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2013年2月21日 (木)

進む教育現場の荒廃 これぞ以て他山の石とすべき?

世の中にこれが正解!という明確な答えのない問題は幾らでもありますが、昨今体罰だ、いじめだ、はたまた教室崩壊だと問題山積の教育の世界においてもこれで全て解決!という正解などなさそうですよね。
教育関係の友人・知人に会っても口をそろえてこうしたことに悩まされていると言いますが、その多くが医療現場で発生している諸問題と相似形を示しているあたり、あるいはモンペ(モンスターペアレント)とモンペ(モンスターペイシェント)とは相互に密接な関係ででもあるのでしょうか(苦笑)。
特に昨今では一連の体罰騒動がさらに拡大し一部が刑事事件に発展するなど未だに収束の兆しが見えませんが、実際の現場の状況をみますと単純に体罰を全否定してしまえばそれで済むというような話ではないことは言うまでもありませんよね。

体罰情報を匿名で報告できるサイト「体罰.in」がオープン 虚構新聞の嘘ニュースが現実に(2013年2月18日ITmedia)

 社会的にも問題視されている、教育現場での「体罰」。なかなか当事者の立場からすると声をあげにくいものですが、こうした体罰被害の情報を匿名で申告・収集することができるサイト「体罰.in」がオープンしました。

 作者は「予告.in」の作者としても知られる矢野さとるさん。地域・学校・受けた体罰・教師の担当などの情報を投稿すると、投稿された体罰に対し、利用者がセーフか悪質かを投票できる仕組みです。

 ちなみに元ネタは虚構新聞が2月18日に報じた「体罰被害申告サイト『体罰.in』公開 匿名でも通報可能」という嘘ニュース。機能やサイトレイアウトなども虚構新聞が書いていた内容にそっくりで、矢野さんはブログで「気づいたら作ってたw」と振り返っています。

 せっかくの嘘ニュースを、1日も経たず現実にしてしまう鬼畜の所行。サイトにはさっそく「嘘ニュースを現実にされた」という滋賀県からの体罰(?)報告も投稿され、「これは悪質ですね」「酷いですね」といったコメントが寄せられています。

(18)「ターイバツ、ターイバツ」の連呼が響く教室 苦悩する教育現場(2013年2月18日産経ニュース)

 これまで紹介した意見では、体罰に頼るスポーツ指導について「教育者としての敗北だ」という指摘もあった。これに対し、岡山市の公立中学校の男性教員(30)は、生活指導上の体験をもとに「『体罰は教育者として敗北』というのには、違和感を覚えています」とつづっていた。

 「廊下を自転車で暴走する、エアガンを友達に向けて撃つ、力の弱い女性教師を押し倒す…。最近私が遭遇した学校現場の光景です。この現場を見たとき、生徒に切々と訴えるだけでその行為を辞めさせられるでしょうか」

 男性教員は、スポーツ指導でチームを強くするために体罰を加えるのは「暴力やパワハラで許されない」とした上で、「ときとして、体罰は教育者としての責任になると信じている」と記した。

 学校教育法上「体罰はいかなる場合も行ってはならない」のが原則だが、文部科学省が平成19年2月に都道府県教委などへ出した通知では、教員への暴力に対する防衛や、ほかの生徒に被害を及ぼす暴力を制止するなど「目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使」は、体罰に当たらないとしている。

 しかし、どこまでが認められる有形力で、どこからが体罰なのか。実際の教育現場では判断が難しい場面も少なくないという。

 静岡県の高校教員の男性(26)は、大阪市立桜宮高校の問題が発覚して以降、ささいなことでも生徒たちが「体罰だ、体罰だ」と口を出し、きちんとした指導が行き届かない状況があることに触れていた。

 同様の指摘はほかにもあって、先生がちょっと怒っただけでも「ターイバツ、ターイバツ」と連呼するクラスがあるという話も。戸惑いながら生活指導にあたっている先生たちの様子が浮かぶ。

 「一番懸念するのは、先生たちが問題ある児童生徒の担任を避けることです」。山口県の公立小学校教員の意見だ。問題行動を起こす児童や生徒に対する生活指導は苦労が多い。必要な指導であると確信した行為だったとしても、それが「体罰」として露見すれば処分対象になる

 この先生は指摘している。「誰しも火中の栗を拾って自分の評価を下げたくない。特に小学校では高学年の学級担任は生徒指導上の問題も複雑になり、仕事は大変になる。これからは高学年の担任を希望しなくなるのではないか」

ちなみに当の虚構新聞側では「『ありそうでありえない』の報道姿勢を貫くべき本紙が、今回『結果的に』ではありますが、誤報を配信してしまったことで、多くの読者やその他関係者にご迷惑をおかけしたことを、まずお詫び申し上げます」と今回の「誤報」配信を謝罪していると言いますが、嘘から出た誠と言うべきか事実は小説よりも奇なりと言うべきか何とも微妙なところですよね。
体罰、体罰と声に出して煽るなんて行為は、一昔前の何かと「そんなことしたら教育委員会に通報しますよ」なんて脅し文句?と同じようなもので進歩がないという声もありますけれども、教室中がこんな調子ではまともな授業など進められないでしょうから、いわゆるこれは教室崩壊という問題になってくるのでしょうか。
ではその対策として体罰が必要か?という議論に進んでいくのがどうなのかで、マスコミなどは体罰肯定派、否定派といった色分けを盛んにしたがりますが、単に体罰がいる、いらないというよりまずきちんとルールを作らなければ組織運営はうまくいくはずがないのに、今までの教育現場ではそれを体罰というその場しのぎの対応でごまかしてきたことも問題をこじらせてしまった要因であるように思えます。
そういった点からすると管理人自身は体罰否定派と言うよりは体罰無用派と言うべき立場ですが、それでは体罰に代わってどのような強制力を発揮して教育現場をコントロールしていくべきかという議論も進めておかなければ意味がないですよね。

時々極論的に暴れる生徒はさっさと警察に突き出せなんてことを言う人がいますが、民事不介入とよく言う通り警察は刑事罰に相当する犯罪者に対処する組織であって、グループ内のローカルルールに違反しているからと言って強制力を発揮出来るというわけではないというのが大原則です。
教育現場でそれに相当する強制力たり得るのは校則等として示されるような、会社で言う服務規程などにあたる組織内でのペナルティーでしょうが、学校の現場では校則として「○○をしてはいけません」式に禁則事項を列挙するばかりで、問題行動のペナルティーをちゃんと具体的に設定し運用してこなかったことが失敗だったのでしょうね。
現実的には処分が多くなると教育委員会等からチェックが入り責任を問われると言いますし、好意的に捉えれば公的処分となれば内申書にも書かなければならないからこそ体罰等の後に残らない対応で済ませてきたのかも知れませんが、ルールの恣意的な運用というものはそれを行うものがよほど力量を持っていなければ良い結果にはならないことは現在の体罰問題がこれだけこじれていることを見ても明らかですよね。
他方で教育崩壊には「生徒手帳はもういらない」などと叫んで一部の大人が手を貸してまで好き勝手な暴走を助長してきたという負の一面もありますが、子供においては保護されることと権利の抑制とがバーター関係にあるという基本的約束を理解していないと言うしかない話で、権利とはそれに伴う責任を果たすものに与えられるという基本的お約束でもって明確に否定される暴論に過ぎないでしょう。

繰り返しになりますが今世間で盛んに議論されているように体罰が是か非かという論争自体にはあまり意味はなくて、ただ他人の権利を侵害する行為は必要なら強制力をもってでも抑制しなければならないのに、体罰がダメならダメで組織のルールを守れない者に組織参加を認めないような他の方法が用意出来ていなかったことが問題なのだと言うことです。
そして増え続ける業務を抱える教師の多忙さを考慮すれば、校内にも教育担当者とは別に生徒に対する評価と管理を担う人事部的な役割はどうしても必要になってくるはずですし、処分はきちんと客観的かつ明確な基準で行わなければなりませんが、現状でそうした役割を担うべき校長ら管理職はむしろ自らの評価や世間体を恐れてか全く機能していない場合が多いようですよね。
もちろん学校によっては校長の訓告としてきちんと違反の内容毎にポイントを設定し、客観的基準に従って処分内容を管理しているところもあるようで、体罰などという個人の主観に基づいた行き当たりばったりの処分よりはよほど公平に思えますが、まずは組織としてこうしたルール作りを進めると同時にきちんと公平に運用しなければ現場の教師達はいつまでも主観的判断によるその場しのぎの処罰に頼らざるを得ないということです。
ただし義務教育の場合は教育を受ける権利との兼ね合いもありますから単純にカード何枚で即停学・退学にして終わりという訳にもいかず、処分を受けた者にも専用の学級なり学校なりを用意してきちんと教育を受ける権利も担保していくといった配慮も必要でしょうが、公立校であればこれは現場ではなく行政側が対応すべき課題であると思います。
その意味で先日の大阪の事件で橋下氏などは体罰全面否定で過激とも言われる行動に出ていましたけれども、行政側としても単に受験を取りやめて問題を起こした部署を潰せばいいというものではなく、きちんと代案となる管理手段を整えていくことが求められるはずですし、今のように現場の教師が給食費の回収までさせられているのに強制力だけは奪われていくというのでは管理がうまくいくはずがありません。

ところで一般論として大学よりも高校、高校よりも中学と荒れる度合いが激しいものですが、単純に学力で選抜されて粒ぞろいだからとかいった理由以外にも、大学や高校の場合は進級基準の明確化などにも見られるように組織としてのルールがはっきりしていて、それに合致していない学生にはきちんと対応が出来ているということもあるでしょうね。
今や高校も義務教育化しようと言っている時代ですから、一部高校などで当たり前に行われているように生徒をきちんとクラス分けし場合によっては学舎なども分けるという対応を下の世代で行うことも考えられるでしょうし、授業に参加しない者は当然出席基準を満たさないとして留年の対象になってもおかしくないはずですが、話を聞いてみますとこうした厳格な運用を妨げる制度的な問題もあるようです。
文科省は平成13年にわざわざ通達を出していますが、出席停止を決めるのは他ならぬ教育委員会であって「事前の指導、措置の適用の決定、期間中及び期間後の指導、関係機関との連携等にわたって市町村教育委員会が責任を持って対処する必要がある」とし、「出席停止を命ずる権限を校長に委任することや、校長の専決によって出席停止を命ずることについては、慎重である必要がある」と言い切っています。
別に教育委員会が諸悪の根源などと言うつもりもありませんが、現場からはるかに遠く当事者の顔も知らないような人間が「学校が最大限の努力を行っても解決せず、他の児童生徒の教育が妨げられている場合に、出席停止の措置が講じられる」などという微妙な判断が出来るものなのかどうか、まずはこの辺りの権限を現場に委譲してもっと臨機応変に対処出来るようにすることも必要でしょう。

そして何よりも根本的なところとして、こうしたことは生徒対策というよりも親対策であることは教育関係者も常々語っている通りですし、教育現場が閉鎖的になるほど親との間にも意思疎通の齟齬が増えていくことは容易に想像できますから、可能な限り日常的に親御さん達にも教育にご協力いただくということも考えるべきでしょうね。
授業のある日は毎日全時間授業参観状態にして特にDQN…もとい、教育に関して独自の見解をお持ちの保護者さんには積極的に教室内に常駐していただくのもよし、リアルタイムでの常駐が難しければ教室にwebカメラを設置して常時授業内容を公開するなり、PTAの集まりとして月一回のビデオ鑑賞会を開くなりすればよろしいかと思います。
もともと教育などというものは隠れてこそこそとやるような後ろ暗いものであるべきではないでしょうし、日頃から教室内という密室で教師が暴力と恐怖で生徒を支配している!といった類の懸念をお感じになっている方々こそ教室の全面可視化に諸手を挙げて賛同すべきではないでしょうか?
この辺りは教育には医療と違って守秘義務に縛られて相手の一方的攻撃に晒されても事実に基づいた反論も出来ない…といった不自由なこともないのですから、もっとうまい具合に情報発信を行って教育の実情を広く知らしめていってもらいたいと思います。

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コメント

うちは県内じゃそこそこ名の知れた進学高だったが校内で同級生刺しちゃった奴がいてね
でもよくよく話きいたら刺された方がいじめっ子で追い詰められたあげくの決死の反撃だったらしいのね
教師がちゃんとクラス管理してないからあいつも犯罪者になって人生終わっちゃったんだな

投稿: packman | 2013年2月21日 (木) 08時52分

ウチの県内のそこそこ名の知れた進学校ではほんのちょっといじめた(いじめっ子主観)だけなのに退学喰らって親ファビョりまくりってのがががw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2013年2月21日 (木) 09時28分

校内暴力真っ盛りで廊下で教師が殴られてるのを見て育った世代には他人事とは思えません。
でも殴られた教師がかっとなって殴り返すのは問題でしょうが、殴られてるのに訴えもせず処罰もしないで放置するのはもっと問題でしょ?
ただでさえ道徳教育削られちゃったんだから悪いことをすれば必ず報いがあるんだと先生がきちんと教えてあげないとだめですよ。

投稿: てんてん | 2013年2月21日 (木) 09時45分

893モノほど自分より力あるものには逆らわない
教師全員格闘技やらせてマッチョにすればいいんだよ

投稿: 灸 | 2013年2月21日 (木) 10時41分

誰しもいろいろと言いたいことはあると思うのですが、現場の教師達に聞くと口をそろえて「判ってるけど出来ない」と言います。
少なくとも出来てしかるべきなのに制度的に出来ないことであれば改善するのは行政であり、社会の側であるはずなんですね。
現場の裁量任せでどうにかなる問題ではすでにないし、そうすべき問題でもない、そのことを国民がしっかり認識するところがスタート地点になると思います。

投稿: 管理人nobu | 2013年2月21日 (木) 11時14分

指導力不足の老教師が居座るから若くてやる気のある教師は採用できませんw

投稿: aaa | 2013年2月21日 (木) 12時17分

毎日新聞が道徳教育に反対してます!!日本人の道徳崩壊を目指す毎日を許すな!!
http://mainichi.jp/opinion/news/20130220ddg041070006000c.htmlk

投稿: 変態撲滅 | 2013年2月21日 (木) 12時27分

スポーツはともかく、教室崩壊の場合言っても聴かない奴をどうやって従わせるかって話でしょ。
自分たちの子供を頃を考えれば罰を与えないと子供たちを押さえられるとは到底思わない。
物理的な強制力が駄目なら例えば内申書にこの子は言うこと聴かない云々書くとか。
でも二度と消えない内申書に書かれるくらいなら小突かれる方がましって話になるわな。

投稿: 吉田 | 2013年2月21日 (木) 20時27分

 威力業務妨害容疑で警察に通報すればいいじゃん。学校は治外法権じゃないんだから。
 生徒が法に守られるように、教師も法に守られるという基本的なことを、なぜ理解してないのだろう。

投稿: ?? | 2013年2月21日 (木) 20時28分

処分は自分の失点になるから上が嫌がりますよ。体罰なら担任が勝手にやってることだからバレて騒がれなければいちばん具合がいい。

投稿: | 2013年2月21日 (木) 22時58分

たまたま目に付いたセクハラ事件ですが、

女子の胸触った疑い…「筋肉を確認」と一部否認
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130221-OYT1T00876.htm
 同高によると、講師は11年4月に採用され、同部の顧問に就任。12年7月、同高の複数の保護者から「部活でセクハラ行為が行われている」との指摘があり、調査した同高は翌月、「生徒に不安を与えた」などとして、講師を戒告の懲戒処分にした。その後、同部の1年生部員とその保護者が同署に相談したという。

戒告で済んだことに不満を抱いて警察に駆け込んだのだとすれば学校の甘い処分でかえって大きな事件になってしまったんですね。
刑事裁判も判決と市民感情がずれすぎて陪審員が導入されたように学校と学生保護者とで感覚にずれがあるなら是正すべきじゃないですか。

投稿: ぽん太 | 2013年2月22日 (金) 12時39分

これもすごいです…
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130222/wlf13022210340004-n1.htm

投稿: | 2013年2月22日 (金) 14時55分

まさに学級崩壊寸前!

深刻な学級崩壊の様子がTwitterにアップされ10000以上RTされ話題に
http://www.yukawanet.com/archives/4404616.html

投稿: 荒木 | 2013年2月22日 (金) 16時15分

>まさに学級崩壊寸前!

ほんとだ、まさに崩壊寸前ですね。でもこんなになるまで気づかなかったってことあります?それともヤラセか合成?

投稿: てんてん | 2013年2月22日 (金) 18時39分

米中西部カンザス州の議会に教師や保護者による子どもへの平手打ちを許容する法案が提出され、議論を呼んでいる。

法案によれば、認められるのは「平手で服の上から臀部(でんぶ)を叩くこと」で、回数は10回まで。言うことを聞かせたりおとなしくさせるために必要かつ妥当な「力の行使」も認められる。その結果として、子どもの柔らかい肌が赤くなったりあざができたりすることも許されるという。

この法案を提出したゲイル・フィニー議員(民主党)は声明で「親による身体的なしつけはカンザス州でも他の49州でもこれまでずっと認められてきた」と主張。これまでカンザス州法にはこうしたしつけに関する明確な規定がなかったことから、州当局や司法当局、親にとっての指標を作り、「子どもを虐待から守る」ために法案を起草したと述べた。
http://www.cnn.co.jp/usa/35044174.html

投稿: | 2014年2月21日 (金) 14時57分

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