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2012年12月19日 (水)

調剤薬局に絡んで思わぬ遺恨発生?

政権交代によって診療報酬の扱いがどうなるのかは未だ何とも言えませんが、増減いずれにしても厳しい財政状況を考えればコンマ以下数%を争っての小さな小さな攻防になるだろうことは想像に難くありませんよね。
ところが同じ医療費に含まれていながらとんでもない勢いで急増している領域があるということが、このところにわかに注目されるようになってきているようです。

調剤医療費の伸び率・質の議論を- 日病・堺会長(2012年12月17日CBニュース)

 日本病院会の堺常雄会長は17日の定例記者会見で、6兆円以上とされる調剤医療費について、「びっくりするくらいのものだ」と述べ、調剤医療費の伸び率や、院外処方に対する患者の満足度などの質について、調査して議論すべきとの考えを示した。

 厚生労働省の調査では、昨年度の調剤医療費(全数)は、前年度比4779億円増の6兆5601億円。また、同省の別の調査では、昨年度の医療費が前年度比約1.1兆円増の37.8兆円だったとされている。
 堺氏は、「6兆円というと、36兆円の6分の1だ。われわれが、なけなしの知恵を絞って30兆円の配分を考えていることを考えると、本当に看過できない」と述べた。さらに、「そもそも、医薬分業が患者さんの利益になっているのか」と、院外調剤の質を検証する必要性を強調した。【佐藤貴彦】

「医薬分業が患者さんの利益になっているのか」とはあ~あ、とうとう言っちゃったよこの人はという感じではありますが、ねえ…
医薬分業が推進されるようになってから、この調剤医療費というものが気がつけば10年間で実に2倍にも急増しているというのは、同時期の医療費全体の伸び率がせいぜい4割程度にとどまっている(これもこれでデフレ時代にあってなかなかの急増ぶりではあるのですが…)ことと比較してもいかにも多いなと言う印象をうけますよね。
新薬の高価格化ももちろんですが、日本の医療の特徴として長年言われてきたのが誰でもが気軽に病院にかかれるのはよいとして、その結果どうでもいい薬でもちょこちょこと処方されてしまうという問題があって、一頃病院待合の老人サロン化が言われていた時代には毎回飲みもしない多量の薬をどっさり受け取ってはゴミ箱にぽいと捨てている、なんて笑い話のような話もあったと言います(おそらく今も類似のケースはあるのでしょうが)。
「風邪?そんなものに効く薬はない。家でおとなしく寝ていなさい」で患者を追い返す海外のジェネラリストに比べて日本の医者は大量の薬を処方するのも悪いのでしょうが、国際比較で見ると日本の調剤比率の高さは際立っていて諸外国の2~3倍にもなると言うのですから、そもそもジェネリック普及が遅れているのどうのと言う以前に根本的な問題が隠れていそうですよね。
長年の念願叶って医科からの独立を果たした格好の薬科にすればこれが正常!今まで不当に地位が低すぎたのだ!と言う意見もあるのかも知れませんが、かつての薬価差益で大儲けしていた時代を覚えている人々の目から見ると調剤薬局は不当に儲けすぎているのでは?という疑惑もあるようですね。

薬剤師の給与、病院と薬局で比較「面白い」- 堺・日病会長、実調の項目追加で(2012年12月17日CBニュース)

 2014年度の診療報酬改定の基礎資料となる次回の医療経済実態調査(実調)で、保険薬局に勤める薬剤師の給与を新たに調査項目に含める案を厚生労働省が示していることについて、日本病院会の堺常雄会長は17日の定例記者会見で、「病院薬剤師の給与と単純に比較すると、面白いのではないか」と述べた。

 堺氏は、「われわれ(病院)は、職員採用の際、職員全体の中で薬剤師だけの給与を上げるわけにはいかないということで、非常に苦労している」と明かした。薬局に勤める薬剤師の給与は、病院より高い傾向にあるという。【佐藤貴彦】

調剤医療費の適正化云々はともかくとしても調剤薬局に関してはもう一つ話題があって、医療に営利企業の参入は認められないとは日医等も熱心に主張してきたところですが、実は調剤薬局の方では中小薬局が相次いで資本力のある大手チェーン店に身売りしているという現実があり、すでに相当の上場企業が多数店舗を連ねて大規模経営を行っているという状況にあります。
そもそもの原因としては調剤薬局の数がコンビニよりも多い5.3万軒と元々非常に多く、個人経営の零細薬局を中心におよそ半数が後継者難にあえいでいたことに加えて、近年いわゆるドラッグストアとして経営体力を持っている大規模量販店との競合も激化した結果買収が進んできているという事情もあるようですね。
利用者側とすればコンビニ化、ミニスーパー化しているドラッグストアが調剤もやってくれれば利便性は高まるし、調剤単独ではやっていけない地域にも経営機会が増えるというならよいことですが、医科の側から見れば自分達は混合診療は駄目、広告も不可、営利追求なんでとんでもないとやたら厳しく締め付けられているのにあいつらだけ好き放題儲けやがって…と考えたくもなるのかも知れません。
気持ちの上で割り切れないというだけならまだしも、ちょうど今は薬学部が4年制から6年制への移行期で新規供給が途絶えた結果空前の売り手市場と言いますから、待遇の悪い病院など飛び出してさっさと外に出てしまおうと考える薬剤師が増えてくると思わぬ遺恨の元にもなりかねませんし、前述の記事の堺会長のコメントにもそのあたりの微妙な陰影が現れているように思いますね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

そういやコンビニ薬局も調剤してるんだっけ
でも病院内で売店やったり食堂やったりするのと同じことでしょ?
病院もスーパーくらいは併設したら患者さんから喜ばれるのに

投稿: たんご | 2012年12月19日 (水) 08時31分

責任の度合いを病院と比べると、ローリスクハイリターンに見えますものね。調剤薬局。

投稿: RForest | 2012年12月19日 (水) 08時54分

ジェネリックで何か不具合があった時は一義的には薬剤師の責任になるそうですが…。

で、医薬分業ですが、調剤薬局の薬剤師に何度か処方ミスを指摘して頂いた事があるんでw私は賛成ww<おい
*薬剤師が常駐している大病院なら関係ない話ですが。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年12月19日 (水) 09時29分

>ジェネリックで何か不具合があった時は一義的には薬剤師の責任になるそうですが…。

いやあ、薬の副作用で薬局にまず怒鳴り込む患者ってわたしゃ見たことがありませんが
てか患者がクレームつけてきて初めて薬が代わってたことに気づくこと多し(^-^;

でも薬剤師が責任とるって具体的にどうすることなんだろ?
やっぱり料金はお返しします&粗品進呈?

投稿: 元僻地弁護士 | 2012年12月19日 (水) 09時43分

↑のハンドル、なぜか弁護士になってしまいました

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年12月19日 (水) 10時19分

調剤薬局以上に出店ラッシュなのは整骨院です。こちらもそろそろなんとかしないといけないでしょう。

投稿: 浪速の勤務医 | 2012年12月19日 (水) 11時10分

整骨院どこも大盛況ですものね。
顧客が増えることは経営努力で全く問題ないのですが、支払い基準など明らかにダブスタに思えるところが問題で、当「ぐり研」でも何度か取り上げていますがその後議論が広がっていく気配はありませんし。
今度の診療報酬改定ではそのあたりの業界間格差?も話題になるのでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2012年12月19日 (水) 11時27分

問題視しているのが病院会ってところがミソですか?
医薬分業がなければ医業収入が2割増しだったはずと気づいたってとこでしょうか。

投稿: ぽん太 | 2012年12月19日 (水) 12時19分

>てか患者がクレームつけてきて初めて薬が代わってたことに気づくこと多し(^-^;

だからこそ薬剤師の責任になるんですよ、多分。患者サマは素人なんだからクレーム先が間違ってる事を優しくご教示して差し上げましょう。

http://www.eisai.jp/medical/region/phar/nmp/system/generic/generic04.html
先発医薬品であっても後発医薬品であっても、その品質管理、調剤、情報提供にかかる薬局・薬剤師の責任は同じです。医薬分業のもとでは、どれもが薬局の薬剤師に専有の技術です。他の医療従事者や企業が代って責任をとれるものではありません。
薬局で薬剤師のすすめにより後発医薬品へ変更した場合に限定して考えるのであれば、薬剤師の責任が問われるのは、予見(予測)し得る副作用や体調の変化を説明しなかった場合や使用後の副作用の見逃がしに関するものが主ではないかと思います。

そもそも医師が責任負わされるとなればまあ日本の医師はアレだからw断言はしかねますがww常識的には金輪際ジェネリックなんか処方しませんよ?そのくらいの事はいくら厚労省でも理解してる筈…自信ないケドw。

>でも薬剤師が責任とるって具体的にどうすることなんだろ?

上記URLから私なりに理解するところによると、裁判沙汰になったら法廷で薬剤師とジェネリックメーカーが責任を擦り付け合う事になると愚考。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年12月19日 (水) 14時49分

>でも薬剤師が責任とるって具体的にどうすることなんだろ?

医薬品副作用被害救済制度の出番と違うかな?

http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html

投稿: 浪速の勤務医 | 2012年12月19日 (水) 15時09分

あの救済制度って誰も責任とらなくてもいいようにするためのものだと思い込んでました……

投稿: 愛里 | 2012年12月19日 (水) 15時41分

ん〜…
薬剤師も処方責任を負うべきだって考えもわかるんですが現実難しいような。
ゾロにかえたことで問題が起こった責任を問うにはゾロが先発品と違うという情報を持ってなければならない。
けどゾロメーカーがそんな情報出します?先発品と違ってたらゾロと名乗れないですよ?

投稿: ぽん太 | 2012年12月19日 (水) 16時45分

フォーブスの人気企画で、日本のビリオネアがあります。
以前はパチンコ系が多かったのですが、最近は調剤薬局チェーンが目立ちますね。
あと、ジェネリック万歳の某調剤の代表取締役の役員報酬の高額さは有名ですよね。
厚生労働省の点数配分がちょっとまずいのではと考える今日この頃です。

投稿: ゴン太 | 2012年12月20日 (木) 09時47分

厚労省のお約束でまずは最初は甘くしといてたっぷり蜜に集まったところでキュッと締め上げでしょ?
でも薬局チェーンの経営者はもうかるからやってるだけで薬局にこだわりあるわけじゃないと思うけどね
最初から逃亡放棄してる奴隷医師相手と同じ調子でやったらおもしろいことになるかもねw

投稿: てるてる | 2012年12月20日 (木) 09時56分

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