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2012年12月 3日 (月)

高齢者医療給付の制限がいよいよ始まる?

先日は年金や医療費の増加によって社会保障給付が100兆円を突破したというニュースが流れていましたが、高齢化社会がますます進展してくるにつれてどうしても給付の抑制、特に高齢者に対するそれが議論になって来ざるを得ない状況です。
今まで医療現場からは主に生命倫理という観点から終末期医療のあり方が語られる傾向にありましたが、最近は経済的な要請によってこの方面の改革への要求が日増しに高まっているということなのでしょうか、最近相次いでこんな記事が出てきました。

医療・年金の高負担から若者を救え(2012年11月27日日本経済新聞)

 医療・年金制度の最大の問題点は若い人ほど保険料や税負担が重く、将来の給付水準は高齢者に比べて恵まれていない世代間格差だ。各党は衆院選でこの格差をどう緩和するかを競うべきだ。それが医療・年金制度への国民の信頼を取り戻す近道と考えるからだ。
 しかし国政選挙の投票率は高齢層が若者層より高いこともあり、与野党ともに高齢者の負担引き上げや給付抑制を真正面から打ち出そうとしていない

高齢者医療に税投入を

 改革を先延ばしすれば制度の持続性は損なわれ、近い将来さらに大きな負担を国民各層に強いることになる。欧州の債務危機をみるまでもなく、それは明らかだ。
 医療改革の課題は高齢者医療の財源確保だ。年13兆円(2012年度)の75歳以上の給付費のうち、約半分は公費で支えているが、その大半は国債を発行して負担を先送りしている。4割は企業の健康保険組合などの保険料、1割は高齢者の保険料で賄っている。
 大企業の社員らが加入する全国約1400の健保組合をみると、保険料収入の46%は高齢者の医療費に召し上げられている。民主党政権は、財政難の中小企業が主体の協会けんぽを支援するために企業健保に新たな負担を求める制度を導入した。これによって企業健保の財政は急速に悪化し、約9割が赤字に陥った
 このままでは健保組合の存続が危ぶまれる。各党は現役世代の負担を和らげる策をもっと積極的に示してほしい。
(略)
 民主、自民両党への注文は特例で1割に据え置いている70~74歳の窓口負担を本則の2割にすることだ。08年の制度導入時に1割への据え置きを決めたのは、当時の自公政権であり、民主党政権もそれを漫然と踏襲してきた。
 野田政権は13年4月から5年かけて2割にする方針だが、逼迫する保険財政を考えると悠長なことをしている余裕はない。来年4月に全対象者を2割にすべきだ。
(略)

「論説」 健康保険制度の維持へ 高齢者の医療改革は待ったなし(2012年 11月30日中部経済新聞)

 国民皆保険制度などセーフティネットの維持が危うくなっている。全国健康保険協会(協会けんぽ)は財政収支の悪化から保険料率が10%にのぼり、中小企業の従業員に過重な負担を強いている。大手企業の健康保険組合(健保組合)の財政状況も厳しい。働く者が安心して生活できてこそ、デフレから脱却できる。だから健康保険制度の維持が大切だが、そのためには高齢者の医療改革が待ったなしと言える。
 健康保険制度の維持のために、高齢者の医療改革が必要な理由はこうだ。高齢化に伴い、高齢者医療を現役世代がより支えることになり、協会けんぽ、健保組合とも収入のうち4割程度が高齢者医療への拠出金となっている。両健康保険の財政が悪化した背景には、労働者の収入減少と反比例して1人当たりの医療費が増加していることもあるが、高齢者医療拠出金が重く圧し掛かっている。

 ところが、高齢者の医療は「メタボ化」が止まらない。70歳以上の高齢者の年間受診回数は40回ほどにのぼり、後期高齢者(75歳以上)への医療支出は国民全体の3分の1を占める。
 先進各国は家庭医制度を設けるなど、医療費圧縮に取り組んできたが、我が国は先送りを続けてきた。在宅死亡率が10%強と低く、大半の日本人は病院で人生を終えるが、こうした国は珍しい。スウェーデンは半分の人が自宅で最期を迎える。
 一方で、人口の高齢化は加速し、国の財政は破綻寸前だ。2060年の人口予測によると、15歳から64歳の生産年齢人口と65歳以上の人口がほぼ同じになる。現役世代1人が65歳以上の1人を支える「肩車社会」になる。消費税率を10%に引き上げても解決にはならない。

 健康保険制度に国の支援強化が必要なことは言うまでもない。それに加え、高齢者医療を改革しないと、現役世代の負担増になるだけでなく、高齢者医療も存続できなくなる。思い切った対策を打つ必要に迫られている。
(略)
 健康保険制度が維持されていればこそ、将来の見通しが立ちデフレから抜け出せる。

かつては後期高齢者医療制度の導入でマスコミ野党を挙げて政権バッシングが行われたことを思うと隔世の感がありますが、いずれにしても財政面から見ても進み続ける高齢化社会という現実を考えれば、今まで通り実質定額負担で上限なしの医療給付を続けていては到底永続性は担保出来ないということは明らかです。
先日は社会保障制度改革国民会議の初会合が開かれ社会保障の将来像についての議論が始まっていて、こちらでも医療の充実を求める医師側と高齢者の負担増を容認する学者との間で意見が分かれているというのですが、こうした場に出てくる医師代表の方々と言えばおよそ医療現場というよりも大きな組織の管理職としての性格が強いという点には注意が必要でしょう。
とにかく搬送されてきた患者の命を助けることが仕事の救命センターの救急担当医でさえ過半数が高齢者終末期の治療手控えをしているという時代にあって、医療の充実という言葉を全年齢均等に何でも出来ることは出来るようにという方向で解釈するのは敢えて行う恣意的な解釈というのでもなければ、現場の実情を反映しないものになってしまう危険性が少なからずあると思いますね。
そしてそうした医療側の事情もさることながらちょうど総選挙を前にして政策的な面からもこの高齢者医療の給付抑制ということが大きな争点になってきそうな勢いですけれども、一足早く逼迫著しい地方行政の現場からこんなニュースが飛び出しているということを紹介しておきましょう。

高齢者医療費助成:甲府市が廃止方針 /山梨(2012年12月01日毎日新聞)

 甲府市は、低所得の高齢者向けに医療費を助成する「老齢者医療費助成制度」を14年度末で廃止する方針を決めた。住民税非課税となっている低所得世帯の65〜69歳は自己負担を1割に軽減していたが、廃止で3割負担になる。高齢者の急増による財政負担増大などが理由という。12月定例市議会で制度廃止の条例改正案を提出する。

 宮島雅展市長が11月29日の定例記者会見で明らかにした。制度は1968年創設。現行では65〜74歳は自己負担が1割となるよう助成。このうち70〜74歳は国の軽減措置で、65〜69歳は県や市が負担している。【屋代尚則】

高度成長期まっただ中の1968年創設の制度が今も生き残っているということがまさに時代の流れに取り残されているということでもあったのでしょうが、およそ国民皆保険制度導入から半世紀を経て、こうした旧時代の遺物的な制度のほころびがあちらこちらで顕在化しつつあるのも確かです。
世間の反発を避けるためにはいきなり1割から3割に戻す前に2割負担くらいにクッションを挟む道もあったのかなとも思うのですが、国政の場においても優遇措置がなかなか是正されない現実を考えると下手に延命を図るよりも一気に廃止に持ち込んだ方がよいという判断もあったのかも知れませんね。
当然ながら関係各方面から反対の署名などが相次いでいるようですが、甲府市独自の助成が廃止されると言っても全国一般の水準に戻るというだけですからむしろ不公平是正とも言えるものですし、どうしても困るというケースに関しては一律補助ではなく個別の支援策を考えていくべき時期なのでしょう。

いずれにしても一自治体の決断とは言え高齢者医療に関してこうもあからさまな「後退」が実現するということは久しくなかったことだと思いますけれども、すでに後期高齢者医療制度という名称が気に入らないなどと言って政局に結びつくという時代ではなく、むしろ今後各地の自治体あるいは国政の場において相次ぎ打ち出されてくるだろう優遇是正策のさきがけになってくるのかも知れません。
こうしたことは高齢者に限らず現に困窮している者に対して保護策を講じるということが問題なのではなく、画一的予防的に投網を投げかけるような広範な保護策を講じることが許容される状況ではなくなったということですから、今後は一律の保護策の廃止と同時に個別の状況に応じた保護策を工夫していくことも必要なんだろうと思いますね。

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コメント

老人票バカにしたら落選するよ

投稿: | 2012年12月 3日 (月) 08時25分

議決前に決定って言うくらいだから議会の根回しは済んでるんですよね?
山梨って保守的守旧的なイメージがあったのになんだかちょっと意外な気が。
でも田舎の方がお年寄りは地域のみんなで助けましょうって気風が残ってるのかな?

投稿: ぽん太 | 2012年12月 3日 (月) 10時15分

自公政権 で プログ検索中です。
自民党は 強いですね。議席 堅く 100議席は 常に あるのかなぁ?
今回 自民圧勝の 声も 聞きます。
消費税増税に なっていくんだなぁという見解です。
消費税増税で 中小企業が 潰れていき 失業者が たくさん でるという見解も あります。そんな中で 税金は 集まるのかなぁ。荒れる若者~どんな 国になるかなぁ?
政治研究会(名前検討中

投稿: 村石太レディ | 2012年12月 3日 (月) 10時27分

地方議会は総与党化してるから合意さえつけばなんでもやりたいほうだいでしょ
こんなの老人のイメージもかわってきてんのにいつまでも同じで続けてたのがおかしいくらい

投稿: たまてる | 2012年12月 3日 (月) 10時59分

今回は横並びに戻すわけですからやりやすいということだったんでしょう。
ただ国保などもたいへんな状況ですからいつまでも高齢者優遇は続けられないでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2012年12月 3日 (月) 12時52分

老人問題 深刻な問題ですね。元気で 余生が 暮らせればなぁ~
政治研究会(名前検討中

投稿: 村石太ダー&ザード&ジョン&ジョージ | 2012年12月 4日 (火) 14時35分

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