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2013年2月

2013年2月28日 (木)

今度は山口で管理職手当の是正勧告

総選挙が終わったばかりで何かと混乱が伝えられるイタリアですが、先日こういうニュースが出ていましたのをご覧になったでしょうか。

【外信コラム】イタリア便り 産婦人科医のスト(2013年1月27日産経ニュース)

 イタリア憲法はスト権を認めているが、しばしば労働者の権利が最優先され、利用者の権利は二の次になる。代表的なのが交通機関のスト。観光が国の大きな収入源であることなど関係なく、観光シーズンでもストを実施し、観光客を途方に暮れさせる。

 イタリア国民にとって困るストも多く、2月12日に予定される産婦人科医のストなどは典型的な例だ。緊急手術は除くとはいうものの、1日当たり1100件という全国での出産が危険にさらされる。今回のストの理由は、最近の医療費国庫補助の削減に対する反対と、医療措置をめぐって患者側から出される刑事告発の急増である。財政難の国庫からの補助金削減はともかく、イタリアの医療事故訴訟は過去15年間に3倍に増加している。

 特に多いのは外科に続いて産婦人科部門だが、その原因は、南部イタリアでの帝王切開出産の増加によるものともされる。99%は医者が無罪になるとはいえ、これでは産婦人科医は手術室に安心して入ることができないし、医者が保険に入るにしても年間2万ユーロ(約240万円)前後するのでは支払い切れぬというわけだ。

 それにしても労働者の権利はともかく、生まれてくる子供の権利はどうなるのだろう。(坂本鉄男)

医療訴訟の急増とはどこの国でも同じ傾向にあるようですが、しかしこうして大々的にストを打って騒ぐイタリアの医師と黙って立ち去ってしまう日本の医師と、どちらが正しい間違っているということではなく文化的背景や国民性の違いといったものが感じられて興味深いですが、イタリアと言う国は医師免許を持っていても仕事が無くタクシー運転手をしていると言われるくらい長年続く医師過剰で有名な国であることに留意ください。
ちなみにお産というものは日本でも保険診療の対象になっていないことからも判るように病気扱いされておらず、必ずしも医師の関与が必要ではありませんし病気の範疇となる異常分娩ともなれば医師が処置するということですから、案外産科に限らない全般的な医療環境改善において産科医が音頭を取っていくことは合理的にも思えます(他には麻酔科なども同様の役割が期待出来るでしょうか)。
いずれにしても訴訟件数が3倍、保険料が年間240万と言えば大変なリスクですが、イタリアのように有り余る有資格者の中から好き放題選べたような国においてもこうした問題が発生しているという事実は非常に示唆的で、医療の質と訴訟リスク、あるいは医師数とは決して単純にパラレルな関係ではないということを考えさせるように思いますね。

いささか余談が長くなりましたが、先日奈良県産科時間外労働訴訟が最終的に原告産科医の勝利で確定したことはお伝えした通りで、日本の場合は医師が有り余っているという状況にもないだけに既存の医師達を過労に追い込まず大事に扱っていくと言うことも当面極めて重要な医療安全対策となりますよね。
百歩譲って地域の医療需要が大きく需給バランスが逼迫し直ちに是正も望めないとなれば、少なくとも働かせた分にはきっちり報いてもらいたいものだと思いますけれども、その意味でも先日の訴訟の結果各地で医師の労働環境がどのように変化していくものなのか、その影響が大いに注目されてきたわけです。
そんな中で今度は山口から労基署の是正勧告が出たという報道がありましたが、これまた奈良の訴訟と同様にこれまで曖昧なままでスルーされてきた暗部に光を当てる重要な問題提起となりそうですよね。

管理職医師の手当て「安過ぎ」労基署が是正勧告(2013年2月26日読売新聞)

 勤務する医師に時間外手当を適正に支払わなかったなどとして、山口県下関市の市立市民病院が下関労働基準監督署から労働基準法に基づく是正勧告を受けていたことがわかった。同病院は地方独立行政法人となった昨年4月から今年2月までに不適切とされた手当と適正額の差額計約2000万~3000万円を医師約40人に支払う

 同病院によると、内科や心臓血管外科など34の診療科目に62人の医師が在籍。勤務時間の午前8時半~午後5時を超えた場合、医療行為を行った分を時間外手当として、管理職の医師約40人には1時間当たり3500円を支給している。しかし、管理職以外の医師には同4000~5000円を支払っていた。同監督署は「管理職の基本給を考えると、現行の時間外手当は不当に安すぎる」と指摘した。同病院は今後、正確な支払額を算出する。

 このほか、労使間で1か月の時間外労働を45時間以内と定めながら、100時間を超える医師が毎月4、5人いたため、時間外労働の短縮を指導。今後、当直明けは原則休みにするなどの改善策を講じるという。

世に言うブラック企業においては名目上の管理職に置くことで残業代などを一切不支給にするということがしばしば行われてきましたが、この場合は実質的には何ら自ら管理することは出来ないということから管理職とは認められないという判決がいくつも出ているのはご存知の通りですよね。
医師の場合名目的には医療行為は全て医師の指示に基づいて行われることになっており、その意味で医療現場の司令塔として形式上は大きな裁量権を持たされているとは言えますが、実際には近年多くの疾患で診療ガイドラインというものが整理されているように多くの症例では半ば自動的にやることが決まってくるだけに、特に勤務医では受け持ち患者数がその労働量を決定する最も大きな因子となってきます。
これに対して医師の方でも自衛策を講じるわけですが、例えば外来では予約数を極端に絞る、手術件数を無理のない範囲にまで減らす、軽症者で病床を埋めて実質的な入院患者を減らすと言った様々なやり方があるとは言え、予約外の飛び込み患者がやってきたり重症患者を紹介で送り込まれれば断りにくいのも確かですよね。
そうしたことからどの辺りからが自らの労働を主体的に裁量できる管理職に当たるのかということは昔から議論されてきたところですが、おおむね部長以上は管理職、医長以下は非管理職という分類が一般的なんじゃないかと思います。

ちなみに同病院のHPを見ても部長以上の役職についている人間があまりいないというのは役職の定員が決まっている公立病院ではよくある話ですが、その割に今回の是正措置による支給対象者が約40人と相当数に登るというのは、かなりの数いる医長なども実質的な管理職と見なして計算し直したということを示しているのでしょうか。
何故こんな逆格差が設定されていたのかと言う理由ですが、同病院では医長以上を管理職と定義してきた、それに対して時間外手当は管理職だからと減額するように設定していたというのであれば、これは実質的には給与をケチっているということになりますよね。
記事にもあるように同病院は独法化したばかりでまだ年度末の決算は出ていませんが、議会報告などを見ると独法化後に医師らスタッフの数を大きく増やしている一方で収支自体は相当に改善しているということなんですが、その中に人件費に関連したこんな答弁がありました。

○地方独立行政法人下関市立市民病院理事長(小柳信洋君)
 独法化して初年度ということで、例えば職員も増やしている。だから、その分当然人件費がかかる。それから、例えばドクターの時間外とか、その辺の給与の改定を今図っているところである。それに関してはもう決して支出が減る方向ではなくて、増える方向で当然考えざるを得ない訳である。そういう支出がどれくらいになるのか。だから今この半期の時点で、今年はもう黒字大丈夫であるととても言えない。そういう状況である。

全くの想像になりますが、同病院では医師の給与制度の見直しや業績給導入などモチベーション向上のための対策を鋭意検討していくとは言っていた、一方で医師や看護師らスタッフは増えて事務方は外注にしたとしても人件費はその分かかる中で単年度黒字化を急ぐべきという圧力もあって、結局待遇改善が延び延びになっていたのではないかと言う気がします。
労基署にしてもいきなり細かい内部規定までは知らないでしょうから、あるいは現場からの告発でもあったのかも知れませんが、いずれにしても管理職だからと不当な廉価労働を強いるようなやり方は昨今の判例を見ても到底受け入れられるものではなく、今後全国的にこうした流れが広がっていけば各地で対応を迫られる施設が多数出てくるでしょうね。
厚生省と労働省が合併してからと言うもの、労基署も医療現場の労働環境に以前よりも厳しいツッコミを入れるようになってきた感がありますが、管理職問題に留まらず労使協定無視の長時間労働などは本気で追求していくと大変な影響が予想される問題であるだけに、彼らとしてもどこまで追求していくつもりがあるのかと注目せざるを得ません。

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2013年2月27日 (水)

「モンスター?ええ、たくさんいますがそれが何か?」

もはや医療現場でモンスターだ、クレーマーだと言われても当事者は誰も驚かなくなりましたが、世間では未だに一定のニュースバリューを感じているのか、先日こういう調査結果がそれなりの驚きと共に報道されていたようです。
当の現場ではすでに何やら諦観めいた境地に達している部分もなきにしもあらずですが、やはりこういう状況はおかしいし是正すべきなのだと決意を新たにする意味でもこちらの記事を紹介してみましょう。

モンスター患者に殴られた医師10人に1人 会話不足も一因か(2013年2月22日NEWSポストセブン)

 医師の10人に1人が患者から暴力を振るわれた経験がある――との衝撃的な調査結果が出た。

 医療従事者向けの情報サービスサイトを運営するケアネットが会員医師1000人に行った意識調査によると、自己中心的で理不尽な要求を繰り返す悪質な患者、いわゆる「モンスターペイシェント」に悩まされたことがあると回答した一般病院の医師が70.7%もいたそうだ。
 その内容は、医療スタッフに対するクレーム(60.5%)から、「訴える」「刺す」などといった脅迫(27.6%)、暴力(16.2%)、土下座ほか度を越した謝罪の要求(11.3%)まで。およそ医療現場とは思えぬトラブルが頻発していることが分かる。
 患者の健康を守るはずの医師が、患者によって身の危険にまで晒されている現状。同調査に寄せた医師の匿名コメントからは、悲痛な叫びが伝わってくる。

■俺の言うとおりの薬だけ出せと強要する(60代内科)
■循環器内科であるにもかかわらず局所を出して「腫れているので触ってくれ」と何度も強要する(40代循環器科)
■患者の自分本位な要求に応じなかったら、激昻して殴られたことがある(40代精神・神経科)
危険が予測される場合には、眼鏡やポケットの中身などを外すようにしている(30代精神・神経科)
■逃げ場のない個室で診察しているときに、監禁されたことあり(40代内科)

 患者は精神的にも不安定なのは当然だが、監禁や暴行まで発展すれば、医師にとっては明らかな業務妨害となるばかりか、犯罪行為に該当する。そのため、暴力事案が発生すると館内放送でスタッフが集まるような仕組みをつくったり、ボタンひとつで警察に通報できる非常装置を設置したりするなど、防衛策をとる病院も増えた
 だが、モンスターペイシェントの増加は、医療システムそのものが招いた結果だと話す医師もいる。医療問題に詳しい作家で医学博士の米山公啓氏が話す。
「いまの病院は電子カルテ化が進み、医師はパソコンのモニターを眺めながら診察して患者の顔色さえ見なくなりました。あの光景だけ見れば、患者が怒るのも無理はありません。経営効率を上げるためにコンピューターを導入したのに、結局は患者サービスにつながっていないのです」
 電子カルテ化により、レントゲンや血液検査の結果が診察当日に素早く出るなど、患者にとっては便利になった反面、医師と患者の会話が減っていく。「トラブルの7割はコミュニケーション不足による患者の誤解から起きる」(都内の大学病院医師)というのも頷ける。

 新渡戸文化短期大学学長で医学博士の中原英臣氏は、さらに厳しい指摘をする。
患者さんが納得するまで平易な言葉で診断をくだし、十分なコミュニケーションが取れている医師は、怒鳴られたり殴られたりすることも少ないと思います。それでもモンスターペイシェントやドクターハラスメント(医師による患者への嫌がらせ)の問題が収まらないのなら、診察室を可視化したり診察内容を録音したりするしか手はありません」
 現行の医師法では、正当な事由がない限りどんな患者でも診察・治療の求めを拒めないことになっている。そのため、医療機関としてはトラブル対策やリスク対応を定めておかなければ、現場の混乱は避けられない。

 前出の米山氏は、防衛一辺倒の医療サイドに同情的な見解も示す。
「いまは小さな医療ミスでもすぐに訴えられて、医者の刑事責任が問われる時代。医者の裁量権は法律では通用せず、訴えた者勝ちみたいな風潮になっています。でも、そうやって医療現場が弱体化すれば、無難な処置しか行われなくなり、最終的には患者のメリットがなくなることを、もっと考えるべきです」
 医師と患者。立場は違えど対等な信頼関係のうえに成り立っていることを、改めて双方が認識する必要があるだろう。

医師の7割、モンスター患者に“遭遇” 「組員連れてくる」と脅迫、優先診察を要求…(2013年2月23日産経ニュース)

 医療従事者や医療機関に理不尽な要求をする「モンスターペイシェント(患者)」に対応したことがある医師が67.1%に上ることが、医療情報サービスサイトを運営する「ケアネット」(東京都千代田区)の調査で分かった。「暴力団を連れてくる」などと脅迫したり、医療従事者に暴力を振るったりする事例もあり、警察OBを雇う医療機関も増えている。

 モンスターペイシェントに対応したのは、診療所やクリニックでは57.4%にとどまったが、一般病院では70.7%。要求内容は「スタッフの対応が気にくわないとクレームをつける」60.5%▽「待ち時間へのクレームや自分を優先した診察を求める」47.1%▽「不要な投薬を要求する」37.6%-など。

 医師からは「モンスターペイシェントの対応に疲れ鬱病になった」(40代の内科医)▽「生活保護の患者が薬をなくしたと取りに来る。自費で、と言うと『殺す気か』と怒鳴り散らす」(30代の内科医)-などの声が寄せられ、「精神科は、モンスターか障害かの区別が難しい」「どの程度から警察に通報すべきか分からない」などの戸惑いも聞かれた。

 医師が患者とのやりとりに苦労しているとの声を受け、初めて調査を実施。今月、1000人の医師を対象にインターネットで回答を得た。

しかしNEWSポストセブンの記事などはコメントしている面々が例によって現場事情に縁遠い方々ばかりで「さもありなん」と思うような内容が並んでいるのもいつも通りでおもしろいなと思うのですが、一応は患者側にも問題があるということを認めているような記事になっているところが同編集部としての成長ぶりを示しているのでしょうかね?
無論どのあたりからをモンスターと称するかもなかなか定義が定まらないところがあって、例えば患者が暴れて怪我をするといったことは電カル導入など無関係に昔からあることですけれども、それこそ精神科ならそれくらい当たり前という考え方の先生であれば元より問題視もせずカウントされないということもあるかも知れませんね。
個別に「こうした行為を受けた経験がありますか?」と質問事項を詳細に設定して答えさせればまずもって何らの問題にも遭遇したことのない医師はまずいないと思いますし、あるいは残る三割は真性M気質だったりむしろ医者の方が患者以上に(以下略)なのかも知れませんが、ともかく日常診療で問題に直面することが非常に多いということは世間にも認められつつあると言えそうです。
同時にこうして記事を読むだけでも不快感を覚えた人は少なくないと言いますが、クレーマー問題とは単にクレーマー本人とスタッフとの関係であるのみならず、ほとんどの場合限りある医療リソースを無駄に浪費し周囲の善良な一般患者にも直接間接の不利益を及ぼしているということは、当事者のみならず広く国民全員が共通認識とすべきでしょうね。

ただ医師以外の職業においてもこうしたことは当たり前に起こっていることであって、むしろ医療の現場では歴史的に見ると他の職業では当たり前に通用していた「(誤用的な意味での)お客様は神様」的価値観は希薄で、お金を払う顧客の立場であるにも関わらず先生、先生と医師を持ち上げてくれる文化があったことも事実ですよね。
そうした環境で育ってきた古典的な医師達は自然上から目線の診療態度となっていたのでしょうが、それがいい方向?に働くと問題患者は容赦なく一喝し叩き出すというフィクションの世界ではおなじみの医師像となり、体罰が当たり前だった時代の教育現場と同じく絶対的強権の存在下での平穏は保たれていたのかも知れません。
さすがに今の時代多くの先生方は学部教育の段階から患者の権利とは何かといった話を聞いて育った世代ですからこういう昔気質の先生は絶滅危惧種化していますが、そうした先生方が増えてくると共に戦後自由主義教育全盛な方々の横暴が目に見えて増えてきたようにも感じられるのは偶然の一致ではないと思いますね。
もちろん医師の態度がクレーマーを呼び寄せるという側面はあるにしても、以前にも紹介しましたように患者調査によれば多くの方々が「医師の態度が昔よりもよくなった」と回答している、ところがそれに反してクレーマー、モンスター事案がこれだけ絶讚急増中であるということから考えると、医師が態度を改めればクレーマーなどいなくなるなどという発想は空論に過ぎないことは明らかです。

そもそも何故こんな非常識な連中が増えてきたのかと言えば、そうすることによって利益を得られると学習してきた経験があるからで、例えば古典的クレーマーとして有名な読売新聞の渡辺勝敏氏なども「新聞社で医療を担当している」と伝えるなどして執拗に特別扱いを要求したことが休日に不要不急の手術をねじ込ませるという結果につながった訳で、こうした対応をする病院側が彼らをさらにつけあがらせてきたとも言えるでしょう。
そうであるなら唯一最大の抜本策は一切の不当な便宜供与を止めることと言うことに尽きるということになるでしょうし、すでに一般企業などでは一線を越えクレーマーと認定すれば知識と経験を備えた専任スタッフが対処する、場合によっては弁護士に相談したり刑事告訴も検討するといった強力な対応を取ることでスタッフと一般顧客を保護するようになっているとも言います。
医療現場では人的資源の不足や上層部の危機感の欠如のせいかそこまでには至っておらず個々のスタッフの判断に頼る局面も多いのは残念ですが、幸い医療は様々なルール上の制約で雁字搦めになっていますから、うまいこと利用すればクレーマーの不当な要求にも対処出来るんじゃないかとも思いますね。

実際に今現在ではさらに世代が一回りして現場もある程度対処法が身について来たと言うのでしょうか、担当医も問題患者は敢えて抱え込まなくなってきましたし、どうしても立場場引き受けざるを得なくなっても可能な限り距離を置くとか、最終的にはそうした立場にいること自体を放棄するようになってきましたが、一見後ろ向きな行動が医療現場の環境改善にも一定の役割を果たしつつある側面も少なからずあるように感じますね。
それは余談としても、最終的には医療の現場においてクレーマー認定されることは損であり、善良な患者であることが最大の利益を得られるのだという認識が滲透すれば、限りある医療リソースを最大限効率的に活用できる上にスタッフも国民も等しく幸せになれる理屈ですね。
そのためには人の振り見て我が振り直せとの言葉通り国民側の認識も大事ですが、医師らスタッフも態度によってきちんと患者教育をしていくことが必要ではないかと思います。

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2013年2月26日 (火)

癌治療に絶対的な正解はない、とは言え…

先日なにげなく日経メディカルを眺めていますと、どうも同じ判決を日時をおいて二人の人間が紹介しているらしいということに気がつきました。

【参考】【日経メディカル10月号特集連動企画◆医師を襲うトンデモ医療裁判Vol.4】適応ない治療法まで勧めなきゃダメ?(2007年10月23日日経メディカル)

【参考】判例解説●高松高裁2005年6月30日判決「適応外治療の説明不足」で説明義務違反!?(2013年2月25日日経メディカル)

いずれも「なんじゃこりゃ!?」と言う判決の内容に驚き呆れているという内容なのですが、試みに後者の記事から概要を引用してみましょう。

事件の概要

 患者は50歳代の女性である。県立病院で「乳癌の疑いあり」と診断された患者は、乳房温存療法に積極的に取り組んでいる大学外科助教授Aのことを本で知り、診察を受けた。Aが診察したところ、乳癌の疑いが強く、Aは健診センターのB医師の精密検査を受けるよう勧めた。

 健診センターのBはマンモグラフィー、超音波検査および細胞診を実施した。その結果、やはり強く乳癌が疑われたため、Bは患者の同意を得て、1995年12月14日、大学病院で摘出生検を実施。AとBは、病理診断の結果や、自ら生検標本を検鏡した結果から、乳房温存療法の適応がなく、乳房切除術が適当であることを確認した。

 Bは、患者および夫に、患者の病変は初期の浸潤が疑われる「非浸潤性乳管癌」であり、癌細胞の悪性度が高く、切除標本のほとんどすべてに乳管内癌が広がっていると説明、早期に転移する可能性は低いと思われるものの、このまま放置すれば遠隔転移を起こす浸潤癌に移行する可能性があることを説明した。

 そして、非浸潤性乳管癌の場合、一般に乳房切除術と乳房温存療法があり、自分は乳房温存療法を積極的に行っているが、患者の場合、広範囲の乳管内進展型で、マンモグラフィー上も乳房の中に癌がたくさん残っているので、乳房温存療法は適応外であり、乳房切除術によるべきであることを説明したほか、現時点では転移がないため、乳房切除術を行えば予後は良好であることなどを伝えた。

 Bは患者らに対し、セカンドオピニオンも聞きたいのであれば構わないと話したところ、患者が「どこへ行ったらいいでしょうか」と質問したので、がんセンターなどの病院名を挙げた。患者が「乳房温存療法に積極的な東京の放射線科医のC医師はどうか」と質問したところ、「あそこだけはやめておいた方がよい。内部の人の話だけれど、再発が多く、C先生にかかれなくなって外科にかかり直している」などと返答した。

 また、医師である患者の夫は患者に、「組織診断は助教授の診断だから間違いない。乳房切除にすべきである」旨の発言をした。

 患者は、96年1月4日、乳房切除術を受けること、セカンドオピニオンは聴取しないことをBに電話で伝え、入院・手術予定日を決めた

 Bは同月23日、手術の実施に当たって患者および息子に対し、再度病状や手術の合併症などを説明し、患者と息子は「手術・麻酔・検査承諾書」などに署名・押印し、手術の実施を承諾した。

 同日午後、Bは自ら執刀医となり、Aを助手として、患者に対し本件手術(乳房切除術)を施行し、患者の右乳房を切除した。切除標本の病理組織検査結果は、小範囲ながら非浸潤性乳管癌が見られというものであった。Bは患者に検査結果を示し、乳房切除術が妥当であったことを説明した。

 しかし、その後患者は、医師らは乳房温存療法などについて十分な説明をせず、自らの意思で治療方法を決定する機会を奪ったなどと主張し、慰謝料など合計1100万円の支払いを求めて提訴した。

判決

 地裁では請求棄却となったが、患者側は控訴した。控訴審の高松高裁は、生検結果などから本件の患者は乳房温存療法の適応である可能性は低かったものと認められるとしながらも、一審判決を覆し、医師側の説明義務違反を認定。大学およびA、Bに、連帯して240万円を原告に支払うよう命じた。

 裁判所は、患者が乳房温存療法に強い関心を有していることを医師らが認識していたと推認。その上で、「乳房切除術および乳房温存療法のそれぞれの利害得失を理解した上でいずれを選択するかを熟慮し、決断することを助けるため、患者に対し、医師らの定めている乳房温存療法の適応基準を示した上、患者の場合はどの基準を満たさないために乳房温存療法の適応がないと判断したのか、という詳細な理由を説明することはもちろん、再発の危険性についても説明した上で、医師らからみれば適応外の症例でも乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在を教示すべき義務があったというべきである」とした。

 Bが患者に説明した内容は「乳房温存療法は適応外であり、乳房切除術によるべきであることを説明したにとどまり、乳房温存療法が適応外であることについての上記説示のような詳細な理由を説明したとは認められない」と判断した。

 Bが患者に対し、がんセンターなどの名を挙げたことについては、「これは、乳房温存療法は適応外であり、乳房切除術によるべきこととした判断についてセカンドオピニオンを受けることのできる具体的な医療機関を教示したにとどまる」として、「Bからみれば適応外の症例でも乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在を教示したと認めることはできない」と判示した。上告受理申立も却下され、判決は確定している(高松高裁2005年6月30日判決)。

記事を書いている弁護士である田邉昇氏自身が「この判決を詳しく読んで、あぜんとしてしまいました」と言うくらいですから司法的に見ても大変な判決と言うことなのでしょうが、何しろほんの数年前であった当時はこうした「とりあえず医者は金出しとけ?」的な判決が公然とまかり通っていたなあと妙に懐かしく思い出されるのも確かですよね。
「医師らからみれば適応外の症例でも」云々を文字通りに考慮すれば、それこそ何にでも砂糖玉を舐めさせているような手合いに至るまでことごとく網羅し紹介しておかなければならないということにもなりかねませんが、興味深いのはこのトンデモ判決の場合はよくある医学的にも疑問符がつくトンデモ鑑定によって出された間違った結論というわけではないということです。
前者の2007年記事を書いた野村和博氏はこのシリーズの冒頭で「トンデモ判決に4つのタイプ」という記事を掲載していますが、この判決は「医療者側に明確な過失がない場合でも、裁判所が患者救済を考慮して何らかの損害賠償を認めるために、その口実に使われている」という「説明義務過剰型」の典型例だと言えそうですね。
後者の記事を書いた田邊弁護士も「医師の夫がいて、書籍で調べて病院を訪れている患者が、医師からこれだけの情報を得て自己決定ができないなら、ほかにどんな情報があればよかったのか」と憤慨し「学会が適切な鑑定人を推薦することで、不当な判決をある程度食い止められますが、説明義務違反は裁判官の独壇場」と嘆く通り、事実に基づかない主観に左右されるこの手の判決は大変厄介なものだと言えそうですね。

事実とは別に主観に左右される部分で訴えられると明確な対応が難しいという領域は裁判以外にも多々あって、例えば例の「がんもどき」理論(と言うのでしょうか?)で有名な近藤誠先生などもあれだけ各方面から批判を受けながらも世間ではそれなりに受け入れられている(ように見える)というのは、その独創的すぎる論の展開が結局事実かどうかには依存していないからだとも言えるのでしょうね。
先日も近藤先生が「がん医療のタブー…効かない抗がん剤、寿命を縮める手術が横行するカラクリ」なるインタビューに登場していましたもので拝見してみたのですが、非専門家に判りやすいように敢えて極論を言っているのだろうと善意に解釈しても幾らでも突っ込みどころが満載している、しかしその中に「まあ、そういう面もあるかもね…」と幾らかは頷けるところをパラパラと含ませているあたりがさすがにうまいなと思います。
もちろん近藤先生が当時の臨床医達が敢えて言わなかった「固形腫瘍に化学療法なんてやったってどうせ最後はみんな死ぬ」などと大声で叫んで回ってくれたことはあの時代には大いに意義があったのでしょうし、今や癌に対して何もしないという選択枝は別にタブーでもなんでもなくて、患者にはBSCも含めきちんと情報を開示した上で自ら選択させているのもその一部は先生の功績と言えなくもないですよね。
ただでさえ多忙な診療の現場で一向に成績向上が進まない固形腫瘍に面倒な化学療法を好きこのんでやりたがってる先生がどれだけいたのか?とも考えると、誰かがピエロになって患者の思い込みを粉砕して回る意義はあったのかも知れませんが、逆にそうした極論も単なる選択枝の一つになった時代となってみると、ああこの人は今もまだ変わらずそこにいるんだな…という感慨めいたものを覚えるのは自分だけでしょうか。

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2013年2月25日 (月)

生保受給者のパチンコに密告を奨励!?

昨今では不正受給等の諸問題が一般マスコミにおいても非常に大きく取り上げられるようになったのが生活保護に関連する話題ですが、先日公になって大きな反響を呼んでいるのが兵庫県の一自治体が打ち出したこちらの条例案です。

生活保護費でパチンコはダメ 兵庫・小野市が独自条例案(2013年2月22日日本経済新聞)

 兵庫県小野市が、生活保護費や児童扶養手当を、パチンコなどで生活が維持できなくなるまで浪費することを禁止する条例案を27日から始まる市議会に提案する方針であることが22日、分かった。

 小野市によると、条例案は受給者の責務として「パチンコ、競輪、競馬などに費消し、生活が維持できなくなる事態を招いてはならない」と具体的に明記。市民が不正受給や浪費を見つけた場合、速やかな情報提供を求めている。不正は警察官OBが調査し、改善を目指すという。罰則はないが、改善されなければ最終的には支給を止める

 条例化の意図について同市の松野和彦市民福祉部長は「社会保障制度は国民全体で支えられていることを市民に知ってもらうため」と説明。厚生労働省は「生活保護などの適正受給を目指した条例は他に聞いたことがない」としている。

 小野市は人口約5万人。生活保護は約120世帯に約2億9千万円を支出し、増加傾向にあるという。

 厚労省によると、生活保護費の受給者は、車の所有や、保護費を借金の返済に充てることが制限されているが、ギャンブルなどの浪費について明確な規定はない。〔共同〕

この生活保護費で酒やギャンブル三昧という生活がよいことなのかどうかは様々な意見もあるようですが、小野市公式HPにも生活保護の趣旨として「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長すること」を目的とすると明記してあるように、最終的にそれが自立を助長することにつながるかどうかも判断基準になるかとも思います。
生保にいったんはまり込んでしまうと働くのが馬鹿らしい、働くことに何のメリットも見いだせないという心境に陥りがちだそうですから、やはり給付は現物支給を中心に金銭的支援は最低限に抑え、その代わりに例えば自治体の指定する軽作業等に従事すれば追加支給するなりすれば、地域のちょっとした雑用なども片付くし受給者にとっても働くということに対して身体を慣らす役にも立つように思いますね。
いずれにしてもこのパチンコ問題は以前から生保受給者の実態を知る人々には周知の事実であったことは確かで、例えば(控えめに表現すれば)比較的リベラルな立場での報道をしていることで知られるあの八重山毎日新聞にすらこんな過去には記事が掲載されていたということに少しばかり驚きを感じます。

何のための生活保護費か「パチンコ遊興」に批判広がる(2010年10月23日八重山毎日新聞)

抜き打ち調査でもっと増える?

 石垣市内で生活保護を受けている受給者の一部でパチンコ店に出入りしている実態が明らかになった。9月の支給日に受給者11人がパチンコ店で遊興していたことが、市福祉総務課の実態調査で発覚したもの。市民からは「何のための生活保護か」と不満の声が上がるなど波紋が広がっている。(比嘉盛友記者)

 同課は9月上旬、パチンコ店3店舗にケースワーカー7人が立ち入り調査を実施したところ、受給者11人を確認した。同課は誓約書を書かせるなど、支給停止も辞さない強い態度で指導した。
 報道後、パチンコ店に通う読者からは「受給日から数日間は受給者とみられる人が多くなる」との情報が寄せられた。市議会の委員会審査で今回の件をただした小底嗣洋市議は「抜き打ちに調査すれば、もっと出てくるのではないか」との見方を示す。

 生活保護は、生活に困窮する国民に対し健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を促すことを目的とした制度。国が4分の3、市町村が4分の1を負担しており、石垣市では本年度で約12億円の支給が見込まれている。
 生活保護法60条は受給者の義務として「常に能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければならない」とうたっている

 保護費をパチンコなどの遊興に使うことについて厚生労働省社会援護局保護課保護係は「程度の問題はあるが、制度の趣旨から考えるとギャンブルに消費することは適切ではない」との見解だ。小底市議も「言語道断だ。何のための保護費か。今回の件は(使い道の)範囲を超えている」と指摘する。
 今回の不適切な消費は一部かもしれないが、不正受給という印象を与えかねず、受給者全体のイメージを損ねてしまうおそれがある。

 美崎町で飲食店を営む女性(60)は「私は昼も夜も働いているが、生活はギリギリ。パチンコをやっている人が本当に(保護費が)必要なのか」と不信感を募らせ、「もらえるのだったら、私だってもらいたいよ」と怒り心頭だ。
 中山義隆市長は「ごく一部かもしれないが、その他の受給者にとっては迷惑な話。制度自体に疑念を抱かせることにつながる」と懸念を示し、「担当課では年内にはもう一度、調査することにしている」と説明。
 小底市議は「市民の血税が使われており、市民に申し訳がたたない。市は支給している以上、抜き打ちで巡回するなど、責任をもって厳しく調査、指導すべきだ」と訴えている。

ところでこうした話が出てきますと必ず出てくるのが、生活保護費を受給した場合に受給者の自己決定権がどの程度あるのかということですが、過去にも生活保護費を切り詰め幾らかの貯蓄をしたところその一部が収入認定され保護費が減額された「加藤事件」では、「かつ一般国民の感情からして違和感を覚える程度の高額でない限りは、これを収入認定せず、保有させることが相当」という司法判断が示されています。
あるいは保護費の一部を高校進学のため積み立てていた学資保険の満期金が収入認定された「中嶋事件」では最高裁まで争われましたが、ほとんどの者が高校に進学している状況なども挙げて学資保険は収入認定の対象となる資産に当たらないと最終的な判断が下されています。
これらからするとまずもって大多数の人々が行っている行為、所有している物品などで明らかな贅沢品でないということであれば受給者の自己決定権の範囲であり使途は原則自由であるという解釈になるようですが、元々国民の一部のみが利用するものである上に近年急速に参加人口が減少しているパチンコという明らかなギャンブルがその範疇に含まれるかどうかは非常に微妙なところだと思いますね。
いずれにしても受給者の自立に結びつくものなのかどうかという観点で考えて見れば、世の中にパチプロとして食っていけている人とパチンコで大きな借金を背負い込む羽目になった人の比率がどの程度であるかということが一つの目安になるのかなという気がします。

一方で近年相変わらず取り上げられているのが生保受給の申請自体を受け付けないという「門前払い」の問題ですが、先日もこの門前払いを行っていたとして埼玉県の自治体に賠償命令が出たように公式にはやってはならないことだと認識されているにも関わらず、相変わらず現場でそれが続いている背景には生保受給認定のシステムの問題もあるようです。
一体に窓口では申請を受けてからでは記載内容を確認する程度のことしか出来ないことになっていて、要するにひとたび書類に必要事項が全て記入されて提出されてしまうと嘘でも書いてない限り却下することが難しいということなんですが、一方でその内容を確認するだけの手段や人員には事欠くというのですから受給者の増加を抑制するためには仕方なかった側面もあったのでしょう。
その点で以前にも紹介したように「まず食料品の現物支給で当座の生活を保証し、金銭支給は厳密な調査の後で」という和歌山県は上冨田町の方式などは保護率が周辺自治体の半分で済んでいることでも判る通り、不正受給を防ぎ全体の公的支出を減らす上でも非常に有効かつ現実的なやり方なのですから是非全国各地に広がってもらいたいやり方だと思いますね。
ともかく今までの生保という制度が様々な問題を抱えているという点ではどんな立場に立つ人々も共通認識を持っているようですから、各地の自治体で試験的に行われている各種制度をきちんと評価した上で、有効と認められた方法があればより大々的に取り入れていくというステップバイステップのやり方がいいんじゃないかと言う気がします。

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2013年2月24日 (日)

今日のぐり:「劉備」

日本でも偽装肉事件などは過去にありましたが、故意か過失かは不明ながら先日以来当地で大いに話題になっているというのがこちらの事件です。

「100%ビーフ」から馬のDNA、英国バーガーキングも発見(2013年2月1日ロイター)

[ロンドン 31日 ロイター] ファストフード大手のバーガー・キング(BKW.N: 株価, 企業情報, レポート)は31日、アイルランドの食品加工工場で作られたパティーのサンプルから、馬のDNAが見つかったことを明らかにした。ただ、馬肉混入の疑いのある商品は、店舗には出荷されていないという。

同社は「シルバークレスト社の工場から採取されたサンプル4つから、非常に微量の痕跡程度の馬のDNAが見つかった。この商品はレストランには売られていない」と発表。「(シルバークレスト社からは)英国産とアイルランド産の100%ビーフパティーの出荷が約束されていたが、そうはなっていなかった」としている。

馬のDNAの痕跡は、英大手スーパーのテスコ(TSCO.L: 株価, 企業情報, レポート)などで販売されていたビーフバーガーからも見つかっていた。

食品安全の専門家は、馬肉が混入しても消費者に健康リスクはないものの、今回の発見は、食品流通網や精肉のトレーサビリティに懸念を抱かせるものだと指摘している。

すでに欧州全土に絶讚拡大中というこの混入問題、その余波を受けてかフランスでは何故か馬肉人気が再燃中などと妙なところに影響も出ているようですが、100%をうたっておきながら別物を混ぜるというのはよろしくありませんよね。
本日は今や世界的に大人気となり身近すぎるほどの存在ともなっているファーストフード店について、様々な意味でそれはちょっとどうなのよ?と思ってしまうニュースを紹介してみましょう。

誘拐犯「手をあげろ、おとなしくマクドナルドまで連れて行くんだ」運転手「えっ?」(2013年2月7日らばQ)

ニュージーランドでセキュリティカーを運転していた20歳の男性ドライバーが、3人組の男に誘拐される事件が起きました。

ただし運転する男性が命令されたのはなんと、「マクドナルドへ向かえ!」というものだったのです。

深夜1時ごろ、3人の若者が男性の車に近づき、マクドナルドまで連れていくように脅しました。

男性は3人をどうにかマクドナルドまで送り届けると、震えながら元の場所まで戻り警察に通報しました。

男性は「無理矢理1時間ほど運転させられてショックを受けた」と語っていますが、現金は盗まれておらず、武器などの使用も一切なかったそうです。

警察によると、その後21歳、20歳、20歳の3人が誘拐の罪で逮捕されたとのことです。ただしマクドナルドに向かった理由については現在のところ明らかになっていません。

あくまでマクドナルドに行きたいためだけの誘拐だったようですが、誘拐という重い罪を犯してまで求めるほどの食事とは思えないだけに、なんとも不可解な事件ではあります。

それなりに重罪として問われるだろう誘拐という行為に走るというほどマクドナルドが好きだった、のかどうかは判りませんが、一時間ほども走らされたというくらいですから歩いて行くには遠かったということなんでしょうか。
そこまでしてファーストフード店を愛している人が世界には少なからずいるということなのでしょう、こちらはこんなびっくりなお葬式の話題もあったようです。

ファストフードファンの男性の葬儀、墓地に向かう前に全員でドライブスルー(2013年1月27日exciteニュース)

[ペンシルバニア州ヨーク 26日 AP] ファストフードが大好きだった男性が亡くなり葬儀が行われたが、墓地に向かう前に、霊柩車を含め、会葬者全員がドライブスルーに立ち寄ってハンバーガーを購入、故人への手向けにしたという。

亡くなったデビッド・キメ・ジュニア氏について、娘のリンダさんは「自身のルールに従って生きた人でした。バーガーにレタスをのせて食べるのが彼なりの健康的な食事でした」と話す。

故人にワッパーを贈ろうと、土曜日に行われた葬儀では全員がバーガーキングに立ち寄り、参列者もドライブスルーでそれぞれワッパーを購入したそうだ。

墓地に到着すると、キメ氏のワッパーは旗で覆われた棺の上に置かれた。キメ氏は第二次世界大戦の退役軍人で、今月20日に88歳で亡くなった。

バーガーキングのマネージャーは、「彼の顔、そしてオーダーの仕方も覚えています。今回の葬儀のため、スタッフと一緒にワッパー40個を準備しました」とコメント。またさらに、「最後までひいきにしてもらえて光栄です。本当に最後の最後まで……」と話した。

なかなかに含みのある娘さんのコメントが何かを物語っているようにも思えますが、それでも好き放題にやって?88歳まで長生きしたのですからご本人にとっては幸せな人生だったのかも知れませんね。
サービスキャンペーンの類もこうした店舗の代名詞になっていますが、こちらいくら何でもやりすぎだろうという無謀なチャレンジャーの話題です。

マックのポテトL60個注文の猛者登場!店員が『やめてくれ』と涙のツイート(2012年10月28日秒刊サンデー)

マクドナルドのポテト150円セールの問題がとどまることを知らない。なんと本日ポテトLを60個注文した猛者が現れ、実に1万リツイート以上を獲得し、その姿を一目見ようと多くの反響を得ていた事が発覚した。しかしその状況をよろしく思っていないユーザもいるようで、ちょうどその状況を見ていた者が「やめてほしい」と涙のツイートをしていた事がわかった。そのユーザは紛れもなく店員だという。

ポテトを60個注文した猛者が居る店に、ちょうど居合わせた店員は、店舗側でしか体感できない凄まじい現状を克明にツイートしている。ツイートによるとポテトL60個のボリュームは段ボール箱1個分で値段は9,000円。また猛者たちはそれを食べるための「水」を店側に要求。通常、無料である水は、Sサイズのカップしか提供していないが、Lカップで欲しいとの要望があったという。

肝心の食べきったか否かだが、ツイートによると全て食べたという。しかし、店側からすれば問題はそれだけではなかった。実際に店員のツイートをみてみると以下のように苦言を呈している。

RTやFavを稼ごうとしている人達には、店側の苦労や対応、果てはこういった苦情まで来ているという実情を知ってほしい。 実際にそれを調理したり苦情などを受けていた店員からのお願いです。

やはり、その状況を見ているお客さんが、必ずしもよろしく思う客ばかりではなく不快に思う客もいる。それだけでなく、店側に苦情を申し出る客もいたという。
この状況に、なす術が無い店側も歯がゆいことだろう。

―Twitterの反応

・すごwwwww
・やってるやつも載せたこいつも人間のクズ
・ この画像の人SECRET 7 LINEのシャツ着てる!パンクキッズの恥!
・みんなマックに行ってポテトを食べよう(笑)
・こういうの見るとちょっと絶望する。
・ 以前一度行きましたここw
・ これわかるわ場所ww
・ 店員が文句言ってるけど底辺の店マックに相応しいバカ騒ぎだと思わないかね。
・ネタのつもりか知らんが、こういうクズな幼児は出禁にしろ。
・ちゃんと食おうとしてるww 頑張れww
・一気に買わないで3個ずつ買えば熱々で美味しいと思うのですが・
・食べ物はおもちゃじゃない。
・あっても10kgぐらいかなあ。1ケース(12kg)はない
・こんな人たちが行くマックは絶対行きたくなくなる。迷惑
・岡山、やるな!!!
・ 4人で挑戦したとして1人15個か。胸焼けしそうだな
・はっ??コレをして一体なんの得になるの???

マクドナルドの150円ポテトのセールが思わぬ反響を得て困惑気味のマクドナルドだが、次回のプロモーション時には何らかの対策が必要なのかもしれない。

リンク先の元記事にはいかにも狙っていると言う写真まで掲載されていますが、ちょっとずつ頼むならまだしも明らかに食べる以外が目的な行為に走るから迷惑がられ批判もされるというものですよね。
同じくこちらも狙っているという迷惑行為なのでしょうが、ここまで手が込んでくるとその衝撃も並々ならぬものがありますね。

ドライブスルーに無人の車が入ってきたら……? 店員のリアクションがツボなドッキリ動画(2013年1月13日ITmedia)

 ドライブスルーに入ってきた車に誰も乗っていなかったら人はどんな反応をするのか? 店員さんによってさまざまなリアクションが楽しめるドッキリ動画です。

 仕掛け人ははりぼてのシートの裏に隠れており、まるで透明人間か幽霊が運転してきたように見えるというもの。車の中をのぞき込んで何度も声をかける人、店長を呼びに行ってしまう人、窓を閉めたり開けたりして「二度見」ならぬ「三度見」をする人など、どの店員さんもナイスなリアクションを見せてくれます。一瞬こわばった顔をしたあとに思わず笑い出してしまう人が多いようですね。

 最後は男性が「商品をここに投げて。僕は幽霊だ」と声でアピール。店員の女性は笑いながら車の中に商品を投げ入れると、無人で走り出した車を見て「ohhh!」を驚きの声をあげていました。

これはもうリンク先の動画を参照していただくしかないとして、しかし無人で走り出したのはいいですが、幽霊氏はちゃんとお勘定を済ませていったのでしょうかね?
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、サービスが良すぎたせいか余計なものまでサービスしてしまったという事件の顛末です。

米コーヒーショップの女性店員3人逮捕、客にストリップも提供(2013年2月21日ロイター)

[20日 ロイター] 米ワシントン州エバレットにあるコーヒーチェーン店で、女性店員3人が客にストリップショーも提供していたとして逮捕され、取り調べを受けている。地元警察が20日明らかにした。

多くの通報を受けた警察は、市中心部にある同コーヒーチェーン店2店舗に対し、2カ月にわたっておとり捜査を実施。女性店員3人はドライブスルーの窓ごしに、客に裸を見せていた疑いで逮捕された。

警察の広報担当者は、客がどうやってストリップのことを知ったのかは不明だとした上で、「うわさが広がったのでは」と述べた。

いやしかしまったくケシカランですな!善良なる市民はこぞって公権力の不当な介入と弾圧に断固抗議すべきでしょうこれは!
それにしても一人ならまだしも三人が関与していたというのは何ともぶっ飛んだ話ですが、おかげで同店における売り上げが激増していた!なんてことにでもなればオーナーも頭が痛いことでしょうね。

今日のぐり:「劉備」

倉敷市西部地区で水玉ブリッジラインの西側終点に近い場所にあるラーメン店がこちら「劉備」さんですが、この地域では「あかり」「にぼし家」と並んで大いに人気を博しているお店のようですね。
前回と言ってもかなり以前に来た時にはちょうど代替わり直後だったようで、今回久しぶりに行ってみますと周りの道もすっかり様変わりしていて驚くのですが、相変わらず繁盛していらっしゃるようです。
以前にはなかったように思うのですがメニューを見ますとソースカツ丼もあるらしく、こちらにも惹かれるのですが今回は以前に食べていて比較もしやすいとり丼セットを頼んでみました。

その前回は代替わり直後だったせいか妙に味が不安定な印象で、これはしばらくは様子見かなと思った印象があったのですが、かつて先代の頃は非常に透明感のある鶏ベースのスープが非常に印象的だったものが、「かなり変わっている」という噂に聞いた通りかなり混濁し粘度的にも濃厚っぽさを増したスープになっているのがまず目に付くところですよね。
食べて見ますと鶏ベースに魚系の出汁などが加わる基本的な組み立てには大きな変化はない印象で、おそらく素材の変化よりも煮出す際の温度などが影響しているのではないかと思いますが、不安定だった前回と違い味自体は別に悪くないんですが特徴的だった昔のスープに比べて個性は薄れたかなとも思います。
これに合わせてある醤油ダレはかなり甘めなのが特徴でもあって、麺の方はデフォルトではわずかに柔らかめではあるのですが、おおむね昔からあるラーメン屋とはこのくらいだなという程度の堅さではありますね。
トッピングはチャーシューはさほど好印象を持つような味でもないのですがシナチクの食感に関しては好みにあっていて、このご時世にもシナチクをちゃんと加えてあるのが昔ながらな感じでいいですよね。
そのはっきり甘めな醤油ダレに通じるのがとり丼の甘辛味なんですが、以前に食べた時と比べて唐揚げの仕上がり具合は安定してきた印象で、「にぼし家」のクリスピー感を前面に押し出した唐揚げに対してこちらはたっぷりジューシーさも残してあるあたり、「あかり」の名古屋っぽい手羽唐も含めてそれぞれの個性があってラーメン以外でも食べ比べが出来そうです。

それにしてもラーメンにしろ唐揚げにしろ今の時代に十分競争力のある味で繁盛しているのは納得出来るのですが、昔のいかにも親父さんが手仕事で仕上げたようなこだわりスープも捨てがたかったと思ってしまうのは懐古趣味なのでしょうかね。
店内は若いスタッフが大勢で親父さんが細々と(失礼)やっていた頃の面影はすっかりなく、接遇面などは今風のマニュアル対応に統一しようとしているらしいのは繁盛店として妥当なところなんでしょうが、往年の「いかにも田舎のラーメン屋なんだけど食べてみたらまともだった」的な意外性(またまた失礼)は薄れた感がありますかね。
ところでスタッフを何気なく見ていますとあれ?子供いなくね?と思ったのですが、単に若く見えるだけというのでなければまさか普通に雇用しているということなのか、それとも親父さんと何かしら血縁関係などででもあるのかと、何やらラーメン以外でも妙なところが気になったところではありました。

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2013年2月23日 (土)

逃亡中のワトソン容疑者、高裁命令を完全無視してまたもテロ行為に走る

本日まず最初に紹介したいのが、ご存知テキサス親父によるこちらの動画です。

【参考】字幕【テキサス親父】首相官邸FBがシー・シェパード等に荒らされている

テキサス親父がこうした告知を出すことになった一連の経緯について動画の解説から引用させていただきます(テキサス親父日本事務局記載)。

約2年前より首相官邸のフェイスブック(FB)のページ(英語版)へ大きく分けると2­つの「動物愛護団体」のメンバーとそのサポーター達から、掲載されているトピック無関­係の「太地町で行われている捕鯨、イルカ漁、南氷洋での調査捕鯨をやめろ」と言う内容­の書き込みが数多くなされている。

安倍晋三首相官邸ページ:https://www.facebook.com/#!/Japan.PMO

一つは国際指名手配犯で逃亡者のワトソン率いる「シー・シェパード(SS)」であり、­もう一つは、リックオバリー率いる「Save Japan Dolphins(SJD)」。更にはTAG(Taiji Action Group)太地行動組織と言うのも存在する。(雑魚であるが)
私が初めにこの書き込みを発見したのが一昨年の秋で、その直後にテキサス親父とその存­在について話をし、当初よりメインでテキサス親父、私Shun、他2名の4名で応戦し­てきた。
まず、「トピックに関係のない書き込みをしないよう促すメッセージ」や「相手の理不尽­な要求に対する反論」行っている。
しかし、それらのコメントをする連中の数は常時10人以上おり、更に時折書き込む連中­が100人程度。
こちら側の4人程度では、なかなか対応は難しく最近では日本人の中でも英語のできる方­々の協力者が増えてきていますが、その方々が大勢の環境保護団体のサポーターによりス­パム報告を受けてアカウント停止と言う事態にまで起きている。
(略)

あまりの内容にテキサス親父も「アメリカ人みながあのような行動をとるわけではない」と嘆息し謝罪しているというこの問題、ネットではしばしば見られる現象と言えばその通りなのですが、他ならぬ日本の総理の官邸に対して何とも無礼な振る舞いだと言うしかありませんね。
ところで昨年末にお伝えしたようにテロ組織「シーシェパード(SS)」に対して米高裁から日本船に近づくことを禁ずる仮処分命令が出ていますけれども、これには国際指名手配犯であるワトソン容疑者に対する「日本鯨類研究所の調査船などへの「物理的な攻撃」」と「安全な航行に支障をきたすような方法での航海」の禁止も含まれています。
そんな中で先日シーシェパードが南極海で捕鯨船団を捕捉した、しかもどうやらワトソン容疑者も乗船していると言うことでどうなることやらと注目していたところですが、どうやら彼らは米高裁の仮処分命令を完全に無視するという道を選んだようですね。

シー・シェパード、調査捕鯨船に妨害行為 ワトソン容疑者も同乗(2013年2月21日FNN)

反捕鯨団体「シー・シェパード」が、南極海で活動する日本の調査捕鯨船に対し、今季2度目となる妨害行為を行った。

水産庁によると、シー・シェパードは日本時間の20日午前11時ごろから、およそ1時間にわたり、調査捕鯨船「日新丸」への給油作業を妨げるため、妨害船で給油タンカーの周りを取り囲んだり、「日新丸」やタンカーの船体に接触するなどしたという。
乗組員にけがはなかったが、日新丸の船首部分がへこむなどの被害を受けたという。

アメリカの裁判所は2012年12月、シー・シェパードに対し、調査船の457メートル以内に近づかないよう仮処分命令を出していて、調査捕鯨を実施する日本鯨類研究所は、今回の行為が命令に違反するとして、法廷侮辱の申し立てを行う考え。
一方、シー・シェパードは、創設者で国際手配されているポール・ワトソン容疑者が、妨害船に乗船していたと明らかにした。

シー・シェパード、「日本の捕鯨船に攻撃された」と主張(2013年2月21日CNN)

香港(CNN) 反捕鯨団体のシー・シェパードが、日本の調査捕鯨船から船体に衝突されたり、衝撃手りゅう弾を投げられたりする攻撃を受けたと主張している。

オーストラリアのシー・シェパード幹部、ボブ・ブラウン氏は21日までに、同国の放送局ABCに対し、南極に近い南海でシー・シェパードの船が日本の大型船「日新丸」に繰り返し衝突されたと説明。さらに、日本政府の護衛船から放水を浴びせられ、活動家に向けて衝撃手りゅう弾が投げられたと語った
日本の船団はオーストラリアの領海に侵入し、国際法とオーストラリアの法律に違反したとブラウン氏は主張。「日本が我が国の領海で海賊になったのは極めて憂慮すべき事態だ」「オーストラリア政府が行動すべき時だ」と訴えた。

一方、日本の農林水産省は、捕鯨船に対して事実関係を確認中だと述べ、現時点でこれ以上のコメントはできないとした。
ABCによれば、オーストラリアの環境相も事実関係を確認中だと話している。

「日本側が突っ込んできた」「衝撃手榴弾投げつけられた」 シー・シェパード、調査捕鯨妨害、独自の対日批判強める(2013年2月21日J-CASTニュース)

   南極海で行われている日本の調査捕鯨船団に対する妨害活動を続けている反捕鯨団体のシー・シェパード(SS)が、今季2度目の妨害活動を行った。水産庁によると、SSの船が日本側の船に「異常接近して、給油を妨害」し、その際に複数回にわたって接触した。
   だが、SS側は、「日本側が突っ込んできた」と独自の主張を展開。日本側が衝撃手榴弾(concussion grenade)を使用したとして非難を強めているが、海上保安庁では、使用したのは、人に危害を与えない「警告弾」だとしており、ことごとく話が噛み合わない状態になっている。

   水産庁の発表によると、2013年2月20日午前11時ごろ(日本時間)から約1時間にわたって日本側の船団が妨害行為を受けた。妨害を行ったのはスティーブ・アーウィン(SI)号(オランダ船籍)、ボブ・バーカー(BB)号(同)、サム・サイモン(SmS)号(オーストラリア船籍)の3隻。母船の日新丸がタンカーから給油を受けようとしたところ、3隻が異常接近した。その際、少なくともSI号が1回、BB号が2回、SmS号が1回、日新丸と接触した。日新丸には船首部分にへこみができ、手すりが破損するなどしたが、乗組員にけがはなかった。この妨害の影響で、給油作業は中断された。SSは2月15日にも船団に異常接近するなどの妨害行為を行っており、妨害行為は12年度としては2度目。

   SS側も、日本批判を強めている。日本側はBB号について、日新丸と補給船の間に割り込んで、船首をタンカーに衝突させたと主張しているが、SS側は「BB号は進路と速度を維持しようとしており、衝突を避ける道義的・法的義務は日新丸にある」と主張。衝突について「(日本側が)突っ込んできた」と発表している。
   それ以外にも、SSの発表やオーストラリアのAAP通信によると、SSは日本側に対して(1)南極条約では南緯60度以南での給油を禁じており、日本はそれに違反しようとしていた(2)日新丸のメンバーが衝撃手榴弾を投げつけてきたと批判している。

海上保安官が投げつけたのは「衝撃手榴弾」ではなく「警告弾」

   これらの批判に対しては、水産庁は
    「シー・シェパードが指摘しているような違反の事実はない」
とコメントしている。なお、南極条約では、「南極地域における生物資源を保護し、及び保存すること」について各国が会合を持つことが定められているが、洋上給油に関する記述はない。妨害を受けた場所の経度や緯度は公開されていない。

   SSの妨害活動を受け、安全対策の一環として11年度から海上保安官が船団に同行している。海上保安庁の発表によると、今回海上保安官がSSに対して使用したのは「衝撃手榴弾」ではなく、「警告弾」。「衝撃手榴弾」は、爆発の破片ではなく衝撃波で敵を攻撃するとされる。警告弾は性質が大きく異なり、海上保安庁では
    「手投げ式ボール状のもので、海上保安官が職務の執行に際し警告の意思を表すために用いるもの。海上保安官が投てきしたあと数秒後に空中で、パンッという音響を発するもの、閃光を発するものなどがある。用途から人に危害を加えるものではなく、武器には該当しない。国内外の密漁取り締まり等の通常業務においても使用している」
と説明している。11時3分頃から11時38分頃にかけて、妨害船3隻の後方に向けて、計4発を手で投げたという。ここでも、SS側の主張と日本側の主張は、大きく食い違っている。

しかし給油活動を行い自由も効かないタンカーと捕鯨船の二隻が、それを上回る三隻のSS妨害船を追い回すということが物理的に可能なのかどうかは誰にでも判る話で、裁判所命令を守るため日本船に接近されまいと必死に逃げ回るSS妨害船というファンタジーを想像してみるのも一興かと思いますね(苦笑)。
超絶的な想像力を働かせる余地が少ないのは残念なことですが、日本側もようやく手慣れてきたものか今回の一連の騒動も画像として記録されていて、このSS問題をずっと追っている産経の佐々木記者が自らのサイトでSSによる突撃の様子を写真によって明らかにしていますから言い逃れのしようもないことで、特に外洋で燃料補給を妨害するという危険(燃料は暖房にも使用されます)かつ彼らお得意の海洋汚染にもつながる野蛮な行為に批判が集中しています。
わざわざ自分で公表したことによって日本船への接近の禁止、物理的攻撃の禁止、そして危険な航海方法の禁止という三項目全ての違反が確定してしまったわけですが、自ら敢えて司法に喧嘩を売るような態度を取り始めた裏には何があるのか、佐々木記者の推測にあるように「何をやっても同じなのだから、派手な行動に出た方がいい」という破れかぶれの考えに基づくものであったのかが気になります。
一方で佐々木記者も咨嗟しているようですが、今回日本側は先の仮処分命令が出たことで若干戦術を変更しているのではないか?という声もあって、調査捕鯨そのものよりもSS側に敢えて手を出させるようにすることで今後の裁判を有利に進めたい思惑があったのではないかという見方もあるようですね。
いずれにしても仮処分命令がここまで明確に無視された以上は米国司法としてもさらに厳しい判断を下さざるを得ないのではないかと思われますが、逆にSS側からは先の仮処分取り消しを求める申し立てが行われているというのが単なる焼けっぱちなアピール目的なのか、それともこれ以上ないほど深刻な天然なのか判断に迷うところではないでしょうか?

記事ではそれほど詳細には書かれていませんが豪州政府の立場も微妙なところではあるようで、同国内ではマスコミも含めた世論は相変わらずSS側の嘘情報を垂れ流しているような状態である一方、以前と比べると政府側の公式ステートメントではどちらの肩入れをするわけでもない抑制的なものとなっているらしく、日本に対して出るところに出ようじゃないかと盛んに息巻いてきた以前の反捕鯨一辺倒とはやや状況が変わっている印象です。
同国国防相も海軍艦艇を送れと言う声に対しては「そんなことは全く考えたこともない」と言い、あくまで国際司法裁判所での決着を求める立場から判決が出るのを粛々と待つという立場を強調しているようですが、外交面で対中国など日豪の関係が深まりつつある中で殊更に対立の火種にはしたくないという判断も働いているのでしょうか。
ちなみに2010年に始まったこの国際司法裁判所の審理について外務省に直接確認をしてくださった方がいるのですが、両国共にすでに書類は提出しているものの未だ口頭弁論は行われていないという段階で「いつ判決が出るかは分かりません(外務省国際司法裁判所対応室)」ということですから、実質的には豪州政府として現場への不介入を表明したも同然ということになるのでしょうか。
いずれにしてもこうまで各方面で次から次へと問題を起こし、国際指名手配犯となり逃亡を続けながらも裁判所命令も無視して妨害活動に勤しんでいるワトソン容疑者らSS一味の態度を見れば、内心どのようなシンパシーを感じていたとしても表立って支援も支持も行いにくい状況になってきたのは明らかですから、引き続きこの路線を推し進めていくことが日本側の最も望ましい基本路線ということになりそうですね。

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2013年2月22日 (金)

弁護士の巨額横領事件 業界にも大きな影響が?

先日も弁護士業界のモラルハザードという問題を取り上げたところですが、被害の額があまりに巨大だとして昨今大いに話題になっているのがこちらの事件です。

7億3200万円を着服=横領罪で弁護士を追起訴—岡山地検 (2013年2月8日ウォールストリートジャーナル)

 民事訴訟の損害賠償金など計約7億3200万円を着服したとして、岡山地検は8日、業務上横領罪で岡山弁護士会所属の弁護士福川律美容疑者=同罪などで起訴=を追起訴した。地検によると、容疑を認めているという。

 起訴状によると、福川容疑者は交通事故訴訟や医療過誤訴訟などの代理人として、2003年1月から12年11月までの間に支払われた計16件の損害賠償金など計約7億3200万円を依頼人に渡さず、着服したとされる。

 福川容疑者は既に、別の交通事故訴訟の損害賠償金計約1億3200万円を着服したとして、業務上横領罪で起訴されており、横領総額は8億円を超えた。 [時事通信社]

着手金受け取り提訴せず放置 岡山・横領事件の弁護士(2013年2月19日山陽新聞)

 民事訴訟をめぐる巨額横領事件で、岡山弁護士会の弁護士福川律美被告(65)=岡山市東区西大寺松崎、業務上横領罪などで起訴=が交通事故の訴訟を被害者に持ち掛けながら、着手金を受け取ったまま長年放置していたことが18日、関係者への取材で分かった。

 岡山弁護士会には、「福川被告に訴訟の着手金を払ったが、いつまでも裁判が始まらない」といった相談が数件あった。岡山地検も同様被害を把握しており、交通事故・医療過誤訴訟の賠償金や、刑事事件の保釈金とは別の着服手口が明らかになったことで、被害はさらに拡大しそうだ。

 関係者によると、岡山市の男性は2009年10月、交通事故でけがをした母親が加害者に5千万円の損害賠償を求める訴訟を起こすよう福川被告に促され、着手金の内金20万円を支払った。10年12月にも正式な着手金として250万円、11年秋にも切手・印紙代として20万円を渡した。

 男性は、早く提訴するよう再三申し入れたが、福川被告は「書類を精査している」「12年1月に始める」と引き延ばし、3年たっても始まらなかった。一方で11年、加害者側の保険会社から、母親の後遺障害補償金200万円を福川被告の銀行口座に振り込ませ着服したという。

単に賠償金を横領したといったケースであれば後日補いがつく可能性がありますが、訴訟を依頼し着手金も払ったのにいつまで経っても訴訟が始まらないのでは、場合によっては時効等で回復しようのない不利益を被ることになる可能性もありますよね。
ただこれだけですと規模は大きいとは言えよくある専門職の不祥事の一つに過ぎないとも言え、いずれにせよ今後の裁判なりの行方を待ってきちんと責任を取っていただくしかないかなという話なのですが、あまりに被害が巨大かつ広範囲に及ぶということから被害者の会が設立されたというところから少し話の風向きが変わってきます。
今後は民事訴訟等を通じて横領されたお金を取り返していくことになるはずですが、当然これだけのお金を取り込んでいるような人がそうそう全額を賠償できるほど金満なはずもなく、そうなりますと民事訴訟の大原則に従って「取りやすいところから取る」ということになりますよね。

弁護士横領で被害者の会設立へ 岡山弁護士会の提訴も検討(2013年2月21日山陽新聞)

 岡山弁護士会の弁護士福川律美被告(65)=業務上横領罪などで起訴=による巨額横領事件で、賠償金などが未払いのままになっている依頼人らが「被害者の会」の設立を予定している。3月6日に岡山市内で開く初会合で被害の実態を把握。今後、岡山弁護士会の責任追及についても検討する。

 昨年12月の事件発覚後、弁護士による横領事件などの被害者を支援する「日本弁護士被害者連絡会」(京都市、市井信彦会長)に複数の依頼人が連絡。「被害者数や被害額がまれに見る多さで、救済のための組織的な活動が必要」(市井会長)と判断したという。

 岡山弁護士会によると、福川被告に関しては「訴訟の相手からの賠償金が支払われない」「着手金を払っても訴訟が始まらない」といった相談がこの10年で68件寄せられている。会合では被害者数や未払い金の額などを整理するほか、苦情を把握していた岡山弁護士会の対応も検証。被害弁済の道筋が見えないことから、弁護士会に対する損害賠償請求訴訟が可能かも検討する。

 初会合は岡山県内外の依頼人7組が参加予定。市井会長は「事情を聴いた上で、今後の方針を考えたい」と話している。

この件に関して岡山弁護士会の会見の様子なども見ていますと、今のところは福川弁護士個人の問題であって弁護士会としては関知しないという考えであるようなんですが、実際に弁護士会に対しても責任が問われるような事態になってくるようですと裁判の行方が非常に注目されることになるでしょうね。
例えば日常診療に従事している医師が患者との間に何かしらトラブルが発生した際に「医師会に訴えてやるからな!」なんてことを言われた経験は少なからずあると思いますが、これに対しては医師会という組織は単なる任意加入団体であり何ら強制力もない、特に勤務医ともなれば多くはそもそも医師会に加入すらしていないこともあって「は?それが何か?」で終わる程度の話ですよね。
ところが弁護士会という組織は弁護士法に基づき日本の法制度の中にがっちり組み込まれている公的組織であって、弁護士活動を行うためには全員加入していなければならない強制加入団体でもありますから、単なる業界利権団体の域を出ず近頃は行政からもスルーされがちな医師会などとは全く性質を異にするものだと言えます。
特に日本の場合は弁護士自治という考え方に基づいて弁護士会が各弁護士の懲戒権限を握っているということが特徴となっていて、裏を返せば何か会員が問題を起こしても裁判あるいは行政処分が出るまでは何とも…などと言葉を濁していられる医師会などと違って、自ら判断し主体的に行動する社会的責任を負っているということでもありますよね。

実際に弁護士会にも以前から苦情が多数舞い込んでいたとのことで、被害の存在を知っていながら放置していたとなれば一般常識で考えても管理責任は問われることになるでしょうから、当事者による被害弁済が進まないようであればいずれ弁護士会がその肩代わりを求められることになるでしょう。
今回は金額があまりに巨大ということで被害者の会まで設立されましたが、例えばこのケースで弁護士会が最終責任を負うという判例が出れば今後同種の事件が起こった際にも同様に弁護士会が責任を問われることも増えるでしょうから、同会としては新たにこうした会員不祥事に対するリスクマネージメントを迫られることになりそうですね。
その場合例えば弁護士会から後日当該弁護士に改めて損害賠償請求を起こしたとしても勝ったところでお金が得られるとも思えず、最終的には普段から保険料的に訴訟向けの費用も上乗せして会員から徴収していく形になると思うのですが、今でさえあまりに高すぎて「金持ちしか弁護士になれない」などと言われる会費がさらに高騰することが業界にどのような影響を与えることになるのかと心配せざるを得ません。

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2013年2月21日 (木)

進む教育現場の荒廃 これぞ以て他山の石とすべき?

世の中にこれが正解!という明確な答えのない問題は幾らでもありますが、昨今体罰だ、いじめだ、はたまた教室崩壊だと問題山積の教育の世界においてもこれで全て解決!という正解などなさそうですよね。
教育関係の友人・知人に会っても口をそろえてこうしたことに悩まされていると言いますが、その多くが医療現場で発生している諸問題と相似形を示しているあたり、あるいはモンペ(モンスターペアレント)とモンペ(モンスターペイシェント)とは相互に密接な関係ででもあるのでしょうか(苦笑)。
特に昨今では一連の体罰騒動がさらに拡大し一部が刑事事件に発展するなど未だに収束の兆しが見えませんが、実際の現場の状況をみますと単純に体罰を全否定してしまえばそれで済むというような話ではないことは言うまでもありませんよね。

体罰情報を匿名で報告できるサイト「体罰.in」がオープン 虚構新聞の嘘ニュースが現実に(2013年2月18日ITmedia)

 社会的にも問題視されている、教育現場での「体罰」。なかなか当事者の立場からすると声をあげにくいものですが、こうした体罰被害の情報を匿名で申告・収集することができるサイト「体罰.in」がオープンしました。

 作者は「予告.in」の作者としても知られる矢野さとるさん。地域・学校・受けた体罰・教師の担当などの情報を投稿すると、投稿された体罰に対し、利用者がセーフか悪質かを投票できる仕組みです。

 ちなみに元ネタは虚構新聞が2月18日に報じた「体罰被害申告サイト『体罰.in』公開 匿名でも通報可能」という嘘ニュース。機能やサイトレイアウトなども虚構新聞が書いていた内容にそっくりで、矢野さんはブログで「気づいたら作ってたw」と振り返っています。

 せっかくの嘘ニュースを、1日も経たず現実にしてしまう鬼畜の所行。サイトにはさっそく「嘘ニュースを現実にされた」という滋賀県からの体罰(?)報告も投稿され、「これは悪質ですね」「酷いですね」といったコメントが寄せられています。

(18)「ターイバツ、ターイバツ」の連呼が響く教室 苦悩する教育現場(2013年2月18日産経ニュース)

 これまで紹介した意見では、体罰に頼るスポーツ指導について「教育者としての敗北だ」という指摘もあった。これに対し、岡山市の公立中学校の男性教員(30)は、生活指導上の体験をもとに「『体罰は教育者として敗北』というのには、違和感を覚えています」とつづっていた。

 「廊下を自転車で暴走する、エアガンを友達に向けて撃つ、力の弱い女性教師を押し倒す…。最近私が遭遇した学校現場の光景です。この現場を見たとき、生徒に切々と訴えるだけでその行為を辞めさせられるでしょうか」

 男性教員は、スポーツ指導でチームを強くするために体罰を加えるのは「暴力やパワハラで許されない」とした上で、「ときとして、体罰は教育者としての責任になると信じている」と記した。

 学校教育法上「体罰はいかなる場合も行ってはならない」のが原則だが、文部科学省が平成19年2月に都道府県教委などへ出した通知では、教員への暴力に対する防衛や、ほかの生徒に被害を及ぼす暴力を制止するなど「目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使」は、体罰に当たらないとしている。

 しかし、どこまでが認められる有形力で、どこからが体罰なのか。実際の教育現場では判断が難しい場面も少なくないという。

 静岡県の高校教員の男性(26)は、大阪市立桜宮高校の問題が発覚して以降、ささいなことでも生徒たちが「体罰だ、体罰だ」と口を出し、きちんとした指導が行き届かない状況があることに触れていた。

 同様の指摘はほかにもあって、先生がちょっと怒っただけでも「ターイバツ、ターイバツ」と連呼するクラスがあるという話も。戸惑いながら生活指導にあたっている先生たちの様子が浮かぶ。

 「一番懸念するのは、先生たちが問題ある児童生徒の担任を避けることです」。山口県の公立小学校教員の意見だ。問題行動を起こす児童や生徒に対する生活指導は苦労が多い。必要な指導であると確信した行為だったとしても、それが「体罰」として露見すれば処分対象になる

 この先生は指摘している。「誰しも火中の栗を拾って自分の評価を下げたくない。特に小学校では高学年の学級担任は生徒指導上の問題も複雑になり、仕事は大変になる。これからは高学年の担任を希望しなくなるのではないか」

ちなみに当の虚構新聞側では「『ありそうでありえない』の報道姿勢を貫くべき本紙が、今回『結果的に』ではありますが、誤報を配信してしまったことで、多くの読者やその他関係者にご迷惑をおかけしたことを、まずお詫び申し上げます」と今回の「誤報」配信を謝罪していると言いますが、嘘から出た誠と言うべきか事実は小説よりも奇なりと言うべきか何とも微妙なところですよね。
体罰、体罰と声に出して煽るなんて行為は、一昔前の何かと「そんなことしたら教育委員会に通報しますよ」なんて脅し文句?と同じようなもので進歩がないという声もありますけれども、教室中がこんな調子ではまともな授業など進められないでしょうから、いわゆるこれは教室崩壊という問題になってくるのでしょうか。
ではその対策として体罰が必要か?という議論に進んでいくのがどうなのかで、マスコミなどは体罰肯定派、否定派といった色分けを盛んにしたがりますが、単に体罰がいる、いらないというよりまずきちんとルールを作らなければ組織運営はうまくいくはずがないのに、今までの教育現場ではそれを体罰というその場しのぎの対応でごまかしてきたことも問題をこじらせてしまった要因であるように思えます。
そういった点からすると管理人自身は体罰否定派と言うよりは体罰無用派と言うべき立場ですが、それでは体罰に代わってどのような強制力を発揮して教育現場をコントロールしていくべきかという議論も進めておかなければ意味がないですよね。

時々極論的に暴れる生徒はさっさと警察に突き出せなんてことを言う人がいますが、民事不介入とよく言う通り警察は刑事罰に相当する犯罪者に対処する組織であって、グループ内のローカルルールに違反しているからと言って強制力を発揮出来るというわけではないというのが大原則です。
教育現場でそれに相当する強制力たり得るのは校則等として示されるような、会社で言う服務規程などにあたる組織内でのペナルティーでしょうが、学校の現場では校則として「○○をしてはいけません」式に禁則事項を列挙するばかりで、問題行動のペナルティーをちゃんと具体的に設定し運用してこなかったことが失敗だったのでしょうね。
現実的には処分が多くなると教育委員会等からチェックが入り責任を問われると言いますし、好意的に捉えれば公的処分となれば内申書にも書かなければならないからこそ体罰等の後に残らない対応で済ませてきたのかも知れませんが、ルールの恣意的な運用というものはそれを行うものがよほど力量を持っていなければ良い結果にはならないことは現在の体罰問題がこれだけこじれていることを見ても明らかですよね。
他方で教育崩壊には「生徒手帳はもういらない」などと叫んで一部の大人が手を貸してまで好き勝手な暴走を助長してきたという負の一面もありますが、子供においては保護されることと権利の抑制とがバーター関係にあるという基本的約束を理解していないと言うしかない話で、権利とはそれに伴う責任を果たすものに与えられるという基本的お約束でもって明確に否定される暴論に過ぎないでしょう。

繰り返しになりますが今世間で盛んに議論されているように体罰が是か非かという論争自体にはあまり意味はなくて、ただ他人の権利を侵害する行為は必要なら強制力をもってでも抑制しなければならないのに、体罰がダメならダメで組織のルールを守れない者に組織参加を認めないような他の方法が用意出来ていなかったことが問題なのだと言うことです。
そして増え続ける業務を抱える教師の多忙さを考慮すれば、校内にも教育担当者とは別に生徒に対する評価と管理を担う人事部的な役割はどうしても必要になってくるはずですし、処分はきちんと客観的かつ明確な基準で行わなければなりませんが、現状でそうした役割を担うべき校長ら管理職はむしろ自らの評価や世間体を恐れてか全く機能していない場合が多いようですよね。
もちろん学校によっては校長の訓告としてきちんと違反の内容毎にポイントを設定し、客観的基準に従って処分内容を管理しているところもあるようで、体罰などという個人の主観に基づいた行き当たりばったりの処分よりはよほど公平に思えますが、まずは組織としてこうしたルール作りを進めると同時にきちんと公平に運用しなければ現場の教師達はいつまでも主観的判断によるその場しのぎの処罰に頼らざるを得ないということです。
ただし義務教育の場合は教育を受ける権利との兼ね合いもありますから単純にカード何枚で即停学・退学にして終わりという訳にもいかず、処分を受けた者にも専用の学級なり学校なりを用意してきちんと教育を受ける権利も担保していくといった配慮も必要でしょうが、公立校であればこれは現場ではなく行政側が対応すべき課題であると思います。
その意味で先日の大阪の事件で橋下氏などは体罰全面否定で過激とも言われる行動に出ていましたけれども、行政側としても単に受験を取りやめて問題を起こした部署を潰せばいいというものではなく、きちんと代案となる管理手段を整えていくことが求められるはずですし、今のように現場の教師が給食費の回収までさせられているのに強制力だけは奪われていくというのでは管理がうまくいくはずがありません。

ところで一般論として大学よりも高校、高校よりも中学と荒れる度合いが激しいものですが、単純に学力で選抜されて粒ぞろいだからとかいった理由以外にも、大学や高校の場合は進級基準の明確化などにも見られるように組織としてのルールがはっきりしていて、それに合致していない学生にはきちんと対応が出来ているということもあるでしょうね。
今や高校も義務教育化しようと言っている時代ですから、一部高校などで当たり前に行われているように生徒をきちんとクラス分けし場合によっては学舎なども分けるという対応を下の世代で行うことも考えられるでしょうし、授業に参加しない者は当然出席基準を満たさないとして留年の対象になってもおかしくないはずですが、話を聞いてみますとこうした厳格な運用を妨げる制度的な問題もあるようです。
文科省は平成13年にわざわざ通達を出していますが、出席停止を決めるのは他ならぬ教育委員会であって「事前の指導、措置の適用の決定、期間中及び期間後の指導、関係機関との連携等にわたって市町村教育委員会が責任を持って対処する必要がある」とし、「出席停止を命ずる権限を校長に委任することや、校長の専決によって出席停止を命ずることについては、慎重である必要がある」と言い切っています。
別に教育委員会が諸悪の根源などと言うつもりもありませんが、現場からはるかに遠く当事者の顔も知らないような人間が「学校が最大限の努力を行っても解決せず、他の児童生徒の教育が妨げられている場合に、出席停止の措置が講じられる」などという微妙な判断が出来るものなのかどうか、まずはこの辺りの権限を現場に委譲してもっと臨機応変に対処出来るようにすることも必要でしょう。

そして何よりも根本的なところとして、こうしたことは生徒対策というよりも親対策であることは教育関係者も常々語っている通りですし、教育現場が閉鎖的になるほど親との間にも意思疎通の齟齬が増えていくことは容易に想像できますから、可能な限り日常的に親御さん達にも教育にご協力いただくということも考えるべきでしょうね。
授業のある日は毎日全時間授業参観状態にして特にDQN…もとい、教育に関して独自の見解をお持ちの保護者さんには積極的に教室内に常駐していただくのもよし、リアルタイムでの常駐が難しければ教室にwebカメラを設置して常時授業内容を公開するなり、PTAの集まりとして月一回のビデオ鑑賞会を開くなりすればよろしいかと思います。
もともと教育などというものは隠れてこそこそとやるような後ろ暗いものであるべきではないでしょうし、日頃から教室内という密室で教師が暴力と恐怖で生徒を支配している!といった類の懸念をお感じになっている方々こそ教室の全面可視化に諸手を挙げて賛同すべきではないでしょうか?
この辺りは教育には医療と違って守秘義務に縛られて相手の一方的攻撃に晒されても事実に基づいた反論も出来ない…といった不自由なこともないのですから、もっとうまい具合に情報発信を行って教育の実情を広く知らしめていってもらいたいと思います。

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2013年2月20日 (水)

医療公的補助の充実は利用者モラルを低下させる?

生保受給者の医療費一部自己負担化に7割の医師が賛成するなど、日常的に密接な関係を強いられる医療現場では生保受給者のモラルハザードが世間以上に深刻に受け止められている傾向がありますが、実際に過剰診療によるメリットを一方的に享受している生保受給者によって一部病院がホテル化しているといった批判も出ているようです。
年々過去最多を更新し続ける生保保護費の半分が医療補助であるなど、国としても生保受給者の医療費削減にようやく乗り出し始めていますが、こちらも一部進歩的な方々の反対論に遮られてなかなか一般患者並みとまではいかないようですよね。
そんな中で先日は医療現場のスタッフに対する調査によって、生保や小児医療費補助といった公的補助の利用者達による生々しい悪用例が明らかになってきたということですが、多くの医療関係者にとっては「あ~あるある」といったところではないでしょうか?

公的補助の悪用例、医療従事者の半数が経験(2013年2月18日ビジネスメディア誠)

 社会福祉を充実させる上で、医療費の公的補助は欠かせない。しかし残念ながら、その制度を悪用する人も少なくない。現場の医療従事者は、公的補助の悪用をどのくらい見聞きしているのだろうか。

 QLifeの調査によると、医療従事者に「生活保護受給者による不適切な医療機関や医療資源の利用を見たことがありますか」と尋ねたところ、「ある」(46.6%)と「ない」(53.4%)が拮抗(きっこう)した。

 具体例を聞くと、「糖尿病のインスリン患者が、食費が無くなると、わざとインスリンを打たずに高血糖になり救急外来を受診し入院して、食費を浮かす」「数週分の処方を出したのに、数日ごとに薬をもらいにくる。特に湿布。そして他の医療機関でも同様に受診している」「夜間に寂しくなり詐病で救急車を利用し、病院で個室に入れろと叫び無理やり入院しようとする」などの声があった。

 子どもの医療費を無料にするという動きも各自治体で進んでいるが、それを悪用する向きもある。「子どもの医療費補助による不適切な医療機関や医療資源の利用を見たことがありますか」と尋ねると、「ある」は17.2%と、生活保護受給者ほどではないが、少なからずの人が見聞きしたことがあるようだ。

 具体例では、「必要以上の受診。ドクターショッピングをする。 子どものカルテで親の薬を出してほしいと言う。 無料期間が終わる直前に、必要のない検査や薬の長期投与を要求する」「どうみても母のでしょ? と思われる、ローションや保湿クリームが大量に処方されている」などがあった。

 インターネットによる調査で、対象は医療従事者744人(医師182人、看護師370人、薬剤師192人)。調査期間は2012年12月23日から2013年1月11日。

医療従事者(医師・看護師・薬剤師)が経験した公的補助の悪用例 「生活保護受給」46.6%、「子ども」17.2% 「過剰な受診」「薬の過剰請求」「コンビニ受診」…中には悪質なケースも(2013年2月18日朝日新聞)

 株式会社エス・エム・エス(本社所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:諸藤周平)と株式会社QLife(キューライフ/本社所在地:東京都世田谷区、代表取締役社長:山内善行)は、「医師」「看護師」「薬剤師」の3者に対して、「自身が経験した公的補助を悪用した不適切な医療機関の利用」についての調査結果を発表いたしました。調査は両社が運営する3サイト『院長jp』『ナース専科コミュニティ』『ココヤク』の会員に対して行い、医師182名、看護師370名、薬剤師192名の計744名から回答を得ました。

 不適切な医療機関の利用について、医療従事者の46.6%が「生活保護受給者によるもの」、17.2%が「子どもの医療費補助によるもの※1」を目にした経験が「ある」と回答しています。
 不適切な医療機関利用の内容としては、「生活保護受給者によるもの」では「過剰な受診」「必要無い量・種類の薬の請求」「実態とそぐわない入院希望」などの回答が多く、「子どもの医療費補助によるもの」では「コンビニ受診(=緊急性もないのに、夜間や休日に病院の救急外来をコンビニのように利用すること)」「家族間での薬の使いまわし」などの回答が多く見られました。中には、明らかに転売目的で薬を希望するケースや処方を断った医師に対して“何かあったら責任取れるのか”と恫喝する等、悪質な報告もありました。

※1:自治体により内容は異なりますが、子どもには医療費補助があります。その医療費補助を利用し、主に子どもの両親が不適切な医療機関の利用を行うことを意味します
(略)

半数程度しか悪用例の経験がないというのはずいぶんと少ない気もしますが、実際の例を見ていますと日々の診療に追われていると見過ごしがちなケースも大いにありそうですね。
生活保護受給者に限らず小児医療費無料に関しても不適切使用がそれなりにあるということですが、やはり実体験として一過性に終わる小児医療よりも長年その道に精通してきた生保受給者のそれは目に余るということでしょうか。
元ネタとなったキューライフの調査結果が公表されているのですが、掲載されている実例を見てみますと単なる不正利用というよりは昨今問題になっているクレーマー、モンスターと言われる事例も垣間見え、もともとこうした素因を持つ者が社会から利益供与を得られるようになることでモンスター気質が顕在化してくるという構図が浮かび上がってくるように思います。

・医学的には不要と思われる薬を出して欲しいと言われて、いくら説明しても診察室に居座り、出すまで帰らない。(医師)

・症状がはっきりしないまたは現在ないが来るのが大変と言われ、執拗に薬剤の処方を要求される。処方について断ると、何か有ったら責任を取ってくれるのかと医療者を脅かす事が有る。(看護師)

大部屋だとうるさいとクレーム。個室で元気なのに何日も入院していた。(看護師)

・必要以上の受診。ドクターショッピング(=かかる医者を次々と代えて診断を受けること)をする。 子どものカルテで親の薬を出してほしいと言う。 無料期間が終わる直前に、必要のない検査や薬の長期投与を要求する。(医師)

・保護者の仕事の都合によるもの。「時間内は待つのが面倒」と終わってからの時間外受診を平然としながら言う。(看護師)

実例を見ていて気になるのが明らかな過剰処方、重複処方といったチェックすれば判るはずのものが相当に挙げられていることですが、特に複数の医療機関を連日重複受診し同じような薬を過剰量処方されているようなケースは以前にも大いに話題になったところで、当然ながら全量を自分一人で使うわけではないでしょうから明らかに何らかの違法行為が行われていると判断されますよね。
理想的には医療機関や調剤薬局間で随時情報のやり取りを行い過剰診療をチェックできる体制を作れるならよいのでしょうが、未だに全国で末端医療を支えている零細医療機関や薬局でそうしたデータベースに参加する体制を取れるかと言えば難しいものがあり、当面はお金を出す側の行政主体で病名に対して不相応なコストがかかっていないか、受診頻度は妥当かなどのチェックを入れるしかなさそうです。
ただもともと生保関連業務では行政側も人員不足が著しく認定や見直しの公平性担保も難しいと言いますから、以前に大阪の橋下市長が表明していたように生保が受診できる医療機関を思い切って絞ってしまうことも一つのやり方で、例えば地域内の公立病院に限定するともなれば(当該施設の先生方にとっては大変でしょうが)副次的な効果として集中による混雑を嫌った受診者の足が遠のくということもあるかも知れません。
しかし今回の調査で挙げられた実例の数々にも見られるように金銭的保護を受けた患者は受診モラルが低下しやすい傾向が明らかになってきたように思いますが、先日クーポン騒動で話題になった某飲食店店長も盛んにクーポン客の客層が悪いとつぶやいていたことが何やら思い出されて興味深いですね。


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2013年2月19日 (火)

医薬品通販問題 反対のための反対で論点がずれてませんか

先日お伝えしましたように医薬品の通信販売規制が違憲と判断された結果、厚労省としても早急に新たな対応を強いられることになったのはご記憶に新しいところだと思います。
おもしろいのはこの通販規制、もともと薬事法等の法律上には何らの条文も存在しないものを厚労省が省令という国会承認もなしに大臣(実際には官僚)が勝手に出せるもので規制してしまったということで、この辺り当時の厚労省の無茶苦茶なごり押しぶりは「新小児科医のつぶやき」さんが詳しく取り上げていらっしゃいますのでご参照いただきたいと思います。
厚労省の表向きの反対理由としては「顧客の顔が見えず本人確認も出来ない通販は危険。対面販売を原則とすべき」ということでしたが、ではその厚労省お墨付きの対面販売とやらは本当にそこまで安心安全なものなのか?という疑問は実際に薬局にかかった多くの人々が抱く素朴な疑問ではないでしょうか?

医薬品の対面販売は本当に安全か 買って分かった情報提供の疑問(2013年2月15日日経ビジネス)

 一般医薬品(大衆薬)のインターネット販売を巡る議論が再燃している。ケンコーコムとウェルネットの2社が国を相手に販売権の確認を求めた訴訟の上告審は、最高裁が1月11日、国側の上告を棄却し、2社の勝訴が確定した。
 この判断で一応の決着がついたのかと見られていたが、現在、ネット販売を全面解禁する動きに反対陣営が「待った」をかけている
 反対陣営の中核を担うのは自民党の議員約50人で構成する「医薬品のネット販売に関する議員連盟」だ。2月7日の会合で、ネット販売の解禁に反対する業界団体からヒアリングをした。参加した日本チェーンドラッグストア協会や日本薬剤師協会などの幹部は「絶対反対。対面販売を法律(薬事法)に明記して頂きたい」と強い口調で議員に訴えていた。

 反対派の主張はこうだ。薬剤師は来店客の顔を見て、来店客が望んだ商品以外からも、適切な医薬品を薦める。大量購入など様子のおかしい場合は販売を断ることもある。だから対面販売こそが安全であり、ネット販売は危険なため禁止すべきだ――。この内容は3年半前、改正薬事法の施行前に議論された内容と、あまり変わっていない

店舗で「ガスター10」購入に挑戦

 薬剤師とはいえ、小売業で働いている。客の意見と異なる商品を薦めることなど、現実問題としてあるのだろうか。取材を通じて、こんな疑問を抱いた筆者は、実際に店舗で医薬品を購入することにした。
 運よくと言っては何だが、暴飲暴食のせいか胃の調子が悪い。取材の合間に大手ドラッグストアを訪れた。購入するのは以前、服用して調子が良かった第一三共ヘルスケアの胃腸薬「ガスター10」だ。
 ガスター10は大衆薬のなかで、副作用のリスクが最も高い第1類医薬品に指定されている。インターネットで販売できなくなっていた医薬品のひとつだ。薬剤師から筆者が望むガスター10ではなく、ほかの医薬品を薦めてもらえるのかを確かめる機会にもなった。

 まず向かったのは東京都内にある大手ドラッグストアチェーンのA店だ。応対した店員は「申し訳ございませんが、夕方以降でないと販売できません」と言う。ガスター10は第1類医薬品に指定されているため、薬剤師しか販売できない。応対した店員は登録販売者で、第2類医薬品までしか販売できない。店員は筆者に薬剤師の勤務スケジュールが書かれたビラをくれた。ルールに則した対応だ。
 ビラを持って店を後にしたが、買えないとなると余計に胃が痛くなった気がする。薬剤師がいる日に、もう一度来店するのでは遅い。そこで、近くの別のドラッグストアB店へ向かった。
 今度は薬剤師が居た。商品名を告げると、薬剤師は鍵付きの棚を開けて商品を取り出した。そこで聞かれたのは、錠剤か内服液かという薬の形状だ。「胃がどのように痛むのか」といった症状や、いま服用している薬の種類を聞かれることはなかった。もちろん、ほかの薬を薦めてもらうこともない。

ポイントカードの有無しか問われず

 厳密に言えば、この対応は薬事法違反になる。薬剤師は第1類医薬品を販売する場合、書面で副作用を説明する義務があるからだ。
 ちなみに薬剤師から唯一聞かれたことは、「ポイントカードはお持ちですか」だった。代金を支払うと「お大事に」と言われ、ほんの1分ほどですんなりと購入できた。
 いまやドラッグストアは医薬品以外に日用雑貨も扱っている。筆者は昼休みの時間帯に来店したため、レジには精算待ちの行列ができていた。現実問題として、混雑している店内で、薬剤師が細かく説明する時間をとるのは難しいだろう。
 一方、インターネットで大衆薬を販売するケンコーコムのサイト。ガスター10を購入しようとすると、16項目ほどの確認事項に答えなければならない。「このお薬を初めて服用する」にチェックすると「医師または薬剤師に相談してください」との注意書きが出て、「他の胃薬を飲んでいる」に該当すると「服用できません」となり、どちらも購入画面へ進めない。今回の体験に限ったことではあるが、ネット販売の方が説明文を読む機会は多かった

 ネット販売に反対する陣営の意見を聞いていると、顧客を奪われてしまうことへの危機感があるのでは、と勘ぐってしまう。厚生労働省の薬事工業生産動態年報によると、大衆薬の生産金額はここ数年、6000億円前後で推移している。需要が伸びない中で、新たに登場したネット販売という勢力に神経を尖らせる気持ちも分からないではない。
 しかし、ネットと実店舗は顧客層に違いがある。ネット通販は手元に届くまで数日かかる。しかし、筆者のように症状を改善するため今すぐに薬が欲しいという利用者も多いだろう。こうした顧客には実店舗の方が明らかに有利だ。
 インターネットと実店舗を組み合わせ販売促進に取り組む動きは珍しくない。ウェブサイトで情報を提供し、商品の引き取りで実店舗へ誘導するといった方法などだ。ネット通販と薬局が対立するばかりではなく、それぞれの利点を組み合わせれば新しい商流が生まれる可能性がある。
 2月14日には厚生労働省で一般用医薬品のネット販売等の新たなルール作りを目指した検討会も始まった。いつまでも、どちらが安全かばかりを議論していては、何も解決しない。業界内の争いで損をするのは消費者だ。ネット通販を利用していたのに買えなくなっていた消費者の中には、販売再開をうれしく思っている人もいるだろう。安全で便利な大衆薬の販売方法を目指し、今度こそ業界内で前向きな議論をしてほしい。消費者の1人としても、強く願っている。

実際に自分などもドラッグストアでOTC薬を利用したことがありますが、たいていの店では顧客の状態を詳しく薬剤師がチェックするということもありませんし、確かに毎回そんなことをやっていたのでは業務が回らないという以前に顧客が逃げ出してしまって競争厳しいこの時代に薬局経営が成り立たないでしょうね。
このガスターという薬は胃潰瘍治療に画期的な進歩をもたらしたH2ブロッカーと言われる胃酸分泌を抑制するタイプの薬で、より強力な薬が登場している現在も臨床現場で当たり前に使われる非常に有用な医薬品であるのは間違いありませんが、それだけにこれを市販化すると言い出した当初は「こんな薬まで売ってしまって大丈夫なのか?」という不安の声が医療現場からも上がったのは事実です。
ただしその不安とは今までの市販薬とは比較にならないほど強力に症状を抑えてしまうが故に、さっさと病院にかからなければいけない重症の患者までもが市販薬で騙し騙し過ごせてしまえるようになるのではないかという不安であって、別に薬の副作用を心配したということではありませんよね(広い意味ではこうした受診の遅れも副作用とも言うべきかも知れませんが)。
ひと頃はこれまた「日本は諸外国よりはるかに遅れている!」と話題になったOTC薬問題に始まり、現在は通販が賑やかに議論されているように医薬品市販化の拡大にあたっては必ず反対意見が出ますけれども、いわゆる有識者の挙げる反対理由なるものが現場の懸念をそのまま反映しているかと言えば必ずしもそうではないという点には注意が必要でしょうね。

そもそも厚労省が言うように対面販売がそこまで安全なのかという点は誰も本質的に追求していないようで、市販薬のみならず密接に医療機関と連携を取り合っているはずの調剤薬局にしても、患者の状態変化に対して必ずしもそこまで手厚いフォローアップが出来ていないのも事実ですし、またそもそもそうした判断が出来るだけの教育を十分施されていないのですから出来なくて当たり前とも言えるでしょう。
そうした事実を知っているせいか厚労省なども一方では「直接、顧客に副作用等のリスクを説明できず、顔色をうかがうこともできない」からと通販を否定しておきながら、他方では「薬局に薬を取りに来られないなら代理人でもいいから来させなさい」などと顔色をうかがうも何もない省令を出していることからして、これまた本音の部分は全く別なところにあるということなのでしょうね。
対面販売と言っても店頭では身分確認も何もないわけですから他人の薬を受け取ったり常用量を超えた薬を買い込んでも何らチェックが入らないわけで、昨今生保問題にも絡めて問題視されているように向精神薬等を大量に処方させておいて闇で売りさばくといったケースを撲滅するためにも、商売敵を潰しにかかる以前に既存薬局こそ安全性確認のための対策をもっと徹底して講じなければならないはずです。
もちろんネット通販にも問題は多々あって、例えば通販のED薬の過半数は粗悪な偽造品で無効どころか健康被害を生じかねないものだと言いますから、それこそ国と業界が協力して通販のルールをきちんと整えることが必要であることは言うまでもありませんけれども、それは「だから今まで通り薬局店頭で薬を買うことが正しいのだ」という話とは全く別物であるということは改めて指摘するまでもありませんよね。

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2013年2月18日 (月)

皆保険制度は絶対善であり混合診療は絶対悪?

循環器専門医でありながらうつ診療に一家言あるなど様々な領域で活躍する阪大の石蔵文信先生が、先日こんな大胆な提言をされているということを紹介しておきます。

【参考】日本の医療費と医者の数は半分にできる(2013年2月9日JB PRESS)

いきなり「石蔵さんは自らの哲学で一人ひとりの患者をじっくり時間をかけて診る治療を続けてきたが、いままでに「それでは病院の経営が成り立たない。辞めてくれ」と、5つの医療機関から離縁状を渡された経歴を持つ。」などとただ事ならぬ経歴を披露されている通り、この石蔵氏も一医師としてはなかなか波瀾万丈の人生を歩んでおられるようですね。
現在自由診療に従事している同氏の場合、平均的な患者層ではない方々を対象にしているだけにそのまま一般化するのは無理がありますが、皆保険という制度がすでに破綻しているのに日本人の悪癖として現場が一生懸命努力して辻褄を合わせてしまうという点には同意すべきところもあって、そのために混合診療・自由診療絶対反対のままではいけないという主張にはそれなりに聞くべき点はありそうです。
もちろん同氏のように「私の門を叩く患者さんの場合、平均して50万~100万円もすでに治療にお金をかけている」という特殊な患者層相手の自由診療がメジャーなマーケットになるとは思えませんが、近年患者側からもドラッグラグなどの問題もあって混合診療絶対悪という考え方はおかしい、医療の選択権を広げるべきではないかという声が少なからずあるのは周知の通りですよね。
TPP交渉にも絡んだ外圧は元より、先日は医薬品通販規制に違憲判決が出るなど内外から医療業界に規制緩和の圧力がかかっている中で、先日はこの混合診療問題に関しても今後認められていくことになりそうだというニュースが出ていました。

混合診療の適用拡大、規制改革会議が検討(2013年2月15日読売新聞)

 政府の規制改革会議(議長=岡素之・住友商事相談役)が成長戦略の具体策として検討する規制改革の「論点」全68項目が14日、明らかになった。

 現在は「先進医療」の一部に限って認められている保険診療と保険外診療の併用(混合診療)の範囲拡大や、エネルギー確保のため、石炭火力発電所の新設要件の緩和などを検討テーマに掲げた。15日の第2回会合で事務局が提示する。同会議は、政府が6月をめどにまとめる新成長戦略への反映を目指し、早急に結論を得る方針だ。

 「論点」は、〈1〉健康・医療(12項目)〈2〉エネルギー・環境(11項目)〈3〉雇用(17項目)〈4〉創業・産業の新陳代謝等(28項目)で構成。

 混合診療の拡大は、保険適用との併用が認められている一部の「先進医療」の対象を拡大することで、患者の負担軽減を目指すものだ。先進的な医療技術の発展にもつながるとされている。

<規制改革会議>混合診療の拡大など3分野に重点(2013年2月15日毎日新聞)

 政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が取り組む約70項目の検討課題が14日、明らかになった。公的医療保険が適用される保険診療と、保険外診療を併用する「混合診療」の範囲拡大や、地熱発電の立地規制緩和、解雇規制の柔軟化などが主要課題で、規制を緩和した場合のメリットとデメリットなどを議論。具体的な規制改革案を策定し、政府が6月にもまとめる成長戦略に反映させる方針だ。

 規制改革をめぐっては産業界が大胆な緩和を要望している一方、労働組合や医師関連団体、関係各省庁の強い反発も予想され、安倍政権のリーダーシップが問われそうだ。

 政府は15日に規制改革に関する会合を開き、「雇用」「健康・医療」「エネルギー・環境」の三つを当面の重点分野に位置付ける方針。規制改革会議はこれを受けて、70項目の検討課題について本格的な議論に入る。
(略)
 「健康・医療」では、混合診療の対象範囲を再生医療などの先進的な技術全般まで拡大できないかを議論。最高裁判決も踏まえ、一般用医薬品のインターネット販売規制は全面的に見直す方向だ。書面交付が原則の処方箋を電子情報だけで出せるようにする。
(略)
 ただ、医療や環境分野の規制緩和には、安全や健康を害するリスクもある。また、労働時間や解雇規制の柔軟化には雇用機会拡大の期待がある一方、安易な解雇が増えたりする懸念もあり、規制改革会議にはこれらの不安への対応も求められそうだ。【久田宏】

かつて混合診療解禁反対論と言えば「お上が安全性も保証した医療だからこそ保険で認められているのであって、それを無視して怪しげなものに手を出すなんてとんでもない!」などといった論調も見られていたようですが、さすがに昨今そこまで国を信用する人間もそう多くはないようですし、日本の医療が徐々に時代遅れになりつつある現状が知られるにつれむしろ保険診療のデメリットが強調されている感があります。
無論現場の医師サイドにしても怪しげな代替医療めいたものを使いたい連中は今でもしっかり商売に励んでいるわけですし、実際には諸外国ですでに一定の実績を挙げているにも関わらずまだ保険収載されていない先進的医療を、今の先進医療を拡張するような形でやっていきたいという意見が大多数ではないでしょうか?
無論患者側から怪しげな代替医療を求められることになるかも知れない、だから混合診療なんて認めるのは面倒くさくなるだけだという素朴な反対論もあるでしょうが、こうしたものは求める患者と提供する意志・能力のある医師とが揃っていなければ行えないことは当然ですから、主義主張に反することを求められた場合には今まで通り紹介状を書いて送り出すやり方で対応すべきでしょう。
また仮にそうした混合診療によって思いがけない副作用なりが発生したとしても、あくまでも基本は保険診療であって混合診療部分は患者側に求められた場合にのみ行われるオプションであるということを徹底しておけば、患者側としても自分の選択で起こった結果ですから過去に見られたような医療訴訟乱発という事態には至りにくいのではないかと思います。

一方で混合診療解禁を求める訴訟などに対して表明されてきた「抵抗勢力」たる医師会側の主張も「混合診療導入で保険給付の対象が狭められる可能性がある」という点に要約されてきた感があってさすがに安全性云々はさほど強く主張しなくなってきたようですが、では狭められることが必ずしも悪いことなのかと言うとそうでもないのではないか?という意見もあることは併記しておかなければフェアではないでしょうね。
ご存知のように諸外国では高齢者への透析導入は保険給付の対象外とされるなど、医学的妥当性と経済的妥当性とを両天秤にかけて保険給付の範囲を厳密に設定している場合が多いことからも判るように、日本のように子供からお年寄りまで同じ点数表で一律画一的な医療を提供しているというのはむしろ弊害のほうが多いのは当然ですし、近年ようやくそれはおかしいという声が上がってきているところですよね。
現状では医療給付の制限と言えば療養病床におけるそれのように施設の経営的な視点から現場スタッフの裁量と努力で細々と行われていますが、例えば超高齢者に化学療法が可能であるということとそれを行うべきであるということがイコールでないことは当然で、医療とは本来患者それぞれに最適な内容をオーダーメードで施していくべきものだという考え方からすれば、現状の皆保険制度はむしろそれに逆行するものとも言えそうです。
子供には感染症や先天性疾患、青壮年には悪性腫瘍や救命救急、高齢者には緩和ケアや介護といった具合で年代毎に給付範囲や内容に傾斜をつけることは国民の理解も得やすいでしょうし、「出来るだけのことをしてください」という家族の一言で寝たきり超高齢者をICUに収容してあとで症状詳記をまとめるのに苦労する、なんてことをいつまでも続けるのが良い医療というわけでもないでしょう。

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2013年2月17日 (日)

今日のぐり:「沖縄創作料理 ちゅらSUN」

先日は世に言うところのバレンタインデーだったことは皆さんご存知のところでしょうが、その当日にこんな不思議な光景が目撃されたそうです。

町田駅で『チョコ乞い』をしているチョコ難民が女子からもカワイイと話題に(2013年2月14日秒刊サンデー)

昨年も話題となったが、今年もチョコレートを貰えず途方に暮れた男の子が、駅のホームなどでチョコレート乞いをしていることが判明した。基本的に数人でチョコレートを恵んでほしいという旨を記載したプラカードを持ち、チョコレートを提供してくれる女性を待つというスタンス。彼らの手には数個のチョコレートが確認できることから、数千円分のチョコレートを獲得している可能性がある。
(略)
さて、今回話題となっているのは東京町田のJR改札口という事で、改札口の中か外かによって判断が分かれるが、関連ツイートを見ると女子からは意外にも「カワイイからあげたい」などというつぶやきもみられ、警察にも叱られず無事にミッションを成し遂げたようだ。

そこまでしてチョコレートが欲しいのか?自分で買えばいいじゃないという気持ちにはなるが、男子にとってこの日のイベントをいかに「楽しむか」がポイントになってくる。それを踏まえるとでやはりチョコレートの有無は大きなキーアイテムになりうるのだ。

―Twitterの反応
・なにこれかわいい
・なんなの?流行ってんの?これww
・やだいとしい!あげるよ!
・これ、後ろの広告の関係者だったりして
・まさにギブチョコ
・何気ちょっと貰えてるし
・恥ずかしいからそれやめろw
・さいみーこんな人たちいるのー?
・かわいいwあげたくなるw
・あたしが行ったときはまだいなかったww
・町田wwwwww
・これ知ってる人っぽいぞ?
・今から駅行こーかしらwwwwww
・うん!!!この人たち見た
・でも溢れ出るリア充オーラ

来年は「カワイイからあげたくなる」作戦が流行り出しそうだ。

その奇妙な様子は元記事の写真を参照いただくべきでしょうが、来年流行するかどうかはともかくもある程度の現物の確保は出来ているらしいという点で作戦としてはそれなりに成功しているということでしょうか。
本日は身体を張ってチョコレートを得た人々に敬意を表して、いくらなんでもそこまでするか!というちょっとびっくりな行動に走った人々の話題を紹介してみましょう。

ダイナミック抜歯!自慢のアーチェリーで歯を引き抜く少女(2013年2月13日カラパイア)

 ユニークな抜歯映像が公開されている中、アーチェリーをたしなんでいる少女の場合には、その矢に糸をつけ、歯と結び付け、弓を射るという方法で歯を抜くことを試みた。っていうかなんというワイルド溢れる抜歯っぷり。

ferris shoot the tooth

何故そうまでして抜歯しなければならないのか今ひとつ釈然としませんが、とりあえずは下の歯らしいということでアーチェリーで打ち上げることはそれなりに理にはかなっているのでしょうか。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しと言うことなのでしょうが、こちらブリの御仁は何をどう思ったか甘いもの漬けの人生を送ることを旨としているようですね。

【海外:イギリス】恐怖の砂糖依存症!40人分のホールケーキを1年間毎日食べ続けた男(2013年1月23日日刊テラフォー)

イングランド中部コベントリーに暮らすアダム・ウィリアムスさん(29)は、見たところとても普通だが、実は現在、奇妙な食生活を改善する為に催眠療法の治療を受けている。
その奇妙な食生活とは、40人分の特大ホールケーキを毎日食べることだ。

スーパーマーケットに勤務するアダムさんは、閉店間際に、値下げされた店のホールケーキを買うのが日課だった。
「ケーキは、僕の日課でした。他の人が毎日朝ごはんを食べるのと同じように、僕は毎日ケーキを食べました。とにかくケーキが大好きだったんです。それに、従業員は本当に安く買えるから、毎日買い続けたんです。」
と、さらっと話すアダムさんだが、普通はいくら安くても、パーティでもないのにホールケーキを買ったりはしない。

そして購入したケーキは、当然食べる。食べるといっても、彼が毎日食べていたケーキは、誕生日パーティ用の、砂糖をたっぷり使った40人分の特大ホールケーキだ。それを1年以上に渡って、毎日一人で食べていたのだ。
ショートケーキ1個を毎日食べ続けるだけでも、体に良くない事は明らかだ。ホールケーキを毎日食べていたアダムさんの体が、異常をきたし始めたのは言うまでもない。

アダムさんの体重は、あっという間に95kgにまで達した。さらに、その頃には、ケーキを食べないと激しい偏頭痛がするようになり、ケーキ生活を止めようにも止められなくなっていた。
「偏頭痛は多分、ケーキにたくさん使われている砂糖のせいだと思うんです。体から糖分が抜けていくと、気分は最悪でした。
正直なところ、僕が止められなかったのはケーキではなく、砂糖の方で、ケーキの上にかかっているアイシングに目がなかったんです。ケーキのスポンジの方は、おまけみたいなものでした。」
それでも、おまけのスポンジ部分も全部平らげてしまうのだから、アダムさんの胃は尋常ではない。

だが現在は、催眠療法のおかげで、ケーキの変わりに水を飲む習慣が身に付き、体重も69kgまで落ちた。
「今までスリムだったことなんて一度もありませんでした。いつも太っていましたから。
でも、今は69kgまで痩せられて、とても調子がいいです。ケーキだけじゃなくて、あらゆるものに興味が持てるようにもなりました。」

ただの食べすぎで太っている人には、海外でよく行われる胃のバイパス手術が有効だが、アダムさんのように、俗に言う『砂糖依存症』のような場合は、バイパス手術で胃を小さくしたところで、あまり効果は期待できない。
アダムさんが、このまま順調に、砂糖依存症から脱出できるように、陰ながら応援したい。

毎日ホールケーキというのも味覚的にどうなのかとも思いますが、個々まで来ると明らかに中毒症状と言うべきでしょうねえ…
こちらも同じく甘いもの中毒と言えそうな症例ですが、あまりに行きすぎると後戻りが出来なくなってしまったという症例です。

【海外:オーストラリア】炭酸飲料の飲み過ぎで歯がヤバイことに!なんと25歳で総入れ歯・・・(2013年2月6日日刊テラフォー)

大人になってから「歯」の大切さを思い知る人は多い。
「歯痛で仕事に支障が出ている」「親不知の抜歯で泣いた」「歯科治療代がとんでもなく高くてびっくりした」等々、実はもっとも日常で大切にすべき身体のパーツであったことを大人になってから身に染みて実感するのだ。

そんな「歯」に関する恐ろしい話題がオーストラリアより到来だ。
ホテルに勤務するウィリアム・ケネウェルさん(25)。
彼は炭酸飲料大好き人間であった。特に好きなのがコーラである。もともと水をあまり飲めないタイプで、しかもホテルという職場柄、コーラに手を伸ばすことが多く、かなり日常的に飲んでいたようだ。
その量、1日6~8リットルである。
「ちょっといくらなんでも飲み過ぎでは・・・」という感がしないでもないが、飲もうと思えば結構簡単に飲めてしまうのかもしれない。

そんな「コーラ漬け」の毎日を送っていたウィリアムさん、もともと歯が弱かったのに、更に悪化。どんどん虫歯になっていったのだった。
「なんだか最近具合も悪い」と心配になったウィリアムさんはここでようやく歯医者へ。
すると歯科医はウィリアムさんの口内を診て絶句。ふつう、大人では23本程度ある歯が13本しか残ってなかったのだ。
しかも残った13本は抜歯しなければいけないほどの傷み具合。
・・・ということはウィリアムさん、25歳の若さで「歯なし」ということになる。

そして最悪なことに、体の不調はこの虫歯のばい菌が体中に入っていったことによる敗血症が原因だったのだ。
敗血症は放っておけば重篤な症状を引き起こす。もう抜くしかないのだ。
その結果、ウィリアムさんは25歳で総入れ歯だ。

このウィリアムさんの症例はオーストラリアの歯科学会でも話題となり、ジェイソン・アームフィールド医師は「砂糖の大量に入った炭酸飲料はこういった重大な症状を引き起こす可能性がある。もっと警告を出すべきだ」とコメントし、注意を呼びかけている。
335mlの缶コーラに含まれている砂糖の量は39グラム。
これを何本もがぶ飲みしていれば、大量の糖分が歯・歯茎に行き渡る。冷静に考えてみれば結構怖いのだ。
(略)

元記事の写真を見る限りではなかなかに良い男と言うべきなのですが、残念ながら精神的には男前とは言えなかったようですかね。
こちらある意味ではたゆまぬ努力の成果という言い方も出来る話なのですが、一般的に考えると何がそこまで駆り立てたのか…と思うような話ですね。

「うちの妹がひまな時にやってること…」話題の写真(2013年2月12日らばQ)

人間、時間をもてあますと予想もつかない事をすることがあります。ひまだから手をつけたことなのに、気がつけばハマってしまうこともあります。
うちの妹がひまなときにやってること」と題された画像がすごいと、海外掲示板の話題をさらっていました。

真っ赤ないちご……ん?真っ赤すぎる?
あれっ、手前には種のつぶつぶが!
そうなんです、手作業で1個1個取り除いてしまったんです。ひまつぶしと言うには器用すぎますよね。感心するのはイチゴに傷が一切ついていないこと。
これに感心した海外掲示板のコメントをご紹介します。

●思ったより心をかき乱された。
●イチゴを育てることもするのかい?
●(本人)いや、しないよ。
●つぶつぶのアナアナ恐怖症な人に喜ばれそうだ。
●ちょっと妹さんをかばうと、私はオレンジをむくときは皮は1本になるようにしてる。
●↑自分もそれをしてる。母親側の家族はオレンジの皮が1本だけなら、幸せな長い結婚生活になると言い続けているので、そのようにむけたら幸せな気分になる。
●↑自分はオレンジをむくたびに、めちゃくちゃ細かくすれたごみのようになり、オレンジまで削られて指はねっとりするんだ。たぶん結婚するなってことだな。
●トリビア
(1)そのイチゴについている種の部分は、植物学上は果実である。
(2)イチゴそのもの(赤い部分)は植物学上は果実(Berry)ではない。
●イチゴは果実ではなく、バナナは……。
●トマトは野菜ではないそうだ。
●そんな暇ないだろ。
●いったい何を使って種をとるんだ?
●(本人)ピンセットらしい。
●種をとったあとのイチゴは同じ味?
●(本人)種を取ったあとは穴だらけで気持ち悪くて食べられなかったらしい。種のほうを食べたら苦かったそうだ。
●私は種があるからたべられないのに。種がなければきっと食べる。
●お金払ってでも、自分のいちごの種を取ってほしい。
●(本人)こんなところで仕事が生まれると誰が思っただろうか……。
●なんと実のならない努力なんだろうか。

かかる時間と忍耐力には脱帽ですが、実りのない努力とは言い得て妙ですよね。いちごのつぶつぶが苦手というひとも、意外と多いようでした。

綺麗に全部取れているのには感心しますが、あとに残ったイチゴの残骸も何ともしまりがない気がするのは惜しいですよね。
子供と言えば思わぬ行為に走ってしまうことがままありますが、こちらのように壮大な暴挙に走ってしまうとどう考えるべきでしょうか。

モスクワ郊外、百人の子どもが電車を襲来、スプレーで落書きアート(2013年1月31日VOR)

29日夜、百人の子どもたちがモスクワの郊外列車を強制的に停め、全車両の外側にくまなくスプレーで落書きする事件が起きた。

   事件が起きたのはキエフ駅を発車しノヴォペレデェルキノ方面に向かう列車。一団の一部は非常停止ボタンを押し続け、その間に他の子どもたちが列車にスプレーを吹き付けた。一団は「仕事」を終えると、どこかに姿を消した。インターネット・ポーターのм24.ruが伝えた。

   この時間、乗客は少なく、普段車両に随行する警察も乗車していなかった。子どもたちが運行を止めたため、列車はプラットフォームに20分も立ち往生した。

   この件は「破壊行為」として刑事事件としての捜査が開始されている。事件の関係者らには(もし捕まった場合)罰金が科され、車両を塗りなおすための費用が求められる。

Как разрисовали электричку на платформе Мичуринец

一体何がどうなったのかと乗客関係者ともに唖然としていたのではないかと思いますが、こうまで大規模な暴挙に走った理由は何だったのでしょうか。
最後に取り上げますのはこれまた子供の手になる唖然とするべきびっくりニュースですが、こちらは暴挙と言うより快挙と称するべきでしょうか。

キティちゃん、宇宙へ行く! アメリカの学生がキティちゃんのぬいぐるみをロケットに乗せて宇宙空間に飛ばした動画がスゴい!!(2013年2月12日Pouch)

いまや日本のみならず世界中で大人気のキャラクター、キティちゃん。海外ニュースサイト「TIME」によると、なんとキティちゃんが私たちよりも先に宇宙空間へ到達したという情報が! 何それ、どういうこと!?

この実験を行ったのは、カリフォルニア州に住む7年生(当時)のローレン・ロハスちゃんたち。学校の科学の課題で、気圧と温度が高度にどういう影響を及ぼすかという実験をすることに。お手製のロケットに小さなぬいぐるみのキティちゃんを乗せ、これを気象観測用の気球で空に飛ばしたのです。

さて、結果やいかに?

ロケットは強風にあおられながらも上昇し、最終的には高度2万8537メートルの地点へ! 気球は出発時より53倍もの大きさに拡大したところで爆発! ……あわやキティちゃん、墜落の危機!?

しかし、ロケット内の小型パラシュートのおかげで無事に落下。発射地点から47マイル(約69キロ)離れた場所で木の枝に引っかかっているのが見つかったそうです。

アメリカで7年生といえば、日本の中学1年生と同じ。そんな年のコたちがこんな実験を成し遂げちゃうなんてビックリ(先生の指導はあっただろうけれど)! ちなみに、なぜキティちゃんのぬいぐるみを使ったかについてローレンちゃんは「6歳のときからキティちゃんがずっと大好きだったから、ロケットの中に何かおもちゃを入れるならこれしかないって思ったの」と話しています。

参照先の動画では、Fun.の名曲「We are young」に乗せてローレンちゃんがロケットを作るところ、それをバルーンに乗せて飛ばすところ、キティちゃんがどんどんと上昇して宇宙に行き、再び地上に戻ってくるところまでが映されています。これがなんともロマンチック! 私たちもしばし、キティちゃんと一緒に宇宙空間を旅している気分に。ぜひ動画も併せてご覧あれ!

HELLO KITTY IN SPACE

何それちょっとすごい…と言うしかない話なのですが、しかし3万メートル上空から見ると地球はもうこれだけ丸く見えるものなんですね。
最近は各種デバイスも安価かつ簡単に手に入るようになってきたのはいいことですが、そこらの子供の思いつきがまさかこうまで大がかりになってしまうとは一昔前の人には想像も出来なかったでしょう。

今日のぐり:「沖縄創作料理 ちゅらSUN」

日本料理の店と言いますと普段どこの地方の料理かあまり意識して食べることも少ないかも知れませんが、同じ日本と言っても沖縄料理と言えば明らかに毛色が違ってきますよね。
それだけ地方料理の中でも特色は出しやすいということでしょう、わざわざ沖縄料理と名乗る店もそれなりに増えてきましたが、そこに創作と加わるとこれは何を以て沖縄料理と考えるべきか迷いますね。
それはともかくとして今回は初訪問と言うことで同行者とシェアしながら普段食べることのない珍しいものを色々とつまんでみましたが、基本的には居酒屋なのだそうでドリンク系のメニューもしっかり充実していることも併記しておきます。

まずはよくあるシークワーサージュースですが、こちらのそれはそこらによくある市販品と比べると何か独特の風味が感じられますね。
ひやひやゆし豆腐なるものはいわゆる冷奴に相当するもののようですが、充填系にしては味も食感もどっしりしているもののいわゆる沖縄の豆腐を予想していると裏切られます。
島らっきょう天ぷらは最初一口目でこれはさわやかだなと思っていると、一瞬遅れていきなり風味が来るというのは不意打ちですね。
沖縄料理屋ではよくあるメニューの一つである紅芋のコロッケはサクサクほっこりな食感もコロッケとしてよく出来ていますが、中身の紅芋は普通の芋とは味も食感も違うのがおもしろいです。
姿形はアジにも似ているぐるくんの唐揚げは三枚おろしにしたアラの部分も添えてあるのが特徴で、味のほうは酒のつまみとして考えるともう一塩あってもいいかなというあんばいです。
一方で豚足の煮込みはいかにもコラーゲンいっぱいですが、こちらは一転してしおから過ぎるかと思える味で、どうも意図して薄味に仕上げているわけでもないようですね。
沖縄料理屋でよく見かける海ぶどうのサラダはこのプチプチの食感が持ち味でしょうが、余計なドレッシング類の味がないことでこれ自体結構塩辛い味わいであることがよく判ります。
これも沖縄名物だというジーマミ豆腐は岡山県界隈ではごく当たり前に食べられているピーナッツ豆腐の味ですが、比べて見ますとこちらのほうがやや薄口でしょうか?
メジャーな沖縄料理であるタコライスと言えば挽肉ペーストが乗っているものと言うイメージでしたが、こちらの場合トッピングはほぼ野菜のみでご飯も少なめなせいかサラダっぽいのが特徴でしょうか。
これまた有名なゴーヤチャンプルーはちゃんとポーク入りですがまあ普通の味、ソーキそばは柔らかめだがしっかりした食感も残っている麺にさっぱりスープの組み合わせは麺料理としてなかなか楽しめますね。
アグー豚のギョウザは何か既製品っぽい味なのが今ひとつ気になるところで、珍しいパパイヤチャンプルーは味自体は野菜炒め風で普通にうまいんですが結局どれがパパイヤなのかわからなかったのが難点でしょうか。

全般的に見ますと普段食べられない料理が色々と取りそろえられていておもしろいなとは思うのですが、味は好みの問題としてもやはり居酒屋ということで食事目的にはやや物足りないメニューが多い気がします。
ただ食材としては豚肉など結構油っぽいものも多く使っているにも関わらず、後口は中華や洋食よりもさっぱりしているという辺りがやはり文化的なつながりを感じさせるところでしょうか。
接遇面ではスタッフも少なく基本的には放置状態なのが料理屋というより居酒屋だなと感じさせますが、距離が近いせいかレスポンスは悪くないのは追加オーダーの際にも助かりますし、よくあるそこらの居酒屋と比べると落ち着いた雰囲気なので沖縄云々を抜きにしても利用しやすいかも知れませんね。
ところで沖縄料理屋が出来たと言えば話のネタに一度は行ってみようという気になるのかも知れませんが、リピーター率はどの程度になるものなのなんでしょうね?

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2013年2月16日 (土)

またもクーポンでトラブル 今度は店側もなかなかに…

日本の顧客はサービスに対して世界一厳しい目線を持っているという人もいるようですが、別段厳しい目線を持たずともそれはちょっとどうなのよ?と言う驚くべき事件があったと報道されています。

クーポン共同購入サイトにてトラブル “キッチンとらじろう”がクーポン客に対してありえない接客(2013年2月13日ガジェット通信)

楽天が運営する共同購入サイト『Shareee(シェアリー)』はお得なクーポンをあり得ない値段で購入できるというサイト。似たようなサイトで『グルーポン』などあるが、この『Shareee』に掲載されていたハンバーグ店“キッチンとらじろう”にてあり得ない接客が行われたと客の証言から発覚。

クーポン内容は、「粗挽きハンバーグセット通常1850円」を半額以下の850円で購入できるというもの。そのクーポンが1008枚も売れ現在は販売終了となっている。しかしこのクーポンを実際に使った客からは次のようなクレームが寄せられている。

    すごい威圧感、クーポンでと言ったとたん
    態度急変、常連客には愛想良し
    何か場違いな雰囲気
    食べさせてやってるんだぞオーラ前回
    あまりにひどい接客だったので
    残りの未使用クーポンはクレームを
    クーポン会社にしてキャンセル扱いに
    してもらいました。
    すんなりキャンセルOKがでました
(原文ママ)

上記のクレームは『食べログ』の『キッチンとらじろう』ページの口コミに掲載されているものより引用(http://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140501/14042007/dtlrvwlst/)。

このようなクレームは削除が行われており、既に消されている口コミも存在する。それが次のクレームである。

    以下、実話です。初めに断わっておきます。クーポン利用で晩飯食いに行きました。とにかく接客がひどすぎ
    特に予約をせずに入店すると、「いらっしゃい」とか言わない。逆になんかこっち睨んでるんですけど。
    っで、とりあえす「クーポン使えますか?」って聞くと「どいつもこいつも、クーポン使えますかって聞いてきやがって
    使えないって答えらどうすんだよ! 帰るのかよ!!」って啖呵切られたんですけど?はぁ?この人なんかキレてんですけど?

どうやら一見さんやクーポン客に対して非常に厳しい店のようである。しかしクーポンをさばいていたのは“キッチンとらじろう”自身。『Twitter』で『Shareee』のクーポンページURLを貼り付けて宣伝しており、まるでクーポン客大歓迎ムードを作っていた。しかし実際クーポンを持参していくとこのような対応を取られたという。

実際にクーポン客が殺到すると“キッチンとらじろう”側はTwitterにて「心底、クーポンやって後悔してます。 逆に言うと来ないでいただきたいです。 ソレが解っただけクーポンやって良かったかもです」と発言。クーポン客といえどもお金を払っている客に違いはないはず。それに対して「来ないでいただきたい」は如何なものなのだろうか。
この“キッチンとらじろう”の口コミは『Yahoo!ロコ』にまで広がりを見せ利用者からの書き込みが相次いでいる(http://loco.yahoo.co.jp/place/cde5067774b0dcc116647a5ceedbb93649eab96c/review/)。

また通常1850円の粗挽きハンバーグセットは、過去に売った実績がないことから二重価格疑惑も挙がっている。こういった共同購入サイトは酷い仕打ちを受けたり、クーポン客だと適当な扱いをされると言った被害が何件も出ている。しかしクーポンを発行しているのは店側。通常客もクーポン客も同じに扱って欲しいものである。

二重価格疑惑と言いますか、元々同じハンバーグを850円で売っていたという情報もあって、付け合わせ部分の価格上乗せを考えてもそもそも値段相応の品だったのでは…とは言われているようですね。
ちなみに予想通りというべきでしょうか、ネット上の炎上騒ぎを受けて同店のつぶやきはすでに削除されているということなんですが一連の書き込みはコピーは残っていて、また今回の件に限らず保存されている過去の書き込みを見ましてもいずれ炎上しかねないような危うい発言がちらほらと散見されるように思えるのは自分だけでしょうか?
一応は店側にも理屈があったようで、わずか10席だけの小さな店でやっているものですから「ランチには予約が必要なのにクーポン使う客はそれをしやがらねえ」のだそうですが、クーポンサイトを見ましても大きく「予約不要」とタイトルに掲げているくらいですから毒づく前にランチは要予約です詳細はwebでと伝えていれば済んだ話に思えますし、ディナータイムでも同様の接客だったと疑わせることはこれでは説明出来ませんよね。
接客云々以前に店の回転を考えてもたった10席の店で1000枚もクーポンを売りさばいたとなればそれは破綻もするだろうと思うのですが、同店側としてはこうした不手際が発生した原因としてクーポン会社の売り込みがあったと言っているようですね。

ハンバーグ屋のクーポン騒動は共同購入サイトの営業に言いくるめられていた? 過去には経営難になったお店も(2013年2月14日ガジェット通信)

昨日ガジェット通信で報じた“キッチンとらじろう”のありえない接客についての記事。この件だが、“キッチンとらじろう”のマスター自身が書いているブログには、クーポンを発行することになった経緯が書かれており、それを読むとどうやら共同購入サイト『Shareee(シェアリー)』に言いくるめられたのではないのかと推測できる。

昨年8月23日のブログには次のように書かれている。

    今度、キッチンとらじろうでクーポンを出しました。
    今迄安売りのクーポンってのは、どうも関心しなくてやらなかったんやけど、今回初めて出しました。
    それもコレも、シェアリーの営業マン、スゲー熱い奴だったんです!!
    ハンバーグを食って、「コレ、いけますよ。是非やりましょう!」
    何だよ何だよ、若い世代の子達、結構熱い奴ら多いじゃんかぁ~!
    とらじろう、オリンピックで若い世代の子達に元気をもらったから、またしても、ジーンと来てしまった

どうやら直接店まで交渉に来た『Shareee』の営業に「行けますよ!」と言われてクーポンを開始したのがきっかけのようだ。この日を境に“キッチンとらじろう”はクーポンを発行し1000枚のクーポンは完売。追加で300枚のクーポンも発行したようだ。

しかしここからが落とし穴であった。クーポンの売り上げは『Shareee』に入るようで、“キッチンとらじろう”に入金されるのは数か月後、早くても1か月遅れとなる。もちろんクーポンは発行してしまったのでメニューは提供しなくてはいけないのだが、その客は“キッチンとらじろう”ではなく一時的に『Shareee』側にお金を支払っている客。要するに材料を買うことやお店を回していくことも難しくなったようである。

最初はクーポン客に対しても対応が良かったようだが、1000枚以上というキャパシティを越えた枚数に店側も悲鳴を上げているようだ。ちなみに“キッチンとらじろう”はカウンター席10席しかない個人経営のお店。そんなお店に毎日クーポン客が来たらどうなるか想像つくだろう。

『Shareee』の営業は枚数を売っただけ成績になるのか、さばききれない枚数やキャパシティオーバーであっても「大丈夫ですか?」と注意すらしなかったと考えられる。いわゆる契約を勝ち取ったもの勝ちなのだ。

過去に個人経営のたい焼き屋が似たような共同購入サイトにてクーポンを発行した際に「グルーポンを継続することは当店の宣伝、リピーターの獲得どころか、存続さえ危ぶまれる状態に陥ってしまう」と言う理由で発行したクーポンの利用を中止したことがあった。このたい焼き屋はこの後閉店している(因果関係は不明)。

このようにクーポンだけを先に発行しても入金されるのが遅い事からお店側も悩まされるケースがあるのだという。これが原因で“キッチンとらじろう”が客に対してありえない接客を行っているのかは不明だが、このクーポン商法は個人経営店に対してもう少しケアをすべきではないだろうか。

入金が数か月遅れるのは経理上仕方ないことではあるが、せめて契約前にどういう流れでどれくらいの客が来るかと事前によく話し合う必要がある。こんな結果になってしまい特をするのは共同購入サイトだけ。店や客が損をするというマーケティングにいつまでもユーザーは着いていくのか疑問だ。

しかしこういうのは「言いくるめられた」と言うのでしょうか、これを読んで店側にも同情すべき事情があったと考えるかどうかは個々の判断というものですが、正当な手段でクーポンを購入して楽しみに来店した顧客がそのツケを支払わされることに納得が出来るかどうかはまた別問題でしょうね。
今回の騒動は楽天系列の会社「Shareee」が関与していたと言うことなんですが、クーポンを巡るトラブルの本家本元とも言うべきグルーポン以外にも同様の問題は各社まんべんなく起こしている感があって、すでにこのクーポン問題を知らずに引っかかる方が情弱と非難されかねない状況になっています。
ただし無知であることの責任を多忙な日常業務の中で強烈な売り込みに押し切られた店側にのみ負わせることが必ずしも正しいのかどうか、むしろクーポン利用者はリピーターも多いはずですからこうしたリスクがあることは当然承知の上で利用するべきでしょうし、ましてや一部にその気配が見られるようにあらかじめ炎上することを予期して敢えて煽りに行くかのような行動は顧客モラルにも反していると見るべきではないでしょうか。
ともかく今回は店側にしてもこれだけぶっちゃけ話を呟くくらいならクーポン会社の問題点を追求して顧客と共闘するくらいの態度で言えばまだしも共感されたかも知れませんが、こうまで喧嘩を売る態度で来られたのでは真っ当なお客さんから見てもフォローのしようがないというもので、結局世間からは店にふさわしい顧客層が居着いただけじゃないかと見なされていそうなのは後々まで尾を引きかねない痛すぎる教訓というものでしたね。

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2013年2月15日 (金)

奈良県産科医時間外労働訴訟 最高裁で原告勝訴が確定

以前から奈良地裁での一審、そして大阪高裁での二審とお伝えしてきました奈良県の元県立病院産婦人科医による当直割増賃金請求の訴訟ですが、このたび最高裁判決が下り奈良県側の訴えが退けられた形で確定したとのことです。
その性質上ひとり奈良県のみならず全国的にも多大な影響が予想される判決ですが、まずは報道から紹介してみましょう。

医師当直は時間外労働…割増賃金命じた判決確定(2013年2月13日読売新聞)

 奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が県を相手取り、夜間・休日の当直勤務に対して割増賃金を支払うよう求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日の決定で県側の上告を退けた

 当直は労働基準法上の時間外労働に当たるとして、県に計約1540万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。

 同法は、時間外や休日に労働させた場合、通常より割り増しした賃金を支払うと規定。2人は2004~05年、各年100回以上の当直をこなしたが、県は「医師の当直は待機時間が多く、時間外勤務に当たらない」として、1回2万円の手当だけ支給していた。

 1審・奈良地裁判決は、原告らが当直中に分娩(ぶんべん)の取り扱いや救急医療を行うなど、勤務時間の4分の1は通常業務に従事し、待機時間も呼び出しに応じられるよう準備していたなどとして、県には割増賃金を支払う義務があると指摘。2審・大阪高裁も支持していた。

医師当直「時間外労働」、奈良県の敗訴確定 最高裁が上告棄却(2013年2月13日日本経済新聞)

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産科医2人が当直勤務の時間外割増賃金などの支払いを県に求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は13日までに、県の上告を退ける決定をした。当直を時間外労働と認め、県に計約1500万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。決定は12日付。

 訴訟では、夜間や休日の当直業務が、労働基準法で規定された時間外手当の支給対象となるかが争点だった。

 一審・奈良地裁は「産科医は待機時間も労働から離れていたとはいえず、当直開始から終了まで病院の指揮下にあった」とし、当直は労働基準法の時間外労働に当たり、割増賃金の対象になると判断。一方、休日も呼び出しに備え自宅で待機する「宅直勤務」については、「病院の指示ではなく、労働時間には当たらない」として原告の請求を退けた。

 二審・大阪高裁も一審判決を支持したうえで「県は、複数の当直担当医を置くか、自宅待機を業務と認め適正な手当を支払うことを考慮すべきだ」と言及した。

民事訴訟ですから裁判上の争点はお金の問題となっていますけれども、当然ながらその背景として「当直業務は時間外手当支給の対象となるような労働かどうか」という問題が存在していることに留意ください。
ちなみに世間一般に通用している労基法上の定義においてはこういうことになっているようですが、要するに「常態としてほとんど労働をする必要が」ない程度のものでなければ本来の意味での当直業務とは言えず、きっちり割増賃金を支払わなければならないということです。

●宿直・日直の意義
 宿直・日直の業務とは、一般的に夜間および休日などにおいて事業施設内の防災等のための巡視や緊急時の対応窓口等の業務として行われるものです。
そのような日直・宿直の業務の中でも、断続的な業務であると認められるものについては、労働基準法41条に規定される「断続的労働」の一つとされ労働基準法上の労働時間、休憩及び休日の適用を受けません(労基41三、労基則23、昭34・3・9 33基収6763)。
 断続的な業務とは、通常の労働と比べて業務の継続性がないため労働密度が薄く、常態としてほとんど労働する必要のない業務をいいます (昭22・9・13発基17)。
(略)

   項目        許可基準

勤務の態様     常態としてほとんど労働をする必要がなく、定時的巡視、緊急の
             文書または電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とする
             もので、原則として通常の労働の継続でないもの。

手当等の支給    宿直・日直の勤務1回に対して、宿直・日直の勤務につく事が予
             定されている同種の労働者における1人1日当たりの賃金平均額
                     (割増賃金の基礎となる賃金)の3分の1以上の手当(深夜割増賃金
                     を含みます)が支給されていること。

対象回数           原則として宿直・日直勤務の回数が、宿直勤務については週1回、
                      日直勤務については月1回以内であること。

施設の整備        宿直勤務を行うに当たり相当の睡眠設備が設置されていること。

(略)
●宿直・日直業務の賃金
 労働基準監督署長の許可を受け、本来の業務以外として断続的な宿直・日直の業務を行わせる場合、その業務は本来の業務とは別の労働とみなされますので、労働時間が法定の定めを超えたとしても、通常の超過勤務と同じ時間外割増賃金を支払う必要はありません。その場合は前述の許可基準の「手当等の支給」に沿って定めた賃金を支払えばよいとされています。
 ただし、本来の業務以外として宿直・日直の業務を行っていたところ、宿直・日直中に突発的に本来の業務が発生した場合にはその本来の業務を行っている時間は時間外労働または休日労働として処理しなければなりません (昭27・1・31基収380、昭63・3・14・基発150)。
(略)

今回の主要な争点となった時間外手当支給については本来の当直=労働にほとんど従事していない場合は支払わなくても良いということですが、一審判決においても「当直時間に 分娩 ( ぶんべん ) や新生児の治療など通常業務を行っており、割増賃金が不要な勤務とは到底いえない」と明確に断じた通り、およそ寝当直と言われるものを除いて労働に従事していない当直医というものはこの国にはいないはずです。
年100回以上の当直をこなしていたと言えば単純に考えても全時間の3割は病院で過ごしていたことになり、労働時間としても大変なことになってしまいますが、今回当直が時間外労働として認定されたということで副次的に労基法的な観点からも当直業務が見直されることになれば「宿直勤務については週1回、日直勤務については月1回以内」といった頻度が守られていない施設も相当な数に上るでしょうね。
すなわち全国各地で大多数の病院が常態的に違法な労働をさせている可能性があるということですが、同じ職場で同様に昼夜を問わず労働に従事することが求められる看護師が昔から交替勤務制できっちりと日勤、夜勤を区別していることに対して、当直と称する夜勤を当たり前のものとしてきた医師自身の労働環境意識も問われそうですね。

事実日常的に「日勤-当直-日勤」という非常識な勤務体系が常態化している医師の世界ではこの辺りが非常に曖昧にされたままで放置されていて、すでに2010年には厚労省から「当直翌日の勤務については、医療安全上の観点から、休日とする、業務内容の調整を行う等の配慮を行うこと」との通知が出ている背景には、実際には実に9割以上の医師が当直翌日も勤務を続けているという現実があったわけですね。
無自覚に違法労働に従事してきた多くの医師達にとってこの訴訟は「え?これって違法なの?」とびっくりするようなものであったかも知れませんが、だからこそ原告側としても「こんな多額な割増賃金が発生する医療現場の労働環境を変えたい」という強い思いがあり、「医師は聖職」などという美辞麗句に隠れて放置されてきた過重な負担が現場にしわ寄せされている現状を何とかしたいという気持ちからの訴訟であったということです。
昨今医療崩壊だ、立ち去り型サポタージュだと言う言葉が世に出てくる時代になりようやく医師の労働環境改善を図らなければ患者にとっても良いことはないのだという機運が出てきていますが、それでも「近頃の若いものは当直開けは手術から外せなんて言うんだぞ」などと否定的に言われてしまう風潮が残っているあたり、実は当事者である医師の意識こそが医師労働環境改善における最大の阻害要因になっているのかも知れませんね。

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2013年2月14日 (木)

医師と製薬業界の癒着、ついに立証される?!

国が先頭に立って「同じ成分同じ薬」として普及促進を図っている後発医薬品(ジェネリック)ですが、未だにその利用率は3割程度と劇的な伸びを示しているとは言えない状況ですよね。
そもそも存在を知らない、医師らが積極的に薦めないなど様々な理由があるのでしょうが、患者側にとっても意外に「敢えて使いたくない」という声があるという記事が出ていました。

ケチと思われたくないのかジェネリック使う患者3割もいない(2013年2月11日NEWSポストセブン)

 医療費をいかに節約するかは誰にとっても大きな問題だ。

 入院や通院のほかに、医療費で大きな割合を占めるのは薬代である。特に、糖尿病や高血圧症、胃腸病などの慢性疾患の場合、長期的に薬代がかかり続けるので、負担はかなり大きい。これを安く抑える方法が、CMなどでよく耳にするジェネリック(後発医薬品、*注)である。

「薬代を安く抑えるコツは、ジェネリックを利用することでしょう。ジェネリックと聞くと嫌がる患者もいるため、薬局側は奨めるのを躊躇している状況で、患者側からいわないと、薬剤師が先発品を調剤してしまい高くつくケースがあります」(医薬ジャーナリスト・藤田道男氏)

 すべての薬にジェネリックがあるわけではなく、先発品との価格差もまちまちだが、一般的には先発品の2~8割程度の価格になる。

「たとえば、病院処方の胃腸薬の場合、先発品を1か月分調剤してもらうと、薬剤料と調剤技術料、薬学管理料の合計で約7000円かかり、1年間で約8万4000円になります。これをジェネリックに替えると、薬剤料が半額になって1か月約4500円、1年では約5万4000円になり、年間約3万円浮く。健康保険を使って3割負担とすると、自己負担額は1年間で約1万円安くなります」(大病院の医療事務関係者)

 これほどの負担軽減効果があるのに、意外にもジェネリックを利用する人は少ない。前出・医療事務関係者は「先生に遠慮しているのか、ケチだと思われたくないのか、効き目が悪いと思い込んでいるのか、“ジェネリックを使いたい”と申し出る患者さんは3割もいない」という。

 ジェネリックの効き目については、厚労省が「先発品と同じ」とお墨付きを与えている。医療費削減のため、ジェネリックを多く処方している薬局には保険点数の加算があるので、薬局側が嫌がることもない。病状や体質によって医師が先発品を指定する場合もあるが、処方箋の「後発医薬品への変更不可」の欄に医師のサインがなければ、薬局で「ジェネリックをお願いします」と申し出ればいい。

【*注】特許が切れた医薬品を、他の製薬会社が製造・供給する医薬品のこと。日本では近年、医療費抑制のために厚労省が普及を進めている

素朴な疑問として同じ成分同じ薬なるうたい文句が本当に正しいと国も確信しているのであれば、先発品後発品を含め保険診療上は同じ薬として薬価なども全て同じにしない理由はないと思うのですが、逆にジェネリック加算などと余計に支出が増えるようなことばかりやっているのですからどこまで本気で言っているのか疑問の余地無しとしません。
いずれにしてもジェネリックに関して言えば同じように小麦粉と塩と水で作っているからといって、出来上がったうどんが同じものになるわけではないという当たり前の常識をわきまえていればそれなりに有用なものであって、例えばこれから何らかの治療を始めると言う時にジェネリックで始める、あるいは風邪など一時的に飲むだけの処方にジェネリックを使うといった場合にはさしたる問題はないように思います。
一方で今現在Aという薬を長年飲んで安定した状態であるのに、これを同じ成分だからとBというジェネリックに変更すると問題が発生するということはしばしばあることで、もちろん薬効に多少の差があるといった程度であれば用量調節などで対応可能とは言え、医師の判断を誤らせる場合もありますから自己判断でジェネリックに変えているということは医師にもきちんと伝えておくべきでしょうね。
もちろん毎回薬局で前回はあれを飲んだ、今回はこっちにしてみようなどとコロコロ薬を変更することは良いことではないでしょうし、後発品メーカーにしてもひとたび市場に製品を出した以上は後々まで安定供給していく責任があるということを承知しておいてもらわなければならないはずです。

さて、その製薬メーカーと言えば先日もMRの問題を取り上げたところですが、業界自主規制として医師への接待禁止になり学会でのドリンク提供なども一切まかりならんといった状況にある中で、以前ほど医師とMRとの物理的な接触は多くないだろうなとは誰しも想像できるところですよね。
研修医と言わず下手をすると学生実習の頃からMRによってちょっとした便覧やハンドブックの類などを手渡されてきた先生方も多いと思いますが、彼らも商売でやっていることですから当然そうした行為によって最終的に自社製品の売り上げが伸びていって欲しいという願望はあるはずですし、さすがに昨今減ってきたとは言え講演会・勉強会と称する露骨な製品説明会なども顎足付きで開催されているのは周知の事実です。
こうした医師への物理的な便宜供与がどの程度の影響を与えているのだろうか?という素朴な疑問に関する答えが、先日出されたこちらの調査結果によって明らかになってきたということを紹介してみましょう。

医学部の贈り物規制が卒業後の医師の処方に影響(2013年2月12日日経メディカル)

 医学部が製薬企業などからの贈り物を規制すると、卒業後の医師が既存の同系統薬よりも新薬を処方する頻度が下がる可能性が示された。データベースを利用した分析結果で、米Yale大学経営学部のMarissa King氏らがBMJ誌電子版に2013年1月31日に報告した。

 米国医学生協会(AMSA)は02年、マーケティングに乗せられるのではなく、エビデンスに基づく処方が行われるべきとの考えから、医学部の独立性を高めるために「PharmFreeキャンペーン」を開始した。その一環として、米国の大学医学部や医科大学の学生および教員と、製薬企業や医療機器メーカーの販売員との関係に規制を設けているかどうかを調べてまとめた「PharmFree scorecard」を07年に初めて公表した。それ以降、利益相反規制を設ける医学部が急増し、12年には医学部の98%が製薬企業や医療機器メーカーからの贈り物を制限していたという。
 米国医師会や米国医科大学協会なども、医師と業界の癒着を制限する基準を作成しているが、いずれも既に臨床に携わっている医師や学究機関の研究者と業界の関係に照準を合わせたものになっている。
 PharmFreeキャンペーンが始まる前に行われた調査では、医学生の多くが在学中に製薬企業などのマーケティングの対象になっており、贈り物をもらったり、イベントに招待されていた。こうした経験が業界に対する好意的な態度に結びつき、医師になってから新薬を採用する可能性を高めることが示されていた。

 著者らは、医学部が製薬企業や医療機器メーカーからの贈り物を制限することにより、卒業後の医師の処方内容に及ぼす影響を調べようと考えた。分析対象には、米国市場で売上高が大きく、プロモーションも盛んな中枢神経系刺激薬、抗精神病薬、抗うつ薬の3種類を選んだ。
 調査ではまず、マーケットリサーチ・コンサルティングサービス会社であるIMS Health社のLifelink LRX処方薬データベースで08年と09年の中枢神経系刺激薬、抗精神病薬、抗うつ薬の処方記録を抽出。次に、それらの処方箋を書いた医師を米国医師会の名簿で同定し、出身大学と卒業年度、専門などに関する情報を得た。米国医師会の名簿には医学生や医師会の会員ではない医師の情報も登録されている。
 各大学医学部や医科大学が贈り物を規制する方針を採用した時期は、米医学研究所(IOM)の利益相反データベースやAMSAのPharmFree scorecardなどにより特定した。04年の時点で製薬企業などからの贈り物を制限していたか、明瞭に禁止する方針のあった14の医学部や医科大学を選び、これらの大学を贈り物規制方針が採用される2年前に卒業したグループ(「方針あり/早く卒業」群)と、在学中に方針が採用されたグループ(「方針あり/遅く卒業」群)の2群に分けた。さらに、これらの2群とそれぞれ同年代で、卒業年や専門がマッチするコントロール群として、04年には贈り物規制方針が採用されていなかった医学部の卒業生で、卒業年度が「方針あり/早く卒業」群とマッチするグループ(「方針なし/早く卒業」群)と、卒業年度が「方針あり/遅く卒業」群とマッチするグループ(「方針なし/遅く卒業」群)を同定した。
 主要転帰評価指標は、医師が新薬を既存の同系統薬に比べて多く処方する可能性とした。新薬は、中枢神経刺激薬のlisdexamfetamine(米国で07年3月発売、日本では13年2月時点で未承認)、抗精神病薬のパリペリドン(米国で06年12月発売、日本では11年1月発売)、抗うつ薬のdesvenlafaxine(米国で08年2月発売、日本では13年2月時点で未承認)とした。
 分析には差分の差分法(difference-in-difference法)を用いた。これは、「方針あり/早く卒業」群の処方率と、「方針あり/遅く卒業」群の処方率の差を求め、そこから、「方針なし/早く卒業」群の処方率と、「方針なし/遅く卒業」群の処方率の差を引いた結果が、規制方針の効果であるとする方法だ。

 差分の差分法を用いた分析では、lisdexamfetamineとパリペリドンがそれぞれの薬剤の処方に占める割合と、贈り物規制方針を採用する医学部に在学していたこととの間に、有意な関係が見られた。
 lisdexamfetamineの処方が中枢神経刺激薬の処方全体に占める割合は、「方針あり/早く卒業」群では7.4%(95%信頼区間7.1-7.6)だったのに対し、「方針あり/遅く卒業」群は5.9%(5.6-6.3)だった。「方針なし/早く卒業」群では8.3%(8.1-8.6)、「方針なし/遅く卒業」群は9.1%(8.7-9.4)だった。
 多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、贈り物規制方針への曝露がなかったグループに対する曝露があったグループのlisdexamfetamine処方の調整オッズ比を求めたところ、0.44(95%信頼区間 0.22-0.88、P=0.02)になった。同様の分析で、贈り物規制方針への曝露があったグループでは、他の抗精神病薬よりパリペリドンを処方する可能性が有意に低いことが示された(調整オッズ比 0.25、0.07-0.85、P=0.003)。
 これら2剤については、贈り物制限方針を02年以前に採用していた大学を卒業したグループ(曝露期間がより長かったと考えられる)や、より厳格な方針を採用する医学部に在学していた医師では、新薬を処方する傾向はさらに低かった
 desvenlafaxineの処方については、贈り物規制方針への曝露との間に有意な影響は見られなかった(1.54、0.79-3.03、P=0.20)。 

 今回得られた結果は、医学部での利益相反規制の実施が卒業後の医師たちの診療行為に有意な影響を及ぼすことを示唆した。
 原題は「Medical school gift restriction policies and physician prescribing of newly marketed psychotropic medications: difference-in-differences analysis」、全文はBMJ誌のウェブサイトで閲覧できる。

新薬と既存薬との処方率の比較ですから必ずしも業者との癒着ではない、独自に知識を得て新薬が優れていると判断しているだけじゃないかと考える人もあるかも知れませんが、そもそも画期的な新薬などというものは滅多にない以上新旧薬剤間でそうそう劇的に差はない、そして新薬とは一般に既存薬よりも高価であることを考えれば費用対効果が劇的に向上するというケースはまずほとんどないはずです。
日本でもやたらと新しいもの好きな先生がいて「なぜこの程度の患者にこんな高い薬ばかり?」と驚くような処方がなされているケースがありますが、アメリカの医療は非常にコストエフェクティブネスの評価が厳しいことでも知られていて、例えば高血圧の第一選択薬に高価なARBを出すのは日本でこそ珍しくありませんがアメリカではあまりなく、昔ながらの安価な利尿剤が第一選択とされていますよね(無論ARBに数々の利点があるのも事実ですが)。
新薬を積極的に使っていくことがいいのか、それとも昔ながらの安い薬主体でいくべきなのかは患者の状態や医師の判断などもあって一概に言えることではありませんが、いずれにしてもこうしたデータが出てきたということは逆に言えばMRによる接待攻勢の有効性を示している?と言う受け取り方も可能であるはずで、ならば製薬会社との癒着をますます厳しく規制しなければ!という考え方も一理あるということになりますよね。
ただ多くの現場の医師にとっては別に処方箋の内容を変えたからと言って自分自身に特別のメリットがあるわけでもなく、製薬会社のプレゼントと言っても街角で手渡されるティッシュと同様、普通は一読して(あるいは一顧だにすらせずに)ゴミ箱に直行するようなどうでもいいものばかりであるという現実を思えば、モノをもらったからお返しに処方箋を書いているという単純な図式でもないように思います。

例えば同系列の薬剤が数多ある中で医師がどのような薬を使用するかは、最初の赴任先である病院がどの薬剤を採用しているか、あるいは研修医時代の直属の上司がどんな薬を好んでいるかといった事情も大いに関係していると思いますが、それ以外にも各大学医局の系列病院ではその医局独自の「この症状/疾患にはこの薬」という処方の仕方というものが脈々と受け継がれている場合がありますよね。
以前であればこうした処方の癖を見ることでこの先生は○○大学系列だなと判断出来たり、あるいはそうした治療法の食い違いによって異なる大学出身の先生は一緒に仕事をしにくいといったケースもままあったわけですが、ご存知のように近年では例の臨床研修制度改革によって大学医局と無関係な就職先探しが一般化し、こうした系列に基づいた習慣的処方はずいぶんと減ってきているのも確かでしょう。
こうした環境の変化によって口伝を失った研修医にとっては書物の情報が頼りということになりますが、当直の真っ最中に分厚いハードカバーの書籍を紐解くよりはやはりポケットに忍ばせたアンチョコ本に頼る機会も多くなるだろうと言うもので、そんな時に製薬会社にもらったそれに処方例として同社の製品名が書かれていたりすれば当然それに従った処方も多くなろうと言うものですよね。
もちろんそれこそ癒着だ、ケシカランという考え方もあるでしょうが、現実問題として一般名記載よりも商品名で具体的に何を幾らと書いてもらった方が初学者にはより判りやすく時間も取らないという現実を考えると、新米当直医が分厚い本をめくりながらああでもない、こうでもないと頭を悩ませるのを待たされることになるよりは患者にとってもメリットがある話だと言えなくもなさそうです。

いずれにしても外部の方々にとっては意外かも知れませんが多くの医師達はMRのプレゼントなり接待なりといったものは別にどうでもいい、無くなるなら無くなるでいいじゃないかと考えているフシがあって、製薬業界の方でも自主規制を進めているとなればいずれ医局の外にMRが立ち並ぶ光景も過去のものになっていくのかも知れませんね。
その結果各メーカーの売り上げがどうなっていくのか、仮に幾らかは減るにしろMRを多数抱えるコストの削減と比較してどちらが得になるのかということですが、例えば宣伝はせずとも口コミでしっかり売り上げを伸ばしていく薬やメーカーがあるということになれば医師にとっても患者にとっても有益な情報となるかも知れず、業界としても前向きに公開を検討していただきたいと要望しておきます。

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2013年2月13日 (水)

医療スタッフの労働環境改善 患者側にとっても重要な問題ですが

寒い日が続きますけれども、先日はこんな我慢大会めいた記事が出ていましたのをご覧になりましたでしょうか。

看護師ら雪の中で座り込み 佐賀、長時間夜勤中止求めて/佐賀(2013年2月9日朝日新聞)

 みやき町の国立病院機構東佐賀病院の看護師ら延べ200人が8日、長時間夜勤の中止などを求めて病院正門前で座り込んだ。雪が時々降る中、約8時間半にわたって「医療、看護体制の充実を」と訴えた。

 東佐賀病院の2交代制の夜勤は午後5時45分から翌日午前9時まで。15時間以上の長時間で「健康を損ねたり退職を余儀なくされたりしている」と中止を求めている。全医労東佐賀支部の大橋典子支部長は「病院が民営化されると合理化圧力が強まる。その前に2交代制夜勤を中止させたい」と話した。

佐賀と言えば比較的温暖な地域という認識がありますけれども、さすがに雪が降るような状況では思わず中止なり延期なりしたいと思ってしまった人も多かったのではないでしょうか。
看護師と言えば医師と比べてずいぶんと組織化が進んでいる様子があって、選挙などでもすっかり影響力を失って久しい医師会などに比べるとしっかり自前の候補を当選させていたりするようですが、それはともかく記事にある通り昨今では二交代制を導入する病院が増えてきているようですね。
世間の評判を聞くと二交代制になってから日勤-深夜といった無理な勤務が減り休みも増えた、十分休養が取れるので楽になったという声がおおむね多いようですし、各種調査によっても二交代勤務の方が疲労度が低く一度導入してしまうと三交代制に戻りたいという人間はいなかったという話もありますが、元々反対論に与していた方々にすれば好評だからとなし崩しに認めるのも受け入れ難いところはあるのでしょう。
このあたりは本来スタッフの労働環境改善という課題が先にあって、その実現の手段として行われるべきものであるはずですが、例えば特殊な院内環境などが理由でどうしても二交代制では負担が大きいというのであれば世間の病院と自院とで何が違うのかと改めて見つめ直し、何でも元に戻せではなく職場環境全体を見直す好機にしていくことも必要ではないかと思いますね。

世間の標準に比べて労働環境が悪く、かつそのことによって社会にも悪影響を及ぼしている業界の一つとしてトラック業界があって、近頃では長時間労働の原因ともなっている荷待ち時間に他業界同様料金を課してはどうかとか、以前にも取り上げましたように過労運転を強いた場合には雇い主に罰則が与えられるようになったりと、地味ながら少しずつ勤務環境の改善が図られているようです。
医療の場合もスタッフの過労が医療の質低下を招き患者の不利益につながることが明示されている以上は国民側も医師らの疲弊に危機感を持つべきであるし、また日医ら業界団体も余計なことに政治力を発揮(苦笑)するくらいならひたすら労基法を遵守した労働環境実現でも主張していれば多くの支持も得られていたかも知れないのに、どうも未だに苦労は買ってでもせよ的価値観が残っている方々がいるようですよね。
そんな中でさすがに昨今では当たり前の価値観が広がってきたということでしょうか、長年医師の労働環境問題を放置してきた一部病院では近年相次ぐ逃散や医局派遣打ち切りによる医師不足に頭を悩ませている施設も多いと聞くのは良い傾向ですが、さすがに行政の側でも現場の自浄作用欠如にしびれを切らしでもしたのでしょうか、ようやくこうした話が出てきたようです。

勤務医などの「雇用の質」でガイドライン-厚労省、来年度中の策定目指す(2013年2月8日CBニュース)

 厚生労働省は、勤務医などの「雇用の質」に重点を置いた勤務環境の改善に向けたガイドラインを策定する。厚労科学特別研究事業の研究班(座長=酒井一博・労働科学研究所長)が、全国の医療機関の好事例を調査・研究し、医療従事者が健康で安心して働けるためのノウハウなどを集め、医療機関に提示する方針だ。同省は2013年度中のガイドラインの取りまとめを目指す。

 厚労省は昨年10月に医政局、労働基準局など省内横断的な「医療分野の『雇用の質』向上プロジェクトチーム(PT)」を立ち上げた。同PTは、医療従事者の勤務環境を改善するための施策を検討し、8日にその成果として、「雇用の質」向上マネジメントシステム(仮称)の概要を明らかにした。ガイドラインを策定するための厚労科学特別研究事業の「院内マネジメントシステム確立に関する研究」は1月に動き出している。

 医療機関は、医療従事者が健康で安心して働ける勤務環境にするために、「雇用の質」向上マネジメントシステムの構築を目指すことになる。そのシステムの下で、▽現状の評価▽課題の抽出▽改善方針の決定―などのプロセスを経た上で、ガイドラインを参考にして改善計画を策定。改善計画を円滑に推進するためにPDCAサイクルの手法を導入する。

 このPTは、「雇用の質」向上マネジメントシステムのガイドラインを策定するほか、医療機関の先進的な取り組みや、ワークライフバランスなどの事例を幅広く収集・整理したデ―タベースを構築することも決めた。データベースを閲覧できるサイトの開設は14年度を目標にしている。【君塚靖】

一般論としてこうしたガイドラインの策定も勤務環境改善に向けた一つの契機になり得るということで賛同するものですが果たしてどの程度実効性あるものに仕上がるかと考えた場合に、実際の医療現場を見て見ますとスタッフが多忙すぎることも問題なのはもちろんながら、それに加えて職種間、あるいは同職種でも個人間で業務量に差がありすぎるということもまた一つの問題ですよね。
とりわけ前者に関しては人員を増やすということが根本的解決策ですが、どうしてもそれが不可能であるということであれば結局は需要の方を制限するしかないのは当然ですし、そもそも常に満床近くを維持していなければ経営上不利になってしまう現在の診療報酬システムにも根本原因があると言えるでしょう。
ただ確かに専門職スタッフはおいそれと数を増やすことは難しいとは言え、どこの施設でも専門職が専門職にしか出来ないことにだけ専念しているということはまずあり得ませんから、可能なことであれば安価な非専門職スタッフに仕事を任せていくことでさしたるコストをかけずに状況を改善することが可能であるはずなのですね。

ところが往々にして地雷病院などと言われる施設ではこうした業務分担がうまくいっていない、それどころか田舎公立病院では役所辺りから飛ばされてきた事務員がのんびり新聞を読みながら今日も一日どうやって時間を潰そうかと思案している一方で医師ら専門職が必死で働いているという状況があるわけで、それならば暇な方々にもう少しお仕事をしていただけばよいんじゃないかと考えるのは当然のことでしょう。
何しろどんな暇な人間であっても書類の上では週40時間法律通りきっちり仕事をしていることになっている訳ですから、民営化などを契機に職種間分業を見直すなどと言い出せば「不当な合理化圧力だ!」などと言われる、それどころか電子カルテ導入などを契機に会計・保険請求業務などもどんどん医師の仕事になっていくということがままあったわけですね。
結局のところ業務分担と言えば誰かの仕事を他の誰かに回すという作業に他なりませんから、特に既得権益で雁字搦めになっている公立病院などではあれはダメ、これは反対で何一つ改革も改善も進まないということがままありますが、そうであるならまず職場の現状を客観的に評価し環境改善のための元データを抽出する方法論を確立することが最優先の課題となりそうです。
ともかくも医師が毎朝点滴と採血に病棟で時間を取られたり、看護師が車いすを押し伝票を運ぶために院内を駆け回ったりと言った明らかに無駄な労働慣習を未だに改善することも出来なかった以上、業界内部の自浄作用に任せていたのでは何も話が進まないという前提に立ってのガイドラインが必要になるという気がします。

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2013年2月12日 (火)

新専門医制度 素案煮詰まる

断続的に報じられている専門医制度改革の問題は、先日も取り上げましたように大枠のスケジュールが決まったところですが、それに合わせて厚労省の最終案がほぼまとまってきたということです。

専門医:第三者機関が認定…厚労省最終案(2013年02月06日毎日新聞)

 学会ごとの認定で質のばらつきがあった「専門医」について、厚生労働省の有識者検討会は6日、20年度から第三者機関が統一して認定することを柱とした最終報告書の素案をまとめた。在宅医療と高度な診療の橋渡しをする「総合診療医」も専門医に位置づけ、患者の高齢化に対応。専門医の養成施設を地域ごとに指定し、診療科の偏在解消も目指す。【井崎憲】

 従来は各学会が研修や試験をクリアした医師を専門医と認定してきた。素案では、来年度に新たな第三者機関を設立し、認定や養成プログラムの基準を学会の協力を得ながら作り、診療領域ごとに定員も設定する。
 さらに外科や小児科など18の専門医と総合診療医を「基本領域専門医」とし、臓器や疾患別に細分化された高度な領域の専門医とは別に分類した。医師は基本領域の一分野で専門医になったうえで、高度な領域の専門医へ進む2段階方式となる。
 総合診療医は、高齢化でニーズの増える在宅医療や頻度の高い症状に対応し、従来の診療所等の「かかりつけ医」より、他の専門医と柔軟に連携する。

 欧米で専門医の適正配置の仕組みがあるのに、日本は診療科と勤務地は自由に選べ、地域によって救急や産科医師が足りない。第三者機関は専門医が不足している地域の医療機関を養成施設に指定し、偏在解消を図る
 新制度の研修は17年度から始め、既存資格の扱いは、第三者機関で移行基準を決める

 学会ごとの専門医認定制度は1950〜60年代に始まった。厚労省が広告を許可する専門医だけで55種類で「患者に分かりづらい」との指摘があり、日本学術会議が08年、根本的に見直した制度を10年以内に確立するよう求めていた。
 医療・介護の問題に詳しい東京財団の三原岳(たかし)研究員は「患者目線で前さばきする総合診療医は多くの病気に対処できるし、必要な時は適切な領域の専門医を紹介するので、重複の検査・投薬も避けることができ、結果的に医療費も下がる」と話している。
(略)

まあ結果的に医療費が下がるかどうかはともかくとしても、専門医なるものを各学会が次から次へと認定していくことでその実態も力量も判りにくいという批判はあったわけですから、いずれにしてもそろそろ抜本的な改革が求められている時期ではあったと思います。
特に注目していただきたい点としては現状の問題テントして「欧米で専門医の適正配置の仕組みがあるのに、日本は診療科と勤務地は自由に選べ」るという点を挙げ、新専門医制度によって「専門医が不足している地域の医療機関を養成施設に指定し、偏在解消を図る」とされている点で、すでにあった御礼奉公的な専門医取得システムが公的な制度として固定化され政策的に活用されていくということですよね。
すでに専門医の分布や研修状況に関するデータベース構築も始まっているということでやる気満々ですが、もちろんこれだけでは義務ばかりでメリットがない制度ともなりかねないですから、今のところは新専門医資格の有無によって診療報酬に格差がつけられるのでは?という予測がなされているようです。
また新専門医制度においては基本的に「専門領域は一医師一領域であるべきだし、複数領域を容易に取得・維持できるような難易度であってもいけない」とされてい るようですが、そうなりますと例えば今までのように全科当直などということが専門外であることを理由にして成立しがたいものになり現場が立ちゆかなくなる とは、今までの議論の中でも出てきていたわけですね。
ただ現実問題として新制度下では専門医資格の取得・維持が今よりも一段も二段も厳しいものになっていくと言うのであれば、専門医の分布も今後ますます認定施設に偏ってくることも予想されますから、何らの認定施設に認定しない中小医療機関に取っては医師確保と診療報酬格差のダブルパンチでいよいよ統廃合の危機を迎えるということになっていくのでしょうか。

もう一つ、新専門医制度移行で注目されるのが既存の専門医資格の扱いがどうなるのかと言うことですが、恐らく乱立する旧専門医資格に関しては必ずしも質的担保も為されていない以上そのまま新制度に100%引き継ぎという可能性も低く、仮に引き継ぎがなければ旧資格をそのまま続けるのかということも議論の対象になってきます。
特に未だに根強くあるのが旧専門医資格をそのまま移行措置で新専門医として認定するのはどうか、いっそ移行措置など認めない方がよいのではないかという意見ですが、現状では麻酔科など一部を除いて単なる名誉資格の域を出ていない専門医資格が診療報酬など実利的な側面を持つようにもなれば、移行措置の有無によって現場に大混乱が発生する可能性も出てきます。
先日厚労省から出た素案においては移行措置について「なし崩し的にならないよう、第三者機関において適切な移行基準を作成することが必要」であり、「各学会認定専門医の更新のタイミング等に合わせて、移行基準を満たす者から順次移行を可能とすることが適当」だと言っていますが、逆に言えば基準を満たさなければ移行は認めないと読めますね。

おそらくは厳しい新専門医の移行・認定基準を到底満たすことが出来ない「なんちゃって専門医」は全国に数多く存在するはずですし、特に認定施設から離れた開業医をその支持母体とする日医などはこの点に敏感に反応しないではいられないかと思うのですが、興味深いことに日医による素案の修正案を見ると専門医更新に一定の手術件数など厳しいハードルを設けることはそのまま受け入れているようです。
また前述の移行措置にハードルを高く設定することに関しても「なし崩し的にならないよう」の一文を削除することでこれまた受け入れているようなのですが、そうなりますと各種専門医資格を大量喪失していくことになるだろう会員に対して日医がどのように顔向けをするつもりなのかと他人事ながら心配になってきますよね。
一方で専門医の認定を行う主体について厚労省素案では単に「学会から独立した中立的な第三者機関が学会との密接な連携の下で行うべき」とされていたものを「各学会、日本医学会、日本医師会との密接な連携の下で」と書き改めており、なるほど組織としての利権をここで確保しているのだなとよく判る話ではないでしょうか。
日医としては例の生涯教育などを専門医更新の要件にするなど新専門医制度下で構造的に日医の役割を拡大していきたい腹づもりのようですが、組織としてはそれでよしとしても末端会員として受け入れられるものなのかどうか、ここでもかねて非民主的な組織運営が指摘されている日医の利権団体としての適格性が問われそうにも思います。

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2013年2月11日 (月)

今日のぐり:「中華そば専門店 広松」

先日は思わず「ネコ△」と言ってしまいそうなニュースが出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。

「モノポリー」からアイロンが引退、新メンバーに猫が(2013年2月7日CNN)

(CNN) 米玩具大手ハズブロは6日、ボードゲーム「モノポリー」に新しく猫の駒を登場させ、アイロンの駒は引退させると発表した。

駒の入れ替えはモノポリーに現代の世相を反映させるのが目的。同社は先月から、現在の駒と新たな駒候補を対象にそれぞれ人気投票を実施し、ファンの参加を促していた。

投票の結果、現在の駒のうちアイロンとブーツ、手押し車の不人気が判明。最も人気が高かったのはスコッチテリア犬だった。

新しい駒の候補には、猫のほかに指輪やロボットなどが挙がっていた。

アイロンを猫に交代させるという発表に、ファンからは「猫だって? 集計のやり直しを求める」「やった!アイロンがダウン、猫万歳」など賛否の声が寄せられている。

フェイスブックに開設された駒入れ替えの投票ページには、1000万人以上の「いいね」が集まった。投票が続いている間は、靴やアイロンなど、それぞれ自分のお気に入りの駒を応援するファンからの熱いメッセージが寄せられていた。

新しい駒は2013年半ば以降に登場予定。それまでは従来の駒が入ったゲームを購入できる。

不肖管理人はあのゲームの駒も新陳代謝しているとは存じ上げなかったのですが、しかしああした歴史あるゲームともなれば入れ替えにも悲喜こもごものドラマがあるのでしょうね。
本日は歴史と伝統あるアイロンを押しのけて登場したネコに敬意を表して、最近ちょいと意外な多才ぶりで目立っている動物たちの話題を紹介してみますが、まずは同じくネコ△な話題からいってみましょう。

Nirvanaにマイケルジャクソン! 超有名アルバムカバーをニャンコでリメイクしたらこんなに可愛くなっちゃった!!(2013年2月7日ロケットニュース24)

ニャンコは何をやっても可愛いのだ! そう証明する画像の数々が現在話題になっている。

2011年に開始したウェブサイト「The Kitten Covers」には、超絶キュートなニャンコ写真が数多くアップされているのだが、どの写真にもあるひとつの共通点がある。

その共通点とは、ニャンコたちが有名アルバムカバーの真似をしているというところ! 米国ロックバンドNirvanaの超ヒットアルバム『Nevermind』のカバーリメイクに始まり、マイケル・ジャクソンの『Off The Wall』、Kissのデビューアルバム『Kiss』と、世界の名立たるヒットアルバムをリメイクしまくっているのだ。

しかしどれもやっぱり可愛い! この「何をやっても可愛く見えてしまう」というのは、もはやニャンコたちの宿命なのであろう。そんな萌えどころ満載の有名カバーリメイク、ぜひ胸をキュンキュンさせながらご覧いただきたい。

その詳細はリンク先の画像を是非参照いただくとして、しかし何でしょう何かしら遠い既視感を覚える気がするのは何か理由があるのでしょうか…
世の中の生き物たちは時に驚くような知恵を発揮するものですが、こちら知恵というよりも何かしら図々しさのようなものも感じてしまうニュースです。

【海外:イギリス】賢いアザラシ赤ちゃん、車の中に侵入し、嵐をしのぐ(2013年1月30日日刊テラフォー)

スコットランド南西部ストランラーで先週目撃された、とっても利口なアザラシの赤ちゃんは、嵐を避けて、車の中に非難した。

漁港近くにあるタンクローリー専用駐車場で、生後6週間のアザラシの赤ちゃんが目撃された。どうやら、人工の土手を伝って、海から自力で這い上がってきたようだ。
駐車場のスタッフ達は、アザラシに海へ戻るよう促してみたが、まったく効果がなかった。

アザラシは動くのを嫌がり、翌日になっても駐車場内にいた為、スタッフ達はお手上げ状態となり、スコットランド動物愛護協会に助けを求めた。
通常なら、協会の職員が到着するまでは、動物を動かさなことが望ましいのだが、この時は、駐車上に放置されたアザラシがタンクローリーにひかれる恐れがあった為、駐車場スタッフは、アザラシを持ち上げて、自分の車のトランクの中に入れた。

だが、アザラシはより快適な場所を求めてトランクと後部座席を壊し、よちよち這ってフロントガラスの下まで行くと、ダッシュボードに横たわった。
「外は風が強いし、海は大荒れだし、ここは極楽だ~」
動物愛護協会のスタッフが到着した時、アザラシは、そんな風に、ダッシュボードの中でリラックスしていた。

「彼はとても賢いアザラシです。温かく乾いたダッシュボードの中から、外の嵐を眺めていたのですから。」
と愛護協会のマネージャー、コリン・セドンさんも、感心しきりだ。

現在アザラシは協会に保護され、『スマーティ(賢い)』と名付けられて、野生へ戻る訓練をしている。
職員達は、1ヶ月程でスマーティは野生に戻れると考えているが、賢いスマーティ「ここは野生よりもずっと楽だ~」と考えて、野生に戻るのを嫌がったりしないか、少し心配だ。

元記事の写真を見ますとそんなに賢そうな顔には見えないのですけれども、これぞ能ある鷹は爪を隠すのアザラシバージョンということでしょうか、しかしどうやってここに登ったんでしょうかね?
生き物にまつわる数々の新発見も注目に値するものが少なくありませんが、こちらそう言えば不思議だと改めて思い直すような発見でしょうか。

フクロウの頸動脈はなぜ切れない?米医学チームが解明(2013年2月4日AFP)

【2月4日 AFP】なぜフクロウは、首をほぼ1回転させても頸動脈を傷めずに済むのか――? この謎を米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の医学チームが突き止め、1日発行の科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。

 フクロウは獲物をとる時などに首を左右それぞれ270度まで回すことができるが、このとき頭部や頸部にある繊細な血管が切れて脳への血流が止まってしまうことはない。

 研究を主導したPhilippe Gailloud医師(血管内治療・神経放射線学)は、こう述べている。「頭頸部の動脈を損傷したことによる患者の症状を診てきたわれわれ脳撮像の専門家は、フクロウが頭を素早く回転させても平気でいられるのはなぜなのか、どうして森の地面には脳卒中を起こして死んだフクロウの死骸がたくさん転がっていないのか、これまでずっと頭を悩ませてきた」

 この謎を解くため、研究チームは自然死した複数種のフクロウを用い、血液の代わりに血管に色素を流し込んで、頭部と頸部の骨格と血管構造をX線画像で調べた。

 すると驚くべきことが分かった。フクロウの頭部の血管に色素を流し込んでいくと、ちょうど顎骨の下あたりの血管が膨らみ続けて血液をためる袋のようになったのだ。

 研究チームでは、この「貯蔵袋」にたまった血液によって、フクロウが頭を回転させたときに脳や目の機能に必要な血流を確保できるとみている。こうした補助的な血管網がさまざまに相互接続し合い、状況に適合して血流の妨げを最小限にとどめていると考えられるという。

 人間の場合、解剖学的には血管が風船のように膨らむことはなく、むしろ収縮しがちだ。Gailloud氏は今回の研究結果について、フクロウのように頭部を旋回する動きに必要な形態的適応をはっきり示していると同時に、なぜ整体治療を受けた際に首を痛めてしまう人が少なくないのか、その理由も示唆していると述べている。

ちなみに記事中にもありますように人間の場合は無理に首を回すとろくな事がありませんが、歴史的に見ると真後ろを向くことが出来た人の伝説も残されているのですから不思議なものですよね…
こちらの生き物も普段はなかなか目にすることの叶わないものですが、なかなかどうして高度な能力を持っていることが明らかになったようです。

モグラの鼻、においを立体的に把握(2013年2月6日ナショナルジオグラフィック)

 モグラは視力が非常に悪いが、鼻でにおいを“ステレオ処理”してカバーしている事実が明らかになった。
 人間を含むほとんどの哺乳類の目と耳は、物体を立体的にとらえている。
 一方、ごく一部の哺乳類には、においを立体的に把握する能力がある。各鼻孔が互いに独立して機能し、脳に異なる信号を送信。脳内で信号が処理され、においの方向が決定されるというメカニズムだ。
 ラットを使用した過去の研究では、訓練すればにおいが左側と右側のどちらから来たか判断できるようになると証明されている。今回のモグラによる研究は、哺乳類がこの能力を通常の捕食活動で利用していることを初めて示した。
 生物学者のケネス・カターニア(Kenneth Catania)氏はトウブモグラを調査。各鼻孔に入ったにおいの強さのわずかな違いを区別できる能力を活用し、エサを見つけていると明らかにした。
「この結果は予想外だった。それぞれの鼻孔は非常に近接しており、においの区別が可能だとは思わなかった」とアメリカ、テネシー州ナッシュビルのヴァンダービルト大学に所属する同氏は述べている。

◆モグラの鼻孔の実験

 カターニア氏は実験の1つで、円形のケースを利用。半円状にエサ用のくぼみが並んでおり、刻んだミミズを毎回異なるくぼみに入れた。モグラがにおいを嗅ぐ際の気圧変化を検出できるよう、ケースは一時的に密封した。
 部屋に入れられたモグラはまず空気を嗅ぎ、5秒と経たないうちにミミズが入っているくぼみに狙いを定めた。「鼻を小刻みに動かすと、一直線にエサへと向かった」と同氏は振り返る。
 別の実験では、小さなプラスチック製のチューブで片方の鼻孔をふさいだ。左の鼻孔をふさいだ場合、モグラの進路は常に右にそれ、右の鼻孔では左にそれた。
 この結果は、1979年に行われたメンフクロウの聴力に関する画期的な研究と驚くほど似ている。一方の耳をふさいだところ、音源の位置を間違えたという。
 カターニア氏はさらに、両方の鼻孔に小さなプラスチック製チューブを挿入、交差させた。つまり、右の鼻孔には左側の空気、左の鼻孔には右側の空気が入る仕組みである。モグラは混乱した様子で、あちこちを繰り返し探し回った。
 鼻孔をふさいだり、チューブを交差させたりした場合でも、エサを見つけるまでの時間は長くなったが、しばらくして何とかたどり着いた。モグラがエサを探す際には、においの立体的な処理だけに頼っていないからだと同氏は考えている。
 モグラは、異なる場所のにおいを同時に嗅ぎ取り、それぞれの強さを比較して、より強いにおいを発する場所へと向かう。これは、人間を含むほとんどの哺乳類で見られる習性である。

◆敵との遭遇回避にも有効

 インド、バンガロールにある国立生命科学研究センターのウピンダー・バーラ(Upinder Bhalla)氏によると、立体的な嗅覚能力は、迅速な意思決定が求められる動物に有用という。
「2回ではなく1回嗅ぐだけでネコのいる方向を特定できれば、生き延びる確率は高くなる」と同氏はメールでコメントしている。
 このような嗅覚能力は、私たちを含め、哺乳類の間では非常に一般的であるとバーラ氏は推測している。例えば、カリフォルニア大学バークレー校の神経科学者ノーム・ソベル(Noam Sobel)氏が2010年に実施した研究では、人間も両方の鼻孔を使用してにおいの発生源を特定すると示唆されている。ただし人間の場合、この能力を使えるのは実験などで用意された特殊な環境のみのようだ。
「哺乳類の大部分を占める、においへの依存が強い動物は、すべてこの能力を備えているのは間違いないと思う」とバーラ氏は語る。
 今回の研究を実施したカターニア氏は、他の多くの哺乳類が立体的に嗅ぎ取る能力を保持していることには同意するが、「人間に関しては非常に疑わしい。この能力は備わっていない可能性が高い」と話している。
 研究の詳細は「Nature Communications」誌に2月5日付けで発表された。

しかし地中では視力は大して役には立たないのでしょうが、確かに何らかのセンサー能力がなければ日々の暮らしにも事欠いていたでしょうから、こうした能力が発達するのも当然なのかも知れませんね。
同じくこちらは稀にどころかまずもって実物に遭遇することは難しいという生き物ですけれども、何故か着々とその実態が解明されつつあるという話題です。

雪男は「サーカスのクマ」?=ロシア採取の毛をDNA鑑定(2013年2月7日時事ドットコム)

 【モスクワ時事】ロシアに雪男はいなかった-。猿のような大型の未確認生物「イエティ」(雪男)の目撃情報があるロシア・シベリアで採取された「毛髪」を英専門家がDNA鑑定したところ、サーカス団などから逃げ出したクマの毛とみられることが分かった。
 英大衆紙サンがこのほど伝えたもので、ロシアのイエティ研究者らを落胆させている。
 「毛髪」は2011年に国際調査団がケメロボ州の洞窟で発見し、地元で当初「イエティがいる確率は95%」と期待された。ところが英国で3本を鑑定した結果、アメリカグマ、ウマ、アライグマの毛と判明した。
 北米のアメリカグマは体長2メートル近くあり、イエティの目撃情報とも一致するという。ただ、シベリアに生息する種ではなく、サーカス団や動物園から逃げ出したのではないかと専門家は推測している。

当然ながらこの調査結果が仮に全て事実そのものだったとしても、世界各地に存在する同種の伝説に決着をつけたことにはならないことは言うまでもありませんのでご安心?ください。
こちら昔から様々な方面で話題になってきた生き物ですが、これまた予想外と言うしかない能力を発揮していたというのですから驚きますね。

フンコロガシ、天の川を道しるべにまっすぐ移動 研究(2013年1月28日AFP)

【1月28日 AFP】フンコロガシは天の川の光を頼りにまっすぐにふんを転がすという研究結果が25日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された。

 スウェーデン・ルンド大学(Lund University)などの研究者らと共同研究した南アフリカのウィットウォータースランド大学(University of the Witwatersrand)の生物学研究チームは、地元のプラネタリウムで夜の空を再現し、フンコロガシの行動を観察した。その結果、脳は小さく、視力は弱いフンコロガシが、天の川の星々の光を頼りにまっすぐ進み、ふんを奪い合うライバルのいる場所に円を描いて戻らないように移動していることが分かった。

 フンコロガシは人工の光よりも、太陽、月、銀河の光を好むようだ。天体ははるかかなたにあるためフンコロガシにとっては動いていないように見え、固定された基準点になる。

 アザラシや一部の鳥や人間が星を道しるべにすることは知られているが、天の川を手掛かりにすることが報告されたのはフンコロガシが初めて。同じ研究チームは以前、フンコロガシが方位を知るための光源を探すために、丸めたふんの上に登ってちょっとしたダンスのような動きをすることを発見していた。

フンコロガシの能力自体は無駄にハイテク?と言うしかないようなものなのですが、それにしても元記事の添付写真が気になって仕方がないのは自分だけでしょうか…
最後に取り上げますのは再びあの動物の話題ですが、こちら傍若無人な振る舞いが過ぎるとどうなるかという事が如実に示されたニュースとも言えますね。

猫は小動物に深刻な脅威、年間200億匹を捕食=米調査(2013年1月30日ロイター)

[29日 ロイター] 米国では毎年、鳥37億羽と小型哺乳類207億匹が、猫によって殺されているという。米魚類野生生物局(FWS)とスミソニアン保全生物学研究所の調査チームが29日、科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で発表した。

ペットとして飼われている猫や野良猫による捕食を統計としてまとめ、体系的に分析したのは今回が初めて。同チームは、猫による野生生物の死亡数は、以前考えられていたより大幅に多いと指摘している。

調査によると、猫に殺されている鳥の多くは、アラスカ州とハワイ州を除く米国48州では、コマドリやフィンチ、アメリカゴガラなどの在来種。また、人口の密集した都市部では、主として外来種のネズミを捕食しているが、郊外や農村部では在来種のネズミのほか、リスやウサギなどの小型哺乳類を獲物にしているという。

調査チームは、自由に歩き回る猫が野生生物に深刻な脅威をもたらしており、一部の鳥や小動物の絶滅の一因にもなっている証拠が山積しているにもかかわらず、猫の管理は科学的根拠よりも、感情論に基づいて形成されていると指摘。「野放しの猫の管理に対する現在の非科学的アプローチの主な要因は、猫の捕食による(野生生物の)死亡数が、事故など人間由来の脅威に比べれば取るに足りないという理屈が背景にある」としている。

野鳥保護団体は今回の調査結果について、猫の飼い主や地域社会への警鐘になると歓迎。同団体のスポークスマンは「われわれは可愛くてフワフワした猫は大好きだが、この捕食者が自由に行動するのをこれ以上見過ごすことはできない」と語った。

この膨大な犠牲者?数を見ればよく数えたものだと思いますが(もちろんサンプリング調査なのでしょうが)、よもや家庭内でエサをもらう以外にも野外でこうまで好き放題をやっていたとは誰に想像できたでしょうか?
それにしても昨今では下僕の何のと自らの尊厳をおとしめるようなケシカラン風潮が一部にはあるようですけれども、やはりこうした連中に対してはきちんとした対処をしていくことが我々に求められる義務ということでしょうかね。

今日のぐり:「中華そば専門店 広松」

岡山市内を中心に展開するラーメン店の中で総本山の「玉松」で修行し同系列のラーメンを出している店舗を俗に「松系」などと言うようですが、木材の風合いを活かした店構えやメニューなどほぼ共通する特徴があるようです。
そんな中でもこちら「広松」は岡山名物「デミカツ丼」も提供しているという点でオリジナリティーを発揮しているようですが、今回久しぶりに訪店してみますとまずこんなに店内が豚臭かったか?と少しばかり驚いてしまいました。
テーブルを見ましても今時はコショー常備の店も減った中で、こちら有名メーカーの汎用品とラーメンコショーの二種類を完備というのも逆にこだわりが感じられておもしろいなと思いますね。

かなり昔から存在している割にはトッピングが色々と選べたこともこの系列の特徴かと思うのですが、今回はごく無難に中華そばネギ入りを頼んでみました。
ちょっと見では味噌か?と思うような色調のスープは健在で、いわゆる昔ながらの中華そばと言えばあまり濁らせずにすっきり醤油ダレの色を残したものが思い浮かびますが、そうしたものに慣れていた時代にこのスープはひどく印象的なものだったでしょうね。
味の方は本家はかなり目立って甘いスープという印象があったのですが、改めて食べて見ますと醤油ダレが強めなせいか特にそうは感じないですし、かなり濃厚だという印象のあったベースのスープも今の基準だとむしろあっさりに近いかな?とも感じます。
ともあれこのスープはまだまだ競争力があるものではないかと思うのですが、デフォルトでは気持ち柔らかめな茹で加減の中細麺はさすがに時代を感じさせるもので、それでも特にうまいというほどでもないですがスープとのマッチングはまずまずでしょうか。
トッピングは昨今あまり人気がないとは言えこのシナチクの食感はないに等しいほどの歯ごたえが泣けるというものですし、ほぼ脂身だけのバラチャーシューも妙に焦げ臭い風味がちょっと気になる、そして肝腎のネギも追加料金百円分にしては物足りないかなというもので、やはりこのあたりは時代を感じてしまいますね。

接遇面では小さなお店でスタッフの数も少ないこともありますがほぼ放置状態で、それほど混み合う感じでもありませんから奥の座敷でのんびり時間を過ごしたいといった需要にも対応可能なのでしょう、実際それに近いことをしている顧客も散見されるようです。
しかし意外にも(失礼)お客はそこそこ入っているのか?と思いますが、いかにも近隣の地元客らしい人が多いのが国道沿いの量販店などとはいささか雰囲気が違うところで、すでに客足も定常状態になり完全に地に足が付いた経営をしているのでしょうかね。
そう言えば交通量は相当にある割には意外にこの通り沿いにはラーメン屋は見かけないですし、車で来ますとやや入りにくいということを除けば、この立地で長年経営されているのは大変なものなのかも知れませんね。

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2013年2月10日 (日)

今日のぐり:「大阪王将 倉敷玉島店」

この時期誰しも気になるのがあのイベントですが、今年はとうとうこんなものまで登場してしまったというニュースから紹介してみましょう。

「バレンタインにチョコ0個」の悲劇を回避できる「バレンタイン保険」登場(2013nenn1gatu29日ITmedia)

 バレンタインデーまで2週間あまり。「チョコレートが1つも貰えなかったらどうしよう」――そんな悩める男子諸君に朗報です。当日のチョコ0個を確実に回避できるサービス「バレンタイン保険」が登場しました。

 サービス内容はシンプル。“保険加入者”に対して2月14日にチョコレートを郵送するというもので、おまけに美女(35歳)の直筆メッセージも付いています。チョコを必ずゲットできるため、不安が払拭された快適なバレンタインを過ごせます。

 利用料は500円。また、“保険に加入”したことをSNS上でシェアすると、周囲の女子へのさりげないアピールになるかもしれません。

リンク先を拝見いたしまして率直に美女か?という疑問もなくはないのですが、いずれにしても万一の場合に備えるという意味ではこれぞまさしく保険と言えそうですよね。
本日は全国の悩める男性諸氏に福音をもたらしてくれた美女氏に敬意を表して、世界各国のこの季節ならではという話題の数々を取り上げてみましょう。

「なんじゃこりゃー!」冬にスプリンクラーを使うべきではない事を学んだ(2013年2月3日らばQ)

庭の芝生や植物を散水するときに使うスプリンクラーですが、極寒の冬に使用すると困ったことになるそうです。

「冬にスプリンクラーを使ったら、こんなことになってしまった」という画像をご覧ください。
(略)

どのように困ったことになったかは是非ともリンク先のびっくりするような写真を参照いただきたいと思いますが、しかしこんな調子ではそもそもスプリンクラーを散布させる意味がないような気もします。
このような極寒の環境下で思わぬ事態に遭遇するのも想像するだけでも怖いものがありますが、実際に思いがけない事故に巻き込まれてしまったこちらの人物を紹介してみましょう。

Tシャツ姿で-40度の地へ転落、走る列車の扉が開き放り出される。(2013年1月27日ナリナリドットコム)

氷点下40度ともなれば、バナナで軽く釘を打てるほど凍ってしまう極寒の世界。防寒着がなければ、多くの人は命の危険に晒されるはずだ。先日ロシアのある男性は、思いがけず薄着でそんな世界に身を置くハメになったという。列車に乗っていて、暖かな車内でズボンにTシャツ姿だった彼は、なぜか鍵が開いていたドアに誤って手を掛けてしまい、極寒の大地へと転落。走行中の列車から落ちるだけでも充分危険だが、彼は切迫感と持ち前の体力で、命の危機から脱出したそうだ。

露紙シベリアン・タイムスによると、危険な状況に陥ったのはロシア中東部の街ブラーツクでトラック運転手をしているという、42歳のヴァレリー・マルコフさん。彼は先日、石炭で有名なシベリアの街ネリュングリへ旅行に行くため、東へ向かう長距離列車に乗っていた。真冬のシベリア内陸部を走る列車内は暖房が効いて、快適な環境。そのため彼は、Tシャツにズボン、スリッパ姿という軽装で車内の時間を過ごしていた。

すると、途中でタバコが切れたことに気が付いたマルコフさん。車内に置いていないか探しに行こうと個室を出た彼だったが、この直後に思いもよらない命の危機が訪れた。普段はロックされてるはずのドアに間違って手を掛けた彼は、開けた瞬間に猛烈な寒さの車外へ放り出されたという。幸い転落した影響はなく、体は無傷だったそうだが、自分を乗せていた列車はどんどん自分の視界から遠ざかる一方。置き去りにされた彼は、急いで列車を追い掛けて走り始めた。

当時、辺りの気温は氷点下40度。じっとしていたら「長く生き続けられるはずがなかった」環境に、突然Tシャツにスリッパという軽装で身を置くハメになったマルコフさんは、必死で電車を追って走り続けたそう。「近くの駅か何かにたどり着きたいとの思いだけで、ほかは何も考えていなかった」という彼が、生存の道を求めて必死に走ること、およそ7キロ。何とか駅を見つけた彼は、転げるように助けを求めたという。

シベリアにおいて、氷点下40度の中をTシャツ姿で7キロ走り続けたのも“奇跡”なら、着いた駅が有人の駅だったのもまた“奇跡”だった。そこはモスクワから東に7,200キロ、第二次世界大戦中に活躍したソ連のドイツ人スパイの名が付けられたリヒャルト・ゾルゲ駅。突然軽装で入って来たマルコフさんに、駅長もびっくりしていたという。しかし事情を知ると、暖かいお茶を出して彼をもてなし、駅長は一晩駅に泊めさせると、翌日朝に来た長距離列車を停止させて彼を乗せたそうだ。

気が付けば転落の際のけがも、寒さによる凍傷も一切なし。その後も風邪ひとつ引かず、日頃から頑丈な体を作り上げていたことが、無事にこの災難を乗り切った大きな要因になったようだ。とはいえ、Tシャツでの氷点下40度の世界はさすがに堪えたそうで、自分でも「何で凍らずに済んだのか不思議」と話している。

ただ、今回は彼の“火事場の馬鹿力”で助かったから良かったものの、もともとは閉まるべきドアが閉まっていれば起きなかった話。鉄道会社では、ドアのロックが外れていた原因について、現在調査を進めているという。

聞くほどにどんな偶然の積み重ねなのかという話なんですが、しかしそもそもの発端となった旅行の目的地というのは観光旅行に行くような場所にも思えないんですがどうなんでしょうね…
同じく寒さに絡んだニュースと言えばこちらもそうですけれども、不慮の事故ではなく自ら望んでと言う点で無茶のしすぎという気がしないでもありません。

ウクライナ人、裸で雪の中に横たわる時間の新記録達成(2013年1月27日VOR)

 ウクライナのイヴァーノ=フランキーウシク州コロムィヤ市(Коломыя)に住むアレクセイ・グツリャクさんは雪の中で裸で過ごす時間の長さで1時間20分という新記録を打ち立てた。これは日本人が打ち立てた記録を20分も上回る。

 グツリャクさんは雪の下に横たわるときはチベットの僧のように瞑想し、「今は夏だ」と自分に言い聞かせる。こうした記録達成には長期にわたるトレーニングが絶対に欠かせないとするクツリャクさんは、鍛錬することで生命力がよりみなぎる上に健康増進に役立つと語る。 グツリャクさんはこの記録の登録をギネスブックに申請する。
 グツリャクさんは実は昨年にすでに記録更新に挑んでいたが、その際は34分4秒しか持たなかった。この記録に対し「ウクライナ記録ブック」は資格を授与した。

リンク先の画像を見ていただきますと恐らく日本人の大多数が想像する「雪の中に横たわる」という状況とは相当に異なっていることがご理解いただけるかと思いますが、しかし記録認定というくらいですからこんなとんでもない健康法?にもちゃんとレギュレーションがあるのですかね。
この時期積雪も多くなりスキー場にとってはありがたい季節でしょうけれども、こちらブリではいささか事情が異なっているようです。

イギリスでスキー場が閉鎖になった理由が「皮肉すぎる」と話題に(2013年1月22日らばQ)

イギリスはそれほど雪が積もる国ではなかったのですが、ここ数年は寒波によって大雪になる回数が増えているようです。
先週末からイギリス各地で大雪が降り続き、あと数日は気温も上がらず、学校が閉鎖になるなど混乱が続いています。
そんなイギリスで、ある人工スキー場が閉鎖になったのですが、その理由が面白いと話題となっていました。

「テルフォードの人工スキー場は、雪が降ったので閉鎖します」

ツッコミどころ満載です。
雪が足りないから人工雪を使っているのに、実際に雪が降ったら閉鎖になるなんて誰が思ったでしょうか。もちろん決して雪山のように吹雪いているわけではありません。
このちょっと情けないイギリス事情に、海外掲示板にはコメントや突っ込みがたくさんありました。

●さすがイギリスだな、天気にさえ皮肉を込めてるなんて。
●なんてこった!本物の雪が降ったら、人工スキーが不可能になるなんて!少なくとも晴れになる前に日焼けサロンに行っておかないとな。
●これぞ先進国の悩みの典型だな。
●イギリスの悩みだろ。
●この地域出身の自分としては、かなり恥ずかしい。
●別のニュースでは、ロンドンで激しい雨のために屋外プールが閉鎖されたというのもあった。
●とりあえず雨の中を泳ぐよりは、雪の中をスキーするほうが楽しいと思う。
●正しいタイプの雪じゃなかったんだな。
●人工スキー場では、どんなタイプの雪が正しいんだ。
●人工雪だよ。
●いつも人工スキー場に雪が降ったらどうなるのかなと思っていたけど、今日をそれを知った。

イギリスらしい(?)皮肉な結果が面白いと、盛り上がっていました。
他にも雪景色が数多く上がっていましたが、「完璧な雪だるま」だと人気になっていた写真を、おまけに貼っておきます。

完璧な雪だるまを含めてリンク先の画像を見て見ますと困るような雪でもないように思えるのですが、やはりこれまた独自のブリ的基準に適合しなかったということなのですかね?
最後に取り上げますのもこちらブリからの話題なんですが、世界中のごく普通の国々ではもの悲しいどころではすまない悲惨な一夜と言うべき事件でしょうか。

【海外:イギリス】5万5000円のクリスマスランチが「レンジでチン!」のものだった・・・激マズの食事に一家が涙(2012年12月27日日刊テラフォー)

ニナ・チャプリンさんにとって、クリスマスは特別な日だ。
単なる一家団欒の日ではない。一家で「しんみり、故人を偲ぶ日」でもあるのだ。
ニナさんの母親はクリスマスの日に亡くなったので、その命日に一族で集まり、クリスマスを祝いながら母親の思い出を語る大事なイベントなのだ。

今回は亡き母がお気に入りだったというパブで食事することになっていた。
ケントにある「クリケッターズ・パブ」に集まった家族。
大人一人35ポンド(約4800円程度)、子供17ポンド(約2300円程度)のランチコースメニューだ。普段より値が張る外食だが、今日は特別。・・・だと思ったが、別の意味で特別になってしまったようだ。

とにかく、料理がまずい。すべてどこか水っぽいのだ。
七面鳥の肉もどこかおかしい、一部凍ってる?みたいだ。
「エビ料理なんて、レンジでチン!したものみたいな感じでしたよ」とニナさんは語る。
プティングも、まるでゴムのよう。

「この店、ぶっちゃけまずくない?」と誰かが切り出し、
大笑いできればどれだけよかっただろうか。
しかし笑える雰囲気ではない。病気がちな優しい父も「この値段でこの味とは・・・」と愕然としている。
「クリスマスが台無し・・・消えてしまいたい・・・」とニナさんも涙目だ。

そこで会食に参加予定だったニナさんの夫から電話。
このレストランに来る途中で車が故障、行けないかも、との連絡が。
「来ない方がよかったかも。でもせっかくだからお持ち帰りにしよう」と夫の分をテイクアウトで包んでもらった。まだコースの続きがあったが、食事は途中で切り上げ、テイクアウトの包みを抱えてニナさん一家は沈黙のまま店を出た。
食事代、親族11人で400ポンド(約5万5000円程度)。この人数ならば、と納得できない、あの味では。
「よ、400ポンド・・・」誰もが泣きたかったに違いない。

しかし、帰宅後、衝撃の事実に直面する。
テイクアウトした包みを夫の夕食にだそうと開けてみると・・・

「そのまんま、チン!のやつ」だったのだ。
プラスチックバッグに入った七面鳥の肉。
どう見てもスーパーの冷凍食品で売っているあの「レンジでチン!」と同類のものである。

ニナさん、「これじゃスーパーで売っている1.99ポンド(約275円)のものと同じじゃない」と激怒。
冷凍されたものが溶け始めたのか、肉はすでにふやけてきている。
ニナさんの夫はその様子を見た後、黙って片付け、ベーコンサンドイッチを食べたのだという。

ニナさんのお父さん、そして夫、二人の男性を落胆させたあのパブレストランが本当に憎い。正直、ぼったくりである。
しかし、だ。
あのパブレストラン、亡きニナさんのお母さん御用達だったではないか。
「お母さん、どうしてあの店だったの。もうちょっとマシなところがあったでしょうよ・・・」。

キッチンのゴミ箱の近くに転がっているテイクアウト入ったタッパー。
この怒りをどこにぶつければよいか。ゴミ箱になげすてるか、別の方法を取るか・・・。
ニナさんはマスコミの取材を受ける、という方法を選んだようだ。

しかし何とも残念な一夜であったとは言え、失礼ながらこれもブリの伝統に従った素晴らしい料理だったと前向きに?考えてみるのはどうでしょうか?
いずれにしても部外者であればまずいまずいでネタになりますけれども、当事者にとってはシャレにならないというのがブリ料理の恐ろしさということですかね。

今日のぐり:「大阪王将 倉敷玉島店」

倉敷市西部の新倉敷駅界隈にはもともと「餃子の王将(京都王将)」がありましたけれども、いつの間にか大阪王将も出来ていたということで今回が初訪問になります。
スーパーに隣接してファミレスやビデオ屋がある中でその一角に併設されているのがこちらの店舗ですが、入って見ますと席数の割に店内が広いように見えるのはオープンキッチンが真ん中にあるせいでしょうか。

レイによって同行者とシェアしながら色々とつまんでみましたが、今回初めて食べたのがチーズ入り肉団子なるもので、風味の強いものをどう扱うかと思っていましたら意外にも肉臭くなく仕上がっていてチーズとのマッチングも悪くなく、中華料理屋であるのに何とも面白い味ですね。
定番の餃子は京都王将ともまた違って肉汁たっぷりで割にいけるなというものですが、一方でこれまた定番メニューの八宝菜は少し炒め加減が過ぎて野菜がくったりしていたり、鶏唐揚げもクリスピー感を追求しているのでしょうが実際のところ少し揚げすぎであったりと、基本メニューはやや残念なところもあるようです。
主食系では天津飯は玉子たっぷりな今風のふわとろタイプで餡もキツすぎないので割合いけますが、炒飯は正直京都王将と大差ないかなと思いました。
割合に充実している点心類ではエビ餃子はプリプリ感が今ひとつ、小籠包は皮の食感はこれまた少し残念ですがちゃんとスープ入りなのは良い点で、焼売はスパイスがかなり強いせいか独特な風味なんですが、おかげでうまく臭みを抑えてるのはこの手の店としてはうまくあしらっていると思いますね。

全般的には味は値段相応と言うしかないのですが、王将として考えてみますと料理の部分では意外に工夫があるというのでしょうか、値段相応のベーシックな食材ばかりしか使っていないし技術も至らない点もある一方で素材を補う工夫も垣間見えて、これでしたらいかにもマニュアル通りといった感じの近隣の京都王将よりもいいかなと感じました。
開店後まだそれほど間もないようですがチェーン店でもあるせいかすでにそれなりの客入りですが、店の中央にオープンキッチンがあるせいかスタッフが多くない割には割に目も届いているようで悪い印象ではありません。
個人的にその昔に行ったことのある某所の大阪王将が今ひとつだったイメージが強くて敬遠していたのですが、今回意外にも大阪王将を見直したといった印象もあって、今後ますます地域に根付いた発展を期待したいところでしょうかね。

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2013年2月 9日 (土)

大朝日のお粗末な仕事ぶりに見るマスコミ業界の病理

天声人語と言えば自称「日本のクオリティペーパー」である朝日新聞の誇るコラム欄ですけれども、その天声人語が犯罪幇助を好意的に紹介していると話題になっています。

凍えるピザ配達員に缶ビール渡す話が「ほっこり」? 朝日新聞「天声人語」の感覚がズレていると話題に(2013年2月3日J-CASTニュース)

   朝日新聞の「天声人語」に何だかおかしいコラムがある、とネットで話題になっている。

   それは、13年2月2日付けで「心がほっこりする話」だとして、朝日新聞の投稿欄「声」に掲載された記事を紹介したものだ。

全身びちょびちょ震える赤い手でお釣りを数えた

   コラムによると、大雪に見舞われた13年1月15日に、さいたま市に住む10歳の少女がお母さんに宅配ピザを注文してもらった。約2時間後に現れた配達員は全身びちょびちょで、震える赤い手でお釣りを数えていた。申し訳なく思ったお母さんは缶ビールを手渡し、少女も10円のお菓子を差し出した。そして少女は配達員に対し、今度は天気のいい日に注文する、と言ったという。

   これに関し「天声人語」の筆者は、 「届けてなんぼの宅配サービスに、客の心遣いは無用かもしれない。それでも、女の子は少し大人になり、若者は時給を超えた出会いを得た」 と解説した。凍える記事が多い中でほっとする話は胸に染み、内なるオーブンに火が入る、などと結んでいる。

「凍えた体に冷えた缶ビールで追い討ち」

   この「天声人語」についてネットの掲示板やブログには、

    「バイクで配達している人にビールを渡すなんて、飲酒運転幇助で捕まるレベル
    「凍えた体にキンキンのビールなんて嫌がらせレベル。普通はあったかいお茶かコーヒーじゃないか?」
    「そもそもあの大雪の日に宅配ピザを頼むなんて大間違いなんだよ」

などと全く「ほっこりした話」にはなっていないし、配達した青年も「時給を超えた出会い」などとは思っていないはず、といった意見が多く出ていた。

   朝日新聞の「天声人語」を巡っては昨年からネットで、何を言いたいのかわからない、といった声が大きくなっている。例えば、12年9月30日付けに「無人島のために戦争なんて、とつぶやける国がいい」と書いたり、12年11月19日付けでは橋下徹大阪市長が、おでこを出す髪形に変えているとし、「じじごろしに違いない」「何が目的か分からない年の差婚をした、したたかな女のよう」と書いて物議をかもした。

まあ配達員にビールが良い悪いは別にして、小さな心遣いが現れた場面ではあったのでしょうけれどもね…
朝日新聞と言えば以前にも社会部長が飲酒運転厳罰化に待ったをかけるかのような記事を書いて話題になったことがありますが、おそらくは社として飲酒運転というものに対する独自の考え方をお持ちなのでしょう、世間では「そもそも酒でも飲んでいなければあのレベルの記事は書けない」などと妙に納得する風潮もあるやなしやに聞くところです。
いずれにしてもこれで配達員が警察のご厄介になったり失職したりしたところで天下の大朝日には何ら関わりがないという気持ちなのでしょうが、どうも職業病なのか日本のマスコミ関係者が他人への配慮に欠けるのではないかという指摘は昨日今日始まったことではなく、先年のニュージーランド大震災では彼らにとっては当たり前の「平常運転」が国際問題にもなったことは未だ記憶に新しいところです。
昨今ではこれに加えて他人を叩くために自らネタを捏造しバッシングするという永久機関めいた秘密兵器を隠し持っていることも明らかにされてきましたが、そうした反社会的な彼らの習性が広まってきた現代にあってはさすがに批判の声も高まろうと言うものですよね。

安倍首相がFacebookで噛み付いた「ねつ造記事問題」!記者個人がリスクを背負わない段階で政治家に負けている現実をマスコミは直視せよ/磯山友幸(2013年2月6日現代ビジネス)

「マスゴミ」「マスコミは最悪」「ひどいねつ造記事」---。

 ネット上でマスコミ批判が沸騰している。きっかけは、週刊誌『女性自身』が2月12日号に掲載した「安倍昭恵さん、首相公邸台所改装費に税金一千万円」と題された記事に、安倍晋三首相が自身のフェイスブック(FB)で噛み付いたこと。
「女性自身2月12日号の記事を読んでびっくりいたしました」から始まる安倍FBの投稿ではまず記事の内容を簡単に説明。昭恵夫人が、今度は前回以上に食事の面から夫をサポートしていかなければとの思いから、首相公邸の台所を1000万円(税金)かけて改装するよう指示しているというのは「とんでもない捏造記事です」としている。
「私も昭恵も首相公邸のリフォームはおろか、ハウスクリーニングさえ依頼した事はありません」とし、「編集された方、どうかご訂正をお願いします」と書いている。

「情報咀嚼力」が問われる時代

 5日現在、この投稿に約3万3000人のFBユーザーが「いいね!」ボタンで反応し、4000件以上のコメントが付けられている。コメントの内容を見ると、ほとんどが週刊誌やマスコミを批判するもの。中には、「マスコミの報道を規制せよ」といった主張も踊っている。
 官邸周辺に取材してみると、昭恵夫人が1000万円かけて改装を指示した事実はないようで、女性自身の「自民党関係者」というニュースソースもあやふやなようだ。どうやら安倍首相側に軍配が上がっている。
 ところが、この騒ぎを、大新聞はほぼ無視している。「もともと女性誌なんて、ねつ造記事まがいが横行している」と、はなから相手にしていないのである。だが、FB上の反応をみると、当の女性週刊誌や原稿を書いた記者への批判というよりも、マスコミのあり方の方に批判の矛先が向いているのだ。
 こうした問題が表面化するたびにマスコミ全体への批判が、間欠泉のように噴出するのは、マスコミがきちんと国民の期待に応えていないからだろう。国民にいとも簡単に「マスコミはダメだ」「週刊誌は平気でウソを書く」と言わせてしまうところに、今のマスコミが抱える問題の大きさが表れている。
(略)
 まがりなりにも、新聞やテレビなどのマスコミを通じた報道は、事実かどうかが検証されたうえでなされてきた。それがプロたるジャーナリストに課された使命だった。情報ソースから面白い話を聞き込んでも、検証しないまま、すぐに記事にするのはご法度である。もちろん、記者が記事をねつ造することなど、言語道断である。
 しかし今、そうしたマスコミの発信する情報の信頼性が落ち、権力者が直接発信する情報の信頼性の方が上回ってしまうことに、危険性を感じるのは私だけだろうか。
 この事件をきっかけに、マスコミは自らの情報精度に磨きをかける努力をすべきだろう。仲間内だから批判をしないというのであれば、同じ穴の貉として国民に「マスゴミ」扱いされる

まともなジャーナリズムをどうやって育てるか

 安倍FBが多くの国民の信頼を得ているのは、FBの特長とはいえ、発信が「個人名」だからだろう。かつて民主党議員による偽メール事件というのが起きたが、実名で嘘の情報を流せば政治家にとって致命傷となる。そのリスクを負って発言していることも大きい。
 一方で多くのメディアはいまだに記事の大半を無署名としている。記者は個人としてリスクを負っていないのだ。その時点でマスコミはすでに政治家に負けている。
 FBやツイッター上にも多くのマスコミ記者たちがアカウントを持っているが、それを活発に使っている人は少ない。新聞社やテレビ局が記者個人の発言を禁止したり、制限を加えているためだ。ジャーナリスト個人にリスクを負わせないのは、会社としてリスクを負いたくないからだろう。
(略)

実名主義(苦笑)を標榜し相手が嫌がろうが無視して実名を報じることをモットーとする大朝日にしてからが、対象によっては何故か実名報道を避けることが知られるようになっていますが、そもそも自分達が大朝日の看板に隠れて一方的に相手を攻撃するだけの立場にいるということに無自覚であるのはいただけないことです。
記事中にもあるようにネットと言うメディアに対抗するために既存マスコミは速報性などを初めとして幾つかの点で早急な改革を強いられている、しかし必ずしもそれがうまくいっていないらしいことは、例えば先日のレーダー照射騒動で毎日が当初「中国が友好ムードを演出しているのに安倍が態度を軟化させないからだ」と批判的に書いた速報記事を、1時間後にこっそり訂正していたお粗末な一件にも現れているように思います。
SNSが馬鹿発見器などと言われるのと同様、必要なリテラシーが欠如している記者が取りあえず適当な記事を書いてはろくなチェックも受けずにネット上に掲載する、そして案の定炎上した段階で訂正も謝罪もしないままこっそり書いた記事自体をなかったことにしておくというのは、個人レベルではありがちなことですが巨大組織の仕事ぶりとしてはいささかお粗末すぎますよね。
その根本原因として長年の記者クラブ制度に安住してきた彼らマスコミ記者の情報収集力、読解力がそこらの気の利いたブロガー以下のレベルにまで低下してしまっている、それなのに巨大な情報発信力だけは持ち続けているものだからどうしても悪目立ちしているのだとすれば、やはり求められるのは記者としての基本的なスペックの向上であるということではないでしょうか?
ネット上ですらすでにソース原理主義だの、「嘘を嘘と見抜けないものは(略」の法則だのと言ったことが当たり前の常識として情報がやり取りされている時代にあって、仮にもその道で食ってきたプロフェッショナルがろくに検証もしないまま大いに踊らされてしまう、それどころか自ら捏造報道にも手を染めるというのでは到底給料を受け取るだけの価値はないと言われてしまうでしょう。

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2013年2月 8日 (金)

救命救急 理屈通りの改善も実はなかなか難しい?

先日の川崎幸病院の一件に引き続いて本日も救急医療の話題を紹介したいと思いますが、まずは先日厚労省の検討会でまことにもってごもっともと言うしかない話が出ていたというニュースから紹介してみましょう。

「2次救急はアナログの世界」、委員が懸念-厚労省検討会、ICT活用例提示(2013年2月6日CBニュース)

 「2次救急はアナログの世界。なかなかデジタルに入り込めない」―。救急医療体制の今後の在り方などを検討するため、厚生労働省が6日に開催した検討会で、出席した委員から、救急車で患者が最初に運ばれる1・2次救急医療機関でICT(情報通信技術)の導入が遅れていることや、機材やシステムを十分使いこなせていないことを懸念する声が相次いだ

 2011年の救急搬送人員が過去最多を記録したことなどを受け、救急医療体制を充実させるために厚労省が開催した検討会。初会合のこの日、救急医療へのICTの活用に取り組んでいる専門家からヒアリングを行った。NPO法人ヘルスサービスR&Dセンターの青木則明理事長が、奈良県内で実証が進む「救急医療管制・意思決定支援システム」、横浜市立大大学院医学研究科救急医学の森村尚登教授が、院内と院外データの連結の重要性について、研究・調査のデータを示しながら、それぞれ現状や課題を解説した。

■「情報システムが情報を提供していない」

 青木理事長は、消防本部別搬送時間の内訳の表を示し、同じ県でも地域によって搬送時間に関する因子が異なり、これを平均化した数値では「なすべきこと」が見えないと指摘。「発症から治療開始のような全体を見通すアウトカムとプロセスで評価されるべき」と訴えた。

 また、現実に起こっている問題点では、搬送先選定のミスマッチがあると指摘。情報システムが受け入れ可能と表示していた「応需可」と、受け入れられないと表示されていた「応需不可」のいずれの医療機関でも、最終的に患者を受け入れた割合がほぼ同じだったため、「情報システムが情報を提供していない」と結論付け、現状を把握できていない可能性があるとした。

 さらに、救急医療の質向上のため、▽現状を把握するための数値や画像(情報)▽現場のマッチング改善▽広域の救急医療データの水平・垂直統合▽統合データの定期的なフィードバック―などが必要とし、「ICTの役割は、データの統合・情報の創出に基づく意思決定の支援である」と述べた。

■情報を集約するクラウドカルテを

 森村教授は説明の冒頭で、「救急医療は現場から始まる」と強調。病院到着までの体制や救護のプロセスがアウトカムに大きな影響を与えることから、「発生から病院まで継ぎ目なく傷病者をトレースして救急医療の質を評価する必要がある」と述べ、院外と院内のデータの連結の重要性を指摘した。

 また、将来的には情報を集約するクラウドカルテが不可欠になるとの見通しを述べ、▽院内外のデータを集約させることで、自動的に必要な情報がデータベース化される▽住民の急な傷病に対する救急医療の質の評価が可能になる―などの利点を列挙。地域住民を守る体制を確立させるため、効率のよいデータ収集が求められるとの考えを示した。

 委員からは、「ICTは目的ではなく手段。何が問題で、どう使うかの基本姿勢をしっかりしないと、ICTの海でおぼれてしまう」「やるのであれば、全国統一的なものを決めていかなければならない」などの意見が出された。【新井哉】

昔からむしろデジタル好きが多い業界にも関わらず医療のデジタル化が意外に進まないのにはそれなりの理由があって、例えば電子カルテと紙カルテとを比較すると長期間でのデータ閲覧性確保や事務処理の向上などを含めて全体としては恐らく電子カルテの方が効率が良いのだろうとは思われるものの、医師と患者が向き合う診療の現場というただ一点における迅速さでは紙カルテの方が勝っていると言う評価が多いようです。
医師個人の慣れにもよりますが外来診療を電子化すると一般に時間当たりでさばける患者人数は2~3割は減ると言いますし、一刻を争う救急現場で今までは口頭で取りあえず指示を出して処置を進めながら後刻カルテ記入すれば良かったものが、まず医師が電子カルテで指示を出し各部署にデータ転送をしないことには検査も治療も行いようがないといった笑い話のようなこともあるわけですね。
また救急「たらい回し」問題解消に救急隊が患者情報を一括送信して受け入れ可能な施設が返信すればいいじゃないかという人もからいますが、救急隊側から見れば大多数の患者はせいぜい2~3回の電話照会で受け入れられている以上入力をするより電話をした方が早い、受け入れ施設側から見ても救急隊が患者を拾うたびにいちいち確認し返信させられるのは勘弁してくれというのが正直なところでしょう。
もちろん地域内での患者情報共有などは救急のみならず日常診療におけるコストパフォーマンス改善にも非常に有益なことで、現に各地で共有化が始まっていることは望ましい改善だと思いますが、現在の技術では残念ながら何でもかんでも電子化すれば効率的になるというわけではなく、実際に診療にあたる現場スタッフの「手の感覚」も重視しながらやっていかなければならないということを明記すべきですよね。

いずれにしてもCT(コンピュータ断層撮影)などという文字通り電子化によって初めて実現した機械が今や当たり前に受け入れられていたり、現場スタッフが患者情報を一覧できるタブレットなどの個人端末を携行して病室を回ることも全く珍しい光景ではなくなったことにも現れているように、何であれ便利なもの、有用なものであればどんどん実社会に普及していくのは当然ですよね。
逆に言えば理念先行でこうした方がいいんじゃないか、こっちのやり方ならもっとうまくいくはずだと思い込んでいても実際にやってみるとうまくいかない、それどころかむしろ有害無益であったということにもなってくれば、これは早めに改めていかないことには患者さんにとってもスタッフにとっても何もいいことがないと言うことです。
先日中間報告が出た救命救急士の業務拡大問題においても、実際にやってみるとどうやら効果が期待出来そうなものもあればさして意味がなさそうなものもあったようですが、今回の実証研究では範囲に含まれなかった救命救急士による挿管の是非についてどうやら否定的なデータが出たらしいという記事を紹介します。

院外心停止者への病院到着前の高度な気道確保は転帰不良と関係(2013年2月4日日経メディカル)

 院外心停止者に対して、病院到着前に高度な気道確保(気管挿管や声門上気道確保器具の適用)を用いた人工呼吸を行うと、通常のバッグ・バルブ・マスクを用いた人工呼吸に比べて転帰は向上するのだろうか。かねて議論が続いていたこの問題について、日本の約65万人の院外心停止者のデータを分析した米Harvard大学医学部の長谷川耕平氏らは、高度な気道確保を行った患者では、神経学的転帰良好な状態での生存率が低いことを明らかにした。論文は、JAMA誌2013年1月16日号に掲載された。

 著者らは、「病院到着前の高度な気道確保は、成人の院外心停止者の転帰を改善する」という仮説を検証するために、日本の全国規模のレジストリである「All-Japan Utstein Registry」から得た情報を分析した。
 05年1月から10年12月までに院外心停止となった成人患者のうち、救急隊員による蘇生が試みられ、その後病院に搬送されてウツタイン様式で情報が登録された、連続する64万9654人の情報を抽出した。
 主要転帰評価指標は、院外心停止から1カ月の時点の、神経学的転帰が良好な状態(Glasgow-Pittsburgh cerebral performance category;CPCが1=転帰良好、または2=中等度の障害)での生存に設定。2次評価指標は、病院到着前の自発循環の再開、1カ月時の生存とした。
 気道確保がどのように行われたのかが記録されていなかった患者を除く64万9359人を分析対象にした。このうち36万7837人(56.7%)がバッグ-バルブ-マスクを用いた人工呼吸を受けており、28万1522人(43.4%)には高度な気道確保が行われていた。うち4万1972人(6.5%)は気管挿管を受け、23万9550人(36.9%)は声門上気道確保器具の適用を受けていた。

 自発循環が再開した患者は全体の6.5%、1カ月後に生存していた患者は4.7%、神経学的転帰良好な状態での生存者は2.2%だった。
 神経学的転帰良好な状態で1カ月後に生存していた患者の割合は、高度な気道確保群を受けていた群の方が低かった。高度な気道確保群全体では1.1%、バッグ・バルブ・マスク群は2.9%で、未調整オッズ比は0.38(0.36-0.39)。気管挿管が行われた患者の神経学的転帰良好者の割合は1.0%、声門上気道確保器具が適用された患者では1.1%だった。
 年齢、性別、心停止の原因、初期リズム、目撃者の有無、居合わせた人が行った心肺蘇生の種類、公共の場に設置されたAEDの使用の有無、エピネフリン使用の有無、救急要請の電話から救急隊員による心肺蘇生開始までの時間、救急要請の電話から病院到着までの時間で調整したオッズ比を求めた。その結果、高度な気道確保群の神経学的転帰良好な生存のオッズ比は0.38(0.37-0.40)、気管挿管群では0.41(0.37-0.45)、声門上気道確保器具適用群は0.38(0.36-0.40)になった。
 感度解析やサブグループ解析も行ったが、いずれも、これら高度な気道確保が神経学的転帰良好な状態での生存の可能性を有意に低下させることを示した。
 傾向スコアがマッチするコホート(35万7228人)を分析対象にしても、結果は同様だった。気管挿管群の調整オッズ比は0.45(0.37-0.55)、声門上気道確保器具適用群では0.36(0.33-0.39)になった。
 2次評価指標である病院到着前の自発循環再開の調整オッズ比は0.67(0.66-0.69)、1カ月時の生存は0.73(0.71-0.75)と、やはり高度な気道確保群で有意に低かった

 十分な検出力を持つ大規模研究により、院外心停止となった成人患者においては、気管挿管または声門上気道確保器具を用いた高度な気道確保は、1カ月後の神経学的転帰良好な状態での生存の独立した予測因子であることが示された。
 原題は「Association of Prehospital Advanced Airway Management With Neurologic Outcome and Survival in Patients With Out-of-Hospital Cardiac Arrest」、概要は、JAMA誌のWebサイトで閲覧できる。

日本での大規模データということで非常に有意義な研究であると思いますが、通常のマスク換気を行った群に比べると気管内挿管あるいはラリンゲアルマスクといった高度な(手のかかる)気道確保を行われていた方が当然結果がいいのだろうと思っていたところ、実は「高度な気道確保が神経学的転帰良好な状態での生存の可能性を有意に低下させること」が判明したと言うのですから大変な話ですよね。
それも多少の差と言うレベルではなく転帰良好な状態での生存率が4割程度にまで下がってしまうというのですから決定的と言えそうなデータで、もちろん院外心停止ともなれば元々ほとんどの方が亡くなってしまうという危機的状況であるだけに現場でも実感は湧きにくいのかも知れませんが、単純計算で28万人の高度気道確保対象者全員にマスク換気をしていれば5000人からの命が助かっていたという計算になるでしょうか。
以前から「都会で搬送に時間がかかるのは、救急救命士が医療行為を行っているから」だという意見もあり、下手な挿管に失敗して現場で手間取るくらいならさっさと病院に運べという手厳しい声も根強くありますし、また挿管をしようと心マを行う手を一時停めるともなると大切な初期における循環確保がおろそかになる可能性もあるのかも知れません。
今回の検討では病院到着時間なども調整して結果を出しているということですが、現場での救急処置にどれくらいの時間がかかっていたのかということでも比較出来ていればそのあたりの疑問に対してさらに一段と決定的な結論が出ていたかも知れないですね。

さて、EBMということが盛んに言われるのが現代の医療の世界だけに、こうした結果をどう扱うかということが問題になってきます。
以前から救命救急士が勝手に医療行為をした事件が少なからず報道されているだけに、こういうデータが出てくると「やはり救急隊などに医療行為まがいのことなどやらせるべきではないのだ」という批判的な声が高まってくることは当然予想できますが、受け入れ側医療機関や道路状況も含めて環境の整った救命救急ばかりではなく、それこそ先の大震災のように救急車が走れる道もなければ受け入れる病院もないという状況もあり得るわけですね。
そうした事態までも想定するなら救命救急士しかりナースプラクティショナーしかり、とっさの時に補助的であれ当座の救命処置を行うことの出来るだけのスキルをなるべく多くの医療関係者が磨いておくことは決して無駄にはならないはずですし、言葉は悪いですがそもそも大多数の人が帰らぬ人となってしまう院外心停止といった状況はそのトレーニングの場としてむしろ好適であるという考え方もあるはずです。
今一人前になっている大抵の医者はDOAで搬送されてきた患者さんを前に上司から挿管だ、中心静脈確保だと様々な手技をやらせてもらった経験があると思いますが、本当に技術の有る無しで大きく差が付く状況がいずれ訪れるのであれば全ての機会を捉えて腕を磨いておくことにこしたことはないと思います。

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2013年2月 7日 (木)

怪しげな似非科学を毎日が助長?!

報じたメディアがメディアだけに今さら驚くというほどでもないかも知れませんが、先日毎日新聞の関連サイトでこんな記事が掲載されちょっとした話題になっています。
ちなみに話題になっている純銀イオン水についてはこちらのサイトに写真入りで紹介されていますので、ご参照いただければその永続的な効果が明確に確認いただけるかと思います。

毎日新聞のサイトが「純銀イオン水」や疑似科学「水からの伝言」紹介で炎上(2013年1月30日ガジェット通信)

毎日新聞社のグループ企業・毎日新聞デジタルが編集している美容・健康に関する情報サイト『毎日キレイ』で1月16日に「13年に注目したい水3種」と題して、海外で深刻な健康被害が報告されている純銀イオン水など3種類の水や疑似科学の代表例として知られる「水からの伝言」を肯定的に紹介していたことが問題になっています。

執筆者として「内山真季」の署名が入ったこの記事ではミネラル炭酸水・水素水・純銀イオン水の3種類を取り上げており、ミネラル炭酸水は「胃腸の調子をととのえ、ダイエット効果も期待できるほか、血行を促進するといわれています」、水素水は「活性水素を水に溶かしたものでエージングケア効果に着目されています。体内で活性酸素と結びつき体外へと排出するので、活性酸素が遠因となるさまざまな病気についても改善が認められるそう」、そして純銀イオン水は「食品添加物として認められている銀が微量に溶け出した水のこと。消臭・除菌効果があり、しかも飲んで安全」としていますが、いずれも然るべき研究機関や論文などの提示はありません。それどころか、最後に紹介した純銀イオン水に至っては銀沈着症により皮膚が青ざめた色へ変色する深刻な健康被害が報告されており、有効な治療法も確立されていないことを理由にアメリカ合衆国食品医薬局(FDA)が水やサプリメントへの銀や銀化合物の添加を禁止するなど、明らかに記事中で宣伝されているような美容・健康志向とは対極の存在です。

しかも、記事の締めくくりでは疑似科学の代表例としてゲーム脳やEM菌と並んで名前が挙がることの多い「水からの伝言」について、以下のように肯定的な形で紹介しています。

    書籍「水からの伝言」(江本勝著)やドキュメンタリー映画「WATER ウォーター」(ロシア)で話題になりましたが、最近の研究では「水は情報を伝え る」ことが明らかになっています。愛や感謝を伝えた水を瞬間冷凍すると、たいへん美しい結晶となるのです。ですから、水を飲むときに「ありがとう」と感謝 してみましょう。“体が喜ぶ水”を飲みながら、水資源に心から感謝する。これが13年の正しい水との“おつきあい”です。

問題の記事に対しては『Twitter』でツッコミが続出する炎上状態となり、また編集部に対してクレームが数多く寄せられたためか27日までにサイト内から記事が削除されましたが、どうしてこのような深刻な健康被害をもたらす危険性が高い疑似科学を肯定的に紹介する記事が掲載されたのかについては記事執筆時点の29日現在も『毎日キレイ』のサイト上で読者に対する説明は行われていません

いわゆる代替医療を初めとして似非科学の問題は医療の世界にも決して影響無しとしないことは当ぐり研でもたびたび取り上げて来た通りで、以前にもホメオパシーに傾倒する助産師によってビタミンK製剤を投与されず新生児が亡くなったという不幸な事例がありましたけれども、ホメオパシー先進国?と目される英国を始めすでに文明世界ではこうしたものはまともな学術的対象としては扱われてはいません
ちなみに下村文科相が紹介したことでも知られるように同じ手法を応用して被災地福島で放射能除去を行うと主張している方がいらっしゃるということなんですが、どうもこの人物に関しては現地でも様々な噂が飛び交っているようで、やはりこうしたものは結局商売が絡んでくるものであるという共通項があるのでしょうか。
いずれにしても新聞、テレビといったマスコミがこうした似非科学と親和性が高いのは今に始まったことではなく、彼らに言わせると医師は守秘義務があって口が重いから使いにくいが、助産師などは顔出しで話もうまいので使いやすい、そして協力してもらう以上はあまり厳しいことも言いづらいという事情もあるようで、当然そうした偏ったソースに日常的に接している業界人も同じ考えに染まり更なる広報活動の連鎖が広がっていくわけです。
この結果「しかし先生!これはあのみ○も○たが言っていたことなんですよ?!」と主張する患者を説得するのに担当医が苦労したり、怪しげな健康法を真に受けて実践してみた結果思いも付かない健康被害を受けたといった症例が地方会ネタになっていたりするもので、今や似非科学そのものよりもマスコミの取り上げ方にこそ問題があるという言い方も出来るかも知れませんね。

医師限定アンケート 健康情報に関するテレビ番組の反響について(2013年1月25日産経ニュース)

医師専門サイトMedPeer(メドピア)に登録する医師(5.5万人以上)を対象に「健康情報に関するテレビ番組放送後の反響」について質問をしたところ、2,979件の回答が寄せられた。
反響が「少しある(過去に数件、思い当たる)」という回答は51.5%、「ある(日常的に感じる)」は37.6%で、約9割の医師が日常の診療の中で健康番組の影響を実感しているという結果となった。
健康情報番組の影響は大きく、テレビ番組で見聞きした情報を確認する質問や、過剰に反応する患者さんの対応に苦慮するという意見が多い。「翌日の外来では、この話題で持ちきり(40代、循環器内科)」「間違った認識もあり説明が大変です。(30代、産婦人科)」というコメントがみられた。「内容確認のため、自分自身でも見るようにしている(60代、神経内科)」という声もある。
特に反響が大きかった例として、生活習慣病、認知症、更年期、花粉症、健康食品などが挙げられた。健康情報番組以外に、有名人の症例や発言の影響力も無視できない。「正しい情報よりも「不必要な恐れ」「過度な期待」を惹起しているという印象を受ける(40代、精神科)」といったコメントも目立つ。
もちろんメディア情報による啓蒙というメリットも大きい。「『ためしてガッテン』で禁煙の特集があったあとは、禁煙外来に患者さんが増えました(30代、呼吸器内科)」という例もみられた。
(略)

リンク先の元記事には生のコメントが多数抜粋されていますけれども、無論真面目な医療情報で患者啓蒙の一助を担っているという肯定的評価もある一方で、「極めて稀なケースを取り上げて、あたかも全例に当てはまるかのように報道する」「一般的な症状から、非常にまれな重症疾患だけを連想させるような報道の仕方はどうか」といった否定的な意見も少なからずあることは否定出来ません。
怪しげな健康法や代替医療など似非科学的なものにひっかかるタイプの方々にほぼ共通する特性として、誰が言い出したことなのか知りませんが「西洋医学は症状を緩和するが、病気そのものは治せない」という妙な幻想を強固にお持ちの方が多いようで、それが転じて「この○○式健康法は症状を緩和するのではなく身体の性質を改善し病気の根本原因を絶つのです!」などという意味不明の説明に頷いてしまうのかなという印象を受けています。
そもそも全世界的に行われている応用化学の一分野としての現代医学をその誕生母地が西洋に多くを依存しているからと主張するのであれば、純然たる経験医学の一大体系である漢方などはともかくホメオパシーを初めとする似非医学大系の大部分もまた西洋似非医学と呼ばなければならないはずですが、ともかくも何故か西洋医学は対症療法であり代替医療こそ病気そのものを治すものだと言う発想は明らかな間違いです。
科学の一分野としての医学には解剖学や生理学、そして病理学や薬学と言った様々なジャンル分けがありますが、これこそまさに医学が身体の仕組みを解明し病気の成り立ちそのものを明らかにした上で根本治療を行なおうとしていることの証明であって、残念ながら未だ根治が行えず対症的治療に留まる場合でも可能な限り何故効果があるのかという仕組みを解き明かしながら治療を選択しているということですね。
そもそも新薬一つ当てれば巨額の収益が挙がることから世界中の製薬会社が鵜の目鷹の目で新薬開発競争を行っている中で、そんなに目に見えた効果のあるものであればとっくに調べられ臨床応用できないかと検討されているのが普通ですから、200年もの歴史(苦笑)を誇りながら何ら有効性が確認できなかったホメオパシーなどはまず間違いなくそこらの砂糖玉を舐めている程度の効果しかないと言うことでしょう。

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2013年2月 6日 (水)

大過剰の弁護士モラル絶讚崩壊中?!

昨年末のことですが、こうした記事が出ていましたことをご記憶でしょうか。

弁護士もシュ-カツ氷河期 司法修習終えた3割未登録(2012年12月23日朝日新聞)

 司法試験に合格して司法修習を終えた弁護士志望者のうち、3割近くが弁護士登録をしていないことが日本弁護士連合会の調べでわかった。弁護士の急増による就職難が背景にあるとみられ、未登録率は新司法試験の合格者が就職し始めた2007年以降、増加の一途をたどっている。

 日弁連によると、19日で司法修習を終えた2080人のうち、70人が検察官、98人が裁判官に採用される見込みになっている。

 一方、修習を終えて弁護士活動をするには、全国52の弁護士会の一つと日弁連への登録が義務づけられている。今年は20日が登録日だったが、登録したのは1370人。弁護士志望者の28.3%にあたる542人が未登録となる計算だ。未登録率は07年と比べて20ポイント以上増えた。日弁連は「弁護士志望者の就職状況は依然として厳しい」としている。

当ぐり研でも新司法試験導入合格者の就職難とワープア化は何度か取り上げていますけれども、同様の経緯を辿った歯科医などと同様に国家資格職で一気に大規模増員を図った結果、需要と供給のバランスが完全に崩壊してしまったことがその背景にあるのは言うまでもありません。
医師の世界でもメディカルスクールを創設し医師大量養成を直ちに開始せよと熱心に主張している方々がいて、近頃では政権交代を機に医学部新設への期待が一部方面に高まっているそうですが、先行する他業界で明らかに失政として認められている施策をわざわざ後追いするのも不思議な話で、あるいは医師が余りに余って「どんな仕事でもいいから働かせてくれ!」と言い出すことを期待してでもいるのでしょうか。
ともかくも昔から衣食足りて礼節を知るという言葉がありますけれども、こうした供給過剰状況が続けば弁護士のモラル低下をもたらすのではないかとは以前から危惧されていたところで、実際に信用とモラルが求められる職業において衣食が足りなくなるとどうなったかということを先日の記事から紹介してみましょう。

バッジが泣く…弁護士不祥事相次ぐ 過当競争影響(2013年2月3日産経ニュース)

 預かっていた現金を着服するなど、弁護士による金銭絡みの不祥事が全国で相次いでいる。依頼者が被害者になるケースが多いのが特徴で、過当競争による収入減が背景にあるとみられる。事態を重くみた日本弁護士連合会(日弁連)は再発防止策をまとめる作業に着手。難関試験を突破した法律のエキスパートの“堕落”ぶりに、司法関係者は危機感を募らせている。

 「着服したカネは事務所運営に充てていた。生活が苦しかった
 成年後見人として財産を管理していた男性の口座から現金1200万円を着服したとして、東京地検特捜部は1月、業務上横領容疑で弁護士の関康郎容疑者(52)=東京弁護士会=を逮捕。関係者によると、関容疑者は調べに対し苦しい台所事情を吐露し、遊興費にも使っていたことを示唆しているという。
 弁護士による不祥事は昨秋以降、全国で相次いで発覚した。預かり金着服や成年後見制度での詐取など信頼感を逆手に取った事件が多く、あるベテラン弁護士は「法律を武器とする弁護士が逮捕される現状は涙すら出る。公正と平等を示すはかりがあしらわれている弁護士バッジに泥を塗る行為。職業倫理は消えたのか…」と嘆く。

 ◆依頼者を標的

 不祥事の遠因とみられるのが、弁護士を取り巻く環境の変化だ。
 日弁連が平成22年に行った調査によると、平均的な弁護士の年間所得は12年の1300万円から10年間で959万円にダウン。一方、弁護士数は法曹人口の充実を柱とした司法制度改革を受け、同期間に約1万8千人から3万人へと急増した。「10年前に比べて弁護士間の競争は厳しくなったか」とのアンケートには4割が「そう思う」と回答した。
 司法関係者は、特に大都市圏での競争の激化が深刻だと指摘する。かつて「カネにならない」と敬遠されてきた刑事事件の国選弁護人も、「弁護士が殺到して案件を奪い合うような状態」(関東地方の弁護士)という。
 ある弁護士は「バブル時代は座っていても仕事が降ってきたが、現状は違う。客のカネに手をつけるのは言語道断だが、食い詰めている弁護士が増えていることは間違いない」と話す。

 ◆チェック強化

 不祥事の続出を受け日弁連は1月、「再発防止に全力を尽くす」とする理事会決議を採択した。
 近くまとめる再発防止策は、苦情が重なるなど注意が必要な弁護士を早期に見つける▽従来は各弁護士が管理してきた依頼者からの預かり金口座を弁護士会がチェックできる態勢をつくる▽懲戒請求制度を充実させ、速やかな処分を可能にする-ことが柱だ。
 日弁連事務次長の中西一裕弁護士は「過去にも金銭の不祥事はあったが、最近は額や悪質性が増している。こうした事態が続けば弁護士全体の信用が失墜する」とした上で、「(再発防止策の策定を)うみを出し切るチャンスにしたい。隠れた不祥事も掘り起こして処分していく」と話す。
 ただ「弥縫(びほう)策の域を出ず、チェックが厳しくなったところで根本の解決には至らない」(司法関係者)との声があるのも事実。依頼者側には、弁護士の“資質”を見抜く目が求められそうだ。

弁護士にしろ医師にしろその職務行為そのものは非常に専門性が高く、言い換えれば一見して素人にはその詳細がわからないものが多いですから、その気になればこっそり不正を行うこともさして難しい話ではないし、また実際に時折そうしたモラルハザードが発覚して報道されてもいます。
普通に考えても誰にも知られることもないまま行われてきた小さな不正は報道されたものの何倍もあるはずですし、一種の貧困犯罪に対していかにも金満な大先生方が「職業人として誇りを持ちモラルをもっと高めなければ」などとごもっともなお題目を唱えているばかりでは何ら実効性も期待出来ませんよね。
銀行員などはその採用にあたって本人や家族の信用調査ももちろんですが、ひと頃の銀行危機の折には盛んに社会的批判を浴びながらも高い待遇を続けているというのは、そうした誰にも知られないまま行える目の前の小さな不正に対して言葉は悪いですが「こんな小金に手を出しても仕方がない」と思わせることで抑止効果を期待しているということでもあるのでしょう。
現在の弁護士業界のように職にあぶれた弁護士がネットカフェで寝泊まりしている、などという驚くべき状況にあることから考えると、例えば彼らの目の前に相応の報酬と共にグレーあるいはブラックな依頼が提示された場合、それを彼らが拒否するだけの矜持を持てるかどうかははなはだ疑問ではないかという気がしますね。

全国医学部長病院長会議が昨年全国の医学部にアンケート調査を実施したところ、実に9割の医学部医学科で学生の学力が低下しているという回答があったと言いますが、世に言うゆとり教育の影響のみならず地域枠に象徴される学生定員の増加が学力低下に拍車をかけているという声は根強く、ましてや司法試験に一人も受からないロースクールがあるという司法の世界において学力低下がないはずはありません。
もちろん人並み優れて頭がよくなければ弁護士あるいは医師になる資格がないというものでもないでしょうが、試験に通りにくいということは牢人や留年などで人よりも余計に労力も学資もかかる上に、実際に資格を得てからそれらを取り戻すために残されている人生も少なくなると言う大きなハンディキャップを、そのスタートの段階ですでに抱えているということでもありますよね。
例えば医学部においても「広く社会経験を積んだ人材の方が人格的にも安定しモチベーションが高い」という怪しげな(失礼)理由で社会人入学がやたらにもてはやされた時代もありましたが、残念ながらこうした方々が労多くして収入的には全く恵まれていない急性期医療の最前線で身を粉にして働いていると言うケースは決して多くはないようで、それはきちんと人生設計をするほどに確実に儲かり元が取れる道を選ぶのは当然でしょう。
国家試験を通ったからと無条件に優遇する必要はないにしても基本的に潰しが効かないのが専門職ですから、仕事にもありつけないような無茶な増員をしておいて全ての専門職には聖職者さながらの献身を求めるなどと非現実的なことを言うくらいなら、最初から少しはその後の人生にも配慮をした制度設計にしておいた方が社会にとってもメリットがありそうに思いますね。

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2013年2月 5日 (火)

英国人の新たな野望 それはグローバル化してよいものなのか?

今やどんな職業においてもグローバル化の例外ということはありませんが、こちらそうした世の流れを積極的にビジネスチャンスとして活かしているという企業の話題が先日紹介されていました。

寿司でグローバル人材を目指す レストランオーナー、高給取りも夢ではない(2013年医月11日日経ビジネス)

 日本人であることが有利な職業で求人も多い。さらには給料もいい。日本人のグローバル化が求められる中、海外志向の日本の若者が今、注目している職業が寿司職人だ。
 世界は空前の寿司ブーム。しかも、その流れは拡大している。ニューヨーク市の中心部を数分も歩けば寿司店を発見できるし、デリやカフェテリアの多くは持ち帰り用の寿司を販売している。
 4年前に出張で訪れたイタリア・ミラノのラ・リナシェンテのレストランフロアには回転寿司店があった。食文化が発達して食に保守的だと思っていたイタリア、しかも老舗百貨店に寿司店があることに驚かされた。
 欧米の先進国ばかりではない。アフリカと寿司とは結びつけてイメージしづらいだろうが、ケニアのナイロビにも寿司店が数店ある。

 ただし、海外でおいしいと思える寿司店に出会うことは少ない。そもそも江戸前の寿司をよく知らないような職人もいる。例えばニューヨークでは、日本での修行経験を持つ職人もいるが、大半が韓国人、中国人だ。
 米国生まれのカリフォルニアロールをはじめ、海外では日本にないような“新種”の寿司がたくさんある。海外で受けるのはこういったものではないか、と思われる読者もいらっしゃるかもしれない。だが海外でも、寿司好きが求めているのは本格的な江戸前の寿司のようだ。海外でも、本格的な日本の寿司を提供する店に外国人にも人気のある店がたくさんあるし、来日した外国人を庶民派の寿司屋に連れていくと、「今まで食べた中で一番うまい」と感動されることも多い。
 寿司人気の高まりで「日本人が握った寿司」の価値は急騰している。だが、日本人のグローバル寿司職人が圧倒的に足りない。ここに大きな就職とビジネスのチャンスがある。

寿司職人500人超を海外に送り出す

 2013年1月7日号の日経ビジネス「旗手たちのアリア」で取材した寿司職人養成学校の東京すしアカデミーは、寿司でグローバル人材を育てる拠点だ。福江誠校長が開校して10年。1年コースで約150万円、2カ月コースで約83万円という高い授業料にも関わらず、どのコースも店員を超える応募が来る盛況ぶり。開校以来の卒業生1883人のうち、海外で働く日本人は500人を超える。同アカデミーの卒業生に対する海外からの求人も年間100件以上ある。
(略)
 なるべく若いうちに海外に行って寿司職人として働く。その後は自分の店を持ちあわよくば、複数店を経営して財を成したい。そんな若者にとって徒弟制度で10年も修行するのはあまりにも長い。短期間、集中して効率的に寿司の技術を作法を身につける専門学校があれば受けるはずだ、という東京すしアカデミーの福江校長の読みはズバリと当たった。

アジアなら20代で月給40万円も可能

 福江校長は「本格的な寿司店の開店は今、アジアがブームだ。シンガポールなどに進出して成功している寿司店も出てきている。だが、人材が圧倒的に足りない。待遇もよく20代で月給40万円を得るものもいる。」と語る。
 日本でもかつては寿司職人は高給取りだった。しかし、バブル経済の崩壊と長引く不況の影響で寿司店の客単価は下がり、さらに回転寿司チェーンなど郊外型の低価格業態が流行した結果、「かつて年収1000万円だった料理長でも今では500万円程度まで下がった」(福江校長)。
 一方、欧米では修業した日本人が握るということ自体が付加価値を持つ。新興国や途上国など物価の安い国でも事情はあまり変わらないようだ。

 それだけではない。「日本は早朝から深夜まで働き休日も少ない寿司店も少なくないが、海外は勤務時間が1日8時間で週休2日などワークライフバランスがしっかり確保できるのも魅力」(福江校長)。実際、サーフィンやスキーなど趣味と仕事を両立させるため寿司職人を選ぶ若者もいるという。
 東京すしアカデミーの生徒には脱サラ組も多い。2012年10月からの1年コース「寿司シェフコース」に在籍する生徒は10代から40代までの32人で多くがサラリーマンを辞めたばかり。入学式ではそれぞれがコース受講の動機や寿司職人を目指す抱負を述べるが、ほとんどが海外で働くことを希望している。
(略)

海外で働くために寿司職人の修行をするというのも一昔前であればちょっと考えられなかったことなのでしょうし、趣味と仕事を両立させるために寿司職人を選ぶという発想も何やら目から鱗ですが、事情を聞いてみればなるほどと頷けるところもあります。
技術職というものはもともと一面でそうしたところもあって、寿司職人にしてもあちらこちらの店に出向いて腕一本で食っていく渡りの職人は昔からいたわけですし、医師や弁護士といった国家資格職も取りあえず他にやりたいことがあるが食っていくための手段として資格だけは取っておこうと言う人もこれまた以前からいたのですから、実はそれほど特殊なことをやっているのではないとも言えそうですね。
昨今では回転寿司でおなじみの寿司ロボットもずいぶん進歩してきて、キッチンでアルバイトがシャリの上にネタを載せるだけという店も多いですけれども、普通の寿司から一巡りして今や回転寿司全盛になっている日本とは逆に、海外では生魚や海苔が苦手な人のために工夫した回転寿司から入って、今度は本格的な江戸前の寿司に挑戦してみようという人も増えてきているのだとすれば、これまで見のがされていた需要がここにあったということです。
昔ながらの徒弟制度で修行した職人さんから見ればこんな付け焼き刃の修行で何がどうなるものかと感じられるかも知れませんが、結局技術職などは終生修行が続くものとも言えるわけですから、まず始めにきちんとした初期教育を行っておけば後は各人の努力次第であるという考え方もありなのでしょう。
さて、この辺りの話であればお互いにwin-winの関係を構築出来る正しいグローバル化の一例とも言えるのかも知れませんが、一方でそれは果たしてやって良いことなのか?と思わず目を疑ってしまうようなグローバル化もあるようで、先日は本気か?!と突っ込んでしまいたくなるようなこんな驚くべきニュースが出ていました。

英国が“原則無料の医療”を世界に輸出(2013年2月2日サンスポ)

 居住者なら誰でも原則無料で医療を受けられ、英国が世界に誇る国家医療制度(NHS)をブランドとして生かし、ノウハウを海外に“輸出”しようという取り組みを英政府が始めた。

 海外で事業を展開し利益を国内に還元する狙いがあるが、NHSは治療の待ち時間の長期化など質の低下も指摘されており、患者団体からは「海外での金銭的な利益よりも国内の患者への対応を優先すべきだ」と懸念も出ている。

 英政府は1月下旬、事業を進めるための新組織「ヘルスケアUK」を設立。具体的な事業としては、(1)英国の病院の海外進出(2)中東、北アフリカ諸国での負傷兵のリハビリ支援(3)ヘルスケア産業での国際的な産・官・学連携-などが想定されている。

 昨年夏のロンドン五輪開会式では、エプロン姿の本物の看護師らがダンスを披露し、NHSの存在を世界に発信。各国から引き合いがあり、約100カ国で事業を展開する方針だ。

 保健省のハウ政務次官は「英国は医療ではほかに類のない経験と知識を持っており、世界のリーダー。海外の事業で雇用と利益が生み出せれば、国内のNHSにも有益だ」とアピールしている。(共同)

確かに「ほかに類のない経験と知識」は持っているでしょうし、その方面では最先端を疾走する「世界のリーダー」であるのもまた事実ですが、ねえ…
ともあれ古くは「ゆりかごから墓場まで。」という言葉に示されているようにある意味で英国社会補償制度の最先進性を象徴するものの一つであったとも言えたこのNHSですが、無論完全無料の医療制度なるものがうまくいくというはずもなく、「医療崩壊最先進国」と言うありがたくない別名までつけられています(最近はそれでも幾らか上向き加減ではあると言いますが)。
何故イギリスで無料の医療が成り立っているかと言うよりも無料とは何が無料なのかということを知らなければ実態を見誤りますが、ご存知のようにあちらで医者にかかろうと思えばまず無料の家庭医(GP)を受診しなければならない、ここではただ話を聞いてくれてせいぜいが処方箋を書いてくれる程度で、日本のようにCTまで取りそろえている町の開業医のようなイメージを持っていると全く期待を裏切られます。
ここで本当に医療を受ける必要があると思われる患者だけがきちんとした検査機械などをそろえてある病院に紹介されるのですが、無料だからと際限のない医療の浪費を抑制するためには有効なシステムだとは言え、急病の際などを考えて見てもいかにものんびりした制度だなと誰でも思いますよね。
その最たるものとして2002年の報道ですが「外来受診および入院を待っている人は全国で100万人を超えている(略)うち21週間以上待っている人の数は3万人を超える」と言われる公的病院の待ち時間の長さが上げられますが、それがために本当に病気になった際にはわざわざ自腹で待ち時間の短い私立病院にかかるというのですから何ともおかしなものにも思えます。

同じように低コストの医療を行い近年医療崩壊という現象が表面化している日英両国ですがその内情はこれほどまでに違っていて、日本の大多数の患者であれば律儀にフリーアクセスを固守している日本のシステムの方がずっといいじゃないかと思うかも知れませんが、興味深いのは両国民のこうした医療制度に対する満足度の差です。
以前にも紹介しましたように日本で医療に満足している国民はたった15%と主要国最低である一方、イギリスでは実に55%がこの制度に満足していると言うのですから、単純に日本人は何であれ自己評価が厳しのだと見るだけではイギリス人の自己評価の高さは理解出来ないということになってしまいますね。
考えてみればイギリスの場合いちいちGPにかかるのは不便だ、待ち時間が長いと言ってもそれは全国民平等にそうなっているということであって、しかもそれが嫌であれば別枠でお金を出せば救済策も用意されているのですから、不満があるとすれば自分にふさわしい受診の仕方を自分で正しく判断出来なかった自らの選択ミスに不満を言うしかないとも言えるのでしょうね。
そう考えるとこのNHSというもの、一見すると患者のフリーアクセスを極端に制限する頑迷極まるシステムであるようにも見えて、実は根っこのところでは日本全国どこに行っても統一料金の公定価格による医療以外は一切認めないという日本以上に大きな自己判断の余地が残されているとも言えるのかも知れません。

この辺りは人間の性質というものも大いに関係しているのでしょうが、おおむね同じような内容であったとしても自分自身で選択した結果であれば納得出来るものであっても、他人が勝手に決めて押しつけてきたと感じてしまうと必要以上に反感を感じてしまい、何か少しでも気に入らなければ「俺は本当はこんなものを望んでいたんじゃなかったんだ」と不満を募らせやすいという事情もあるのでしょうね。
例えば学校給食とファーストフードでは味の水準としてはそう大差はない、それどころか食べ物としてみればより安価な料金で栄養学的にも真っ当なものを出しているのは給食の方だと思いますけれども、マク○ナルドのドライブスルーに行列待ちが出来ているのは珍しくない一方、学校給食が大好きだという人もあまりいないわけです(昨今ではそうしたニッチなマーケットを対象とした商売もあるにはあるようですが)。
風邪をひいたと大学病院を飛び込みで受診してもすぐに診てもらえる、そこらの診療所に行っても至れり尽くせりで検査をされ必要ならすぐに大きな病院にも紹介してもらえる、どんな馬鹿げたことで呼んでもすぐに救急車が駆けつけ搬送してくれる(イギリスでは電話した、あるいは到着した段階で蹴られる事があり得ます)と、そう考えて見ると日本の医療は過保護すぎてかえって患者の不満を高めているのかも知れませんね。

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2013年2月 4日 (月)

川崎幸病院で医師が救急隊長に暴力沙汰?!

短信記事だけでは今ひとつ状況が見えてこない事件報道は決して少ないものではありませんが、こちら川崎市で発生した小さな事件もなかなかに珍しい状況であったろうと思われるにも関わらず、記事を読んでいるだけでは何が問題だったのか今ひとつはっきりしません。

医師、救急隊長の胸ぐらつかむ…患者容体巡り(2013年2月2日10時04分  読売新聞)

 川崎市幸区の川崎幸病院で1月、幸消防署の救急隊が搬送した患者を引き渡す際、救急隊長が口論になった男性医師に胸ぐらをつかまれるなどしたとして、同消防署が病院側に謝罪を求めるトラブルになっていることがわかった。

 市消防局によると、1月24日午前8時50分頃、救急隊長ら3人が80歳の男性患者を同病院に搬送。別の隊員が患者の意識はないと医師に伝えて引き渡したところ、搬送前に電話で意識がはっきりしないとの報告を受けていたことから、医師が救急隊長を呼んで確認。その際に口論となり、医師が救急隊長の胸ぐらをつかんで数回揺すったとしている。救急隊長にけがはなく、患者への影響はなかった。

 幸消防署は病院側に、「指導としてはやりすぎではないか」として謝罪するよう申し入れを行った。ただ、救急隊長は、医師に呼ばれるまで救急車内におり、市消防局は「救急隊長が患者の容体を医師に直接報告すべきだった」としている。

 一方、同病院によると、医師は以前から、患者の容体を正確に連絡するよう救急隊長に言っていたという。

 病院の聞き取りに対して、医師は救急隊長の胸ぐらをつかんだことは認めているが、「患者の全身の観察が不十分。生命に関わることなので何度も(救急隊長を)指導したが、対応してくれなかった」と話したという。

 同病院では来週にも同消防署と話し合いを行う予定。

いかなる理由があろうとも暴力行為に及ぶということは決して行ってはならないことですし、また医師と救急隊員との間で行われる行為として考えても全く適切とは思えませんが、何故それほどの口論になったのかということが気になりますよね。
記事から判断しますとトラブルの原因としてはどうやら救急隊の伝えてきた意識レベルと実際の患者のそれとの間に差があったと言うことなのですが、現場に同席した救急隊員の引き渡し報告に納得せずわざわざ車内に残っていた救急隊長を呼んで確認したというくらいですから、救急隊としてどういう基準で意識レベルを判定しているのかといったことが口論の元だったのかも知れません。
うがった見方をすれば内規?に反して救急隊長が車内に残っていたことは救急隊側も問題意識を持っていると言うくらいですから、もしかすると日常的にこの医師と救急隊長とが個人的に折り合いが悪かったといった事情すらあったのかも知れませんね。

ただこうしたことはどこでもいいから患者を引き渡して仕事を終わりにしたい救急隊には全く当たり前にあることで、急性アル中を意識障害の患者と言い換えたりするといったケースは恐らく全国各地の救急隊が日常的に用いているレトリックだと思うのですが、そうした確信犯のみならず明らかに知識不足から搬送に支障を来しているケースも確実に存在します。
例えば救急崩壊が叫ばれていた頃には兵庫で肝硬変で吐血を起こした患者が18病院にたらい回しにされ死亡したとマスコミに大々的に取り上げられた事例がありましたが、当時公表された(!)搬送要請先リストを見ますと無床ビルクリにまで連絡したり、患者の基礎疾患など一切伝えず当直医の診療科を訪ねるのみで搬送先を探すなど、とても信じられないような不手際の連続であったということこそ明らかになったわけですね。
しかも同じ市内にはきちんと受け入れ可能な専門施設もあったにも関わらず報道各社から惣バッシングされたことで、当時輪番を担当していた病院がいくつも脱退を申し出る騒ぎになりましたが、今回の場合も同じ医師が同じ救急隊長に何度も同様の指摘を繰り返していたが改善がなかったことが暴行沙汰へと結びついた主因だったとすれば、心情的には理解出来なくもない話です。
特にこの川崎幸病院というところは救急に関しては相当に力を入れているようで、わざわざ院内に救命救急士が常駐して救急患者のコーディネートをし患者を断らないことをモットーとしていたと言いますから、こっちはこんなにも努力しているのにいつもいつも適当な報告で患者を送ってきやがって…と言う意識もあったのかも知れませんね。

vol.07 救急救命士: 命の最前線!EMT科で活躍する救急救命士のパイオニア達(2011年7月チームオンコロジー.com)より抜粋

日本救急救命士協会 副会長
社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院 コメディカル部 EMT科主任
大橋 聖子(救急救命士)

日本で唯一のEMT科主任。病院における救急救命士のチ-ム医療実践のモデルケースとして、救急救命士の職域拡大をめざし活躍している。
(略)
川崎幸病院(以下、当院)では、年間6,000件近くの救急車を受け入れている。“救急を断らない”という病院方針を実践するため、受入れ体制の強化を目的として、平成20年4月に救急の入口と出口をコーディネートするEMT科(Emergency Medical Technician)を設立した。それに伴い新たに「救急コーディネーター」が誕生した。当院は全国的にも珍しく、救急救命士が自立した1つの科を持ち、今や1メディカルスタッフとしての地位を確立、11名の救急救命士が在籍している。
(略)
救急コーディネーターの導入により、救急外来での診療は医師・看護師・救急救命士で分業化を図れるようになり、それぞれの業務に専念することで診療効率を向上させ、より多くの患者対応が可能となった。

その結果、救急車の長時間の現場滞在が問題となっている神奈川県川崎市医療圏において、救急隊が病院を選定する時間の短縮に貢献している。中には、救急車で30分以上かけて来院される患者も少なくない。患者Aさんは、「体がしんどいのに救急車がなかなか出発してくれなくて。たくさんの医療機関に電話した挙句にやっと受け入れてくれたのが川崎幸病院だったんです」と現場滞在中の不安だった声も聞く。とにかく、迅速な救急処置を行うことが、いかに重要であるかを痛感している。

また、満床や専門的治療を理由に当院から転院する患者については、担当となった救急コーディネーターが、患者に出来るだけ負担が少なく、かつ病態に合わせ た最適な転院先を選定する。患者の保険情報や家族背景、自宅から転送先の距離など社会背景や経済的事情にも配慮して交渉を進める。救急患者ゆえ迅速に入院 加療が開始できるように、およそ1時間以内にはすべての手配と準備を終えることができるように心掛けている。その後、担当救急コーディネーターが同乗し、 当院救急車にて患者の転院搬送サービスを行う。受入れ先医療機関の救急医師へ患者情報を伝達し、引き継ぎを終えるまでが我々の仕事となる。

不本意ながらも当院にて入院の受入れが出来なかった患者でも、初療から関わっている救急コーディネーターが共に転院先まで同行する。その安心感は、患者家族Bさんからも「救急車で送ってもらえる上に、転院先まで一緒に付き添ってくれるんですか…本当に心強い」との言葉や、他にも数多くの感謝の声を頂いている。

また、当院にて発生した転院搬送は、極力当院救急車にて行う努力をしている。このため、川崎市の救急車は本来の住民サービスとしての救急に対応できるようになったので、行政との地域連携を図り、協力体制の基盤を作ることができた。さらに、消防機関所属の救急隊と同じ資格を持つ救急救命士として、周辺地域の関係機関との情報交換や交流を図り、顔の見える救急受入れ体制を作る動機付けとなれたのではないかと思っている。
(略)

救急担当の医師の側からすればこちらはここまで救急隊の要請に応えて受け入れに努力しているのに、毎回毎回同じ事を言っているのに一向に改善される気配もないのでは誠意を疑うしかないという心情も理解出来ますが、いずれにしても病院側から正式に抗議をするなり真っ当なやり方であれば周囲の賛同も得られたかも知れないのに、こうした暴力行為に訴えたのでは主張の正当性も失われかねませんよね。
ただ今回の場合タイトルを見る限りでも決して医師に好意的とも思えない記事なのですが、ネットなどの書き込みを見ていましても何となく状況を察してか「過去にも常習的に嘘報告で患者を送り込んでいたのでは?」といった意見もあったり、むしろ記事の見出しや内容が医師への悪意に満ちているといった報道姿勢への批判が多いというのはひと頃のことを考えると意外とも感じられる変化です。
今回の事件は詳しい事情もはっきりしませんし当事者双方のキャラクターなどももちろん全く判らないままですが、一般論レベルとは言え報道直後から現場の実情を知る人間からの情報発信が行われ、それが当たり前に何も知らない市民へ伝わって判断材料となっているというのは、マスコミの報道の仕方一つで簡単に世論が左右されていた時代から考えると隔世の感がありますね。
報道の姿勢はともかくとしても医師の側も謝罪すべきは謝罪すべきなのは当然であり、また救急隊側もきちんと状況を再検証し再発防止のために改めるべきは改める必要があるでしょうし、またそうした検証の経緯を含めてきちんと事後報告という形で公表していただければ同様のトラブルには日常的に悩んでいる全国の救急受け入れ現場にとっても大いに参考になり、初めてこの事件も意味あるものとなることでしょう。

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2013年2月 3日 (日)

今日のぐり:「香徳園」

意図して行っているのであれば一種の犯罪行為でしょうが、意図せずに行ってしまったのであればとんだ悲喜劇と言うしかない事件が報道されています。

ASUSのマウスをネットオークションに出品 → おっさんの裸が写ってる 素敵!(2013年1月22日ガジェット通信)

ネットオークションに出品する際は購買意欲をそそらせるために、いかに写真をきれいに撮るのかにかかってくる。同じ商品がリストされていても、きれいな写真の方を誰でも落札したくなるだろう。そんなネットオークションに出品されたASUSのマウス。

そのASUSマウスの画像に男性の全裸画像が写り込んでいると話題になっている。その男性はなぜ全裸で写真を撮影したのだろうか。撮影から投稿までの間に気づかなかったのだろうか……。気になることは数あるが、もしかしたらわざとやっているのかもしれない。

過去にも同じ事例がたくさん起きており、デスクトップパソコンに映り込む裸のおっさん、CDケースに写り込むおにいさん、ギターに写り込むおっさんなど結構同じことをやらかしている人がいるのだ。またそれらの人はかなりの確率で全裸という……。オークションの出品画像撮影時の“おやくそく”なのではないかと思えてくる。

これが可愛い女の子だったら落札額も一気に増しレア物になるが、おっさんとなると話は別である。

※画像引用および参照元:http://tt.mop.com/read_13295237_1_0.html

興味のある方はリンク先の画像を参照いただきたいと思いますが、しかしこういう時代だけにネット経由での思わぬ個人情報流出にはくれぐれも用心いただくしかなさそうですね。
本日は世界中から思わず警戒警報が鳴りまくりそうなネットの怖さを物語る記事を幾つか紹介してみたいと思いますけれども、まずはこちら別な意味でドキドキしてしまいそうなニュースです。

け、けしからん!! ストリートビューで露天風呂の中が丸見え(2013年1月16日GIZMODO)

さあ、今すぐ「長野県下高井郡山ノ内町平穏6845」をGoogleマップで検索だ! 検索したらすかさずストリートビューに切り替えよう。なんと、混浴露天風呂の中が丸見えになっているのだ。これはいいのだろうか......。

さっそく試してみた。

ほんとに丸見えだ! この温泉の名称は「地獄谷野猿公苑」。標高850mのところにあるこのこの地は、ニホンザルの生息地域。そのニホンザルたちが温泉に入りにきてるんですね。

いやー、みんな気持ちよさそう。でも、露天風呂の中まで撮影しちゃうなんて、Googleさんもなかなかですな。

…思わず「返せ俺のときめきを!切なさを!」と叫びたくなった人、先生怒らないから手を上げてください。
食べ物の恨みは恐ろしいという言葉も最近の日本ではやや縁遠くなった感がありますが、こちら恋の恨みは恐ろしかったという話題を紹介してみましょう。

元彼の行動許せず“秘密”売却、競売サイトに出品したら大人気に。(2013年1月20日ナリナリドットコム)

良好な人間関係をいくら積み重ねても、1つのきっかけですべてが崩れることもある。昨年、恋人だった男性と友好的な破局に至ったというニュージーランドのある女性は、別れた後にされた行動が原因で男性を許せなくなったそうだ。そこで、彼が彼女にだけに明かしていた“秘密”を競売サイトに出品。すると期待していなかった彼女の予想に反し、“秘密”は多くの人から注目を集め、競売サイトで昨年度の閲覧数第10位に入るほど話題になったという。

ニュージーランドのニュースサイトstuff.co.nzなどによると、彼の“秘密”を出品したのは、北島中央部のワイカト地方で教師をしているアンジェラ・ポッターさん。彼女は昨年1月頃、交際していた男性と「友好的な破局」を迎えた。それまでは彼に対する大きな不満などは抱えておらず、キレイに別れたはずだったのだが、彼は破局した後になってポッターさんを怒らせる行動を取ったそうだ。

破局後、男性はポッターさんに多くを語らぬままオーストラリアへ転居。その際に彼女のスーツケースを勝手に使い、一緒に持って行ったという。「思い入れがあった」というスーツケースを持って行かれた彼女は、すぐさま返還を要求。しかし彼にその要求を拒まれたとき、ポッターさんの中で「何らかの報復をしよう」と、彼が残していった“秘密”の売却が頭に浮かんだ。

釣りが大好きだった彼は、北島周辺でよく釣れるスポットを見つけるとGPS座標を記録して残していた。「釣りに熱心でとても上手だった」彼にとって、数々の秘密スポット記録は経験で蓄えた大切な宝物。しかし、交際中は「一生内緒にしておいてと頼まれた」そんな記録も、別れたとなればもはやポッターさんには不要の代物だった。

そして昨年1月、ポッターさんは彼の大事な数々の情報を売ろうと、ニュージーランドの競売サイト「Trade Me」に投稿。「100くらいの反応がある程度だと思っていた」との予想に反し、多くの人がチェックしていった競売ページは、結果的に「8万9,688ビュー」を記録、サイト内では「2012年で10番目に見られた」商品になったという。

結局彼の“秘密”は3,000ドル(約22万円)で落札され、スーツケース代は十分に取り返したポッターさん。競売に出した事実はきちんと知らせたそうで、彼は当然だろうが「他人に知られて全く喜んでない」という。してやったりのポッターさん、またしても釣り好きの新しい恋人を見つけて幸せを取り戻したようだが、元恋人の“秘密”は売った人だけのものとして、新たな彼に教えるつもりはないそうだ。

しかしこうした情報というのも知的財産権等々の絡みではどのように保護されるものなのかは判りませんが、他国に転居したと言うくらいですから実害を伴わないいたずらの範疇に収まっているのでしょうかね。
これまた実害はないと言えばないものですが先日ちょっとした話題になった記事で、一体何がどうなっているのかという珍騒動の顛末を紹介してみましょう。

非実在のインドの戦争掲載=偽ページ5年間放置-ウィキペディア(2013年1月8日時事ドットコム)

 【ムンバイ(インド)AFP=時事】「ビコリム戦争 1640~41年、ポルトガルとマラータ王国の間で起きた戦争」。インターネット上の百科事典「ウィキペディア」に5年間、実在しない戦争が掲載されていたことが分かった。問題のページは最近、削除された。
 いたずらによるものとみられるが、2007年7月に書き込まれた後、12年暮れになってユーザーの一人から指摘があるまで放置されていた。ビコリムは現在のゴア州の一地区で、解説はでたらめながら極めて詳細だった。

これもそれと知って積極的に検索をかけて初めて閲覧できるオンライン百科事典独特の現象なんでしょうが、考えて見ますと何かと応用の利きそうな話でもありますのでくれぐれも悪用はしないでいただきたいものです。
ネット上での商品の売買は今や当たり前のことではありますが、こちら改めてその怖さを再認識させられるニュースを紹介しましょう。

これは衝撃的すぎる! 韓国で売られている「プール付き豪邸」物件写真の撮影テクがハンパないと話題に(2013年1月23日Pouch)

一生に一度のデカい買い物といえば、言わずもがな「家」でありましょう。夢の一戸建て! プール付きの豪邸なんて、夢のまた夢のまた夢の夢……のまた夢です!

そんななか、韓国のオークションサイトに出品された「プール付き豪邸」が世界的に話題になっています。なぜ韓国の物件が世界で話題なのか? その答えは絶妙すぎるカメラアングルにあります。

1枚目の写真では、瓦屋根の豪邸の庭に大きなプールがあるように見えます。瓦とプールの組み合わせとは、なんともスゴイ! 続く2枚目の写真を見ても、誰もが納得の豪邸です。

しかし……3枚目の写真を見ると……ッッッ!!

何がどうスゴイのかは、自分の目でお確かめください。カメラアングルだけでここまで騙されてしまうとは衝撃的すぎます。なんという罪深き撮影テクニック。この撮影テクをマネすれば、どんな家でもプール付きになりますよ!(文=長州ちなみ)

参照元:Warnet.ws

まさに詐欺の手口をこの目で見た!という感もあるのですが、一応は三枚目でネタバラシをしているところからまだしも悪意はないということなんでしょうかね。
同じくネット通販によくある危険性への自衛策がこちらということなんですが、正直その発想はなかったという目から鱗のニュースでもあるかも知れません?

ネットで売っている洋服が自分に似合うかどうか一発で分かる方法が発見される(2013年1月23日ロケットニュース24)

便利すぎるネット通販。書籍に電化製品に日用品、食品からお酒まで、何でもかんでもネットで買ってしまう人も多いだろう。しかし、そんな通販モノの中でも不安なのが衣類である。

ピッタリのサイズを買ったとしても、果たして自分に似合うのかは……届いてみないと分からない。そんな不安を一蹴する、目からウロコのバーチャル試着テクニックを中国のネットユーザーが発見したとのことでお伝えしたい。

用意するのは……バストアップの証明写真一枚だけだ。その写真をPCの画面の衣類に合わせてみると……おおおッ! まるで自分がその洋服を着ているように見えるではないか! これなら安心して衣類も通販できるだろう。

もしも画像と写真のサイズが合わなければ、画像を拡大表示すればオッケーだ。首元から顔までを上手に切り取った「バーチャル試着用証明写真」を用意すれば、さらにリアリティが増すことだろう。レッツトライ、グッドラックだ。(文=GO)

参照元:tt.mop.com(中国語)

まあ百歩譲って合うかどうかではなく似合うかどうかを見るだけだとしても、体型によって服の形自体も変わりますからあくまでも参考にしかならないような気もしますが…
こちらはご存知ブリからの話題ですけれども、日本でも考えられなくはなさそうなニュースでもあるのが怖いですよね。

【海外:イギリス】「退職のご挨拶」メールで上司を告発!「3階の部屋で女性社員とヤッてました」(2012年9月26日日刊テラフォー)

イギリスで今、あるマスコミ企業の社員が送ったメールが話題になっている。
送信者はMECグローバル社の営業マネージャー、キーラン・アレン氏。このたび、退職することになったので、同僚含めた従業員全員宛てにご退職の挨拶メールを送信したのだ。その後ツイッターに投稿され、一気にネット上に広まった。
だがこの「退職のご挨拶メール」、ただのメールではない。
上司の悪行を告発する爆弾メールだったのだ。

「この度、わたくし、営業のキーラン・アレンは退職することになりました」から始まったはいいものの、ここから怒濤の暴露劇が始まった。
「この二年半、ボーナスを凍結され、上司から数々のパワハラを受けました。私が退職を決意すると、彼は会社にとどまるよう説得してきました。給与をアップさせる、状況を改善する、といってきたのです。しかしこの提案を受け入れた私には膨大な量の仕事が割り振られました。これによる過度のストレスによって体調不良になり、2週間仕事を休むことになりました。そして職場に復帰後、その上司は復帰を歓迎するどころかまるでよそ者に接するかのような態度をとってきたのです」
アレン氏とこの上司、元々馬が合わない仲だったのかもしれないが、これではまるで社内いじめではないか。
「これだけではありません。この上司はパラリンピックのことを'とんまのオリンピック'と小馬鹿にしたジョークを言い、さらには'俺にはユダヤ人の血が一滴も入ってないんだ。これは誇れるな'とも言っていました。
それから彼は性差別主義者でした。女性社員と面談後、オフィスの3階の部屋で彼女と性行為をしていました。」
この時点ですでにこの上司の評判は崩壊したであろう。パワハラ、差別主義者、会社で性行為・・・。これはキツイ。
「自分の気持ちを伝えたかったのです。そしてこの会社の従業員の将来のために言っておきたかったのです。誇張はありません、すべて真実です」

メディア関係者のこの告発のやり方に「メディアに携わる人間がこんな方法つかうなよ」と批判がある一方、「いや、それだけキレてたんだろ」とアレンさんを支持する声も多い。
この上司、この騒動に対し、「こんな行動をするアレン氏を支持する人がいるなんて・・・悲しいです。彼のやり方はプロフェッショナルじゃありませんから」と言いつつ、「何か彼の力になれればいいのですが・・・直接話したいのですがね」と一応の上司としての余裕を見せる内容のメールを従業員に送信したという。
アレン氏のやり方にも問題はある。しかし冷静に話し合うとこができなかったからアレン氏はこの爆弾メール手段を取ったのではなかろうか。
今後この騒動が名誉毀損等の訴訟に発展するのかどうかは不明だが、なるとすればイギリス中の注目を集めるに違いない。
爆弾メール→ツイッターで拡散させてしまう社員vsパワハラ・差別主義者・セックス狂いの上司・・・。想像しただけでも頭が痛くなる。

しかしこのアレン氏、むしろ退職の時点までブリ的諧謔の発露を抑制していたと考えればよほどに無駄な自制心の強い人であったのかとも言えないでもないかも知れません。
最後に取り上げますのもこちらブリからの話題ですけれども、何故そんな行為に走ったのかと誰しも首をひねるというニュースです。

“お札で尻拭く写真”選手炎上、なぜか流出でプレミアリーガー謝罪。(2012年12月12日ナリナリドットコム)

数あるスポーツの中でも、世界的に“なりたい職業”として子どもが憧れるプロサッカー選手。それだけに、いま、活躍の場を手に入れている選手たちは、品格を疑われないように注意を払いながら行動しなくてはならない。しかし英国のあるプレミアリーガーは、以前ふざけて撮った個人的な写真をチームサポーターから英紙サンへ提供され、高収入を得ている彼の見せた行動が「尊大」などと、多くの非難を受ける事態に陥った。

この選手は、イングランド・プレミアリーグのWBA(ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン)所属のDFリアム・リッジウェル選手。サン紙の説明では、写真はWBAサポーターから「気分が悪くなる写真」と提供を受け、紙上に掲載したという。そこには、リッジウェル選手がトイレでズボンを下ろし、20ポンド札を使ってお尻を拭いているかのようなシーンが写されていた。

サポーターを名乗る人物がどのような経緯で写真を手に入れたのかは明らかにされていないが、持ち込んだ人物は「私たちはいつも、サッカー選手が尊大で、金をもらい過ぎる道化師と思っていたが、この写真がそれを証明している」とコメント。週給2万ポンド(約260万円)を得ている彼が、お金をトイレットペーパーの代わりに使ったり、床にばらまいたりしている姿を目にして憤慨したサポーターは、怒りの告発としてサン紙に提供したようだ。

というのも、チームが本拠を置く英中部の街ウェスト・ブロムウィッチは、英国の中で「最も収入が低い地域の1つ」(英紙デイリー・メールより)とされ、こうした市民の経済事情も少なからず影響していると見られている。ただ、写真の掲載でリッジウェル選手への風当たりは全国的なものとなったようで、サン紙には「毎週貴重なお金を払っているファン全員に対して、完全なる恥」と糾弾する意見など、非難の声が多数寄せられたそうだ。

この事態を受けて、当のリッジウェル選手はサン紙の取材に応じて、写真を撮った経緯を説明。彼の話によると、8か月前の今年春先に、友人とやった「個人的な賭けに勝った」ときに今回の写真を撮影し、負けに終わった友人をからかおうと「ジョークのつもりで」アイデアを思い付いたという。

その上で、撮った写真は「彼(友人)だけに見せるつもりだった」と釈明。しかし世間に公になってしまった現実を「受け止めている」と話したリッジウェル選手は、「不快感を与えて申し訳ない」と謝罪の気持ちを表した。

社会的には厳しい視線を集める騒動が起きた形となったが、チームは「プライベートな問題」として静観の構え。ただ、常に注目される世界にいる人間として軽率だった面は否めず、今回の騒動を教訓にしてもう一度襟を正し、まずはピッチの上で世界から注目される活躍を見せて欲しいところだ。

プライベートと言えばまさに究極的なプライベートなのですけれども、生粋のロンドンっ子だというリッジウェル選手だけにあふれるブリ的嗜好を抑制しかねたということなんでしょうか。
ちなみに当然ながらwikipediaの同選手のページにはこの一件が掲載されてしまっていますが、騒動の余波を受けてか散々な一週間を過ごしたようですね。

今日のぐり:「香徳園」

岡山市内でも中心街を外れ幹線道路も外れ、一本裏道に入った住宅地の一角という場所に位置するのがこちらのお店です。
定食などごく大衆的なメニューを提供する中華料理屋ですが、これだけ一見さんを拒否するかのような立地にあるにも関わらず固定客も多いようですし、近隣の方々らしい持ち帰りも相当に出ているようですね。

この日はややこってりしていそうな回鍋肉定食を頼んで見ましたが、素材としては少し堅めのキャベツの外側の葉を良い具合に食感を残した加減に仕上げてあって、頃合いの炒め具合はプロの技を感じさせますね。
一見すると少し甘味噌を焦がし過ぎではないか?とも思えるのですが、味付け自体は決して味噌頼りでないので油ぎとぎとのようでも割合にすっきりした後口に仕上がっているのが印象的です。
以前に来たときにはまるで味がなっていなかったのですが、今回はスープはちゃんとした味になっていて、もちろんかなり薄味に仕上げているのですがこういう強い味の主菜にはこうした微妙な塩加減が合うと思います。
飯は米の味自体はごく普通なのは仕方がないとして、やはり柔らかめながらなんとか粒が立つ炊き加減といったところなんですが、以前来た時にも感じた通り炊き加減もさることながら炊きあがりの扱いにも一考の余地はありそうです。
これに合わせているのが相変わらずいかにもなまっ黄色の御新香であり、湯飲みの緑茶でありというのが中華料理屋としてはミスマッチと言うしかないんですが、一応熱い緑茶は脂をしっかり洗い流してくれますから先入観を捨てれば悪くはない組み合わせ、なのでしょうかね…?

接遇面では以前来た時よりは改善されていたように思いますが、これだけ多忙なはずの店内でフロア担当がウォッチャーになっている局面が多々あるのがやはり気になるところで、特に構造的にも目の行き届き難い席があることを積極的に意識しなければならないでしょうね。
それにしてもこちらの場合基本的にまっとうな料理を出してくるお店という印象を受けているだけに、あちらこちらで感じるコスト的な制約が余計に気になってしまうのですが、地域に根付いた店としていつも満席の繁盛ぶりではあり、お客さんも皆楽しそうに飲食し帰っていくわけですからこれはこれでいいのかも知れませんね。

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2013年2月 2日 (土)

テレビ業界 最近のニュース二題

本日はまずはじめに、以前からやるやると言いながら一向に実現する気配のなかったものがまたも撤回されたらしいというこちらのニュースを紹介してみましょう。

電波オークション撤回の“本音” 年700億超の利用料、手放せぬ総務省(2013年1月29日産経新聞)

 総務省が今国会に提出する電波法改正案から電波オークション(入札)導入を撤回する背景には、数千億円ともいわれる落札収入の一般財源化の負担で、年700億円超の電波利用料の維持が難しくなるという事情がある。

 電波オークション制度は、落札業者が一定期間(最長20年間)の周波数利用の見返りとして支払う“一括利用料”を、一般財源に組み込んで多様な支出に活用する仕組み。「国民の財産」の電波関連収入を幅広い使途に回そうという考えだ。

 一方、周波数を割り当てられた事業者が毎年総務省に支払っている電波利用料は約716億円(平成24年度見通し)に上り、技術開発や電波管理などに利用されている。事業者からは「オークションでの落札費と電波利用料を支払うことは二重払いに当たる」として、批判が出ていた。

 これに対し、総務省は落札額が高騰すれば事業者負担が増し、経営悪化や利用者料金値上げを招くとの懸念を指摘した。電波利用料の維持ができないことを強調することで、「電波行政の要」(同省幹部)である、事業者を選定する従来の許認可権を守った格好だ。

 ただ、米国や英国、ドイツなどでは、1990年代に相次いでオークションを導入している。世界の趨勢(すうせい)はオークション活用に前向きで、今後も是非をめぐる議論は冷めることはなさそうだ。

元々民主党が推進し自民党が反対してきた話であるだけに、政権交代に伴う予定調和という見方も出来ますが、どうも長年言われている割に本気で推進される気配が見えない理由として主体である総務省のモチベーションを上げる声は多いようです。
現行のシステムであれば毎年少ないとは言え必ず一定額の使用量が総務省に入るものが、オークションの場合は巨額とは言え一般財源に組み込まれることになると見込まれていますから、国庫全体で収入が増えるにしても総務省にすれば固定収入が消えてしまう可能性があるわけですね。
おかげで国際比較で割安な電波使用料で済んでいる日本のテレビ局が大きな利益を上げていると批判もされてきたわけですが、無論国としても一方的にテレビ局にアメばかりしゃぶらせているつもりはないようで、これまた長年問題になってきたこちらの話に意外なところから横やりが入っているようです。

総選挙後初の総会で宿泊団体と協議 自民党観光議員連盟(2013年1月30日サーチナ)

  自民党観光産業振興議員連盟(細田博之会長=衆議院議員、髙階恵美子事務局長=参議院議員)は1月17日、自民党本部で総会を開いた。総選挙後初めての総会で、加盟議員数も1月16日現在で選挙前の76人から新人議員49人を含む117人に拡大。加盟議員はまだまだ増える勢いだ。約3年の民主党政権下では民主党観光振興議員連盟が2015年度の旅館ホテルの建物についての固定資産税評価の見直しを閣議決定するなどの成果をあげてきた。今度は政権与党に返り咲いた自民党観議連の手腕と行動に業界の期待は高まる。

  NHK受信料や税制改正総会には議員30人のほか、宿泊団体から全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の佐藤信幸会長や日本ホテル協会の大橋寛治会長、観光庁や厚生労働省をはじめとする関係省庁とNHKの担当者が出席。約1時間の会合では宿泊団体から税制改正などの要望がヒアリングされたほか、それらについて、議員が関係省庁やNHKに対応を質していた。

  短時間のヒアリングのなかで、佐藤・全旅連会長は主に税制改正とNHK受信料契約の改善を要望した。すでに決定しているホテル・旅館の建物に関わる固定資産税評価の2015年度の評価替えの中身についての一層の支援や、旅館業界として税制改正要望にあげている消費税が見直される場合の総額表示から外税表示への変更、交際費の非課税化などを求めた。

  また、NHK受信料についてはテレビ15台までを1契約、その後5台ごとに1契約を追加する英国BBC方式導入への支援を改めて求めた。

  出席議員からは「交際費については他の業種からも同様の要望がある。経済の低迷期に課税はおかしい。資本金1億円以上の大企業も含め、しっかり対応したい」「観光は相対(あいたい)事業。交際費は必要であり、非課税でもいい」といった好意的な意見があがった。

  NHKの担当者は、2契約目から料金が半額になる事業所割引制度を2009年に新設していることなど改善に努めているとし、「今後も宿泊団体と丁寧に話し合いを続けていきたい」との姿勢を示した。

  NHKの担当者によると年間の受信料収入は総額で約6000億円。このうち旅館ホテルからの収入は約100億円にのぼる。

  議員からは「事業者にとって大きな負担だ。国が観光立国推進を掲げ、観光を伸ばそうとしているときに、NHKがそれに協力できないのはおかしい」。細田・自民党観議連会長からも「多くの旅行者は自宅で受信料を払っているし、テレビを見るために旅行しているわけではない。旅館ホテルという受信料の取りやすいところから取っているという印象を持っている」とNHKや総務省に改善の努力を促した。(情報提供:トラベルニュース)

以前にも取り上げましたようにちょうどNHKがホテル業界に対して受信料徴収に絡めて損害賠償請求を仕掛けているところですが、もともとホテル一室毎に受信料を取るという考え方が妥当なのかどうかは大いに議論のあったところですし、自宅で支払っている受信料を二重取りされることに釈然としないという利用者も多いでしょう。
実は医療の世界でもこの受信料問題というのは取り上げられていて、最近多少変わってきましたが従来多くの病院では外部のレンタル業者に丸投げする形で病室にテレビを設置してきたわけですが、過去にはNHK側から「病院は患者から代理で受診料を徴収しNHKに納めるべきだ」として巨額の損害賠償請求を仕掛けられたこともあったようです。
こうした妙な裁判が相次ぐのも実は受診料というものは視聴者が支払うものではなくテレビ受像器を設置した者が支払うと定められているためですが、ホテルにしろ病院にしろ不特定多数が不定期に利用する施設で一律に受信料を取られるのは釈然としないでしょうし、最終的に利用者料金に転嫁されているケースも多いことから「料金が高すぎる」といった批判も高まっているようですね。

ご存知のように昨年は史上初めて受信料値下げが行われたのもこうした相次ぐ批判を受けてのものだと言いますが、一方で増え続ける未払い世帯に対しては公共放送であるためとしてスクランブル等の導入は考えていないとも言い、これまた支払い世帯との間に不公平感が広がってきていると危惧されています。
昨今ではテレビやラジオにも緊急警報放送対応のものがあるのだから、普段はスクランブル化しておいて非常時だけ見られるようにすればいいと言う考え方もありますが、自動起動するタイプの受像器は待機電力が馬鹿にならないこともあってせっかく地デジ導入で買い換え需要があれだけ高まっていたにも関わらず全く普及せず、手動でとなれば人間普段から受信出来ないチャンネルにわざわざ切り替えようとは思わないものでしょうね。
いずれにしても唯一視聴者から直接料金を取っているだけに社会的義務も負うのは当然ですが、一視聴者としてはやはりスポンサー頼りの民間には出来ない高質の番組提供を期待したいところで、とりあえずはこういうご時世だからこそプロ○ェクトXの復活を希望しておくことにしましょうか。

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2013年2月 1日 (金)

今も続く地域医療崩壊 日医の高邁な理想は未だ理解されず?

医療崩壊系の話題ということで以前から何度か島根県の救急崩壊の話題を取り上げてきましたが、唯一の県立急性期施設である県立中央病院ではたびたび「満床越え」が発生し医師が忙しさに泣きながら病棟を回っていると報じられるなど、救急医療の維持には非常な苦労をしてきた様子ですよね。
その島根県の基幹病院の一つである松江赤十字病院で、ひと頃は医師6人で稼働していた救急部がついに全滅したという悲しむべきニュースを最初に紹介してみたいと思います。

松江赤十字の救急部医師 7月からゼロに/島根(2013年1月29日島根中央新報)

 松江赤十字病院(松江市母衣町、645床)の救命救急センターを受け持つ救急部の担当医師が、7月からゼロになる可能性が高いことが28日、分かった。ただ1人の担当医師が6月末で退職し、後任のめども立っていないため。松江医療圏の救急医療の中核を担う同センターの危機的な状況がさらに深刻になりそうだ。

 松江赤十字の救命救急センターは、松江、安来、隠岐地域をカバーする唯一の救命救急センターで、重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる。屋上に患者搬送専用ヘリポートを設け、医師が救急車に乗って現場で治療するドクターカー運行にも携わっている。

 同センターには年間約2万人の受診者があるが、救急部の担当医師は2007年の6人をピークに減り続け、昨年7月からは佐藤真也部長(46)だけに。他診療科医師の応援を得ながら対応してきたが、同9月に佐藤部長は「気力、体力ともに限界を感じた」と病院に辞意を伝えた。

 松江赤十字によると、山陰両県の大学医学部などに後任の救急部長を務められる医師の派遣を打診したが、不調に終わったという。

 7月以降の対応については、他科の医師が交代で診療を担って救命救急センターを維持し、週1回程度あるヘリコプターによる患者搬送も、これまで通り受け入れる。一方、ドクターカーの運行は3月以降、休止する。

 松江赤十字の秦公平院長(65)は「救命救急センターはなんとしても維持したい。市民の皆さんは、かかりつけ医を持ち、時間外の救急の受診を控え、現場の負担軽減に協力してほしい」と呼び掛けた。

しかしヘリの受け入れは地域的事情で仕方がないのでしょうが、救急部の医師が一人になってもドクターカーの運行を続けてきたのは驚くべきことであって、それは佐藤先生が「気力、体力ともに限界を感じた」と言いたくなるのも無理からぬものがあるでしょうし、こんな病院に後任医師を派遣したがる医局もそうそうはないでしょうね。
率直に申し上げて明らかにオーバーワークが逃散を招いたことは明らかなのですから、完全な崩壊に至る前にもっと早く体制縮小の決断をするべきだったのではないかと思うのですが、かねて同県内の救急担当医が繰り返し要請しているように不要不急の救急受診があまりに多すぎたこともオーバーワークの一因と考えられますし、またそうした過剰需要に応需するばかりで何ら保護対策を講じなかった上層部の判断ミスとも言えそうです。
地域の医療需要に応えることはもちろん経営上も重要な事ですが、それによって肝心の現場の崩壊を招くというのはまさに金の卵を産むガチョウの腹を割く愚行と言うべきですし、これだけ医療崩壊に至るプロセスが解明されているにも関わらずまだこんな初歩的な対応を続けている施設が残っているということにこの問題の病根の深さが感じられますね。

さて、医療崩壊と言えばそもそもの言葉の生みの親でもあり、現在は虎ノ門から亀田総合病院に移られている小松秀樹先生が、2011年末の財政制度等審議会財政制度分科会における日医の中川副会長の発言を「厳しい財政状況の中で、医療を守るために何が必要なのかを一切語ることなく、開業医の報酬増額だけを主張した。その発言の特異性が委員の反発を招いた。」と批判的に取り上げています。

【参考】悪役としての日本医師会(その1/2)(2013年1月30日BLOGOS)

小松先生によれば「近年の医療の進歩の中で、開業医による投薬を中心とする外来診療の役割は相対的に小さくなり続けている。外来と入院の医療費比率を維持せよとする主張には無理がある。」との事ですが、前述の記事にもあるように地域の開業医にとっても救急が崩壊すれば影響は大変なものがあるのですから、話の流れだと好意的に捉えたにしても日医の主張はいささか近視眼的なものに留まった印象は拭えません。
そもそも日医は医療の時系列を無視して十把一絡げに語っているからおかしなものとなっているのであって、急性期医療を担当する大病院と安定期・外来診療を担当する地域の中小病院・開業医とでは同じ顧客を奪い合う競合的な関係などではないことが明らかであり、また本来的にも相補的な関係にあるべきではないでしょうか。
患者とはその状態に応じて地域医療施設と基幹施設との間を行き来しているのであって、ましてや基幹施設側ではあまりの多忙さに落ち着いた患者は早く引き取ってもらいたいと懇願しているほどであるのに、未だに日医執行部では患者を奪った奪われた的な思考から抜け出していないとは何と前時代的かと誤解されかねない話ですよね。
診療報酬改定で優遇された側にあたる亀田理事長らもこの件についてコメントを寄せていて是非一読いただきたいと思いますが、その続編に当たる部分では日医の活動とも絡めて小松先生がさらに強烈な日医批判を繰り広げていますので一部引用させていただきましょう。

悪役としての日本医師会(その2/2) (2013年1月30日BLOGOS)
より抜粋

(略)
会議の政治的意味
会議の議論はどのような影響をもたらすのだろうか。
中川副会長は開業医の診療報酬を増やすことだけを強引な論理で主張した。日本社会の高齢化と貧困化の中で、医療の質の向上や持続可能性についての提案なし に、お金が欲しいと主張しても了解が得られるはずがない。予想通り、委員から強い反感を含む反論が述べられた。中川副会長はこれに気付かないふりをしてさ らにお金が欲しいと繰り返した
(略)
中川副会長の主張には、医師として社会に適切な医療を効率的に提供しようとする姿勢は見られなかった。日本医師会が日本の医師を代表する組織ではなく、開 業医の利益団体であることを示した。新川主計官の課題説明からみて、財務省が日本医師会の主張に賛同しているとは思えない。中川副会長は財務省の期待通り の悪役を演じた。予算編成を財務省の望むものにするのに役立ったに違いない。

医師会役員の考え方
都道府県医師会の役員には、都道府県医師会代議員の母体である郡市医師会の役員と同様の考え方の医師しかなれず、日本医師会の役員には、日本医師会代議員 の母体である都道府県医師会の役員と同じ考え方の医師しかなれない(5)。二重の代議員制度は極めて安定しており、自分を変えられない。医師会は、原理的 に社会の大きな変化に適応する能力を持たない

最近、私が顧問を務める社会福祉法人太陽会の安房地域医療センターが、医療にアクセスできない生計困難患者の増加に対応するために、第2種社会福祉事業で ある無料低額診療を計画した。千葉県医師会原徹副会長が、患者が奪われて開業医の収入が減少するとして反対した(6、7)。原副会長と日本医師会中川副会 長の思考パターンは酷似している。第一に、自らの金銭的利益を大きくすることにすべての関心が振り向けられている。第二に、公共の利益を無視して、自らの 利益を主張しても、「医師会」の立場で主張する限り許されると思いこんでいる。

2012年11月30日、日本医師会の組織率向上に向けた具体的方策を話し合うシンポジウムで、日本医師会・今村聰副会長は、組織率を上げると「発言力、 実現力が増し、国を動かす力が大きくなる」と強調した。さらに「保険医の指定に日医が関わるような『実質的強制加入』にする方法や、専門医の生涯教育制度 に日医が関わる『加入していないと不便な状態』にすることも考えられる」(8)と発言した。開業医の利益のための団体に、勤務医を「加入していないと不便 な状態」にして参加させようという意見を表明した。

医師会会員は、日本医師会の中川副会長、今村副会長、千葉県医師会の原副会長のような医師ばかりではない。しかし、このような役員をその地位に留めておく以上、一般会員にも相応の責任が生じる。

在宅医療について井伊委員が表明した懸念が当たったかもしれない。日本医師会横倉会長が就任後「在宅医療は日医がやる」と宣言して以後、各地の医師会が、 在宅医療連携拠点事業を、医師会を通して実施するよう圧力をかけていると伝わってきた。在宅医療に携わっている知人の話によると、従来、郡市医師会は在宅 診療サービスを向上させる活動に対し、邪魔をすることがしばしばあった。知人は、以下のような危惧を伝えてきた。

「これから、在宅看取り経験ゼロの市町村医師会の担当理事が講師になり、1000例以上看取ってきたベテラン在宅医を教えるという漫画のような講習会が、一部で始まるのかもしれません。」
(略)

小松先生の論はその後公共の福祉を無視してまで自らの経済的メリットを追求してきた日医が今や世論から乖離していることに無自覚すぎるのみならず、厚労相からの天下りを受け入れ同省による医療統制を支えるなど一生懸命尻尾を振ってきた行政からも見放され、単に財務省らが主導する厳しい政策実現のためのツールとして扱われていくことになるだろうと主張しています。
日医が広く医師の業界団体であると言うことであれば、医師らの既得権益を守るために活動するということ自体は批判されるべきことではないのかも知れませんが、問題は彼らの代弁するものとは単に開業医の矮小な利益に留まるのではないか、そして仮にそうだとしても真実その目的のために有効な活動が出来ているのかということではないでしょうか。
広く医療全般に日医が利権団体として関わるなどという妄想を抱いている辺りからして何よりもまず日医自体の利権を最優先させているような気配を感じますが、事実真面目に地域診療に励んでいる地域医師会幹部の開業医の先生方なども猛烈な日医執行部への不満を抱えているようですから、必ずしも日医=開業医の代弁者という図式で語り尽くせるようなものではなさそうですね。
もちろん勤務医にとって日医の存在によるメリットとデメリットを比較するのも愚かしいほど評価の天秤は大きく傾いている、そして広く国民にとっても何ら益するところがないのではないかと言うことが明らかになってきている中で、昨今彼らが必死に「国民のための医療」云々と連呼しているのも医師という専門家集団や行政からはまともに相手にされなくなったからか、などと穿った見方もしてしまいそうです。

無論小松先生の言うことばかりが全て正しいという訳ではないのは当然で、例えば記事中にも言及されている太陽会による無料定額診療計画も素晴らしい地域貢献のための努力を開業医利権まみれの医師会が叩き潰そうとした、などという単純な話ではないらしいとは以前に「新小児科医のつぶやき」さんが考察されているところでもありますよね。
また一方では今の日医が駄目であることは判っているが、「それでも唯一の医師による業界団体なのだから彼らに代弁させるしかないじゃないか」という理屈で日医に参加し協力することを主張してきた方々もいらっしゃったわけですが、これだけ好き放題日医を批判している小松先生に日医側から共闘を申し入れていることからも判る通り、今や社会的・政策的影響力を発揮するために日医の肩書きが必須という時代ではありません。
冒頭のところでも書きましたように数々の実例によって医療崩壊に至るシナリオがかなり明確になってきていて、それに対して取るべき対策もすでに明らかになってきている中で、日医の主張する諸政策がかなり緊急性の優先順位が下がることが明らかですが、同時に留意すべきはまずは急性期医療を受け持つ基幹施設をがっちり守るということが開業医にとっても何らデメリットとはならないということです。
すなわち地域医療において一番困るのはいざ重症が発生した時にどこにも受け入れてくれる施設がないということであって、そこのところが担保されているからこそ町の開業医も安心して日常診療が行えるのですし、事実きちんとした実力のある開業の先生ほど地域の基幹病院の医師達と密接に連携しながら良好な関係を維持しているものですよね。
もちろん一方では大病院に患者が取られた!と被害妄想的なクレームをつけてくる先生方も未だに一定数存在していることは否定出来ない事実ですが、概してそうした方々の行っている診療のレベルがどの程度のものなのかと言うことから類推した場合に、なるほど日医という組織の中で出世するために求められる属性というものが何とはなしに理解出来る気がしてきませんか。

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