要な論点になり、医療機関の負担を軽減するために、診療所で「診断」した場合には、情報提供を求めないものの、「治療」した診療所には情報提供させる折衷案も出た。このほか、すべての医療機関に情報提供を義務付けるのではなく、「協力要請」程度の緩やかな縛りにしてはどうかとの意見も出ている。
(略)

がん登録法制化の法案骨子固まる- 超党派議連、「財政措置」盛り込む(2013年3月13日CBニュース)

 超党派の国会議員でつくる「国会がん患者と家族の会」(代表世話人=尾辻秀久・自民党参院議員)は13日に開いた作業チームの会合で、全国のがん患者の情報を一元管理するための制度の法案骨子を固めた。現場の登録作業の負担を軽減するために、財政上の手当てをすることも条文に盛り込む方針だ。同議連は今国会への法案提出を目指しており、作業チームは法案取りまとめに向けた最終段階に入った。

 がん登録を法制化する法案の骨子は、▽登録の義務化▽生存確認情報の収集・提供▽個人情報の保護▽情報の利用を通じた、がん医療の質の向上―の4本柱になる。「登録の義務化」には、病院に登録を義務付ける規定や、登録率・データ精度の向上に努めることを盛り込み、「個人情報の保護」では、秘密漏示の罰則と個人情報を保護するための体制整備を求めていくことになる。

 この日の会合では特に、登録情報のデータ精度を向上させるため、がん登録を行った医療機関に患者の生存確認情報をどのようにフィードバックするかや、それを実現するために、どのように条文に書き込むかを議論した。その結果、登録作業による現場の事務負担に配慮して、条文の中に「財政上の措置を講じることとする」などと明記することで、ほぼ合意した。【君塚靖】

仕事を押しつけるだけではなくきちんとコスト負担に関しても言及しているという点は感心なのですが、冒頭の記事でもわざわざ「病院は」登録の義務を負うと書いてあるように、診療所で見つかった場合には登録の義務を負わないという、全症例を網羅すると言っている割には何とも中途半端な例外規定を設けていることです。
恐らく多くの診療所は一人または少数の医師で運営していることに加え、癌の場合はまず健診等で近医で見いだされてから専門医のいる病院に送られるケースも多いでしょうから、文字通り初診を担当する医師に報告義務を負わせると言ってしまうと開業医の負担が大きなものになりすぎるという判断ではあるのでしょう。
もちろん一般的には癌と診断すれば病院に送るでしょうし、そちらで登録すればいいじゃないかと言う話なんですが、病院側からすればわざわざ癌として送られてくる以上はそちらで診断も登録もしているんだろう?と考えるでしょうから、これで登録漏れで罰金ですと言われてしまうと何とも釈然としないでしょうね。

もう一つ、いつどの時点をもって癌と診断したとするのかという問題もありますが、特に積極的な治療を行わない場合にはあまりたいした検査も行わない場合が多いですし、確定診断には至らないが臨床的に極めて疑わしいという段階で留まっている症例にも報告義務を求めるものなのか、そうした症例をどうやってチェックしていくつもりなのかと疑問は感じます。
近年はエコーなどもずいぶんと小型化が進んで在宅などを熱心にやっている開業の先生方が癌を見つける機会も増えてくるんじゃないかと思いますが、こう したケースで年齢状態的に積極的対応はせずBSCのみと決まった場合、がん登録はされていないのに死因は癌死というおかしなことにもなりかねません。
いっそ積極的治療を行わない場合は登録義務は免除すれば話は多少なりとも簡単なのですが、「経過観察を含む治療」も報告対象にすると言っている以上はBSCのみであれ報告義務があるということですから、何とも複雑な割に登録漏れがありそうな制度設計だなという気がします。
そして基本的に報告漏れに罰金とは言っても先に報告を求め拒否された場合に罰金ということですから謙抑的な運用になると思いますが、書式が違うなどと言い出して現行の地域がん登録と二重に求められても書類仕事が増えるばかりですので、事前の摺り合わせはきちんと行い是非とも確実に一度の登録で済むようにしていただきたいですね。

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2013年4月 3日 (水)

次のターゲットは「鉄ヲタ」?

ひと頃から注目を浴びるようになり、最近では必ずしもよい意味でばかり使われているわけではないものに「撮り鉄」という言葉があります。
昔からその存在を知られている「乗り鉄(鉄道に乗車することを楽しむ人)」や「模型鉄(ゲージ模型などの愛好家)」などとはまた違って、この場合は鉄道関係の撮影行為に情熱を燃やす鉄道マニアのことを言うのですが、昨今では撮影行為に夢中になるあまり肝心の電車を停めてしまうなど各種鉄道マニアの中でもその迷惑ぶりが社会の批判を集めるようになってきています。
最近では行き過ぎた行為に対する撮り鉄批判が出る、そしてそれに対して撮り鉄側からも反論が出るといった案配で、ひと頃のブラックバス騒動にも似た社会的論争になっているようですね。

爆破予告、流血、事故死まで 鉄道オタクのモラハラ事件簿(2013年3月28日週刊文春)

 16日の東急東横線渋谷駅に続き、23日には小田急線下北沢駅が地下に移るなど、立て続けのビッグイベントに殺到・興奮し、何かとお騒がせな鉄道オタク。その非常識な行状が問題視されている。

 動画サイトにアップされたのは「撮り鉄」が撮影の邪魔になったらしい子供を抱え上げ「謝れやー!」と母親を恫喝した事件。母親は「子供を返してください!」と土下座させられた。警察が駆けつけてもなお「なんで? 僕手出したわけじゃない」と居直り。完全に常識が崩壊している。

 長野県のしなの鉄道では、沿線に植樹した桜の木を何者かが切断。鉄道側が最初から「撮り鉄」の仕業とツイートしたのも早合点(状況的に犯人には間違いないが)。怒ったマニアらが会社側に嫌がらせし、ストーカー行為に発展した。
(略)
 寝台特急「北陸」のラストランでは、規制ロープを越えて撮影する輩が後を絶たず、もみ合いになり、転倒、流血騒ぎに(10年3月)。

 お座敷列車「あすか」を目当てに線路内に侵入した約10人のマニアは列車を停止させ、約1万3000人に影響を与えただけではなく、駅員の説得に30分も動こうとしなかった(10年2月)。

 フェンスから身を乗り出し新幹線を止める者もいれば(12年2月)、秘境駅「為栗(してぐり)」では列車の接近に気付かず、車両とホームの間に挟まれて停止させた者も(12年2月)。上越線ではマニアが撮影スポットから転落死する事故もあった(10年5月)。

「おい、下がれ」「駅員ジャマだよ!」などと一般客らを恫喝する連中も大量に発生。どんなファン心理なのか。
(略)

撮り鉄批判と猛反撃でネット騒動(2012年3月24日日刊スポーツ)

 撮影を趣味とする鉄道ファン“撮り鉄”が桜の木を切断したとして、しなの鉄道(長野・上田市)関係者が自身のツイッターに苦言を呈したことを受け、インターネット上で物議を醸していることが23日、分かった。

 今月中旬、同鉄道の信濃追分-御代田間の線路沿いにある桜の木4本が、チェーンソーとみられるもので切断されているのが見つかったのが発端。現場は浅間山と列車を一緒に撮影出来る人気スポットの上、今年4月には68年に製造された同鉄道の169系が引退するため、最近は撮り納めする鉄道ファンが連日訪れている。切断された桜は05年にしなの鉄道が植えた。

 今月21日に同社関係者がツイッターで「もうすぐ咲く桜の木を切ってまで撮影した写真に、何の価値があるというのでしょうか?」と、撮り鉄の仕業を示唆する内容をつぶやいたところ、直後からネット上で「完全に犯罪行為」「カメラも持つ資格なし」などの非難が殺到。一方、鉄道ファンは「鉄が切った証拠でもあるのか」「鉄道ファンのせいにしようとしている」と猛反撃する騒動となった。

 あまりの反響の大きさに、同社関係者は騒動翌日の22日、「行き過ぎた表現となってしまい、大変申し訳ありませんでした」と書き込みについて謝罪した。

「撮り鉄」どう対処? トラブル続出…“いいお客さん”ではない(2013年3月22日産経新聞)

 列車撮影に熱心な鉄道ファンを指す「撮り鉄」。だが、撮り鉄による線路敷地内への無断侵入や列車の運行妨害などの問題が続発しており、マナーをめぐっては議論がある。先月、長野県の鉄道会社「しなの鉄道」沿線の撮影スポットに植樹されていた桜の木が何者かに切られた事件をきっかけに、インターネットを中心に批判が巻き起こっている。ともに鉄道趣味に造詣が深い旅行作家の野田隆さんと、鉄道ライターの杉山淳一さんに、意見を聞いた。

 ■杉山淳一氏「自浄作用は期待できない」
 ●「いい客」ではない

 --撮り鉄を中心に鉄道ファンへの風当たりが強まっている

 「まず、鉄道ファンは鉄道会社にとって“いいお客さん”ではないことを自覚し、おとなしくしてほしい。鉄道ファンが落とすお金は、鉄道会社にとっては定期券を買って毎日乗っている人に比べれば大した額ではない。そこをわきまえていないから、一般乗客への遠慮や鉄道員に対する尊敬が働かない。鉄道会社も内心苦々しく思っていることだろう。そもそも乗車券は乗るための券であり、写真を撮るためのものではない。一般乗客に対して迷惑をかければ、排除の動きが出るのは当たり前だ」

 --鉄道ファンは鉄道会社にあまり貢献していないのか

 「鉄道ファンのお金は、実は鉄道会社にはあまり落ちていない。乗ることを目的とする“乗り鉄”であっても、ほとんどはいかに安い切符でたくさん乗るかを極めようとする。さらに撮り鉄は荷物が多いので、鉄道を使わず車で撮影スポットに向かうケースが少なくない。カメラ会社や自動車メーカー、鉄道雑誌を出す出版社などにはお金が回っても、肝心の鉄道会社にあまり利益はない。他のオタク市場とは大きく異なる部分だ」

 --しなの鉄道の事件は、撮り鉄側の猛反発でさらに炎上した

 「撮り鉄の犯行だと決めつけるなと反発する撮り鉄の人もいたが、どう考えてもあれは撮り鉄の仕業だと思う。撮影スポットとして有名な場所であるし、あの桜だけを狙って切る理由が他にないからだ。もちろん、マナーが悪い人がいるのは撮り鉄に限った話ではなく、人数が増えて裾野が広がれば変な人も増える。ただ鉄道は公共交通だから、アニメなど他のオタク趣味とは違って趣味の世界だけでは完結せず、どうしても一般社会と関わらざるを得ない。そうなると、趣味のトラブルが社会のトラブルになってしまう」

 ●違法行為には厳しく

 --ファン同士の自浄作用は

 「昔からネット上などでファン同士のマナー論議が繰り返されてきたが、そもそもマナーをわきまえない人はそこに参加しないから意味がない。自浄作用が期待できない以上、違法行為をする撮り鉄はどんどん捕まえるべきだし、受忍限度を超える行為には遠慮なく法的措置に踏み切ればいい

 --前向きな解決策は

 「鉄道会社の側も、もっと鉄道ファンにお金を払わせる工夫がいると思う。たとえば公式の鉄道ファンクラブを作って、有料で臨時列車の情報などを提供したり、撮影に適したホームの片隅をロープで区切って提供したりすればいい。ファンを囲い込むことで一般客とのトラブルも減る。そうした仕組み作りが必要だ」 (磨井慎吾)
(略)

鉄道マニアだから異常だと言うのではなく、おおよそマニアというものは自分の目的とするもの以外に世間の光景など目に入らなくなる瞬間がままあるものですが、ご存知の通り日本という国は世界でも稀に見る鉄道大国でもあり日夜大勢の利用者がありますから、最初からマニアだけが集まるような世界に生息するアキバヲタやアニヲタと比べて社会との接点が多くなるのはやむを得ません。
そして濃いマニアの中には一定数は社会常識と隔絶した独自の倫理で生きている人々もいるわけですから、分母が大きくなれば許容されざる行為に及ぶ分子も自然に目立ってくる道理であって、それだけ「鉄ヲタ」というジャンルがメジャーなものになってきたとも言えますが、増えた以上はきちんと自浄作用を発揮していただかなければいずれ社会の側から公的に排除されてしまいかねませんよね。
ひと頃(多分にネガティブなニュアンスで)ヲタクの代名詞扱いされてきた漫画・アニメの世界では、すでに30数年の歴史を有し年々巨大化を続けるコミケ(コミックマーケット)なども様々な問題を抱えながら内外の規制と自助努力とで何とか乗り越えようと毎年苦労しているそうですが、逆に言えば限られた時期と場所に限定されたイベントさえ乗り切ってしまえば何とかなってしまうだけ楽だとも言えるでしょう。
その点鉄道マニアは全国どこにでも神出鬼没、さらに徒党を組まずとも一人で好きに続けられる趣味ですから集団対策で事が済むということはあり得ず、考えて見れば規制をすると言っても規制のしようも中々になさそうですから、目に余る行為がある程度以上になれば即法的措置に直結させられるリスクがあるということを当事者も理解しなければいけませんね。

この点でさらに事態の悪化に輪をかけそうなのは当事者としての問題意識の希薄さ、あるいは欠如ですが、先の記事でも取り上げられているように目に余る鉄道マニアの暴走について意見を問われた別のマニア氏が「何時間も前から待ってたのに、一般人がフラッと入ってくる。正直、イラつきますよ」「そもそも、この車両の価値をわかってんのか」などと放言した、とする記事が週刊誌におもしろおかしく取り上げられ炎上したりもしました。
もちろん週刊誌としては売れれば言い訳ですから、つてを頼って何人も取材対象を探しては狙い通りのコメントを出してくれる相手を見つけ出したのでしょうけれども、往々にして世間的評価をあまり気にとめないのがマニア心理だとは言え、世の中がバッシング論調に転じようとしているこの時期にマスコミに利用されるようなコメントを出してしまうのは脇が甘いなと言う気はしますね。
過去に何度も社会的規制が議論され相応に用心深くなっているアニヲタは一生懸命社会的規制を回避しようと苦労しているようですが、鉄道マニアも各人がふらりと気の向くまま出かけていくだけで終わっているのではなく、そろそろ同好の士で集まって自主的にルール策定を考えていくべき時期ではないかと思います。

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2013年4月 2日 (火)

ピロリ菌除菌適用拡大 患者のためになるいい話であるはずが

先日はブラジルでベッドを空けるためと称して患者300人以上に筋弛緩剤を投与した疑いで医師が逮捕されたと大いに話題になっていましたが、ちょうど日本でもこんな本が大いに話題を呼んでいると言います。

“医療関連本”初の2週連続1位、「医者に殺されない47の心得」好調。(2013年3月28日ナリナリドットコム)

今週4月1日付けのオリコン“本”ランキングで、近藤誠「医者に殺されない47の心得」(2012年12月13日発売・アスコム)が、週間3.8万部を売上げ、先週に続き2週連続の首位を獲得した。医療関連の作品がBOOK(総合)部門で2週連続の首位を獲得するのは、オリコンが2008年4月に“本”ランキングを開始して以来、今回が初となる。

慶應義塾大学の放射線科講師で、乳房温存療法のパイオニアとして知られる近藤誠が、医療や薬の弊害と、それらをいかに使わずに元気に長生きするかを「心得」として解説している本作。「医者によく行く人ほど、早死にする」「がん検診は、やればやるほど死者を増やす」といった、これまでの常識が覆るような「心得」が多く並んでいるが、無駄に苦しむだけの治療や悲惨な医療死から身を守るために、「自分で調べて考えること」を読者に説いている。

初の首位を獲得した先週から今週にかけては、メディアなどでの大きな露出があったわけでもないようだが、週間売上部数はこれまでの最高を記録した本作。口コミとタイトルのインパクトがダイレクトにユーザーに訴えたようだ。さらなる今後のセールス拡大に期待が高まる。
(略)

残念ながらと言うべきか幸いにもと言うべきか管理人は未読なんですが、御高名な近藤先生の本と言うことでどうしても色眼鏡をつけて考えてしまいがちとは言え、一般論として「自分で調べて考えること」が医療において重要であることには間違いがありませんね。
近年ではインフォームドコンセントの重要性が強調され、患者の理解と決断なきところに治療無しといった風潮になってきていますけれども、逆に言えば理解し決断する能力がなければ(緊急避難的なものは別として)正しく望ましい医療を受けることは出来ないということでもあります。
一昔前のように「何も言うな。黙って俺に任せておけ」的なトンデモ先生もさすがに昨今では相当に駆逐されてきていて、今の若手~中堅医師達はこうした方面でもしっかりと教育を受けてきた世代が中心になっていますから、患者としても自分の健康と命を守るために医師ら専門職スタッフの知識と技能を正しく活用していただきたいところですね。
それはともかく、近藤先生お得意の癌検診などとも大きく関わってくる話題として世間的にも今年のトピックにもなっているのがあのバイ菌の話なんですが、まずは一般に報道されている通りのこちらの記事を先にご覧いただきましょう。

「ピロリ菌」除菌、医療保険の適用に 投薬で胃がんリスク3分の1(2013年3月30日産経ビズ)

 慢性胃炎と診断された人の「ピロリ菌」の除菌治療が2月から医療保険の適用になった。除菌といっても1週間、3種類の薬を飲むだけで、除菌後は胃がんリスクが3分の1に低下。専門家は「これを契機にピロリ菌を除菌し、胃がんを予防して」とアドバイスしている。(清水麻子)

 1週間、薬3種だけ

 ピロリ菌の正式名称は、ヘリコバクター・ピロリ菌。人の胃の中に生息する細菌で、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどを引き起こす。
 日本人の2人に1人は感染しているとされ、世界でも多い。かつて上下水道が十分に完備されていなかった時代の環境が感染原因とされ、高齢者の感染率は7~8割と高い。
 元国立がんセンターの内視鏡部長で「日本橋大三クリニック」(東京都中央区)の斉藤大三院長は「ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜が徐々に荒れ、慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんにかかりやすくなる」とし、「多くの人にピロリ菌の有無を調べてもらいたい」とアドバイスする。

 斉藤院長によると、ピロリ菌の検査も除菌も簡単だ。息や尿、血液を採取する胃内視鏡を使わない検査法もあり、気軽に検査ができる。除菌法は、2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬の計3種類の薬を1週間飲むだけ。一部の人に下痢などの副作用が伴うこともあるが、大半の人は除菌に成功するという。
 ただ、保険で除菌を受けるには胃内視鏡検査が必要だ。「何となく胃腸の調子が悪い」という症状があれば、医療機関を受診し、胃内視鏡検査後に慢性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などと診断され、ピロリ菌感染も分かれば除菌は保険適用となる。症状がなくても自治体などの胃がん検診(胃内視鏡検査が必要)で慢性胃炎などが発見されれば、ピロリ菌除菌を保険で受けられる。
(略)
 斉藤院長によると、認定医による自費での検査・治療は各5千~6千円(薬代は別)。結果的に胃内視鏡検査で慢性胃炎などが分かれば保険が適用され、会社員は3割、75歳以上の高齢者は基本的に1割で済む。
 高齢者の感染率が高いが、感染のピークは2~5歳。「特に食べ物の口移しで子供への感染が広がる恐れがあるため、子育て中のお母さんは自分の感染を調べてほしい」(斉藤院長)
 除菌後はピロリ菌感染はほぼなくなるが、胃がんのリスクがなくなったわけではない。斉藤院長は「除菌成功後も胃内視鏡検査は必ず受けるように」とアドバイスしている。

一般的なタイプの胃癌については「ピロリ菌なきところに胃癌なし」と言ってもいいくらいにピロリ菌の有無で発生率が異なっていて、胃癌のみならず潰瘍や胃炎など現代人を悩ませる各種胃障害の原因にもなっているというのですから、潰瘍持ちのみならず大多数の人々が保険で除菌治療が受けられるようになったということは福音と言っていいはずですよね。
特に慢性胃炎の場合は肝炎などと同様に進行するほど胃癌のリスクが高まるとされていますが、一方であまり進行するとかえって胃酸は出なくなって胃潰瘍などにはなりにくくなりますから、「あ~この患者さんには絶対除菌した方がいいのに~」とジレンマを抱えていた臨床医にとっても今回の適用拡大は望むところであったでしょうね。
かくて珍しく厚労省もよい決断をしたと何かしら称讚めいても見える記事が各メディアで繰り返し登場しているわけですが、その背景事情を考えると必ずしも絶讚できるというわけではなく、一歩間違えば大変な騒ぎになっていたかも知れないということは一般顧客にはあまり知られていないようです。

Vol.69 日本の胃がん予防の「失われた10年」(2013年3月15日医療ガバナンス学会)

武蔵浦和メディカルセンター
ただともひろ胃腸科肛門科
多田 智裕

厚生労働省は2月22日 ヘリコバクターピロリ感染胃炎に対するピロリ菌除菌療法を健康保険診療で行うことを認可しました。
ピロリ菌は1994年に、世界保健機関(WHO)によって胃がんの確実発癌因子として認定されました。強力な発がん性で知られるアスベストと同じ最高の危険性を示す「グループ1」として認定されています。
胃の中に住みつくこの細菌は、胃がんだけでなく、その前段階として慢性胃炎および胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こします。2000年から日本においても、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍を発症した人に限り」健康保険でのピロリ菌の感染診断および治療が認可されていました。
今回は胃潰瘍、十二指腸潰瘍のみならず、慢性胃炎にまでピロリ菌治療の保険適応が拡大されました。
これにより、アメリカと比べて発症率が10倍も多く、年間10万人以上が発症する、日本のがんの罹患率第1位である胃がんの大幅な減少が見込まれ ます。ピロリ菌は胃がんの原因の9割を占めるとされています。ピロリ菌治療適応の大幅拡大により、胃がんの発症数が4分の1程度にまで減少するという試算 もあるくらいです。
これを受けてメディアは、「胃がん予防が進む」「胃がん予防元年」といった趣旨の報道をしています。
もちろん、この決定に至るまでに各分野の方々の並々ならぬ努力があったことは、痛いくらい分かります。しかし、臨床現場で胃がんの方々を診療する私としては、この決定はあまりにも遅かったと感じざるを得ません。日本には「胃がん予防の失われた10年」があったのです。

●胃炎の段階でのピロリ菌除菌治療はほぼ不可能だった
日本ではこれまでの10年あまり、胃潰瘍および十二指腸潰瘍にしかピロリ菌の除菌治療が認められていなかったと述べました。
これは現場の医師にとっては、出血や粘液の付着を伴うような強い胃炎でピロリ菌が強く疑われる場合でも、潰瘍や胃がんに進行するまで治療ができなかった、ということを意味します。
(略)
診療所レベルでは、胃潰瘍がない場合に"胃潰瘍瘢痕"(胃潰瘍にかかったような傷跡)を内視鏡で確認して、保険診療を行っていた施設もあったとは思います。しかし、これも厳密には保険医剥奪のリスクを伴う行為でした。
このように、「10年余りの間、ピロリ菌除菌の必要性は認識されながらも、治療がほぼ不可能であった」ということです。

●医療費削減政策がピロリ菌の除菌治療を封じ込めた
それよりも私がもっと問題だと思うことがあります。
胃炎の段階でのピロリ菌の除菌がこれまで10年以上にわたり認められなかったのは、決して医学的な理由からではありません。主として"医療費"という経済的な問題であり、そのことが一般の方にほとんど知らされていなかったことが問題なのです。
ピロリ菌が発ガン危険因子であることに議論の余地はありません。しかし、「ピロリ菌を除菌することにより胃がんの発生率が下がるというエビデンス(証拠)がない」という理由で、胃炎への保険適応は見送られていました
でも、ピロリ菌退治により胃がんの発生率が下がることを証明するためには、ピロリ菌の退治を禁じた集団を作成して胃がんの発生率をカウントし、ピ ロリ菌を退治した集団と胃がん発生率を比較しなければなりません。しかし、現実問題としてそのような研究データを収集するのは、倫理上まず無理です。
では、"医療費"の面から保険適応が見送られた理由を考えてみましょう。
2000年の胃潰瘍、十二指腸潰瘍の保険適応の際の医療費増加額は約300億円とされていました。もし、2000年の時点で胃炎にまで適応を拡大していたらとすると、おそらく医療費の増加額はそのおよそ40~50倍の1兆円を超える金額となっていたでしょう。
日本では当時、医療費削減政策が強力に推進されていました。いくら日本のがんの中で胃がんが第1位とはいえ、それほどの金額を予算として確保することは、誰が担当者でも難しかったでしょう。
このような状況の中、「必要性のある医療は全て保険診療として収載する」という建前のもと、逆に「保険適応になっていないのだから有用性が確立していない治療なのだ」と誤解され、「ピロリ菌治療は受けると害がある」などと説明されることもあったのです。
(略)
今回の決定で、今年が「胃がん予防元年」となることは間違いないでしょう。でも、そこに至るまでに「失われた10年」があったことをきちんと振り返って、さらに良い方向に変わることを切に願います。

今回の適用拡大を受けて各メデイアは「胃炎は除菌が今後の常識」などと言っていますが、では2月の適用拡大の瞬間から急にそれが医学的な常識になったのかと言えばそうではないはずで、それでは一体いつから常識となっていたのかが「自分で調べて考えること」を覚えた患者さんにも疑問になるはずです。
記事にもあるように久しく以前から潰瘍のあるなしに関わりなくピロリ菌と胃癌との関係は大いに議論されていて、例えば遅くとも2009年の日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは「全てのピロリ感染症に対する除菌を推奨」していたわけですから、当時すでに「それでは慢性胃炎においても除菌治療を保険適用にした方がいいのでは?」という声は少なからず上がっていました。
ガイドラインの周知徹底を図るためか当時各地で製薬会社主催の講演会も開かれていましたが、まさにこの保険収載を審議する場にも立ち会われていた消化器病の大家の先生が登壇し長々と胃癌とピロリ菌の関係を説明したあと、会場からそんなにピロリが悪いなら慢性胃炎にも除菌を保険適用にすべきでは?と質問をされ「今のところ保険収載は~あ~ごにょごにょ」とよく判らないことを言って終わっていたという話もあります。
以前に大きな騒動になった非加熱血液製剤による感染問題にしても、マスコミは例えその時点でまだ確実な証拠が揃っていなかったとしても、研究の進歩によって次第にその危険性が明らかになってきていたのに早急な対応を怠ったのは罪であるという論法で批判的報道を繰り返していましたが、それに比べると今回の一連の報道は妙に事態のよい側面にばかり言及しているかに見えて違和感を感じざるを得ませんよね。

もちろんいきなり保険適用範囲を大幅拡大するとお金がかかるじゃないか、という話も一見もっともなんですが、一週間の除菌治療を受ければ日々飲んでいた胃薬がいらなくなる、胃癌の罹患者数も劇的に減ってくるともなると、長期的な医療費としてはむしろ除菌を行っておいた方が安上がりになりかねませんよね。
それが今日まで久しく留め置かれていたというのは一気に支出が増えるのを防ぐために、ピロリ菌持ちの患者が順次潰瘍になって毎年少しずつ除菌治療を受けていくことを気長に待っていたということなのでしょうが、財政的な配慮によって医学的に望まれる除菌治療も受けられないまま胃癌になってしまった人たちがそれで納得出来るかどうかは別問題です。
実際に同じように最終的に肝硬変や肝臓癌に結びついてくるウイルス性肝炎については近年公費助成を行ってまでも大々的な撲滅作戦が繰り広げられているわけで、ピロリ菌による胃炎にしろ胃癌にしろそれよりもはるかに対象者数が多い中で対策がここまで遅れてしまったということは、控えめに言っても決して喜ばしく報道されるべきことではないでしょう。
ともかく国民の過半が罹患していると推計される隠れ国民病であるだけにちょっとした対策にも国家予算規模の費用を懸念したくなるのは理解できますが、これは下手をすると後日訴訟沙汰にもなりかねないような話でもあって、さてその場合やはり「医者に殺され」たとして現場の臨床医が次々と訴えられていくということになるのでしょうか?

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2013年4月 1日 (月)

歯学部、法科大学院に続いて薬学部も過剰時代へ?

急激な増員によって過剰がにわかに危惧されるようになった弁護士に関して、先日こういう記事が出ていたのはご存知かと思います。

司法試験「合格3千人」目標撤廃=法科大学院の統廃合促す―法曹検討会議案(2013年3月26日時事通信)

 司法試験や法科大学院の在り方の見直しを進めている政府の「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅学習院大教授)は26日、司法試験合格者数の低迷などを受け、同試験の年間合格者を3000人まで増やすとした政府目標の撤廃を求める座長私案を公表した。教育成果の上がっていない法科大学院の統廃合なども打ち出した。
 同会議は国民からの意見募集を行った上で6月末にも改革案を取りまとめる予定。政府は8月をめどに関係閣僚会議で新たな法曹養成方針を決定する。法曹人口の大幅な拡大を目指した司法制度改革は軌道修正される。 

新司法試験になって一部法科大学院については全く合格者が出ず、定員割れは起こすわ学費詐欺だと言われるわで大変な騒ぎになってしまったのは周知の通りですけれども、これだけ大きく制度を改革したものを僅かな期間で抜本的見直しを強いられるということになれば、そもそも法曹人口大増員という制度の理念が正しかったのかという話にもなりかねませんね。
さて、大きく制度が変わったと言えば2006年から6年制に移行した薬学部も現在は制度移行の端境期もあって今でこそ超売り手市場だなどと言いますけれども、すでにかなりの私立薬学部が定員割れを起こし定員削減が求められているという状況で、その背景にはやはり国試合格率の低迷という現実があります。
制度移行を機に国試受験資格が無く薬学研究職などを目指す四年制薬学部が難関と言われる国公立に集中しているのに対して私立系は軒並み六年制に特化したわけですが、要するに私立六年制薬学部=国家試験予備校という位置づけだと考えると、そもそも肝腎の国家試験に通らない予備校に需要がなくなるのも当然というものですよね。

横浜薬科大に「不適合」評価…大学基準協会(2013年3月28日読売新聞)

 大学などの第三者評価を行う「大学基準協会」は28日、横浜薬科大が評価基準に「不適合」だったと発表した。

 同大は不服として同協会に異議を申し立てた。

 同協会は2012年度、国公私立30大などの評価を行った。横浜薬科大の認証結果では、評価した10項目のうち4項目で重大な問題があったとし、「入学者の能力判定を適切に行わず、通常では薬剤師になれない学力の学生も入学させている」と指摘。多数の留年者、退学者を出す状況を早急に是正するよう求めた。教員採用、昇格の透明性、公平性も高めるよう要望した。

 同大を巡っては、設置申請に不正があり、経営する学校法人に文部科学省は学部・学科の新設を5年間認めない処分を科している。
(略)

ちなみにこの横浜薬科大とはまさに制度改定の2006年に開学した6年制薬学部のみの単科大学だそうで、2006年入学の一期生の国試合格率は83.2%と必ずしも低くないのですが、入学時の学生数が310人に対して国試受験者がわずか95人だと言いますから、仮に臨床薬学科(定員160人)のみに受験生が絞られていたとしても国試受験率は決して高いものではありませんよね。
そもそも確実に国試に合格できる人間だけ入学させたのでは私学などは経営が成り立たないと言われれば身も蓋もないのですが、国試合格率云々を抜きにしても以前から大学のレジャーランド化などとも言われている日本では、入学は出来ても成績が悪ければどんどん留年、退学にした方が勉強に励んでいいんじゃないかと言う声もあって、その意味で国試不合格率よりもそうした生徒を卒業させたことの方が問題かも知れません。
実際に定員増著しい医学部でも昨今ではずいぶんとカリキュラムが厳しくなっているともっぱらの噂ですが、一方で学費を出す親からすれば入学させれば勝った気でいるのにいつまで経っても卒業も出来ないのでは学費詐欺だと言いたくもなるでしょうし、一応は将来大多数が特定専門資格を目指す学部という性質上入試にも一般教養的な学部とはまた異なった性質が求められるという考え方もあるでしょう。
そう考えると今回問題化した横浜薬科大ではいわゆる入試偏差値が低いということももちろんですが、特に偏差値39以下の学生でもほとんどが合格しているという状態では学生の質にばらつきもあり幾ら厳しく指導したところで限度はあるでしょうし、やはり最低限の知的水準を担保する意味でも例え定員割れであったとしても一応の入試水準は保たれるべきだったかという気はします。

ただ入試を難しくすれば国試合格率が高くなるという単純なものでもないようで、一般的に大多数が合格する薬剤師試験でも難関と言われる旧帝大などは合格率で底辺をさまよっているのはおもしろいと思いますし、医師国試などでも案外少し格落ちと見られるような大学の方が合格率ではトップ争いしている場合もありますから、やはり入学後の学習状況も極めて重要であるとは言えそうですね。
特に割り増し入学著しい私学などでは卒業試験などで劣等生を絞り上げて国試を受験させないことで見た目合格率を引き上げるということも行われているようですが、結局はそうした入学後の足切りがどこまで許容されるのか、それを行う以前にきちんと学力向上に有用な教育を行っていたのか、そしてそれを行っても合格できない学生が多すぎるならそもそも入試の段階で見抜けなかったかといった点が問題になりそうです。
その意味で入試がいささかアレだったのはもちろん、横浜薬科大の教育状況もまた称讚される状況にはなかったと判断されてしまうのは仕方がないところですが、何しろこれだけ学生のレベルにも格差がある状況でどのような教育を行っていくのが最も効果的だったのか、もしかすると教育専門家であっても迷うところなしとしない同情すべき状況ではあったかも知れません。
医学部なども教授を始め教える側の立場にある者がその地位を得るために教育能力を全く問われてこなかったことが時折問題視されることがありますが、教えるための技術もなければ教育の理念もなくただ医学的業績だけで選ばれた教官達が自分達の専門領域を好き勝手にしゃべって終わることを講義と称しているようであれば、「最近の学生は質が…」などと嘆く前に改めるべき点は多々あると言われそうですよね。

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