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2013年2月 5日 (火)

英国人の新たな野望 それはグローバル化してよいものなのか?

今やどんな職業においてもグローバル化の例外ということはありませんが、こちらそうした世の流れを積極的にビジネスチャンスとして活かしているという企業の話題が先日紹介されていました。

寿司でグローバル人材を目指す レストランオーナー、高給取りも夢ではない(2013年医月11日日経ビジネス)

 日本人であることが有利な職業で求人も多い。さらには給料もいい。日本人のグローバル化が求められる中、海外志向の日本の若者が今、注目している職業が寿司職人だ。
 世界は空前の寿司ブーム。しかも、その流れは拡大している。ニューヨーク市の中心部を数分も歩けば寿司店を発見できるし、デリやカフェテリアの多くは持ち帰り用の寿司を販売している。
 4年前に出張で訪れたイタリア・ミラノのラ・リナシェンテのレストランフロアには回転寿司店があった。食文化が発達して食に保守的だと思っていたイタリア、しかも老舗百貨店に寿司店があることに驚かされた。
 欧米の先進国ばかりではない。アフリカと寿司とは結びつけてイメージしづらいだろうが、ケニアのナイロビにも寿司店が数店ある。

 ただし、海外でおいしいと思える寿司店に出会うことは少ない。そもそも江戸前の寿司をよく知らないような職人もいる。例えばニューヨークでは、日本での修行経験を持つ職人もいるが、大半が韓国人、中国人だ。
 米国生まれのカリフォルニアロールをはじめ、海外では日本にないような“新種”の寿司がたくさんある。海外で受けるのはこういったものではないか、と思われる読者もいらっしゃるかもしれない。だが海外でも、寿司好きが求めているのは本格的な江戸前の寿司のようだ。海外でも、本格的な日本の寿司を提供する店に外国人にも人気のある店がたくさんあるし、来日した外国人を庶民派の寿司屋に連れていくと、「今まで食べた中で一番うまい」と感動されることも多い。
 寿司人気の高まりで「日本人が握った寿司」の価値は急騰している。だが、日本人のグローバル寿司職人が圧倒的に足りない。ここに大きな就職とビジネスのチャンスがある。

寿司職人500人超を海外に送り出す

 2013年1月7日号の日経ビジネス「旗手たちのアリア」で取材した寿司職人養成学校の東京すしアカデミーは、寿司でグローバル人材を育てる拠点だ。福江誠校長が開校して10年。1年コースで約150万円、2カ月コースで約83万円という高い授業料にも関わらず、どのコースも店員を超える応募が来る盛況ぶり。開校以来の卒業生1883人のうち、海外で働く日本人は500人を超える。同アカデミーの卒業生に対する海外からの求人も年間100件以上ある。
(略)
 なるべく若いうちに海外に行って寿司職人として働く。その後は自分の店を持ちあわよくば、複数店を経営して財を成したい。そんな若者にとって徒弟制度で10年も修行するのはあまりにも長い。短期間、集中して効率的に寿司の技術を作法を身につける専門学校があれば受けるはずだ、という東京すしアカデミーの福江校長の読みはズバリと当たった。

アジアなら20代で月給40万円も可能

 福江校長は「本格的な寿司店の開店は今、アジアがブームだ。シンガポールなどに進出して成功している寿司店も出てきている。だが、人材が圧倒的に足りない。待遇もよく20代で月給40万円を得るものもいる。」と語る。
 日本でもかつては寿司職人は高給取りだった。しかし、バブル経済の崩壊と長引く不況の影響で寿司店の客単価は下がり、さらに回転寿司チェーンなど郊外型の低価格業態が流行した結果、「かつて年収1000万円だった料理長でも今では500万円程度まで下がった」(福江校長)。
 一方、欧米では修業した日本人が握るということ自体が付加価値を持つ。新興国や途上国など物価の安い国でも事情はあまり変わらないようだ。

 それだけではない。「日本は早朝から深夜まで働き休日も少ない寿司店も少なくないが、海外は勤務時間が1日8時間で週休2日などワークライフバランスがしっかり確保できるのも魅力」(福江校長)。実際、サーフィンやスキーなど趣味と仕事を両立させるため寿司職人を選ぶ若者もいるという。
 東京すしアカデミーの生徒には脱サラ組も多い。2012年10月からの1年コース「寿司シェフコース」に在籍する生徒は10代から40代までの32人で多くがサラリーマンを辞めたばかり。入学式ではそれぞれがコース受講の動機や寿司職人を目指す抱負を述べるが、ほとんどが海外で働くことを希望している。
(略)

海外で働くために寿司職人の修行をするというのも一昔前であればちょっと考えられなかったことなのでしょうし、趣味と仕事を両立させるために寿司職人を選ぶという発想も何やら目から鱗ですが、事情を聞いてみればなるほどと頷けるところもあります。
技術職というものはもともと一面でそうしたところもあって、寿司職人にしてもあちらこちらの店に出向いて腕一本で食っていく渡りの職人は昔からいたわけですし、医師や弁護士といった国家資格職も取りあえず他にやりたいことがあるが食っていくための手段として資格だけは取っておこうと言う人もこれまた以前からいたのですから、実はそれほど特殊なことをやっているのではないとも言えそうですね。
昨今では回転寿司でおなじみの寿司ロボットもずいぶん進歩してきて、キッチンでアルバイトがシャリの上にネタを載せるだけという店も多いですけれども、普通の寿司から一巡りして今や回転寿司全盛になっている日本とは逆に、海外では生魚や海苔が苦手な人のために工夫した回転寿司から入って、今度は本格的な江戸前の寿司に挑戦してみようという人も増えてきているのだとすれば、これまで見のがされていた需要がここにあったということです。
昔ながらの徒弟制度で修行した職人さんから見ればこんな付け焼き刃の修行で何がどうなるものかと感じられるかも知れませんが、結局技術職などは終生修行が続くものとも言えるわけですから、まず始めにきちんとした初期教育を行っておけば後は各人の努力次第であるという考え方もありなのでしょう。
さて、この辺りの話であればお互いにwin-winの関係を構築出来る正しいグローバル化の一例とも言えるのかも知れませんが、一方でそれは果たしてやって良いことなのか?と思わず目を疑ってしまうようなグローバル化もあるようで、先日は本気か?!と突っ込んでしまいたくなるようなこんな驚くべきニュースが出ていました。

英国が“原則無料の医療”を世界に輸出(2013年2月2日サンスポ)

 居住者なら誰でも原則無料で医療を受けられ、英国が世界に誇る国家医療制度(NHS)をブランドとして生かし、ノウハウを海外に“輸出”しようという取り組みを英政府が始めた。

 海外で事業を展開し利益を国内に還元する狙いがあるが、NHSは治療の待ち時間の長期化など質の低下も指摘されており、患者団体からは「海外での金銭的な利益よりも国内の患者への対応を優先すべきだ」と懸念も出ている。

 英政府は1月下旬、事業を進めるための新組織「ヘルスケアUK」を設立。具体的な事業としては、(1)英国の病院の海外進出(2)中東、北アフリカ諸国での負傷兵のリハビリ支援(3)ヘルスケア産業での国際的な産・官・学連携-などが想定されている。

 昨年夏のロンドン五輪開会式では、エプロン姿の本物の看護師らがダンスを披露し、NHSの存在を世界に発信。各国から引き合いがあり、約100カ国で事業を展開する方針だ。

 保健省のハウ政務次官は「英国は医療ではほかに類のない経験と知識を持っており、世界のリーダー。海外の事業で雇用と利益が生み出せれば、国内のNHSにも有益だ」とアピールしている。(共同)

確かに「ほかに類のない経験と知識」は持っているでしょうし、その方面では最先端を疾走する「世界のリーダー」であるのもまた事実ですが、ねえ…
ともあれ古くは「ゆりかごから墓場まで。」という言葉に示されているようにある意味で英国社会補償制度の最先進性を象徴するものの一つであったとも言えたこのNHSですが、無論完全無料の医療制度なるものがうまくいくというはずもなく、「医療崩壊最先進国」と言うありがたくない別名までつけられています(最近はそれでも幾らか上向き加減ではあると言いますが)。
何故イギリスで無料の医療が成り立っているかと言うよりも無料とは何が無料なのかということを知らなければ実態を見誤りますが、ご存知のようにあちらで医者にかかろうと思えばまず無料の家庭医(GP)を受診しなければならない、ここではただ話を聞いてくれてせいぜいが処方箋を書いてくれる程度で、日本のようにCTまで取りそろえている町の開業医のようなイメージを持っていると全く期待を裏切られます。
ここで本当に医療を受ける必要があると思われる患者だけがきちんとした検査機械などをそろえてある病院に紹介されるのですが、無料だからと際限のない医療の浪費を抑制するためには有効なシステムだとは言え、急病の際などを考えて見てもいかにものんびりした制度だなと誰でも思いますよね。
その最たるものとして2002年の報道ですが「外来受診および入院を待っている人は全国で100万人を超えている(略)うち21週間以上待っている人の数は3万人を超える」と言われる公的病院の待ち時間の長さが上げられますが、それがために本当に病気になった際にはわざわざ自腹で待ち時間の短い私立病院にかかるというのですから何ともおかしなものにも思えます。

同じように低コストの医療を行い近年医療崩壊という現象が表面化している日英両国ですがその内情はこれほどまでに違っていて、日本の大多数の患者であれば律儀にフリーアクセスを固守している日本のシステムの方がずっといいじゃないかと思うかも知れませんが、興味深いのは両国民のこうした医療制度に対する満足度の差です。
以前にも紹介しましたように日本で医療に満足している国民はたった15%と主要国最低である一方、イギリスでは実に55%がこの制度に満足していると言うのですから、単純に日本人は何であれ自己評価が厳しのだと見るだけではイギリス人の自己評価の高さは理解出来ないということになってしまいますね。
考えてみればイギリスの場合いちいちGPにかかるのは不便だ、待ち時間が長いと言ってもそれは全国民平等にそうなっているということであって、しかもそれが嫌であれば別枠でお金を出せば救済策も用意されているのですから、不満があるとすれば自分にふさわしい受診の仕方を自分で正しく判断出来なかった自らの選択ミスに不満を言うしかないとも言えるのでしょうね。
そう考えるとこのNHSというもの、一見すると患者のフリーアクセスを極端に制限する頑迷極まるシステムであるようにも見えて、実は根っこのところでは日本全国どこに行っても統一料金の公定価格による医療以外は一切認めないという日本以上に大きな自己判断の余地が残されているとも言えるのかも知れません。

この辺りは人間の性質というものも大いに関係しているのでしょうが、おおむね同じような内容であったとしても自分自身で選択した結果であれば納得出来るものであっても、他人が勝手に決めて押しつけてきたと感じてしまうと必要以上に反感を感じてしまい、何か少しでも気に入らなければ「俺は本当はこんなものを望んでいたんじゃなかったんだ」と不満を募らせやすいという事情もあるのでしょうね。
例えば学校給食とファーストフードでは味の水準としてはそう大差はない、それどころか食べ物としてみればより安価な料金で栄養学的にも真っ当なものを出しているのは給食の方だと思いますけれども、マク○ナルドのドライブスルーに行列待ちが出来ているのは珍しくない一方、学校給食が大好きだという人もあまりいないわけです(昨今ではそうしたニッチなマーケットを対象とした商売もあるにはあるようですが)。
風邪をひいたと大学病院を飛び込みで受診してもすぐに診てもらえる、そこらの診療所に行っても至れり尽くせりで検査をされ必要ならすぐに大きな病院にも紹介してもらえる、どんな馬鹿げたことで呼んでもすぐに救急車が駆けつけ搬送してくれる(イギリスでは電話した、あるいは到着した段階で蹴られる事があり得ます)と、そう考えて見ると日本の医療は過保護すぎてかえって患者の不満を高めているのかも知れませんね。

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コメント

>英国が世界に誇る国家医療制度(NHS)をブランドとして生かし、ノウハウを海外に“輸出”しようという取り組みを英政府が始めた。

ごめんなさいだけどこんな計画誰得?って思っちゃうの僕だけですか?

投稿: たまちゃん | 2013年2月 5日 (火) 08時38分

逆に他の国の医療がどういうものか国民に知って貰ったら、日本の医療の有り難みがわかって貰えるのではないですか。

投稿: 浪速の勤務医 | 2013年2月 5日 (火) 09時38分

日本じゃイギリスの医療は崩壊したといってたのに海外では評価が高かったってことですか?
たぶん待つだけで無料の医療が受けられるなら十分いい制度じゃないかって感覚なんでしょうけど。
もしも日本にNHSがあったら患者様をお待たせしないよう無理やり頑張って無料でも待たせない医療に仕立ててたんでしょうか。

投稿: ぽん太 | 2013年2月 5日 (火) 09時51分

確かにNHSには待ち時間が長いという欠点があるのですが、逆に言えばターゲットが小人口であればその欠点も解消される可能性がありますね。
ただ税金を投じての公共サービスとして成立するかどうかは微妙ですから、どういう収支計画を考えているのかも気になるところです。
一例として会員制の医療サービスのようなことであれば、果たして直接お金を払う顧客がGPによる門前払いを受け入れられるかどうかが制度成立のポイントでしょう。
そうした意味からすると顧客モラルに関する一つの社会実験として意味はあるかなとも思うのですが。

投稿: 管理人nobu | 2013年2月 5日 (火) 11時57分

世界には医療費の負担が重いという理由で医療を受けられない人がそれだけ多いと言うことでしょう。
そういう人達には半年だろうが待てばただで診てもらえるシステムはありがたいと思います。
日本だって半世紀前くらいはそんな状況だったんですけどね。

日本式はアメリカみたいに医者が拒否るでしょw

投稿: 吉田 | 2013年2月 5日 (火) 12時18分

ブリテン野郎どもはあんなものを誇りにしていたのかw

投稿: aaa | 2013年2月 5日 (火) 14時51分

英国は新型インフル大流行のときも受診しなくてもネットと知人介して必要な人に受診なしでタミフル宅配した。
無診察投薬を厳禁としていて、クリニックの前で長蛇の列を作りインフル患者を数時間待たせるという状況を放置していた日本とは大違い。
英国は「地球温暖化」という嘘の情報を流して日本に大損させた国ですから、決して同じ轍は踏まないように。
タダほど高いものはないということを肝に銘じるべきです。


投稿: 逃散前科者 | 2013年2月 6日 (水) 16時50分

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