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2013年3月30日 (土)

テレビ業界 今や珍しいものではなくなった捏造

今さらテレビでやらせだ、捏造だと言われても驚く人は少ないと思いますが、最近ではテレビ自体の検証が盛んに行われる時代になったことを反映してか、やらせ行為を行った当事者の声も発掘され取り上げられるようになってきています。
言ってみれば出演料をもらってやらせに荷担して視聴者を騙した側なのですから共犯と言えば共犯なのですが、事情を聞いてみますと彼らの側も必ずしもよいことばかりでもないようですね。

フジテレビやらせ?最初から仕組まれてた「全日本温泉宿アワード」1位旅館(2013年2月22日J-CASTニュース)

その旅館は行ったことないのに、台本には私が推薦者になっていた」(番組出演者)

   同じ週刊文春に、私もたまたま見ていた2月5日(2013年)に放送されたフジテレビ系の「全日本温泉宿アワード2013」という番組があったが、これが「やらせ」だったという告発が載っている。生放送で視聴者による電話投票でナンバー1の温泉宿を決定するというものだが、この制作過程で旅行評論家A氏は、制作会社から『やらせ』の依頼を受けたというのである。

   制作会社からお薦めの温泉宿を教えてほしいといわれ、3件の宿を書いて返信したそうだ。何度かやり取りをした後に「蟹御殿」というのを知っているかというメールがきた。そこの紹介者になってほしいという内容だったので、行ったこともないし、聞いたこともないと返事をし、その話はなくなった。しかし、選考場面に出たカメラマンの立木寛彦はこう話している。

    「最後に番組スタッフから台本を手渡され、この通り喋ってくれと言われた。その時、初めて自分が蟹御殿(佐賀県・太良獄温泉)の推薦者になっていたことを知ったのです。杉本(圭カメラマン=筆者注)さんは行ったことがあるとのことでしたが、私はありませんでした。ただ、風景の素晴らしい温泉だとネットなどで知っていたので台本通り話しました。正直、スタッフに騙されたという気持ちです」

   蟹御殿は番組に登場することが決まっていて、推薦者を必死に探していたのであろう。しかも、視聴者の推薦によって「日本一」を決めると謳っているのに、アナウンサーが「蟹御殿に決定しました!」と発表するだけで、獲得投票数も発表されず2位以下の順位の発表もなかった。イカサマではないかという声があがったのも無理からぬことであろう。この蟹御殿は温泉が21度と低く、源泉掛け流しの湯と比べるといい湯だとはいえないと温泉評論家の郡司勇がいっている。

   テレビの効果は絶大で、蟹御殿は2か月先まで予約がいっぱいになっているそうだ。フジテレビ側は当然ながら『やらせ』を否定しているが、これだけ批判が出ているのだから、BPO(放送倫理・番組向上機構)で検証してもらったほうがいいのではないか。

   BSにもよく見られるが、宿に便宜を図ってもらう番組づくりが多すぎる気がする。忘れ去られていたタレントを使って安く番組を作るテレビ東京的やり方が横行してはいないか。レストランやコンビニとの広告抱き合わせのような番組づくりも目立つ。こんなことをやっているとテレビ離れはますます進むはずだ。

TBSバラエティ出演女性「おかげで婚約破棄された」と涙の抗議(2013年3月13日NEWSポストセブン)

「許せません! あの番組のせいで、結婚を誓い合った男性にも婚約破棄されてしまったんです……」

 2月25日放送のTBS系バラエティ『私の何がイケないの?』に出演した藤井千紘さん(31)は、怒りに肩を震わせながら、こう話し始めた。彼女は番組で、男性客からの貢ぎ物を転売する「ブランド品転売キャバ嬢」と紹介された。

 紹介VTRの後、スタジオに姿を現わした彼女は、男性たちに伍して働く女性たちに「もっと楽して稼げる気がする」と毒を吐いた。そのため司会の江角マキコはじめ出演者たちは激怒。

「それは詐欺罪だよ!」

 と、集中砲火を浴びた。しかし、この「転売キャバ嬢」という設定そのものが「番組スタッフが作り上げた捏造」(藤井さん)というのだ。

「そもそも私の本業はブランド品リサイクルショップの社長なのです。番組への出演オファーも、私の仕事内容を紹介したいというものだった。だからこそ出演を承諾したんです。キャバクラ勤務はあくまで人脈を増やすための副業であり、プレゼントの転売でお金を儲けようとしたことなどありません」(同前)

 彼女が異変に気がついたのはスタジオ収録が始まる直前だったという。

「紹介VTRを見て驚きました。私は“転売で稼ぐキャバ嬢もいる”と一般論を語っただけなのに、編集で“転売キャバ嬢”に仕立てあげられていたんです」

 彼女は自分の会社のPRを期待していたのに、自分が社長である事実すら番組では伏せられていたという。

「こんなことなら出演を取り止めたいと思いましたが、スタジオには大物タレントがスタンバイしていて、とても言い出せなかった。今思えば私のミスですが、手渡された台本をもとに演技をしてしまったんです……。スタッフの方には何度も顔にモザイクをかけるよう頼みこみました。でも結局、私は素顔を全国に晒されてしまったんです」(同前)

 現在、彼女はTBSに謝罪や損害賠償を求める内容証明を送り、BPOにも制裁を求める催告書を送るなど、徹底抗戦の構え。しかしTBSは反論する。

「夜はキャバ嬢、昼間は社長として出演依頼をしましたが、昼の仕事に影響があるといけないとの理由で社長業についてはカットしてほしいとの要望を受けて放送しませんでした

 ご本人納得の上で収録・放送を行なっており、事実誤認であるなどの指摘もありませんでした。したがって、やらせでも捏造でもありません。モザイクの要望もありましたが、番組側と藤井さんで話し合いをし、モザイクをかけないということになりました」(広報部)

 両者の言い分は真っ向から食い違う。果たして軍配はどちらに上がるのか。

「収録現場に行ってみたら台本にそう書いてあった。その通りに演じるしかなかった」などと言われるとプロ出演者としてお金をもらって参加しているならともかく、素人出演番組などでは気に入らなければ席を立って帰ればいいのに…と思うところですが、そう考えると時折見かける妙に会話のかみ合っていない出演者というのもあれはあれで精一杯の抵抗をしているということだったんでしょうかね。
こういう話を聞くと思うのですが、催眠術というものにも意識がなくなる場合となくならない場合があって、後者の場合術にかかっていた人が後になって「いや、自分はかかってはいなかった」という場合が多いそうで、彼らによれば「術者があまりに一生懸命がんばっているものだから、気の毒になってかかってあげたふりをした」のだそうです。
冷静に考えれば不当な要求をされれば拒否されて帰っても何ら問題はないはずなのに「こんなことなら出演を取り止めたいと思いましたが、スタジオには大物タレントがスタンバイしていて、とても言い出せなかった」などという心理状態になってしまうのも、あるいは一種の催眠術じみた「テレビの魔力」が作用しているのかも知れませんね。
いずれにしても今時テレビを利用しようとして利用され捨てられた、などと告白しても「へえ、それで?自業自得でしょ?」で終わりかねない世の中ですけれども、当「ぐり研」でもたびたびお伝えしているように事実かどうかなどどうでもいいバラエティーの番組に限らず、事実であることが大前提であるはずのニュース番組などでも当たり前に捏造が行われていることが内部告発でも明らかになってきています。

関西テレビは「すり替え」問題を開示せよ(上)(2013年3月26日WEBRONZA)

(略)
 関西テレビの夕方のニュース番組「スーパーニュースアンカー」で昨年11月30日大阪市の職員が新幹線の工事現場で深夜にアルバイトをしている実態を報道した。アルバイトは地方公務員法が禁じる兼業禁止に抵触する行為だ。このニュース取材のために関西テレビは内部告発者を局内の会議室でインタビューしている。告発者本人が姿を撮影されることを一切拒否したため、代わりに撮影スタッフの一人を「代役」にしてその後ろ姿を撮影した。ニュース放映の際にはその映像に誰だか分からないようなモザイクをかけ、内部告発者本人のインタビュー音声も誰だか分からないようにボイスチェンジして、モザイク映像と合わせて編集し、内部告発者当人が話しているように見せかけて放映した。

 3月13日、関西テレビは同番組内で「不適切な映像表現」だったと謝罪した。「やらせやねつ造はない」としながらも編集が不適切だったとして、担当者に口頭で厳重注意したという。「不適切」という言葉は、“重大な間違い”とまではいかないが誤解を招く問題があった不祥事と判断される場合に企業や官庁などが一般的に使用する言葉だ。はたして“重大な間違い”でなかったのだろうか。

 何を「やらせ」とし、何を「ねつ造」とするかは微妙な問題でテレビ界にも明確な定義があるわけではない。関西テレビは今回どちらも否定しているが、私自身は別人をあたかも本人であるかのように振る舞わせる撮影行為はテレビの禁じ手である「やらせ」そのものであり、話し手の声に別人の映像をかぶせる編集は「ねつ造」だと考える。テレビ報道の現場で30年間、そのように行動してきた。世の常識も同じだろう。

 この出来事が示唆するテレビの現状はかなり絶望的だ。一つは報道の仕事で最優先されるべき「事実・真実の確認」よりも「演出」、つまり「画のインパクト」や「映像的リアリティー」を優先させる思考が事実性を厳密に問うべき「ニュース」の記者や制作者にまで根深く浸透しているのが露呈したことだ。少し前まではバラエティ番組や情報番組でそうした過剰な演出があっても、報道局が作る報道番組、なかでもニュースでは絶対にありえないことだとテレビ内部の人間も信じていたし、外の人たちもそうとらえていたはずだった。その信頼が崩れ墜ちた。

 二つめは、6年前に民放業界に衝撃を与えた「発掘!あるある大事典22」ねつ造事件の、「あの関西テレビ」で起きたということだ。「あるある」事件の教訓がはたして現場に浸透していたのか、という疑念がわく。

 三つめは、報道されている関テレの対応を見る限り、「すり替え」発覚後も会社として問題を重大視していないように思えることだ。問題の本質を見極めて、再発防止の議論につなげる意識が乏しいように感じられる。多くの社員が悔し涙を流した6年前の「あるある」事件の後との落差は激しい。このため業界団体である日本民間放送連盟や第三者機関のBPO(放送倫理・番組向上機構)などを巻き込んで放送業界として改善策を探る動きにはなっていない。まるで「この程度のことは小さなこと」と会社や業界が共通認識しているような暗黙の空気を感じる。
(略)

記事中にもある関西テレビの「あるある大事件」捏造問題に関しては、あの毎日新聞が「報道では、なかったデータをあることにすることは100%ありません。」「マスコミの世界では捏造は「想定外」。原稿を見るデスクや校閲の段階でチェック機能が働いている」などとすごいことを主張していたことを以前に取り上げましたが、実はこうしたケースはむしろ日常的に当たり前に行われていると判明してきたということでしょうね。
危機的なのはそうした行為があまりにも当たり前に行われている結果、これは捏造ではなく単なる編集なのだといった異常な感覚が内部では当たり前に通用しているらしいということで、およそテレビの言うことは嘘であるという捉え方をしておかなければどんな奇想天外な捏造に引っかかるか知れたものではない時代だと言うことでしょう。
もちろん現代においてテレビ=バラエティーのような風潮に現れているように、テレビというメディアが目の前にある現実をそのまま映し出していると錯覚しやすいからこそ嘘を容易につける媒体であるという特性を持っていることは事実であって、だからこそ利用者の側でそうした性質を承知した上で付き合い方を考えていくしかないと言うことでしょうね。
近頃では世間の大半がテレビはいじめを助長しているなど「社会に悪影響を及ぼしているメディア」というネガティブな印象を持っている、そして近年消費者からの抗議活動の高まりでようやく業界側にも危機意識が出てきているという状況を考えると、今もテレビを利用することに価値を見いだしている視聴者こそが彼らをしつけていく責任も持っていると言うのは言い過ぎでしょうか?

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コメント

目で見てるから本物だって思っちゃうのが人間ってものだからひっかかりやすいんですかね。
でもこれだけやってもなんにもおとがめなしってどうなってんだろ?って思っちゃいますけど。

投稿: ぽん太 | 2013年3月30日 (土) 10時02分

> 彼女は自分の会社のPRを期待していた

ようするに自業自得wヤクザとテレビは甘く見てるとあとで泣きを見るよw

投稿: aaa | 2013年3月30日 (土) 10時52分

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