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2013年2月 6日 (水)

大過剰の弁護士モラル絶讚崩壊中?!

昨年末のことですが、こうした記事が出ていましたことをご記憶でしょうか。

弁護士もシュ-カツ氷河期 司法修習終えた3割未登録(2012年12月23日朝日新聞)

 司法試験に合格して司法修習を終えた弁護士志望者のうち、3割近くが弁護士登録をしていないことが日本弁護士連合会の調べでわかった。弁護士の急増による就職難が背景にあるとみられ、未登録率は新司法試験の合格者が就職し始めた2007年以降、増加の一途をたどっている。

 日弁連によると、19日で司法修習を終えた2080人のうち、70人が検察官、98人が裁判官に採用される見込みになっている。

 一方、修習を終えて弁護士活動をするには、全国52の弁護士会の一つと日弁連への登録が義務づけられている。今年は20日が登録日だったが、登録したのは1370人。弁護士志望者の28.3%にあたる542人が未登録となる計算だ。未登録率は07年と比べて20ポイント以上増えた。日弁連は「弁護士志望者の就職状況は依然として厳しい」としている。

当ぐり研でも新司法試験導入合格者の就職難とワープア化は何度か取り上げていますけれども、同様の経緯を辿った歯科医などと同様に国家資格職で一気に大規模増員を図った結果、需要と供給のバランスが完全に崩壊してしまったことがその背景にあるのは言うまでもありません。
医師の世界でもメディカルスクールを創設し医師大量養成を直ちに開始せよと熱心に主張している方々がいて、近頃では政権交代を機に医学部新設への期待が一部方面に高まっているそうですが、先行する他業界で明らかに失政として認められている施策をわざわざ後追いするのも不思議な話で、あるいは医師が余りに余って「どんな仕事でもいいから働かせてくれ!」と言い出すことを期待してでもいるのでしょうか。
ともかくも昔から衣食足りて礼節を知るという言葉がありますけれども、こうした供給過剰状況が続けば弁護士のモラル低下をもたらすのではないかとは以前から危惧されていたところで、実際に信用とモラルが求められる職業において衣食が足りなくなるとどうなったかということを先日の記事から紹介してみましょう。

バッジが泣く…弁護士不祥事相次ぐ 過当競争影響(2013年2月3日産経ニュース)

 預かっていた現金を着服するなど、弁護士による金銭絡みの不祥事が全国で相次いでいる。依頼者が被害者になるケースが多いのが特徴で、過当競争による収入減が背景にあるとみられる。事態を重くみた日本弁護士連合会(日弁連)は再発防止策をまとめる作業に着手。難関試験を突破した法律のエキスパートの“堕落”ぶりに、司法関係者は危機感を募らせている。

 「着服したカネは事務所運営に充てていた。生活が苦しかった
 成年後見人として財産を管理していた男性の口座から現金1200万円を着服したとして、東京地検特捜部は1月、業務上横領容疑で弁護士の関康郎容疑者(52)=東京弁護士会=を逮捕。関係者によると、関容疑者は調べに対し苦しい台所事情を吐露し、遊興費にも使っていたことを示唆しているという。
 弁護士による不祥事は昨秋以降、全国で相次いで発覚した。預かり金着服や成年後見制度での詐取など信頼感を逆手に取った事件が多く、あるベテラン弁護士は「法律を武器とする弁護士が逮捕される現状は涙すら出る。公正と平等を示すはかりがあしらわれている弁護士バッジに泥を塗る行為。職業倫理は消えたのか…」と嘆く。

 ◆依頼者を標的

 不祥事の遠因とみられるのが、弁護士を取り巻く環境の変化だ。
 日弁連が平成22年に行った調査によると、平均的な弁護士の年間所得は12年の1300万円から10年間で959万円にダウン。一方、弁護士数は法曹人口の充実を柱とした司法制度改革を受け、同期間に約1万8千人から3万人へと急増した。「10年前に比べて弁護士間の競争は厳しくなったか」とのアンケートには4割が「そう思う」と回答した。
 司法関係者は、特に大都市圏での競争の激化が深刻だと指摘する。かつて「カネにならない」と敬遠されてきた刑事事件の国選弁護人も、「弁護士が殺到して案件を奪い合うような状態」(関東地方の弁護士)という。
 ある弁護士は「バブル時代は座っていても仕事が降ってきたが、現状は違う。客のカネに手をつけるのは言語道断だが、食い詰めている弁護士が増えていることは間違いない」と話す。

 ◆チェック強化

 不祥事の続出を受け日弁連は1月、「再発防止に全力を尽くす」とする理事会決議を採択した。
 近くまとめる再発防止策は、苦情が重なるなど注意が必要な弁護士を早期に見つける▽従来は各弁護士が管理してきた依頼者からの預かり金口座を弁護士会がチェックできる態勢をつくる▽懲戒請求制度を充実させ、速やかな処分を可能にする-ことが柱だ。
 日弁連事務次長の中西一裕弁護士は「過去にも金銭の不祥事はあったが、最近は額や悪質性が増している。こうした事態が続けば弁護士全体の信用が失墜する」とした上で、「(再発防止策の策定を)うみを出し切るチャンスにしたい。隠れた不祥事も掘り起こして処分していく」と話す。
 ただ「弥縫(びほう)策の域を出ず、チェックが厳しくなったところで根本の解決には至らない」(司法関係者)との声があるのも事実。依頼者側には、弁護士の“資質”を見抜く目が求められそうだ。

弁護士にしろ医師にしろその職務行為そのものは非常に専門性が高く、言い換えれば一見して素人にはその詳細がわからないものが多いですから、その気になればこっそり不正を行うこともさして難しい話ではないし、また実際に時折そうしたモラルハザードが発覚して報道されてもいます。
普通に考えても誰にも知られることもないまま行われてきた小さな不正は報道されたものの何倍もあるはずですし、一種の貧困犯罪に対していかにも金満な大先生方が「職業人として誇りを持ちモラルをもっと高めなければ」などとごもっともなお題目を唱えているばかりでは何ら実効性も期待出来ませんよね。
銀行員などはその採用にあたって本人や家族の信用調査ももちろんですが、ひと頃の銀行危機の折には盛んに社会的批判を浴びながらも高い待遇を続けているというのは、そうした誰にも知られないまま行える目の前の小さな不正に対して言葉は悪いですが「こんな小金に手を出しても仕方がない」と思わせることで抑止効果を期待しているということでもあるのでしょう。
現在の弁護士業界のように職にあぶれた弁護士がネットカフェで寝泊まりしている、などという驚くべき状況にあることから考えると、例えば彼らの目の前に相応の報酬と共にグレーあるいはブラックな依頼が提示された場合、それを彼らが拒否するだけの矜持を持てるかどうかははなはだ疑問ではないかという気がしますね。

全国医学部長病院長会議が昨年全国の医学部にアンケート調査を実施したところ、実に9割の医学部医学科で学生の学力が低下しているという回答があったと言いますが、世に言うゆとり教育の影響のみならず地域枠に象徴される学生定員の増加が学力低下に拍車をかけているという声は根強く、ましてや司法試験に一人も受からないロースクールがあるという司法の世界において学力低下がないはずはありません。
もちろん人並み優れて頭がよくなければ弁護士あるいは医師になる資格がないというものでもないでしょうが、試験に通りにくいということは牢人や留年などで人よりも余計に労力も学資もかかる上に、実際に資格を得てからそれらを取り戻すために残されている人生も少なくなると言う大きなハンディキャップを、そのスタートの段階ですでに抱えているということでもありますよね。
例えば医学部においても「広く社会経験を積んだ人材の方が人格的にも安定しモチベーションが高い」という怪しげな(失礼)理由で社会人入学がやたらにもてはやされた時代もありましたが、残念ながらこうした方々が労多くして収入的には全く恵まれていない急性期医療の最前線で身を粉にして働いていると言うケースは決して多くはないようで、それはきちんと人生設計をするほどに確実に儲かり元が取れる道を選ぶのは当然でしょう。
国家試験を通ったからと無条件に優遇する必要はないにしても基本的に潰しが効かないのが専門職ですから、仕事にもありつけないような無茶な増員をしておいて全ての専門職には聖職者さながらの献身を求めるなどと非現実的なことを言うくらいなら、最初から少しはその後の人生にも配慮をした制度設計にしておいた方が社会にとってもメリットがありそうに思いますね。

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コメント

過当競争の中で昔ながらの商売のやり方にこだわるよりは田舎にいけばまだまだ新規顧客は開拓できるのでは?

投稿: 徹 | 2013年2月 6日 (水) 08時53分

量産型弁護士と量産型医師がタッグを組めば経○連会長ですら合法的に亡き者に出来る!って2ちゃんあたりでは随分前から言われてましたが…。

>田舎にいけば

田舎には顧客そのものがいないという罠。
つか、田舎に来るって事はまず間違いなく食い詰めてるワケで、そんなハイリスク弁護士に依頼しますか?少なくとも私はイヤですよ?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年2月 6日 (水) 09時45分

>田舎に来るって事はまず間違いなく食い詰めてるワケで、そんなハイリスク弁護士に依頼しますか?

弁護士の世界の実情は存じ上げないが、こういう言い方は「こんな村に来る医者ろくな医者じゃねえ」って僻地民の発想と同じでなにか感覚的には嫌ですな

投稿: 元僻地勤務医 | 2013年2月 6日 (水) 09時50分

裁判が長くかかってるから裁判官をもっと増やしたらいい
弁護士資格持ってる人なら裁判官にもなれるはず

投稿: tekka | 2013年2月 6日 (水) 10時17分

最近ラジオを聞いてると、弁護士の宣伝ばっかりで嫌になる。
借金の利息返還がメインだったのが、最近は集団予防接種によるHB感染の補償が受けられる!と絶賛宣伝中。

最初の相談は無料とか、交通費無料で行きますとか、すごく安売りしてますよねぇ。

そのうち「あなたの身内が亡くなったのなら、それは医療ミスかもしれません!ぜひご相談を!」なんて
宣伝がされるんじゃないかとwktkです。

ところで、医師会の医賠責保険で、「刑事事件で有罪になった場合は弁護士費用は弁済しない」って規定が
新しくできています。要するに、「自分でかぶれ」ってことなんですが、それって医賠責の意味が半減しますぜ。

投稿: | 2013年2月 6日 (水) 10時19分

医師会のあれはなぜダメなのかがよく判らないのですが、一般向けの保険でも刑事事件は対象外と言うことになっているようですね。
ただ刑事の罰金に関しては懲役などと同じく個人への懲罰ですから理解できるのですが、弁護士費用については基本的な国民の権利ですからどうなのかと思います。
日医の医賠責は開業医は強制加入なのに100万までは支払い免責だったり他より条件が悪いので、何故会員が文句をつけないのか少し不思議に思います。

投稿: 管理人nobu | 2013年2月 6日 (水) 11時52分

18歳人口が半減すれば、医学部受験生、医学生の学力が低下するのは当たり前。
高卒枠を減らして、その分、大卒入学枠としたら、医学生のある程度の学力は維持できるかもです。

英国がそうですね。
高卒枠はそのまま、修業年限の短い大卒者枠の拡大。

アメリカやカナダやオーストラリアみたいに全部、大卒後の医学部入学システムというのは全国大学医学部長大学病院長会議が反対してますが。

投稿: とある内科医 | 2013年2月 6日 (水) 13時28分

>こういう言い方は「こんな村に来る医者ろくな医者じゃねえ」って僻地民の発想と同じでなにか感覚的には嫌ですな

我々は「こんな村に来るからといってろくでもない医者とは限らない。むしろ逆で、優秀な医師にむしろそういう奇特な連中が多々存在する」って奇異なる実情を知っているからそう言えるのであって、そんなまったく普遍性のない特殊な実情を知る由もない一般人の感覚としてはごくごく真っ当だと思いますよ?

ちなみにこれだけ困窮してるにもかかわらず、田舎どころか地方都市レベルでも弁護士は充足してないそうで、そんな中今後敢えて田舎に来るのは使命感に燃える掛け値なしの聖人かそれ以外か…どちらが可能性が高いか、言うまでもありますまいw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年2月 6日 (水) 14時10分

まだ医師数が増えたとは感じられませんが現場の空気は少し変わってきた気がします。
みんな前ほどは無理しなくなったのか少し雰囲気がゆるくなったような。
ほんとはそんなに働かなくてもいいんだって気がつくだけで楽になれるんじゃないですか。
反対してる人が多いのに医学部を新設までする必要はないと思います。

投稿: 藪医者 | 2013年2月 6日 (水) 14時14分

貧しい途上国では人は職を求めて田舎を捨てて都会に殺到するが、受け皿がなくて失業者も増える。
犯罪の増加は市民の貧困度に比例します。弁護士業界ですらそうなのでしょうか。
せっかく田舎を捨てて都会に出てきても過当競争に敗れてワープア化した弁護士が増えれば、モラルハザードや
犯罪者が増えるのは自然の摂理。今後は浮浪者や自殺者が出ても全くおかしくないでしょう。
今後懸念されるのが、高齢者の増加に伴い、医療及ばずに亡くなった人々の遺族を煽って医療訴訟を誘導しようという動きです。たとえ超高齢者でも結果が悪ければ「何か医療に問題がなかったのか?」という疑念はどんな遺族でも持っているでしょうから。裁判官も盲目的に被害者面した遺族側の味方になりますしね。
弱肉強食の価値観が定着した現在社会において勝者(その昔大儲けしておいしい思いをした富裕層のベテラン医師・弁護士達)が敗者(過当競争に敗れてワープア化した貧困の若手医師・弁護士達)に職業倫理を説いたところで無駄ですね。

投稿: 逃散弁護士 | 2013年2月 6日 (水) 16時25分

裁判官も怖いんだよ!
http://a.mag2.jp/9UlF

投稿: | 2013年2月 8日 (金) 09時49分

弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
 虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
 それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
 被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
 権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。
危うし! 日本

投稿: 匿名 | 2016年2月26日 (金) 16時05分

>原発訴訟団の弁護士島田宏は、「国民の常識が司法に生かされ国民の安全と基本的人権が守られる時代の到来を期待しています」と述べた。 とありますが、そんな発言を本当にしているんですか?
弁護士の島田宏は、「虚偽事由で提訴したり侮辱したりすることは正当な弁護士業務」 と福井弁護士会長のときから胸を張って主張している人物です。
どうして平然とこの様なことを言えるのでしょうか。
しかも、あろうことか 消費者庁消費者教育員の職におり詐欺撲滅をうたい文句にしてるとか。
詐欺の件、疑うのであれば以下の件、本人に確認下さい。

弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
 虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
 それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
 被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
 権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。

投稿: | 2016年5月11日 (水) 09時47分

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