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2012年12月18日 (火)

出生前診断の指針公表

個人的なことですがすっかり体調を崩してしまいまして、いささか困ったことになってしまっているとこですが、本日はこちらのニュースを照会してみましょう。

新出生前診断の実施「第三者機構が認定」- 日産婦学会、指針案をパブコメへ(2012年12月16日CBニュース)

 日本産科婦人科学会は15日、母体血を用いた新しい出生前診断に関する指針案を発表した。同学会と関連学会などで第三者機構をつくり、実施する医療機関を認定することや、臨床遺伝専門医資格のある産婦人科医か小児科医の配置など、実施体制を細かく規定。当面は、診断に関する「遺伝カウンセリングの臨床研究」として認める。1か月ほどパブリックコメントを行うため、実施は早くても来年3月の同学会理事会以降となる見込み。

 指針は、遺伝カウンセリングを重視し、「十分な遺伝カウンセリングの提供が可能な限られた施設において、限定的に行われるにとどめるべき」とした。実施要件では、▽出生前診断に精通し、豊富な診療経験を有する産婦人科常勤医師と小児科常勤医師が在籍し、いずれかが臨床遺伝専門医の資格がある▽専門外来の設置▽検査前の遺伝カウンセリング体制の整備▽検査後に妊娠経過観察が可能-などを定めた=表、クリックで拡大=。
 対象は、米国の産科学会に倣い▽出産時35歳以上の高齢妊娠の人▽超音波検査で胎児の染色体異常の可能性が示唆された人-などに限る

 実施施設の医師にかかわらず、すべての医師に対し、診断について「医師が妊婦に積極的に知らせる必要はない」「妊婦に対して安易に勧めるべきではない」と明記。検査会社にも、診断を勧める文書などを作成し、不特定多数の妊婦に配布することは「望ましくない」とした。

 実施施設を認定する第三者機構は、要件を満たしているかどうかを審査するほか、申請医療機関と検査会社の契約書の写しや、被験者に対する遺伝カウンセリングの際の説明文書の写しの提出を求め、診断結果やその後の経過の報告も義務付ける。
(略)

検査の実施自体に相応のリスクのある羊水検査と異なり、今回話題になっている血液検査では採血をするだけと極めて検査のリスクが低い上に精度の高い検査法であることから、ひとたび検査を実施すればほぼ白黒がついてしまうということですね。
他社の報道などを見ましても特に35歳以上の高齢妊娠に限るといった制限が注目されているようですが、ダウン症に関して言うと35歳付近を境にして発生率が急カーブを描いて上昇していくことが知られていて、逆にリスクが高くない間は無用な妊娠中絶の葛藤を持ち込まないようにという考え方なのでしょう。
このダウン症という病気、発生頻度も相応に高く一般人でも遭遇する可能性も高いことから先天異常の代表のように取り上げられていますが、以前に同検査を取り上げました際にコメント多数が寄せられましたように実際に患者に接してみれば子供らしいかわいらしい人達であることがすぐに判りますから、正直何故ダウン症ばかりがそうまで目の敵にされなければならないのかと疑問を抱いている方々も多いんじゃないかと思います。
思うにダウンの子を持つと言うことは高齢出産である可能性が高いということでもあり、親としては自分達が先に死んだ後に子供の将来を考えると不安になる気持ちも理解出来ないわけではありませんが、高齢妊娠・出産を望みあまつさえこうした検査を希望する方々にはまず障害というものの実態をよく承知しておいていただきたいと思いますね。

一方で海外などでは選挙のたびに中絶の是非が議論になるなど宗教的な観点から語られることも多いのがこの中絶問題ですが、幸いにも日本においてはそうした社会的に根深い対立にまで至ることは少ないようで、主に個人レベルでの道徳観・倫理観といった点から比較的冷静に議論されていることは幸いではないかと思います。
先日はカソリック国であるアイルランドで医師が危険な状態に陥った妊婦の中絶手術を拒否した結果、不幸にも妊婦が亡くなり大きな騒動になったという衝撃的な事件が報道されていましたが、宗教的対立の少ない日本だからこそ医学的妥当性を最優先で確保した上でのルール作りが求められている気がしますね。
ダウン症のハイリスク層である高齢出産希望者は高価な不妊治療を受けている可能性も高いわけですから、繰り返しになりますが担当医は事前にきちんとしたインフォームドコンセントを行い十分な理解を得た上で話を進めていくことが必要でしょうし、産科医療の崩壊が言われている中で不妊医療専門医も妊娠させれば終わりではなく、実際に難しい分娩を担当する産科医達への配慮も求められているように思います。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

検査実施にどれくらい需要があるかをまずみたいですね。
異常妊娠よりも経済的理由での中絶が多いので、これも公的支援で改善できないものなのか。

投稿: ぽん太 | 2012年12月18日 (火) 10時02分

あえて言う
望まれずに生まれて虐待されて無残に殺されるくらいなら最初から生まれてこないほうがまし

投稿: みそっぱ | 2012年12月18日 (火) 10時41分

>望まれずに生まれて虐待されて無残に殺されるくらいなら最初から生まれてこないほうがまし
障害の有無と関係あるんですか?
てか、病院なり施設に預けっぱなしで、て例は聞くけど(それが良いこととは決して言いませんが)
障害児を手元で育てている人が虐待って話を聞かないのは、私が知らないだけ?
それに世相を見るに、五体満足であっても安心していられないように感じるのですが。

投稿: JSJ | 2012年12月18日 (火) 11時08分

障害の有無に限らず人間関係一般に通じる原則なんでしょうが、ほどよい距離感を維持出来ることが良好な関係の基礎となるように思いますね。
たとえば日中は障害者学級に預けている家庭など朝夕の送り迎えでは患児も家族もいい顔をしている人が多い印象です。
老人介護と同じで何でも自分でと抱え込み過ぎると失敗しやすいのかも知れず、その意味で各種公共サービスをうまく利用してもらう方が皆の幸せにつながるのかなと思っています。
そうは言っても田舎じゃ障害児預けて働きに出る親への風当たりも強いんでしょうけど…

投稿: 管理人nobu | 2012年12月18日 (火) 11時34分

>実際に患者に接してみれば子供らしいかわいらしい人達であることがすぐに判りますから、正直何故ダウン症ばかりがそうまで目の敵にされなければならないのかと

子供のうちはいいけど大人になっても子供らしいかわいい人なのはちょっと…ねえ?

>障害児を手元で育てている人が虐待って話を聞かないのは、私が知らないだけ?

古いデータですが、
>>「障害者統計にないADHD児らの存在に配慮しなければならないが、障害児は健常児の4~10倍の割合で虐待を受けるとも推定される」(細川教授)
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/25066.html

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年12月18日 (火) 11時40分

しつけ?意識の厳しい母親が障害児もつと悲惨だよね・・・
見ててこっちがつらくなってくる・・・

投稿: みんくの尻尾 | 2012年12月18日 (火) 12時26分

>子供のうちはいいけど大人になっても子供らしいかわいい人なのはちょっと…ねえ?
ダウン症のじいちゃん(確か50代か60代)を担当したことがあるけど、やっぱりかわいかったですよ。

>古いデータですが、
ありがとうございます。
ソースの年がバラバラでざっくりした計算ですが、20万人(H14年障害者白書)の18歳未満の障害児に6/1000をあてはめると1200人の被虐待児。
                         たぶん2001年当時2200万人くらいの18歳未満の健常児に0.6/1000をあてはめると13200人の被虐待児。
なぜ実際に見聞きするのは健常児例のほうが多いのか、という理由が分析できました。

投稿: JSJ | 2012年12月18日 (火) 12時40分

でも自分のことになったらみんな検査どうしようかって悩むだろうね
学会は検査があること自体忘れられていくのを望んでんだろうか

投稿: take | 2012年12月18日 (火) 13時47分

>しつけ?意識の厳しい母親が障害児もつと悲惨だよね・・・
見ててこっちがつらくなってくる・・・

しつけとはちょっと違うんですが、友人の自閉症の娘さんが指が千切れかけるクラスの大怪我した際、病院で暴れるのを奥さんが腹にぐーぱんして制圧したそうです。
*その後は普段は多動なのに指が治るまではじっと動かなかったそうで奥さん曰く「ギャオスに深手を負わされたガメラが海底でじっとして傷を癒していたようなもの」色々とひでぇw

>ダウン症のじいちゃん(確か50代か60代)を担当したことがあるけど、やっぱりかわいかったですよ。

患者さんならいいんですよ別にアフリカのどこかの国の難民と同様平等に価値がないアカの他人ですから。身内だとタマランですよ多分。
*「うちの天使ちゃん」みたいな人もままいてまあ本気でそう思っているのかもしれませんが自分で自分を騙している可能性は否定出来ないかとw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年12月18日 (火) 16時19分

>うちの天使ちゃん

ああいう人の子の扱い方にはペットに近いものを感じる。。。

投稿: 三毛 | 2012年12月18日 (火) 16時34分

>ああいう人の子の扱い方にはペットに近いものを感じる。。。

遺伝子操作で大人になってもょぅι゙ょなペット人間をだなぁ(提案)

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年12月18日 (火) 18時07分

>子供のうちはいいけど大人になっても子供らしいかわいい人なのはちょっと…ねえ?
この位のレヴェルなら、「10年先生ったら…(微苦笑」と出来るんですが

>遺伝子操作で大人になってもょぅι゙ょなペット人間をだなぁ(提案)
別に良識派を気取る積りはないですし
「家族の気持ちをだなあry」と吠える気も無いのですが
正直言って、ここまでの米にはどうレスポンスして良いのか分かりません。
どんな顔をして読めば良いのか わかりません、どうか教えて下さい。

投稿: 福京 | 2012年12月18日 (火) 21時54分

>どんな顔をして読めば良いのか わかりません、どうか教えて下さい。

笑えばいいと思うよ。いや、割とマジで。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年12月19日 (水) 09時16分

宋先生の記事の引用の仕方がおかしくないですか?
クアトロテストと新型検査を混同しています。

投稿: yachiru | 2012年12月19日 (水) 23時15分

あらら、またやってしまいましたか…
よく見ないで引用するから毎度こういうことになるわけで恥ずかしいことです。
さっそく該当の引用は削除させていただきました。
ご指摘ありがとうございます。

投稿: 管理人nobu | 2012年12月20日 (木) 11時13分

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