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2013年3月20日 (水)

同じ失敗を何度も繰り返す人の特徴とは?

何でも世間では若手社員のゆとりっぷりに嫌気がさしているという話は今や珍しいことではないようですが、別にゆとりだから、今時の若者だからというわけではなく、昔から年配者は若者の無謀や未熟を嘆き、若者は年配者の無理解や頑迷さに腹を立てと、各世代それぞれに問題は抱えていたものですよね。
ただその中にもときにこれはちょっと本当に困ったものだと思われるようなケースが散見されていたのも確かなのですが、時代が進んでこうした領域にもそれなりの診断名がつくようになってきますと、思ったよりも多くの企業で該当者がいたらしいということが明らかになってきたようです。

企業の9割に発達障害の特性該当者 NPO法人調査(2013年3月18日大阪日日新聞)

 「場の空気が読めない」「何度も同じ失敗をする」など、発達障害の代表的な特性を10種類に分けた場合、一つでも当てはまる社員が企業にいる割合は87%に達することが17日、発達障害者らでつくるNPO法人の調査で分かった。

 NPO法人発達障害をもつ大人の会(大阪市福島区)が、大阪府の事業を受託して実施。2012年12月~13年3月に企業らを対象に行い、103社から回答があった。

 10特性について、それぞれ社内にいるか聞いたところ、「周囲とのコミュニケーションが難しい」(52%)が最も多く、「場の空気が読めない」(46%)「何度も同じ失敗をする」(45%)「物事の優先順位が分からない」(41%)「人の話が聞けない」(29%)などと続き、90社が一つは当てはまった。

 その結果、社内でトラブルが起きたかどうかは「よくある」が20%、「ある」が47%、「ない」は17%だった。

 職場でのトラブルへの対応方法については「難しい」が37%、「あまりうまくいっていない」は24%で、「概(おおむ)ねうまくいっている」は39%だった。

 また調査では、特性を聞く際、代表的な特性以外も織り交ぜて聞いたところ、「きれやすい」は、発達障害による特性とは言い難いことも分かった。

 調査結果は、発達障害の特性がある社員も働きやすい職場環境づくりを考えようと、同法人が大阪市内で開いた企業向けセミナーで公表。広野ゆい代表は「発達障害の診断にかかわらず、その人の特性を正しく理解し、必要な対応をすれば職場環境は良くなる」と指摘していた。

しかし発達障害と言えば新しい疾患概念であるだけに何やら若い人に特有のものであるかのようなイメージもありますが、こうして具体的に特徴を挙げてみれば別に昔からそういう人は少なからずいたじゃないかと改めて思い知らされますよね。
昨今各方面でも話題になっている新型うつ病などは学問的に必ずしもきちんと定義がなされてもおらず、下手をすると社会的利益を不当に得るための方便にすら使われかねないとすっかり悪者扱いされてもいますが、一方でこの発達障害というものは人並みにやりたいと思っても出来ない上に誤解も受けやすいということで、本人にとっても周囲にとっても大変に困ったものだとこれまた近年大いに注目を集めているものです。
同じ医学部で学び医師として仕事をしてきているにも関わらず内科外科など一般の身体医学とは全く別体系で発達してきたせいでしょうか、精神科領域はどうも怪しげなものだという偏見があるのか「精神科医はどんどん新しい病気を作り出すばかりで、客観的な診断根拠も治療法もないんじゃないか」などと言う人もいますし、両者の間で患者をやり取りするにも別言語間で情報を送るかのようになかなか困難なものがありますよね。
ただこの「何度も同じ失敗をする」ということは単にうっかりだとかやる気がないといった本人の性質に基づくものではなく、どうも脳機能の障害に由来するらしいということが身体医学の重視する客観的な検査によっても立証されつつあるようです。

研究者「同じミスを何度も繰り返す人は脳が上手く機能していない」(2013年3月14日ロケットニュース24)

「同じミスを繰り返さない」「過ちから学ぶことが大切」などとよく言われる。だが、一度失敗したらそこから学ぶ人がいる一方で、驚くほど何度も同じ間違いを繰り返す人もいる。彼らの違いはどこにあるのだろうか。

最新の研究によると、そもそも両者は脳の働きが違うことが明らかになったという。同じ間違いを何度も繰り返してしまう人は、脳が上手く機能していないというのだ。身に覚えのある方は必読である。

英ロンドン大学ゴールドスミス校のジョイディープ・バタチャルヤ教授は、男女36人を対象に実験を行った。まず、1.7秒という時間を感覚で計るよう被験者たちに指示する。そして、その結果がどれだけ正解に近かったか、どのようにすれば次回はもっと良い結果が出せるかなどをそれぞれに解説した。

この計測と解説を受ける作業を被験者たちに何度か繰り返してもらい、指摘された内容を基に彼らが前回のミスをどれくらい修正できているか調査した。さらに、解説を行っている最中の彼らの脳波についても調べた。

すると、自分の間違いについて指摘されているとき、一部の被験者の脳内では非常に活発な反応がみられた。このような人たちは、2回目以降の計測が明らかに前回よりも改善していることが判明。彼らは、「経験から学び、同じミスを繰り返さないタイプの人」だといえる。

それに対し、脳内にほとんど反応がみられなかった被験者たちの場合、計測と解説を何度繰り返しても結果があまり改善されていなかったそうだ。両者の違いは顕著だったという。

教授は、「ミスを指摘されたとき脳内が活発に機能していた被験者たちは、その間違いを次の計測に活かすことができていました。これは、経験から学べるかどうかには脳の働きが大きく関わっているということを意味しています」と説明している。

「つまり、どんなに『ミスから学ぶことが大切』だと頭では理解していても、実際に同じことを繰り返さないように脳が機能していない人は、再び同じ過ちを犯してしまうのです」とのこと。

みなさんの周りにも何度言っても同じミスを繰り返す人がいるかもしれない。しかし、彼らは必ずしもやる気がないわけではなく、経験から学ぶことの大切さをわかっていないわけでもないようだ。ただ、今回の研究結果によれば、少しだけ脳が上手く機能できていないのかもしれない。

一般論として考えてもどこが悪いと注意されているのに適当に聞き流しているような人は次回も同じ失敗を繰り返す確立が高いのだろうなと思える話なんですが、客観的計測によって脳の働きと行動の改善というものが結びつけられたというのはおもしろい話だと言えそうです。
発達障害と言うと先天的、あるいは乳幼児期の脳へのダメージなど器質的異常に基づくものだとされているようですが、小児時代の学習機会の消失など後天的な環境によっても同じようなことになると言いますし、同じ失敗を何度も繰り返すということは程度の差こそあれ多くの人に認められるものですから、それら全てが脳障害によるということはちょっと考えにくい気もします。
そうなると問題になってくるのはこうした脳の働きの低下が生まれつきのものなのか、それとも生後の経験の積み重ねによって起こってくる後天的なものなのかで、例えば子供の頃から失敗するたびに反省し改善点を探すといったトレーニングを繰り返していれば脳がこのように変化していくのだとすれば、幼児期の学習法にも取り入れていかなければならないかも知れません。
また仮にこうした学習しにくいパターンがあると確認された人であっても何かしらそれを改善する方法があれば社会にとっても非常に有益ですが、単に機能的な問題だけなのか脳構造など器質的な問題が背景にあるからなのかはまだ判りませんが、とりあえず研究を進めるとっかかりにはなりそうな話ですよね。

どちらにしてもこうして客観的異常として捉えられたということは、同じ失敗を繰り返すことが単にうっかりだとかなまけによるものではないということをも意味していることになりますが、もちろんきちんと注意されたのに聞いていなかったことによる失敗もあるはずですから、周囲の人間からするとそのどちらに当たるのかによって対処が違ってくるはずです。
思うに人間誰しも自分が興味あることには非常に熱心に努力し欠点を克服して成長するのも早いものですから、例えばゲームなど本人が楽しめるものをやらせて上達ぶりを見ることで脳機能異常を見つけ出すといったやり方も今後出てくるようになるのかも知れませんね。
いずれにしても「こいつは本当にいつもいつも同じ失敗ばかりしやがって!」と頭に血が上った状態でガミガミ言ったのではまともな脳機能を持っている人間でも聞く気にはなれるはずもありませんから、部下が使えないと嘆く前に上司の指導能力もきちんとトレーニングをし高めていかなければ、案外いちばん学習能力のなかったのは上司の方だったということにもなりかねませんね。

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コメント

バカがバカだと証明できる検査?

投稿: | 2013年3月20日 (水) 12時45分

なにかトレーニング法を工夫すれば脳波の反応がよくなって、ついでに頭もよくなるならうれしいんですけど。
でも脳波ってじっとして取るものってイメージありますから、あんまし気軽に調べるわけにもいかないんでしょうか?

投稿: てんてん | 2013年3月20日 (水) 18時04分

きちんと診断すれば程度の差はあれど発達障害の診断がついてしまう方はかなり多くいます。
かくいう私も・・・ひょっとしたら・・・
だからフールプルーフが必要になるのです。

投稿: クマ | 2013年3月20日 (水) 19時29分

必ず上回る莫迦が現れるんですねわかりますw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年3月21日 (木) 09時49分

こういう方面は全くの門外漢ですけれども、いずれ検査法なども進歩してくると賢さと言うものは先天的素質と後天的教育のどちらによって決まってくるのかといった論争にも決着がつくかも知れませんね。
もっとも個人的な経験論からすると素質の差というものは確かに少なからずあるのでしょうが、競技スポーツのような個人間で白黒つけるような場でない限り、ほとんどの場合は努力で支障なく補いがつくように思います。
ならば研究の過程でどうやったら効率的に学習できるようになるかということを解明できれば、ただ生まれもった資質の不足を嘆くよりもよほど建設的かつ大勢の利益に供するでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2013年3月21日 (木) 10時48分

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