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2013年1月25日 (金)

一進一退の生活保護改革

今回の政権交代でいつの間にか一つの主要政策のようにすら扱われ始めているのが生活保護(生保)問題ですが、先日いよいよ保護費抑制が本決まりになってきたというニュースが出ていました。

生活保護費 「生活扶助」基準額、3年で最大1割削減 厚労省方針(2013年1月23日産経ニュース)

 厚生労働省は23日の自民党厚労部会で、生活保護費のうち食費や光熱費に使う「生活扶助」の基準額を、平成25年度から3年かけて段階的に最大1割削減する方針を明らかにした。同党側は引き下げ方針を了承した。

 政府は全体で8%程度、約800億円削減する方向で調整している。ただ、自民党が昨年12月の衆院選の政権公約で、生活保護について「原則1割カット」を掲げているのに対し、公明党が大幅引き下げに難色を示しているため最終調整が続いている。

 また同省は部会で、生活保護費の医療扶助(医療費)を抑制するため、受給者に価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)を使うよう医療機関が促すことを生活保護法で規定する方針も明らかにした。

 生活保護受給者は増加傾向で、昨年10月には過去最多の214万2580人になった。

当所の勢いに比べると3年で最大1割の削減というかなり控えめなものにも見えるのですが、今後言われている通りにインフレ誘導政策が続いて穏健な物価上昇が続く中で保護費削減が行われていくのだとすれば、実質的には1割以上の削減になってくるという可能性も出てくると言うことでしょうか。
もちろん公明党を初めとして未だ抵抗勢力も根強いことですから、逆にインフレ等の逆風を理由として保護費削減自体がいずれ中断あるいは骨抜きにされていく可能性もあるかと思いますが、いずれにしても生保受給者へのムチを振るうばかりではなく困窮する低所得労働者へきっちりと保護策を講じていくことこそより重要なんだろうと思いますね。
ただここで注目していただきたいのが今回削減を言われているのはあくまでも生活費の部分である点で、今までにも無料であるが故に使い放題を良いことに過剰診療になっていると批判の声もあった医療扶助に関しては抑制の対象外であるわけですね。
この医療扶助削減については先日は先発品を使った場合には差額を自己負担にするという新しいアイデアが出てきてこちらも改革が進むかと期待していたのですが、どうもその後の報道を見ていますとむしろ後退基調にあるようにも見えることが気になります。

生活保護受給者、後発薬基本に 厚労省が検討(2013年1月19日47ニュース)

 厚生労働省は19日、生活保護の医療費(医療扶助)を抑制するため、受給者に価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)の服用を基本とする方向で検討に入った。特別の理由がなく拒否した場合には、福祉事務所の保健指導の対象にする。

 一方で、現在無料になっている医療費の一部自己負担化については「必要な受診を抑制する恐れがある」として見送る方向だ。

 生活保護費の総額は2012年度当初予算で3兆7千億円。うち医療費は半分近くを占めており、抑制策が課題となっている。

生活保護医療費の自己負担に反対 審議会が表現修正(2013年1月23日47ニュース)

 厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の特別部会は23日の会合で、前回まとめた報告書で両論併記としていた生活保護受給者の医療費(医療扶助)の一部自己負担化を「行うべきではない」と反対する表現に修正した。

 16日にまとめた報告書は「額が小さくとも一部負担を検討すべきという意見がある一方で、一部負担は行うべきではないとの意見もあった」と記述。しかし23日示した修正案では「一部負担を導入することについては、行うべきではない。なお、額が小さくとも一部負担を検討すべきという意見があった」と、否定的な姿勢を強調する形に変更した。

しかし「後発品使用を原則とする」などと玉虫色に過ぎる表現でお茶を濁しているのも気になりますが、生保患者の場合すでに一般患者よりもはるかに多い受診が問題になっているのに一部自己負担化で受診抑制でもしたら大変だと言うのは、つまりは一般患者はとっくに受診抑制をしているとも取れるのですがそちらは問題ないと考えているのでしょうかね?
おそらく今回は支給額削減が最大のトピックでそれと併せてジェネリック使用を原則化する、それもずいぶんと微妙な表現で一生懸命抜け道を用意しているようにも思えますがともかくそちらで一段締め付けるということで、バランス取りの意味で自己負担化を見送ったというところだと思いますが、考えてみれば相変わらず医療費無料である以上何ら受診抑制にはつながらないはずですよね。
それどころか過去の実例から考えれば月末になると今まで以上に早く保護費を使い果たした生保受給者が、「金がないからしばらく入院させてくれ」と今まで以上に病院に押しかけてくることすら想定できそうなのですが、結局今回の改定では医療費に関してはむしろ抑制と言うよりも増加する可能性すらあるということでしょうか。

生保受給者の急増が社会的に問題視されていますが、特にその保護費のうち約半分近くが医療扶助であるということで世間の一部には「何と生活保護費の半分を医師会がピンハネしていた」などと言っている人もあるくらいで、さすがにこれは事実関係の誤認と言うしかないとは言え「医療関係者=生保抑制に非協力的な抵抗勢力」と見なす風潮は少なからずあるようです。
日医なども国の方針もあって嫌々ながら?生保受給者の後発薬使用をもっと促進しましょう、などと会員に通知を回したりもしていますが医療費自己負担化には熱心に反対している、さらには日医に限らず他の医療系団体もおおむね自己負担化反対という姿勢をとっているのがこうした「偏見」に輪をかけているのは疑いないですよね。
一方で興味深いことに現場医師達への調査では後発品義務化、医療費一部自己負担化とも多くが賛成しているわけですから、この辺りは実際に診療の場で直接対峙している人々の実感と医療機関の経営的視点との対立という捉え方も出来るのかも知れません。
しかし反対派の医療系団体自体が主張しているように巨額の医療扶助支出の大部分は高齢者の入院費用であるのですから、一部自己負担化がなされたところで残る保護費の大部分は使われることもなく貯め込まれていくだけという現状に変わりはないはずで、どうも反対論の根拠はデータ的にも弱いんじゃないかという気がするのは自分だけでしょうか。

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コメント

生保票プラス医師会票は決して小さなものではないでしょう。支給水準切り下げもほんとに行われるかどうか。

投稿: 柊 | 2013年1月25日 (金) 09時04分

私は、生保の医療費問題については自己負担の導入が一番良い解だと思っているので、ジェネリックについても差額自己負担というのは妙案だと思っていたのですが…。

>何と生活保護費の半分を医師会がピンハネしていた
煙が立つ理由はあるわけで、
自浄作用が働いていない、という点では真摯に受け止めるべき評判だと思います。

投稿: JSJ | 2013年1月25日 (金) 09時39分

自己負担化してナマポが受診抑制する、それの何が問題なのかよくわからんのです。
百万歩ゆずってそれで早期発見が遅れたり重症化したりしたって、それの何が困るんですか?彼ら何も社会に貢献してないんですよ?
そんな連中ばかり無料で手厚く診療して健康で長生きさせて何をどうしたいと?そんな金があるなら一般人が遠慮なく病院にかかれるようにするのが先でしょ?
医師会だか公明党だか何が反対して手間取ってるのか知らないが、連中を一般人以上に手厚く保護するなんて馬鹿げたことはいい加減にしてほしい。

投稿: 暴論ですが | 2013年1月25日 (金) 09時51分

日医らの頑なな姿勢がどこから来るのか、単に昔からの習慣で生保受給者=上顧客という認識でいるだけなのかどうもはっきりしませんね。
今どき生保を主要顧客にしている施設など地元でもブラック扱いで地域の医師会内でもそう発言力はないのでは?とも思うのですが。
いずれにしても医療費がすでに量的拡大に制約がかかりパイの奪い合いになりつつある中で、どこかを守りたいなら同時にどこを削るべきかも示してもらわないことには説得力がなさ過ぎるというものです。

投稿: 管理人nobu | 2013年1月25日 (金) 10時37分

>自己負担化してナマポが受診抑制する、それの何が問題なのかよくわからんのです。

ナマポをなめるなw受診を控えるくらいなら奴らは窓口で踏み倒すことを選ぶぞw

投稿: aaa | 2013年1月25日 (金) 13時12分

病院の収入としては患者負担だろうが公費負担だろうが同じ金額ですからどうでもいいっちゃどうでもいいんですよね。
医師会や経営者には窓口でトラブルになったり受診が遠のいたりするくらいなら全額公費負担を続けてくれって事なかれ主義もあるんじゃないですか。

投稿: ぽん太 | 2013年1月25日 (金) 14時35分

 自己負担は困ります。わたしは風邪をひいても病院には行かず、よほど具合が悪いとき以外は病院には行っていません。生活保護のひとが全員、病院に行き、どんどん使うわけではありません。
 逆です。病気の人が、働けずに、生活保護になるのです。
 お年よりは相当に医療費がかかっているから、一部負担でも困るひとがいます。一部負担をさせるなら、その上限を決めないといけません。年齢や金額などです。
 90歳のボケたひとからも、一部負担をとりたいですか?

 非難するのなら、わたしたち生活保護者でなくて、薬漬けにする医療界です。医療界をきちんとさせなくて、一部負担だけ強行させる意見は乱暴すぎます。

投稿: 生活保護受給者 | 2013年3月 6日 (水) 21時33分

生活保護受給者さまへ
自己負担の話が出るのは、一部の生活保護受給者の医療扶助乱用が目に余り、こうでもしないと医療費を抑えることができないためです。生活保護受給者全員がそうだとはおそらくどの医者も思っていません。
あと、現在のルールでは生活保護を受けていなければ90歳の呆けた方からも一部負担をお支払いいただくこととなっております。医者側からすれば、とりたいかどうかではなく、とらなければならない決まりです。
あと、昔と違い現在は薬をたくさん出せば出すほど医者が損する診療報酬となっておりますので、医者が損をしてでもたくさん薬をださなければしょうがないとき以外は薬漬けと思われるほど薬を出しません。


よほど具合が悪いとき以外は病院に行かないとのことですが、どのような理由で生活保護を?最近は少し景気が上向きで、選ばなければ仕事はあるようですが・・・

投稿: クマ | 2013年3月 7日 (木) 00時17分

>逆です。病気の人が、働けずに、生活保護になるのです。

もうしわけないですがその欺瞞はとっくに論破されています。通院中の受給者のうちで病気で働けない人などほとんどおらず日中から飲んだくれて動けない、入院させろと大騒ぎする人がいるくらいです。実態を知らない一般人がだまされても我々は事実を知ってます。

投稿: 医療関係者 | 2013年3月 7日 (木) 07時43分

         \   ∩─ー、    ====
           \/ ● 、_ `ヽ   ======
           / \( ●  ● |つ
           |   X_入__ノ   ミ   そんな餌で俺様が釣られクマ――
            、 (_/   ノ /⌒l
            /\___ノ゙_/  /  =====
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                  \___)___)(´;;⌒  (´⌒;;  ズザザザ

投稿: | 2013年3月 7日 (木) 09時00分

たしかに釣り針太すぎる気もしますが:

>一部負担をさせるなら、その上限を決めないといけません。

普通の人には上限が決まっています。普通の人と同じにしていただきたいだけです。

>90歳のボケたひとからも、一部負担をとりたいですか?

普通の人は一部負担をしています。普通の人と(以下略

投稿: てんてん | 2013年3月 7日 (木) 11時39分

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