« 今日のぐり:「かっぱ寿司 倉敷店」 | トップページ | 高齢者社会福祉 今や各国で課題に »

2013年1月21日 (月)

新専門医制度 議論が進むほどに顕在化する問題点

かねて議論が続けられている新専門医制度についてですが、とりあえず当初予定から遅れて17年度から研修が始まるというスケジュールが示されたようです。

専門医の新制度、17年度に研修開始-当初の厚労省案から2年先送り(2013年1月18日CBニュース)

 厚生労働省は18日、専門医制度の見直しを協議している「専門医の在り方に関する検討会」を開き、第三者機関が運営する新制度での専門医研修を2017年度から始めるとするスケジュール案を示した。昨年7月の同検討会では、15年度から研修を開始する案を提示していたが、養成プログラムの作成などにかかる時間を考慮して、2年先送りした。

 スケジュール案によると、第三者機関は13年度に設立。各診療領域の専門医資格の認定・更新の基準を作成したり、養成プログラムを審査・認定したりする。既存の専門医の新制度への移行基準も作る。
 専門医研修は17年度から開始。研修期間については「各領域の実情に応じて別途定める」ことを提案しているが、3、4年間が想定されている。

■「新制度に先行して移行措置を」
 こうしたスケジュール案に関連して検討会では、新制度での最初の資格認定が行われる前に、既存の専門医に対する新制度への移行措置を始めるべきかどうかを議論した。その結果、移行措置を先行させるべきだとの意見が多数を占めた。

 山口徹委員(虎の門病院長)は、「新制度の資格を持っていない人が、新制度の研修で指導医になるのもおかしな話だ」と指摘。早期に移行措置を始め、新制度の専門医資格を取得した人を指導医にすべきだとの見解を示した。

■特殊領域の専門医認定に否定的意見相次ぐ
 検討会ではまた、年度内の最終取りまとめに向け、「サブスペシャルティ領域」の整理の仕方について意見交換した。この中で、疾患名や症状名を付けた専門医や、「内視鏡医」のように特殊な技能・領域の専門医を新制度の中に位置付けるかどうかが検討されたが、否定的な意見が相次いだ
 委員からは、「ごく特殊な疾患の専門医資格をつくっても、それだけを診ているわけではない。学会が認定するのはいいと思うが、第三者機関が資格を与えるのは行き過ぎではないか」といった声が上がった。

 検討会ではこれまでに、外科や小児科などの「基本領域」の資格を取った上で、より専門性の高いサブスペシャルティ領域の資格を取得する2段階制の仕組みに整理することで合意している。しかし、サブスペシャルティ領域の在り方については、ほとんど議論されていなかった。【高崎慎也】

ここまでに決まった内容として基本的に専門領域は一人につき一つだけという点はほぼコンセンサスを得ているようですが、ここで注目されるのがサブスペ分野についてもかなり整理された内容になりそうだと言うことで、少なくとも新専門医として認定されるのはサブスペの中でもかなり基本的な領域に限られることになりそうですよね。
となるとこれまで乱立気味に次々と誕生してきたマイナー領域の旧専門医資格がどのように扱われるのかということになりますが、一つの予想としては診療報酬への反映や標榜科資格など公的な扱い対象としての専門医資格は新専門医に限られるにしても、各人がプロフィールとして掲げるものとして旧専門医的なものもある程度継続していく可能性もあるのかも知れません。
例えば現状においても医学博士だとか医師会理事などという肩書きは臨床能力とは全く無関係なものですが、開業医などにおいてはこうした肩書きの有無が相応に集客にも影響があると言う現実もあるわけですから、今後特に新専門医取得資格が厳格化されていくほど研修が実質的に不可能な開業医を中心に旧専門医資格が意味を持ってくるかも知れませんね。

それとも関連してすでに旧専門医に関しては更新を厳格化することで新専門医への移行を促すという話が出ていますが、旧専門医資格保持者に新専門医への移行措置がない、あるいは厳格化されるのであれば問題になってくるのが、今まで移行措置、移行措置で大昔の認定がゆるゆるだった時代に取った専門医資格を延々と保持し続けている老医師達の身分をどうしていくのかと言うことです。
前述の記事ではあまり詳しく触れられてはいませんけれども、どうもこの辺りの資格引き継ぎに関しても賛否両論かなり意見が分かれたようで、例えば日医の小森貴構成員などは新制度はこれから医師になる人のための道だとして移行措置そのものの是非も議論すべきだと主張し、国立病院機構の桐野高明構成員なども移行措置そのものに否定的だったと言います。
新専門医が旧専門医を完全に置き換えるということになれば下手をすれば老医達がそろって専門医資格を失うということにもなりかねませんが、そうなると専門医研修施設というものはご存知のように原則専門医・指導医が存在することで認定されるわけですから、新専門医を教える人間もいなくなり研修施設認定自体が成立しなくなる可能性すらあるということになりますよね。
この辺りは施設としての移行期間を設けるなど相応の現実的対応が図られるのだと思いますが、新専門医取得が厳格なものになればなるほど移行措置で安易に旧資格からの継承を認めれば若手医師との格差、不公平感を拡大しかねず、資格継承の扱いが新たな既得権益化しかねないという懸念も出てきたように思います。

もともと新専門医と旧専門医との資格は一対一の関係にはならないことが確定的なのですから、いずれにしても新専門医の対象外となるニッチ領域の専門医を中心に旧専門医もある程度は残ることにはなるのでしょうし、そうであるなら旧専門医資格も移行措置はとらないまでも、例えば新専門医制度下での指導医資格としては今後も認めるといった対応も考えられるのかも知れません。
医師の間ではそれでいいとしても患者側からは「この先生の専門医資格とは新専門医なのか、旧専門医なのか?」と迷わしいでしょうし、さらに一歩進んで第三者機関と学会とで同じ資格名を巡ってどちらが本家だ、元祖だと言った名称の奪い合いになったりすることもあるとすれば馬鹿馬鹿しさも極まるというものですよね。
しかしそう考えていくと新専門医資格というものがどれほど必要なものなのかと改めて考えてしまいますが、診療報酬など医療制度の中で明確に資格を位置づけ差別化していくということもさることながら、やはりここでも巨大な認定機構設置に伴う各種利権の発生というものがその推進力になっているのでしょうか。

|

« 今日のぐり:「かっぱ寿司 倉敷店」 | トップページ | 高齢者社会福祉 今や各国で課題に »

心と体」カテゴリの記事

コメント

で、上納金はいくらになんのよ?

投稿: akira | 2013年1月21日 (月) 08時29分

移行措置なし??それは大騒ぎになるんじゃ…
でも新旧資格が1:1対応じゃないなら移行をどうするかってのもありますね。
専門医をいくつ作るかってもう決まってましたっけ?

投稿: ぽん太 | 2013年1月21日 (月) 08時56分

無試験で楽々専門医とって移行措置リレーで逃げ切った老医が一番の勝ち組w

投稿: aaa | 2013年1月21日 (月) 10時00分

すでに各方面で影響が懸念されていますが、特に開業医は実質専門医所持不能になりそうなことを気にしているようですね。
日医がどのような落としどころを探っているのかも注目されるところです。

投稿: 管理人nobu | 2013年1月21日 (月) 11時00分

>日医の小森貴構成員などは
>移行措置そのものの是非も議論すべきだと主張

これはどう考えたらいいんだろう?
日医会員たる開業医たちを実質閉め出すことになるんじゃ?
それとも専門医以外で何らかの資格を考えているのかしらん
まさか総合診療医なる肩書きで代用しようって腹づもり?

投稿: 元僻地勤務医 | 2013年1月21日 (月) 13時05分

>これはどう考えたらいいんだろう?

思うのですが、議論されている新専門医制度の最大のキモは専門医資格と標榜診療科のリンクでしょう。
最終的には診療科毎・地域毎の定員を定めることで医師の分布をコントロールしたいのだろう、と。

専門医資格と標榜診療科を早期にリンクさせるのなら、移行措置は必須です。
移行措置をとらずに、専門医資格と標榜診療科をリンクさせれば混乱は避けられません。
全ての開業医が移行措置を受けられるわけではないだろうことを考えると、日医の狙いは、移行措置をとらない=全ての開業医が現在の標榜科を維持できる、ではなかろうかと私は想像します。

移行措置賛成派は、既存の医師も早期に分布コントロールの統制下におきたい、
移行措置反対派は、既存の医師は分布コントロールの埒外におきたい、という仮説を提出します。

投稿: JSJ | 2013年1月21日 (月) 14時02分

若手を人身御供に自分たちの安泰を図るのがヤツらのいつものやり方

投稿: OTTO | 2013年1月21日 (月) 14時46分

現時点で、専門医認定評価機構のサイトにおいて専門医資格として認められているものは、旧専門医から新専門医への移行措置になるでしょう。
たとえば、総合内科専門医や循環器専門医など。

サイトに掲載されていない専門医資格は、厳しいかな。

アメリカの専門医資格認定制度を猿真似しただけです。
英国、カナダ、オーストラリア、シンガポールなどの英連邦諸国は、診療科目別の個々の専門医団体であるmedical royal collegesがそれぞれ専門医試験を行って専門医資格を認定しており、米国とは違うシステム。
他の欧州諸国も似たようなシステム。

なんで日本だけが、新研修医制度の初期研修プログラムも含めてアメリカの猿真似ばかりしたがるんだろう。
米国とは異なった英連邦各国や欧州大陸のシステムもあるのに。

投稿: とある内科医 | 2013年1月21日 (月) 15時51分

専門医検討会 既存の専門医、外科系で「資格喪失者」続出も

 厚生労働省は18日、新しい専門医制度下の専門医研修を17年度から開始し、それに先行して既存の専門医についても16年度から移行措置を徐々に進めていくスケジュール案を「専門医の在り方に関する検討会」に提示した。これまで同省は「15年度研修開始」と打ち出していたが、2年先送りとなった。既存の専門医の移行に当たっては、基準を厳格化した場合に外科系専門医の「資格喪失者」の続出を懸念する声があがった。RISFAX

投稿: | 2013年1月22日 (火) 07時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/56582730

この記事へのトラックバック一覧です: 新専門医制度 議論が進むほどに顕在化する問題点:

« 今日のぐり:「かっぱ寿司 倉敷店」 | トップページ | 高齢者社会福祉 今や各国で課題に »